XP 祭り 2019 LT 祭り 資料

1. 日本の伝統的な大企業で
Agile を導入した際の課題
Shigeru Tatsuta

2. 自己紹介
IT 本部は主にキャリア事業に必要な IT サービスを
提供するためシステムを開発・運用しています。
ソフトバンク株式会社
テクノロジーユニット
IT＆ネットワーク 統括
IT 本部
竜田 茂 (たつた しげる) [中日ファン]
アジャイル開発では、スクラムもやるが XP 派

3. IT 本部における Agile の取り組み
IT 本部では、3 年前から以下の課題に取り組むために、Agile 開
発の導入に取り組んでいます。
● 若手社員のモチベーションアップ
● 自律したプロフェッショナルの創出
● プロジェクトの成功率の向上
● Joint Venture 等の成長分野への貢献

4. 早期の成功事例の実現
スクラムや XP の各種プラクティスを導入することで、明らかに
効果を実感。早期に 4 つのシステムのリリースに成功。
PCIDSS 対応
(2018 年 2 月リリース)
LINE モバイル
(2018 年 6 月リリース)
Apple Watch
(2018 年 9 月リリース)
iTunes カード
(2019 年 3 月リリース)

5. 成功とその後の停滞
幸運にも、早期にいくつかの成功事例を収めることができたが、
その後はチーム横展開で課題が発生し停滞。

6. Agile チームと組織
ソフトバンクも伝統的な日本企業と同様に階層型組織で、ある課
の下に組織されていました。
社長
ユニット
統括
本部
統括部
部
課

7. 増え続ける会議現場との距離感
上層部からの圧力による偽りのベロシティAgile なのに Green Green Red
発生した課題の数々
Agile をさらに深化させていく上で、以下のような課題が次々と
発生。
アジャイル
は調子はど
う？
順調です！
オンスケで
す！
リカバリ策を考えて。
スケジュールは変更し
ないから。
次も会議だ。はぁ、
忙しい。
ポツーン・・・

8. 異なる価値観
マネージャは、標準化や統制を効かせて全体の効率化を考えがち
で、エンジニアは仕事をまるで機械のように淡々と作業するテイ
ラー主義のようになっていった。
エンジニアは報告や対
話が苦手
開発はできないが、自
分にはこれまで培って
きた経験があり、管理
や推進で貢献したい
アジャイルと言っても、
ある程度の統制は必要
うまく行かないと自分
の管理責任が問われる

9. CSM/LeSS での気付き
いろいろ悩み試行錯誤した結果、 CSM 研修に参加し「スクラム
マスターはチームから組織の改善にウエイトを移す」という考え
方にも触れ、組織構造からくる宿命的な結果であると悟る。
XP にも似たようなことが言及されてはいるが、各種プラクティ
スが強烈なので気が付かなかった。

10. マネージャーレスな Agile の実現
この経験を踏まえ、我々のチームではマネージャーを廃止し、直
接ディレクター直下にぶら下がる形で、マネージャーレスな開発
を実現。
部
課

11. 実感している効果
半年ほど、このマネージャーレスな体制でシステムを開発したが、
特に問題は発生していない。以下の観点で改善が実感。
● 会議の減少
● 残業時間の減少
● ステークホルダーとの距離感の改善
● エンジニアがいきいきと開発できるようになった

12. 工夫している取り組み
マネージャーレスな組織で開発するに辺り、以下について意識し
たり工夫。
● それまでマネージャが担当していた業務はチームメンバ
ーで分担して実施
● すべてのチームメンバーが CSM を取得し、専任のスク
ラムマスターの廃止
● PO もユーザー側に出してもらい、チームで PO を支え
る。IT 側に Proxy PO などは置かない。

13. 結論
●スクラムや XP の各種プラクティスを導入し
て、一定の効果を出すことは比較的容易。
●アジャイルの自己組織化を実現するためには、
中間管理職を廃止すると効果的