PM Bash #1エンジニア/非エンジニアが説くチームビルディングの秘訣で発表させて頂いた内容です。 https://tech-eight.connpass.com/event/48093/

1. 心理的な安心感を
プロダクトに取り入れるため
に役立つ10のポイント
株式会社インテリジェンス Innovation Lab. 所属 PdM
みらい合同会社 代表 / PyM
瀬筒 貴仁

2. 自己紹介
瀬筒 貴仁
• 株式会社インテリジェンス Innovation Lab. 所属
PM
• みらい合同会社 代表 / PyM
• カウンセラー / メンタルトレーナー
• 放送大学 心理と教育コース所属

3. 簡単な経歴
1. バックエンド兼フロントエンドエンジニアとして PHP/Rails/HTML/CSS あたりを触る
2. サーバーサイドエンジニアとデザイン、PL、PjM、SEなどの業務が増える
3. 経営や営業、マーケティング、SEO、事業管理などの業務が増える
4. ITコンサルや会社設立支援、エンジニア採用支援などの業務が増える
5. メンタル不全の問題に取り組むため カウンセラー/メンタルトレーナー の資格を取
る
6. PdM / PyMとして活動中 ← イマココ

4. 心理的な安心感
(psychological safety) とは？
「生産性の高い働き方を分析」するために Google が 2012〜2015年にかけて取り組んだ
「プロジェクト・アリストテレス」で結論付けされた成功するチームに存在するポイント。
大きくは以下の4つが該当。
1. お互いが相手の気持ちを察して話しやすい雰囲気
2. アイデアや意見、批評を気兼ねなく交換できる
3. 心配なくミスを報告できる
4. 「仕事用の自分」を演じずに、「本来の自分」で仕事ができる

5. ここから10のポイント

6. 1. 安心と安全は異なる概念
• 安心: 心が落ち着き、休まること
• 安全: 身体的な危険がないこと
安心は安全の上に形成される。

7. 2. 遠慮と配慮は全く違う
「慮（りょ） = おもんはばかる」
• 遠慮: 慮から遠ざかること
• 配慮: 慮を配ること
慮は、賂ではないか、という説もある。
「賂（ろ） = まかなう」
• 遠賂: 賂から遠ざかる（やらない）こと
• 配賂: 賂を配ること
refs: 竹林の七賢

8. 3. 人間の行動は
環境とその人の在り方で決まる
ドイツの社会心理学者・Kurt. Lewin（1890-1947）による行動の法則
「行動」は「その人自身の在り方」と「周りの環境」によって形成される。
B=f(P・E)
• B: Behavior（行動）
• P: Person（人）
• E: Environment（環境）
• f: Function（関数）

9. 4. 傾聴とアドバイスと相談
の違いを理解しておこう
• 傾聴: 心を傾けて相手に共感しながら話を聴くこと（受動的アプローチ）
• アドバイス: 相手の得手・不得手を見極めた上で、相手がよりパフォーマ
ンスを発揮するための提案を行うこと（能動的アプローチ）
• 相談: 相手の解消したい悩みについて、自分の経験を元にアドバイスもし
くは気づきを与えること（ケースバイケース）
3つの方法は一見似ているようで全く異なるアプローチであり、同時に相手が
求めている事も全く異なる。

10. 5. ストレス理論を知ろう
（ストレッサーとストレス反応）
B=f(P・E)
ストレッサー（ストレス要因）に該当するものは以下の通り。
• E: Environment（環境）に該当する「職場環境」「仕事量・内容」「家庭環境」など
• P: Person（人）に該当する「パーソナリティー（性格）」「ソーシャルサポート（家
庭・友人とのつながり）」「運動・食事（生活習慣）」など
上記2つの掛け合わせによって、ストレス反応（行動面、心理面、身体面）が起きる。

11. プロダクトにおいて特に注意が必要なのは「仕事量・内容」と「職
場環境」。
• 仕事量・内容: 終わらない仕事、担当範囲の拡大
• 仕事の中身: 曖昧な指示、求められる役割の変化、矛盾する役割、
権限のなさ、不透明な評価
• 対人関係: 言ってもわからないチームメンバー、無理を押しつけ
るリーダーやマネージャー

12. 6. ストレスが溜まっている
状態の見分け方（一例）
1. 行動面
「酒、たばこの量が増える」「ギャンブルにふける」「エスカレーターで歩く、落ち着かない」
「早食い、過食、刺激物を好んで食べる」
2. 心理面
「イライラ、焦り、不安、集中できない」「落ち着かない、何事も億劫」
3. 身体面
「疲労感がなかなか取れない、疲れやすい」「肩こり、腰の痛み、胃・腸潰瘍」
「動悸・息切れ、血圧の上昇」「睡眠障害」
メンタルヘルスの鉄則は「身体に症状が現れるうちに対処する」。

13. 7. ストレスレベルと
それぞれの症状
1. 急性ストレス (Acute Stress)
• 急激な環境の変化や出来事によって一時的に起こるストレス
• 主な症状: 焦燥感、不安感、緊張性頭痛、胃腸の不快感、手汗
2. 一時的ストレス (Episodic Acute Stress)
• 急性ストレスが悪化したもの
• 主な症状: 偏頭痛、過度の緊張、睡眠障害
3. 慢性ストレス (Chronic Stress)
• ストレスが蓄積して慢性化してしまったもの
• 主な症状: 心臓発作/脳卒中、癌、引きこもり、暴力/自傷行為、不眠症、悲観的な感情、鬱

14. 8. コーチングとコーピングは
似ているようで違う
• コーチング: カウンセリングの質問技法のうち、未来質問や具体化質問などに絞り込
んだ目的思考の質問をビジネスライクに行うことに特徴がある。クロージングは「承
認」となる。
• コーピング: カウンセリングの質問技法のうち、ストレス解消や問題焦点、情動焦点
などに絞り込んだ解決の糸口を見つけていくことに特徴がある。クロージングは「助
言・力づけ・援助」となる。
コーピングには「メタ認知（もう一人の自分）」という考え方があり、自分の思考方法や
プロセスを知り、そのプロセスを観察し調整（コントロール）する手段もあります。

15. 9. メタ認知について知ろう
メタ認知とは、「認知を認知すること」。
自分（主体的認知） メタ認知（客体的認知）
自己の評価 質問
状況の把握 自問
対処の検討 評価
適切な判断 応用
計画を立案 仮説
目標の実行 統合
行動の修正 発見

16. 10. コーピングの4分類
- A. 問題中心・積極型
- 優先順位の高いことから手を付ける
- 信頼できる人にアドバイスを受ける
- B. 問題中心・消極
- 解決を先送りする
- 自分ではどうにもならないと思う
- C. 感情中心・積極
- 誰かに話を聞いてもらい、気持ちを落ち着ける
- 問題の良い面を考える
- D. 感情中心・消極
- お酒を飲んだり、旅行に行ったりして気を紛らわす
- 嫌なことは忘れるようにする
※ 有効な対処は人・状況によって異なる。

17. おまけ. 傾聴力を高めるには
1. 傾聴前よりも少しだけ心が軽くなってもらうことを目的にする
2. 沈黙に慣れる
3. 相手が五感のうち何を使って会話しているかを捉える
4. 相手の言葉を遮らない
5. アドバイスをしない
6. 叱咤激励しない
7. 質問する時は、回答して貰えない前提で質問をする
8. 「オウム返し」よりも「言い換え」技法を積極的に使う
9. 「理解」できないことでも「共感」していることは伝える
10. 自身も他の人に傾聴して貰う

18. 宣伝
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19. おわり
ご静聴ありがとうございました！