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IIJmio meeting 24 eSIMプロファイルの取り扱いと今後の展望
- 4. ©Internet Initiative Japan Inc. 4
■はじめに
• eSIMプロファイル提供は、フルMVNOとならなければ
実現困難だった...
– とも言い切れず、プロファイルを卸してもらえば提供は可能。
例:海外データeSIM powered by GigSky
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/04/11/3715.html
– eSIMプラットフォームを間借りする方法もある。
→ 先日のSORACOM Discovery 2019で配布されたeSIMプロファイルは、
QRコードを読んだ方の記事によると、Truphoneのプラットフォームを
利用して自社プロファイルを提供していた模様。
https://japanese.engadget.com/2019/07/03/iphone-esim/
• しかしIIJとしては、自社設計プロファイルとプラット
フォーム運用事業者であることを活かして、様々な
ビジネスに取り組んでいきたい。
- 5. ©Internet Initiative Japan Inc. 5
■最近の動向
• iOSハンドセット端末(iPhone XS/XRシリーズなど)の
コンシューマー向けeSIM搭載を皮切りにして、状況が
動き始めた感がある。
– 昨年のeSIM Connect 2018でも、iOS端末がGSMA標準で実装
したことが影響大だと色々な関係者がコメントしていた。
• Windows 10でも、ver.1703から扱えるように。
– そもそもMicrosoftも、COMPUTEX TAIPEI 2017で「Always
Connected PC」という構想を発表。
– Surface Pro LTE Advanced を初めとして、eSIMを搭載した
PCが少しずつ市場に出てきている。
• Androidも、Pieから標準APIが整備されて正式対応に。
– メーカー側で独自実装したeSIM搭載端末はいくつか発売されて
いるが、Pieで正式に標準APIが整備された。
https://source.android.com/devices/tech/connect/esim-overview
- 7. ©Internet Initiative Japan Inc. 7
■iOSから見た現状のeSIM取り扱い
• iOS 12.1で正式に機能解放
– iPhone XSを初めとした、2018年9月発表のiOSハンドセット
端末は、GSMA標準準拠のeSIMを登載していたが、iOS 12.1
より、コンシューマーRSPモデルで使用できるように。
– プロファイルの導入方法は大きく2つ。
QRコードの読み取りか、事業者提供のアプリ利用。
• QRコード読み取りタイプは、既に数多くの事業者が対応。
– 登録メアドにQRコードを送信するものもあれば、自社Webサイトで
表示するものも。
• 自社アプリ提供はグローバルの接続性を提供するGigskyや
Truphoneなどが実施。一部の海外MNOでも対応中。
– 音声通話サービスを含むeSIMプロファイルの提供では、本人確認や
契約手続きが自社アプリで完結することのメリットが大きい。
【余談】
コンシューマーRSP仕様は現状、機種変更や
MNPに関する仕様が明確に規定されていない
ため、様々な事業者がGSMAに仕様提案を行い
議論・検討が進められている。
MNOのeSIM本格移行はまだまだ先の話と思わされる。
- 9. ©Internet Initiative Japan Inc. 9
■iOS 12.2でのプロファイルDLの流れ(2)
QRコード読み取りに移行するので
準備したQRコードをメインカメラに
読み取らせる
読み取りが成功するとこの画面に
遷移するので、画面下部の
「モバイル通信プランを追加」を
タップ
- 10. ©Internet Initiative Japan Inc. 10
■iOS 12.2でのプロファイルDLの流れ(3)
eSIMプロファイルが
ダウンロードされ、
アクティベートが
自動的に行われる
Appleが認定していない
事業者のプロファイルを
インストールすると、
このポップアップが
表示される。
そのまま「OK」をタップ。
- 11. ©Internet Initiative Japan Inc. 11
■iOS 12.2でのプロファイルDLの流れ(4)
ダウンロードした
eSIMプロファイルが
オンになっている。
これでダウンロード
完了。
プロファイルの項目を
タップすると、個別の
情報が表示される。
- 12. ©Internet Initiative Japan Inc. 12
■Windowsから見た現状のeSIM取り扱い
• Windows 10 ver.1703から対応。
eSIM搭載PCでないと関連メニューは出てこない。
– しかし実は、SIMスロットを持つLTE対応PCでは、eUICC対応
SIMカードを挿したらメニューが出てくるものもある。
• 展示されているVAIO PCはその一例。
• SIM挿入時にSIM-端末間でやり取りする信号(ATR)に、SIM能力を示す
バイト列があり、これで判別されている模様。
(ETSI 102.221 6.3.3 Global Interface byte)
• なお、組み込み済みチップSIMでも同じやり取りは行われている。
– プロファイルの導入方法は大きく2つ。
QRコード読み取り、もしくは「モバイル通信プラン」アプリ
からの導入。
• 「モバイル通信プラン」アプリでの導入は、ver.1803から対応。
とはいえ対応している事業者は少ない...
