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音のある風景 - 機能としてのサイン音
- 11. STILL WAY
「もしかしたらその環境には、たった一音だけあればいいのかもしれない」
故 川聡 氏 1982年4月 アルバム「スティル・ウェイ」ライナー・ノーツより…《波の記譜法》は、環境として
成り立つ音楽のシリーズのつもりで始めた。何げなく聞くための、音の風景とか音のオブジェといったらいいだろ
うか。人を興奮させたり、別世界に導いたりするものではなく、漂うように流れ、人の生活の風景になる。言い
方を変えれば、日常の中で、人間との密接な関係をつくる音楽だ。こういう音楽は、少ないながらもいくつか例が
ある。フランスのエリック・サティ(1866∼1925)の《家具の音楽》やロック・ミュージシャンとして活躍してい
るブライアン・イーノの《アンビエント・シリーズ》。そして美術家がオブジェ的に提示した音などもときどきそう
いう音のあり方を感じさせる。それらは、自己表現し、完結した芸術としての音楽ではなく、その空間なり、物な
り、人なりと重なったり、ずれたりして、その意味を変え、様子を変えるような音楽だ。そういう音楽を《波の記
譜法》で作っていきたい。音楽はそもそもそれだけで独立して存在するものではなかったはずだから。
私がしようとしていること全体は、大きな意味での「音のデザイン」だ。それは、このシリーズのような音楽を制
作・作曲すると同時に、ある環境に適した音の調整をすることも含まれる。もしかしたらその環境にはたった一
音だけあればいいのかもしれない。音のデザインだから音で飾るという単純な問題ではない。音を出さないこと、
つまり静寂をデザインすることができたらすばらしいと思っている。こんなに音が氾濫した時代は、いまだかつて
なかったに違いない。音環境の調査・研究を続けているカナダのマリー・シェーファーがこう警告している。「耳
は、他の感覚器官と違って、さらされていて傷つきやすい。目は自分の意志で閉じることができるが、耳はいつも
開いている。目は自分の意志で焦点を合わせ、方向を定めることができるが、耳はあらゆる方向にある音響的な
背景をもつすべての音を拾い上げてしまう。その唯一の防御は、望ましいものに集中するために、望ましくない音
を除去してしまう精巧な心理的システムだけだ。目は外に向かうが、耳は内に向かう。知識を吸収する。音環境の
多様性のなかでの音源 −その音源は今日本当に多様だ− のために、耳はその音源に対して鈍くなっていくだろ
うし、本当に重要な音に耳が集中できるように、無頓着で心を乱すような音を停止させるように要求する個人的な
権利を行使できなくなってしまうだろう。」… 続く
- 12. 釧路博物館 - 導入記事
STILL WAY あるいは静止した進行
川聡 追悼コンサートパンフレットP14
http://www.surugadai.ac.jp/sogo/media/bulletin/Bunjo09-01_KATO.pdf関連資料:
- 16. SOUND PROCESS DESIGN Inc.
株式会社 サウンドプロセスデザイン 業務内容
❖ 空間に関わるコンセプトワーク、プランニング、プロ
デュース
❖ 地域再開発、業態開発におけるコンサルティング、プラ
ンニング、プロデュース
❖ 音デザイン:企画、設計、制作、施工
❖ 音環境調査、音響調査
❖ ホール等の音響設計・騒音制御
❖ 空間照明の演出、設計
❖ オブジェの企画、設計、制作
❖ イベント、ワークショップの企画、プロデュース
❖ ディスプレイの企画、設計、制作
❖ 映像の企画、設計、制作
http://www.sp-design.co.jp/index.html
出典: