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Ray Tracing Night
UNREAL ENGINE
Ray Tracing Night
第三枠
“ UE4 のレイトレを映像出力に使ってみる ”
♥
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 2
自己紹介
	 	 	 	 コンノヒロム
	 	 	 	 	 	 フリーランスの 3DCG アーティスト(なんでも屋) わんこそば県在住
	 	 	 	 	 	 ブログ → HK3D.jp twitter → @hirotsu162
	 	 	 	 	 	 ・CINEMA 4D で映像を作ってるプロダクションの外注で
	 	 	 	 	 	 	 キャラクターものや込み入ったアニメーションを作ることが多いです
	 	 	 	 	 	 ・CINEMA 4D 関連著作(共著含む、一部絶版)
	 	 	 	 	 	 ・UE4 初心者(今回ようやく「見る専」から「初心者」にレベルアップ)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 3
本講演の内容
UE4 のシーケンサーは非リアルタイムに映像が出力できる
→ ならレイトレ設定をいくらでも重くしていいのでは?
という発想
	 	 	 	 	 	 	 	 	 (1)フレームレート度外視でレイトレ機能をめいっぱい使う
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 今回のプロジェクトの詳細
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 注目のレイトレ表現
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 非リアルタイムのワークフロー
	 	 	 	 	 	 	 	 	 (2)UE 4.22 時点でのレイトレのメリットとデメリット
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 UE4 レイトレをどこまで使うか
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較
	 	 	 	 	 	 	 	 	 (3)映像系 CG 屋さんの感想
	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 	 まとめ的な話
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(1)フレームレート度外視でレイトレ機能をめいっぱい使う
・1 フレームあたり「平均 47 秒」で出した映像
	 	 	 47 秒 = 47,000ms リアルタイム (33ms / F) の 1,400 倍遅いけど
	 	 	 オフラインレンダラーの常識からすると超速いです
レイトレ設定を我慢の限界まで重くして出力した映像
(レイトレ GI 全体ムービー、非レイトレ全体ムービー)
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今回のプロジェクトの詳細
・キャラクターモデル(自作)
	 	 	 モデリング:C4D
	 	 	 テクスチャ:3D-Coat
	 	 	 リギング、モーション:C4D
	 	 	 → FBX
	 	 	 UE4 のスケルタルメッシュとしてインポート
	 	 	 マテリアルなど設定
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 6
今回のプロジェクトの詳細
・背景モデル(購入)
	 	 	 Daz3D の「The Green Room」
	 	 	 レイトレ前提の背景モデルを選択
	 	 	 (ガラス多用、ほぼ全面が反射)
	 	 	 非レイトレではアラが目立つデザインで
	 	 	 UE4 のマーケットプレイスでは見ないタイプ
	 	 	 Daz Studio → FBX → C4D で調整
	 	 	 → FBX
	 	 	 UE4 の「Import Into Level」でインポート
	 	 	 いろいろ設定
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今回のプロジェクトの詳細
・UE4 レイトレのアラが見えてもそのままにした
	 	 	 長所短所どっちもわかるように相性の悪い表現も残した
	 	 	 後ほどオフラインレンダラーの絵(静止画)と比較します
・FBX ワークフローつらい
	 	 	 持ってこられない要素がけっこうある
	 	 	 人力で同じ作業を延々繰り返すはめになる
	 	 	 ソフト間の FBX の相性などは情報が少なく手探り状態
	 	 	 UE4 の本質的なノウハウより先に FBX の扱いで苦労した(初心者殺しだと思います)
	 	 	 Datasmith……早くC4D にも来てくれ……。
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注目のレイトレ表現
今回の映像で見られる「UE4 レイトレで可能になったこと」
・レイトレによる映り込み
	 	 	 Reflection Capture や
	 	 	 Screen Space Reflection のような
	 	 	 制約がない
	 	 	 違和感のない鏡面反射表現が
	 	 	 可能になった
	 	 	 あれっ でもよく見ると DOF が怪しいぞ
	 	 	 DOF はレイトレじゃないからしょうがないね
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 9
注目のレイトレ表現
・Ray Tracing Global Illumination:動的な間接照明の表現力
	 	 	 毎フレーム間接照明が計算される → 光環境が変化する
	 	 	 Mobable アクタも間接照明を発生させる → キャラが光を反射して周囲を照らす
