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なぜとりわけ「科学技術」コミュニケーションを問題とするのか(改訂版)
- 5. 科学者が“ (一般的な意味での)コミュ
ニケーション”において直面する問題
1. 「動作保証規範」の問題
– 仮に万人の「コミュニケーション能力」が同一だとしても、科
学者は専門分野における「動作保証」の為にそのリソース
を可能な限り投じるという規範を課せられている。
– ゆえに、専門以外の分野におけるコミュニケーションリソー
スが不足する傾向にある。
2. 社会からの期待の問題
– また仮に十分なリソースを持っていたとしても、その役割イ
メージゆえに、「専門以外の分野においてさえ」動作保証
規範を社会から求められる傾向にあり、その目的のために
より多くのリソースを割かざるを得ない。
- 6. 仮説
• 前述の二つの問題のため、 “ (一般的な意味での)コ
ミュニケーション”に投じるリソースが不足する傾向に
あるのではないか。
• もちろん「個人差」は大きい。あくまで「平均」の話。
• 一方、全く逆に、「 “ (一般的な意味での)コミュニケ
ーション”に投じるリソースが不足する」ことによって、
専門以外の分野でかえって「動作保証」を過剰に軽
視したコミュニケーションを行ってしまうこともあるので
はないか。
• こういった構造的問題の存在を認めるならば、単に「
個別科学」「科学全般」「科学者」の限界を批判するこ
とは少なくともあまり“実効性のある”手段ではない。