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Service Design Latest Information

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Yuriko Sawatani
Yuriko Sawatani

This includes case studies of advanced service design companies.

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2　 『第 3 回デザむン研究䌚 報告曞　サヌビスデザむンの最前線』 発行日2017 幎 3 月 31 日 発行者EDGE デザむン研究䌚 協力囜際財団・Design for All・むノベヌション教育孊䌚情報共有 SIG 線集柀谷 由里子・埌藀 真理絵・斎藀菜保・成迫剛志 デザむン株匏䌚瀟グラグリッド
　3　 はじめに サヌビスデザむン抂芁 サヌビスデザむン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 調査抂芁 調査抂芁 戊略・組織レベルの倉容　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 行動レベルの倉容 サヌビスデザむン導入埌の姿 調査詳现 SAP LABS, LLC GE デゞタルデザむンセンタヌ IBMアルマデン研究所 むンスタカヌト (INSTACART) PIVOTAL LABS, SAN FRANCISCO 参考写真 スタンフォヌド倧孊 d.scool APPENDIX 調査方法抂芁 著䜜者線集者 デザむン研究䌚 ------------------------------------ 4 ------------------------------------- 5 5 ------------------------------------- 6 6 7　　　　　　 7 7 ------------------------------------- 8 8 12 18 20 24 -------------------------------------27 27 -------------------------------------28 28 30 30 INDEX
4　 　経枈のサヌビス化、問題の耇雑化、情報技術の発展を背景に、むノベヌション創造の仕組み の倉容が求められおいる。たず、経枈のサヌビス化によりサヌビスビゞネスが拡倧し、サヌビ ス・ドミナント・ロゞック (Vargo & Lusch, 2004) が提蚀された。むノベヌションの察象は、 埓来の単独補品から、サヌビスを顧客や提䟛者などの䟡倀共創を含むサヌビスシステムずなっ た。たた、問題が耇雑化し、セキュリティや IoT ずいった科孊のみで答えられないグレヌゟヌ ンの存圚 (Weinberg, 1972) が指摘されおいる。問題解決のためには顧客や倚様なステヌクホ ルダヌを巻き蟌むむノベヌション創出の仕組みが必芁であろう。さらに、情報技術が産業の基 盀ずしお進展し、産業間を぀なぐ新しいビゞネスが急激に誕生しおいる。これらの倉化は我々 の生掻に圱響を及がし、人々の思考倉容・行動倉容、瀟䌚制床の倉容を促す。そのため、顧客・ 提䟛者・倚様なステヌクホルダヌを含む統合的なサヌビスシステムのデザむンが求められおい る (Sawatani, 2016)。 　このような状況を打砎するために、人間䞭心芖点で問題を捉えるデザむン思考 (Sawatani, Kashino & Goto, 2016) や、デザむン思考を適応したサヌビスシステム創造の方法論ずしお サヌビスデザむンが泚目されおいる ( 柀谷 , 2015)。本曞では、すでにサヌビスデザむンを取 り入れ、新しい䟡倀を創造しおいる先進䌁業の珟状を報告する。 はじめに
　5　 サヌビスデザむン 　サヌビスデザむンずは䜕かそれは顧客の切実な芁 求「カスタマヌペむン」を発芋し、ビゞネスや組織を倉 化しペむンキラヌずなる新しいサヌビスシステムをデザ むンするこずだ。このようなサヌビスを提䟛するこずに よっお、䌁業は収益を埗る。぀たり、サヌビスデザむン は、顧客ずビゞネスにずっお欠かすこずのできないもの だ。Service Design Network (SDN) を䞻宰する Birgit Mager は、サヌビスデザむンを以䞋のように定矩しおい る。 “Service design aims to ensure service interfaces are useful, usable, and desirable from the client’ s point of view and efficient and distinctive from the supplier’ s point of view.” 　 た た、 サ ヌ ビ ス 研 究 を リ ヌ ド す る Arizona State University の Center for Services Leadership で は、 以䞋のずおり。 “Service design is focused on bringing service strategy and innovative service ideas to life by aligning various internal and external stakeholders around the creation of holistic service experiences for customers, clients, employees, business partners, and/or citizens.” 　サヌビスデザむンずは、「人間䞭心の芖点からサヌビ スシステムを創るこず」、そのためには、人間䞭心のメ ゜ドロゞヌずしおデザむン思考の導入が基瀎ずなる。぀ たり、顧客や提䟛者、その他のステヌクホルダヌ以䞋 では、これらを合わせおアクタヌず呌ぶの芖点で、サヌ ビスから埗る䟡倀や受容・提䟛のために行う掻動である サヌビスシステムを創り出すこずだ。 　サヌビスシステムずは、アクタヌやアクタヌ間のやり ずりを瀺すシステム、具䜓的には、顧客から芋たサヌビ スを受ける掻動であるカスタマヌゞャヌニヌマップず、 埓業員の掻動であるサヌビスブルヌプリントを統合した ものだ。サヌビスシステムは、調達・流通などのパヌト ナヌやその他のステヌクホルダヌを含む゚コシステムで あるビゞネスモデルも含む。 　日本の状況を芋おみるず、サヌビスデザむンの認知床 は十分ではなく、誀解もあるようだ。䟋えば、以䞋のよ うに考えおいないだろうか • サヌビスは、珟堎で解決するものだ。 • 顧客䜓隓の向䞊ばかりに目を向けるず、ビゞネスに 悪圱響がでる。 　サヌビスは、珟堎だけではなく、組織を倉化しお新し い仕組みで提䟛する組織的な掻動だ。重芁なのは、サヌ ビスデザむンは顧客に接するフロントラむンの組織デザ むンに留たらず、経営戊略にたで関わるずいう認識だ。 珟堎には、顧客から埗られたさたざたな改善案が存圚す る。珟堎の改善掻動で実斜できる事も倚くあるだろう。 しかしながら、倧きな方向転換が必芁な堎合には、これ たで実斜しおきた方向性をどのようにトランスフォヌ メヌションするのか、組織のマネヌゞャヌやトップマネ ゞメントがリヌドする。結果ずしお、䌁業の戊略やミッ ションたで倉わるずいう倧きなむンパクトが出る可胜性 を持っおいるのが、サヌビスデザむンだ。 サヌビスデザむン抂芁
6　 　サヌビスデザむンの導入の目的によっお、䌁業のトラ ンスフォヌメヌションの範囲埓業員・顧客・䌁業の思 考や行動の倉容やビゞネス成果が異なる。今回の調査 では、以䞋の芖点でサヌビスデザむンを取り入れおいる 先進的な䌁業にむンタビュヌした。 • 䌁業でどのようにデザむン思考やサヌビスデザむン を掻甚しおいるかそれらを導入するきっかけ、目 的はなんだったのか導入はどのように進められた のか • 導入における課題は䜕だったかそれらをどのよう に解決したのか • 導入の結果、䜕が倉化したのか 　サヌビスデザむンを導入するこずによっお、䌁業がど のようにトランスフォヌメヌションするのか調査した結 果、戊略・組織ずいった広範囲の倉容ずの行動レベルの 倉容における共通点が浮かび䞊がっおきた。たず、デザ むン思考やサヌビスデザむン導入の目的は、党瀟レベル の倉容を促すものず、郚門レベルの倉容に止たるものが 存圚した。前者は「攻め」の取り組みであり、埌者は「 攻め」あるいは「守り」の取り組みず蚀える。 　次に、代衚的な組織モデルを以䞋に瀺す。SAP のむノ ベヌションセンタヌ、GE Digital 等は分離型の新芏事業 組織を構成、その他、各事業郚暪断、事業郚内にデザむ ン組織を持぀圢態が存圚する。 調査抂芁 図 1. 導入の目的 図 2. 導入のための組織モデル
　7　 戊略・組織レベルの倉容 ●トップのコミットメント 　以䞋は、今回蚪問した䌁業のデザむン思考やサヌビス デザむンの取り組み状況の抂芁である。　これらの先進 䌁業では、トップのリヌダヌシップによるデザむン思考・ デザむン組織の導入が行われ、デザむン担圓圹員の蚭眮 やデザむナヌを含む専門家によっおプロゞェクトが実斜 されおいる。 ●マネゞメントシステム 　SAP を䟋にずっおみるず、人材採甚では、ダむバヌシ ティが基本日本では、2/3 女性、海倖の採甚が半分以䞊、 評䟡指暙は try した数新芏事業であり、倱敗から孊 ぶこずを評䟡する。IBM では、デザむン思考を䜿った 倚様なステヌクホルダヌずの共創の堎合には Quick Win 等、通垞の事業ずは異なる評䟡指暙を蚭定しおいる。 行動レベルの倉容 ●技術開発から䜿甚䟡倀起点の問題発芋 　・解決 　顧客に寄り添い共感するこずは重芁だが、顧客のいい なりになるずいうこずではない。顧客にずっおも、本来 すべきこずを远求するこずで、珟圚のやり方よりももっ ず斬新な方法で珟圚の状況を革新できるかもしれない。 顧客も䌁業も少し高い芖座、広い芖野で問題発芋し、技 術を融合するこずによっお問題を解決しむノベヌション の創出を目指す。 サヌビスデザむン導入埌の姿 　最埌にこれらの導入埌の䌁業の姿はどのようになっお いたのか。今回蚪問した先進䌁業においお、「そもそも 䜕が問題か」ずいう問題発芋から初めお、倖のリ゜ヌス も掻甚するオヌプンむノベヌションで問題解決を行うプ ロセスが定着しおきおいた。 調査抂芁 衚. 取り組み状況抂芁 図 3. 導入埌の問題発芋・解決プロセス
8　 SAP LABS, LLC　 シリコンバレヌで成功した 皀有なドむツ䌁業 　SAP は 1972 幎 創 業 の ド ã‚€ ツ 䌁 業。IDEO の David Kelley ず 共 に d.school の 創 始 者 で も あ る Hasso Plattner ら創業者は、IBM からのドロップアりト。ミ ドルりェアを䞭心に、䌁業の歊噚商人を戊略ずしお展開 する IBM にずっお、圌らが目指すアプリケヌションレ むダヌは、戊略倖領域。掚し進めるず、反察に IBM プ ラットフォヌム䞊のアプリケヌションを開発する䌁業ず コンペティタヌになり、゚コシステムを砎壊する恐れが ある。圌らは、進めおいたプロゞェクトの停止呜什の埌、 倖郚で起業するこずを遞択。その埌、ERP(Enterprise resource planning) 䌁業ずしお成功した。埓業員数は党 䞖界で 8 䞇人、うち 2 䞇人がアメリカ、うち 4 千人がシ リコンバレヌにいる。 　䌁業颚土は非垞に固い䌚瀟でダむナ゜ヌず呌ばれる が、蚪問者が埌を絶たないのは、シリコンバレヌの䞭で ナニヌクな存圚なためである。シリコンバレヌのほずん どがグヌグル、アップルなどアメリカの䌚瀟。唯䞀の䟋 倖が日立。それくらい特殊な土地の䞭で最倧の倖資が SAP である。日本ずドむツは非垞に䌌おいる。囜の抱え る制玄ずしお劎働力ず゚ネルギヌがあるずか、たた゚ン ゞニア気質で職人、マむスタヌずいう考えがある。地味 で固いドむツ䌁業がなぜシリコンバレヌで頑匵っお行け るのか、それこそが日本䌁業のベンチマヌクになるので は。グヌグル、アップルを蚪問しお真䌌できおいるのは 䞀瀟もなく、ベンチマヌク先ずしお芖点を倉える意味で 面癜い䌁業だ。 SAP　Labs, LLC の歩み 　SAP は 22 幎前、シリコンバレヌぞ来た。最初はドむ ツ人の瀟長がドむツ流でやろうずしお倧倱敗した。12 幎 前デザむン思考に出䌚い、経営戊略や補品ポヌトフォリ オを芋盎した。2010 幎圓時の売り䞊げの 9 割は ERP、 䞀方 2015 幎には党䜓の 6 割が New SAP新芏事業 モバむル、クラりド、HANAビッグデヌタを解析する プラットフォヌムに倉化した。倉革が出来ない倧䌁業 病、むノベヌションのゞレンマをどう克服したのか。そ の鍵はデザむン思考にあった。 調査詳现SAP
　9　 倧䌁業病をデザむン思考で克服 　2000 幎以降、䞀気に進むデゞタル゚コノミヌの到 来に危機感を持぀ Plattner が、機内で IDEO の David Kelley がビゞネス玙に曞いたデザむン思考に぀いおの蚘 事を読み、「これだ」ず思いたった。到着埌、David に電話し、共にデザむン思考の孊校 ( スタンフォヌド倧 孊内に蚭眮された d.school) を䜜るこずを提案、2004 幎に d.school を蚭立した。Plattner は、SAP を起業し た圓時、顧客の珟堎で圌らの掻動を芳察しプロセスを理 解し補品化するこずを䜓隓しおいた。そのため、David Kelley の蚘事を読んだ時に、この危機を乗り越えるため には、創業圓時の顧客ずの協業の原点に戻るこずが倧事 なのではないか、ず思い圓たったわけだ。その思いを党 瀟に浞透し加速するためのツヌルが、デザむン思考だっ た。 　2005 幎には、ドむツにある戊略郚門に 35 人、デザ むン思考の゚キスパヌトを雇い、戊略䜜りに取り掛かっ た。次に研究開発に導入、2007 幎には hana プロゞェ クトに着手。珟圚の新芏事業の基瀎を支える hana は、 シリコンバレヌで孊生ずのハッカ゜ンから生たれた。 Plattner が実斜しおいる授業で、「ERP を砎壊するビゞ ネスを考えよ」ずいうテヌマでアむデア・ハッカ゜ンを 実斜し、ERP プロダクトではなく、顧客が求めおいるの は「デヌタに基づいおリアルタむムに意思決定ができる プラットフォヌム」ではないかず、孊生たちが提案した。 韓囜の孊生が䞭心に掻躍し、そのプラットフォヌムは hana韓囜語で䞀぀ずいう意味ずいう名前になったず いう。Plattner はそれを戊略䌚議で提案させたずいう。 　導入から−幎かけ、いく぀かの成功事䟋が瀟内に できた 2012 幎に、事業郚での展開に取りかかる。最倧 の抵抗勢力は、短期芖点でビゞネスを考えがちな営業郚 隊だった。圌らの䞭にも、成功事䟋を聞いたり、研修で 実際に䜓隓しおみたりしおいる内に、デザむン思考が楜 しくなっおいく人が珟れた。このようにしお SAP はデザ むン思考を䌁業文化ずしお定着させるこずに成功した。 SAP LABS, LLC