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4341388/windows-10-supported-mobile-
operators-mobile-plans
• QRコード読み取りについては、Windows 10 (ver.1903)での流れを
次のスライドから説明。
(Surface Pro LTE Advancedを使用)
- 16. ©Internet Initiative Japan Inc. 16
■Windows 10(1903)でのプロファイルDLの流れ(4)
ポップアップが表示されるので、
「携帯電話会社から提供されたアクティブ化コードを入力する」を
選択し「次へ」をタップ。
- 17. ©Internet Initiative Japan Inc. 17
■Windows 10(1903)でのプロファイルDLの流れ(5)
Surface Pro LTE Advancedはカメラがフロントとリアで
2つあるので、読み取りやすい方をセットして、
QRコードを読み取らせる。
- 18. ©Internet Initiative Japan Inc. 18
■Windows 10(1903)でのプロファイルDLの流れ(6)
読み取りが成功すれば、ポップアップ下部の
「アクティブ化コード」欄にQRコードの
読み取り結果であるActivation Codeが表示される。
- 19. ©Internet Initiative Japan Inc. 19
■Windows 10(1903)でのプロファイルDLの流れ(7)
続けて、DL対象のeSIMプロファイルに関する情報が
ポップアップ内に表示され、DLするかを聞いてくるので
「はい」をタップ。
- 23. ©Internet Initiative Japan Inc. 23
■Androidから見た現状のeSIM取り扱い(1)
• 現状、対応していると言えそうなのは...
– Pixel 3 / 3a (いずれもXL含む)
• 「SIM Manager」というアプリが存在する。
現状、eSIM搭載したPixelシリーズでないとPlay Storeに
出てこないが、QRコードを読み取ってプロファイルをDL
したり、使用プロファイルを選択するメニューがある。
• グローバル版Pixel 3にこのアプリをインストールすると、
IIJ eSIMプロファイルを取り扱えることは、確認済み。
※技適未通過なので検証は基地局シミュレータとシールドボックスで...
– Pixel 2 (XL含む) は、対応しているとは言いがたい...
• Pixel 2シリーズでは、Google Fiサービスでのみ、eSIMを
利用可能。「Google Fi」アプリを使用する。
https://support.google.com/fi/answer/7540641?hl=en
- 24. ©Internet Initiative Japan Inc. 24
■Androidから見た現状のeSIM取り扱い(2)
• Pixelシリーズ以外にも...
– Gemini PDAはeSIMを搭載しており、Android 7.1.1から独自
対応している。
注:初期ロット(Helio X25モデル)はeSIM非搭載
• 最新FWは Android 8.1となっており、eSIM対応済み。
• eSIM Walletという独自開発アプリでeSIMプロファイルを
取り扱える。(先述の SIM Manager は使用できない)
• IIJ eSIMプロファイルでの動作検証も実施済み。
- 26. ©Internet Initiative Japan Inc. 26
■社内でも色々と検討は進めているが...
• eSIMプラットフォームを持つことの可能性
– 「加入者管理装置としてのHSS/HLR」と「加入者を識別・認証
するSIM発行」はセット。
• SIM発行に「モノ」を必要としない eSIMプロファイル では、上記セットの
扱い方を、改めて考え直さなければならない。
• 例えば「自社設計プロファイルを手軽にダウンロードして利用できる」と
考えてみると、プライベートLTEとかローカル
5Gの方にも繋げていけるのではないか。
• 例えば、イベントスタッフのみ利用可能な臨時
プライベートLTE網のプロファイル提供とか、
閉域接続サービス連携で一時的に部外者へ特定
コンテンツのアクセス手段を提供するなど。
• 社内の既存サービス資産との連携
– 「プロファイルを発行して配布すること」が、新たにサービスの
連携ポイントとなり得る。
• 認証機能の1パーツとしてのeSIMプロファイル、という観点も。
• MVNEとしてのeSIMプロファイル提供
– eSIMの市場を広げるという意味でも重要。
- 27. ©Internet Initiative Japan Inc. 27
■検討しているが色々難しそうなアイデア(1)
• eUICC対応SIMカードを販売するつもりはないのか?
