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IAB Attribution Primer   (IAB アトリビューション入門)

                                                                   IAB Attribution Primer

                                         http://www.iab.net/media/file/AttributionPrimer.pdf
                               デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社                  広告技術研究室訳



1.アトリビューションの定義


定義

アトリビューションとは、 いくつかの方法を用いて成果に貢献する一連のユーザアクション
           「                              (=イベント)を同一のものとみなし、

それらのイベントに価値を割り当てるプロセス」のことを言う。




狙い

この文書の狙いは「ユーザ固有アトリビューション」だ。しかしメディアを横断してデータを統合していく挑戦を強調するために

も「ユーザグループアトリビューション(=メディア・ミックス・モデリング)
                                   」にも言及している。



アトリビューション・エコシステム

アトリビューションは広告において必要な要素だ。求められた行動において、何が消費者にエンゲージメントしたのか基本的な理

解抜きでは、複数ベンダーの広告費の ROI を決めることが難しくなってしまう。デジタル広告におけるアトリビューションは、伝

統的メディアにおけるアトリビューション分析(ユーザグループレベルのアトリビューション)とは異なり、主にデジタルエコシ

ステムにおける一意のユーザ識別子によって、ユーザ固有レベルでのアトリビューション分析が可能になる。



ユーザ固有アトリビューション

特定のユーザのイベントのアトリビューション効果を測定することは、複雑さの度合いが増してしまうが、デジタル広告のエコシ

ステムではいつでも可能だった。単一ソースアトリビューションのこれまでの実践(ラストクリックもしくはラストタッチモデル)

はとても広く使われた単純なアトリビューションモデルだ。より新しいアトリビューションモデルは、デジタル広告エコシステム

内のすべてのイベントにとって賢明な評価を創造しようとしている。

テクノロジーが、ユーザ固有アトリビューション(直近のイベントだけでなく、すべてのイベントを収集し解析する)という利点

を持っている限り、それはまた新しい挑戦へ向かわせる。キーとなる挑戦のひとつは、消費者がマルチスクリーンの存在を受け入

れるにつれて、複数デバイスをまたがって一意のユーザ識別子を取得する方法だ。

他のキーとなる挑戦は、各広告事業者が、広告主や各事業者がコスト・パー・パフォーマンスの課金形態に合意するために、成果

に貢献したパフォーマンスに対して、矛盾のない計測にアクセスできることを保証する方法だ。



ユーザグループアトリビューション

デジタル広告エコシステムが成熟するにつれて、デジタルと従来メディアの両方に渡るキャンペーンをハンドリングするためには、

従来のメトリクスとデジタル手法のテクニックの統合を必要とするようになった。これはしばしば、より固有ではないデータの提

供を意味する(例えば、ユーザ固有の広告インプレッションやクリックと比較するために、大量のデモグラフィックもしくは位置

情報による CTR を集めてくる等)
                 。実際のアグリゲーションレベルは実装によって異なるだろう。
2.方法論


かつてのデジタル広告におけるアトリビューションは、単一ソースによるアトリビューションであったため、ラストクリックを中

心にイベントの価値を測るアトリビューションモデルだった。しかし、新しい複数ソースを含むアトリビューションは、直近のイ

ベントだけでなく、あらゆるイベントを収集し分析することで、各イベントの価値を評価することができる。



単一ソースアトリビューション

最も基本的なアトリビューションタイプが、
                   「ラストタッチ」アトリビューションだ。直近の意味のあるイベント(一般にラスト広

告インプレッション、ラストクリック、ラストエンゲージメントを指す)を貢献 100%とする単純なモデルだ。



複数ソースアトリビューション

ある貢献したイベント以上のことを効果的に収集・解析するには、発生したイベントへの理解とその価値に影響した要因への理解

が必要だ。

※この文書で説明されているイベントタイプ・要因・モデルは徹底していないし、規範的であることを目指していない。



次に、アトリビューションモデルを説明するにあたって、各イベント、要素を定義分類する。

イベントの定義分類

・   クリック

・   エンゲージメント

       内部エンゲージメント

            広告主が直接所有するコンテンツにおいて発生したユーザアクティビティ(しかし求めていた成果ではない)

       サードパーティコンテンツによる外部エンゲージメント

            サードパーティの所有するコンテンツにおいて発生したユーザアクティビティ。何らかの方法で求めていた成果を

            促進する。

       ファーストパーティコンテンツによる外部エンゲージメント

            IAB ライジングスタープログラムにおいてハイライトされた、リッチメディア機能を活用した広告において発生し

            たユーザアクティビティ。ユーザは広告に接触するものの、そのインタラクションはウェブサイト外のナビゲーシ

            ョンのため結果が出せない。

・   広告インプレッション

        広告インプレッションは、クライアントによってペイドコンテンツ(=広告)の配信を計測すること。

・   広告ビュー

        広告ビューは、しばしば広告インプレッションと混同されるが、ここではウェブページのある領域内で表示された広告

        について言及している。
                  (クライアントページビューとして見ることができるもの)