10　 成功芁因・぀の芖点 People・Place・Process ■ People 　People ずは、異質なものず亀わるこず、぀たりダむバヌ シティの掻甚だ。幎霢・性別・文化・地域・圹割など異 なる人ずいかに共創できるかが鍵だ。もずもず、ドむツ 䌁業であった SAP にはペヌロッパの各囜の文化や人材ず 協業するベヌスはあった。たた、SAP だけで䜕かをする のはなく、オヌプンむノベヌションにシフトした。シリ コンバレヌだけ取り䞊げおも、d.school を蚭立し、倧孊 ずの接点を増やした。Stanford の近くには、bluebottle ず組み hanahaus䞀぀の家ずいうコラボレヌション スペヌスを䜜り、異質が出䌚うチャンスを加速させおい る。 　さらに、人材採甚もダむバヌシティが基本ずなっおい る。日本での採甚は、日かけお Sales boot camp ず いうケヌスに基づくグルヌプによる提案掻動だ。その結 果、日本においおも 2/3 が女性、海倖の採甚が半分以䞊 を占める。倚様性のある瀟員や顧客に、デザむン思考が 浞透し、共通蚀語・共通フレヌムワヌクずなり、顧客ず 共創するこずによっおより良い成果を䜜り出すポゞティ ブルヌプを䜜り出しおいく。これらデザむン思考の教育 やツヌルは、SAP Scenes ずしお公開しおいる。 ■ Place 　 城 例 町 か ら 離 れ お、 新 し い や り 方・ 颚 土 を 䜜 る。 1972 幎にドむツの Walldorf が最初の事業所ずしお開 蚭された。その埌、IT マヌケットの開発・人材獲埗の ために、1993 幎に Palo Alto に蚭眮。珟圚シリコンバ レヌには、4000 人の瀟員がおり、瀟員の芏暡で Google をトップに䜍以内に䜍眮する。Palo Alto の Top は CDO(Chief Design Officer) の Sam Yen。新芏事業は ここで䜜り、その埌その他の事業所に展開する。 　新芏事業開発のためには、堎所・人材・評䟡を別にす るこずが有効だ。SAP では、新芏事業開発においお詊し おみた数が評䟡指暙になっおいる。倱敗からは孊べるこ ずができるし、評䟡もされる。シリコンバレヌでは、倱 敗に慣れお倱敗の数を増やしおいかないず成功しない。 グヌグル、アマゟンは地球䞊で䞀番倱敗をしおいる䌚瀟 ず蚀われおいる。倱敗には 2 皮類ある。①挑戊しおミス を犯すこず。②挑戊せず機䌚を逃すこず。シリコンバレヌ では①は倱敗ではない。②こそがやっおはいけない事。 日本䌁業は逆の傟向がある。①のミスを促すこずが重芁 で、評䟡に生かす。 ■ Process 　デザむン思考のコンセプト、導入の背景を理解したら、 それが共通蚀語・フレヌムワヌクずしお掻甚できるよう になっおくる。しかしながら、デザむン思考が専門家だ けではなく、党瀟員に浞透し䜿甚可胜な状態になるため には時間がかかった。珟圚、幎 2 回 100 項目近くある 埓業員サヌベむを実斜しおいる。そのうち 30  40 項 目はデザむン思考をどう自分たちの業務に䜿っおいるか をチェックしおいる。 　デザむン思考は、シンプルに蚀うずむノベヌションの やり方をフレヌムワヌク化したもの。ペヌロッパは元々 倚民族でもあり、フレヌムワヌクの構築は埗意だ。䞀方、 日本䌁業はあうん、圢匏知よりも暗黙知を重芖する。「む ノベヌション起こせ」「倉われ」ず蚀いながらやり方を 提瀺しないのは片手萜ちであろう。 SAP LABS, LLC
　11　 SAP LABS, LLC 問題解決から問題発芋ぞ 　デザむン思考の䟡倀は䜕かそれは、顧客の問題を解 決するだけではなく、「顧客の本質的な問題を芋぀けお それを解決する」ずいうこず。SAP では、問題を発芋し お問題蚭定から顧客ず共に行うこずが、デザむン思考の 根幹であるず理解する。 　䟋えば、スヌパヌの棚に物がない状況を想定する。こ れは機䌚損倱で、埓来は圚庫管理、サプラむチェヌンを 提案しおいた。しかしデザむン思考では、スヌパヌず䞀 緒に本圓の顧客はどういう人かを䞀緒に考える。「30 代女性」ではなく「37 歳女性、○○さん、2 歳ず 0 æ­³ の子䟛、わざわざ雚の䞭自転車でやっおくる」、そうい うお母さんはどんな人だろう、雚の䞭ずかは来たくない はずなので、スヌパヌがやるこずは圚庫管理では無く、 配送サヌビスずいうモデルではないかず気づく。この ようにしお、問題蚭定をしおから解決策を考える。 https://youtu.be/NsdG48dpmxA プロゞェクト䜓制 デザむナヌこそがリヌダヌ 　プロゞェクトは、自瀟のコア技術を理解し、顧客を理 解するデザむナヌ、むンダストリヌビゞネス担圓、圢に しおいく゚ンゞニアからなるチヌムで実斜する。その際、 プロゞェクトをリヌドするのはデザむナヌだ。その結果、 今たでなかった新しいサヌビスシステムで、ビゞネスの 成果もでるむノベヌションが生たれる。぀たり、デザむ ン思考は、「チヌムでむノベヌションを生み出すための フレヌムワヌク」だずいうこずだ。このフレヌムワヌク を掻甚すれば、䞭小䌁業でも倧手䌁業でもだれでもむノ ベヌションを生み出せる可胜性があり、珟圚倚くの䌁業 から泚目されおいる。
12　 Predix 抂芁 　GE は、産業機噚における IIoT(Industrial Internet of Things) の実珟のため、基盀ずなるプラットフォヌム を 4 幎前に開発した。圓時は瀟内向けに䜜り、テストず 動䜜確認を行っおから 2 幎半瀟内で䜿い、改善を重ねた。 その埌、Predix ずいう名前を付けお倖郚提䟛を開始した。 各事業郚は Predix を䞖界䞭の産業に導入するミッショ ンが䞎えられ、たず貚物専甚䌚瀟や䞭囜東方航空など 8 瀟の航空䌚瀟を察象ずしお遞定した。それらの䌚瀟を蚪 問しお、ニヌズを確認し、顧客のポヌトフォリオに合わ せた゜フトりェアやアプリケヌションを䜜っおいる。䟋 えば䞭囜東方航空にはパむロット向けのモバむルアプリ を䜜ったり、他の䌚瀟では飛行機からデヌタを集めたり しおいる。Predix の開発にあたっおは、Pivotal に出資 (16の株を保有 ) するなど倖郚の䌚瀟ずの連携をしお いる。党おを内補化するのではなく様々な䌚瀟の技術を 取り蟌む方針である。 GE デザむンセンタヌ蚭立経緯ず抂芁 　顧客ず仕事をするずきに、デザむンシンキングに基づ いたやり取りが必芁になったため、顧客のニヌズを把握 する堎ずしおビルの 1 階にデザむンセンタヌを䜜った。 顧客にはこのビルに来お頂き、順番にデザむンシンキン グの工皋を螏み、どういう考え方をすべきか䜓隓しおも らっおいる。このビルには珟圚玄 1,300 人の埓業員がお り Predix を䜿った事業の本拠地ずなっおいる。デヌタ サむ゚ンスやデザむナヌ、リサヌチャヌ、プロダクトマ ネヌゞャヌ等党員が Predix のフレヌムワヌクをベヌス に取り組む事業に携わっおいる。デザむナヌは 60 名お り、そのうち 10 名が航空郚門にいる。 GE デザむンセンタヌの斜蚭 ■ ワヌクベンチ デザむンセンタヌにあるワヌクベンチでは、高校生 向 け プ ロ グ ラ ム で あ る STEMscience technology engineering Mathematicsが提䟛されおいる。䟋えば、 孊生を呌んでツヌルを䜿ったり、女子孊生を呌んでコヌ ディングのレクチャヌをしたり、倏䌑みに数週間来おも らい゜フトりェアの開発工皋を教えるなど、デザむンシ ンキングを通じた開発を䜓隓するプログラムずなっおい る。自動販売機で 3D ボヌド等の開発ツヌルを販売する 等付属ツヌルも提䟛しおいる。 ■ 270 床映写スペヌス 　Immersive Room 　270 床に広がった映写スペヌスでは、珟堎で撮圱し た 360 床写真や映像を再生できる。䟋えば、列車の斜蚭 等を実際に珟堎に行っお 360 床写真や映像を撮っおく るず、珟堎での情報をデザむンセンタヌでも䜓隓するこ ずができる。たた、コクピットを再珟し、コクピットに いるような状態で議論をするこずもできる。ブレストの セッションを行うずきには壁党䜓に工皋を貌るなど可芖 化甚途でも掻甚できる。 調査詳现 : GE デゞタル GE デゞタル デザむンセンタヌ
　13　 　GE 偎の䜓制は、航空䌚瀟のプロゞェクトを䟋にする ず、以䞋の 4 人の担圓者がコアチヌムを構成する。 ・プロゞェクトマネヌゞャヌ ・ナヌザヌ゚クスペリ゚ンス担圓 ( デザむンリサヌチ ) ・デヌタサむ゚ンス ・゜リュヌションアヌキテクト 　プロゞェクトマネヌゞャヌは、プロゞェクト党䜓をマ ネゞメントする圹割である。デザむンリサヌチ担圓は、 プロゞェクト党䜓のファシリテヌションを担圓し、問題 を理解した䞊で、実際䜿うナヌザヌは誰なのかを定矩す る。デヌタサむ゚ンス担圓は、デヌタのリ゜ヌスがどこ からくるのか、それをどうむンテリゞェントに扱っおい くのかを考えおいる。Predix はデヌタプラットフォヌム の機胜を持っおおり、あらゆるデヌタを扱うこずができ る。゜リュヌションズアヌキテクトは、Predix を䜿っお ゜リュヌションをどのように開発・リリヌスしおいくか 考える圹割である。マシンの゚キスパヌトずしお、デヌ タがファむナンス関連から来るのか、゚ンゞンから来る のかを考えながら、Predix ず繋げる方法を考えおいる。 堎合によっお゜フトりェアの開発を GE が請け負うこず もある。 　最終的なデザむンの決定は、顧客ずパヌトナヌシップ を組んで䜜業を進めるが、゜リュヌションは䜕であるか を毎日考えお改善し、なるべく顧客が満足するようにブ ラッシュアップしおいく。問題を䞎えられおこれが答え です、ず 1 回でアクションが終わるこずはない。顧客の ニヌズに合わせお改善を重ねおやっおいくこずを念頭に 眮いおいる。プロゞェクトの期間は、芏暡により 3 ヶ月 か 6 ヶ月ずなっおいる。兞型的なプロゞェクトは 6 ヶ月 くらいで、実際に䜕を䜜るかを考え始たるずころからリ リヌスたで実斜しおいる。 　デザむンセンタヌには党䜓で 60 人のデザむナヌがお り、航空事業には 10 人のデザむナヌがいる。事業郚毎 に自前でデザむナヌを抱えおいるこずが倚いが、デザむ ナヌは瀟内コンサルタント的な立堎で様々な事業郚の仕 事を受け持぀䜓制になっおいる。堎合によっおはアりト ゜ヌスするこずもある。実際にコヌディングの段階にき た際には、UX ビゞュアルデザむン、UX リサヌチデザ むン、デザむンのバックグラりンドを持っおいる人が担 圓するこずになっおいる。 GE デゞタル デザむンセンタヌにおける プロゞェクト䜓制
14　 　ある䌁業が Predix を掻甚したプロゞェクトを実斜す る堎合、顧客自身がデザむンセンタヌで 1 日を過ごすこ ずずなる。GE デゞタルや Predix を理解し、圓日のアゞェ ンダを玹介する。GE からは、1 日のスケゞュヌルやビ ゞョン、戊略を説明しお、顧客の事業ず抱えおいる問題 の解決をプロゞェクトでどう進めおいくか説明する。玹 介が終わるずワヌクショップの堎所に移動する。ワヌ クショップでは、GE デザむンセンタヌにある「可動匏 のプロゞェクトスペヌス」「議論をするためのスペヌス」 を䜿っおプロゞェクトを進めおいく。 　可動匏のプロゞェクトスペヌスは、マシンず呌ばれお おり、モゞュヌル化されおいお 8 ぀の郚屋がある。党お の郚屋にタッチスクリヌンがあり、党おの怅子・机など の什噚が可動匏になっおいる。人数に合わせお怅子の甚 意やスペヌスのカスタマむズするこずができ、䜿い勝手 の良い郚屋を提䟛しおいる。議論をするスペヌスはベむ ず呌ばれおいる。このスペヌスは、グルヌプに分かれお 議論するずきに䜿う。各ベむには個別にプロゞェクタヌ や可動匏のホワむトボヌドがあり、個別に䜜業可胜な蚭 備もそろっおいる。ここの蚭備にはマネゞメントを行っ おいる人がいお、ほが毎週のように予定が入っおいる。 このスペヌスを䜿う堎合には斜蚭の利甚料を頂き、ファ シリテヌタヌを提䟛するほか食事も提䟛しおいる。 　党おの郚屋は、デュアルスクリヌンになっおおり、タッ チスクリヌンから゜フトりェアを立ち䞊げるこずも出来 る。䞡偎にカメラがあり、1 ぀はビデオカンファレンス のため、もう 1 ぀はホワむトボヌドに曞かれたものを蚘 録するために蚭眮されおいる。食事のためのスペヌスも あり、プロゞェクトの䜜業や議論をしおいる時に、食事 が提䟛される。スペヌス党䜓の倖芳は、スタヌりォヌズ のような未来をむメヌゞしたものではなく、機胜性を重 芖した䜜りである。消音蚭蚈を導入しおおり、各郚屋に 眮かれた iPad から照明やテレビ、各デバむスを繋げる こずが可胜。その他必芁なものは各郚屋にそろっおいる。 　事業郚は同じようなデザむンセンタヌを䞊海、テキサ ス、パリ、シンガポヌルにも䜜っおいる。しかし可動匏 で郚屋を自由自圚に倉えられるのはこの本拠地だけであ る。ドバむのセンタヌには倧きな円圢の郚屋にキラキラ した倧画面のテレビがあり、たさにスタヌトレックのよ うな未来的な蚭蚈ずなっおいる。 GE デゞタル 利甚する蚭備のデザむン
　15　 GE デゞタル プロゞェクトずプロダクトの連携 工堎の蚭蚈などは GE ファクトリヌ事業郚が担圓しおお り、比范的 GE デゞタルの自由床は高いプロゞェクトに なるが、䞀方で飛行堎党䜓にかかわるプロゞェクトにな るず自由床が少なくなる。航空䌚瀟ずのコラボレヌショ ンが必芁になるずサヌビスデザむンたで取り組めるケヌ スは倚くないためである。もずもずはビゞネスアナリス トがプロゞェクトマネヌゞャヌの圹割を果たし、゚デュ ケヌション担圓がデゞタルに異動しおプロゞェクトを進 める圢をずっおいたが、プロダクトマネゞメントの必芁 性を実感するに至った。そこで、各事業郚にプロゞェク トマネヌゞャヌのレむダヌずプログラムマネゞメントず いう耇数の職皮にたたがったレむダヌを眮き、プロゞェ クトず GE のプロダクトを適切に連携させる䜓制をずる ようになった。 予算確保 工予算確保は垞に課題であった。特に瀟内でやっおい た圓時は、GE デゞタルの䞭で䜕かを䌁画した際に、各 事業郚からの予算確保が非垞に難しかった。今は、GE デゞタルは自分達の予算をもらっおいるので問題は改善 されおきおいる。 ステヌクホルダヌずの関係構築 　飛行堎のプロゞェクトを䟋に挙げるず、様々なステヌ クホルダヌがいるために飛行堎の䞭たで入り蟌んだ䜓制 になっおいないケヌスがある。「飛行堎」ず䞀括りにで きず、それぞれ機胜別にステヌクホルダヌが分かれおい るこずにより、党䜓を 1 ぀にたずめる顧客の窓口がない こずが芁因である。こうした堎合、経営者レベルでプロ ゞェクトをスポンサヌしおくれる人がいるのが非垞に重 芁である。䜕か問題が起きたずきやバゞェットが足りな くなった時に、このトップに盞談すれば問題を解決しお もらえるずいう存圚がいるかどうかは非垞に重芁。 プロゞェクト掚進䞊の課題ず 解決の方向性
16　 GE デゞタル GE における 組織カルチャヌの醞成 　GE はもずもず箱物を䜜るハヌドりェアデザむン的な 考え方をしおいた䌚瀟だが、それが段々ナヌザヌ゚クス ペリ゚ンスを考えながら゜リュヌションを䜜っおいく考 え方に倉わっおきおいる。実際に珟堎に行っお研究しな がら理解を深め、゜リュヌションを開発しおいくこずの 重芁性や、顧客やナヌザヌの問題を䞀぀䞀぀解決しおい くこずが各事業郚間での共通蚀語ずなり぀぀ある。 この考え方を GE の組織党䜓に広めおいく啓蒙運動も行 われおいる。䟋えば来週、マむンズマシンズずいう IIoT に特化した GE のカンファレンスがあり、゜フトりェア ゚ンゞニアだけを察象ずした堎で教育の堎を蚭けおい る。䞖界䞭の゚ンゞニアに Predix の抂芁を説明し、ど うやっお䜿うかを教えおいく堎ずなる予定である。 　GE の堎合、この組織カルチャヌを醞成できた根底に は、ワヌクアりト ( トレヌニング・緎習 ) ずいう手法が 昔からあったこずが生きた可胜性がある。昔は䌚議宀に 篭っおパワヌポむントを䜿っおその堎でトレヌニングす るだけだったが、最近はデザむン思考的ゞャンルや゚ク スペリ゚ンスマップを曞くデザむンワヌクアりトを実斜 するようになっおきた。 　顧客の䞭にはデザむンワヌクアりトをやったこずがな いずいう人に時々出䌚うため、そのようなプロセスが分 からない人のために、たずはやり方自䜓を教えながらプ ロゞェクトを進めおいる。特にプロゞェクトを進める䞊 で、問題を理解しおいないずできない時には、有効であ る。 サヌビスデザむンに関する課題 　サヌビスデザむンは重芁ず考えおいるが、必ずしもい ぀も䞊手く導入されるずは限らないずも考える。我々は システムデザむンなので、システム的な考え方をしおい る。䟋えば電池や゚ンゞンを䜜っおいる工堎で、人々 の動きをマヌキングしたり、情報を集めお分析するこず でスマヌトに皌動できないかシステム党䜓の最適化を考 えるこずが倚い。なるべくナヌザヌ䞭心の考え方をする ようにしおいるが、様々な理由で党おをサヌビスデザむ ンの芳点から考えるこずは難しい。特に営業所関係、航 空産業では芏制などもあり、コックピットの機材にしお も芏制や決たりがあるため、サヌビスデザむン的にナヌ ザヌ䞭心の蚭蚈にできないこずも起こる。 　党おの産業に぀いお、サヌビスデザむン゜リュヌショ ンは、あるのかないのかやっおみないず分からない。サヌ ビスデザむンで䞀番近いのはむンキュベヌタヌだず思う が、4 人でやっおいる。䟋えば飛行機のメンテナンスを するトラックがいたり、飛行機にサヌビスを提䟛したり、 顧客の荷物のハンドリングや、セキュリティサヌビスな ど党おのシステムを芋お、党おを最適化する。ただ党お を䞀床にやるこずができないので、䞀぀䞀぀個別にやっ おいる。荷物のハンドリングや燃料補絊䜜業を個別に芋 おいき、党おの䜜業を最適化しおいく。チヌムずしお、 あるいはデザむナヌや゚ンゞニアずしお、あるいは顧客 ずしおやっおいる。
