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テクニカルトーク#2
プライベートLTEとパブリックLTEの
相互運用における問題とその解決
株式会社インターネットイニシアティブ
圓山 大介
©Internet Initiative Japan Inc.
はじめに
プライベートLTEはパブリックLTEと同じLTEという規格を使用
しているため、SIMを工夫することで、同じ端末でプライベート
LTEとパブリックLTEを使い分けることが可能となり、その用途
は大きく拡がります。
テクニカルトーク#2では、その方法と、付随する問題の解決方
法について解説します。
なお、本資料は、東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾
研究室との共同研究の内容を含みます。
「ソフトウェア化によるPrivate LTEの柔軟な拡張」
信学技報, vol. 119, no. 92, NS2019-42, pp. 41-46, 2019年6月.
https://www.ieice.org/ken/paper/20190621f1Nu/
2
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スピーカー紹介紹介
名前:
圓山 大介
経歴、業務内容:
2018年7月にIIJに入社。
主にフルMVNOを利用した、法人向けのサービスの開発
業務やR&D業務に従事。
半年前のIIJmio meeting 24で、eSIMについてのテク
ニカルトークを担当。
3
©Internet Initiative Japan Inc.
本日のアジェンダ
• プライベートLTE概要
• IIJの取り組み
• パブリックLTEとの相互運用
• 相互運用の問題点と改善方法
4
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プライベートLTE概要
5
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プライベートLTE概要
プライベートLTEは、パブリックLTEに採用されている規格を、
自営設備(一般の企業や団体が構築)として提供するサービス
です。
日本では、1.9GHz帯の自営用バンドで利用可能な「デジタル
コードレス電話の無線局」の内(※1) 、1899.1 MHzの5 MHz幅
(Band39に内包) を使用するsXGP®方式が利用されます。
パブリックLTEで使われているLTEと同等の4G規格であるため、
TELEC認証(※2)が必要ですが、Band39に対応した端末・モ
ジュール(※3)が利用可能です。
6
※1 デジタルコードレス電話の無線局としては、狭帯域TDMAを採用した自営PHS、広帯域TDMAを採用したDECT、TDMA/OFDMAを採用したsXGPの3種が存在。
※2 いわゆる技適。sXGPは証明規則第2条第21号の3に規定する特定無線設備(デジタルコードレス電話(TDMA/OFDMA))の技適が必要。
※3 国内向けで販売されている端末ではBand39対応を謳っていても技適がないケースがある。実際に使用する場合、以下で技適を受けてるか確認すること。
総務省電波利用ホームページ:技術基準適合証明等を受けた機器の検索: https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01
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プライベートLTEの特徴
• 規格としての特徴
• グローバル標準規格(3GPP TD-LTE)をベース(※1)
• 免許不要の自営用バンドのため基地局の設置が容易(※2)
• 個別登録不要の共通PLMN(※3)(441-90)を利用(※4)
• Wi-Fiとの比較
• セキュリティ(SIM認証、暗号化)
• 大量端末収容(効率的なスケジューリング)
• 無線通信の信頼性(無線区間の強力なエラー訂正機能)
• 安定した接続(野良APの不在)
7
※1 但し、自営PHSやDECTと周波数を共有するため、基地局の電波出力要件はグローバル標準より厳しくなっている。
端末側は、基地局で制御されるため、ほぼグローバル標準のものが利用可能。
※2 周波数の拡張が検討されており、拡張部分については免許不要なものの、登録が必要となる見込。なお、既存周波数は現行制度を維持。
※3 正確にはPLMN-ID(Public Land Mobile Network Identifierの略)と呼ばれ、モバイル事業者を識別するためのID。
※4 該当周波数はsXGPが唯一可能なLTEで、使用する基地局のPLMNは441-90でなければならない。運用する事業者が保有しているPLMNをsXGPの基地局で使うことは不可。
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プライベートLTEのユースケース
• 自営PHSのリプレース(※1)
音声だけでなく、IP通信を利用したチャット等のコラボレー
ションツールを含めたRich Communication Serviceの実現
• センサー機器等のIoTデバイスの接続(※2)
効率的な収容による大量機器の接続、SIMによるデバイス単
位での認証の実現、安定した無線接続による通信環境
etc...
8
※1 周波数的に自営PHSのリプレースとして目されており、XGPフォーラムでもPBXと接続する実証実験が進められている。
※2 帯域を要求しないケースであれば低い周波数によるカバーエリアの広さがWi-Fiに対する利点となる。
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プライベートLTEの欠点(※1)
• 周波数を共用する自営PHSの制御チャンネルと干渉するため、
自営PHSが設置された環境では利用できない(※2)
→ 公衆PHS停波後の空き周波数帯への拡張(※3)
• 設備が複雑であり、またSIMの発行が必要など、自営として
は運用の敷居が高い
→ 1 boxタイプのEPCによる設備の簡略化(※4)
• SIM認証を行う性質上、Wi-Fiのようなフリーアクセスポイン
トの設置が不可能なため、自営エリア以外では使えない(※5)
→ パブリックLTEとの併用
9
※1 その他、Wi-Fiと比較すると、圧倒的に容量が少ない(下り:12Mbps、上り3Mbps程度)。容量不足解消のため、周波数の拡大が検討されている。
※2 LBT(Listen Before Talk)という機能で、電波が吹かれていないことを確認することが要求されている。
※3 https://www.soumu.go.jp/main_content/000628397.pdf
※4 商用製品以外だとOpen Air Interfaceが公開しているオープンソースの設備も存在する。
※5 自身の加入者認証装置と他者の設備を繋ぐ必要があるため。
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IIJの取り組み
10
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フルMVNOに関して
IIJは2018年3月に国内初の商用フルMVNOサービスを開始しま
した。これにより、独自のSIMを発行可能となり、接続認証も自
社で行えるようになりました。
フルMVNOとして、様々な形状(チップSIM、ソフトSIM、
eSIM、etc...)のSIMの提供や、SIMライフサイクルのコント
ロール(アクティブ・サスペンド、etc...)等、ライトMVNOで
は難しい製品、サービスを提供しています。
上記のようなフルMVNOならではのサービスの1つとして、プラ
イベートLTEを利用した独自サービスの提供を模索しています。
11
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プライベートLTEに関するIIJの取り組み
