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【No.10】途上国におけるエシカルファッションを通じた「伝統高原品復興」と「農村女性の自立支援」の可能性
- 9. 4.文献調査報告 世代別消費 / ファッション志向② 川島蓉子著 『おしゃれ消費ターゲット』 の分析より Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ファッションを「自分で組み合わせる」という志向を持つ 「団塊ジュニア」世代以降 が当事業と親和性高い 『おしゃれ消費ターゲット』伊藤忠ファッションシステム(株) 川島蓉子著 より 世代 ばなな世代 団塊ジュニア世代 プリクラ世代 年齢 ( 2010 年現在) 1965 ~ 70 年生まれ 40 ~ 45 歳 1971 ~ 76 年生まれ 34 ~ 39 歳 1977 ~ 83 年生まれ 27 ~ 33 歳 人口 約 1050 万人 約 1160 万人 約 1120 万人 世代特徴 20 代前半で好景気・不景気を体験したこともあり、消費や生き方に対して柔軟かつ堅実な傾向 第二次ベビーブーム世代・生まれたときから生活環境が豊かで、小さい頃から子供部屋という「個の空間」を持つ 中高生時:コギャル・ルーズソックス・ガングロ等、新流行発信・周囲からハズレたくない・人とのつながり重視 消費性向 豊かな社会に育ちハナコ世代ほど差別化消費に貪欲ではなく、自分好み優先・生活を全方位で楽しむ消費 モノへの執着が薄く、購買はその先にある 「コトをするためのモノ」 ・モノに囲まれて育ってきたためモノを見る目は養われ堅実な消費を行う 「いかに可愛く見えるか」等の見た目優先消費・流行ファッションを取り入れて次の瞬間は次の流行へ->流行は消費するもの ファッション志向 ファッションに対する思い入れは弱く、総じて保守的な傾向が見られ、ベーシックで誰もが着られる「定番商品」を好む 10 代後半で「渋カジ」を生み出した中心層であり カジュアル志向 ・ 自分カスタマイズ(ベーシックを組み合わせる) ・ シンプル / ナチュラル好み 和・洋・エスニックを自分で組み合わせる マルチミックス
- 10. 4.文献調査報告 シンプル族① Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. さらに、「団塊ジュニア」世代の中でも近年増加しつつある「シンプル族」の価値観や志向性を分析すると、当事業の示す提供価値と合致する点が多く、「シンプル族」は当事業の商品・サービスのメインターゲットとなる可能性が高い (参考文献『シンプル族の反乱』 三浦展著) 1)シンプル族の生活原理 ① モノをあまり消費しない・ためない 好きなモノだけを部屋に置き、後はあまりモノを買わない ②手仕事を重んじる 既製品を買うだけより、自分で手を加えたい、自分が関与したい 地場産業の職人好き ③基本的な生活を愛する 暮らしの基本である衣食住をおろそかにしない 大事にモノの手入れをする 2)シンプル族の志向性 ① エコ志向 エコロジー・環境を重視し、かつエコノミー(経済性)を重視する。 ②ナチュラル志向 自然や自然素材のモノが好き。大量生産品は嫌い。旅行先も第三世界の世界遺産に感動。 ③レトロ志向・和志向 古いモノが好き。古着・古道具・中古家具。下町の老舗の作った道具。モノにまつわる歴史・物語・ストーリー性。 ④オムニボア志向 「オムニボア」とは「文化的な雑食」の意味。様々な国や地域の文化(食べ物・服・家具等)を楽しむ。 ⑤ソーシャルキャピタル志向 いろいろな人と出会い知人・友人を増やすのが好き。旅が好きなのもいろいろな人と出会えるから。
- 11. 4.文献調査報告 シンプル族② Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 3)シンプル族のファッション 【シンプル族の好むファッションテイスト】 ・シンプル・ナチュラル・ガーリーでないもの・マニッシュな感じ ・ナチュラル・シンプル・長く着られるもの ・カジュアル(パタゴニア・アバクロ・タータス等) ・シンプルでキレイめなもの ・体の線が出ないワンピース、友達が「草原系」と呼ぶ (資料:カルチュラルスタディーズ研究所「シンプル族調査 2008 」より) 4)バッグ ・最近は服よりバッグで個性を表現する女性が増えた(ファッション業界人) ->現代女性の着る服はカジュアルであり、アクセントをつけるため個性のあるバッグを選ぶ ->ブランド物ではなく自分のファッションに合ったカジュアルなバッグを選ぶ 例) DEAN&DELUCA ・お店でくれる紙バッグ まとめ ・「シンプル」族は、手仕事を重視、職人好き、様々な国の文化を楽しむ->モノにまつわるストーリーを重視 ・ファッションはシンプル、ナチュラル、カジュアル、文化的多様性を好む
