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ガンナーオブドラグーンの作り方&酔わせずに興奮させるVR体験デザイン
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Haruto Watanabe
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VR Tech Tokyo #2で登壇した際の資料を追補改訂したものです。
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ガンナーオブドラグーンの作り方&酔わせずに興奮させるVR体験デザイン
1.
ガンナーオブドラグーン の作り方 サークルハイドレンジャー 野生の男
2.
自己紹介 • Oculus RiftのKickstarter出資 •
Oculus Rift+Leap Motion専用ゲームを世界で初めて開発 • Palmer Luckeyに日本人初インタビュー(GDC 2014) • Oculus Rift DK2に日本で初対応(Unite Japan 2014) • 雑誌/WebでVRに関する記事の執筆多数 • 去年8月にフリーランスVRクリエイターとして独立 • 今年1月から某社でVRエンジニア
3.
ガンナーオブドラグーンとは •ドラゴンに乗って敵を撃つ 参考画像:パンツァードラグーンOVA(©SEGA/Production I.G.)
4.
ガンナーオブドラグーンの実績 • 体験人数のべ1000人超(2014年11月~現在) • Unity
VR Expo Shibuya 2位 • BitSummit 4th Serendipity Award受賞 • Unity VR Expo Akiba プレイヤーチョイスアワード受賞
5.
開発概要 • 開発工数:0.5人月以下(2014年からの累計) • 開発環境:Unity
5.0β~Unity 5.3.5 • 開発人員:野生の男1人 • 特別協力:@aokcub_cg(++skies)/小林早織さん(BGM) • 動作ハードウェア • Macbook Pro Retina Mid2012(2014~2015/10) • GALLERIA QSF980HGS(2015/11~現在)※㈱サードウェーブ様提供 • JOBA ※現:㈱ハシラス様提供
6.
開発工程 • Unity Asset
Storeで色々なアセットを買う(〜$500程度/現在) • ドラゴンや敵の3Dモデル • エネミーのスポーン/オーディオ管理などのスクリプト • プロシージャル地形生成 • デバイス用SDKを入れる • Oculus PC SDK • Leap Motion SDK • OpenVR SDK • いい感じに弄って完成 • 具体的な内容はスライド終盤の付録に記載 • アセットに任せることでゲームのレベルデザインに集中できる
7.
動画
8.
酔わせずに興奮させる VR体験デザイン サークルハイドレンジャー 野生の男
9.
VRデモは誰でも楽しめるべき • 実力差や時の運でゲーム体験に大きな差が生じる作りはダメ • どう動けば良いのか分からない •
良く分からない内に殺されて終わった… • 操作方法を教えられたけど難しすぎて全然当たらない • 一緒になったプレイヤーが強すぎてすぐ終わった(PvP) これらが起きると…
10.
複数回VRに触れた人 「あのタイトルは面白くなかっ た」 マシなケース
11.
初めてVRに触れた人 「VRやったけど面白くなかった」 最悪のケース VRそのものへのネガティブキャンペーン 現在のVRイベントでも初めて触る人は沢山居る(←!)
12.
「接待するくらい」がちょうどいい • デスペナルティはなるべく無くす • 体験時間いっぱいプレイヤーが楽しめるようにする •
エネミーの出現位置、当たり判定を細工する • 「どこから撃たれたか分からない」「全然当たらない」を減らす • 難易度は一番優しい方に合わせる • 展示の対象者はハードコアゲーマーでは無い • ハードコアVRerなんてまだ居ない • Bullet Trainは接待ゲームの好例 • デスペナルティ無し/当たり判定調節/武器の掴みやすさ
13.
ガンナーオブドラグーンでは • デスペナルティ無し • 3Dサウンドによるエネミー出現のアラート •
エネミーの3Dモデル自体を大きく • 連射すれば全て倒せる程度の出現数 • 操作は銃の引き金を引くだけ 老若男女が楽しめるゲームバランスを実現
14.
VRデモ展示のまとめ • 誰でも楽しめる体験としてデザインする • 当然ながら課金アーケード展示や家庭用には今回の内容は 当てはまらない (負けても再度挑戦したくなるリプレイアビリティの方が重要) •
それでも難易度を高くしすぎれば多くのプレイヤーが離れていく
15.
「以前やったら酔ったので、 自分は体質的に VRには合ってないと思う」 良くある誤解
16.
酔いの原因は何か • ハードウェア起因の酔い易さはDK1→DK2→CV1/Vive/PSVRと いったハイエンドHMDでほぼ解決されている • Brendan
Iribe/OculusVR CEO「DK1の頃は数分で酔ったが最新のプロト イプでは2時間大丈夫だった」(2014) • 現在起きるVR酔いは9割9分ソフトウェア起因 • 絶対カメラを勝手に動かさない • 処理落ちさせない • そもそも移動が必要か?