• 東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾研究室との共同
研究
• 「国内初!東京大学とIIJ、パブリックLTEとプライベート
LTEの統合連携に関する実証実験を開始」
https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2019/0605.html
• NICT公募事業
• 「プライベートLTE(4G)の無線技術開発実証のためのテス
トベッド供用事業」
https://www.nict.go.jp/press/2019/04/12-1.html
12
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東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾研究室との共同研究
プレスリリース 2019年6月5日
「国内初!東京大学とIIJ、パブリックLTEとプライベートLTEの統合連携に関する実証実験を開始」
https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2019/0605.html
13
• プライベートLTE網の限定的なカバレッジの問
題に対して、パブリックLTEと統合することで
解決を図る
• SIMを入れ替えずに、プライベートLTE網、パ
ブリックLTE、両者に在圏できることを目標と
する
詳細については、本スライドで後述で説明します。
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NICT公募事業
プレスリリース 2019年4月12日
「IoTテストベッド事業及び地域データセンター事業に係る助成金の交付決定(第4回)」
https://www.nict.go.jp/press/2019/04/12-1.html
14
• プライベートLTEの利用を検討して
いる企業様向けに、試験導入をサ
ポートする事業
• IIJからは、基地局、コア設備の利
用環境を貸与し、各企業様は、同
環境を利用して、デバイスやその
用途の検証を実施
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プライベートLTEと
パブリックLTEの相互運用
15
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プライベートLTE網とパブリックLTEの相互運用
プライベートLTE網A
(PLMN: 441-90)
プライベートLTE網B
(PLMN: 441-90)パブリックLTE
16
a. プライベートLTE網をホーム網とし、パブリックLTEに対してはローミングで接続
b. プライベートLTE網のカバーエリアから出ると、一度、圏外に落ちた後に、ネットワークサーチ
を行い、パブリックLTEに在圏
c. パブリックLTEに在圏時は、定期的にネットワークサーチを行い、プライベートLTE網を発見した
場合は、パブリックLTEとの接続を切断し、プライベートLTE網に在圏
a. b. c.
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相互運用により得られる効果
• パブリックLTEを利用することで、狭いプライベートLTE網の
カバレッジを補完
• 主に在圏する自営サイトでプライベートLTE網を利用すること
で、パブリックLTEのパケット使用量を削減
17
©Internet Initiative Japan Inc.
PoCにおけるネットワーク構成
eNB
(sXGP)UE
新設NW
東京大学
MME
SGW
PGW
FLARE
The
Internet
S6a
SGi
VPN Tunnel
VPN Router VPN Router
SGi
SGi
S5
S11
S1-AP
S1-U
S6a
S6a
SGi
DEA HSS
MME
SGW PGW
IIJ フルMVNO
パブリックLTE
eNB
(LTE)
S8
S6a
S6a
18
※1 中尾教授のところで研究しているネットワーク装置。プライベートLTEの本筋とは関係ないが、研究室ではMECに向けた研究も行っており、その一環として配置。
従来のLTEだと、MECのような研究はオペレータの協力を得る必要があるが、プライベートLTEであれば、研究室内で閉じた環境を作成することが可能。
また、パブリックLTEは、IIJのPGWから直接インターネットに抜けるところを、この装置を通すために中尾研究室まで戻している。
(※1)
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相互運用における課題と解決方法
19
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PoCにより見えてきた課題点
1. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点
• プライベートLTE網に在圏できなくなる
• パブリックLTEを含めて在圏できなくなる
2. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点
• プライベートLTE網に在圏するのに時間がかかる
20
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1. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点
• 日本のプライベートLTEでは全てのサイトで共通の
PLMN:44190を利用するため、以下の問題が起こりえる。
• サイト間でのIMSI(※1)の重複(※2)による鍵値の不一致
• IMSIが重複しない場合でも未登録IMSIとして接続拒否
• PLMN:44190以外のIMSIに対するローミング拒否
• 位置登録時にネットワークから返されるEMM cause値(※3)
毎に端末の動作が定義されているが、他者のプライベートLTE
網へ位置登録時に返されるEMM cause値によっては、端末が
自動で接続を試みなくなる(※4)(次スライドに掲載)。
21
※1 International Mobile Subscriber Identifierの略で、加入者を識別するための全世界でユニークとなるID。
※2 IMSIの先頭部分は所属する事業者のPLMNとなり、全ての事業者同一のPLMNを使うsXGPでは適切に管理しないと重複してしまう。
※2 ネットワーク側で何らかの異常が発生した場合に端末に通知するために返す値。
※3 再送しても救済されないケースの場合、輻輳を回避するため、端末がそれ以上接続を試みなくなる。
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EMM cause値毎に想定される端末挙動
EMM cause値 概要 端末挙動
SIM区分
自営 公衆
EPS services and non-EPS
services not allowed (#8)
他者プライベートLTE網のHSSに
IMSIが登録されていない場合
位置登録:停止(要再起動)
FPLMN:書き込まない
x X
PLMN Not Allowed (#11) 当該PLMNへの在圏が許容されて
いない場合
位置登録:別PLMN
FPLMN:書き込む(在圏不可)
x
Tracking Area not allowed
(#12)
当該TAIへの在圏が許容されてい
ない場合
位置登録:他TAI
※当該TAIへは一定期間停止
FPLMN:書き込まない
x x
Roaming Not Allowed in this
Tracking Area (#13)
当該TAIへの在圏が許容されてい
ない場合
位置登録:他TAI
※当該TAIへは一定期間停止
FPLMN:書き込まない
x
No Suitable Cells in Tracking
