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著者 背景 結論/結果
(McKinsey & Co.,
1993)
Born Global. 「新たな輸出形態
を持つ生産企業」調査対象:
オーストラリアの310社
企業の25%が創業後2年以内に集中的
に輸出。
平均輸出比率は売上高の75%
(Cavusgil, 1994) Born Global.
(McKinsey & Co., 1993)の解釈
スモール イズ ビューティフル。
ステージモデルによる国際化は死んだ。
(McDougall et al.,
1994)
International New
Ventures(INV). (類似概念の
用語)24社のケーススタディ
企業誕生から国際市場向け戦略。
ステージモデルはもはや通用しない。
(米7,英5,ニュージーランド4,独2,(スイス,チェコ,
仏,ブラジル、イスラエル、シンガポール)×1=6)
(Knight & Cavusgil,
1996)
Born Global. 既存研究と新聞
記事からのまとめ。
企業設立3-6年以内に25%以
上の輸出を持つ企業
Born Blobalの存在につながる要因:
•世界中のニッチ市場の成長
•生産と通信技術の変化
•国際的ネットワーク数の増加
(Madsen & Servais,
1997)
Born Global. 既存研究と多数
のデンマークのケーススタディ
「Born Global」引用件数No.2:
459件
古典的なステージモデルは、もし創業者
の経験と市場の国際化が考慮されるな
ら、Born Globalでも有効
(Knight & Cavusgil, 2004)
THE 2014 JIBS(Journal of
International Business
Studies)DECADE AWARD*
Born Global. 米国が調査対象
「Born Global」引用件数No.1:
501件
必要とされる能力:
ネットワークに参加する能力、組織外部
資源を活用する能力、経営資源と競争
市場の組合せ能力、ほか
*:1年に一度、十年前に出版された論文から一本最優秀の論文を表彰する賞
Ⅰ.“Born Global”コンセプトの歴史
5. Invetech Cochlear Precision Valve
特殊医療実験器具の製造 重度聴覚障害者対応の商
品開発
バルブ、プラスチック包装
製品
1987年設立
設立5年後の輸出は総売
上高の20%以上
輸出は総売上高95%。過
去5年間で25%増加
設立5年以内で輸出は総
売上高の25%
スイスの多国籍企業ライカ
との連携(ライカが海外
ディストリビュータの役割)
メルボルン大学に由来。
スイス、ドイツ、米国の共
同研究病院と強い繋がり。
顧客/サプライヤとの緊密
な関係が輸出成功の要因
51993年 オーストラリア
McKinsey & Co“Emerging Exporters”における
オーストラリアのサンプル企業例
Australian Manufacturing Council, Melbourne(1993)
6. Madsen & Servais“The Internationalization of Born
Globals”におけるデンマークのサンプル企業例
International Business Review Vol. 6, No. 6, pp. 561-583, 1997
1. Aabyブレーキ:1990年設立。風車産業/鉱業/ク
レーン産業向け油圧ブレーキディスク製造。5
年後の輸出が総売上高の約60%。輸出活発化
はスウェーデン企業買収が奏功。
2. ESX:1992年設立。ネジ金型のニッチ製品生産。
輸出は総売上高の80%。創始者はビジネス経
済学者で当初から国際化志向。
3. MKエレクトロニクス:1984年設立。MNCがこの
機能を外部化したので創業者が会社設立。
ローカル関係継承でElectroluxと連携継承。こ
れがスウェーデン、ドイツへの輸出継続で奏功
61997年 デンマーク
9. Innovation, organizational capabilities, and the born-global firm
イノベーション、組織能力、Born Global企業
Journal of International Business Studies (2004) 35, 124–141
THE 2014 JIBS(Journal of International Business Studies)DECADE AWARD論文の要点