　17　 街灯や宀内ラむトを掻甚ずした デヌタ収集・分析 カレントず呌んでいる事業郚で実斜した、スマヌトシ ティプロゞェクトでは、街灯を掻甚した分析゜リュヌ ションを実珟した。街灯にセンサヌずカメラが付いおい お、そこで取埗できるデヌタを分析出来るようにしおい る。䟋えば駐車スペヌスに蚭眮した堎合は、隒音や亀通 量、近所の銃声、枩床、雚等が分析可胜であり、実際に、 サンディ゚ゎのパヌキングで導入された実瞟がある。駐 車スペヌスのモニタリング時は、iPad のアプリを通じお 実際の状況を把握できる。我々の動画分析の技術により、 写真をコマ送りで撮り、亀通枋滞、列車のブレヌキドラ ムの写真を継続的に撮っお、人間による怜査なしでも写 真から分析、怜査が可胜である。銃声などの音声やデシ ベルレベルの音の倧小の怜知も可胜ずなっおいる。珟圚 はサンディ゚ゎ垂のほか、もう䞀か所パむロットの郜垂 で導入しおいる。 　宀内ラむトのプロゞェクトは、癟貚店東急ハンズ で実斜しおいる。癟貚店の照明にセンサヌが入っおいお、 クッキヌやビスケットを探す人の堎所を怜知しお、売り 堎たで案内するこずが可胜である。珟圚は怜知するこず がメむンであり、宀内ラむティング、屋倖の照明、セン サヌを䜿ったアプリの可胜性に぀いおはこれから考える 段階である。 Predix の課題ず今埌 Predix ずいうプラットフォヌムはただ開発されお間も なく、実瞟はこれからである。我々もどのように䜿える のか怜蚎䞭で、詊行錯誀しおいるずころである。航空事 業の芳点では、パむロットの最適化、メンテナンスの最 適化、飛行機の゚ンゞンを敎備に持っおきおたた飛行機 に戻すずいう䜜業を最適化するにはどうすればよいかな ど、様々な䜜業の工皋を芋お、怜蚎しおいる。オむルガ スやスマヌトシティの分野では成功事䟋を䜜るこずがで きたので、Predix を汎甚性のあるプラットフォヌムず しお䜿えるこずを説明するために事䟋ずしお玹介しおい る。 　GE にも様々なアプリケヌションがあるが、それらは ただ完璧なものではない。しかしこれたで我々は飛行機 の゚ンゞンも䜜り、モニタリングも毎日しおおり゚ンゞ ンのこずを理解しおいる。そのような経隓を元に顧客に は安心しおもらっおいるず考えおいる。 GE デゞタル
18　 IBM アルマデン研究所 IBM デザむン思考の原理ルヌプ 　デザむンにおいおは、本質を理解するこずが重芁であ る。䜕かをデザむンするずき、人間であるナヌザヌに焊 点を圓おお考える。そのためにはナヌザヌに共感しなけ ればならない。たた、盎面しおいる問題を解決し成果 を出すためには、スピヌドずスケヌルを䌎っお取り組む のが倧切である。そのために、海倖やどこにいる人々で も理解出来るように共通のフレヌムワヌクを蚭定しおい る。 　その原理ずなるものは、ルヌプず呌ばれおおり、それ には 3 ぀の芁玠が含たれる。1 ぀目はナヌザヌの成果に 焊点をあおるこず、2 ぀目は自由裁量暩のある倚圩なチヌ ムを結成するこず、3 ぀目は絶え間なく進化するこずで ある。ナヌザヌのずころに行き、芳察し圌らの理解に努 めおいる。垞にナヌザヌにフォヌカスし、そこからアり トカムに繋げおいる。そしおそれをチヌムに反映させ、 抜象的なアむデアから、具䜓的なアむデアを匕き出しお いる。 　その具䜓的方法ずしお、ポストむットを䜿っおもいい し、ペヌパヌプロトタむプ、ストヌリヌボヌド、マッピ ングも良いだろう。しかし、䜕であれ、このようなもの はツヌルでしかなく、重芁なのは我々の思考だ。ナヌザヌ は誰か、ニヌズは䜕か。圌らは誰なのか、䜕をこれたで 孊習しおきたのか。本来したいこずは䜕か、次のプラン は䜕なのか。ストヌリヌをどのようにデリバリヌするの か。このようなこずを考えながら取り組んでいる。これ がルヌプである。 䌁業にデザむン思考を適応するための鍵　　　　　　 　䌁業においお取り組む堎合は、色々なチヌムや環境で 業務を行わなければならない。埓っお、ルヌプの方法も 様々である。チヌム暪断で行う方法、チヌムそれぞれで 行う方法、アゞャむル圢匏を甚いお行う方法等がある。 どんな方法が䞊手くいくかを実隓しながら確認しおい る。デザむン思考を IBM で適応しおいく䞭で、成功する ための぀の鍵がうたれた。぀たり、倧芏暡で耇雑な䌁 業にデザむン思考を適応するための最も重芁なテクニッ クが、ヒルズ、プレむバック、スポンサヌナヌザヌの 3 ぀の鍵だ。 　ヒルズはナヌザヌにどのような䟡倀を提䟛するのかず いうデザむンの意図を瀺したものだ。チヌム暪断で䜜り 䞊げ、自分達の意図をチヌム党䜓で理解する。プレむバッ クは、チヌムだけではなく、ステヌクホルダヌず確認す るためのマむルストヌンだ。スポンサヌナヌザヌは、実 際のナヌザヌかナヌザヌになりうる可胜性のある人で、 チヌムの支揎者だ。埓来のデザむン思考にこれらの鍵を 組み蟌んでいる。 　スポンサヌナヌザヌを芋぀けるこずは簡単ではない。 プロゞェクトをスタヌトする際に、様々なナヌザヌにむ ンタビュヌをする。そしお圌らの行動パタヌン等を理解 する。デザむンリサヌチ郚門では、瀟䌚孊、人類孊等様々 な専門分野のスタッフがおり、デザむン思考の様々な経 隓を蓄積しおいる。 調査詳现IBM
　19　 デザむン思考ずアゞャむル開発 　IBM では、デザむン思考ずアゞャむル開発を組み合わ せおいる。デザむン思考は問題発芋・解決の優れた手法 だが、玠早く補品化するための手法ずは蚀えない。アゞャ むルスプリントを䞊列しお、レビュヌし、プロトタむプ を芋せながら確認しおいく。アゞャむルをプロゞェクト を完成させる方法ずしお組み合わせる。それによっおト ラッキングも簡単になる。その進展具合をクラむアント ずシェアしやすくなる。たた、ステヌクホルダヌずもシェ アできる。パワヌポむントやプレれンテヌションで、こ のようなプロトタむプのバヌゞョンを芋せお、今週、来 週ずどのように倉化するかを提瀺しおいる。 デザむン思考を掻甚するための工倫 ■ 時間を蚭定する 　デザむン思考をするずきには、時間を蚭定しお、その 間にクリ゚むティブな思考をする。䟋えば 2 時間かけお、 ポストむットを䜿っおアむデアを曞き、ホワむトボヌド を䜿っおブレむンストヌミングをしながら党員に参加し おもらっお議論する。そしお各チヌムが話し合い、最埌 に䞀元化する。これにより、人々の思考のパタヌン、ア むデアが芋えおくる。 ■ デザむン思考を共通蚀語にする 　そしお、「い぀プレむバックするのか」のように、 デザむン思考の甚語を䜿っお話し合う。こういった蚀葉 は、既に瀟内で共通蚀語になっおいる。IBM 内での埓来 の䌚話よりも、こちらの方が珟圚では話しやすいだろう。 このような共通蚀語を䜿うこずによっお、党員が理解し おいるずいうこずが分かる。研究郚門だけでなく、その 他の事業郚門においおもアゞャむルなデザむン思考が広 たっおいるので、皆理解しやすくなっおいる。IBM はデ ザむン思考を他瀟に教育する事業も行っおいる。 ■ 本質を理解する 　どんなに意芋が違っおも、このような基本ずなる点に 戻っお考え盎すずいう姿勢で取り組んでいる。チヌムも、 少数から成る堎合も倚数から成る堎合もある。ナヌザヌ に共感するず同時に、チヌム同士の共感を倧切にしなが ら行っおいる。本質は北極星のように、動かない星であ ろう。それをチヌムで考え続ける。 ■ 党システムの芳点を忘れない 　オンタリオ州立芞術倧孊のピヌタヌ・゚むチ・ゞョヌ ンズが、4 ぀のドメむンに぀いお説明しおいる。1 ぀目 が人工物やコミュニヌケヌションなどの圢の無い補品 で、グラフィックデザむナヌやミュニケヌションデザむ ナヌが携わる分野である。2 ぀目が補品や、ナヌザヌ゚ クスペリ゚ンスデザむンのサヌビスである。3 ぀目が組 織やビゞネスなどのクロヌズドシステム、4 ぀目が耇雑 なオヌプンシステムである。 　それぞれのドメむンがその他のドメむンに関係する。 それぞれの業界、産業に関するリサヌチ゚リアを担圓す る研究者がいる。堎合によっおは、ドメむンの 1 ぀だけ にフォヌカスするこずもある。しかし、ドメむンは、垞 に耇雑化されたシステムの䞀郚である。1 ぀にフォヌカ スしすぎるのではなくお、党䜓を芋るこずが重芁である。 党おが倧きな耇雑なシステムの䞀郚であるこずを理解し ながら、自分がフォヌカスしおいるものを芋盎す。そう するこずによっお、倧きなものずの関係性が芋えおくる。 IBM
20　 調査詳现 : むンスタカヌト むンスタカヌト Instacart 党米の割匷が䜿う 生鮮食料品デリバリヌサヌビス 　むンスタカヌトは、りェブサむトやアプリで、顧客が 奜きな食料品店で買い物をし、顧客の代わりにお店で 賌入しそれを届けるサヌビスを提䟛しおいる。欠品は チャットで代わりの品を盞談したり、時間は 1 時間ごず に蚭定、職堎に届けるこずも可胜である。 　創業は幎、最初は男性3人であるスヌパヌマヌ ケットの党おの商品の写真を撮っおりェブサむトに茉せ たこずから始たる。オヌダヌがくるず、賌入・配達する サヌビスを始めたずころ、オヌダヌが増え始めた。実際 こういうこずをやり始めたずころ、小売店偎はあたり快 く思っおいなかった。その埌、顧客や䞀緒にしようずい うパヌトナヌの小売店が増えおきた。 　珟圚では、アメリカの最倧手 3 瀟の食料品店Target、 Publix、H-E-Bを始めずしお、党米で 100 以䞊の小売 店ず取匕をしおいる。ナヌザヌ数は党米で25郜垂・1,500 䞇䞖垯にのがり、人口の玄 12にあたる。蚭立しお玄 4 幎、この 1 幎半の間に䌚瀟の芏暡が倍増した。近い将来、 党米でサヌビスを提䟛できるこずが目暙である。 　顧客がオヌダヌをするず、党米の小売店の 10,000 人 の買い物代行者ショッパヌがオヌダヌされたものを 店内でピックアップする。むンスタカヌトは顧客の問題 解決のためにこのサヌビスを開始した。「゜りル・フォヌ・ ザ・カスタマヌ」ずいうのがカンパニヌバリュヌだ。 カンパニヌバリュヌ 　時間を掻甚するこずや、別の方法を考えるこず、チヌ ムワヌクやコラボレヌションでより倧きなこずを達成す るこず。自分䞀人でやるず手っ取り早く出来るかもしれ ないが、皆でやらないず倧きなこずは達成できない。自 分のこずずしお、責任を持っお行動するこず。これらが 倧事だず考えおいる。「゜りル・フォヌ・ザ・カスタマヌ」 ずいう顧客のために問題解決するずいうバリュヌがあ る。我々は様々なサヌビスを提䟛しおいるが、党おは顧 客のためである。ペル゜ナが必芁ずしおいるサヌビスを 提䟛しおいる。 むンスタカヌトが連携するパヌトナヌ 小売店、メヌカヌ 　むンスタカヌトがこのような事業をするうえで、小売 店ずのパヌトナヌシップは重芁な芁玠である。自前の圚 庫を持぀のではなく、小売店の圚庫を利甚させおもらう。 小売店偎にずっおも、店舗販売に加えおオンラむン販売 も可胜ずなり、販売経路が増えるこずメリットずなる。 むンスタカヌトには、倚くの小売店から商品ず䟡栌の情 報が提䟛される。それは商品のアむテムリストであった り、圚庫情報であったり、必芁な情報を党おデヌタずし お提䟛しおいる。 　これにより、顧客の立堎から芋れば、幟぀もの小売店 ず順番に回るこずなく、党おの小売店から奜きなものが 䞀か所で買えるこずになる。むンスタカヌトのりェブサ むトに来るず、色々な小売店が䞊行しお䞊んでおり、奜 きな店から買うこずもできる。普段買いなれたお店であ れば、良く買うものの倀段を把握しおいる。それず同じ 倀段で買えるように、小売店偎からも協力を埗おいる。
　21　 　もう 1 ぀の重芁なパヌトナヌは、P  G、コカコヌラ、 ゞェネラルミルズなどのメヌカヌである。むンスタカヌ トはオンラむンのプラットフォヌムを提䟛するこずで、 メヌカヌは自瀟ブランドをプロモヌションするこずが出 来る。顧客偎も自分たちがい぀も買っおいる有名なブラ ンドを買える。堎合によっおは、こういったブランドが、 よりお埗な倀段で提䟛するこずも可胜である。 　小売店によっおは、むンスタカヌト専甚のレゞスタヌ がある。小売店によっおはむンスタカヌトの受泚量があ たりにも倧きいので、効率化のために専甚レゞスタヌを 蚭眮しおいる。そうしおもらうためには、お店偎の信頌 を埗おいなければならない。そういう意味でも、緊密な パヌトナヌシップを結んでいるずころが倚い。もう 1 ぀、 店舗偎ずのパヌトナヌシップによっお出来おいるこず は、買い物をしたものを集めおきお、袋詰めした埌それ を集積する堎所を蚭眮しおもらっおいるこずである。お 店によっおは、冷蔵庫や冷凍庫を甚意しおもらっおいる。 発泚時間ず配達時間が異なる堎合には、商品をここに眮 いおおくこずが可胜である。 　むンスタカヌトでの売䞊の䞀郚は小売店の収入にな る。 CPG も自瀟商品を優先的に衚瀺しおもらうために、 䜕らかのプレミアムを払うこずが可胜ずなっおいる。 オヌダヌからデリバリヌの流れ 　顧客がりェブサむトなりモバむルアプリなりで発泚す るず、䞀旊オヌダヌが本瀟に集たる。その内容を芋お、 執務䞭のショッパヌがどこに居るかや受泚状況を芋なが ら、自動的に泚文が分配され、ショッパヌ専甚のアプリ にオヌダヌが届く。ドラむバヌが買物袋をピックアップ しお、自分の車で配達しお、顧客に届ける。 　ショッパヌず同じアプリにドラむバヌ画面があり、ド ラむバヌがそれを芋るずどの袋を配達すべきか分かる。 そしおドラむバヌが顧客に配達する。堎合によっおは耇 数のオヌダヌを䞀床に配達するこずもある。ドラむバヌ が配達を効率よくできるように、配達ルヌトも決めおあ り、この袋ずこの袋をこのルヌトで届けるようにず指瀺 が出る。 　配送料の他、サヌビス料支払は任意も利益ずなる。 それずは別に、顧客が任意でショッパヌやドラむバヌに チップを出したいずいうずきは、盎接本人の収入にする こずが出来る。 　顧客が商品を受け取っお、最埌にフィヌドバックをす る。りェブサむトなりアプリなりで、満足床に応じお星 を付ける。星が付かないくらい䞍満な時は、電話をしお くれればカスタマヌサポヌトのずころにかかっおくる。 こうやっお埗たフィヌドバックを開発偎に回しお、商品 を改善する努力を垞にしおいる。 むンスタカヌト
22　 むンスタカヌトのすごいずころ　 〜時間単䜍の時間指定 　むンスタカヌトのシステムの利点は、デリバリヌの指 定時間が 1 時間の枠ずなっおいるずころ。他瀟だず䟋え ば 3 時間だったりするので、そうするず顧客が時間も 圚宅できず、留守の堎合があり、再配達の負担が増える。 　さらに、商品が欠品しおいた堎合、ショッパヌが代 わりのものを通知しお、顧客が了承するず賌入になる。 アプリを通しおその凊理が自動的になされる。実際に ショッパヌが顧客ず電話で話す必芁はない。 成功芁因は小売店ずのパヌトナヌシップ 　小売店の幟぀かは、ニヌズがあるず分かっおいおも、 オンラむンでオヌダヌを取っおそれをデリバヌするこず に投資はしたくない。そこで我々がそういうサヌビスを 提䟛しお、䞡者がマッチしおいるこずが芁因ず考える。 オンデマンドのニヌズが垂堎ずしお、りヌバヌ等どんど ん出おきおいる。 　コンピュヌタでオヌダヌしお、届けおもらうこずに消 費者が慣れおきおいる。食料品をオンラむンで泚文する ずいうのが、アメリカの小売業界の䞭では出来䞊がっお いない分野の 1 ぀。 組織䜓制 顧客志向を支えるカスタマヌリサヌチず 需絊予枬システム ■ デザむナヌ 　圚籍するデザむナヌは 12 名。プロダクトデザむナヌ ずブランドマヌケティングデザむナヌがいる。プロダク トデザむナヌは、消費材パッケヌゞやカスタマヌリサヌ チもする。集たったデヌタを分析しお、䞊手くいったこ ずそうでないこずを導き出し、顧客ずのやり取りに関す るデザむンをする。同時に、開発スタッフず密に連絡を 取り合いながら、実際の商品開発に結び付けおいる。 　ブランドマヌケティングデザむナヌは、店内のポップ を䜿ったマヌケティング等をしおいる。あるいは、新し い地域に進出した時には、街䞭に広告を出したり、バス に掲瀺を出したりしおいる。Facebook 等の゜ヌシャル メディアでも、マヌケティングを展開しおいる。 ■ ショッパヌ、ドラむバヌは 　予枬システムで確保 　倩候や特別なむベントがある日等、様々な芁玠を加味 しお、予枬を立おおいる。経隓を積むこずで、その粟床 も䞊がっおきおいる。ただ、垞に予枬が圓たるわけでは ない。需芁が増え、䟛絊が間に合わない堎合には、時絊 も若干䞊げるようにしお、需絊バランスを取るようにし おいる。 むンスタカヌト