Area (#15)
当該TAIへの在圏が許容されてい
ない場合
位置登録:他TAI
※当該TAIへは一定期間停止
FPLMN:書き込まない
x x
Authentication Reject
※ EMM causeではなく事象
他者プライベートLTE網のHSSに
同一IMSIが登録されている場合
位置登録:停止(要再起動)
※ AUTHENTICATION FAILUREを返す
FPLMN:書き込まない
x
• SIM区分の自営は、PLMN:44190のSIMを指す。
• SIM区分の公衆は、パブリックLTEに繋げるSIM(弊社フルMVNO SIM等)を指す。
• FPLMN: Forbidden PLMNの略。在圏禁止PLMNを意味し、SIM内にこれを保持する領域がある。
• TAI: Tracking Area Identifierの略。ページングエリア(今回のケースではサイトと同義)の識別子。
22
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他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その1
• EPS services and non-EPS services not allowed (#8)
• PLMN Not Allowed (#11)
設備の設定で本EMM cause値が返らないように設定する。
ARIB STD-T118 1.2版では、他サイトの加入者に対し、
#12(※1)、#13(※2)、#15(※1)のいずれかのEMM cause値
を返すように要求されている。
23
※1 #12、#15はサービス無しの状態に遷移するため、位置登録は他者のプライベートLTEに行っている状態を維持している。
※2 ローミング接続を拒否するエラーでもあるため、端末は他のネットワークのサーチを実行する。
このため、パブリックLTEに在圏させたい時はこのcause値が返ってくることが望ましい。
設備設計としては、加入者のPLMNが441-90の時は#12か#15、441-90以外のPLMNの場合は#13のcause値を返すべきと言える。
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EMM cause #8、#11の例
加入者A 加入者A 加入者A加入者B
加入者Aが、自身の網であるプライベートLTE網AからプライベートLTE網A’に移動する際
に、プライベートLTE網Bのエリアを経由した場合の動作
プライベートLTE網A プライベートLTE網B プライベートLTE網A’
1) 加入者AはプライベートLTE網Aで位置登録を行う。
2) プライベートLTE網Bのエリアで位置登録を行うが、プライベートLTE網Bのユーザではないため、位置登録が拒否
される。
3) プライベートLTE網Bでの位置登録失敗により、プライベートLTE網Aでも位置登録を行わなくなる。
パブリックLTEに接続なSIM、かつEMM cause #11が返る場合はパブリックLTEへの接続は可能。
24
1) 2) 3)
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他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その2
• Authentication Reject(※1)
IMSIの一元管理を行い、他サイトとのIMSI重複を回避する。
ARIB STD-T118 1.2版では、PLMN:44190のIMSIは全国陸上
無線協会から取得することが要求されている。
なお、パブリックLTEへ接続するIMSIの場合は、各事業者が適
切に管理するため、本問題は発生しない。
25
※1 この動作はネットワークが返すエラーではなく、端末側での動作結果。
LTEでは端末とネットワークが相互に認証を行うが、最初に端末がネットワークの認証を行う。
IMSIが重複する場合、ネットワーク側では正規の端末か判断できず、必ず端末側でエラーが発生してしまう。
このため、IMSIの一元管理以外に回避手段はない。
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Authentication Rejectで発生する問題
加入者A
441900000000001
KA 加入者A
加入者B
441900000000001
KB
1) プライベートLTE網Aでは正常に在圏する。
2) プライベートLTE網Bのエリアで位置登録を行うが、網側は加入者Bと同じIMSI(441900000000001)のため、
加入者Bの鍵で認証情報を返す。
加入者Aと加入者Bの鍵は異なるため(KA ≠ KB)、加入者Aの端末は網認証に失敗する。
3) 認証に失敗した結果、端末は不正なSIMと判断し、プライベーチLTE網A’に入っても位置登録も行わなくなる(端末
の再起動、もしくはSIMの抜き差しで復旧可能)。
プライベートLTE網A
(441-90)
プライベートLTE網B
(441-90)
26
加入者A
プライベートLTE網A’
(441-90)
1) 2) 3)
加入者Aが、自身の網であるプライベートLTE網AからプライベートLTE網A’に移動する際
に、同一IMSIの加入者Bが存在するプライベートLTE網Bのエリアを経由した場合の動作
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他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その3
• Tracking Area not allowed (#12)
• Roaming Not Allowed in this Tracking Area (#13)
• No Suitable Cells in Tracking Area (#15)
本EMM cause値はARIB STD-T118 1.2版で要求された動作で
あり、問題はないが、同一TAI(※1)への在圏が抑制される。
このため、上記動作と併せて、TAIを一元管理しサイト間の重複
を回避する。
ARIB STD-T118 1.2版では、電波産業会から取得することが要
求されている。(※2)
27
※1 Tracking Area Identifierの略で下りのデータ発生(電話着信、SMS着信、下りトラヒック)を端末に通知するページング信号を送信する範囲の識別子。
端末が在圏している基地局をリアルタイムで管理すると大量の信号が発生するため、設備としては複数の基地局をまとめた単位で端末の位置を管理する。
実際にデータを端末に送るタイミングで端末が接続している基地局をページング信号を送ることで特定し、下りのトラヒックを発生させている。
※2 TAIは16bitの空間しかなく、予約番号を含めても、僅か65,536個しか確保できない。想定では1利用者に対してTAIを1つ割り当てる運用となる。
将来的にはより数を確保できるCSGという識別子で管理することが検討されているが、現状、対応している端末はない。
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EMM cause #12、#13、#15で起こりえる問題
加入者A
441902000000001
KA
加入者A
441901000000001
K_A
加入者B
441902000000001
KB
1) 加入者AはプライベートLTE網Bに位置登録を行うが、自サイトではないため位置登録に失敗する。
加入者Aの端末はTAI(441-90-0001)を記録し、一定時間プライベートLTE網Bへの位置登録を抑制する。
2) 加入者Aが自サイトであるプライベートLTE網Aのカバーエリアに入るが、TAIがForbidden Tracking Areaに含まれ
るため、位置登録は行わない。
プライベートLTE網Aへの位置登録はForbidden Tracking Area Listから消えるまで(一定時間の経過、もしくは再