ドアが開くと室内の間接照明が明るくなり、キャラクターに当たった光が反射して周囲を照らす
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 10
非リアルタイムのワークフロー
非リアルタイム=描画が超重い状態で UE4 を使うための工夫
・UE4 でレイトレを使う手順
	 	 	 まず RTX を買っ(以下略) 今回使った PC は 9900K + RTX2080 です
・UE4 のレイトレ設定を重くするとUnreal Editor が落ちる問題
	 	 	 アプリケーションの画面の更新にかかる時間が
	 	 	 一定限度(デフォルトでは数秒)を超えると
	 	 	 Windows がアプリケーションを落としてしまう
	 	 	 「Timeout Detection and Recovery」
	 	 	 非リアルタイム前提で使うなら対策が必要
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 11
非リアルタイムのワークフロー
・対策:レジストリキー(TdrDelayとTdrDdiDelay)の変更
	 	 	 Substance Painter をインストールすると「変更しろ」と言われるアレです
	 	 	 Substance Painter 入れてる PC で既に変更済みならそのままで OK
	 	 	 リアルタイム CG・ゲーム業界的には常識でしょうか
	 	 	 詳しくは
	 	 	 「Substance GPU driver crash」でググってくれ
	 	 	 Substance のとてもていねいなサポート記事がみつかるはず
	 	 	 ありがとう Allegorithmic さんとボーンデジタルさん
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 12
非リアルタイムのワークフロー
・レイトレの主要なパラメータは Post Process Volume で設定できる
	 	 	 複数の Post Process Volume に
	 	 	 「レイトレ設定セット」を作っておき
	 	 	 オンオフして使い分けると便利
	 	 	 A:ポストプロセス基本セット
	 	 	 B:レイトレ テスト用
	 	 	 C:レイトレ 本番用
	 	 	 ……など
	 	 	 オフラインレンダラーの
	 	 	 レンダリング設定プリセットみたいなもの
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 13
非リアルタイムのワークフロー
・それ以外のパラメータはコマンドから入力が必要
	 	 	 以下、初心者なので知らなかったんですが
	 	 	 コマンドは「Output Log」の「Cmd」から入力する
	 	 	 Help メニューの「Console Variables」で
	 	 	 Web ブラウザにコマンドが全部表示されるので
	 	 	 「r.Raytracing」で絞り込むとよい
	 	 	 ただし説明は英語だしあまり詳しくない
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 14
非リアルタイムのワークフロー
・設定を重くしたらビューでリアルタイム操作するのはあきらめよう
	 	 	 ビューで重いレイトレを表示していると、ワンクリックごとに何秒も待たされる
	 	 	 まともに操作できない……!
	 	 (1)まずビューを「Wireframe」にする
	 	 	 	 (レイトレが表示されなくなる)
	 	 (2)Post Process Volume でパラメータ調整
	 	 (3)必要に応じてビューを「Lit」にしてチェック
	 	 	 	 (レイトレ表示、反応があるまで気長に待て)
	 	 (4)ビューを「Wireframe」に戻す
	 	 (5)シーケンサーでレンダリング
	 	 	 という流れ それなりの覚悟が必要です
(UE4 操作中のキャプチャムービー、固まった例、セーフだった例)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 15
非リアルタイムのワークフロー
・Ray Tracing Global Illumination (RTGI)
	 	 	 RTGI ならライトマップなしでも間接照明が使える
	 	 	 → ライトマップ不要? ほんとに? UV 展開とかライトマップ解像度設定しなくていいの?
	 	 	 World Settings の「Force No Precomputed Lighting」
	 	 	 これををオンにしてから再度ライティングビルドすると
	 	 	 計算済みのライトマップが破棄される
	 	 	 → 間接照明は RTGI のみになる
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 16
非リアルタイムのワークフロー
・どっちにせよライトマップは必要です
	 	 	 RGTI とライトマップは併用できる → ベイクされていないライト(Movable など)のみ RTGI になるらしい
	 	 	 RT Reflection や RT Translucency に映る範囲では RTGI と Skylight のレイトレ遮蔽が無効なので
	 	 	 ライトマップを併用しないといろいろまずいです
ライトマップなし・RTGI オン                    ライトマップあり・RTGI オン
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非リアルタイムのワークフロー
・最終的な画質は思いのほか良好
	 	 	 RTGI の Samples Per Pixel は上限が「64」
	 	 	 レイトレにアダプティブサンプリングもない
	 	 	 オフラインレンダラーの常識からすると粗すぎる
	 	 	 そのわりには妙にきれいなのでは……?
