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オープンソースのERP(Enterprise Resource Planning)
共有倉庫とセグメント別在庫管理
の検討資料
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共有倉庫とセグメント別在庫管理を検討するための
前提知識
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前提知識:iDempiereの在庫管理の枠組み
 iDempiereでは、”倉庫(Warehouse)”は在庫管理の枠組みの1つである。
 “倉庫”にある在庫の責任部署を明確にするために、倉庫は必ず1つの”組織
(Organization)”と結びつく。
 “倉庫”は、その中を”保管場所(Locator)”を使用して区切る事ができる。
組織A
倉庫A1 倉庫A2
保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1
組織B
倉庫B1
保管場所B1-1
クライアント
組織(Organization)
保管場所(Locator)
倉庫(Warehouse)
 組織をまたぐ在庫移動は、社内取引(組織間取引)として処
理する事ができる。
カウンター伝票
⇒(例)社内取引で組織Aで発注伝票を起票すると組織Bで対応する受注伝
票が作成される。
本支店会計の仕訳も起票する事ができる。
 在庫管理の地理的区分の最小単位。
 実際に在庫の増減に係る伝票では、倉庫ではなく保管場
所を指定して入力する。
 そのため保管場所をまたぐ在庫移動は、在庫移動伝票を
起票する必要がある。
1
N
N
1
 在庫管理上の大きな枠組みで、保管場所を束ねる。
 在庫の引当は倉庫に対して行う。
※組織と倉庫は1:Nの関係になる
※倉庫と保管場所は1:Nの関係になる
1
N
1
N
1
N
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前提知識:iDempiereの在庫管理の枠組み
 倉庫をまたいで保管場所を束ねる概念として”保管場所タイプ(Locator Type)”
がある。
組織A
倉庫A1 倉庫A2
保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1
組織B
倉庫B1
保管場所B1-1
クライアント
保管場所タイプ2
保管場所タイプ1 保管場所タイプ(Locator Type)
 保管場所を、倉庫をまたいでグルーピングする事ができる。
“組織”と”倉庫”、”保管場所”、”保管場所タイ
プ”のシステム的な役割や制約を理解して、ど
のように定義し運用していくのかは、とても重
要です!!
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前提知識:在庫管理の枠組みと販売管理の伝票の関係
 受注伝票は得意先からの注文単位で作成するのが基本であり、iDempiereの受
注伝票ではヘッダー情報に在庫を”引当”する”倉庫”を1つ指定する。
 出荷納品伝票は、地理的に出荷業務を行う場所毎に、出荷する単位で作成する。
受注伝票が1枚であっても、出荷業務を行う場所が複数個所あったり、別日にな
る場合は、その分出荷納品伝票を作成する。出荷納品伝票には、ヘッダーに”倉
庫”を指定し、明細に倉庫と結びつく”保管場所”を指定する。
 売上請求伝票は”倉庫”や”保管場所”は入力しない(入力する必要性がない)。
受注伝票
出荷納品
伝票
売上請求
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
売上請求
伝票
 受注伝票には”倉庫”を1つ入力する。受注伝票を”完成”にするとその倉庫に対して在庫の引
当を行う。
 倉庫は、受注伝票の”組織”に結びつく倉庫だけ選択できる。※すべての伝票は、その責任部
署を明確にするために”組織”を必ず1つ入力する必要がある。
 出荷納品伝票には、ヘッダー(鑑)の部分に”倉庫”を1つ入力し、明細に倉庫に結びつく”
保管場所”と、その保管場所から出荷する”品目”とその”数量”を入力する。
 出荷納品伝票は、出荷を行う場所毎に、出荷する単位で作成する。
 出荷納品伝票を”完成”にすると在庫が減少する。
 売上請求伝票は、売上を計上し請求書を作成するための伝票であり、倉庫や在庫とは関係
なく作成する事ができる。