研究の目的
• Born Global企業の客観的手法による分析
• 知識、能力、イノベーション文化の役割を解明
• 国際的成功を生むキーとなる方向性や戦略を明
確化
• 仮説を設定
• サンプル企業調査に基づく仮説の検証
9
Ⅱ.Born Global企業の分析
24. 隠れたチャンピオン企業とBorn Global
企業の類似点・相違点
類似点
• グローバル・ニッチ市場
• 差別化商品、高品質商品
• 経営パフォーマンス力
• グローバル・マーケティング力
• 経営者(創業者)の資質・意識・経験・リーダーシップ
24
相違点
隠れたチャンピオン企業 vs Born Global企業
(比較的大規模だが知名度小)vs(規模・知名度:不問)
(期間・輸出比率:不問) vs (創業後短期間で輸出比率上昇)
(平均従業員数2,000人、平均売上高約400億円)vs
(平均従業員190人、平均売上高約30億円、(但し、新型Born Global企業除外))
25. 企業名 テラモーターズ ジオ・サーチ 日プラ(born again global*)
社標
設立年 2010 年4 月設立 1989 年1 月設立 1969年設立
創業者 徳重 徹 冨 田 洋 敷山哲洋
業務 電動で走るモーターバ
イクの開発・設計・生
産・販売(従業員16 名)
インフラ・セキュリ
ティー・サービス
(従業員153名)
アクリルパネル、映像スク
リーン、水槽内防水工事
(従業員83名)
国際化 ベトナム、フィリピンに
現地法人を設立し、初
めからグローバル事業
展開
当該サービスをカンボジ
アの地雷除去に活用な
ど国連とも連携しグロー
バル展開
海外であれば評価してくれ
る可能性に賭けた。
世界シェアは7割,納入先
は世界50ヵ国
備考 「新興国ではガソリ
ンが高価な上、排ガス
対策も急がれており、
電動バイク市場は大き
く成長して行くと
いう読みが設立のきっ
かけ」
路面下に発生した空洞、
埋設物の位置情報、橋
梁などコンクリート構造
物内部の劣化個所など
を、「スケルカ(透ける
化)」技術を用いて探知
するビジネス
アクリルは透明度が高く,
割れにくいので水槽づくり
の素材の可能性大。
1991年に世界市場への進
出を決定。
水族館市場は米国がビッ
クマーケット。
*:Born Again Global企業:もともと国内で事業をしていたが急激に方向転換し、海外展開して一気に成長した中小企業
日本の代表的なBorn Global企業(2社)とBorn Again Global企業(1社)
Ⅳ.日本の状況とBorn Global企業活性化の課題
32. 企業名 セレボ ブイキューブ フィックスター
ズ
サイバース
テップ
ゼットエム
ピー
社標
設立年 2007年 1998年 2002年 2000年 2001年
創業者 岩佐琢磨 間下 直晃 三木聡 佐藤 類 谷口恒
業種 映像機器 ウェブ会議シ
ステム
ソフトウェア開
発
オンライン
ゲーム
自動車ソフト
ウェア
国際化 海外売上高
比率5割以上
世界中の拠
点と連携可能
米国空軍研
究所で2016台
のPS3使用シ
ステム構築
韓国、台湾、
中国などの運
営会社に運営
権貸与
インテルと資
本提携。コマ
ツ、ソニー出
資、共同開発
備考 手のひらサー
ズのネット映
像配信機「ラ
イブシェル」等
の製造・販売
従業員330人
ウェブ会議や
オンライン・セ
ミナー等のビ
ジュアルコミュ
ニケーション・
ツールの開
発・販売
従業員112人
マルチコアプ
ロセッサ向け
のソフトウェア
最適化サービ
スや開発プ
ラットフォーム
従業員114人
ネットワーク・
エンターテイ
ンメント・ソフト
ウェアの開発
従業員50人
GPSがない場
所でも自動走
行できる技術
を開発。自動
車、ヘルスケ
ア、農機、建
設・鉱山機械
日本のその他のBorn Global企業(1)
2000年頃~ 日本
33. 企業名 ミドクラ アキュセラ
社標
設立年 2010年 2002年(2014年マザーズ上場)
創業者 加藤隆哉、ダン・ドミトリウ 窪田良
従業員数 50人(日本人10人) 80人
売上げ高 未公開 未公開
業種 クラウドコンピューティング向けソフト
ウェアの開発と販売
眼科領域に特化した創薬型バイオベ
ンチャー
国際化 持ち株会社はローザンヌ(スイス)。
日本(東京)、バルセロナ(スペイン)、
米国(サンフランシスコ)にオフィス。
米国に2ヶ所、日本で1ヶ所のオフィ
ス
備考 自律分散アーキテクチャに基づく
ネットワーク仮想化プラットフォーム