                                 Skylight なしで RTGI のみの(超★厳しい)テスト
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 18
非リアルタイムのワークフロー
・最終的な画質は思いのほか良好
	 	 	 実は基本のレイトレサンプリングはかなり粗い
	 	 	 Denoiser、AA などすべてオフの素の状態はこれ →
	 	 	 この後に 3 段構えで画質が向上する
	 	 	 (0)サンプリング
	 	 	 (1)Denoise(GI など)
	 	 	 (2)Temporal AA
	 	 	 (3)Screen Percentage による Supersampring
                                 素のサンプリングの状態
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 19
非リアルタイムのワークフロー
・RTGI の Denoise
	 	 	 GI のサンプルノイズをなじませる
	 	 	 間接照明のノイズがわりと消える
GI Denoiser OFF                GI Denoiser ON
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 20
非リアルタイムのワークフロー
・Temporal AA
	 	 	 Temporal AA は「時間的にサンプルを平均化するアンチエイリアス」
	 	 	 レイトレのランダムなノイズには極めて有効
    AA なし              Temporal AA 9 フレーム経過
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 21
非リアルタイムのワークフロー
・Temporal AAとFXAA の比較
	 	 	 FXAA はそれなりに有効だが、時間的に平均化されないので動くとチラチラする
                     AA なし                   FXAA
(FXAA と Temporal AA を動画で比較)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 22
非リアルタイムのワークフロー
・Temporal AA にはタイムラグがある
	 	 	 Temporal AA の効果が現れるまでには数フレーム分の蓄積が必要 → カットの頭はジャリジャリ
	 	 	 動きのある部分に残像も出る(これはしょうがない、モーションブラーでなんとか……)
               カット頭のフレームでは効果なし          動きのある部分に残像
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 23
非リアルタイムのワークフロー
・シーケンサーの「ムービー出力設定> Animation」に「Warm Up」設定
	 	 	 「シミュレーションやポストプロセスがなじむまで待ってくれる」設定らしい……?
	 	 	 Temporal AA にも効くのでは?
	 	 	 → 実際やってみたところ、「レンダリング出力範囲の先頭」のみ効果あり (理屈は不明の経験則)
	 	 	 「Delay Before Shot Warm Up」を「0.3」程度にすると出力範囲の先頭から Temporal AA が効く
	 	 	 ドキュメントの説明では「Delay Before Shot Warm Up」は「ショットの境界で ( リアルタイムで ) 待つ秒数です。」とあるが
	 	 	 実際の動作を見ると「出力範囲の先頭で ( タイムトラック時間で ) 待つ秒数」のように見える
	 	 	 どの設定も「ショットの境界」は効かないようだが、境界がないようカメラカット毎に分けて出力すればヨシ
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 24
非リアルタイムのワークフロー
・Post Process Volume の「Misc」にある「Screen Percentage」
	 	 	 本来はリアルタイムでのフレームレートを稼ぐ目的でダウンサンプルを行うものらしい
	 	 	 画面の出力は 1080P だけど 3D の描画は 720P を引き伸ばしてるゲームとかありましたね、PS3 で
	 	 	 100% より高くした場合は Super Sampling となる → 200% にすれば実質サンプル数は 4 倍
	 	 	 GI でいうと「64 x 4 = 256」、Super Sampling AA の「2 x 2」に相当する(はず)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 25
非リアルタイムのワークフロー
・Post Process Volume の Misc にある Screen Percentage
	 	 	 単純な力業だが、画面全体にランダムなノイズが生じるレイトレではとても有効
	 	 	 定石とされているらしい「n 倍で出力して後から 1/n に縮小する」とたぶん同じ結果(整数倍の縮小ならアルゴリズムの影響はごく小さい)
100%                    200%
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 26
非リアルタイムのワークフロー
・レイトレの画質向上の流れをまとめるとこんな感じ
   素の状態            GI Denoise            Temporal AA        Screen Percentage 200%
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 27
(2)UE 4.22 時点でのレイトレのメリットとデメリット
UE4 レイトレの機能をどこまで使うか
表現力と制約の兼ね合い
オフラインレンダラーとの比較
そこまでやるならオフラインレンダラーでいんじゃね?