・   ダイレクトナビゲーション

・   サーチ



要素の定義分類

・   Recency(最新性)

        どのくらいの最近にイベントが起こったか。イベントの起こった回数、数によって測られる。

・   Freaquency(頻度)
どのくらいの頻度で特定のイベントが起きたか。

・   Sequence position(順序位置)

        どのイベントが最初で、最後か、それとも何番目か。Cookie Churn 問題(cookie が消えてしまうとトラッキングできな

        い問題)と範囲設定の問題により本当の最初のイベントを隠してしまうかもしれないので、"最初の"イベントの決定はア

        トリビューション効果において完全に信頼できるものではない。

・   Path(パス)

・   Engagement Depth or Duration(エンゲージメント深度もしくは持続性)

        特定のイベントは、特定のユーザによる関心のレベルの違いを指し示すことができる。これを理解するために、厳格な

        ヒエラルキーが規定されるとき、エンゲージメント深度を測ることができる。



アトリビューションモデル

◆Last Touch(=ラスト重視モデル)

    イベントが 100 の価値を持っているとして、最後のイベントを 100、他のすべては 0 とするモデル。

◆Simple(ルールベースモデル)

    アドクリックを 500 として、アドインプレッションを 100、アドビューを 250 の価値を持つとルール設定するモデル。

◆Complex(複雑モデル)

 ・アドクリックを 500 ポイント、アドインプレッションを 100、アドビューを 250 ではじめる。

 ・求められる成果が発生するまで、各イベントタイプの価値を 24 時間毎に 10 ポイントずつ減らしていく。最低は 0 まで。

 ・各イベントタイプの価値を、イベントが発生するまで毎時 25 ポイントずつ減らしていく。最低は 0 まで。

 ・求められる成果の発生した 30 分以内に発生し、最後に記録されたイベントの価値を 50 ポイント増やす。

◆Algorithmic(アルゴリズムモデル)

 ・どんな特有のイベントの価値も、他のイベントとの関係性における理解によって決定される

 ・求められる成果につながらないイベント以外は、どんなイベントの価値計算も、他のどんなイベントの価値の勘定に入れる。



※書籍『アトリビューション』においては、Last Touch や Simple の別バージョンとして均等配分モデルや初回重視モデルについ

て説明されていた。



複数メディア型アトリビューション

これまでオンラインアトリビューションについて書いてきたが、オンライン広告以外のメディアによる貢献を考慮する場合もある。

複数メディアを使用しているときのように、一意なユーザ識別子が使用できない時、ユーザ固有アトリビューションは不可能だ。

しかしながらアグリゲーションテクニックを利用する事で、意味あるユーザモデリングデータを生み出して、見積もりを提供する

ことはできる。
      (例えば、IP アドレスでジオデータを引き出す場合。しかし正確さがある程度欠けてしまう)