 売上請求伝票には、”倉庫”や”保管場所”の情報は入力しない。
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前提知識:在庫管理の枠組みと購買管理の伝票の関係
 発注伝票は仕入先への注文単位で作成するのが基本(ただし、入荷する場所が異なるので
あれば別伝票とするのが照合が行いやすいので運用上好ましい)であり、iDempiereの発
注伝票では、発注数量を管理するために”倉庫”を1つ指定する。
 入荷伝票は、入荷する場所毎に、入荷する単位で作成する。発注伝票が1枚であっても、
入荷する場所が複数個所あったり、別日になる場合は、その分入荷伝票を作成する。入荷
伝票には、ヘッダーに”倉庫”を指定し、明細に倉庫と結びつく”保管場所”を指定する。
 仕入請求伝票は”倉庫”や”保管場所”は入力しない(入力する必要性がない)。
発注伝票
売上請求
伝票
票
入荷伝票
仕入請求
伝票
 発注伝票には”倉庫”を1つ入力する。発注伝票を”完成”にするとその倉庫に対して在庫の発
注が行われたことになる。これで1つの倉庫のある品目に対して受注による引当数量と発
注による注文数量を管理する事ができるようになる。
 倉庫は、発注伝票の”組織”に結びつく倉庫だけ選択できる。※すべての伝票は、その責任
部署を明確にするために”組織”を必ず1つ入力する必要がある。
 入荷伝票には、ヘッダー(鑑)の部分に”倉庫”を1つ入力し、明細に倉庫に結びつく”保管
場所”と、その保管場所から出荷する”品目”とその”数量”を入力する。
 入荷伝票は、入荷を行う場所毎に、入荷する単位で作成する。
 入荷伝票を”完成”にすると在庫が増加する。
 仕入請求伝票は、仕入と費用を計上し仕入先からの請求書(債務)を管理するための伝票で
あり、倉庫や在庫とは関係なく作成する事ができる。
 仕入請求伝票には、”倉庫”や”保管場所”の情報は入力しない。
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前提知識:在庫管理の枠組みと在庫の増減に係る伝票
受注伝票発注伝票
出荷納品
伝票
入荷伝票
仕入請求
伝票
売上請求
伝票
入金伝票支払伝票
出納帳
見積伝票
購買依頼
伝票
在庫移動
伝票
棚卸伝票
社内使用
在庫伝票
製造指図
伝票
JPiere/iDempiereのいろいろある伝票の中で、在庫管理を
する上では”在庫の増減に関係する伝票”を意識する事が大切
です。そして、在庫の増減に関係する伝票には、必ず”保管
場所を指定”しているという事も意識して下さい。
JPiere/iDempiereの主な伝票(取引データ)
現在庫数量
管理台帳
在庫取引
管理台帳
総勘定
元帳
振替仕訳
伝票
“ 保 管 場 所 ” は 在 庫 管 理 上 の 最 小 の 枠 組 み で 、
iDempiereでは、保管場所をキー情報として在庫数量
を管理しています。
台帳
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未請求買掛金
/ 仕入仮勘定
前提知識:在庫管理の枠組みと伝票の関係のまとめ
 伝票は各種取引を管理する事が目的であり、その責任部署を明確にするため、伝票には必ず“組
織”を1つ入力します。
 倉庫は在庫を管理する大きな枠組みであり、倉庫にある在庫の責任部署を明確にするため、 倉
庫は必ず1つの”組織”に所属します。
 倉庫は、その内部を地理的に区分するために”保管場所”を複数定義する事ができます。保管場所
はiDempiereの在庫管理における最小の枠組みです。
 そして、各種伝票に入力する倉庫/保管場所は、伝票の責任部署である”組織”に所属している倉
庫/保管場所に限られます(在庫移動伝票を除く)。
これらは、”セグメント(組織)”別の情報を正確に収集するための仕組みです。
受注伝票発注伝票
出荷納品
伝票
入荷伝票
仕入請求
伝票
売上請求
伝票
売上原価 / 棚卸資産
売掛金 / 売上
/ 仮受消費税
棚卸資産
/ 未請求買掛金
仮払消費税
仕入仮勘定
/ 買掛金
仕訳なし 仕訳なし
請求照合
伝票
発注照合
伝票
各伝票から起票される自動仕訳にはセグメント(組織)情報が必ずあり、すべての仕訳をセグメント別に集計
し、セグメント別の損益管理はもちろん、最終的にセグメント別のBSとPLの作成が可能です。
責任部署(組織)が明確な”倉庫”という概念
をキー情報にして在庫に係る取引を記録す
る事により、セグメント別の情報を正確に
収集する事ができます。
組織A