……という映像 CG 勢の見解
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 28
UE4レイトレをどこまで使うか
・RTGI よりライトマップが無難
	 	 	 RTGI の描写はライトマップとあまり差がなく、むしろ制約が多い側面も → 計算の重さに見合わない
	 	 	 ライトマップ + RTGI 以外の各種レイトレの組み合わせのほうがお得
太陽のライトが RTGI・透過や反射に RTGI が反映されていない  すべてライトマップ・透過や反射にもライトマップは反映される
キャラ部分の間接照明は RTGI のほうが Volumetric Lightmap より正確ですが、並べて比較しないとわからないですね(AO で補えそうだし)
(RTGI なしの全体ムービー)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 29
UE4レイトレをどこまで使うか
・RTGI よりライトマップが無難
	 	 	 RTGI をやめたらレンダリング時間は大幅に短縮(1 フレームあたり平均約 47 秒 → 7 秒)
	 	 	 間接照明の変化は RTGI を使わず複数ショットのクロスフェード合成で近似表現した
ドアを閉じてベイクしたライトマップのショット          ドアを開いてベイクしたライトマップのショット
(クロスフェードのデモのムービー)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 30
UE4レイトレをどこまで使うか
映像出力用途なら
RTGI 以外は積極的に使っていこう
RTGI やめればけっこう軽いです
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 31
統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較
UE4 レイトレは(まだ)できないことがいろいろある
反射と屈折の組み合わせ不可・屈折像(透過像)に色がつかない・Translucency の影が真っ黒(黒か無しの二択)
このカットとか特に惜しい
          UE4 RTGI なしレイトレ                           C4D + Redshift
   ガラスに映ったガラスが真っ黒、色ガラス不可、ガラス影なし                全部バッチリ OK ★
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 32
統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較
UE4 のポストエフェクト DOF と Redshift のレイトレ DOF の違い
レイトレ DOF は「ボケた背景の手前にシャープな映り込み」などが表現できる
                UE4 RTGI なしレイトレ                 C4D + Redshift
          奥のデプスでぼかしているので反射像もぼけている      奥はぼけているが反射像はシャープ
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 33
統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較
・高画質のプレビューはオフラインレンダラーのほうが便利
	 	 	 レンダリングとエディタビューは独立しているので、どんなに高画質設定でも操作のレスポンスには影響なし
	 	 	 (UE4 もライティングビルドでは CPU フル回転でも操作は重くならないですよね、あんな感じです)
(C4D + Redshift 操作中のキャプチャムービー)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 34
統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較
・ただしレンダリングスピードは UE4 より圧倒的に遅い
	 	 	 プロダクションレンダラーとしては比較的速いと言われる Redshift でも
	 	 	 今回のプロジェクトだと 1 フレームあたり10 分前後かかります(RTX 2080 とか GTX 1080Ti で)
	 	 	 たった 40 秒ほどの動画ですがフレーム数でいうと 1,250 フレームあるので
	 	 	 10 分 x 1,250 フレーム = 12,500 分 = 約 208 時間 = 8 日半
	 	 	 映像 CG 業界ではレンダリング用 PC を別途用意するか、レンダーファーム業者を使うのが常識化しています
・これが UE4 なら
	 	 	 RTGI ありで 1 フレーム 47 秒 x 1,250 = 16 時間ちょっと
	 	 	 RTGI なしなら 1 フレーム 7 秒 x 1,250 = 2 時間半
	 	 	 PC 1台でも人間が作業してない時間帯にレンダリングさせればイケそうですね
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 35
(3)映像系 CG 屋さんの感想
まとめ的な話
・今すぐにはオフラインレンダラーのかわりにはならない → UE4.23 に期待!