17.
プレイヤーを絶対酔わせないために • 処理落ちさせない • 当たり前の話 •
自由移動を無くしてみる • Bullet Train • Toy Box • Space Pirate Trainer • 歩かせる • The Lab等HTC Viveルームスケール対応タイトル • テレポートさせる • Bullet Train • HTC Viveルームスケール対応タイトル ゲームデザインがしっかりしていればこれでも面白い
18.
導入に当たって注意が必要なもの • 視野角(FOV)を狭める手法 • カメラワークが酷いものならば焼け石に水 •
Eagle Flight(GDC版)は周りの酔い易い人を見事「撃墜」 • 狭くしすぎると「それVR HMDでやる意味ある?」にしかならない やらないよりはマシだが、導入する以前に 体験デザインのフェイズから見直した方がよい
19.
ガンナーオブドラグーンでは • 処理落ちは起こさない • 元々GeForce
GT650Mで75fps固定できたほど軽量 • ベクションの誘導 • 強制スクロールだが前方等速移動固定 • 集中線パーティクルを飛ばす • マルチモーダル=インターフェースデザイン • JOBAで実際にプレイヤーを動かす • サーキュレーターで風を当てる
20.
酔いのまとめ • エキサイティング(興奮)≠サプライズ(驚き) • カメラワークで驚かせることが主軸では無いはず •
プレイヤーにダメージを与えずに興奮させる • 企画/設計の時点で酔いを考慮し、酔わせない前提で作る • 体の動きに対応していると非常に酔いにくい • 移動系には風など皮膚への刺激を伴うと印象が良い
21.
酔い対策にも限度はある • JOBA自体の揺れによる酔い • 「3D/VR酔い」ではない「本来の酔い」は無くせない •
ガンナーオブドラグーン最新版ではJOBAの速度を控えめに • 現世代VR HMDに残った課題 • 視線の「ピント」を再現できない • Light-Fieldディスプレイ待ち • 更なる高解像度/高リフレッシュレート化 • 後述スライドの通りGPUパワーが足りないので時期は遠そう 現世代では上記の問題に行き着くまでソフト側の酔い対策が必要
22.
体験と酔いをコントロールして 楽しいVR体験を
23.
連絡先 • 取材、展示についてのお問い合わせなどは circle.hydrangea@gmail.comへ • 更新情報は •
Twitterアカウント @yasei_no_otoko • Webサイト circle-hydrangea.net • ブログ yaseino.hatenablog.com にて不定期掲載しています
24.
The GofD今後のロードマップ 展示専用に最適化された現在のデザインから、 一般配信に向けてアップデートを続けていきます • ボリュームの充実 •
エネミー追加 • ステージ追加 • ボス追加 • リプレイアビリティの向上 • 被弾/HPシステム(デスペナルティ) • 操作性の更なる向上 • ロックオンレーザー追加
25.
百見は一体験に如かず 当日は会場で体験できました。
26.
ここから本編外の付録
27.
TIPS:VRソフトのアートについて • 第8世代ゲーム機/最新ゲームPCという発想を捨てる • HMDメーカーもGPUを売るメーカーも「性能が足りてない」と 真顔で口に出すのがVRの現状 •
第1世代(もしくは0.X世代)のVRゲームという意識を持って アートワークをデザイン(設計)する • 初期の3DCGはSFC末期の洗練された2Dグラフィックスに劣るものばかりだった 歴史を鑑みる • ガンナーオブドラグーンは • 自機ドラゴン • エネミー • スカイドーム • ショット の4種類だけで成り立つ超省エネ設計
28.
TIPS:ゲームデザイン上の工夫 • 展開に序破急を設ける • 最初は1体ずつ/ラストは大乱戦 •
限られた時間でプレイヤーのテンションを上げる • 敵を前方170度にしか出さない • 体を動かしすぎてプレイヤーが倒れないように • エネミー群の出現位置を扇型に広げる • VR HMDの醍醐味である視線移動を誘導する • 視点当たりに表示されるエネミー数を減らす描画負荷軽減テク
29.
TIPS:VRにおけるサウンド • BGMは基本的に2Dステレオで十分 • 楽器パートごとに3D空間配置して生演奏風の音場にするケースも •
SEはほぼ全て3Dにするのが効果的 • ゲームエンジン標準3DサウンドとOculus Audio SDKで立体感が出る • エミュレーションなので上下/前後の音には弱い(ヘッドホン側の限界) • ガンナーオブドラグーンではBGM以外のSEが全て立体 • エネミーの出現位置が分かりやすい • 頭の左右に風の環境音をそれぞれ配置することで実際の風のノイズに近付く • 常に前進しているので爆発音が後ろに行くと気持ち良い
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