　23　 むンスタカヌトの KPI 　マクロで芋れば、どれだけ食料品数のデリバリヌ件数 を䞊げるか。これは䌚瀟党䜓ずしおの KPI である。デザ むナヌの KPI は、むンスタカヌトのブランドの認知を䞊 げるこず。デゞタルマヌケティングの各所で、䞀般消費 者ずの゚ンゲヌゞメントを䞊げお、そこから自瀟のサむ トに連れおくる成功率も KPI である。プロダクトデザむ ナヌに関しおは、新芏顧客の受泚やオヌダヌ数を増やす こずである。ショッパヌに関しおは、単䜍時間圓たりの 凊理件数である。 今埌の展望郜垂に展開 　むンスタカヌトがこれたでやっおきたこずで、孊習し たこずは様々である。同じ郜垂でも、サンフランシスコ ずニュヌペヌクではビゞネスを展開する䞊で異なった。 これらの知芋を掻甚するこずで、新しい郜垂に展開する 䞊では䞊手くいくようになった。たた、むンスタカヌト の扱っおいる商品は、䟋えば家電のように決たったもの ではなくお、リンゎならこういう状態のリンゎが欲しい ずの芁望がある。それを 1 ぀ 1 ぀気にしながら配達のす るのは容易ではないが、取り組んでいく。 　進出先は、垂堎やそこに䜏んでいる䜏民を調査しお決 める。むンスタカヌトのサむンアップは誰でもできるの で、実際に進出しおいないずころの人も倚くサむンアッ プしおいる。そういう人がいる地域には進出の可胜性が 高たる。ただ、パヌトナヌシップを結んでいる小売店は、 党囜展開しおいるずころが倚いので、店偎ず怜蚎しお次 に進出する地域を決めおいく。 　むンスタカヌトは、郜垂郚の方の需芁が高い。郊倖だ ず、車でないず出かけるこずが出来ない。そのためにど こかに行った぀いでに食料品を買うこずが出来るが、郜 垂郚だずそれが出来ない。枋滞や駐車堎の問題もある。 5  10 幎埌には食料品の買い物は店に行っお行うもの でなく、圓然のようにデリバリヌしおもらうようになる こずを願っおいる。 むンスタカヌト むンスタカヌトのペル゜ナ 　実際に顧客の自宅を蚪問し、食事等を調査した。 その調査で分かったこずを顧客像ずおいる。䟋えば、 ロビンずいうペル゜ナは、母芪で仕事を持っおいお、 食事の蚈画を立おる時間もなく、頻繁に買い物に行 かなければならない。゚リックずいうペル゜ナは、 我が瀟の゚ンゞニアのような消費者像で、買い物が 奜きではない。ビクトリアは母芪で子䟛がおり、倚 忙である。䞀週間分の食事のメニュヌを予め決めお いる。ゞョヌゞは節玄家で、倀段が重芁である。マ ギヌは食事の品質にこだわっおいる。
24　 調査詳现 : Pivotal Labs Pivotal Labs, San Francisco 事業抂芁 　Pivotal Labs の Web ペヌゞのトップに掲げられた蚀 葉。それは「Pivotal Labs は䞖界䞭の゜フトりェア開発 に倉革をもたらしたす。」である。Pivotal Labs は 20 幎 にわたり、゚ンタヌプラむズや新興䌁業にアゞャむル開 発の環境ず支揎を提䟛しおいる。 　Pivotal Labs のアゞャむル開発は、顧客ず Pivotal Labs メンバヌが合同で結成したチヌムで進めおいる。 ペアプログラミングず呌んでいるこの顧客ず䞀䜓ずなっ たプロゞェクトチヌムは、デザむナヌ、プロダクトマ ネヌゞャヌ、デベロッパヌそれぞれ顧客 1 名に察しお Pivotal Labs のメンバヌがそれぞれ 1 名぀く。぀たり 2 名 1 組のペアが集たっお構成されたプロゞェクトチヌム である。䟋えば、デザむナヌは顧客 1 名、Pivotal Labs 1 名、プロダクトマネヌゞャヌが顧客 1 名、Pivotal Labs 1 名、そしおデベロッパヌが顧客 2 名、Pivotal Labs 2 名で合蚈 8 名のプロゞェクトチヌムずいった構 成であり、人数が増えおも顧客 1 名に必ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名が付く。 　それぞれのペアが連携しお課題を認識し、解決策を考 え、超短期間での開発を行い、垂堎に出しテストを行う こずで、䞖界を倉革する革新的な補品 / サヌビスを送り 出しおいる。Pivotal Labs は培底的にアゞャむルであり、 業務は効率的である。革新的なアむデアに奜奇心をそそ られ、最先端のテクノロゞヌがモチベヌションを高め、 知識のサむロ化を打ち砎り、顧客ず Pivotal Labs のチヌ ムが䞀䜓化するこずで、゚ネルギッシュで透過的なパヌ トナヌシップを築く。それによっお、培底的なアゞャむ ルを実珟しおいる。 朝食ず朝瀌 　Pivotal Labs オフィスの朝は、顧客ず Pivotal Labs 瀟員党員、すなわち Pivotal Labs のオフィスにいるペア プログラム党員による朝食から始たる。朝食が出る理由 は、メンバヌ党員が遅刻しないでオフィスに来るためで ある。そしお、この朝食は、ペアプログラムの盞手ず䞀 緒に朝食を食べるだけでなく、異なるプロゞェクトに携 わるメンバヌ党員がみんなで䞀緒に朝食を食べるこずに よっお、今行なっおいるプロゞェクトのこず、瀟䌚の出 来事、たたは個人的なこずを共有し、お互いをよく知る 良い機䌚ずなっおいる。 　なお、この朝食はすべお無料である。最先端のテクノ ロゞヌを䜿うアゞャむル開発の珟堎の朝食は無料であ り、これは、朝䞀から効率的に働いおほしいずいう経営 者ず、打ち合わせからすんなり仕事に移る瀟員らの働き 方にもあっおいる。オフィスに行くず、誰が顧客か瀟員 なのか区別が぀かない。それほど圌らはシリコンバレヌ 文化にずけこんでいる。
　25　 　午前 9 時 5 分になるず朝食は片付けられる。メンバヌ は顧客であっおも、自分でお皿やマグカップを食噚掗浄 機に片付け、ゎミを捚おお、党員が朝食スペヌスでもあ る広間に集たり朝瀌を行う。ここでの党員ずいうのは、 Pivotal Labs の瀟員党員ずプロゞェクト実行のために垞 駐しおいる顧客党員、そしお芋孊や打ち合わせに来おい るビゞタヌも含めた党員である。朝瀌では、以䞋のこず が行われる。 　たず最初に、初めお参加しおいる人の玹介である。新 たにプロゞェクトに参画する顧客のメンバヌだけでな く、先に挙げた「たたたた居合わせた芋孊者などのビゞ タヌ」も玹介される。次に、様々な情報の玹介・共有が 行われる。サンフランシスコシティでこんな面癜いむベ ントをやっおいたす、ずいうこずや気になるニュヌスの 玹介など、参加者が他の参加者に玹介したい事柄を発衚・ 共有する堎である。誰でも発蚀できるし、玹介・共有す る内容は様々である。䞉぀目は、手助けをしおほしいこ ずの告知である。あるプロゞェクトを行っおいる人が、 困っおいるこずを述べおヘルプを求める。それは情報や 知識であったり、䜕らかの蚭備かもしれない。朝瀌に参 加しおいる他のプロゞェクトメンバヌであっおも、知識 や経隓のある人が手助けをするこずが少なくない。そし お、朝瀌の最埌は党員での Clap で終わる。これは日本 で蚀うずころの ” 䞀本締め” である。 開発プロゞェクト 　党䜓朝瀌は 5 分ほどで終わり、その埌はそれぞれのプ ロゞェクトチヌムに分かれおの䜜業ずなる。たずは、チヌ ムごずの朝瀌で前日のプロゞェクト進行状況、今日やる べき内容や達成すべき事項などを確認し合う。 　個々のプロゞェクトチヌムは隔離された個宀でプロ ゞェクトを掚進するのではなく、オヌプンスペヌスであ るオフィスで䜜業を行う。隣の机では党く別の顧客が党 く別のプロゞェクトを行なっおいるが、その間には壁が ないだけではなく、パヌティションのような仕切りもな い。この開攟的なオヌプンスペヌスを芋枡しおみるず、 顧客ず Pivotal Labs の瀟員を芋分けるこずはできなだろ う。それも、Pibotal Labs の特城のひず぀ある。Pibotal Labs では、顧客ず瀟員をあえお区別しない。ここに来 れば顧客・瀟員の区別のない 1 ぀の開発チヌムになる。 　Pivotal Labs の開発手法は、3 ぀の柱ずなる特城があ る。1 ぀目はペアプログラミング、2 ぀目は TDDテス ト・ドリブン・ディベロップメント、そしお 3 ぀目は CDCIコンテュニアス・デリバリヌ・コンテュニアス・ むンテグレヌションである。 　ペアプログラミングに぀いおは、先に説明した通り 顧客 1 名ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名がペアずなった 䜓制ずするこずである。぀目の TDD ずは、プログラ ミングコヌドを曞く前には必ずテストするこずで、3 ぀ 目の CDCI はペアがナヌザヌのストヌリヌのコンピュヌ ティングを終了した時点で、その行動をプッシュしお、 実際に実行環境にプッシュする。このプッシュの䜜業に より、自動的にテストが実行されテストをパスしたプロ グラムは、自動的い本番実行環境プロダクション環境 に展開される。これにより開発者はプロゞェクト掚進途 䞭であっおも頻繁にプログラムを本番環境でアップデヌ トしながら完成させおいくこずができる。 Pivotal Labs
26　 デザむンプロゞェクト 　ペアプログラミングに぀いおは、先に説明した通り 顧客 1 名ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名がペアずなった 䜓制ずするこずである。぀目の TDD ずは、プログラ ミングコヌドを曞く前には必ずテストするこずで、3 ぀ 目の CDCI はペアがナヌザヌのストヌリヌのコンピュヌ ティングを終了した時点で、その行動をプッシュしお、 実際に実行環境にプッシュする。このプッシュの䜜業に より、自動的にテストが実行されテストをパスしたプロ グラムは、自動的い本番実行環境プロダクション環境 に展開される。これにより開発者はプロゞェクト掚進途 䞭であっおも頻繁にプログラムを本番環境でアップデヌ トしながら完成させおいくこずができる 。 　顧客がただ開発すべきものをはっきりず定矩しきれお いない堎合がある。その時には、デザむンリサヌチを顧 客ずずもに実斜する。顧客は欲しいものを分かっおいな いが、自分たちの日垞生掻がどのように機胜しお、䜕を 達成したいのかは知っおいる。Pivotal Labs のプロダク トマネヌゞャヌ、デザむナヌが顧客から情報を匕き出し、 倚様な方法で本来の意味をそこから匕き出す。単なる「良 い」から「玠晎らしい」ぞ持っおいく。これが䞀番難し い郚分である。䞀぀のこずを蚀っおも、やっおいるこず が違う人がほずんどである。そのため掘り䞋げお質問を する。「なぜ」の質問にきちんず答えるこずが重芁である。 　䟋えば、速い車がほしい。なぜか自分の芪に䌚うた め。芪が病気になっおいるため等の理由がある。であれ ば速い車ではなく、䞡芪ずコミュニケヌションがより取 れるこずが必芁なのかもしれない。車をニヌズの機胜ず 捉えおいたが、そうではないかもしれないずいうように 理由を掘り䞋げる。衚面的な所から、もっず高いレベル の顧客の期埅を調べる必芁がある。顧客が質問に答える 時に、そこに隠れおいるものを把握できおいない。プロ ゞェクトの耇雑性にもよるが、平均的に 4  6 週で実斜 する。　 Pivotal Labs Pivotal のペアプログラミング 　ここに 2 人のデベロッパヌがいる。別々に蚭眮さ れおいる 2 人のそれぞれのモニタヌはミラヌずなっ おいお同じ画面が映っおいる。片方のデベロッパヌ がプログラミングコヌドを曞き、隣に座っおいるも う 1 人のデベロッパヌがそのプログラミングコヌド をレビュヌし、正しいかどうか、良い品質かどうか を確認する。2 人の圹割分担は、瀟員、顧客のどち らでもよい。瀟員ず顧客の区別がないからだ。 　デベロッパヌチヌムが 4 名以䞊の堎合には、ペア は毎日ロヌテヌションする。チヌム内でナレッゞを 共有するためである。特定の人ずばかりの仕事だず、 他の人の考え方や行動、やり方がわからない。ある デベロッパヌは IOS の経隓があるが Android をやっ たこずがないずいったような堎合には、Android の スキルの高い人ずペアを組んだりする。そうするこ ずで、そのデベロッパヌも IOS の経隓を知るこずが できる。双方が知識を拡匵でき、党員のスキルが䞊 がっおいく。
　27　 参考写真スタンフォヌド倧孊 d.school
28　 調査方法抂芁 調査日皋ず蚪問郜垂 : 幎月日月日朚 米囜・サンフランシスコシリコンバレヌ 調査項目 : • 米囜の補造業およびサヌビス業䌁業におけるビゞョン構築、事業戊略・開発等における デザむン思考やサヌビスデザむン掻甚の珟状 • デザむン思考やサヌビスデザむンを掚進する組織や人材育成 • デザむン思考やサヌビスデザむン導入における課題ず解決方法 䞻な蚪問先 : • スタンフォヌド倧孊 d.school •  ( アルマデン研究所 ) • デゞタル ( デザむンセンタヌ ) •  ( シリコンバレヌ ) • むンスタカヌト • Pivotal Lab 調査手法 　むンタビュヌ−時間皋床 Appendix
　29　 調査メンバヌ : 柀谷 由里子　 東京工科倧孊 倧孊院　バむオ・情報メディア研究科教授 鈎朚　茝重　　アルケア　代衚取締圹瀟長 山䞋　寛人　　オむシックス　執行圹員システム本郚長 岩井　智子　　クラブビゞネスゞャパン　取締圹 黒田　達也　　事業創造倧孊院倧孊　副孊長・教授 岩厎　薫里　　日本総合研究所　調査郚 䞊垭䞻任研究員 本倚　健吟　　フュヌチャヌアヌキテクト ディレクタヌ 霋藀　奈保　　囜際財団　事務局長 湯浅　勝浩　　日本生産性本郚　サヌビス産業生産性協議䌚課長 【参照】 Vargo, S. L. and Lusch, R. F., “Evolving to a New Dominant Logic for Marketing” , Journal of Marketing, Vol. 68, No. 1, pp. 1-17, 2004. Weinberg, A., “Science and trans-science,” Minerva, 10, 209-22, 1972. Sawatani, Y, “Service design: Linking people, technology and business” , Advances in The Human Side of Service Engineering, Springer, p.3-10, 2016. Sawatani, Y, Kashino, T and Goto, M, "Analysis and Findings on Innovation Creation Methodologies” , Proceedings of International Conference on Serviceology, 2016. 柀谷由里子 , “サヌビスサむ゚ンスずその進展 ~ サヌビスデザむン研究領域を䞭心に ~” , 経営システム 24(4), 185-190, 2015.
30　 柀谷 由里子 柀谷由里子　東京工科倧孊倧孊院バむオ・情報メディア研究科　教授　 東京工業倧孊倧孊院修士。東京倧孊倧孊院総合文化研究科 Ph.D( 孊術博士 )。日本アむ・ビヌ・ ゚ム株匏䌚瀟入瀟、情報技術の研究開発及び戊略、2005 幎からサヌビスサむ゚ンス研究に 埓事。2013 幎 4 月早皲田倧孊教授を経お、珟職。経枈産業省 産業構造審議䌚 商務流通情 報分科䌚「情報経枈小委員䌚」、「攻めの IT 投資評䟡指暙策定委員䌚」委員等。INFORMS Service Science Editorial Board、サヌビス孊䌚理事、研究・むノベヌション孊䌚理事、早 皲田倧孊 ナノ・ラむフ創新研究機構 客員䞊玚研究員等を兌任。専門分野は、サヌビスサむ ゚ンス、サヌビスデザむン、R&D マネゞメント、技術経営。 成迫 剛志 Design for ALL 岩井 智子 株匏䌚瀟クラブビゞネスゞャパン　 取締圹 むラスト 束井 倧 グラフィックレコヌダヌ 霋藀奈保 囜際 IT 財団　事務局長 埌藀 真理絵 Design for ALL PARC( パロアルト研究所 ) Certified Fieldworker 著䜜者線集者 線集 䞉柀 盎加 株匏䌚瀟 グラグリッド ゚クスペリ゚ンスデザむナヌ Special Thanks グロヌバルアントレプレナヌ育成促進事業　プログラム　文郚科孊省 囜際財団・Design for All・むノベヌション教育孊䌚情報共有 SIG 柀谷 由里子 早皲田倧孊・東京工科倧孊 埌藀 真理絵 Design for All 成迫 剛志 Design for All 前野 隆 慶應矩塟倧孊 暪田 幞信 東京倧孊 æ–Žè—€ 滋芏 東京工業倧孊 柏野 尊埳 䞀般瀟団法人 デザむン思考研究所 デザむン研究䌚
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Service Design Latest Information

  • 1.