	 	 	 UE4 のレイトレ表現にはまだまだ制約があるので、できることの範囲でぼちぼち使っていこう
	 	 	 スピード 100 倍は魅力……! 実戦投入できる案件もあるかも
・未来を見据えて手を出しておきたい
	 	 	 いずれはリアルタイムレンダリングが主流の時代が来るので今から慣れておくべき
	 	 	 リアルタイムとオフラインの垣根はどんどん低くなる 両方やってみてはどうだろう
	 	 	 単純に、新しい技術は楽しい
	 	 	 UE4 自体も面白い(未来みがある)
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 36
映像系 CG 屋さんの感想
・UE4 のマーケットプレイスのアセットが使えるのはいいと思います
	 	 	 今回はレイトレのデモ目的だったので使いませんでしたが
	 	 	 アート的に:価格の割にクオリティが高い
	 	 	 データ的に:プラットフォーム(UE4)での動作保証があるので安心
	 	 	 ライセンス的に:UE4 以外でも使えるらしい(後でオフラインに移行もできる)
	 	 	 良質なモデルデータが確保できるのは心強い
	 	 	 買ったモデルが使えねえ! って泣いたことのある君、わかるだろう、この気持ち
・映像目的であれば UE4 の学習コストはだいぶ下がります
	 	 	 UE4 はユーザインタラクションや実行パッケージ化の部分が特に難しそうですが(アーティストにとっては)
	 	 	 映像目的の使用ならそのへん全部不要です 絵さえ描き出せればいいのだ
UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 37
結論:俺もやるからお前もやれ
告知から 3 時間で埋まるようなイベントに来るあなたは
もちろん UE4 やる気勢のはずだ
迷わずやれ
ご清聴ありがとうございました

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UE4 Ray Tracing Night Session 3

  • 1. Ray Tracing Night UNREAL ENGINE Ray Tracing Night 第三枠 “ UE4 のレイトレを映像出力に使ってみる ” ♥
  • 2. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 2 自己紹介 コンノヒロム フリーランスの 3DCG アーティスト(なんでも屋) わんこそば県在住 ブログ → HK3D.jp twitter → @hirotsu162 ・CINEMA 4D で映像を作ってるプロダクションの外注で キャラクターものや込み入ったアニメーションを作ることが多いです ・CINEMA 4D 関連著作(共著含む、一部絶版) ・UE4 初心者(今回ようやく「見る専」から「初心者」にレベルアップ)
  • 3. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 3 本講演の内容 UE4 のシーケンサーは非リアルタイムに映像が出力できる → ならレイトレ設定をいくらでも重くしていいのでは? という発想 (1)フレームレート度外視でレイトレ機能をめいっぱい使う 今回のプロジェクトの詳細 注目のレイトレ表現 非リアルタイムのワークフロー (2)UE 4.22 時点でのレイトレのメリットとデメリット UE4 レイトレをどこまで使うか 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較 (3)映像系 CG 屋さんの感想 まとめ的な話
  • 4. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 4 (1)フレームレート度外視でレイトレ機能をめいっぱい使う ・1 フレームあたり「平均 47 秒」で出した映像 47 秒 = 47,000ms リアルタイム (33ms / F) の 1,400 倍遅いけど オフラインレンダラーの常識からすると超速いです レイトレ設定を我慢の限界まで重くして出力した映像 (レイトレ GI 全体ムービー、非レイトレ全体ムービー)
  • 5. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 5 今回のプロジェクトの詳細 ・キャラクターモデル(自作) モデリング:C4D テクスチャ:3D-Coat リギング、モーション:C4D → FBX UE4 のスケルタルメッシュとしてインポート マテリアルなど設定
  • 6. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 6 今回のプロジェクトの詳細 ・背景モデル(購入) Daz3D の「The Green Room」 レイトレ前提の背景モデルを選択 (ガラス多用、ほぼ全面が反射) 非レイトレではアラが目立つデザインで UE4 のマーケットプレイスでは見ないタイプ Daz Studio → FBX → C4D で調整 → FBX UE4 の「Import Into Level」でインポート いろいろ設定
  • 7. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 7 今回のプロジェクトの詳細 ・UE4 レイトレのアラが見えてもそのままにした 長所短所どっちもわかるように相性の悪い表現も残した 後ほどオフラインレンダラーの絵(静止画)と比較します ・FBX ワークフローつらい 持ってこられない要素がけっこうある 人力で同じ作業を延々繰り返すはめになる ソフト間の FBX の相性などは情報が少なく手探り状態 UE4 の本質的なノウハウより先に FBX の扱いで苦労した(初心者殺しだと思います) Datasmith……早くC4D にも来てくれ……。
  • 8. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 8 注目のレイトレ表現 今回の映像で見られる「UE4 レイトレで可能になったこと」 ・レイトレによる映り込み Reflection Capture や Screen Space Reflection のような 制約がない 違和感のない鏡面反射表現が 可能になった あれっ でもよく見ると DOF が怪しいぞ DOF はレイトレじゃないからしょうがないね