起動)行わない。
プライベートLTE網A
(441-90-0001)
プライベートLTE網B
(441-90-0001)
28
1)2)
加入者Aが同一TAIであるプライベートLTE網Bを経由して自身のプライベートLTE網に戻
る場合
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全ての対応を行った場合
加入者A 加入者A加入者B
プライベートLTE網A
(441-90-0001)
プライベートLTE網B
(441-90-0002)
1) 加入者AがプライベートLTE網Bに位置登録を行うが、自サイトではないので位置登録に失敗する。
加入者Aの端末はTAI(441-90-0002)を記録し、一定時間プライベートLTE網Bへの位置登録を抑制する。
2) 在圏していないので、加入者Aはネットワークサーチを行い、パブリックLTEへ位置登録を行う。
3) パブリックLTEからプライベートLTE網Aに移動すると、TAIが異なるためプライベートLTE網Aに位置登録を行い、
自サイトであるためパブリックLTEからプライベートLTE網Aに在圏移動する。
29
1) 2)
3)
各プライベートLTE網に異なるTAIがアサインされ、各加入者にもユニークなIMSIが割り
当てられている
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2. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点の解決方法
• 前提として、プライベートLTE網へ遷移できるよう、パブリッ
クLTEへの在圏がローミング接続となるようにパラメータを設
定する(※1)
→ MNOの場合、パブリックLTEが必ずホームとなるため、こ
のようなSIMを作ることが困難(※2)
• 端末はローミング接続時にホーム網をサーチする機能を具備
しており、サーチ間隔をSIMに書き込まれたパラメータ
(EFHPPLMN)で指定可能(6分単位で設定、最小値: 6分)
→ 短時間でプライベートLTE網に遷移するためには短い値を
設定することが望ましい(※3)
30
※1 ローミング接続からホームへの接続は自動で起きうるが、ホームからローミング接続は電波が切れない限り自動では発生しない。
一般的に、パブリックLTEはプライベートLTEのエリアを内包するため、プライベートLTEのエリア内でパブリックLTE網の電波が途切れることはない。
※2 IMSIの先頭部分に含まれるPLMNは各事業者に割り当てられたPLMNとして暗黙のホームとして認識される。
MNOの場合、基地局に割り当てるPLMNはIMSIのPLMNが必ず一致するため、パブリックLTEは必ずホームとなってしまう。
※3 サーチには結構電力を消費するので、バッテリーの消耗を考えると長めの間隔の方が良い。
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パブリックLTEからプライベートLTE網への自動遷移
プライベートLTE網
パブリックLTE
1) プライベートLTE網外においてパブリックLTEに在圏
2) プライベートLTE網のカバーエリア内に移動
3) プライベートLTE網の圏内だが、モビリティのためパブリックLTEへの接続を継続
4) ネットワークサーチによりプライベートLTE網の電波を検出次第、プライベートLTE網に在圏
31
1)
2)
3)
4)
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パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点(追加)
• ネットワークサーチ時は通信できなくなるため、自動的に
ホーム網をサーチするためにはLTEの接続がIDLE状態である
ことが必要
• IDLE状態には、通信がない状態で一定時間経過後、ネット
ワーク設備からの動作により遷移(※1)
• 遷移にかかる時間は事業者により異なるが(※2)、アプリの間
欠通信の間隔によってはIDLE状態に遷移不可
• なお、端末は前回在圏した網に優先して接続するため、端末
の再起動を行ってもパブリックLTEが優先される。(※3)
32
※1 これは通信を停止する以外に、端末側をどのように設計しても自主的にIDLE状態に落ちれないことを意味する。
※2 IDLEに遷移すると無線区間の接続しなおしになり、頻繁に発生すると負荷になってしまう。このため、間隔は通信事業者の運用ポリシー次第と言える。
※3 この動作はSIMのEFLRPLMNIというパラメータで変更可能。端末が対応しており、適切に設定していれば再接続時にホーム網を優先するようになる。
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自動サーチの間隔と通信の関係図
Traffic
No
Traffic
RRC CONNECTED
Traffic Traffic
No
Traffic
No Traffic
(RRC IDLE)
Traffic
No
Traffic
Traffic
RRC CONNECTED
サーチ不可 (#1) サーチ不可 (#2) サーチ可 (#3)
No Traffic
パブリックLTE(ローミング) - PLMN:440XX プライベートLTE(ホーム) - PLMN:44190
(X min)(< X min)(< X min)
サーチ間隔 サーチ間隔
サーチ & 位置登録
• ローミング中(=パブリックLTE在圏時)、端末はサーチ間隔に従って定期的にネットワークサーチを行い、ホーム
網(=プライベートLTE網)のエリアでないか確認
• ネットワークサーチのタイミングでRRCの状態がCONNECTEDの場合(#1、#2) 、そのタイミングでのネット
ワークサーチをスキップ
• ネットワークサーチのタイミングでRRCの状態がIDLEの場合(#3) 、ネットワークサーチを行い、ホーム網を検
出すればホーム網に位置登録を実施
• RRCの状態がIDLEへ遷移するためには、一定時間(= X min)、端末の通信がないことが条件
33
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パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点(追加)の解決方法
• 手動での事業者選択
確実に意図するプライベートLTE網に在圏可能な方法。
スマートフォンでみられるサーチしてから事業者を選択する実装で
は、プライベートLTE網のカバーエリアに入っている状態でないと
事業者が選択できない制限がある。
• ローミングをオフ
端末の実装に依存するが、データ接続を抑制することで、ネット
ワークサーチを行うIDLE状態に遷移しやすくする。(※1)
パブリックLTEからプライベートLTE網のカバーエリアに移動中時等
の通信を利用していないタイミングでローミングをオフにしておけ
ば、カバーエリア内で自動的にプライベートLTE網に在圏する。
34
※1 データローミングのオフでも、音声やSMSのためにローミング先に在圏するため、通常はパブリックLTEからプライベートLTEに即座に移ることはない。
端末の実装によっては、データローミングをオフにするだけで、在圏しなくなる端末も存在している。
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まとめ
• 改造したフルMVNOのSIMを利用して、プライベートLTE網と
パブリックLTEの両方に在圏できることを確認
→ プライベートLTE網の限られたカバレッジをパブリック
LTEで補うことを達成
• パブリックLTEからプライベートLTE網への移動については、
制限事項があるということを確認。
→ 2つの解決方法
最後に、プライベートLTE網は、ARIB STD-T118 1.2版の仕様
を守って運用しましょう。
35
©Internet Initiative Japan Inc.
