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「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれる量子アニーリングV2
- 2. ご挨拶 • 名前：佐々木涼 • 年齢：23歳（社会人一年目） • 最終学歴：東京大学農学部卒 • 好きなもの：数学 • 15のときアメリカにて中学数学オリン ピック出場、カリフォルニア州金賞受賞
- 3. 当時の写真
- 9. D-waveの動作
- 10. D-waveの動作
- 11. 量子ビットの性質
- 12. 「量子アニーリング」
- 14. 組み合わせ最適化問題？ • 「組み合わせ」を「最適化」する方法 の模索 • 交通量を 最適化する • 購入する株を 最適化する • セールスマンの経路を 最短距離にする
- 19. 様々な分野での応用 • 交通 • 交通渋滞緩和 • 配送計画 • ネットワーク設計 • 創薬 • 化学分子の立体構造解析 • 生体分子の挙動解析
- 20. 組み合わせ問題の定式化
- 21. 組み合わせ問題の定式化
- 22. 最適解探索
- 25. 量子アニーリングの最適解探索 ①
- 26. 量子アニーリングの最適解探索 ①
- 27. 量子アニーリングの最適解探索 ②
- 28. 量子アニーリングの最適解探索 ②
- 29. 様々な分野での適用 • 交通 • 交通渋滞緩和 • 配送計画 • ネットワーク設計 • 創薬 • 化学分子の立体構造解析 • 生体分子の挙動解析
- 30. 最後に • 「量子コンピュータは実験装置のよう」 • 解ける問題は多岐にわたる • 普段の生活で馴染みは薄いけれど、 知っておく必要がある • まだ遅くない
- 31. ご静聴ありがとうございました
Editor's Notes
- -- intro それでは始めます はじめまして 佐々木です こんな経歴です こんなこと今やってます こんなことを面白いと感じます
- -- intro それでは始めます はじめまして 佐々木です こんな経歴です こんなこと今やってます こんなことを面白いと感じます
- こんな感じで賞をいただいていました。
- -- intro2 ところで突然ですが、 今学生の間で話題になっているこのニュース、ご存知ですか GoogleがD-waveの量子コンピュータについて言及 今までのコンピュータの性能の一億倍 まあ実際には一億倍になる場合があるという程度ですが しかし最先端の技術ということでにわかに注目されています その背景にある原理が「量子アニーリング」
- -- 量子アニーリングについて 量子コンピュータというのは、二つのアーキテクチャが存在します。 先ほど少しお話がありましたが、私がお話するのは最も実用化が進んでいる量子アニーリングの方についてです。
- D-waveの外見はこのようになっています。 かなり大きく、置き場所をちょっと考えなくてはいけないくらいですが、
- D-waveの内部の写真はこのようになっております。スッカスカです。 さらにコンピュータの機能を持っているのはこの赤丸の部分のみです。 売るためだけに大きな箱にしたんじゃないか？とすら疑ってしまいますね。 この中では、
- この中では、量子ビットと呼ばれる単位回路が存在し、それぞれに流れる電流の向きに応じて磁場を形成しています。 この磁場が下向きだと量子ビットは1を、上向きだと0を示すと思って下さい。 これがハードウェアの全貌になります。
- D-wave量子アニーリングマシンは以下のように動きます。 まず、すべての量子ビットに対して強い横磁場を加えます。 これによって、磁場の向きが上向きでも下向きでもない、いわゆる「0と1の状態が重ね合わせになった状態」になります。 ここから横磁場を弱めていくことで、少しずつどちらかの値に変わっていきます。
- すべての量子ビットに対して強い横磁場を加えます。 これによって、磁場の向きが上向きでも下向きでもない、いわゆる「0と1の状態が重ね合わせになった状態」になります。 ここから横磁場を弱めていくことで、少しずつどちらかの値に変わっていきます。
