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2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
1
p iv	
  A Key Message
質問づくりこそが民主的な市民社会をつくり出すのに欠かせないスキルである
p ix	
  吉田新一郎氏	
  連絡先	
  pro.workshop@gmail.com
p41	
  表1−1	
  質問づくりの7つの段階(段階1〜7)と教師と生徒の役割
①質問の焦点。②質問づくりのルール。③質問をつくる(発散思考の段階)。④質問を
改善する(収束思考の段階1)。⑤質問に優先順位をつける(収束思考の段階2)。⑥
次のステップ。⑦振り返り。(詳細はテキスト参照)
p50-51	
  表1−2	
  正問研究所の質問づくりの方法(詳細はテキスト参照)
備考:正問研究所	
  The Right Question Institute – A Catalyst for Microdemocracy
www.rightquestion.org
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
2
p57	
  段階1「質問の焦点」の要点
生徒たちが質問をつくり出すための引き金。生徒たちがそれをきっかけに考えて質問
をつくり出せるのであれば、短い文章、あるいは写真や短い動画や表・図などの視聴
覚教材など何でもかまわない。質問の焦点は、生徒たちの思考を喚起するために、
従来から使っていた教師からの発問の反対側に位置づけられるものである。
p58-59	
  段階1「質問の焦点」の要件
①明確な焦点を持っている。②質問ではない。③刺激によって新しい思考を誘発する。
④教師の好みや偏見は表さない。
p68-69	
  表2−1	
  質問の焦点づくりの5段階
①目的を明らかにする。②可能なかぎりのアイデアを出す。③それぞれの良い点と悪
い点を出す。④4つの基準に照らし合わせて、ベストと思う質問の焦点を選ぶ。⑤生
徒たちが考える質問を想像する。(詳細はテキスト参照)
p77-78	
  段階1 質問の焦点を考える	
  問題点と対処法
(詳細はテキスト参照)
p79	
  段階1	
  質問の焦点づくり	
  重要なポイント
・	
 よい質問の焦点のつくり方は、効果的な発問のつくり方に似ている。
・	
 質問の焦点は、生徒たちが質問を作りやすくなるように設定する。
・	
 質問の焦点は、教師が設定する目的と、ユニットや授業のどこで質問づくりを使う
かという判断に大きく左右される。
・	
 よい質問の焦点をつくるためには、できるだけたくさんの候補を挙げて検討したほ
うがよい。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
3
p82	
  段階2	
  質問づくりのルール
①できるだけたくさんの質問をする。②質問について話し合ったり、評価したり、答え
たりしない。③質問は発言のとおりに書き出す。④意見や主張は疑問文に直す。
p83	
  表3−1	
  質問づくりのルールを使うことで現れる成果
①質問する許可を与える。②安心・安全な場が提供される。③皆同じレベルで、すべ
ての質問と声が尊重される。④主張するのではなく、質問すること。そのための表現
が大切にされる。(①〜④は上記のルール番号に対応する)
p93-97	
  段階2	
  質問づくりのルールを紹介して話し合う3つのステップ
①ルールを提示する。②ルールについて話し合いをさせる・求められていることを確
認する・感想を教室全体で共有する。③質問の焦点の必要性を説明する。④ルール
の振り返りをさせる・感想を教室全体で共有する。
p94	
  表3−2	
  ルールについて話し合いをする際の教師と生徒の役割
教師:ルールを紹介する。ルールを守る難しさについて話し合いを進行する。
生徒:ルールに従う際の難しさを考えて発表する。
p101-103	
  段階2	
  質問づくりのルールを紹介する	
  問題点と対処法
①生徒たちがルールに従う難しさをまったく見いだせない。②ルールに従うことの難し
さの大事なポイントを見逃してしまった。③ルールについて意見の一致が見られない。
(対処法はテキスト参照)
p103	
  段階2	
  質問づくりのルールを紹介する	
  重要なポイント
・	
 この段階にかける時間は5〜7分と短い。
・	
 生徒たちは、小グループかクラス全体で話し合う。
・	
 全体の流れの中で、この部分は大事なので省かない。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
4
p108-109	
  段階3	
  生徒たちが質問をつくる	
  4つの手順
①クラスを3〜5人のグループに分ける。②質問の焦点を提示する。質問づくりをはじ
めるように指示する。④質問づくりをする生徒たちを見守る。(詳細はテキスト参照)