  • 9. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 9 注目のレイトレ表現 ・Ray Tracing Global Illumination:動的な間接照明の表現力 毎フレーム間接照明が計算される → 光環境が変化する Mobable アクタも間接照明を発生させる → キャラが光を反射して周囲を照らす ドアが開くと室内の間接照明が明るくなり、キャラクターに当たった光が反射して周囲を照らす
  • 10. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 10 非リアルタイムのワークフロー 非リアルタイム=描画が超重い状態で UE4 を使うための工夫 ・UE4 でレイトレを使う手順 まず RTX を買っ(以下略) 今回使った PC は 9900K + RTX2080 です ・UE4 のレイトレ設定を重くするとUnreal Editor が落ちる問題 アプリケーションの画面の更新にかかる時間が 一定限度(デフォルトでは数秒)を超えると Windows がアプリケーションを落としてしまう 「Timeout Detection and Recovery」 非リアルタイム前提で使うなら対策が必要
  • 11. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 11 非リアルタイムのワークフロー ・対策:レジストリキー(TdrDelayとTdrDdiDelay)の変更 Substance Painter をインストールすると「変更しろ」と言われるアレです Substance Painter 入れてる PC で既に変更済みならそのままで OK リアルタイム CG・ゲーム業界的には常識でしょうか 詳しくは 「Substance GPU driver crash」でググってくれ Substance のとてもていねいなサポート記事がみつかるはず ありがとう Allegorithmic さんとボーンデジタルさん
  • 12. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 12 非リアルタイムのワークフロー ・レイトレの主要なパラメータは Post Process Volume で設定できる 複数の Post Process Volume に 「レイトレ設定セット」を作っておき オンオフして使い分けると便利 A:ポストプロセス基本セット B:レイトレ テスト用 C:レイトレ 本番用 ……など オフラインレンダラーの レンダリング設定プリセットみたいなもの
  • 13. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 13 非リアルタイムのワークフロー ・それ以外のパラメータはコマンドから入力が必要 以下、初心者なので知らなかったんですが コマンドは「Output Log」の「Cmd」から入力する Help メニューの「Console Variables」で Web ブラウザにコマンドが全部表示されるので 「r.Raytracing」で絞り込むとよい ただし説明は英語だしあまり詳しくない
  • 14. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 14 非リアルタイムのワークフロー ・設定を重くしたらビューでリアルタイム操作するのはあきらめよう ビューで重いレイトレを表示していると、ワンクリックごとに何秒も待たされる まともに操作できない……! (1)まずビューを「Wireframe」にする (レイトレが表示されなくなる) (2)Post Process Volume でパラメータ調整 (3)必要に応じてビューを「Lit」にしてチェック (レイトレ表示、反応があるまで気長に待て) (4)ビューを「Wireframe」に戻す (5)シーケンサーでレンダリング という流れ それなりの覚悟が必要です (UE4 操作中のキャプチャムービー、固まった例、セーフだった例)
  • 15. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 15 非リアルタイムのワークフロー ・Ray Tracing Global Illumination (RTGI) RTGI ならライトマップなしでも間接照明が使える → ライトマップ不要? ほんとに? UV 展開とかライトマップ解像度設定しなくていいの? World Settings の「Force No Precomputed Lighting」 これををオンにしてから再度ライティングビルドすると 計算済みのライトマップが破棄される → 間接照明は RTGI のみになる
  • 16. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 16 非リアルタイムのワークフロー ・どっちにせよライトマップは必要です RGTI とライトマップは併用できる → ベイクされていないライト(Movable など)のみ RTGI になるらしい RT Reflection や RT Translucency に映る範囲では RTGI と Skylight のレイトレ遮蔽が無効なので ライトマップを併用しないといろいろまずいです ライトマップなし・RTGI オン                    ライトマップあり・RTGI オン
  • 17. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 17 非リアルタイムのワークフロー ・最終的な画質は思いのほか良好 RTGI の Samples Per Pixel は上限が「64」 レイトレにアダプティブサンプリングもない オフラインレンダラーの常識からすると粗すぎる そのわりには妙にきれいなのでは……?                                  Skylight なしで RTGI のみの(超★厳しい)テスト