「MidoNet」を提供。サーバーやスト
レージと違い、ネットワークの仮想化
は未だほとんど立ち上がっていない。
「MidoNet」はこれを解決する仮想
ネットワーク基盤の提供を目指す。
さまざまな網膜疾患への応用が期待
されている「視覚サイクルモジュレー
ション(VCM)」技術を保有。その技術
を核に、「世界から失明を撲滅する」
とのミッションのもと眼疾患治療薬の
探索および開発を行っている。薬剤
がない眼疾患である「ドライ型加齢
黄斑変性」を中心に。
日本のその他のBorn Global企業(2)
2000年頃~ 日本
34. 企業名 マニー スミダコーポレーション
社標
設立年 1956年 (現在は東証一部企業) 1950年 (現在は東証一部企業)
創業者 松谷正雄 八幡一郎
従業員数 277名 日本人約600人、連結約2万人
売上げ高 93億円
業種 手術用縫合針、歯科用治療器具 L素子(コイル、トランス、インダクタ)
国際化 ベトナム(96年)、ミャンマー(99年)、
ラオス(09年)に生産拠点設置
生産拠点:9割が国外(13カ国)、売り
上げの8割が国外。R&D:日本50%、
海外50%。英語を共通語
備考 「すべての製品を世界一の品質に」
針金から作る医療機器である「極細
治療器」に特化。リーマ・ファイル(歯
の神経を削る器具」の開発に結実
(世界シェア39%)
創業から40年間、国内で事業をして
いたが、社長が労働集約的作業は
国内では難しくなると判断。1996年
にベトナムに生産拠点を設立
「ABSコイル、キーレス・エントリー用
コイル分野で世界シェア1位」
20年間、国内で事業をしていたが、
早くからグローバル化を目指した先
代社長が、3人の息子を海外留学さ
せたほか、1971年に台湾、1972年に
韓国、1974年に香港と次々に海外拠
点を設置
日本のその他のBorn Again Global企業
1990年頃から 日本
35. 企業名 テラモーターズ ジオ・サーチ 日プラ(born again global)
社標
グローバル技術
力
△ ◎ ◎
ユニーな
製品開発
○ ◎ ◎
品質への焦点化 ○ ○ ◎
海外ディストリ
ビューターの活用
× × ×
国際起業家志向
性
◎ ○ × ⇒ ○
国際マーケティン
グ志向性
◎ ○ × ⇒ ○
海外ディストリビューター活用が低調である。
「グローバル技術力」「品質への拘り」は極めて強い。
Born Globalの担い手がかなり限定されている。
日本のBorn Global企業(Born Again Global企業含む)の属性
日本の特徴:
案外、Born Again Global企業路線に改善の余地があるかもしれない。
36. Born Global企業創業活性化の課題
• 非常に限定された取組み
– 創業者が特別の経験をした人(海外での経験、
ベンチャーキャピタルの経験、語学に強い、また
それらの組合せ)に限定されている傾向
• 最初から国際化を狙う意思と属性を保有して
いる人材に根差すことが多い。
• 最大の課題は人材の層を拡大すること。
• これに時間を要し過ぎる懸念もあるので、膨
大な基盤を保有する現行中小企業のBorn
Again Globalへの取組みも合わせて実施強化
が現実的 36
39. 新たなビジネス環境とBorn Global企業
• 日本の大企業は「Born Global企業」からの挑戦を受けている。
– スマホで中国シャオミや自動車でテスラ・モーターズなどから
• 「Born Global企業」が登場した頃、「世界中の企業と連携し、大企業
と対抗できる競争力を短期間で築きあげていく」企業登場は想定されな
かった。
• 最近顕著になったこの傾向の背景には、特定大企業が巨大な黒子となっ
て、無数の新興企業とwin-win関係を構築しようとの意図が働いている。
– スマホ:少数チップメーカー(MediaTekなど)がチップセットと技術
供与を提供し、それを受けて新興企業が高性能スマホを容易に開発
• 「新興企業と黒子大企業の組合せ」登場が、「Born Global企業」立上
げの敷居を低下させた。
• 今後、類似モデルが他の完成品市場でも登場する可能性がある。
• 日本の大企業が、世界を相手に黒子企業に変身するビジョンと行動力を
持てれば問題は無いが、難しいか?(浸食されるのはやむを得ない?)
• 大企業は、経営者意識、企業文化を、①国際起業家志向、②国際マー
ケティング志向に大きく転換させる必要がある。
• 日本発「Born Global企業」創業を大胆に活性化させる必要がある。39