p108	
  表4−1	
  生徒たちが質問をつくるときの教師と生徒の役割
教師:質問の焦点を提示する。小グループで質問づくりをしている生徒たちを観察し、
ルールを思い出させる。残り時間を知らせる。
生徒:記録係を決める(記録係も質問を出す)。質問づくりのルールを守りながら、で
きるだけたくさんの質問を出す。質問係は、質問に番号を振りながら言われたとおり
に書き出す。記録係以外の生徒も発言どおりに記録することを助ける。
p128-131	
  段階3	
  質問づくり	
  問題点と対処法
ルール1:なかなか質問が出てこない、生徒たちが例を出しほしいとせがむ、グルー
プ間でのペースが大きく違う、参加していない生徒がいる、一人がすべての質問を出
している。ルール2:生徒たちが答えてしまっている。ルール3:記録係が苦労している。
ルール4:質問づくりから離れて話し合いをはじめてしまう、何をしていいのかわから
ない、質問の焦点が機能していない。(対処法はテキスト参照)
p132	
  段階3	
  生徒たちが質問をつくる	
  重要なポイント
質問づくりのルールは、生徒たちに自らが質問をつくり出すための枠組みを提供しま
す。そのなかにおける教師の役割は、以下の二つです。
・	
 質問づくりのルールを生徒たちがうまく使いこなせるようにサポートする。
・	
 グループ活動の間、ルールを守ることを繰り返し生徒たちに伝える。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
5
p134-136	
  段階4	
  質問を書き換える	
  要点
この段階では、自分たちがつくり出した質問を見直して、そこからどんな情報が得られ
るかを分析します。質問の答えを導き出すために極めて効果的な方法である「閉じた
質問」と「開いた質問」の違いについて考え、相互に書き換えることを学びます。質問
のタイプと表現方法によって、どのような情報が得られるのかを左右するという、重要
な知恵を生徒たちが本当に理解する時が大きな転換点となります。
p136-138	
  「閉じた質問」と「開いた質問」を紹介する	
  4つのステップ
①閉じた質問と開いた質問の定義を紹介する。②生徒たちは自分たちがつくり出した
質問リストを見て、閉じた質問に△を、開いた質問には○をつける(2〜3分間)。③閉
じた質問と開いた質問の長所と短所について話し合う。④1〜2つの質問を他の質問
に書き換える(〜3分間)。(全体で1回目は10分間、2回目以降は5分間程度)
p139	
  表5−2	
  閉じた質問と開いた質問の長所と短所
p151-152	
  段階4	
  質問を書き換える:次のステップへの3つの選択肢
①分類を質問の目的に関連づける。②質問の優先順位の段階へ行く。③どのような
質問がどのような場面で適切かのリストをつくる。(詳細はテキスト参照)
p152-154	
  段階4	
  質問を書き換える:問題点と対処法
①質問を分類する時に合意できない。②質問を書き換える際、新しく考えた質問が前
とは関係なくなってしまう。(対処法はテキスト参照)
p155	
  段階4	
  質問を書き換える	
  重要なポイント
・	
 閉じた質問と開いた質問には、それぞれ長所と短所がある。
・	
 質問づくりが導入される最初のときは、閉じた質問と開いた質問について十分話
し合う必要がある。そのあとは、どの点を強調して扱うかを判断する。たとえば、
長所と短所を毎回扱う必要はない。閉じた質問と開いた質問を分類したら、そこで
やめてもいいかもしれない。または、それぞれの例となる質問を出してもらい、そ
れらをもう一方の質問に変換してもらってもよい。
・	
 生徒たちは質問づくりのこの段階を、発見があり、新しい知識が得られる楽しい作
業だととらえることが多い。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
6
p158-160	
  段階5	
  質問に優先順位をつける	
  要点
優先順位をつけるというスキルは、学校教育のなかで身につけられるスキルのなか
でもっとも重要なものの一つです(しかしほとんど見過ごされている)。・・・優先順位を
つける行為、つまり適切に重要なものを選び出すという力は、比較、分類、分析、評
価、統合などを含めた多様なスキルを駆使する極めて知的な行為と言えます。・・・質
問づくりにおけるこの段階は、彼らに優先順位をつけるという行為とスキルの両方を
練習するチャンスを提供する・・
p161-162	
  段階5	
  質問に優先順位をつける際の流れ:概観
①教師が事前に準備した「優先順位を決めるための基準」を提示する。②生徒たちが
質問を選ぶ。③生徒たちが選定理由を検討する。④クラス全体で選定理由を紹介し
あう。
p162-163	
  質問に優先順位をつける動機付けと選定基準
・	
 優先順位をつけて選んだ質問によって次に行いたい目標はなにか