  • 18. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 18 非リアルタイムのワークフロー ・最終的な画質は思いのほか良好 実は基本のレイトレサンプリングはかなり粗い Denoiser、AA などすべてオフの素の状態はこれ → この後に 3 段構えで画質が向上する (0)サンプリング (1)Denoise(GI など) (2)Temporal AA (3)Screen Percentage による Supersampring                                  素のサンプリングの状態
  • 19. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 19 非リアルタイムのワークフロー ・RTGI の Denoise GI のサンプルノイズをなじませる 間接照明のノイズがわりと消える GI Denoiser OFF                GI Denoiser ON
  • 20. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 20 非リアルタイムのワークフロー ・Temporal AA Temporal AA は「時間的にサンプルを平均化するアンチエイリアス」 レイトレのランダムなノイズには極めて有効     AA なし              Temporal AA 9 フレーム経過
  • 21. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 21 非リアルタイムのワークフロー ・Temporal AAとFXAA の比較 FXAA はそれなりに有効だが、時間的に平均化されないので動くとチラチラする                      AA なし                   FXAA (FXAA と Temporal AA を動画で比較)
  • 22. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 22 非リアルタイムのワークフロー ・Temporal AA にはタイムラグがある Temporal AA の効果が現れるまでには数フレーム分の蓄積が必要 → カットの頭はジャリジャリ 動きのある部分に残像も出る(これはしょうがない、モーションブラーでなんとか……)                カット頭のフレームでは効果なし          動きのある部分に残像
  • 23. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 23 非リアルタイムのワークフロー ・シーケンサーの「ムービー出力設定> Animation」に「Warm Up」設定 「シミュレーションやポストプロセスがなじむまで待ってくれる」設定らしい……? Temporal AA にも効くのでは? → 実際やってみたところ、「レンダリング出力範囲の先頭」のみ効果あり (理屈は不明の経験則) 「Delay Before Shot Warm Up」を「0.3」程度にすると出力範囲の先頭から Temporal AA が効く ドキュメントの説明では「Delay Before Shot Warm Up」は「ショットの境界で ( リアルタイムで ) 待つ秒数です。」とあるが 実際の動作を見ると「出力範囲の先頭で ( タイムトラック時間で ) 待つ秒数」のように見える どの設定も「ショットの境界」は効かないようだが、境界がないようカメラカット毎に分けて出力すればヨシ
  • 24. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 24 非リアルタイムのワークフロー ・Post Process Volume の「Misc」にある「Screen Percentage」 本来はリアルタイムでのフレームレートを稼ぐ目的でダウンサンプルを行うものらしい 画面の出力は 1080P だけど 3D の描画は 720P を引き伸ばしてるゲームとかありましたね、PS3 で 100% より高くした場合は Super Sampling となる → 200% にすれば実質サンプル数は 4 倍 GI でいうと「64 x 4 = 256」、Super Sampling AA の「2 x 2」に相当する(はず)
  • 25. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 25 非リアルタイムのワークフロー ・Post Process Volume の Misc にある Screen Percentage 単純な力業だが、画面全体にランダムなノイズが生じるレイトレではとても有効 定石とされているらしい「n 倍で出力して後から 1/n に縮小する」とたぶん同じ結果(整数倍の縮小ならアルゴリズムの影響はごく小さい) 100%                    200%
  • 26. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 26 非リアルタイムのワークフロー ・レイトレの画質向上の流れをまとめるとこんな感じ    素の状態            GI Denoise            Temporal AA        Screen Percentage 200%
  • 27. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 27 (2)UE 4.22 時点でのレイトレのメリットとデメリット UE4 レイトレの機能をどこまで使うか 表現力と制約の兼ね合い オフラインレンダラーとの比較 そこまでやるならオフラインレンダラーでいんじゃね? ……という映像 CG 勢の見解
  • 28. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 28 UE4レイトレをどこまで使うか ・RTGI よりライトマップが無難 RTGI の描写はライトマップとあまり差がなく、むしろ制約が多い側面も → 計算の重さに見合わない ライトマップ + RTGI 以外の各種レイトレの組み合わせのほうがお得 太陽のライトが RTGI・透過や反射に RTGI が反映されていない  すべてライトマップ・透過や反射にもライトマップは反映される キャラ部分の間接照明は RTGI のほうが Volumetric Lightmap より正確ですが、並べて比較しないとわからないですね(AO で補えそうだし) (RTGI なしの全体ムービー)