ご清聴ありがとうございました。

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IIJmio meeting 26 プライベートLTEとパブリックLTEの相互運用における問題とその解決

  • 1. ©Internet Initiative Japan Inc. テクニカルトーク#2 プライベートLTEとパブリックLTEの 相互運用における問題とその解決 株式会社インターネットイニシアティブ 圓山 大介
  • 2. ©Internet Initiative Japan Inc. はじめに プライベートLTEはパブリックLTEと同じLTEという規格を使用 しているため、SIMを工夫することで、同じ端末でプライベート LTEとパブリックLTEを使い分けることが可能となり、その用途 は大きく拡がります。 テクニカルトーク#2では、その方法と、付随する問題の解決方 法について解説します。 なお、本資料は、東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾 研究室との共同研究の内容を含みます。 「ソフトウェア化によるPrivate LTEの柔軟な拡張」 信学技報, vol. 119, no. 92, NS2019-42, pp. 41-46, 2019年6月. https://www.ieice.org/ken/paper/20190621f1Nu/ 2
  • 3. ©Internet Initiative Japan Inc. スピーカー紹介紹介 名前: 圓山 大介 経歴、業務内容: 2018年7月にIIJに入社。 主にフルMVNOを利用した、法人向けのサービスの開発 業務やR&D業務に従事。 半年前のIIJmio meeting 24で、eSIMについてのテク ニカルトークを担当。 3
  • 4. ©Internet Initiative Japan Inc. 本日のアジェンダ • プライベートLTE概要 • IIJの取り組み • パブリックLTEとの相互運用 • 相互運用の問題点と改善方法 4
  • 5. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTE概要 5
  • 6. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTE概要 プライベートLTEは、パブリックLTEに採用されている規格を、 自営設備(一般の企業や団体が構築)として提供するサービス です。 日本では、1.9GHz帯の自営用バンドで利用可能な「デジタル コードレス電話の無線局」の内(※1) 、1899.1 MHzの5 MHz幅 (Band39に内包) を使用するsXGP®方式が利用されます。 パブリックLTEで使われているLTEと同等の4G規格であるため、 TELEC認証(※2)が必要ですが、Band39に対応した端末・モ ジュール(※3)が利用可能です。 6 ※1 デジタルコードレス電話の無線局としては、狭帯域TDMAを採用した自営PHS、広帯域TDMAを採用したDECT、TDMA/OFDMAを採用したsXGPの3種が存在。 ※2 いわゆる技適。sXGPは証明規則第2条第21号の3に規定する特定無線設備(デジタルコードレス電話(TDMA/OFDMA))の技適が必要。 ※3 国内向けで販売されている端末ではBand39対応を謳っていても技適がないケースがある。実際に使用する場合、以下で技適を受けてるか確認すること。 総務省電波利用ホームページ:技術基準適合証明等を受けた機器の検索: https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01
  • 7. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTEの特徴 • 規格としての特徴 • グローバル標準規格(3GPP TD-LTE)をベース(※1) • 免許不要の自営用バンドのため基地局の設置が容易(※2) • 個別登録不要の共通PLMN(※3)(441-90)を利用(※4) • Wi-Fiとの比較 • セキュリティ(SIM認証、暗号化) • 大量端末収容(効率的なスケジューリング) • 無線通信の信頼性(無線区間の強力なエラー訂正機能) • 安定した接続(野良APの不在) 7 ※1 但し、自営PHSやDECTと周波数を共有するため、基地局の電波出力要件はグローバル標準より厳しくなっている。 端末側は、基地局で制御されるため、ほぼグローバル標準のものが利用可能。 ※2 周波数の拡張が検討されており、拡張部分については免許不要なものの、登録が必要となる見込。なお、既存周波数は現行制度を維持。 ※3 正確にはPLMN-ID(Public Land Mobile Network Identifierの略)と呼ばれ、モバイル事業者を識別するためのID。 ※4 該当周波数はsXGPが唯一可能なLTEで、使用する基地局のPLMNは441-90でなければならない。運用する事業者が保有しているPLMNをsXGPの基地局で使うことは不可。
  • 8. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTEのユースケース • 自営PHSのリプレース(※1) 音声だけでなく、IP通信を利用したチャット等のコラボレー ションツールを含めたRich Communication Serviceの実現 • センサー機器等のIoTデバイスの接続(※2) 効率的な収容による大量機器の接続、SIMによるデバイス単 位での認証の実現、安定した無線接続による通信環境 etc... 8 ※1 周波数的に自営PHSのリプレースとして目されており、XGPフォーラムでもPBXと接続する実証実験が進められている。 ※2 帯域を要求しないケースであれば低い周波数によるカバーエリアの広さがWi-Fiに対する利点となる。
  • 9. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTEの欠点(※1) • 周波数を共用する自営PHSの制御チャンネルと干渉するため、 自営PHSが設置された環境では利用できない(※2) → 公衆PHS停波後の空き周波数帯への拡張(※3) • 設備が複雑であり、またSIMの発行が必要など、自営として は運用の敷居が高い → 1 boxタイプのEPCによる設備の簡略化(※4) • SIM認証を行う性質上、Wi-Fiのようなフリーアクセスポイン トの設置が不可能なため、自営エリア以外では使えない(※5) → パブリックLTEとの併用 9 ※1 その他、Wi-Fiと比較すると、圧倒的に容量が少ない(下り:12Mbps、上り3Mbps程度)。容量不足解消のため、周波数の拡大が検討されている。 ※2 LBT(Listen Before Talk)という機能で、電波が吹かれていないことを確認することが要求されている。 ※3 https://www.soumu.go.jp/main_content/000628397.pdf ※4 商用製品以外だとOpen Air Interfaceが公開しているオープンソースの設備も存在する。 ※5 自身の加入者認証装置と他者の設備を繋ぐ必要があるため。
  • 10. ©Internet Initiative Japan Inc. IIJの取り組み 10
  • 11. ©Internet Initiative Japan Inc. フルMVNOに関して IIJは2018年3月に国内初の商用フルMVNOサービスを開始しま した。これにより、独自のSIMを発行可能となり、接続認証も自 社で行えるようになりました。 フルMVNOとして、様々な形状(チップSIM、ソフトSIM、 eSIM、etc...)のSIMの提供や、SIMライフサイクルのコント ロール(アクティブ・サスペンド、etc...)等、ライトMVNOで は難しい製品、サービスを提供しています。 上記のようなフルMVNOならではのサービスの1つとして、プラ イベートLTEを利用した独自サービスの提供を模索しています。 11
  • 12. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTEに関するIIJの取り組み • 東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾研究室との共同 研究 • 「国内初!東京大学とIIJ、パブリックLTEとプライベート LTEの統合連携に関する実証実験を開始」 https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2019/0605.html • NICT公募事業 • 「プライベートLTE(4G)の無線技術開発実証のためのテス トベッド供用事業」 https://www.nict.go.jp/press/2019/04/12-1.html 12
  • 13. ©Internet Initiative Japan Inc. 東京大学大学院情報学環・学際情報学府 中尾研究室との共同研究 プレスリリース 2019年6月5日 「国内初!東京大学とIIJ、パブリックLTEとプライベートLTEの統合連携に関する実証実験を開始」 https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2019/0605.html 13 • プライベートLTE網の限定的なカバレッジの問 題に対して、パブリックLTEと統合することで 解決を図る • SIMを入れ替えずに、プライベートLTE網、パ ブリックLTE、両者に在圏できることを目標と する 詳細については、本スライドで後述で説明します。
  • 14. ©Internet Initiative Japan Inc. NICT公募事業 プレスリリース 2019年4月12日 「IoTテストベッド事業及び地域データセンター事業に係る助成金の交付決定(第4回)」 https://www.nict.go.jp/press/2019/04/12-1.html 14 • プライベートLTEの利用を検討して いる企業様向けに、試験導入をサ ポートする事業 • IIJからは、基地局、コア設備の利 用環境を貸与し、各企業様は、同 環境を利用して、デバイスやその 用途の検証を実施
  • 15. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTEと パブリックLTEの相互運用 15
  • 16. ©Internet Initiative Japan Inc. プライベートLTE網とパブリックLTEの相互運用 プライベートLTE網A (PLMN: 441-90) プライベートLTE網B (PLMN: 441-90)パブリックLTE 16 a. プライベートLTE網をホーム網とし、パブリックLTEに対してはローミングで接続 b. プライベートLTE網のカバーエリアから出ると、一度、圏外に落ちた後に、ネットワークサーチ を行い、パブリックLTEに在圏 c. パブリックLTEに在圏時は、定期的にネットワークサーチを行い、プライベートLTE網を発見した 場合は、パブリックLTEとの接続を切断し、プライベートLTE網に在圏 a. b. c.