作文、調査、探求学習、プレゼンテーション、クラスでの話し合い、個別学習、本
や記事を読むなど
・	
 優先順位の高い質問を選ぶための基準
生徒たちが焦点を当てたもの、生徒たちにとってもっとも大切なもの、生徒たちが
さらに探求したいもの、生徒たちの具体的なアクションにつなげられるもの(実験、
作文、読書など)
p164-167	
  段階5	
  質問に優先順位をつける	
  4つのステップ
①優先順位をつけるための指示を与える。基本となる指示は「3つの質問を選びなさ
い。」で、それ以外に付け足すべきことは、質問づくりのあとで生徒にしてほしいことに
よって変わる。②優先順位の高い質問を選ぶ。事前にどれだけの時間をかけていい
のかを知らせておく必要がある。③選んだ質問の理由を述べられるようにする。④グ
ループ活動の成果を全体に報告する。書き換えた閉じた質問と開いた質問、優先順
位の高い3つの質問、それらを選んだ理由を報告する。
p179-180	
  	
  段階5	
  質問に優先順位をつける:問題点と対処法
①常に3つの質問を選ばなければいけないのか。②グループとして優先順位の高い
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
7
質問を合意できない。③グループとして自分たちが選んだ質問の理由について合意
ができない。(対処法はテキスト参照)
p181-182	
  質問に優先順位をつける際の教師の役割・ヒント
(詳細はテキスト参照)
p183	
  表6−1	
  質問に優先順位をつける際のヒント
(詳細はテキスト参照)
p184	
  段階6	
  質問に優先順位をつける	
  重要なポイント
・	
 優先順位をつけるスキルは、学習する際に欠かせないスキルであるだけでなく、
生涯にわたって使い続けるスキルである。
・	
 教師が提供した基準をもとに、生徒たちは質問に優先順位をつける。
・	
 生徒たちは、どれを自分たちの優先順位が高い質問に選ぶかという話し合いを通
じて、相互に学び合う。
・	
 教師は常に様子を観察するが、質問を選ぶためのモデルを示したり、指示したり
することは控える。
・	
 生徒たちは優先順位をつけるスキルを強化するために、なぜそれらを選び出した
のかという根拠を提供する必要がある。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
8
p186	
  段階6	
  質問を使って何をするか考える	
  要点
優先順位の高い質問は、生徒たちの学びを改善し、加速化するためにも使えるので、
ここで終わってしまうのはもったいない。
p188	
  表7−1	
  授業やユニットのタイミングに応じた質問づくりの使い道
・	
 授業やユニットの初めに使う。
・	
 授業やユニットの中ほどで使う。
・	
 授業やユニットの最後で使う。
(詳細はテキスト参照)
p213	
  段階6	
  質問を使って何をするか考える	
  重要なポイント
・	
 生徒の質問は、多様な目的に使うことができる。
・	
 生徒の質問は、以下の3つのように多様な使われ方がある。①グループないしク
ラス全体のプロジェクトで生徒たち自身によって。②教師によって。③生徒たちと
教師が協力する形。
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
9
p216-217	
  段階7	
  学んだことについて振り返る	
  要点
生徒たちが質問をつくり、改善し、優先順位を決めたあとに、学んだことを振り返るこ
とはメタ認知思考のスキルを深めることになるので重要です。この段階は、今練習し
た質問づくりのスキルと思考力を繰り返し使えるようにするために不可欠なものなの
です。もし、この段階を省いたら、質問づくりのプロセスはこれまで行われた数多くの
活動と同じく、教師がその大切さを認めても、生徒たちにとっては教師にやらされてい
るだけのものになってしまいます。
p219-220	
  段階7	
  学んだことについて振り返る	
  4つのプロセス
①振り返りの活動を考える:あなたが生徒たちから学びたいことは何か、あなたが生
徒たちに考えてほしいことは何か。②ふりかえりの活動をどのように進行するか決め
る:個人レベル、グループレベル、クラスレベルの振り返りがある。③振り返りの途中
でサポートする:生徒たちが集中できるように、多くの人が発言できるように、発言・コ
メントはすべて公平に認める。④共有の仕方を決める:クラス全体で発表する、教師
が振り返りの話し合いを進行する、生徒たちが振り返りシートに記入し教師に提出・ま
たはクラス内で共有する。
p221-227	
  段階7	
  学んだことについて振り返る	
  振り返りの活動
ここでは、教師が質問を投げかけ、生徒たちは教師の質問に答えるという、これまで
にの授業で行われてきたやり方に戻るわけです。
①	
 知識レベルの変化を問う質問
・	
 あなたは何を学びましたか?