  • 29. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 29 UE4レイトレをどこまで使うか ・RTGI よりライトマップが無難 RTGI をやめたらレンダリング時間は大幅に短縮(1 フレームあたり平均約 47 秒 → 7 秒) 間接照明の変化は RTGI を使わず複数ショットのクロスフェード合成で近似表現した ドアを閉じてベイクしたライトマップのショット          ドアを開いてベイクしたライトマップのショット (クロスフェードのデモのムービー)
  • 30. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 30 UE4レイトレをどこまで使うか 映像出力用途なら RTGI 以外は積極的に使っていこう RTGI やめればけっこう軽いです
  • 31. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 31 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較 UE4 レイトレは(まだ)できないことがいろいろある 反射と屈折の組み合わせ不可・屈折像(透過像)に色がつかない・Translucency の影が真っ黒(黒か無しの二択) このカットとか特に惜しい           UE4 RTGI なしレイトレ                           C4D + Redshift    ガラスに映ったガラスが真っ黒、色ガラス不可、ガラス影なし                全部バッチリ OK ★
  • 32. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 32 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較 UE4 のポストエフェクト DOF と Redshift のレイトレ DOF の違い レイトレ DOF は「ボケた背景の手前にシャープな映り込み」などが表現できる                 UE4 RTGI なしレイトレ                 C4D + Redshift           奥のデプスでぼかしているので反射像もぼけている      奥はぼけているが反射像はシャープ
  • 33. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 33 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較 ・高画質のプレビューはオフラインレンダラーのほうが便利 レンダリングとエディタビューは独立しているので、どんなに高画質設定でも操作のレスポンスには影響なし (UE4 もライティングビルドでは CPU フル回転でも操作は重くならないですよね、あんな感じです) (C4D + Redshift 操作中のキャプチャムービー)
  • 34. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 34 統合ソフト・オフラインレンダラーとの比較 ・ただしレンダリングスピードは UE4 より圧倒的に遅い プロダクションレンダラーとしては比較的速いと言われる Redshift でも 今回のプロジェクトだと 1 フレームあたり10 分前後かかります(RTX 2080 とか GTX 1080Ti で) たった 40 秒ほどの動画ですがフレーム数でいうと 1,250 フレームあるので 10 分 x 1,250 フレーム = 12,500 分 = 約 208 時間 = 8 日半 映像 CG 業界ではレンダリング用 PC を別途用意するか、レンダーファーム業者を使うのが常識化しています ・これが UE4 なら RTGI ありで 1 フレーム 47 秒 x 1,250 = 16 時間ちょっと RTGI なしなら 1 フレーム 7 秒 x 1,250 = 2 時間半 PC 1台でも人間が作業してない時間帯にレンダリングさせればイケそうですね
  • 35. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 35 (3)映像系 CG 屋さんの感想 まとめ的な話 ・今すぐにはオフラインレンダラーのかわりにはならない → UE4.23 に期待! UE4 のレイトレ表現にはまだまだ制約があるので、できることの範囲でぼちぼち使っていこう スピード 100 倍は魅力……! 実戦投入できる案件もあるかも ・未来を見据えて手を出しておきたい いずれはリアルタイムレンダリングが主流の時代が来るので今から慣れておくべき リアルタイムとオフラインの垣根はどんどん低くなる 両方やってみてはどうだろう 単純に、新しい技術は楽しい UE4 自体も面白い(未来みがある)
  • 36. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 36 映像系 CG 屋さんの感想 ・UE4 のマーケットプレイスのアセットが使えるのはいいと思います 今回はレイトレのデモ目的だったので使いませんでしたが アート的に:価格の割にクオリティが高い データ的に:プラットフォーム(UE4)での動作保証があるので安心 ライセンス的に:UE4 以外でも使えるらしい(後でオフラインに移行もできる) 良質なモデルデータが確保できるのは心強い 買ったモデルが使えねえ! って泣いたことのある君、わかるだろう、この気持ち ・映像目的であれば UE4 の学習コストはだいぶ下がります UE4 はユーザインタラクションや実行パッケージ化の部分が特に難しそうですが(アーティストにとっては) 映像目的の使用ならそのへん全部不要です 絵さえ描き出せればいいのだ
  • 37. UNREAL ENGINE Raytracing Night | 2019.4.24. | Tokyo 37 結論:俺もやるからお前もやれ 告知から 3 時間で埋まるようなイベントに来るあなたは もちろん UE4 やる気勢のはずだ 迷わずやれ ご清聴ありがとうございました