→ より高度かつ細かいサポートが必要となり、
非常に難しい。
– eUICC対応SIMカードも「モノ」としてのサポートが必要。
• モノとしての在庫管理が発生するし、そもそもプロファイルの入った
eUICCが物理破損したとき、どのようにサポートすべきか?
– OSカテゴリではなく端末個別でのサポートが必要。
• 搭載SoCがそもそもeSIM対応に必要な機能をサポートしていないとか、
同じ端末でも提供キャリアが機能自体を封印しているとか、そういった
調査・解析が求められるようになる。
– 「SIMスロットも持っているeSIM搭載端末」の現状のLPAは、
複数eUICCに渡るプロファイル管理、という状態を想定できて
いないように思われる。
• 社内検証した限り、iOS端末/Android端末では、いずれかを認識できない
もしくは両方を認識できない状態となっているように見える。
• 一方でWindows 10 (Surface Pro LTE Advanced)は、使用するスロット
選択可能、かつ各スロットでプロファイルを別々に管理可能。
- 28. ©Internet Initiative Japan Inc. 28
■検討しているが色々難しそうなアイデア(2)
• 他事業者のeSIMプロファイルは扱わないのか?
→ 技術的には可能だが、様々なハードルがあって
実現困難。
– 他事業者からIMSI(と鍵値)を調達しても、SIMパラメータの
設計は改めて必要。
• 設定パラメータ検証や実網接続試験も実施しなければならない。
– 海外事業者IMSI取り扱いは、その事業者が属する国の法制度や
番号管理ポリシーなどを配慮検討する必要がある。
• IoT端末急増などにより番号リソースの効率的利用が叫ばれる中、国外に
番号リソースが流出することを懸念する国もある(ドイツなど)
– モバイルネットワークの認証の肝である鍵値を、他の事業者に
(暗号化していても)渡すのは、当の事業者にとって難しい判断。
– そもそも自社でeSIMプラットフォーム持っていれば、自社PF
から提供すればいいだけの話。
• 自社PFを持たない海外MVNO事業者などから仕入れてくるのはアリかも。
→ そういえば、まだ自社PFを保有してなさそうな国内キャリアが...
- 30. ©Internet Initiative Japan Inc. 30
■余談:5GとeSIM
• とはいえ、SIM allianceが「Recommended 5G SIM
Card」なるものを定義している。
※3GPP Release 15時点での「Recommended」なので内容的には若干古い。
- https://simalliance.org/wp-content/uploads/2018/12/What-is-a-3GPP-R15-5G-SIM-card-20-11-2018-FINAL.pdf
– Transitional SIM / Recommended 5G SIM / Low Power
SIM の3つが定義されている。
• Transitional SIMは5Gネットワークを利用するための最低限実装のみ。
Low Power SIMはいわゆるセルラーIoT向けのサポート要件が並ぶ。
• Recommended SIMは、5G NRセルの在圏情報取得だったり、IMSIを
直接扱わないよう暗号化して扱う「SUCI」サポートなどが求められる。
• 5G NR / 5GC対応のSIM設計もいずれ必要になる。
– SIMカードだけでなく、eSIMプロファイルの再設計も必要となる想定。
(とはいえ接続先MNOから情報開示していただけないと初期検討すら...)
余談、と書いてはみたものの、
直接的な関係はなかったりする 。
- 35. ©Internet Initiative Japan Inc. 35
■まとめ:IIJとして
• eSIMプロファイル提供事業者として、モバイル通信
業界の競争環境に貢献していきたい。
• 単にeSIMプロファイルを提供するだけでなく、eSIM
搭載端末の普及の後押しも進めていきたい。
• eSIMを利用したパートナー企業様とのより深い連携も
進めていきたい。
社名の ”Initiative” を
踏まえつつ...
- 37. ©Internet Initiative Japan Inc. 37
■補記
テレコムサービス協会MVNO委員会作『しむし』は、 クリエイティブ・
コモンズ 表示 – 継承 2.1 日本 (CC BY-SA 2.1 JP) ライセンスの下に
提供されています。
https://www.telesa.or.jp/committee/mvno_new/mvno_char-html
本資料において、一部のスライドに「いらすとや」さんのフリー素材を
利用させていただいております。
https://www.irasutoya.com/
本資料で使用されている右の「バリーくん」は、
弊社内で開発中のアラート通知・エスカレーション
対応ソリューションで使われている、マスコット
キャラクターです。