・	
 自分で質問できるように学ぶことはなぜ大切なのですか?
・	
 学んでいる内容について何を学びましたか?
・	
 どのように学んだのですか?
②	
 感情レベルの影響について問う質問
・	
 質問する際はどんな感じがしましたか?
・	
 自分たちが行ったことのなかで、よかったことは何ですか?
③	
 行動レベルの変化を問う質問
・	
 質問できるようになったわけですが、それを今後どのように使いますか?
p227-228	
  段階7	
  学んだことについて振り返る	
  問題と対処法
2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作)
10
・	
 振り返りの時間が確保できない。
・	
 何も学んでいないという学生がいる。
・	
 発言しない生徒がいる。
・	
 他人の発表を聞かない。
p230	
  段階7	
  学んだことについて振り返る	
  重要なポイント
・	
 ふりかえりのステップは飛ばしてはいけない。
・	
 振り返りには、5〜8分の時間を確保する。
・	
 振り返りの間は、教師は質問する役に、生徒たちはそれに答える役になる。
・	
 生徒たちは、個別に、あるいはグループやクラス全体で振り返る。
・	
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  • 1. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 1 p iv A Key Message 質問づくりこそが民主的な市民社会をつくり出すのに欠かせないスキルである p ix 吉田新一郎氏 連絡先 pro.workshop@gmail.com p41 表1−1 質問づくりの7つの段階(段階1〜7)と教師と生徒の役割 ①質問の焦点。②質問づくりのルール。③質問をつくる(発散思考の段階)。④質問を 改善する(収束思考の段階1)。⑤質問に優先順位をつける(収束思考の段階2)。⑥ 次のステップ。⑦振り返り。(詳細はテキスト参照) p50-51 表1−2 正問研究所の質問づくりの方法(詳細はテキスト参照) 備考:正問研究所 The Right Question Institute – A Catalyst for Microdemocracy www.rightquestion.org
  • 2. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 2 p57 段階1「質問の焦点」の要点 生徒たちが質問をつくり出すための引き金。生徒たちがそれをきっかけに考えて質問 をつくり出せるのであれば、短い文章、あるいは写真や短い動画や表・図などの視聴 覚教材など何でもかまわない。質問の焦点は、生徒たちの思考を喚起するために、 従来から使っていた教師からの発問の反対側に位置づけられるものである。 p58-59 段階1「質問の焦点」の要件 ①明確な焦点を持っている。②質問ではない。③刺激によって新しい思考を誘発する。 ④教師の好みや偏見は表さない。 p68-69 表2−1 質問の焦点づくりの5段階 ①目的を明らかにする。②可能なかぎりのアイデアを出す。③それぞれの良い点と悪 い点を出す。④4つの基準に照らし合わせて、ベストと思う質問の焦点を選ぶ。⑤生 徒たちが考える質問を想像する。(詳細はテキスト参照) p77-78 段階1 質問の焦点を考える 問題点と対処法 (詳細はテキスト参照) p79 段階1 質問の焦点づくり 重要なポイント ・ よい質問の焦点のつくり方は、効果的な発問のつくり方に似ている。 ・ 質問の焦点は、生徒たちが質問を作りやすくなるように設定する。 ・ 質問の焦点は、教師が設定する目的と、ユニットや授業のどこで質問づくりを使う かという判断に大きく左右される。 ・ よい質問の焦点をつくるためには、できるだけたくさんの候補を挙げて検討したほ うがよい。