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共有倉庫とセグメント別在庫管理の
課題と解決案
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iDempiereの在庫管理の課題
組織A
倉庫A1 倉庫A2
保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1
iDempiereの在庫管理は、”倉庫”が大きな枠組みとなって行われます。1つの倉庫は、在
庫を保管している場所を区分管理するために”保管場所”を複数登録する事ができます。そ
して、倉庫は在庫の責任部署を明確にするために、必ず1つの”組織”に所属する事になり
ます。この事は、各組織が共有して使用している倉庫(以下、”共有倉庫”)がある場合に、
どのように実現するのか検討が必要になる事を意味します。
組織B
倉庫B1
保管場所B1-1
クライアント
共有倉庫
組織Aの在庫
組織Bの在庫
共有の在庫
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 10
iDempiereの在庫管理の課題
上場している企業など、内部セグメント別の会計情報を外部に公表している場合、在庫も明確にどのセ
グメントに属しているのか区分管理しておく必要があります。そのため共有倉庫にある在庫といえども、
どのセグメントの在庫なのか区分管理しておく必要があります。
iDempiereの標準機能としては、共有倉庫をセグメント別に理論的にわける(以下、”論理倉庫”)ことで、
セグメント別の在庫を区分管理する事はできます。
共有倉庫組織A 組織B
クライアント
どこの組織でも使用できる(引当できる)在庫もある…
組織Aの共有倉庫
組織Bの共有倉庫
物理的な共有倉庫を、内部セグメ
ント(組織)毎に理論的に分けま
す(論理倉庫)。この考え方を採用
す る とiDempiere の” 倉 庫 マ ス
タ”は組織毎の在庫を把握するた
めの論理的な枠組みと考える事が
できます。
組織Aの在庫
組織Bの在庫
共有の在庫
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 11
セグメント情報は、組織マスタをグルーピング化し集計して把握する事ができる前
提です。
iDempiereの在庫管理の課題
物理的な共有倉庫をセグメント(組織)毎に論理的に分けた論理倉庫の課題
 複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫は、どのセグメントの在庫とし
て認識すればよいのか?
 複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫を、どのように引当すればよい
のか?
 物理的に1つの倉庫が、セグメント(組織)毎の在庫把握のために論理的な倉庫マ
スタに区分されてしまう。その場合、物理的な倉庫単位で在庫を把握するには
どうすればよいのか?
組織A 組織B 組織C 組織D
クライアント
セグメント1 セグメント2
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課題:物理的な共有倉庫にある在庫の把握とセグメント別の在庫管理
共有倉庫組織
(購買部)
組織Aの論理倉庫
組織A 組織B
組織Bの論理倉庫
クライアント
共有倉庫-
組織A在庫保管場所
共有倉庫-
組織B在庫保管場所
保管場所タイプ:共有倉庫(物理倉庫)
“保管場所タイプ”は基本的
に物理的な倉庫(以下、物理
倉庫)として活用する→保管
場所タイプをキーに在庫数
を把握すれば物理的な倉庫
の在庫数が把握できる。
共有倉庫
共有倉庫 -
共有在庫保管場所
クライアントに共有倉
庫を管理する”組織”を
追加。
イメージ例→購買部
“倉庫”マスタは基本的にセ
グメント別の情報を取得す
るための論理倉庫としての
位置づけ。
この定義により、すべての
取引をセグメント別に把握
する事ができる。
 複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫は、どのセグメントの在庫とし
て認識すればよいのか?
この組織がどのセグメントに属
するのか決めれば、セグメント
別の在庫管理が可能。
組織Aの在庫
組織Bの在庫
共有倉庫組織
の在庫共有倉庫組織の在
庫はどの組織でも
使用してよいとし
た場合、この在庫
を引き当てる方法
は?
