27. 026 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
4. ブランディング
ブランドは、経営やマーケティングにとって非常に重要なものとして認識され
るようになってきました。「ブランド(brand)」の語源は、「焼き印(burned)」から
といわれています。放牧する牛を識別するために施された焼き印ですが、ブラン
ドを考える時「識別」がキーワードとなります。
ブランドへの関心が高まってきたのは、アメリカでは1980年代終わり頃から
といわれています。アメリカでは自社の価値を高めることを目的としたM&A(合
併と買収)が行われるようになりました。また競合他社がいる中で、よく知られ
たブランドは消費者からの指名買いが行われたため、取引が有利に展開できると
いうメリットが認識されました。1990年代後半、バブル経済の崩壊で危機に立
たされた日本の企業はアメリカのトレンドを知り、ブランドに関心を高めました。
アメリカ・マーケティング協会によると、ブランドとは「個別の売り手もしく
は売り手集団の財やサービスを識別させ、競合他社の財やサービスと区別するた
めの名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたも
の★3
」と定義されます。
行政もシティプロモーションを行い、他の市町村との差別化を図っています。
また一番危機に立たされているのが少子化の影響を受けている大学です。近年、
大学ではユニバーシティ・アイデンティティを確立させて、他の大学との差別化
を図り、入試志願者を増やすための施策が取られています。
Elisabeth Doucettが2009年に出版した”Creating Your Library Brand”(American
Library Association)では、ブランディングの重要性について以下のような記述が
あります。
“Branding is important for every type of library [especially] public libraries that
have to continuously justify their existence in ways that and academic or special
library might not have to. However in an era when so much is available for free
on the internet it makes sense for every library to articulate its reason for being
in terms that are absolutely clear to both users and funders.★4
”
「ブランディングはすべての図書館において重要な事柄です。大学や専門図書
館が必ずしも行う必要がないと思われる、自分たちの存在を継続的に正当化する