  • 3. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 3 p82 段階2 質問づくりのルール ①できるだけたくさんの質問をする。②質問について話し合ったり、評価したり、答え たりしない。③質問は発言のとおりに書き出す。④意見や主張は疑問文に直す。 p83 表3−1 質問づくりのルールを使うことで現れる成果 ①質問する許可を与える。②安心・安全な場が提供される。③皆同じレベルで、すべ ての質問と声が尊重される。④主張するのではなく、質問すること。そのための表現 が大切にされる。(①〜④は上記のルール番号に対応する) p93-97 段階2 質問づくりのルールを紹介して話し合う3つのステップ ①ルールを提示する。②ルールについて話し合いをさせる・求められていることを確 認する・感想を教室全体で共有する。③質問の焦点の必要性を説明する。④ルール の振り返りをさせる・感想を教室全体で共有する。 p94 表3−2 ルールについて話し合いをする際の教師と生徒の役割 教師:ルールを紹介する。ルールを守る難しさについて話し合いを進行する。 生徒:ルールに従う際の難しさを考えて発表する。 p101-103 段階2 質問づくりのルールを紹介する 問題点と対処法 ①生徒たちがルールに従う難しさをまったく見いだせない。②ルールに従うことの難し さの大事なポイントを見逃してしまった。③ルールについて意見の一致が見られない。 (対処法はテキスト参照) p103 段階2 質問づくりのルールを紹介する 重要なポイント ・ この段階にかける時間は5〜7分と短い。 ・ 生徒たちは、小グループかクラス全体で話し合う。 ・ 全体の流れの中で、この部分は大事なので省かない。
  • 4. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 4 p108-109 段階3 生徒たちが質問をつくる 4つの手順 ①クラスを3〜5人のグループに分ける。②質問の焦点を提示する。質問づくりをはじ めるように指示する。④質問づくりをする生徒たちを見守る。(詳細はテキスト参照) p108 表4−1 生徒たちが質問をつくるときの教師と生徒の役割 教師:質問の焦点を提示する。小グループで質問づくりをしている生徒たちを観察し、 ルールを思い出させる。残り時間を知らせる。 生徒:記録係を決める(記録係も質問を出す)。質問づくりのルールを守りながら、で きるだけたくさんの質問を出す。質問係は、質問に番号を振りながら言われたとおり に書き出す。記録係以外の生徒も発言どおりに記録することを助ける。 p128-131 段階3 質問づくり 問題点と対処法 ルール1:なかなか質問が出てこない、生徒たちが例を出しほしいとせがむ、グルー プ間でのペースが大きく違う、参加していない生徒がいる、一人がすべての質問を出 している。ルール2:生徒たちが答えてしまっている。ルール3:記録係が苦労している。 ルール4:質問づくりから離れて話し合いをはじめてしまう、何をしていいのかわから ない、質問の焦点が機能していない。(対処法はテキスト参照) p132 段階3 生徒たちが質問をつくる 重要なポイント 質問づくりのルールは、生徒たちに自らが質問をつくり出すための枠組みを提供しま す。そのなかにおける教師の役割は、以下の二つです。 ・ 質問づくりのルールを生徒たちがうまく使いこなせるようにサポートする。 ・ グループ活動の間、ルールを守ることを繰り返し生徒たちに伝える。
  • 5. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 5 p134-136 段階4 質問を書き換える 要点 この段階では、自分たちがつくり出した質問を見直して、そこからどんな情報が得られ るかを分析します。質問の答えを導き出すために極めて効果的な方法である「閉じた 質問」と「開いた質問」の違いについて考え、相互に書き換えることを学びます。質問 のタイプと表現方法によって、どのような情報が得られるのかを左右するという、重要 な知恵を生徒たちが本当に理解する時が大きな転換点となります。 p136-138 「閉じた質問」と「開いた質問」を紹介する 4つのステップ ①閉じた質問と開いた質問の定義を紹介する。②生徒たちは自分たちがつくり出した 質問リストを見て、閉じた質問に△を、開いた質問には○をつける(2〜3分間)。③閉 じた質問と開いた質問の長所と短所について話し合う。