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WPI拠点 東京工業大学 地球生命研究所に
おける広報活動
~可読性によって多段階に書き分けた科学記事フォーマットの
開発を事例として~
石村源生
広報チーフ/特任准教授
東京工業大学地球生命研究所(ELSI)
gensei@elsi.jp
2017/7/31
今後の展望
1. AR Indexの基準を確立することにより、記事のディレクショ
ンが容易になることが期待される。
2. 同様に、記事の評価が容易になると考えられる。
3. テキストだけでなく、様々なコンテンツのディレクション・
評価に応用できる。
4. 「正確性」「わかりやすさ」というメタ情報を付加した情報
流通のシステムを構築できる。
5. サイエンスライティングをはじめとする専門文書の執筆や専
門情報の伝達のトレーニングにも活用できる。
テイクホームメッセージ
1. 両立し難い複数の目的を持ったコミュニケーションを、「動作
保証範囲」を明示する「メタ情報」を付加することによって部
分的にであっても成立可能なものとする。
2. その際、異なる「動作保証範囲」を持つ複数のコミュニケーシ
ョンの選択肢を提供し、「それら全体で」当該の目的群を包括
的に実現することを目指す。
3. コミュニケーションの相手には、「メタ情報」と「複数のコミ
ュニケーションの選択肢」並びにそれらへの「動線」が明示さ
れており、容易に選択できるUX(user experience)が提供されて
いなければならない。
4. これらのシステムを互いに整備することにより、互いに動作保
証範囲に制約されたアクター間のコミュニケーションを実りあ
るものとすることが本プロジェクトのミッションである。
これは果たして広報なのか?
1. 各拠点の知名度はそれぞれの拠点の研究分野ではかな
り上がってきている。
2. しかしそれでも、「うちの拠点はすごい」という広報
に誰が耳を傾けるだろうか?
これは果たして広報なのか?
3. 「広報そのもの」が、社会貢献を果たすものでなけれ
ばならない。さもなくば、単なるノイズを社会に増や
すに過ぎない。
4. より普遍的、一般的、公共的価値の実現を。
5. そこで初めて一周回って「ELSIの広報」に資すること
ができる。
6. 裏返せば、ELSIの広報だけやっていてはELSIの広報さ
え成し遂げられない。
7. これは、WPIのミッションであるreform(価値実現の
ための社会変革)にも連なる方向性であると考える。

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