- 12. 5. 調査結果まとめ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ヒアリング総括 ・国際協力のボランティア経験者には、従来の途上国支援が政府関係者に偏ったものになっており本当に支援が必要な貧困層に届いていないとの課題意識がある ・そのため、「途上国伝統技術の復興支援」と「途上国農村女性の自立支援」という当事業の課題設定・ビジネスモデルに対する評価は高い ・若いデザイナーの間では社会貢献につながるコンセプトを打ち出す人が多くなってきており、また消費者の間でも作り手の顔が見える、背景が分かるという安心感と社会貢献が出来る価値への理解が広がっている ・但しフェアトレード自体は飽和状態、社会貢献だけを打ち出しても裾野が広がりにくい等の指摘もあり 文献調査総括 ・ 20 代~ 70 代を時代背景や価値観を基に7つの世代に分類すると、 1971 年以降生まれ(現在 39 歳以下)の「団塊ジュニア世代」は、ファッション面で、上の世代と比べて、カジュアル志向が強く、自分でベーシックなものや、和・洋・エスニックを組み合わせたりする志向を持っており、当事業との親和性が高い ・「団塊ジュニア世代」以降の中でも特に近年増加している「シンプル族」は手仕事を重んじ、様々な国の文化を大切にし、モノのストーリーや背景を重視する -> 「シンプル族」の価値観は当事業の社会課題や商品とも合致しており購買ターゲット層として想定される ・ファッションに対してはシンプル、ナチュラル、バッグは自分に合うカジュアルなもの←商品展開の参考に 現行事業プランの課題に対する示唆 ・「途上国の伝統技術の復興支援」と「途上国農村女性の自立支援」という社会課題の設定とビジネスモデルは、国際協力の経験者を中心に評価が高いが、フェアトレードや途上国支援を謳った商品自体は珍しくはないため、いかに課題の独自性を訴求するか?どこでどう伝えるのか?の検討がポイント ・当事業の購買ターゲットとして、世代的には「団塊ジュニア層」以降( 39 歳以下)の女性、特にシンプル志向を持った層が有望->この層のプロファイルからどういった提供価値やその打ち出しが有効か?の検討が必要
- 14. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 6. ステークホルダー分析-重要ステークホルダーの検証 ステーク ホルダー 社会課題における 立場・見解 規模 (人数その他) ニーズ 対象事業との 関わり 消費者的ステークホルダー ステークホルダー1 受益者 30代女性 ( 団塊 Jr ) 消費者的立場 (商品に賛同) 個人 (約 550 万人) 個性、差別 ⇒ ファション性・機能性重視 顧客として関わりつつ事業のストーリーに賛同し継続購入者として関わっていく。 事業賛同者的ステークホルダー ステークホルダー2 受益者・関係者 40~60代女性 ・ボランティア経験者 ・経済的に余裕ある女性(事業賛同) ・消費者 不特定多数 事業に賛同(本質思考、奉仕の精神) ボランティアとして関わった 事業に賛同し助言者やフォロワーとなっていく。 実務支援ステークホルダー ステークホルダー3 現地パートナー 染色専門家 X 氏 (染色専門家) ※ 現地の共同パート ナー予定 小規模 自らの染色の技術でウズベキスタンの品質向上に寄与したい 染色・生地の技術指導 売上金の現地(職人・農村女性)への支払?等。 事業支援ステークホルダー ステークホルダー4 行政機関 現地コーディネーター Y 氏 (コーディネーター会社社長) 小規模 日本とのビジネスに対しての現地とのパイプ役 現地での起業関連全般や政府系関連でのアドバイス。 (現地のパイプ=通商大臣) 事業支援ステークホルダー ステークホルダー4 賛同者 事業コーディネーター Z 氏 (海外協力隊 事業コーディネーター 会社企業準備中) 小規模 日本とのユーラシアビジネス事業で貧困層への報酬を教授するビジネスモデル設定 元シニア協力隊で、現在も現地にて活動。現地における 起業関連のアドバイス。
- 21. 10. 戦略立案-事業プランの再考 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ターゲットステークホルダーに望ましい行動を喚起するための要件を満たす “ 理想形 “ 事業プランを定義し、現行プランとのギャップを抽出する。 “ 理想形 “ 事業プラン 現行事業プランの 強化点・改善点 ターゲット設定 ・ 30 代女性(団塊ジュニア世代以下) ・シンプル / カジュアル / エコ / 文化的多様性志向 ・社会貢献に関心あり ・メインターゲットとして想定する顧客像( 30 代女性:団塊ジュニア世代)の絞込みを行い、属性や志向を明確にした上でそれに合った商品提供等を行う 社会課題の 理解と共有 ・ウズベキスタンの社会課題(伝統工芸の復興、農村女性の自立支援)について広く深く認知・理解・共有が進んでいる ・アトラス生産に関わる農村女性の実態や伝統工芸の衰退の危機的状況の詳細把握 ・農村女性の実態と自立支援のプロセスがアトラス生産の中に埋没して見えにくいので明確化する->「スカーフの縫製」 事業の 訴求方法 ・社会課題を広く深く訴求するためにネット( Blog/Twitter 等)の積極活用 ・ウズベキスタン協会・ JICA 等の国際協力イベント等のリアルな場での積極訴求 ・社会課題を広く深く訴求する方法としてのネットの活用( Blog/Twitter 等)及び一言でターゲット層にリーチするキーワードの検討 ・ウズベキスタン協会・ JICA 等の国際協力関係の団体とのネットワーク作り・支援の輪の人脈形成 例)会員組織等 商品・サービス ・アトラスという職人の伝統工芸に日本の技術が注入され品質・デザインが担保されており、日本の消費者にとっても品質・デザインの点で満足度が高い ・日本の消費者(ターゲット: 30 代以下の団塊ジュニア層以下)に受容される品質レベルの目標設定、デザイン志向の研究 提供価値 ・各ステークホルダーにとり事業への自分の貢献度が明確化されている ・メイン向けに職人の手作り、伝統工芸、気軽に社会貢献 ・サブ向けには途上国の自立支援やウズベクの経済発展への協力 ・事業の進展や商品の販売に伴って各ステークホルダーの貢献がどう事業に反映されているのか?の「見える化」検討 ・例えば、購入代金の使途に対する目標設定とその進捗報告(ボルヴィック: 1L for 10L, 王子ネピア: 1000 のトイレ)や購入代金のうち何がいくら農村女性の自立支援や伝統復興に使われる等の明示
- 22. 11.成果指標提案 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 最終的にどのような行動変容を喚起するかを事業の最終目標として設定し、成果指標を設定する。必要に応じて途中経過の指標も設定する。 最終目標 成果指標 成果ステップ1 成果ステップ2 メイン ターゲット ・アトラス(ウズベキスタンシルク)に対する認知が高まり、デザインや品質に対する評価が確立している ・ウズベキスタンの農村女性やアトラスの伝統工芸の現状に対する認知が高まり、それを支援しようという動きがある ・ウェブ検索数(ウズベキスタン・アトラス・農村女性の現状に対する認知度・関心度) ・販売数(事業計画との比較) ・ウズベキスタン・アトラス等に関する検索数・ Tweet 数が増加傾向を示す ・販売数(短期目標) ・ウズベキスタンとアトラス(シルク)という文脈、ウズベキスタンの伝統工芸、農村女性の自立支援という文脈でネット他マス媒体でも取り上げられる ・販売数(中期目標) サブ ターゲット ・途上国支援の形として現地に根付いた途上国の自立支援型が認知され、それを応援するため積極的に事業に関わる人が増える ・当事業を日本側で支援するネットワークの会員数 ・会員数(短期目標) ・会員数(中期目標) サブ ターゲット2 ・当事業がウズベキスタンの経済発展に寄与している ・日本の染色や縫製の技術支援により、現地の品質が日本レベルに向上する ・当事業に関わる現地の雇用者数 ・リアル /EC 等取扱いチャネルの数 ・現地で定期的に雇用する ・リアル /EC の取扱いチャネルが出来る ・現地の中小企業並みの定期雇用を生む ・複数の取扱いチャネルが出来る
- 23. 12. 最終報告 まとめ① Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. ウズベキスタン 日本 アトラス職人 農村女性 サブ:現地パートナー 桑の木 PJ アトラス生地 アトラス生地 アトラススカーフ メイン: 30 代女性 (顧客) サブ: 40-60 代女性 (協力者) 起業家さん ? 生地生産 雇用・賃金 雇用・賃金 縫製 桑栽培 購入・支払 ? ? 課題①日本の顧客を見つめる (顧客は誰?ニーズは?) 課題②日本に おける支持・協力の輪を広げる 課題③社会課題解決の ビジョンと成果を関係者 に明確化する 提供価値 提供価値 提供価値 商品送付 送金 交渉・調整
- 26. 【参考事例】企業の社会貢献活動と目標設定 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 日本で 1L のボルビックを買うごとに 10L の新鮮な水がアフリカ:マリ共和国へ 2010/6/1 ~ 2010/9/30 実施中 2008 年 11 億 L (前年比 3 割増) 2007 年 7 億 L ■ ボルヴィック「 1L for 10L 」 ■ 王子ネピア「千のトイレ」プロジェクト 【背景】 5 歳未満児の死亡率は出生 1,000 人あたり 130 人に及び(※) 、アジアの中でも子どもの生存が厳しい国のひとつ。汚れた水とトイレの不備から、 5 歳未満の子どもの 5 人に 1 人が下痢をわずらっている。 【活動内容】 東ティモールのトイレ環境整備を、ユニセフの「水と衛生に関する支援活動」を通じてサポート ->「 1000 のトイレを作る」目標 【成果】 ユニセフへ 2 千万円寄付し 1,282 世帯にトイレの設置と 18 の学校にトイレを建設