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025佐世保同仁会病院 血液培養を目的とした採血
- 4. Sasebo Doujinkai Hospital
・ 38℃以上の発熱、または36℃以下の低体温
・ 悪寒、戦慄、ショック
・ 心拍数の異常な上昇
・ 血圧異常(低血圧、高血圧)
・ 呼吸促迫
・ 局所感染(肺炎、腎盂腎炎、髄膜炎、心内膜炎など)
血流感染が疑われる症状
- 5. Sasebo Doujinkai Hospital
● 採血は、悪寒発熱が認められたら、なるべく早く行うこと
38℃以上の発熱後の採血は(1時間以内)、時間が経つほど
微生物の検出率が低下する
(図参照)
● 抗菌薬を投与する前
● 低血圧、血圧上昇時
● 36℃以下の低体温時
● 呼吸促迫
血液培養を行うタイミング
(参考文献1より引用 一部改変)
- 6. Sasebo Doujinkai Hospital
代謝性アシドーシス(特に乳酸アシドーシス)
低血糖・高血糖
白血球異常高値・異常低値
炎症反応(CRP・プロカルシトニン)上昇
脳血管障害
急性腎不全
DIC(播種性血管内凝固症候群)・多発する紫斑
イレウス
高ビリルビン血症
血液培養が必要な状態
原因が不明の以下の状態
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血液培養の注意点
無菌的に採血をする
コンタミネーション(汚染)を起こすと、 起因菌では
ない菌をターゲットに治療をすることになる!
基本的に2セット採血する(当院では1セット)
*2セットとは、左右の血管から採取された検体を言い、採血
部位が1箇所しかない場合は、15分以上経過してから採血
血液培養ボトルに示された量(当院では5~10ml)を
採血する
- 8. Sasebo Doujinkai Hospital
血液培養の手順
Ⅰ 物品の準備をする
Ⅱ 術者と介助者の手指衛生
速乾性のアルコール消毒液による手指消毒
Ⅲ 患者の採血部位の消毒
イ)アルコール綿花による採血部位の汚れの除去と消毒(二回)
ロ)イソジン綿棒による消毒(広範囲に)
Ⅳ 術者は、採血前に滅菌手袋を着用
Ⅴ 介助者は、未滅菌手袋をつけ、注射器と針を手技者
に渡し、ボトルの蓋をアルコール綿で消毒
Ⅵ 採血をする→抜針する
Ⅶ 術者は、 ボトルを受け取り、血液を無菌的に注入する
Ⅷ 転倒混和する
採血は、原則として術者(手技者)と介助者の2名体制で行う
- 9. Sasebo Doujinkai Hospital
血液培養の手順
Ⅰ 物品の準備をする
採血は、原則として術者(手技者)と介助者の2名体制で行う
①培養ボトル(好気用、嫌気用)
②未滅菌手袋
③滅菌手袋
④駆血帯
⑤防水シート
⑥単包アルコール綿
⑦10%ポビドンヨードスティック
⑧10mlシリンジ又は20mlシリンジ
⑨注射針
⑩針捨てボックス
⑪マスク
⑫滅菌鑷子
⑬検査依頼紙または検査ラベル
⑭手指消毒薬
⑮タイマー
⑯ハイポアルコール
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
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Ⅲ 患者の採血部位の消毒
☝ 穿刺部位を中心に外側に円を描くように広範囲に塗布する
イ)アルコール綿花による採血
部位の汚れの除去と消毒
(二回行う)
ロ)イソジン綿棒による消毒
(広範囲に行い、塗布後必ず2分
は置く)タイマーを使用!
ロ)
イ)
ゴシゴシ擦る(スクラブ)ことが大事!
- 15. Sasebo Doujinkai Hospital
Ⅵ 抜針する
☝1.針は皮膚から離した状態で抜針する
☝2.止血のための綿花は抜針後に当てる
*採血後、イソジン消毒部分はハイポアルコールで清拭する
駆血帯をゆるめたら、刺入部より体幹側で介助者に指で
血管を軽く押えてもらい瀉血する
- 17. Sasebo Doujinkai Hospital
ボトル注入時の注意点
◎ 採血後、ボトルに注入する際は、採血針は付け替えせず、
そのまま使用する
◎ ボトルに注入する際は、無菌操作に心がける
◎ 当院では、嫌気ボトル→好気ボトルの順に注入する
(注入する順番は今はあまり問われない)
(要は、嫌気ボトルに空気を入れないよう注意する)
◎ ボトルへの注入量は、培養ボトルにより異なるため、事前に
必要量を確認し、十分な量を入れる
◎ 採血量が十分でない場合は、好気ボトルのみ注入する
(但し、起因菌が嫌気性菌の可能性が高い場合は、これに
限らない!)
- 19. Sasebo Doujinkai Hospital
ま と め
1.血液培養を行う際に重要なポイントは、採血のタイミングと
無菌操作による手技の実施である。
2.採血のタイミングは、血流感染が疑われる症状が現れたら
(悪寒・戦慄、発熱など)、できるだけ早期に行う。
3.抗菌薬投与開始前に行うのが理想的であるが、すでに開始
されている時は、次回投与開始前に行う。
4.血液培養の採血、血液培養ボトルへの注入までの操作を行
う場合、術者は環境菌の汚染を防ぐための配慮が重要で
ある。そのためには、患者の採血部位の消毒、採血の手技、
培養ボトルのゴム蓋の消毒や注入には、細心の注意が必要
とされる。
- 20. Sasebo Doujinkai Hospital
引用・参考文献
1.岩田 健太郎 Michel Towns :対談 「早期から適切な血液培養の実施を」
週間医療界新聞 第2772号 2008年
2.血液培養勉強会資料:「血液培養-Blood Cultures-」
Igunazzo CD ROM Vol.7 2010
3.満田 年宏 訳・監修 :「血液培養 血流感染症診断のための重要な検査」
シスメックス・ビオメリューKK 2013年改版
4.真弓 俊彦 Surviving ICUシリーズ:「敗血症治療 一刻を争う現場での疑問に答える」
羊土社,2014