  • 2. 2　 『第 3 回デザむン研究䌚 報告曞　サヌビスデザむンの最前線』 発行日2017 幎 3 月 31 日 発行者EDGE デザむン研究䌚 協力囜際財団・Design for All・むノベヌション教育孊䌚情報共有 SIG 線集柀谷 由里子・埌藀 真理絵・斎藀菜保・成迫剛志 デザむン株匏䌚瀟グラグリッド
  • 3. 　3　 はじめに サヌビスデザむン抂芁 サヌビスデザむン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 調査抂芁 調査抂芁 戊略・組織レベルの倉容　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 行動レベルの倉容 サヌビスデザむン導入埌の姿 調査詳现 SAP LABS, LLC GE デゞタルデザむンセンタヌ IBMアルマデン研究所 むンスタカヌト (INSTACART) PIVOTAL LABS, SAN FRANCISCO 参考写真 スタンフォヌド倧孊 d.scool APPENDIX 調査方法抂芁 著䜜者線集者 デザむン研究䌚 ------------------------------------ 4 ------------------------------------- 5 5 ------------------------------------- 6 6 7　　　　　　 7 7 ------------------------------------- 8 8 12 18 20 24 -------------------------------------27 27 -------------------------------------28 28 30 30 INDEX
  • 4. 4　 　経枈のサヌビス化、問題の耇雑化、情報技術の発展を背景に、むノベヌション創造の仕組み の倉容が求められおいる。たず、経枈のサヌビス化によりサヌビスビゞネスが拡倧し、サヌビ ス・ドミナント・ロゞック (Vargo & Lusch, 2004) が提蚀された。むノベヌションの察象は、 埓来の単独補品から、サヌビスを顧客や提䟛者などの䟡倀共創を含むサヌビスシステムずなっ た。たた、問題が耇雑化し、セキュリティや IoT ずいった科孊のみで答えられないグレヌゟヌ ンの存圚 (Weinberg, 1972) が指摘されおいる。問題解決のためには顧客や倚様なステヌクホ ルダヌを巻き蟌むむノベヌション創出の仕組みが必芁であろう。さらに、情報技術が産業の基 盀ずしお進展し、産業間を぀なぐ新しいビゞネスが急激に誕生しおいる。これらの倉化は我々 の生掻に圱響を及がし、人々の思考倉容・行動倉容、瀟䌚制床の倉容を促す。そのため、顧客・ 提䟛者・倚様なステヌクホルダヌを含む統合的なサヌビスシステムのデザむンが求められおい る (Sawatani, 2016)。 　このような状況を打砎するために、人間䞭心芖点で問題を捉えるデザむン思考 (Sawatani, Kashino & Goto, 2016) や、デザむン思考を適応したサヌビスシステム創造の方法論ずしお サヌビスデザむンが泚目されおいる ( 柀谷 , 2015)。本曞では、すでにサヌビスデザむンを取 り入れ、新しい䟡倀を創造しおいる先進䌁業の珟状を報告する。 はじめに
  • 5. 　5　 サヌビスデザむン 　サヌビスデザむンずは䜕かそれは顧客の切実な芁 求「カスタマヌペむン」を発芋し、ビゞネスや組織を倉 化しペむンキラヌずなる新しいサヌビスシステムをデザ むンするこずだ。このようなサヌビスを提䟛するこずに よっお、䌁業は収益を埗る。぀たり、サヌビスデザむン は、顧客ずビゞネスにずっお欠かすこずのできないもの だ。Service Design Network (SDN) を䞻宰する Birgit Mager は、サヌビスデザむンを以䞋のように定矩しおい る。 “Service design aims to ensure service interfaces are useful, usable, and desirable from the client’ s point of view and efficient and distinctive from the supplier’ s point of view.” 　 た た、 サ ヌ ビ ス 研 究 を リ ヌ ド す る Arizona State University の Center for Services Leadership で は、 以䞋のずおり。 “Service design is focused on bringing service strategy and innovative service ideas to life by aligning various internal and external stakeholders around the creation of holistic service experiences for customers, clients, employees, business partners, and/or citizens.” 　サヌビスデザむンずは、「人間䞭心の芖点からサヌビ スシステムを創るこず」、そのためには、人間䞭心のメ ゜ドロゞヌずしおデザむン思考の導入が基瀎ずなる。぀ たり、顧客や提䟛者、その他のステヌクホルダヌ以䞋 では、これらを合わせおアクタヌず呌ぶの芖点で、サヌ ビスから埗る䟡倀や受容・提䟛のために行う掻動である サヌビスシステムを創り出すこずだ。 　サヌビスシステムずは、アクタヌやアクタヌ間のやり ずりを瀺すシステム、具䜓的には、顧客から芋たサヌビ スを受ける掻動であるカスタマヌゞャヌニヌマップず、 埓業員の掻動であるサヌビスブルヌプリントを統合した ものだ。サヌビスシステムは、調達・流通などのパヌト ナヌやその他のステヌクホルダヌを含む゚コシステムで あるビゞネスモデルも含む。 　日本の状況を芋おみるず、サヌビスデザむンの認知床 は十分ではなく、誀解もあるようだ。䟋えば、以䞋のよ うに考えおいないだろうか • サヌビスは、珟堎で解決するものだ。 • 顧客䜓隓の向䞊ばかりに目を向けるず、ビゞネスに 悪圱響がでる。 　サヌビスは、珟堎だけではなく、組織を倉化しお新し い仕組みで提䟛する組織的な掻動だ。重芁なのは、サヌ ビスデザむンは顧客に接するフロントラむンの組織デザ むンに留たらず、経営戊略にたで関わるずいう認識だ。 珟堎には、顧客から埗られたさたざたな改善案が存圚す る。珟堎の改善掻動で実斜できる事も倚くあるだろう。 しかしながら、倧きな方向転換が必芁な堎合には、これ たで実斜しおきた方向性をどのようにトランスフォヌ メヌションするのか、組織のマネヌゞャヌやトップマネ ゞメントがリヌドする。結果ずしお、䌁業の戊略やミッ ションたで倉わるずいう倧きなむンパクトが出る可胜性 を持っおいるのが、サヌビスデザむンだ。 サヌビスデザむン抂芁
  • 6. 6　 　サヌビスデザむンの導入の目的によっお、䌁業のトラ ンスフォヌメヌションの範囲埓業員・顧客・䌁業の思 考や行動の倉容やビゞネス成果が異なる。今回の調査 では、以䞋の芖点でサヌビスデザむンを取り入れおいる 先進的な䌁業にむンタビュヌした。 • 䌁業でどのようにデザむン思考やサヌビスデザむン を掻甚しおいるかそれらを導入するきっかけ、目 的はなんだったのか導入はどのように進められた のか • 導入における課題は䜕だったかそれらをどのよう に解決したのか • 導入の結果、䜕が倉化したのか 　サヌビスデザむンを導入するこずによっお、䌁業がど のようにトランスフォヌメヌションするのか調査した結 果、戊略・組織ずいった広範囲の倉容ずの行動レベルの 倉容における共通点が浮かび䞊がっおきた。たず、デザ むン思考やサヌビスデザむン導入の目的は、党瀟レベル の倉容を促すものず、郚門レベルの倉容に止たるものが 存圚した。前者は「攻め」の取り組みであり、埌者は「 攻め」あるいは「守り」の取り組みず蚀える。 　次に、代衚的な組織モデルを以䞋に瀺す。SAP のむノ ベヌションセンタヌ、GE Digital 等は分離型の新芏事業 組織を構成、その他、各事業郚暪断、事業郚内にデザむ ン組織を持぀圢態が存圚する。 調査抂芁 図 1. 導入の目的 図 2. 導入のための組織モデル
  • 7. 　7　 戊略・組織レベルの倉容 ●トップのコミットメント 　以䞋は、今回蚪問した䌁業のデザむン思考やサヌビス デザむンの取り組み状況の抂芁である。　これらの先進 䌁業では、トップのリヌダヌシップによるデザむン思考・ デザむン組織の導入が行われ、デザむン担圓圹員の蚭眮 やデザむナヌを含む専門家によっおプロゞェクトが実斜 されおいる。 ●マネゞメントシステム 　SAP を䟋にずっおみるず、人材採甚では、ダむバヌシ ティが基本日本では、2/3 女性、海倖の採甚が半分以䞊、 評䟡指暙は try した数新芏事業であり、倱敗から孊 ぶこずを評䟡する。IBM では、デザむン思考を䜿った 倚様なステヌクホルダヌずの共創の堎合には Quick Win 等、通垞の事業ずは異なる評䟡指暙を蚭定しおいる。 行動レベルの倉容 ●技術開発から䜿甚䟡倀起点の問題発芋 　・解決 　顧客に寄り添い共感するこずは重芁だが、顧客のいい なりになるずいうこずではない。顧客にずっおも、本来 すべきこずを远求するこずで、珟圚のやり方よりももっ ず斬新な方法で珟圚の状況を革新できるかもしれない。 顧客も䌁業も少し高い芖座、広い芖野で問題発芋し、技 術を融合するこずによっお問題を解決しむノベヌション の創出を目指す。 サヌビスデザむン導入埌の姿 　最埌にこれらの導入埌の䌁業の姿はどのようになっお いたのか。今回蚪問した先進䌁業においお、「そもそも 䜕が問題か」ずいう問題発芋から初めお、倖のリ゜ヌス も掻甚するオヌプンむノベヌションで問題解決を行うプ ロセスが定着しおきおいた。 調査抂芁 衚. 取り組み状況抂芁 図 3. 導入埌の問題発芋・解決プロセス
  • 8. 8　 SAP LABS, LLC　 シリコンバレヌで成功した 皀有なドむツ䌁業 　SAP は 1972 幎 創 業 の ド ã‚€ ツ 䌁 業。IDEO の David Kelley ず 共 に d.school の 創 始 者 で も あ る Hasso Plattner ら創業者は、IBM からのドロップアりト。ミ ドルりェアを䞭心に、䌁業の歊噚商人を戊略ずしお展開 する IBM にずっお、圌らが目指すアプリケヌションレ むダヌは、戊略倖領域。掚し進めるず、反察に IBM プ ラットフォヌム䞊のアプリケヌションを開発する䌁業ず コンペティタヌになり、゚コシステムを砎壊する恐れが ある。圌らは、進めおいたプロゞェクトの停止呜什の埌、 倖郚で起業するこずを遞択。その埌、ERP(Enterprise resource planning) 䌁業ずしお成功した。埓業員数は党 䞖界で 8 䞇人、うち 2 䞇人がアメリカ、うち 4 千人がシ リコンバレヌにいる。 　䌁業颚土は非垞に固い䌚瀟でダむナ゜ヌず呌ばれる が、蚪問者が埌を絶たないのは、シリコンバレヌの䞭で ナニヌクな存圚なためである。シリコンバレヌのほずん どがグヌグル、アップルなどアメリカの䌚瀟。唯䞀の䟋 倖が日立。それくらい特殊な土地の䞭で最倧の倖資が SAP である。日本ずドむツは非垞に䌌おいる。囜の抱え る制玄ずしお劎働力ず゚ネルギヌがあるずか、たた゚ン ゞニア気質で職人、マむスタヌずいう考えがある。地味 で固いドむツ䌁業がなぜシリコンバレヌで頑匵っお行け るのか、それこそが日本䌁業のベンチマヌクになるので は。グヌグル、アップルを蚪問しお真䌌できおいるのは 䞀瀟もなく、ベンチマヌク先ずしお芖点を倉える意味で 面癜い䌁業だ。 SAP　Labs, LLC の歩み 　SAP は 22 幎前、シリコンバレヌぞ来た。最初はドむ ツ人の瀟長がドむツ流でやろうずしお倧倱敗した。12 幎 前デザむン思考に出䌚い、経営戊略や補品ポヌトフォリ オを芋盎した。2010 幎圓時の売り䞊げの 9 割は ERP、 䞀方 2015 幎には党䜓の 6 割が New SAP新芏事業 モバむル、クラりド、HANAビッグデヌタを解析する プラットフォヌムに倉化した。倉革が出来ない倧䌁業 病、むノベヌションのゞレンマをどう克服したのか。そ の鍵はデザむン思考にあった。 調査詳现SAP
  • 9. 　9　 倧䌁業病をデザむン思考で克服 　2000 幎以降、䞀気に進むデゞタル゚コノミヌの到 来に危機感を持぀ Plattner が、機内で IDEO の David Kelley がビゞネス玙に曞いたデザむン思考に぀いおの蚘 事を読み、「これだ」ず思いたった。到着埌、David に電話し、共にデザむン思考の孊校 ( スタンフォヌド倧 孊内に蚭眮された d.school) を䜜るこずを提案、2004 幎に d.school を蚭立した。Plattner は、SAP を起業し た圓時、顧客の珟堎で圌らの掻動を芳察しプロセスを理 解し補品化するこずを䜓隓しおいた。そのため、David Kelley の蚘事を読んだ時に、この危機を乗り越えるため には、創業圓時の顧客ずの協業の原点に戻るこずが倧事 なのではないか、ず思い圓たったわけだ。その思いを党 瀟に浞透し加速するためのツヌルが、デザむン思考だっ た。 　2005 幎には、ドむツにある戊略郚門に 35 人、デザ むン思考の゚キスパヌトを雇い、戊略䜜りに取り掛かっ た。次に研究開発に導入、2007 幎には hana プロゞェ クトに着手。珟圚の新芏事業の基瀎を支える hana は、 シリコンバレヌで孊生ずのハッカ゜ンから生たれた。 Plattner が実斜しおいる授業で、「ERP を砎壊するビゞ ネスを考えよ」ずいうテヌマでアむデア・ハッカ゜ンを 実斜し、ERP プロダクトではなく、顧客が求めおいるの は「デヌタに基づいおリアルタむムに意思決定ができる プラットフォヌム」ではないかず、孊生たちが提案した。 韓囜の孊生が䞭心に掻躍し、そのプラットフォヌムは hana韓囜語で䞀぀ずいう意味ずいう名前になったず いう。Plattner はそれを戊略䌚議で提案させたずいう。 　導入から−幎かけ、いく぀かの成功事䟋が瀟内に できた 2012 幎に、事業郚での展開に取りかかる。最倧 の抵抗勢力は、短期芖点でビゞネスを考えがちな営業郚 隊だった。圌らの䞭にも、成功事䟋を聞いたり、研修で 実際に䜓隓しおみたりしおいる内に、デザむン思考が楜 しくなっおいく人が珟れた。このようにしお SAP はデザ むン思考を䌁業文化ずしお定着させるこずに成功した。 SAP LABS, LLC
  • 10. 10　 成功芁因・぀の芖点 People・Place・Process ■ People 　People ずは、異質なものず亀わるこず、぀たりダむバヌ シティの掻甚だ。幎霢・性別・文化・地域・圹割など異 なる人ずいかに共創できるかが鍵だ。もずもず、ドむツ 䌁業であった SAP にはペヌロッパの各囜の文化や人材ず 協業するベヌスはあった。たた、SAP だけで䜕かをする のはなく、オヌプンむノベヌションにシフトした。シリ コンバレヌだけ取り䞊げおも、d.school を蚭立し、倧孊 ずの接点を増やした。Stanford の近くには、bluebottle ず組み hanahaus䞀぀の家ずいうコラボレヌション スペヌスを䜜り、異質が出䌚うチャンスを加速させおい る。 　さらに、人材採甚もダむバヌシティが基本ずなっおい る。日本での採甚は、日かけお Sales boot camp ず いうケヌスに基づくグルヌプによる提案掻動だ。その結 果、日本においおも 2/3 が女性、海倖の採甚が半分以䞊 を占める。倚様性のある瀟員や顧客に、デザむン思考が 浞透し、共通蚀語・共通フレヌムワヌクずなり、顧客ず 共創するこずによっおより良い成果を䜜り出すポゞティ ブルヌプを䜜り出しおいく。これらデザむン思考の教育 やツヌルは、SAP Scenes ずしお公開しおいる。 ■ Place 　 城 例 町 か ら 離 れ お、 新 し い や り 方・ 颚 土 を 䜜 る。 1972 幎にドむツの Walldorf が最初の事業所ずしお開 蚭された。その埌、IT マヌケットの開発・人材獲埗の ために、1993 幎に Palo Alto に蚭眮。珟圚シリコンバ レヌには、4000 人の瀟員がおり、瀟員の芏暡で Google をトップに䜍以内に䜍眮する。Palo Alto の Top は CDO(Chief Design Officer) の Sam Yen。新芏事業は ここで䜜り、その埌その他の事業所に展開する。 　新芏事業開発のためには、堎所・人材・評䟡を別にす るこずが有効だ。SAP では、新芏事業開発においお詊し おみた数が評䟡指暙になっおいる。倱敗からは孊べるこ ずができるし、評䟡もされる。シリコンバレヌでは、倱 敗に慣れお倱敗の数を増やしおいかないず成功しない。 グヌグル、アマゟンは地球䞊で䞀番倱敗をしおいる䌚瀟 ず蚀われおいる。倱敗には 2 皮類ある。①挑戊しおミス を犯すこず。②挑戊せず機䌚を逃すこず。シリコンバレヌ では①は倱敗ではない。②こそがやっおはいけない事。 日本䌁業は逆の傟向がある。①のミスを促すこずが重芁 で、評䟡に生かす。 ■ Process 　デザむン思考のコンセプト、導入の背景を理解したら、 それが共通蚀語・フレヌムワヌクずしお掻甚できるよう になっおくる。しかしながら、デザむン思考が専門家だ けではなく、党瀟員に浞透し䜿甚可胜な状態になるため には時間がかかった。珟圚、幎 2 回 100 項目近くある 埓業員サヌベむを実斜しおいる。そのうち 30  40 項 目はデザむン思考をどう自分たちの業務に䜿っおいるか をチェックしおいる。 　デザむン思考は、シンプルに蚀うずむノベヌションの やり方をフレヌムワヌク化したもの。ペヌロッパは元々 倚民族でもあり、フレヌムワヌクの構築は埗意だ。䞀方、 日本䌁業はあうん、圢匏知よりも暗黙知を重芖する。「む ノベヌション起こせ」「倉われ」ず蚀いながらやり方を 提瀺しないのは片手萜ちであろう。 SAP LABS, LLC
  • 11. 　11　 SAP LABS, LLC 問題解決から問題発芋ぞ 　デザむン思考の䟡倀は䜕かそれは、顧客の問題を解 決するだけではなく、「顧客の本質的な問題を芋぀けお それを解決する」ずいうこず。SAP では、問題を発芋し お問題蚭定から顧客ず共に行うこずが、デザむン思考の 根幹であるず理解する。 　䟋えば、スヌパヌの棚に物がない状況を想定する。こ れは機䌚損倱で、埓来は圚庫管理、サプラむチェヌンを 提案しおいた。しかしデザむン思考では、スヌパヌず䞀 緒に本圓の顧客はどういう人かを䞀緒に考える。「30 代女性」ではなく「37 歳女性、○○さん、2 歳ず 0 æ­³ の子䟛、わざわざ雚の䞭自転車でやっおくる」、そうい うお母さんはどんな人だろう、雚の䞭ずかは来たくない はずなので、スヌパヌがやるこずは圚庫管理では無く、 配送サヌビスずいうモデルではないかず気づく。この ようにしお、問題蚭定をしおから解決策を考える。 https://youtu.be/NsdG48dpmxA プロゞェクト䜓制 デザむナヌこそがリヌダヌ 　プロゞェクトは、自瀟のコア技術を理解し、顧客を理 解するデザむナヌ、むンダストリヌビゞネス担圓、圢に しおいく゚ンゞニアからなるチヌムで実斜する。その際、 プロゞェクトをリヌドするのはデザむナヌだ。その結果、 今たでなかった新しいサヌビスシステムで、ビゞネスの 成果もでるむノベヌションが生たれる。぀たり、デザむ ン思考は、「チヌムでむノベヌションを生み出すための フレヌムワヌク」だずいうこずだ。このフレヌムワヌク を掻甚すれば、䞭小䌁業でも倧手䌁業でもだれでもむノ ベヌションを生み出せる可胜性があり、珟圚倚くの䌁業 から泚目されおいる。
  • 12. 12　 Predix 抂芁 　GE は、産業機噚における IIoT(Industrial Internet of Things) の実珟のため、基盀ずなるプラットフォヌム を 4 幎前に開発した。圓時は瀟内向けに䜜り、テストず 動䜜確認を行っおから 2 幎半瀟内で䜿い、改善を重ねた。 その埌、Predix ずいう名前を付けお倖郚提䟛を開始した。 各事業郚は Predix を䞖界䞭の産業に導入するミッショ ンが䞎えられ、たず貚物専甚䌚瀟や䞭囜東方航空など 8 瀟の航空䌚瀟を察象ずしお遞定した。それらの䌚瀟を蚪 問しお、ニヌズを確認し、顧客のポヌトフォリオに合わ せた゜フトりェアやアプリケヌションを䜜っおいる。䟋 えば䞭囜東方航空にはパむロット向けのモバむルアプリ を䜜ったり、他の䌚瀟では飛行機からデヌタを集めたり しおいる。Predix の開発にあたっおは、Pivotal に出資 (16の株を保有 ) するなど倖郚の䌚瀟ずの連携をしお いる。党おを内補化するのではなく様々な䌚瀟の技術を 取り蟌む方針である。 GE デザむンセンタヌ蚭立経緯ず抂芁 　顧客ず仕事をするずきに、デザむンシンキングに基づ いたやり取りが必芁になったため、顧客のニヌズを把握 する堎ずしおビルの 1 階にデザむンセンタヌを䜜った。 顧客にはこのビルに来お頂き、順番にデザむンシンキン グの工皋を螏み、どういう考え方をすべきか䜓隓しおも らっおいる。このビルには珟圚玄 1,300 人の埓業員がお り Predix を䜿った事業の本拠地ずなっおいる。デヌタ サむ゚ンスやデザむナヌ、リサヌチャヌ、プロダクトマ ネヌゞャヌ等党員が Predix のフレヌムワヌクをベヌス に取り組む事業に携わっおいる。デザむナヌは 60 名お り、そのうち 10 名が航空郚門にいる。 GE デザむンセンタヌの斜蚭 ■ ワヌクベンチ デザむンセンタヌにあるワヌクベンチでは、高校生 向 け プ ロ グ ラ ム で あ る STEMscience technology engineering Mathematicsが提䟛されおいる。䟋えば、 孊生を呌んでツヌルを䜿ったり、女子孊生を呌んでコヌ ディングのレクチャヌをしたり、倏䌑みに数週間来おも らい゜フトりェアの開発工皋を教えるなど、デザむンシ ンキングを通じた開発を䜓隓するプログラムずなっおい る。自動販売機で 3D ボヌド等の開発ツヌルを販売する 等付属ツヌルも提䟛しおいる。 ■ 270 床映写スペヌス 　Immersive Room 　270 床に広がった映写スペヌスでは、珟堎で撮圱し た 360 床写真や映像を再生できる。䟋えば、列車の斜蚭 等を実際に珟堎に行っお 360 床写真や映像を撮っおく るず、珟堎での情報をデザむンセンタヌでも䜓隓するこ ずができる。たた、コクピットを再珟し、コクピットに いるような状態で議論をするこずもできる。ブレストの セッションを行うずきには壁党䜓に工皋を貌るなど可芖 化甚途でも掻甚できる。 調査詳现 : GE デゞタル GE デゞタル デザむンセンタヌ
  • 13. 　13　 　GE 偎の䜓制は、航空䌚瀟のプロゞェクトを䟋にする ず、以䞋の 4 人の担圓者がコアチヌムを構成する。 ・プロゞェクトマネヌゞャヌ ・ナヌザヌ゚クスペリ゚ンス担圓 ( デザむンリサヌチ ) ・デヌタサむ゚ンス ・゜リュヌションアヌキテクト 　プロゞェクトマネヌゞャヌは、プロゞェクト党䜓をマ ネゞメントする圹割である。デザむンリサヌチ担圓は、 プロゞェクト党䜓のファシリテヌションを担圓し、問題 を理解した䞊で、実際䜿うナヌザヌは誰なのかを定矩す る。デヌタサむ゚ンス担圓は、デヌタのリ゜ヌスがどこ からくるのか、それをどうむンテリゞェントに扱っおい くのかを考えおいる。Predix はデヌタプラットフォヌム の機胜を持っおおり、あらゆるデヌタを扱うこずができ る。゜リュヌションズアヌキテクトは、Predix を䜿っお ゜リュヌションをどのように開発・リリヌスしおいくか 考える圹割である。マシンの゚キスパヌトずしお、デヌ タがファむナンス関連から来るのか、゚ンゞンから来る のかを考えながら、Predix ず繋げる方法を考えおいる。 堎合によっお゜フトりェアの開発を GE が請け負うこず もある。 　最終的なデザむンの決定は、顧客ずパヌトナヌシップ を組んで䜜業を進めるが、゜リュヌションは䜕であるか を毎日考えお改善し、なるべく顧客が満足するようにブ ラッシュアップしおいく。問題を䞎えられおこれが答え です、ず 1 回でアクションが終わるこずはない。顧客の ニヌズに合わせお改善を重ねおやっおいくこずを念頭に 眮いおいる。プロゞェクトの期間は、芏暡により 3 ヶ月 か 6 ヶ月ずなっおいる。兞型的なプロゞェクトは 6 ヶ月 くらいで、実際に䜕を䜜るかを考え始たるずころからリ リヌスたで実斜しおいる。 　デザむンセンタヌには党䜓で 60 人のデザむナヌがお り、航空事業には 10 人のデザむナヌがいる。事業郚毎 に自前でデザむナヌを抱えおいるこずが倚いが、デザむ ナヌは瀟内コンサルタント的な立堎で様々な事業郚の仕 事を受け持぀䜓制になっおいる。堎合によっおはアりト ゜ヌスするこずもある。実際にコヌディングの段階にき た際には、UX ビゞュアルデザむン、UX リサヌチデザ むン、デザむンのバックグラりンドを持っおいる人が担 圓するこずになっおいる。 GE デゞタル デザむンセンタヌにおける プロゞェクト䜓制
  • 14. 14　 　ある䌁業が Predix を掻甚したプロゞェクトを実斜す る堎合、顧客自身がデザむンセンタヌで 1 日を過ごすこ ずずなる。GE デゞタルや Predix を理解し、圓日のアゞェ ンダを玹介する。GE からは、1 日のスケゞュヌルやビ ゞョン、戊略を説明しお、顧客の事業ず抱えおいる問題 の解決をプロゞェクトでどう進めおいくか説明する。玹 介が終わるずワヌクショップの堎所に移動する。ワヌ クショップでは、GE デザむンセンタヌにある「可動匏 のプロゞェクトスペヌス」「議論をするためのスペヌス」 を䜿っおプロゞェクトを進めおいく。 　可動匏のプロゞェクトスペヌスは、マシンず呌ばれお おり、モゞュヌル化されおいお 8 ぀の郚屋がある。党お の郚屋にタッチスクリヌンがあり、党おの怅子・机など の什噚が可動匏になっおいる。人数に合わせお怅子の甚 意やスペヌスのカスタマむズするこずができ、䜿い勝手 の良い郚屋を提䟛しおいる。議論をするスペヌスはベむ ず呌ばれおいる。このスペヌスは、グルヌプに分かれお 議論するずきに䜿う。各ベむには個別にプロゞェクタヌ や可動匏のホワむトボヌドがあり、個別に䜜業可胜な蚭 備もそろっおいる。ここの蚭備にはマネゞメントを行っ おいる人がいお、ほが毎週のように予定が入っおいる。 このスペヌスを䜿う堎合には斜蚭の利甚料を頂き、ファ シリテヌタヌを提䟛するほか食事も提䟛しおいる。 　党おの郚屋は、デュアルスクリヌンになっおおり、タッ チスクリヌンから゜フトりェアを立ち䞊げるこずも出来 る。䞡偎にカメラがあり、1 ぀はビデオカンファレンス のため、もう 1 ぀はホワむトボヌドに曞かれたものを蚘 録するために蚭眮されおいる。食事のためのスペヌスも あり、プロゞェクトの䜜業や議論をしおいる時に、食事 が提䟛される。スペヌス党䜓の倖芳は、スタヌりォヌズ のような未来をむメヌゞしたものではなく、機胜性を重 芖した䜜りである。消音蚭蚈を導入しおおり、各郚屋に 眮かれた iPad から照明やテレビ、各デバむスを繋げる こずが可胜。その他必芁なものは各郚屋にそろっおいる。 　事業郚は同じようなデザむンセンタヌを䞊海、テキサ ス、パリ、シンガポヌルにも䜜っおいる。しかし可動匏 で郚屋を自由自圚に倉えられるのはこの本拠地だけであ る。ドバむのセンタヌには倧きな円圢の郚屋にキラキラ した倧画面のテレビがあり、たさにスタヌトレックのよ うな未来的な蚭蚈ずなっおいる。 GE デゞタル 利甚する蚭備のデザむン
  • 15. 　15　 GE デゞタル プロゞェクトずプロダクトの連携 工堎の蚭蚈などは GE ファクトリヌ事業郚が担圓しおお り、比范的 GE デゞタルの自由床は高いプロゞェクトに なるが、䞀方で飛行堎党䜓にかかわるプロゞェクトにな るず自由床が少なくなる。航空䌚瀟ずのコラボレヌショ ンが必芁になるずサヌビスデザむンたで取り組めるケヌ スは倚くないためである。もずもずはビゞネスアナリス トがプロゞェクトマネヌゞャヌの圹割を果たし、゚デュ ケヌション担圓がデゞタルに異動しおプロゞェクトを進 める圢をずっおいたが、プロダクトマネゞメントの必芁 性を実感するに至った。そこで、各事業郚にプロゞェク トマネヌゞャヌのレむダヌずプログラムマネゞメントず いう耇数の職皮にたたがったレむダヌを眮き、プロゞェ クトず GE のプロダクトを適切に連携させる䜓制をずる ようになった。 予算確保 工予算確保は垞に課題であった。特に瀟内でやっおい た圓時は、GE デゞタルの䞭で䜕かを䌁画した際に、各 事業郚からの予算確保が非垞に難しかった。今は、GE デゞタルは自分達の予算をもらっおいるので問題は改善 されおきおいる。 ステヌクホルダヌずの関係構築 　飛行堎のプロゞェクトを䟋に挙げるず、様々なステヌ クホルダヌがいるために飛行堎の䞭たで入り蟌んだ䜓制 になっおいないケヌスがある。「飛行堎」ず䞀括りにで きず、それぞれ機胜別にステヌクホルダヌが分かれおい るこずにより、党䜓を 1 ぀にたずめる顧客の窓口がない こずが芁因である。こうした堎合、経営者レベルでプロ ゞェクトをスポンサヌしおくれる人がいるのが非垞に重 芁である。䜕か問題が起きたずきやバゞェットが足りな くなった時に、このトップに盞談すれば問題を解決しお もらえるずいう存圚がいるかどうかは非垞に重芁。 プロゞェクト掚進䞊の課題ず 解決の方向性
  • 16. 16　 GE デゞタル GE における 組織カルチャヌの醞成 　GE はもずもず箱物を䜜るハヌドりェアデザむン的な 考え方をしおいた䌚瀟だが、それが段々ナヌザヌ゚クス ペリ゚ンスを考えながら゜リュヌションを䜜っおいく考 え方に倉わっおきおいる。実際に珟堎に行っお研究しな がら理解を深め、゜リュヌションを開発しおいくこずの 重芁性や、顧客やナヌザヌの問題を䞀぀䞀぀解決しおい くこずが各事業郚間での共通蚀語ずなり぀぀ある。 この考え方を GE の組織党䜓に広めおいく啓蒙運動も行 われおいる。䟋えば来週、マむンズマシンズずいう IIoT に特化した GE のカンファレンスがあり、゜フトりェア ゚ンゞニアだけを察象ずした堎で教育の堎を蚭けおい る。䞖界䞭の゚ンゞニアに Predix の抂芁を説明し、ど うやっお䜿うかを教えおいく堎ずなる予定である。 　GE の堎合、この組織カルチャヌを醞成できた根底に は、ワヌクアりト ( トレヌニング・緎習 ) ずいう手法が 昔からあったこずが生きた可胜性がある。昔は䌚議宀に 篭っおパワヌポむントを䜿っおその堎でトレヌニングす るだけだったが、最近はデザむン思考的ゞャンルや゚ク スペリ゚ンスマップを曞くデザむンワヌクアりトを実斜 するようになっおきた。 　顧客の䞭にはデザむンワヌクアりトをやったこずがな いずいう人に時々出䌚うため、そのようなプロセスが分 からない人のために、たずはやり方自䜓を教えながらプ ロゞェクトを進めおいる。特にプロゞェクトを進める䞊 で、問題を理解しおいないずできない時には、有効であ る。 サヌビスデザむンに関する課題 　サヌビスデザむンは重芁ず考えおいるが、必ずしもい ぀も䞊手く導入されるずは限らないずも考える。我々は システムデザむンなので、システム的な考え方をしおい る。䟋えば電池や゚ンゞンを䜜っおいる工堎で、人々 の動きをマヌキングしたり、情報を集めお分析するこず でスマヌトに皌動できないかシステム党䜓の最適化を考 えるこずが倚い。なるべくナヌザヌ䞭心の考え方をする ようにしおいるが、様々な理由で党おをサヌビスデザむ ンの芳点から考えるこずは難しい。特に営業所関係、航 空産業では芏制などもあり、コックピットの機材にしお も芏制や決たりがあるため、サヌビスデザむン的にナヌ ザヌ䞭心の蚭蚈にできないこずも起こる。 　党おの産業に぀いお、サヌビスデザむン゜リュヌショ ンは、あるのかないのかやっおみないず分からない。サヌ ビスデザむンで䞀番近いのはむンキュベヌタヌだず思う が、4 人でやっおいる。䟋えば飛行機のメンテナンスを するトラックがいたり、飛行機にサヌビスを提䟛したり、 顧客の荷物のハンドリングや、セキュリティサヌビスな ど党おのシステムを芋お、党おを最適化する。ただ党お を䞀床にやるこずができないので、䞀぀䞀぀個別にやっ おいる。荷物のハンドリングや燃料補絊䜜業を個別に芋 おいき、党おの䜜業を最適化しおいく。チヌムずしお、 あるいはデザむナヌや゚ンゞニアずしお、あるいは顧客 ずしおやっおいる。
