標準カリキュラムとそのデータ表現 ICT CONNECT 21技術標準WG 連続セミナー 高瀬

1. 標準カリキュラムと
そのデータ表現
高瀬 拓史
EAST Co.,Ltd.
2018年01月17日
ICT CONNECT 21 技術標準連続セミナー

2. ★ アメリカとオーストラリアを例として、
カリキュラムの標準化とデータ表現の
取り組みを紹介します。
★ アメリカ：CCSS
★ オーストラリア：Australian Curriculum
今日お話しすること

3. ★ Common Core State Standard
各州共通基礎スタンダード
★ 2010年策定
★ 州教育長協議会、全米州知事会などが主
体
★ 各州の協力体制による取り組み
連邦政政府主導ではない
★ 教科は国語と数学のみ
★ 内容は最低基準を定めたもの
各州は15%独自の内容を盛り込める
★ 採択する州は財政面で優遇される
アメリカ：CCSS

4. ★ 2008年策定開始
2013年導入
★ アメリカと同じ連邦制だが、
策定は国が主導
★ 開発・導入・評価を行う機関ACARA
を設立
★ 教科は国語、数学、科学、人文社会
学、美術、技術、保健体育、言語の8
療育
★ 各州が制定するカリキュラムのベー
スとなる
オーストラリア：Australian Curriculum

5. ★ 連邦制により教育は各州の管轄となっていたが、カリキュラムとし
て最低限の部分を共通化、標準化しようとしている
★ カリキュラムの策定はAssesment（CBT）による測定評価の取り組
みとセットになっている
CCSSでは、CBTの予算を連邦政府が出資
Ausralian CurriculumではACARAがテストと評価プログラムを開発
★ CBTを利用できるようにカリキュラムがデータ化され公開されてい
る
共通する傾向

6. ★ Granular Identifiers and Metadata for CCSS
★ CCSSのデータ表現
★ 州教育技術ディレクター協会 SETDA が作成
★ 米国の教育データ標準 CEDS に基づき作成・
公開されている（XML）
アメリカ：GIM-CCSS

7. ★ Machine Readable Australian Curriculum
★ Australian Curriculumのデータ表現
★ 国営非営利企業 Education Service Australiaが作成
★ カリキュラム規格 Achievement Standards Network
に準拠
★ RDF/XML、JSONで公開
オーストラリア：MRAC

8. ★ GIM-CCSSとMRAC。規格は異なるが、保持する情報の構造は似通っている
★ 標準文書と学習の単位となる階層化されたアイテム から構成される
★ 標準文書もアイテムも一意のIDとURLを持つ
カリキュラムのデータ表現
アイテム
アイテム
アイテム
アイテム
アイテム
アイテム
標準文書
数学 第一学年 幾何 図形の認識と描画
アイテム
アイテム
アイテム
アイテム

9. ★ GIM-CCSSとMRAC。規格は異なるが、保持する情報の構造は似通っている
標準文書の主な項目
GIM-CCSS MRAC
識別子 Identifier URI Globally Unique Identifiers
説明 Description Description
タイトル Title Title
バージョン Version Export Version
作成者 Creator Author
公開ステータス Publication Status Publication Status
学区 Jurisdiction Jurisdiction
施行開始日 Valid Start Date Date Valid
施行終了日 Valid End Date Date Valid
教科 Subject Subject
言語
Language Language
ライセンス License License

10. ★ GIM-CCSSとMRAC。規格は異なるが、保持する情報の構造は似通っている
アイテムの主な項目
GIM-CCSS MRAC
コード Code Statement Notation
教育レベル Education Level Education Level
説明 Item Statement Description
キーワード Keyword Keyword
言語
Language Language
ライセンス License License
URL URL Globally Unique Identifiers
注記 Note Note

11. URI
コード
ノート
教科
アイテム単位でアクセスできる
★ 機械処理に適したXMLやJSONだけでなく
ブラウザでアスセスすると人間が読みやすいHTMLが返る

12. 複数のID/URIを持つ
★ 改訂があった場合でも同じアイテムだと識別したい
★ 同じアイテムでも改訂の前後で違うものとして区別したい
★ コード：人間可読のID。改訂後も不変
★ GUID：機械可読のID。改訂の度に新規発行
コード: ACMSP117
GUID：701FF11B-764B…
コード: ACMSP117
GUID：fbab8f00-6717…
コード: ACMSP117
GUID：98BEDE8D-49B5…
http://rdf.australiancurriculum.edu.au/elements/ACMSP117
http://rdf.australiancurriculum.edu.au/elements/2012/08/
fbab8f00-6717-4c0e-a463-9e4600a25355
コードを指定した場合は現時点での最新バージョンにアクセス
GUIDを指定すると過去の特定のバージョンにアクセスできる