  • 17. ©Internet Initiative Japan Inc. 相互運用により得られる効果 • パブリックLTEを利用することで、狭いプライベートLTE網の カバレッジを補完 • 主に在圏する自営サイトでプライベートLTE網を利用すること で、パブリックLTEのパケット使用量を削減 17
  • 18. ©Internet Initiative Japan Inc. PoCにおけるネットワーク構成 eNB (sXGP)UE 新設NW 東京大学 MME SGW PGW FLARE The Internet S6a SGi VPN Tunnel VPN Router VPN Router SGi SGi S5 S11 S1-AP S1-U S6a S6a SGi DEA HSS MME SGW PGW IIJ フルMVNO パブリックLTE eNB (LTE) S8 S6a S6a 18 ※1 中尾教授のところで研究しているネットワーク装置。プライベートLTEの本筋とは関係ないが、研究室ではMECに向けた研究も行っており、その一環として配置。 従来のLTEだと、MECのような研究はオペレータの協力を得る必要があるが、プライベートLTEであれば、研究室内で閉じた環境を作成することが可能。 また、パブリックLTEは、IIJのPGWから直接インターネットに抜けるところを、この装置を通すために中尾研究室まで戻している。 (※1)
  • 19. ©Internet Initiative Japan Inc. 相互運用における課題と解決方法 19
  • 20. ©Internet Initiative Japan Inc. PoCにより見えてきた課題点 1. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点 • プライベートLTE網に在圏できなくなる • パブリックLTEを含めて在圏できなくなる 2. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点 • プライベートLTE網に在圏するのに時間がかかる 20
  • 21. ©Internet Initiative Japan Inc. 1. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点 • 日本のプライベートLTEでは全てのサイトで共通の PLMN:44190を利用するため、以下の問題が起こりえる。 • サイト間でのIMSI(※1)の重複(※2)による鍵値の不一致 • IMSIが重複しない場合でも未登録IMSIとして接続拒否 • PLMN:44190以外のIMSIに対するローミング拒否 • 位置登録時にネットワークから返されるEMM cause値(※3) 毎に端末の動作が定義されているが、他者のプライベートLTE 網へ位置登録時に返されるEMM cause値によっては、端末が 自動で接続を試みなくなる(※4)(次スライドに掲載)。 21 ※1 International Mobile Subscriber Identifierの略で、加入者を識別するための全世界でユニークとなるID。 ※2 IMSIの先頭部分は所属する事業者のPLMNとなり、全ての事業者同一のPLMNを使うsXGPでは適切に管理しないと重複してしまう。 ※2 ネットワーク側で何らかの異常が発生した場合に端末に通知するために返す値。 ※3 再送しても救済されないケースの場合、輻輳を回避するため、端末がそれ以上接続を試みなくなる。
  • 22. ©Internet Initiative Japan Inc. EMM cause値毎に想定される端末挙動 EMM cause値 概要 端末挙動 SIM区分 自営 公衆 EPS services and non-EPS services not allowed (#8) 他者プライベートLTE網のHSSに IMSIが登録されていない場合 位置登録:停止(要再起動) FPLMN:書き込まない x X PLMN Not Allowed (#11) 当該PLMNへの在圏が許容されて いない場合 位置登録:別PLMN FPLMN:書き込む(在圏不可) x Tracking Area not allowed (#12) 当該TAIへの在圏が許容されてい ない場合 位置登録:他TAI ※当該TAIへは一定期間停止 FPLMN:書き込まない x x Roaming Not Allowed in this Tracking Area (#13) 当該TAIへの在圏が許容されてい ない場合 位置登録:他TAI ※当該TAIへは一定期間停止 FPLMN:書き込まない x No Suitable Cells in Tracking Area (#15) 当該TAIへの在圏が許容されてい ない場合 位置登録:他TAI ※当該TAIへは一定期間停止 FPLMN:書き込まない x x Authentication Reject ※ EMM causeではなく事象 他者プライベートLTE網のHSSに 同一IMSIが登録されている場合 位置登録:停止(要再起動) ※ AUTHENTICATION FAILUREを返す FPLMN:書き込まない x • SIM区分の自営は、PLMN:44190のSIMを指す。 • SIM区分の公衆は、パブリックLTEに繋げるSIM(弊社フルMVNO SIM等)を指す。 • FPLMN: Forbidden PLMNの略。在圏禁止PLMNを意味し、SIM内にこれを保持する領域がある。 • TAI: Tracking Area Identifierの略。ページングエリア(今回のケースではサイトと同義)の識別子。 22
  • 23. ©Internet Initiative Japan Inc. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その1 • EPS services and non-EPS services not allowed (#8) • PLMN Not Allowed (#11) 設備の設定で本EMM cause値が返らないように設定する。 ARIB STD-T118 1.2版では、他サイトの加入者に対し、 #12(※1)、#13(※2)、#15(※1)のいずれかのEMM cause値 を返すように要求されている。 23 ※1 #12、#15はサービス無しの状態に遷移するため、位置登録は他者のプライベートLTEに行っている状態を維持している。 ※2 ローミング接続を拒否するエラーでもあるため、端末は他のネットワークのサーチを実行する。 このため、パブリックLTEに在圏させたい時はこのcause値が返ってくることが望ましい。 設備設計としては、加入者のPLMNが441-90の時は#12か#15、441-90以外のPLMNの場合は#13のcause値を返すべきと言える。