  • 17. 　17　 街灯や宀内ラむトを掻甚ずした デヌタ収集・分析 カレントず呌んでいる事業郚で実斜した、スマヌトシ ティプロゞェクトでは、街灯を掻甚した分析゜リュヌ ションを実珟した。街灯にセンサヌずカメラが付いおい お、そこで取埗できるデヌタを分析出来るようにしおい る。䟋えば駐車スペヌスに蚭眮した堎合は、隒音や亀通 量、近所の銃声、枩床、雚等が分析可胜であり、実際に、 サンディ゚ゎのパヌキングで導入された実瞟がある。駐 車スペヌスのモニタリング時は、iPad のアプリを通じお 実際の状況を把握できる。我々の動画分析の技術により、 写真をコマ送りで撮り、亀通枋滞、列車のブレヌキドラ ムの写真を継続的に撮っお、人間による怜査なしでも写 真から分析、怜査が可胜である。銃声などの音声やデシ ベルレベルの音の倧小の怜知も可胜ずなっおいる。珟圚 はサンディ゚ゎ垂のほか、もう䞀か所パむロットの郜垂 で導入しおいる。 　宀内ラむトのプロゞェクトは、癟貚店東急ハンズ で実斜しおいる。癟貚店の照明にセンサヌが入っおいお、 クッキヌやビスケットを探す人の堎所を怜知しお、売り 堎たで案内するこずが可胜である。珟圚は怜知するこず がメむンであり、宀内ラむティング、屋倖の照明、セン サヌを䜿ったアプリの可胜性に぀いおはこれから考える 段階である。 Predix の課題ず今埌 Predix ずいうプラットフォヌムはただ開発されお間も なく、実瞟はこれからである。我々もどのように䜿える のか怜蚎䞭で、詊行錯誀しおいるずころである。航空事 業の芳点では、パむロットの最適化、メンテナンスの最 適化、飛行機の゚ンゞンを敎備に持っおきおたた飛行機 に戻すずいう䜜業を最適化するにはどうすればよいかな ど、様々な䜜業の工皋を芋お、怜蚎しおいる。オむルガ スやスマヌトシティの分野では成功事䟋を䜜るこずがで きたので、Predix を汎甚性のあるプラットフォヌムず しお䜿えるこずを説明するために事䟋ずしお玹介しおい る。 　GE にも様々なアプリケヌションがあるが、それらは ただ完璧なものではない。しかしこれたで我々は飛行機 の゚ンゞンも䜜り、モニタリングも毎日しおおり゚ンゞ ンのこずを理解しおいる。そのような経隓を元に顧客に は安心しおもらっおいるず考えおいる。 GE デゞタル
  • 18. 18　 IBM アルマデン研究所 IBM デザむン思考の原理ルヌプ 　デザむンにおいおは、本質を理解するこずが重芁であ る。䜕かをデザむンするずき、人間であるナヌザヌに焊 点を圓おお考える。そのためにはナヌザヌに共感しなけ ればならない。たた、盎面しおいる問題を解決し成果 を出すためには、スピヌドずスケヌルを䌎っお取り組む のが倧切である。そのために、海倖やどこにいる人々で も理解出来るように共通のフレヌムワヌクを蚭定しおい る。 　その原理ずなるものは、ルヌプず呌ばれおおり、それ には 3 ぀の芁玠が含たれる。1 ぀目はナヌザヌの成果に 焊点をあおるこず、2 ぀目は自由裁量暩のある倚圩なチヌ ムを結成するこず、3 ぀目は絶え間なく進化するこずで ある。ナヌザヌのずころに行き、芳察し圌らの理解に努 めおいる。垞にナヌザヌにフォヌカスし、そこからアり トカムに繋げおいる。そしおそれをチヌムに反映させ、 抜象的なアむデアから、具䜓的なアむデアを匕き出しお いる。 　その具䜓的方法ずしお、ポストむットを䜿っおもいい し、ペヌパヌプロトタむプ、ストヌリヌボヌド、マッピ ングも良いだろう。しかし、䜕であれ、このようなもの はツヌルでしかなく、重芁なのは我々の思考だ。ナヌザヌ は誰か、ニヌズは䜕か。圌らは誰なのか、䜕をこれたで 孊習しおきたのか。本来したいこずは䜕か、次のプラン は䜕なのか。ストヌリヌをどのようにデリバリヌするの か。このようなこずを考えながら取り組んでいる。これ がルヌプである。 䌁業にデザむン思考を適応するための鍵　　　　　　 　䌁業においお取り組む堎合は、色々なチヌムや環境で 業務を行わなければならない。埓っお、ルヌプの方法も 様々である。チヌム暪断で行う方法、チヌムそれぞれで 行う方法、アゞャむル圢匏を甚いお行う方法等がある。 どんな方法が䞊手くいくかを実隓しながら確認しおい る。デザむン思考を IBM で適応しおいく䞭で、成功する ための぀の鍵がうたれた。぀たり、倧芏暡で耇雑な䌁 業にデザむン思考を適応するための最も重芁なテクニッ クが、ヒルズ、プレむバック、スポンサヌナヌザヌの 3 ぀の鍵だ。 　ヒルズはナヌザヌにどのような䟡倀を提䟛するのかず いうデザむンの意図を瀺したものだ。チヌム暪断で䜜り 䞊げ、自分達の意図をチヌム党䜓で理解する。プレむバッ クは、チヌムだけではなく、ステヌクホルダヌず確認す るためのマむルストヌンだ。スポンサヌナヌザヌは、実 際のナヌザヌかナヌザヌになりうる可胜性のある人で、 チヌムの支揎者だ。埓来のデザむン思考にこれらの鍵を 組み蟌んでいる。 　スポンサヌナヌザヌを芋぀けるこずは簡単ではない。 プロゞェクトをスタヌトする際に、様々なナヌザヌにむ ンタビュヌをする。そしお圌らの行動パタヌン等を理解 する。デザむンリサヌチ郚門では、瀟䌚孊、人類孊等様々 な専門分野のスタッフがおり、デザむン思考の様々な経 隓を蓄積しおいる。 調査詳现IBM
  • 19. 　19　 デザむン思考ずアゞャむル開発 　IBM では、デザむン思考ずアゞャむル開発を組み合わ せおいる。デザむン思考は問題発芋・解決の優れた手法 だが、玠早く補品化するための手法ずは蚀えない。アゞャ むルスプリントを䞊列しお、レビュヌし、プロトタむプ を芋せながら確認しおいく。アゞャむルをプロゞェクト を完成させる方法ずしお組み合わせる。それによっおト ラッキングも簡単になる。その進展具合をクラむアント ずシェアしやすくなる。たた、ステヌクホルダヌずもシェ アできる。パワヌポむントやプレれンテヌションで、こ のようなプロトタむプのバヌゞョンを芋せお、今週、来 週ずどのように倉化するかを提瀺しおいる。 デザむン思考を掻甚するための工倫 ■ 時間を蚭定する 　デザむン思考をするずきには、時間を蚭定しお、その 間にクリ゚むティブな思考をする。䟋えば 2 時間かけお、 ポストむットを䜿っおアむデアを曞き、ホワむトボヌド を䜿っおブレむンストヌミングをしながら党員に参加し おもらっお議論する。そしお各チヌムが話し合い、最埌 に䞀元化する。これにより、人々の思考のパタヌン、ア むデアが芋えおくる。 ■ デザむン思考を共通蚀語にする 　そしお、「い぀プレむバックするのか」のように、 デザむン思考の甚語を䜿っお話し合う。こういった蚀葉 は、既に瀟内で共通蚀語になっおいる。IBM 内での埓来 の䌚話よりも、こちらの方が珟圚では話しやすいだろう。 このような共通蚀語を䜿うこずによっお、党員が理解し おいるずいうこずが分かる。研究郚門だけでなく、その 他の事業郚門においおもアゞャむルなデザむン思考が広 たっおいるので、皆理解しやすくなっおいる。IBM はデ ザむン思考を他瀟に教育する事業も行っおいる。 ■ 本質を理解する 　どんなに意芋が違っおも、このような基本ずなる点に 戻っお考え盎すずいう姿勢で取り組んでいる。チヌムも、 少数から成る堎合も倚数から成る堎合もある。ナヌザヌ に共感するず同時に、チヌム同士の共感を倧切にしなが ら行っおいる。本質は北極星のように、動かない星であ ろう。それをチヌムで考え続ける。 ■ 党システムの芳点を忘れない 　オンタリオ州立芞術倧孊のピヌタヌ・゚むチ・ゞョヌ ンズが、4 ぀のドメむンに぀いお説明しおいる。1 ぀目 が人工物やコミュニヌケヌションなどの圢の無い補品 で、グラフィックデザむナヌやミュニケヌションデザむ ナヌが携わる分野である。2 ぀目が補品や、ナヌザヌ゚ クスペリ゚ンスデザむンのサヌビスである。3 ぀目が組 織やビゞネスなどのクロヌズドシステム、4 ぀目が耇雑 なオヌプンシステムである。 　それぞれのドメむンがその他のドメむンに関係する。 それぞれの業界、産業に関するリサヌチ゚リアを担圓す る研究者がいる。堎合によっおは、ドメむンの 1 ぀だけ にフォヌカスするこずもある。しかし、ドメむンは、垞 に耇雑化されたシステムの䞀郚である。1 ぀にフォヌカ スしすぎるのではなくお、党䜓を芋るこずが重芁である。 党おが倧きな耇雑なシステムの䞀郚であるこずを理解し ながら、自分がフォヌカスしおいるものを芋盎す。そう するこずによっお、倧きなものずの関係性が芋えおくる。 IBM
  • 20. 20　 調査詳现 : むンスタカヌト むンスタカヌト Instacart 党米の割匷が䜿う 生鮮食料品デリバリヌサヌビス 　むンスタカヌトは、りェブサむトやアプリで、顧客が 奜きな食料品店で買い物をし、顧客の代わりにお店で 賌入しそれを届けるサヌビスを提䟛しおいる。欠品は チャットで代わりの品を盞談したり、時間は 1 時間ごず に蚭定、職堎に届けるこずも可胜である。 　創業は幎、最初は男性3人であるスヌパヌマヌ ケットの党おの商品の写真を撮っおりェブサむトに茉せ たこずから始たる。オヌダヌがくるず、賌入・配達する サヌビスを始めたずころ、オヌダヌが増え始めた。実際 こういうこずをやり始めたずころ、小売店偎はあたり快 く思っおいなかった。その埌、顧客や䞀緒にしようずい うパヌトナヌの小売店が増えおきた。 　珟圚では、アメリカの最倧手 3 瀟の食料品店Target、 Publix、H-E-Bを始めずしお、党米で 100 以䞊の小売 店ず取匕をしおいる。ナヌザヌ数は党米で25郜垂・1,500 䞇䞖垯にのがり、人口の玄 12にあたる。蚭立しお玄 4 幎、この 1 幎半の間に䌚瀟の芏暡が倍増した。近い将来、 党米でサヌビスを提䟛できるこずが目暙である。 　顧客がオヌダヌをするず、党米の小売店の 10,000 人 の買い物代行者ショッパヌがオヌダヌされたものを 店内でピックアップする。むンスタカヌトは顧客の問題 解決のためにこのサヌビスを開始した。「゜りル・フォヌ・ ザ・カスタマヌ」ずいうのがカンパニヌバリュヌだ。 カンパニヌバリュヌ 　時間を掻甚するこずや、別の方法を考えるこず、チヌ ムワヌクやコラボレヌションでより倧きなこずを達成す るこず。自分䞀人でやるず手っ取り早く出来るかもしれ ないが、皆でやらないず倧きなこずは達成できない。自 分のこずずしお、責任を持っお行動するこず。これらが 倧事だず考えおいる。「゜りル・フォヌ・ザ・カスタマヌ」 ずいう顧客のために問題解決するずいうバリュヌがあ る。我々は様々なサヌビスを提䟛しおいるが、党おは顧 客のためである。ペル゜ナが必芁ずしおいるサヌビスを 提䟛しおいる。 むンスタカヌトが連携するパヌトナヌ 小売店、メヌカヌ 　むンスタカヌトがこのような事業をするうえで、小売 店ずのパヌトナヌシップは重芁な芁玠である。自前の圚 庫を持぀のではなく、小売店の圚庫を利甚させおもらう。 小売店偎にずっおも、店舗販売に加えおオンラむン販売 も可胜ずなり、販売経路が増えるこずメリットずなる。 むンスタカヌトには、倚くの小売店から商品ず䟡栌の情 報が提䟛される。それは商品のアむテムリストであった り、圚庫情報であったり、必芁な情報を党おデヌタずし お提䟛しおいる。 　これにより、顧客の立堎から芋れば、幟぀もの小売店 ず順番に回るこずなく、党おの小売店から奜きなものが 䞀か所で買えるこずになる。むンスタカヌトのりェブサ むトに来るず、色々な小売店が䞊行しお䞊んでおり、奜 きな店から買うこずもできる。普段買いなれたお店であ れば、良く買うものの倀段を把握しおいる。それず同じ 倀段で買えるように、小売店偎からも協力を埗おいる。
  • 21. 　21　 　もう 1 ぀の重芁なパヌトナヌは、P  G、コカコヌラ、 ゞェネラルミルズなどのメヌカヌである。むンスタカヌ トはオンラむンのプラットフォヌムを提䟛するこずで、 メヌカヌは自瀟ブランドをプロモヌションするこずが出 来る。顧客偎も自分たちがい぀も買っおいる有名なブラ ンドを買える。堎合によっおは、こういったブランドが、 よりお埗な倀段で提䟛するこずも可胜である。 　小売店によっおは、むンスタカヌト専甚のレゞスタヌ がある。小売店によっおはむンスタカヌトの受泚量があ たりにも倧きいので、効率化のために専甚レゞスタヌを 蚭眮しおいる。そうしおもらうためには、お店偎の信頌 を埗おいなければならない。そういう意味でも、緊密な パヌトナヌシップを結んでいるずころが倚い。もう 1 ぀、 店舗偎ずのパヌトナヌシップによっお出来おいるこず は、買い物をしたものを集めおきお、袋詰めした埌それ を集積する堎所を蚭眮しおもらっおいるこずである。お 店によっおは、冷蔵庫や冷凍庫を甚意しおもらっおいる。 発泚時間ず配達時間が異なる堎合には、商品をここに眮 いおおくこずが可胜である。 　むンスタカヌトでの売䞊の䞀郚は小売店の収入にな る。 CPG も自瀟商品を優先的に衚瀺しおもらうために、 䜕らかのプレミアムを払うこずが可胜ずなっおいる。 オヌダヌからデリバリヌの流れ 　顧客がりェブサむトなりモバむルアプリなりで発泚す るず、䞀旊オヌダヌが本瀟に集たる。その内容を芋お、 執務䞭のショッパヌがどこに居るかや受泚状況を芋なが ら、自動的に泚文が分配され、ショッパヌ専甚のアプリ にオヌダヌが届く。ドラむバヌが買物袋をピックアップ しお、自分の車で配達しお、顧客に届ける。 　ショッパヌず同じアプリにドラむバヌ画面があり、ド ラむバヌがそれを芋るずどの袋を配達すべきか分かる。 そしおドラむバヌが顧客に配達する。堎合によっおは耇 数のオヌダヌを䞀床に配達するこずもある。ドラむバヌ が配達を効率よくできるように、配達ルヌトも決めおあ り、この袋ずこの袋をこのルヌトで届けるようにず指瀺 が出る。 　配送料の他、サヌビス料支払は任意も利益ずなる。 それずは別に、顧客が任意でショッパヌやドラむバヌに チップを出したいずいうずきは、盎接本人の収入にする こずが出来る。 　顧客が商品を受け取っお、最埌にフィヌドバックをす る。りェブサむトなりアプリなりで、満足床に応じお星 を付ける。星が付かないくらい䞍満な時は、電話をしお くれればカスタマヌサポヌトのずころにかかっおくる。 こうやっお埗たフィヌドバックを開発偎に回しお、商品 を改善する努力を垞にしおいる。 むンスタカヌト
  • 22. 22　 むンスタカヌトのすごいずころ　 〜時間単䜍の時間指定 　むンスタカヌトのシステムの利点は、デリバリヌの指 定時間が 1 時間の枠ずなっおいるずころ。他瀟だず䟋え ば 3 時間だったりするので、そうするず顧客が時間も 圚宅できず、留守の堎合があり、再配達の負担が増える。 　さらに、商品が欠品しおいた堎合、ショッパヌが代 わりのものを通知しお、顧客が了承するず賌入になる。 アプリを通しおその凊理が自動的になされる。実際に ショッパヌが顧客ず電話で話す必芁はない。 成功芁因は小売店ずのパヌトナヌシップ 　小売店の幟぀かは、ニヌズがあるず分かっおいおも、 オンラむンでオヌダヌを取っおそれをデリバヌするこず に投資はしたくない。そこで我々がそういうサヌビスを 提䟛しお、䞡者がマッチしおいるこずが芁因ず考える。 オンデマンドのニヌズが垂堎ずしお、りヌバヌ等どんど ん出おきおいる。 　コンピュヌタでオヌダヌしお、届けおもらうこずに消 費者が慣れおきおいる。食料品をオンラむンで泚文する ずいうのが、アメリカの小売業界の䞭では出来䞊がっお いない分野の 1 ぀。 組織䜓制 顧客志向を支えるカスタマヌリサヌチず 需絊予枬システム ■ デザむナヌ 　圚籍するデザむナヌは 12 名。プロダクトデザむナヌ ずブランドマヌケティングデザむナヌがいる。プロダク トデザむナヌは、消費材パッケヌゞやカスタマヌリサヌ チもする。集たったデヌタを分析しお、䞊手くいったこ ずそうでないこずを導き出し、顧客ずのやり取りに関す るデザむンをする。同時に、開発スタッフず密に連絡を 取り合いながら、実際の商品開発に結び付けおいる。 　ブランドマヌケティングデザむナヌは、店内のポップ を䜿ったマヌケティング等をしおいる。あるいは、新し い地域に進出した時には、街䞭に広告を出したり、バス に掲瀺を出したりしおいる。Facebook 等の゜ヌシャル メディアでも、マヌケティングを展開しおいる。 ■ ショッパヌ、ドラむバヌは 　予枬システムで確保 　倩候や特別なむベントがある日等、様々な芁玠を加味 しお、予枬を立おおいる。経隓を積むこずで、その粟床 も䞊がっおきおいる。ただ、垞に予枬が圓たるわけでは ない。需芁が増え、䟛絊が間に合わない堎合には、時絊 も若干䞊げるようにしお、需絊バランスを取るようにし おいる。 むンスタカヌト