3.チャレンジ


ふたつの挑戦

挑戦①:不完全なデータセット

範囲と時間の観点から、完全なデータを用意するのは難しい。範囲の問題というのはファーストパーティとして所有しているユー

ザアクティビティデータをいくら合わせても、ユーザアクティビティすべてをカバーすることは難しいという意味だ。これに対し

ては、cookie マッピング、例外的な web ビーコン、サードパーティマッピングサービスなどの、データセットのマージを可能にす

る様々なテクニックがある。
時間の問題というのは、ストレージの容量が有限であることからアトリビューション分析に使用するデータも有限であることと、

ユーザを認識する要素である cookie 自身に時間制限があり、イベントと成果行動の間が空きすぎると、高い確率で cookie 時間切

れによる「ユーザ識別子消滅」という事態が発生してしまうことだ。なお cookie の削除や書換えでもその事態は発生する。



挑戦②:ユーザ識別子

 デジタル広告の短い歴史において、ユーザ識別子がすでに利用可能であることは当然だと思われてきた。しかしエコシステムが

 成熟するにつれ、デジタル広告は、ユーザ識別子がもはや存在しないアドレスシチュエーションを必要とするだろう。

 ユーザ識別子がない状況は、複数スクリーンシナリオやオンライン/オフラインキャンペーンの取引において起こっている。




4.近似テクニック


マーケティング・ミックス・モデルとの比較

マーケティング(メディア)
            ・ミックス・モデリングは、未来のメディア・ミックスとプロモーション戦略を最適化するための静的

な解析を使用目的にしているのに対し、オンラインアトリビューションは現在進行中のユーザ固有データをベースに配信している

キャンペーンを最適化すること、キャンペーンの ROI を測定すること、パフォーマンスベースの価格設定を採用している業者へ支

払うべき金額を決定することを目的としている。



                                                                以上

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  • 1. IAB Attribution Primer (IAB アトリビューション入門) IAB Attribution Primer http://www.iab.net/media/file/AttributionPrimer.pdf デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 広告技術研究室訳 1.アトリビューションの定義 定義 アトリビューションとは、 いくつかの方法を用いて成果に貢献する一連のユーザアクション 「 (=イベント)を同一のものとみなし、 それらのイベントに価値を割り当てるプロセス」のことを言う。 狙い この文書の狙いは「ユーザ固有アトリビューション」だ。しかしメディアを横断してデータを統合していく挑戦を強調するために も「ユーザグループアトリビューション(=メディア・ミックス・モデリング) 」にも言及している。 アトリビューション・エコシステム アトリビューションは広告において必要な要素だ。求められた行動において、何が消費者にエンゲージメントしたのか基本的な理 解抜きでは、複数ベンダーの広告費の ROI を決めることが難しくなってしまう。デジタル広告におけるアトリビューションは、伝 統的メディアにおけるアトリビューション分析(ユーザグループレベルのアトリビューション)とは異なり、主にデジタルエコシ ステムにおける一意のユーザ識別子によって、ユーザ固有レベルでのアトリビューション分析が可能になる。 ユーザ固有アトリビューション 特定のユーザのイベントのアトリビューション効果を測定することは、複雑さの度合いが増してしまうが、デジタル広告のエコシ ステムではいつでも可能だった。単一ソースアトリビューションのこれまでの実践(ラストクリックもしくはラストタッチモデル) はとても広く使われた単純なアトリビューションモデルだ。より新しいアトリビューションモデルは、デジタル広告エコシステム 内のすべてのイベントにとって賢明な評価を創造しようとしている。 テクノロジーが、ユーザ固有アトリビューション(直近のイベントだけでなく、すべてのイベントを収集し解析する)という利点 を持っている限り、それはまた新しい挑戦へ向かわせる。キーとなる挑戦のひとつは、消費者がマルチスクリーンの存在を受け入 れるにつれて、複数デバイスをまたがって一意のユーザ識別子を取得する方法だ。 他のキーとなる挑戦は、各広告事業者が、広告主や各事業者がコスト・パー・パフォーマンスの課金形態に合意するために、成果 に貢献したパフォーマンスに対して、矛盾のない計測にアクセスできることを保証する方法だ。 ユーザグループアトリビューション デジタル広告エコシステムが成熟するにつれて、デジタルと従来メディアの両方に渡るキャンペーンをハンドリングするためには、 従来のメトリクスとデジタル手法のテクニックの統合を必要とするようになった。これはしばしば、より固有ではないデータの提 供を意味する(例えば、ユーザ固有の広告インプレッションやクリックと比較するために、大量のデモグラフィックもしくは位置 情報による CTR を集めてくる等) 。実際のアグリゲーションレベルは実装によって異なるだろう。