④1〜2つの質問を他の質問 に書き換える(〜3分間)。(全体で1回目は10分間、2回目以降は5分間程度) p139 表5−2 閉じた質問と開いた質問の長所と短所 p151-152 段階4 質問を書き換える:次のステップへの3つの選択肢 ①分類を質問の目的に関連づける。②質問の優先順位の段階へ行く。③どのような 質問がどのような場面で適切かのリストをつくる。(詳細はテキスト参照) p152-154 段階4 質問を書き換える:問題点と対処法 ①質問を分類する時に合意できない。②質問を書き換える際、新しく考えた質問が前 とは関係なくなってしまう。(対処法はテキスト参照) p155 段階4 質問を書き換える 重要なポイント ・ 閉じた質問と開いた質問には、それぞれ長所と短所がある。 ・ 質問づくりが導入される最初のときは、閉じた質問と開いた質問について十分話 し合う必要がある。そのあとは、どの点を強調して扱うかを判断する。たとえば、 長所と短所を毎回扱う必要はない。閉じた質問と開いた質問を分類したら、そこで やめてもいいかもしれない。または、それぞれの例となる質問を出してもらい、そ れらをもう一方の質問に変換してもらってもよい。 ・ 生徒たちは質問づくりのこの段階を、発見があり、新しい知識が得られる楽しい作 業だととらえることが多い。
  • 6. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 6 p158-160 段階5 質問に優先順位をつける 要点 優先順位をつけるというスキルは、学校教育のなかで身につけられるスキルのなか でもっとも重要なものの一つです(しかしほとんど見過ごされている)。・・・優先順位を つける行為、つまり適切に重要なものを選び出すという力は、比較、分類、分析、評 価、統合などを含めた多様なスキルを駆使する極めて知的な行為と言えます。・・・質 問づくりにおけるこの段階は、彼らに優先順位をつけるという行為とスキルの両方を 練習するチャンスを提供する・・ p161-162 段階5 質問に優先順位をつける際の流れ:概観 ①教師が事前に準備した「優先順位を決めるための基準」を提示する。②生徒たちが 質問を選ぶ。③生徒たちが選定理由を検討する。④クラス全体で選定理由を紹介し あう。 p162-163 質問に優先順位をつける動機付けと選定基準 ・ 優先順位をつけて選んだ質問によって次に行いたい目標はなにか 作文、調査、探求学習、プレゼンテーション、クラスでの話し合い、個別学習、本 や記事を読むなど ・ 優先順位の高い質問を選ぶための基準 生徒たちが焦点を当てたもの、生徒たちにとってもっとも大切なもの、生徒たちが さらに探求したいもの、生徒たちの具体的なアクションにつなげられるもの(実験、 作文、読書など) p164-167 段階5 質問に優先順位をつける 4つのステップ ①優先順位をつけるための指示を与える。基本となる指示は「3つの質問を選びなさ い。」で、それ以外に付け足すべきことは、質問づくりのあとで生徒にしてほしいことに よって変わる。②優先順位の高い質問を選ぶ。事前にどれだけの時間をかけていい のかを知らせておく必要がある。③選んだ質問の理由を述べられるようにする。④グ ループ活動の成果を全体に報告する。書き換えた閉じた質問と開いた質問、優先順 位の高い3つの質問、それらを選んだ理由を報告する。 p179-180 段階5 質問に優先順位をつける:問題点と対処法 ①常に3つの質問を選ばなければいけないのか。②グループとして優先順位の高い
  • 7. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 7 質問を合意できない。③グループとして自分たちが選んだ質問の理由について合意 ができない。(対処法はテキスト参照) p181-182 質問に優先順位をつける際の教師の役割・ヒント (詳細はテキスト参照) p183 表6−1 質問に優先順位をつける際のヒント (詳細はテキスト参照) p184 段階6 質問に優先順位をつける 重要なポイント ・ 優先順位をつけるスキルは、学習する際に欠かせないスキルであるだけでなく、 生涯にわたって使い続けるスキルである。 ・ 教師が提供した基準をもとに、生徒たちは質問に優先順位をつける。 ・ 生徒たちは、どれを自分たちの優先順位が高い質問に選ぶかという話し合いを通 じて、相互に学び合う。 ・ 教師は常に様子を観察するが、質問を選ぶためのモデルを示したり、指示したり することは控える。 ・ 生徒たちは優先順位をつけるスキルを強化するために、なぜそれらを選び出した のかという根拠を提供する必要がある。