- また、この量子ビットの性質として、隣接する量子ビットと同じ向きになろうとします。 このままでは全ての量子ビットは同じ値を取ってしまいますが、これとは別にユーザー側で以下のような設定を行うことができます。 ・AとBの干渉率を調整 ・AとBが同じ値を取らないように設定 これらを行うことにより、最もエネルギー的に安定な1と0の組み合わせが得られます。
- 実はこの量子アニーリングマシンですが、非常に限られた用途でしか使えないと言われています。 しかし、実はそれで十分でもあります。 それが組合せ最適化問題です。
- 実はこの量子アニーリングマシンですが、非常に限られた用途でしか使えないと言われています。 しかし、実はそれで十分でもあります。 それが組合せ最適化問題です。
- -- 組み合わせ最適化問題について 組合せ最適化問題とは？ 「組み合わせ」を「最適化」する方法の模索 〇〇 を 〇〇 にする 〇〇 を 〇〇 にする セールスマンの経路 を 最短距離に する
- 巡回セールスマン問題 あるセールスマンが複数の目的地に到達する経路を探索するにあたって、その最短経路を求める問題。 1箇所の場合は1組み合わせ → ○ nanosec かかる 2箇所の場合は → ○ nanosec かかる 10箇所 → ○ sec かかる 30箇所 → ○ month かかる 50箇所 → ○ year かかる この問題をすぐに回答できるのが量子アニーリング方式の量子コンピュータ
- 応用分野としてはこのようなものがあります。 いずれも今のコンピュータでは解析が難しいか、時間がかかってしまうものばかりです。
- 実際にどのように解くのか、についてお話しいたします。 先ほどの巡回セールスマン問題ですが、 これはすなわち、ビットで表すと、
- 右のように「全ての都市と訪れた順番でマトリクスを作って、適切な値をマトリクス状に反映する」という問題に置き換えることができます。
- それを表現し直すと、こういった図になります。 縦軸のエネルギーが低いものほどコストがかからない「最適」な状態です。
- 横軸が状態になります。ここはこういう組み合わせ、ここはこういう組み合わせといった各状態を指しています。
- 従来型アルゴリズムでは、ある特定の状態からスタートし、これを少しずつ変化させてエネルギーの低い状態に変えていきます。 この場合だと、局所的な最適解にトラップされ、全体最適解にたどり着かない可能性があります。 一方、量子アニーリングも似たような挙動を示しますが、以下が異なります。
- まず一つ目の性質として、0と1の重ね合わせの状態を取ることができるため、様々な可能性について検討することができます。
- まず一つ目の性質として、0と1の重ね合わせの状態を取ることができるため、様々な可能性について検討することができます。 少しずつエネルギー状態を下げながら検討していきます
- さらに、エネルギーを下げる過程で局所的な最適解を得た場合にはその可能性を棄却し、全体最適解を得るように探索することができます。これがトンネルを潜るように見えるため「量子トンネル効果」と言われます。
- これを経て、最終的に全体最適解を得ることができます。
- このように全体最適解を得られるアルゴリズムは、先ほどお伝えしたような 様々な分野での応用が期待されています。
- -- 締め 以上、量子アニーリングの原理についてお話しさせていただきました。 私が影響を受けた『量子コンピュータが人工知能を加速する』に載っていたのですが、本当に量子コンピュータは実験装置のようで、今までのコンピュータとは原理が異なります。 一方で、それによって解ける問題はこれだけ多岐に渡ります。 この不思議さ、面白さが少しでも伝われば幸いです。 量子アニーリングや量子力学はあまり普段生活している中では馴染みの薄い知識分野かとは思いますが、いろいろな活用方法がある中で、また発展途上ではあるものの急速に開発が進む中でこれら原理と活用については理解しておく必要があるのかなと思います。 自分もまだ勉強し始めではありますが、まだ遅くはないと思っています。 一緒に勉強しましょう。
- 以上でLTを終わります。 ご静聴ありがとうございました。