  • 24. ©Internet Initiative Japan Inc. EMM cause #8、#11の例 加入者A 加入者A 加入者A加入者B 加入者Aが、自身の網であるプライベートLTE網AからプライベートLTE網A’に移動する際 に、プライベートLTE網Bのエリアを経由した場合の動作 プライベートLTE網A プライベートLTE網B プライベートLTE網A’ 1) 加入者AはプライベートLTE網Aで位置登録を行う。 2) プライベートLTE網Bのエリアで位置登録を行うが、プライベートLTE網Bのユーザではないため、位置登録が拒否 される。 3) プライベートLTE網Bでの位置登録失敗により、プライベートLTE網Aでも位置登録を行わなくなる。 パブリックLTEに接続なSIM、かつEMM cause #11が返る場合はパブリックLTEへの接続は可能。 24 1) 2) 3)
  • 25. ©Internet Initiative Japan Inc. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その2 • Authentication Reject(※1) IMSIの一元管理を行い、他サイトとのIMSI重複を回避する。 ARIB STD-T118 1.2版では、PLMN:44190のIMSIは全国陸上 無線協会から取得することが要求されている。 なお、パブリックLTEへ接続するIMSIの場合は、各事業者が適 切に管理するため、本問題は発生しない。 25 ※1 この動作はネットワークが返すエラーではなく、端末側での動作結果。 LTEでは端末とネットワークが相互に認証を行うが、最初に端末がネットワークの認証を行う。 IMSIが重複する場合、ネットワーク側では正規の端末か判断できず、必ず端末側でエラーが発生してしまう。 このため、IMSIの一元管理以外に回避手段はない。
  • 26. ©Internet Initiative Japan Inc. Authentication Rejectで発生する問題 加入者A 441900000000001 KA 加入者A 加入者B 441900000000001 KB 1) プライベートLTE網Aでは正常に在圏する。 2) プライベートLTE網Bのエリアで位置登録を行うが、網側は加入者Bと同じIMSI(441900000000001)のため、 加入者Bの鍵で認証情報を返す。 加入者Aと加入者Bの鍵は異なるため(KA ≠ KB)、加入者Aの端末は網認証に失敗する。 3) 認証に失敗した結果、端末は不正なSIMと判断し、プライベーチLTE網A’に入っても位置登録も行わなくなる(端末 の再起動、もしくはSIMの抜き差しで復旧可能)。 プライベートLTE網A (441-90) プライベートLTE網B (441-90) 26 加入者A プライベートLTE網A’ (441-90) 1) 2) 3) 加入者Aが、自身の網であるプライベートLTE網AからプライベートLTE網A’に移動する際 に、同一IMSIの加入者Bが存在するプライベートLTE網Bのエリアを経由した場合の動作
  • 27. ©Internet Initiative Japan Inc. 他者のプライベートLTE網に入った場合の問題点の解決方法 その3 • Tracking Area not allowed (#12) • Roaming Not Allowed in this Tracking Area (#13) • No Suitable Cells in Tracking Area (#15) 本EMM cause値はARIB STD-T118 1.2版で要求された動作で あり、問題はないが、同一TAI(※1)への在圏が抑制される。 このため、上記動作と併せて、TAIを一元管理しサイト間の重複 を回避する。 ARIB STD-T118 1.2版では、電波産業会から取得することが要 求されている。(※2) 27 ※1 Tracking Area Identifierの略で下りのデータ発生(電話着信、SMS着信、下りトラヒック)を端末に通知するページング信号を送信する範囲の識別子。 端末が在圏している基地局をリアルタイムで管理すると大量の信号が発生するため、設備としては複数の基地局をまとめた単位で端末の位置を管理する。 実際にデータを端末に送るタイミングで端末が接続している基地局をページング信号を送ることで特定し、下りのトラヒックを発生させている。 ※2 TAIは16bitの空間しかなく、予約番号を含めても、僅か65,536個しか確保できない。想定では1利用者に対してTAIを1つ割り当てる運用となる。 将来的にはより数を確保できるCSGという識別子で管理することが検討されているが、現状、対応している端末はない。
  • 28. ©Internet Initiative Japan Inc. EMM cause #12、#13、#15で起こりえる問題 加入者A 441902000000001 KA 加入者A 441901000000001 K_A 加入者B 441902000000001 KB 1) 加入者AはプライベートLTE網Bに位置登録を行うが、自サイトではないため位置登録に失敗する。 加入者Aの端末はTAI(441-90-0001)を記録し、一定時間プライベートLTE網Bへの位置登録を抑制する。 2) 加入者Aが自サイトであるプライベートLTE網Aのカバーエリアに入るが、TAIがForbidden Tracking Areaに含まれ るため、位置登録は行わない。 プライベートLTE網Aへの位置登録はForbidden Tracking Area Listから消えるまで(一定時間の経過、もしくは再 起動)行わない。 プライベートLTE網A (441-90-0001) プライベートLTE網B (441-90-0001) 28 1)2) 加入者Aが同一TAIであるプライベートLTE網Bを経由して自身のプライベートLTE網に戻 る場合
  • 29. ©Internet Initiative Japan Inc. 全ての対応を行った場合 加入者A 加入者A加入者B プライベートLTE網A (441-90-0001) プライベートLTE網B (441-90-0002) 1) 加入者AがプライベートLTE網Bに位置登録を行うが、自サイトではないので位置登録に失敗する。 加入者Aの端末はTAI(441-90-0002)を記録し、一定時間プライベートLTE網Bへの位置登録を抑制する。 2) 在圏していないので、加入者Aはネットワークサーチを行い、パブリックLTEへ位置登録を行う。 3) パブリックLTEからプライベートLTE網Aに移動すると、TAIが異なるためプライベートLTE網Aに位置登録を行い、 自サイトであるためパブリックLTEからプライベートLTE網Aに在圏移動する。 29 1) 2) 3) 各プライベートLTE網に異なるTAIがアサインされ、各加入者にもユニークなIMSIが割り 当てられている