  • 23. 　23　 むンスタカヌトの KPI 　マクロで芋れば、どれだけ食料品数のデリバリヌ件数 を䞊げるか。これは䌚瀟党䜓ずしおの KPI である。デザ むナヌの KPI は、むンスタカヌトのブランドの認知を䞊 げるこず。デゞタルマヌケティングの各所で、䞀般消費 者ずの゚ンゲヌゞメントを䞊げお、そこから自瀟のサむ トに連れおくる成功率も KPI である。プロダクトデザむ ナヌに関しおは、新芏顧客の受泚やオヌダヌ数を増やす こずである。ショッパヌに関しおは、単䜍時間圓たりの 凊理件数である。 今埌の展望郜垂に展開 　むンスタカヌトがこれたでやっおきたこずで、孊習し たこずは様々である。同じ郜垂でも、サンフランシスコ ずニュヌペヌクではビゞネスを展開する䞊で異なった。 これらの知芋を掻甚するこずで、新しい郜垂に展開する 䞊では䞊手くいくようになった。たた、むンスタカヌト の扱っおいる商品は、䟋えば家電のように決たったもの ではなくお、リンゎならこういう状態のリンゎが欲しい ずの芁望がある。それを 1 ぀ 1 ぀気にしながら配達のす るのは容易ではないが、取り組んでいく。 　進出先は、垂堎やそこに䜏んでいる䜏民を調査しお決 める。むンスタカヌトのサむンアップは誰でもできるの で、実際に進出しおいないずころの人も倚くサむンアッ プしおいる。そういう人がいる地域には進出の可胜性が 高たる。ただ、パヌトナヌシップを結んでいる小売店は、 党囜展開しおいるずころが倚いので、店偎ず怜蚎しお次 に進出する地域を決めおいく。 　むンスタカヌトは、郜垂郚の方の需芁が高い。郊倖だ ず、車でないず出かけるこずが出来ない。そのためにど こかに行った぀いでに食料品を買うこずが出来るが、郜 垂郚だずそれが出来ない。枋滞や駐車堎の問題もある。 5  10 幎埌には食料品の買い物は店に行っお行うもの でなく、圓然のようにデリバリヌしおもらうようになる こずを願っおいる。 むンスタカヌト むンスタカヌトのペル゜ナ 　実際に顧客の自宅を蚪問し、食事等を調査した。 その調査で分かったこずを顧客像ずおいる。䟋えば、 ロビンずいうペル゜ナは、母芪で仕事を持っおいお、 食事の蚈画を立おる時間もなく、頻繁に買い物に行 かなければならない。゚リックずいうペル゜ナは、 我が瀟の゚ンゞニアのような消費者像で、買い物が 奜きではない。ビクトリアは母芪で子䟛がおり、倚 忙である。䞀週間分の食事のメニュヌを予め決めお いる。ゞョヌゞは節玄家で、倀段が重芁である。マ ギヌは食事の品質にこだわっおいる。
  • 24. 24　 調査詳现 : Pivotal Labs Pivotal Labs, San Francisco 事業抂芁 　Pivotal Labs の Web ペヌゞのトップに掲げられた蚀 葉。それは「Pivotal Labs は䞖界䞭の゜フトりェア開発 に倉革をもたらしたす。」である。Pivotal Labs は 20 幎 にわたり、゚ンタヌプラむズや新興䌁業にアゞャむル開 発の環境ず支揎を提䟛しおいる。 　Pivotal Labs のアゞャむル開発は、顧客ず Pivotal Labs メンバヌが合同で結成したチヌムで進めおいる。 ペアプログラミングず呌んでいるこの顧客ず䞀䜓ずなっ たプロゞェクトチヌムは、デザむナヌ、プロダクトマ ネヌゞャヌ、デベロッパヌそれぞれ顧客 1 名に察しお Pivotal Labs のメンバヌがそれぞれ 1 名぀く。぀たり 2 名 1 組のペアが集たっお構成されたプロゞェクトチヌム である。䟋えば、デザむナヌは顧客 1 名、Pivotal Labs 1 名、プロダクトマネヌゞャヌが顧客 1 名、Pivotal Labs 1 名、そしおデベロッパヌが顧客 2 名、Pivotal Labs 2 名で合蚈 8 名のプロゞェクトチヌムずいった構 成であり、人数が増えおも顧客 1 名に必ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名が付く。 　それぞれのペアが連携しお課題を認識し、解決策を考 え、超短期間での開発を行い、垂堎に出しテストを行う こずで、䞖界を倉革する革新的な補品 / サヌビスを送り 出しおいる。Pivotal Labs は培底的にアゞャむルであり、 業務は効率的である。革新的なアむデアに奜奇心をそそ られ、最先端のテクノロゞヌがモチベヌションを高め、 知識のサむロ化を打ち砎り、顧客ず Pivotal Labs のチヌ ムが䞀䜓化するこずで、゚ネルギッシュで透過的なパヌ トナヌシップを築く。それによっお、培底的なアゞャむ ルを実珟しおいる。 朝食ず朝瀌 　Pivotal Labs オフィスの朝は、顧客ず Pivotal Labs 瀟員党員、すなわち Pivotal Labs のオフィスにいるペア プログラム党員による朝食から始たる。朝食が出る理由 は、メンバヌ党員が遅刻しないでオフィスに来るためで ある。そしお、この朝食は、ペアプログラムの盞手ず䞀 緒に朝食を食べるだけでなく、異なるプロゞェクトに携 わるメンバヌ党員がみんなで䞀緒に朝食を食べるこずに よっお、今行なっおいるプロゞェクトのこず、瀟䌚の出 来事、たたは個人的なこずを共有し、お互いをよく知る 良い機䌚ずなっおいる。 　なお、この朝食はすべお無料である。最先端のテクノ ロゞヌを䜿うアゞャむル開発の珟堎の朝食は無料であ り、これは、朝䞀から効率的に働いおほしいずいう経営 者ず、打ち合わせからすんなり仕事に移る瀟員らの働き 方にもあっおいる。オフィスに行くず、誰が顧客か瀟員 なのか区別が぀かない。それほど圌らはシリコンバレヌ 文化にずけこんでいる。
  • 25. 　25　 　午前 9 時 5 分になるず朝食は片付けられる。メンバヌ は顧客であっおも、自分でお皿やマグカップを食噚掗浄 機に片付け、ゎミを捚おお、党員が朝食スペヌスでもあ る広間に集たり朝瀌を行う。ここでの党員ずいうのは、 Pivotal Labs の瀟員党員ずプロゞェクト実行のために垞 駐しおいる顧客党員、そしお芋孊や打ち合わせに来おい るビゞタヌも含めた党員である。朝瀌では、以䞋のこず が行われる。 　たず最初に、初めお参加しおいる人の玹介である。新 たにプロゞェクトに参画する顧客のメンバヌだけでな く、先に挙げた「たたたた居合わせた芋孊者などのビゞ タヌ」も玹介される。次に、様々な情報の玹介・共有が 行われる。サンフランシスコシティでこんな面癜いむベ ントをやっおいたす、ずいうこずや気になるニュヌスの 玹介など、参加者が他の参加者に玹介したい事柄を発衚・ 共有する堎である。誰でも発蚀できるし、玹介・共有す る内容は様々である。䞉぀目は、手助けをしおほしいこ ずの告知である。あるプロゞェクトを行っおいる人が、 困っおいるこずを述べおヘルプを求める。それは情報や 知識であったり、䜕らかの蚭備かもしれない。朝瀌に参 加しおいる他のプロゞェクトメンバヌであっおも、知識 や経隓のある人が手助けをするこずが少なくない。そし お、朝瀌の最埌は党員での Clap で終わる。これは日本 で蚀うずころの ” 䞀本締め” である。 開発プロゞェクト 　党䜓朝瀌は 5 分ほどで終わり、その埌はそれぞれのプ ロゞェクトチヌムに分かれおの䜜業ずなる。たずは、チヌ ムごずの朝瀌で前日のプロゞェクト進行状況、今日やる べき内容や達成すべき事項などを確認し合う。 　個々のプロゞェクトチヌムは隔離された個宀でプロ ゞェクトを掚進するのではなく、オヌプンスペヌスであ るオフィスで䜜業を行う。隣の机では党く別の顧客が党 く別のプロゞェクトを行なっおいるが、その間には壁が ないだけではなく、パヌティションのような仕切りもな い。この開攟的なオヌプンスペヌスを芋枡しおみるず、 顧客ず Pivotal Labs の瀟員を芋分けるこずはできなだろ う。それも、Pibotal Labs の特城のひず぀ある。Pibotal Labs では、顧客ず瀟員をあえお区別しない。ここに来 れば顧客・瀟員の区別のない 1 ぀の開発チヌムになる。 　Pivotal Labs の開発手法は、3 ぀の柱ずなる特城があ る。1 ぀目はペアプログラミング、2 ぀目は TDDテス ト・ドリブン・ディベロップメント、そしお 3 ぀目は CDCIコンテュニアス・デリバリヌ・コンテュニアス・ むンテグレヌションである。 　ペアプログラミングに぀いおは、先に説明した通り 顧客 1 名ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名がペアずなった 䜓制ずするこずである。぀目の TDD ずは、プログラ ミングコヌドを曞く前には必ずテストするこずで、3 ぀ 目の CDCI はペアがナヌザヌのストヌリヌのコンピュヌ ティングを終了した時点で、その行動をプッシュしお、 実際に実行環境にプッシュする。このプッシュの䜜業に より、自動的にテストが実行されテストをパスしたプロ グラムは、自動的い本番実行環境プロダクション環境 に展開される。これにより開発者はプロゞェクト掚進途 䞭であっおも頻繁にプログラムを本番環境でアップデヌ トしながら完成させおいくこずができる。 Pivotal Labs
  • 26. 26　 デザむンプロゞェクト 　ペアプログラミングに぀いおは、先に説明した通り 顧客 1 名ず Pivotal Labs メンバヌ 1 名がペアずなった 䜓制ずするこずである。぀目の TDD ずは、プログラ ミングコヌドを曞く前には必ずテストするこずで、3 ぀ 目の CDCI はペアがナヌザヌのストヌリヌのコンピュヌ ティングを終了した時点で、その行動をプッシュしお、 実際に実行環境にプッシュする。このプッシュの䜜業に より、自動的にテストが実行されテストをパスしたプロ グラムは、自動的い本番実行環境プロダクション環境 に展開される。これにより開発者はプロゞェクト掚進途 䞭であっおも頻繁にプログラムを本番環境でアップデヌ トしながら完成させおいくこずができる 。 　顧客がただ開発すべきものをはっきりず定矩しきれお いない堎合がある。その時には、デザむンリサヌチを顧 客ずずもに実斜する。顧客は欲しいものを分かっおいな いが、自分たちの日垞生掻がどのように機胜しお、䜕を 達成したいのかは知っおいる。Pivotal Labs のプロダク トマネヌゞャヌ、デザむナヌが顧客から情報を匕き出し、 倚様な方法で本来の意味をそこから匕き出す。単なる「良 い」から「玠晎らしい」ぞ持っおいく。これが䞀番難し い郚分である。䞀぀のこずを蚀っおも、やっおいるこず が違う人がほずんどである。そのため掘り䞋げお質問を する。「なぜ」の質問にきちんず答えるこずが重芁である。 　䟋えば、速い車がほしい。なぜか自分の芪に䌚うた め。芪が病気になっおいるため等の理由がある。であれ ば速い車ではなく、䞡芪ずコミュニケヌションがより取 れるこずが必芁なのかもしれない。車をニヌズの機胜ず 捉えおいたが、そうではないかもしれないずいうように 理由を掘り䞋げる。衚面的な所から、もっず高いレベル の顧客の期埅を調べる必芁がある。顧客が質問に答える 時に、そこに隠れおいるものを把握できおいない。プロ ゞェクトの耇雑性にもよるが、平均的に 4  6 週で実斜 する。　 Pivotal Labs Pivotal のペアプログラミング 　ここに 2 人のデベロッパヌがいる。別々に蚭眮さ れおいる 2 人のそれぞれのモニタヌはミラヌずなっ おいお同じ画面が映っおいる。片方のデベロッパヌ がプログラミングコヌドを曞き、隣に座っおいるも う 1 人のデベロッパヌがそのプログラミングコヌド をレビュヌし、正しいかどうか、良い品質かどうか を確認する。2 人の圹割分担は、瀟員、顧客のどち らでもよい。瀟員ず顧客の区別がないからだ。 　デベロッパヌチヌムが 4 名以䞊の堎合には、ペア は毎日ロヌテヌションする。チヌム内でナレッゞを 共有するためである。特定の人ずばかりの仕事だず、 他の人の考え方や行動、やり方がわからない。ある デベロッパヌは IOS の経隓があるが Android をやっ たこずがないずいったような堎合には、Android の スキルの高い人ずペアを組んだりする。そうするこ ずで、そのデベロッパヌも IOS の経隓を知るこずが できる。双方が知識を拡匵でき、党員のスキルが䞊 がっおいく。
  • 28. 28　 調査方法抂芁 調査日皋ず蚪問郜垂 : 幎月日月日朚 米囜・サンフランシスコシリコンバレヌ 調査項目 : • 米囜の補造業およびサヌビス業䌁業におけるビゞョン構築、事業戊略・開発等における デザむン思考やサヌビスデザむン掻甚の珟状 • デザむン思考やサヌビスデザむンを掚進する組織や人材育成 • デザむン思考やサヌビスデザむン導入における課題ず解決方法 䞻な蚪問先 : • スタンフォヌド倧孊 d.school •  ( アルマデン研究所 ) • デゞタル ( デザむンセンタヌ ) •  ( シリコンバレヌ ) • むンスタカヌト • Pivotal Lab 調査手法 　むンタビュヌ−時間皋床 Appendix
  • 29. 　29　 調査メンバヌ : 柀谷 由里子　 東京工科倧孊 倧孊院　バむオ・情報メディア研究科教授 鈎朚　茝重　　アルケア　代衚取締圹瀟長 山䞋　寛人　　オむシックス　執行圹員システム本郚長 岩井　智子　　クラブビゞネスゞャパン　取締圹 黒田　達也　　事業創造倧孊院倧孊　副孊長・教授 岩厎　薫里　　日本総合研究所　調査郚 䞊垭䞻任研究員 本倚　健吟　　フュヌチャヌアヌキテクト ディレクタヌ 霋藀　奈保　　囜際財団　事務局長 湯浅　勝浩　　日本生産性本郚　サヌビス産業生産性協議䌚課長 【参照】 Vargo, S. L. and Lusch, R. F., “Evolving to a New Dominant Logic for Marketing” , Journal of Marketing, Vol. 68, No. 1, pp. 1-17, 2004. Weinberg, A., “Science and trans-science,” Minerva, 10, 209-22, 1972. Sawatani, Y, “Service design: Linking people, technology and business” , Advances in The Human Side of Service Engineering, Springer, p.3-10, 2016. Sawatani, Y, Kashino, T and Goto, M, "Analysis and Findings on Innovation Creation Methodologies” , Proceedings of International Conference on Serviceology, 2016. 柀谷由里子 , “サヌビスサむ゚ンスずその進展 ~ サヌビスデザむン研究領域を䞭心に ~” , 経営システム 24(4), 185-190, 2015.
  • 30. 30　 柀谷 由里子 柀谷由里子　東京工科倧孊倧孊院バむオ・情報メディア研究科　教授　 東京工業倧孊倧孊院修士。東京倧孊倧孊院総合文化研究科 Ph.D( 孊術博士 )。日本アむ・ビヌ・ ゚ム株匏䌚瀟入瀟、情報技術の研究開発及び戊略、2005 幎からサヌビスサむ゚ンス研究に 埓事。2013 幎 4 月早皲田倧孊教授を経お、珟職。経枈産業省 産業構造審議䌚 商務流通情 報分科䌚「情報経枈小委員䌚」、「攻めの IT 投資評䟡指暙策定委員䌚」委員等。INFORMS Service Science Editorial Board、サヌビス孊䌚理事、研究・むノベヌション孊䌚理事、早 皲田倧孊 ナノ・ラむフ創新研究機構 客員䞊玚研究員等を兌任。専門分野は、サヌビスサむ ゚ンス、サヌビスデザむン、R&D マネゞメント、技術経営。 成迫 剛志 Design for ALL 岩井 智子 株匏䌚瀟クラブビゞネスゞャパン　 取締圹 むラスト 束井 倧 グラフィックレコヌダヌ 霋藀奈保 囜際 IT 財団　事務局長 埌藀 真理絵 Design for ALL PARC( パロアルト研究所 ) Certified Fieldworker 著䜜者線集者 線集 䞉柀 盎加 株匏䌚瀟 グラグリッド ゚クスペリ゚ンスデザむナヌ Special Thanks グロヌバルアントレプレナヌ育成促進事業　プログラム　文郚科孊省 囜際財団・Design for All・むノベヌション教育孊䌚情報共有 SIG 柀谷 由里子 早皲田倧孊・東京工科倧孊 埌藀 真理絵 Design for All 成迫 剛志 Design for All 前野 隆 慶應矩塟倧孊 暪田 幞信 東京倧孊 æ–Žè—€ 滋芏 東京工業倧孊 柏野 尊埳 䞀般瀟団法人 デザむン思考研究所 デザむン研究䌚