  • 8. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 8 p186 段階6 質問を使って何をするか考える 要点 優先順位の高い質問は、生徒たちの学びを改善し、加速化するためにも使えるので、 ここで終わってしまうのはもったいない。 p188 表7−1 授業やユニットのタイミングに応じた質問づくりの使い道 ・ 授業やユニットの初めに使う。 ・ 授業やユニットの中ほどで使う。 ・ 授業やユニットの最後で使う。 (詳細はテキスト参照) p213 段階6 質問を使って何をするか考える 重要なポイント ・ 生徒の質問は、多様な目的に使うことができる。 ・ 生徒の質問は、以下の3つのように多様な使われ方がある。①グループないしク ラス全体のプロジェクトで生徒たち自身によって。②教師によって。③生徒たちと 教師が協力する形。
  • 9. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 9 p216-217 段階7 学んだことについて振り返る 要点 生徒たちが質問をつくり、改善し、優先順位を決めたあとに、学んだことを振り返るこ とはメタ認知思考のスキルを深めることになるので重要です。この段階は、今練習し た質問づくりのスキルと思考力を繰り返し使えるようにするために不可欠なものなの です。もし、この段階を省いたら、質問づくりのプロセスはこれまで行われた数多くの 活動と同じく、教師がその大切さを認めても、生徒たちにとっては教師にやらされてい るだけのものになってしまいます。 p219-220 段階7 学んだことについて振り返る 4つのプロセス ①振り返りの活動を考える:あなたが生徒たちから学びたいことは何か、あなたが生 徒たちに考えてほしいことは何か。②ふりかえりの活動をどのように進行するか決め る:個人レベル、グループレベル、クラスレベルの振り返りがある。③振り返りの途中 でサポートする:生徒たちが集中できるように、多くの人が発言できるように、発言・コ メントはすべて公平に認める。④共有の仕方を決める:クラス全体で発表する、教師 が振り返りの話し合いを進行する、生徒たちが振り返りシートに記入し教師に提出・ま たはクラス内で共有する。 p221-227 段階7 学んだことについて振り返る 振り返りの活動 ここでは、教師が質問を投げかけ、生徒たちは教師の質問に答えるという、これまで にの授業で行われてきたやり方に戻るわけです。 ① 知識レベルの変化を問う質問 ・ あなたは何を学びましたか? ・ 自分で質問できるように学ぶことはなぜ大切なのですか? ・ 学んでいる内容について何を学びましたか? ・ どのように学んだのですか? ② 感情レベルの影響について問う質問 ・ 質問する際はどんな感じがしましたか? ・ 自分たちが行ったことのなかで、よかったことは何ですか? ③ 行動レベルの変化を問う質問 ・ 質問できるようになったわけですが、それを今後どのように使いますか? p227-228 段階7 学んだことについて振り返る 問題と対処法
  • 10. 2016/02/08 「たった一つを変えるだけ(新評論)2015 年」 質問づくり レジュメ(サトーケニチ作) 10 ・ 振り返りの時間が確保できない。 ・ 何も学んでいないという学生がいる。 ・ 発言しない生徒がいる。 ・ 他人の発表を聞かない。 p230 段階7 学んだことについて振り返る 重要なポイント ・ ふりかえりのステップは飛ばしてはいけない。 ・ 振り返りには、5〜8分の時間を確保する。 ・ 振り返りの間は、教師は質問する役に、生徒たちはそれに答える役になる。 ・ 生徒たちは、個別に、あるいはグループやクラス全体で振り返る。 ・ 発表を聞くときは平等に認める。