  • 2. 2.方法論 かつてのデジタル広告におけるアトリビューションは、単一ソースによるアトリビューションであったため、ラストクリックを中 心にイベントの価値を測るアトリビューションモデルだった。しかし、新しい複数ソースを含むアトリビューションは、直近のイ ベントだけでなく、あらゆるイベントを収集し分析することで、各イベントの価値を評価することができる。 単一ソースアトリビューション 最も基本的なアトリビューションタイプが、 「ラストタッチ」アトリビューションだ。直近の意味のあるイベント(一般にラスト広 告インプレッション、ラストクリック、ラストエンゲージメントを指す)を貢献 100%とする単純なモデルだ。 複数ソースアトリビューション ある貢献したイベント以上のことを効果的に収集・解析するには、発生したイベントへの理解とその価値に影響した要因への理解 が必要だ。 ※この文書で説明されているイベントタイプ・要因・モデルは徹底していないし、規範的であることを目指していない。 次に、アトリビューションモデルを説明するにあたって、各イベント、要素を定義分類する。 イベントの定義分類 ・ クリック ・ エンゲージメント  内部エンゲージメント 広告主が直接所有するコンテンツにおいて発生したユーザアクティビティ(しかし求めていた成果ではない)  サードパーティコンテンツによる外部エンゲージメント サードパーティの所有するコンテンツにおいて発生したユーザアクティビティ。何らかの方法で求めていた成果を 促進する。  ファーストパーティコンテンツによる外部エンゲージメント IAB ライジングスタープログラムにおいてハイライトされた、リッチメディア機能を活用した広告において発生し たユーザアクティビティ。ユーザは広告に接触するものの、そのインタラクションはウェブサイト外のナビゲーシ ョンのため結果が出せない。 ・ 広告インプレッション 広告インプレッションは、クライアントによってペイドコンテンツ(=広告)の配信を計測すること。 ・ 広告ビュー 広告ビューは、しばしば広告インプレッションと混同されるが、ここではウェブページのある領域内で表示された広告 について言及している。 (クライアントページビューとして見ることができるもの) ・ ダイレクトナビゲーション ・ サーチ 要素の定義分類 ・ Recency(最新性) どのくらいの最近にイベントが起こったか。イベントの起こった回数、数によって測られる。 ・ Freaquency(頻度)
  • 3. どのくらいの頻度で特定のイベントが起きたか。 ・ Sequence position(順序位置) どのイベントが最初で、最後か、それとも何番目か。Cookie Churn 問題(cookie が消えてしまうとトラッキングできな い問題)と範囲設定の問題により本当の最初のイベントを隠してしまうかもしれないので、"最初の"イベントの決定はア トリビューション効果において完全に信頼できるものではない。 ・ Path(パス) ・ Engagement Depth or Duration(エンゲージメント深度もしくは持続性) 特定のイベントは、特定のユーザによる関心のレベルの違いを指し示すことができる。これを理解するために、厳格な ヒエラルキーが規定されるとき、エンゲージメント深度を測ることができる。 アトリビューションモデル ◆Last Touch(=ラスト重視モデル) イベントが 100 の価値を持っているとして、最後のイベントを 100、他のすべては 0 とするモデル。 ◆Simple(ルールベースモデル) アドクリックを 500 として、アドインプレッションを 100、アドビューを 250 の価値を持つとルール設定するモデル。 ◆Complex(複雑モデル) ・アドクリックを 500 ポイント、アドインプレッションを 100、アドビューを 250 ではじめる。 ・求められる成果が発生するまで、各イベントタイプの価値を 24 時間毎に 10 ポイントずつ減らしていく。最低は 0 まで。 ・各イベントタイプの価値を、イベントが発生するまで毎時 25 ポイントずつ減らしていく。最低は 0 まで。 ・求められる成果の発生した 30 分以内に発生し、最後に記録されたイベントの価値を 50 ポイント増やす。 ◆Algorithmic(アルゴリズムモデル) ・どんな特有のイベントの価値も、他のイベントとの関係性における理解によって決定される ・求められる成果につながらないイベント以外は、どんなイベントの価値計算も、他のどんなイベントの価値の勘定に入れる。 ※書籍『アトリビューション』においては、Last Touch や Simple の別バージョンとして均等配分モデルや初回重視モデルについ て説明されていた。 複数メディア型アトリビューション これまでオンラインアトリビューションについて書いてきたが、オンライン広告以外のメディアによる貢献を考慮する場合もある。 複数メディアを使用しているときのように、一意なユーザ識別子が使用できない時、ユーザ固有アトリビューションは不可能だ。 しかしながらアグリゲーションテクニックを利用する事で、意味あるユーザモデリングデータを生み出して、見積もりを提供する ことはできる。 (例えば、IP アドレスでジオデータを引き出す場合。しかし正確さがある程度欠けてしまう) 3.チャレンジ ふたつの挑戦 挑戦①:不完全なデータセット 範囲と時間の観点から、完全なデータを用意するのは難しい。範囲の問題というのはファーストパーティとして所有しているユー ザアクティビティデータをいくら合わせても、ユーザアクティビティすべてをカバーすることは難しいという意味だ。これに対し ては、cookie マッピング、例外的な web ビーコン、サードパーティマッピングサービスなどの、データセットのマージを可能にす る様々なテクニックがある。
  • 4. 時間の問題というのは、ストレージの容量が有限であることからアトリビューション分析に使用するデータも有限であることと、 ユーザを認識する要素である cookie 自身に時間制限があり、イベントと成果行動の間が空きすぎると、高い確率で cookie 時間切 れによる「ユーザ識別子消滅」という事態が発生してしまうことだ。なお cookie の削除や書換えでもその事態は発生する。 挑戦②:ユーザ識別子 デジタル広告の短い歴史において、ユーザ識別子がすでに利用可能であることは当然だと思われてきた。しかしエコシステムが 成熟するにつれ、デジタル広告は、ユーザ識別子がもはや存在しないアドレスシチュエーションを必要とするだろう。 ユーザ識別子がない状況は、複数スクリーンシナリオやオンライン/オフラインキャンペーンの取引において起こっている。 4.近似テクニック マーケティング・ミックス・モデルとの比較 マーケティング(メディア) ・ミックス・モデリングは、未来のメディア・ミックスとプロモーション戦略を最適化するための静的 な解析を使用目的にしているのに対し、オンラインアトリビューションは現在進行中のユーザ固有データをベースに配信している キャンペーンを最適化すること、キャンペーンの ROI を測定すること、パフォーマンスベースの価格設定を採用している業者へ支 払うべき金額を決定することを目的としている。 以上