  • 30. ©Internet Initiative Japan Inc. 2. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点の解決方法 • 前提として、プライベートLTE網へ遷移できるよう、パブリッ クLTEへの在圏がローミング接続となるようにパラメータを設 定する(※1) → MNOの場合、パブリックLTEが必ずホームとなるため、こ のようなSIMを作ることが困難(※2) • 端末はローミング接続時にホーム網をサーチする機能を具備 しており、サーチ間隔をSIMに書き込まれたパラメータ (EFHPPLMN)で指定可能(6分単位で設定、最小値: 6分) → 短時間でプライベートLTE網に遷移するためには短い値を 設定することが望ましい(※3) 30 ※1 ローミング接続からホームへの接続は自動で起きうるが、ホームからローミング接続は電波が切れない限り自動では発生しない。 一般的に、パブリックLTEはプライベートLTEのエリアを内包するため、プライベートLTEのエリア内でパブリックLTE網の電波が途切れることはない。 ※2 IMSIの先頭部分に含まれるPLMNは各事業者に割り当てられたPLMNとして暗黙のホームとして認識される。 MNOの場合、基地局に割り当てるPLMNはIMSIのPLMNが必ず一致するため、パブリックLTEは必ずホームとなってしまう。 ※3 サーチには結構電力を消費するので、バッテリーの消耗を考えると長めの間隔の方が良い。
  • 31. ©Internet Initiative Japan Inc. パブリックLTEからプライベートLTE網への自動遷移 プライベートLTE網 パブリックLTE 1) プライベートLTE網外においてパブリックLTEに在圏 2) プライベートLTE網のカバーエリア内に移動 3) プライベートLTE網の圏内だが、モビリティのためパブリックLTEへの接続を継続 4) ネットワークサーチによりプライベートLTE網の電波を検出次第、プライベートLTE網に在圏 31 1) 2) 3) 4)
  • 32. ©Internet Initiative Japan Inc. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点(追加) • ネットワークサーチ時は通信できなくなるため、自動的に ホーム網をサーチするためにはLTEの接続がIDLE状態である ことが必要 • IDLE状態には、通信がない状態で一定時間経過後、ネット ワーク設備からの動作により遷移(※1) • 遷移にかかる時間は事業者により異なるが(※2)、アプリの間 欠通信の間隔によってはIDLE状態に遷移不可 • なお、端末は前回在圏した網に優先して接続するため、端末 の再起動を行ってもパブリックLTEが優先される。(※3) 32 ※1 これは通信を停止する以外に、端末側をどのように設計しても自主的にIDLE状態に落ちれないことを意味する。 ※2 IDLEに遷移すると無線区間の接続しなおしになり、頻繁に発生すると負荷になってしまう。このため、間隔は通信事業者の運用ポリシー次第と言える。 ※3 この動作はSIMのEFLRPLMNIというパラメータで変更可能。端末が対応しており、適切に設定していれば再接続時にホーム網を優先するようになる。
  • 33. ©Internet Initiative Japan Inc. 自動サーチの間隔と通信の関係図 Traffic No Traffic RRC CONNECTED Traffic Traffic No Traffic No Traffic (RRC IDLE) Traffic No Traffic Traffic RRC CONNECTED サーチ不可 (#1) サーチ不可 (#2) サーチ可 (#3) No Traffic パブリックLTE(ローミング) - PLMN:440XX プライベートLTE(ホーム) - PLMN:44190 (X min)(< X min)(< X min) サーチ間隔 サーチ間隔 サーチ & 位置登録 • ローミング中(=パブリックLTE在圏時)、端末はサーチ間隔に従って定期的にネットワークサーチを行い、ホーム 網(=プライベートLTE網)のエリアでないか確認 • ネットワークサーチのタイミングでRRCの状態がCONNECTEDの場合(#1、#2) 、そのタイミングでのネット ワークサーチをスキップ • ネットワークサーチのタイミングでRRCの状態がIDLEの場合(#3) 、ネットワークサーチを行い、ホーム網を検 出すればホーム網に位置登録を実施 • RRCの状態がIDLEへ遷移するためには、一定時間(= X min)、端末の通信がないことが条件 33
  • 34. ©Internet Initiative Japan Inc. パブリックLTEからプライベートLTE網への移動時の問題点(追加)の解決方法 • 手動での事業者選択 確実に意図するプライベートLTE網に在圏可能な方法。 スマートフォンでみられるサーチしてから事業者を選択する実装で は、プライベートLTE網のカバーエリアに入っている状態でないと 事業者が選択できない制限がある。 • ローミングをオフ 端末の実装に依存するが、データ接続を抑制することで、ネット ワークサーチを行うIDLE状態に遷移しやすくする。(※1) パブリックLTEからプライベートLTE網のカバーエリアに移動中時等 の通信を利用していないタイミングでローミングをオフにしておけ ば、カバーエリア内で自動的にプライベートLTE網に在圏する。 34 ※1 データローミングのオフでも、音声やSMSのためにローミング先に在圏するため、通常はパブリックLTEからプライベートLTEに即座に移ることはない。 端末の実装によっては、データローミングをオフにするだけで、在圏しなくなる端末も存在している。
  • 35. ©Internet Initiative Japan Inc. まとめ • 改造したフルMVNOのSIMを利用して、プライベートLTE網と パブリックLTEの両方に在圏できることを確認 → プライベートLTE網の限られたカバレッジをパブリック LTEで補うことを達成 • パブリックLTEからプライベートLTE網への移動については、 制限事項があるということを確認。 → 2つの解決方法 最後に、プライベートLTE網は、ARIB STD-T118 1.2版の仕様 を守って運用しましょう。 35
  • 36. ©Internet Initiative Japan Inc. ご清聴ありがとうございました。