13. カリキュラムの活用：コンテンツ
★ データ化されたカリキュラムを活用する施策も必要
★ コンテンツ：教科書・教材・テスト問題…
★ コンテンツパブリッシャー向けのガイドやツールなど
★ ESAではコンテンツのメタデータの記述方法を定めたプロ
ファイルANZ-LOMを公開
（LOMはデジタルコンテンツメタデータの国際標準規格）

14. ★ ANZ-LOM Metadata
Application Profile
★ LOMのメタデータの記述方法
をオーストラリア、ニュージ
ランドでの利用に即した形で
定めたプロファイル
★ ESAが作成・公開
★ カリキュラム、学年、学習活
動などを例を交えて解説

15. <classification>
<purpose>
<source>LOMv1.0</source>
<value>educational objective</value>
</purpose>
<taxonpath>
<source>
<string language=“eng">Australian Curriculum Framework</string>
</source>
<taxon>
<id>http://vocabulary.curriculum.edu.au/framework/M110</id>
<entry>Number and algebra</entry>
</taxon>
</taxonpath>
</classification>
ANZ-LOMに従って学習内容をメタデータに記述した例

16. カリキュラムの活用：学習履歴
★ 学習効果の測定には学習履歴データの分析が不可欠
★ 履歴データの記述方法も標準化が必要
★ 履歴データにカリキュラムをどのように記述するのか
プロファイルを定めないと、相互運用が困難になる

17. {
"@context": “http://purl.imsglobal.org/ctx/caliper/v1p1”,
"type": "GradeEvent",
“id”: ”…”, "actor": {…},"action": “Graded",
"object": {…},
“assignable”: {
"id": "…",
"type": “Assessment”,
“learningObjectives”: [
{
"id": “http://www.corestandards.org/Math/Content/2/NBT/A/2",
“type”: “LearningObjective”,
…
}
]
},
…
}
学習履歴とカリキュラムの関連付け
Caliper Event で宿題の学習目標がCCSSのどの箇所にあたるかをURIで表現した例

18. 学習履歴とカリキュラムの関連付け
{
"@context": “http://purl.imsglobal.org/ctx/caliper/v1p1”,
"type": "GradeEvent",
“id”: ”…”, "actor": {…},"action": “Graded",
"object": {…},
“assignable”: {
"id": "…",
"type": “Assessment”,
“learningObjectives”: [
{
"id": “http://www.corestandards.org/Math/Content/2/NBT/A/2",
“type”: “LearningObjective”,
…
}
]
},
…
}
Caliper Event で宿題の学習目標がCCSSのどの箇所にあたるかをURIで表現した例

19. ★ JAPET 第一プロジェクト
★ 教科書・教材会社の自主的な取り組み
★ カリキュラムを学習要素に分解して標
準化（アイテムに相当）
★ 学年や階層、順序などの情報を持たな
い集合
★ 学習指導要領の改訂に柔軟に対応
★ 標準文書に相当するものをどう補完す
るのかが課題
我が国の取り組み：学習要素リスト
学習要素
学習要素
学習要素
学習要素
学習要素
学習要素リスト

20. アメリカ オーストラリア 日本
カリキュラム CCSS Australian Curriculum 学習指導要領
カリキュラムの主導
CCSS Initiative
州の連合
ACARA
国の機関
国
データ表現 GIM-CCSS MRAC ▲学習要素リスト
データ表現の主導 SETDA 州の連合
ESA
国営企業
JAPET1プロ
民間企業の連合
早見表

21. ★ 自治の精神の強かった教育カリキュラムだが、最低限の学習内容を
標準化・共通化し、学習を測定可能にしようとする傾向が見られる
★ ICT技術を教育に十分に活用するにはカリキュラムのデータ化が必
要
★ データ化されたカリキュラムは、デジタルコンテンツ、CBT、学習
履歴などさまざまな分野で必要とされる基盤
★ 我が国ではデータ化がカリキュラム編成権のない民間の自主的な取
り組みに留まっている点にねじれがある
★ データ化をめぐって国と民間のあるべき関係を模索する必要がある
まとめ