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課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法
解決案
 組織Aと組織Bの担当者には共有倉庫の組織へのアクセス権を持たせる。
このことにより、共有倉庫の共有在庫の在庫数を把握し、共有在庫を自
分の組織の在庫に移動させる操作が可能になる。
 次に、受注伝票明細に、共有倉庫の共有在庫がある保管場所から、同じ
共有倉庫内にある自分の組織の在庫の保管場所に在庫移動を行うための
情報を入力し、受注伝票完成時に“在庫移動伝票”を自動で作成できるよ
うにする。※この在庫移動は物理的な(地理的な)在庫移動を伴わないの
でJPiereでは”論理在庫移動”という事とする。
 つまり受注伝票で論理在庫移動を可能にする事で共有倉庫にある共有在
庫の引当を実現する。
 複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫を、どのよ
うに引当を行えばよいのか?
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課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法
受注伝票 > 受注伝票明細 [ 選択レコード/表示レコード数]
OSS ERP Solutions
受注伝票
クライアント* 本社組織*
- ステータス
SOO-1000XXX受注伝票* 得意先01取引先
20XX/8/8注文日付* 20XX/8/10納品予定日*
千葉県印西市取引先住所*
0引当数量*
10,000行合計*
説明
取引組織
- 数量情報
- 金額情報
I0001_品目A品目 属性セットインスタンス リソースアサイン
個数量単位 ▼10入力数量
8%-課税取引税金情報*
- 在庫移動情報
(JP_LocatorFrom_ID)移動元保管場所 (JP_LocatorTo_ID)移動先保管場所
OES本社倉庫倉庫*
0出荷済数量* 0請求済数量*
0注文数量*
1,000入力単価* 1,000単価* 500限度価格*
0.0割引% 1,000定価*
10明細番号
10,000課税標準額* 800税額*
▼▼
(JP_ASI_From_ID)
属性セットインスタンス
(From)
(JP_ASI_To_ID)
属性セットインスタンス
(To)
 受注伝票明細に論理在庫移動情報を入力するイメージ
共有在庫の保管場所
が表示される。
• 移動元保管場所に指定した、保管場所と同
じ保管場所タイプ(物理的に同じ倉庫)の保
管場所
かつ
• 受注伝票ヘッダで選択した”倉庫”と結びつ
く保管場所
が選択できる。
移動元(From) 移動先(To)
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 15
組織Aの論理倉庫
組織Aの共有倉庫
保管場所
課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法
共有倉庫組織
(購買部)
組織B
組織Bの論理倉庫
組織Bの共有倉庫
保管場所
共有倉庫
共有倉庫組織の
保管場所
在庫移動
伝票
自動作成 受注伝票
保管場所タイプ:共有倉庫
組織Bの在庫に係る取引は、組
織Bと結びつく論理倉庫を経由
して行われる。そのため、正確
なセグメント別のデータを集計
する事ができる。
組織Aの在庫
組織Bの在庫
共有の在庫
 例えば組織Bのユーザーが受注伝票を登録する場合、組織Bの論理倉庫にある在庫は地理的に在庫の”保
管場所”が違う場所にある場合でも、在庫の引当は行える。
 そして共有倉庫の組織にアクセスできる場合、“共有倉庫の共有在庫の保管場所”から地理的に同じ場所
にある“組織Bの共有倉庫の保管場所”に受注伝票の完成と同時に在庫移動伝票を作成し”論理在庫移動”
を行う事で、共有在庫を自分の組織の在庫として引当をかける事ができる。
組織A
完成
完成
在庫がマイナス
にならないよう
に制限をかける。
地理的に同じ場所に
ある在庫を、セグメ
ント別に理論的に把
握するためにデータ
上在庫移動させる(論
理在庫移動)。
論
理
在
庫
移
動
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 16
参考:在庫引当と論理在庫移動
共有倉庫組織
(購買部)
組織B組織A
組織Aの
論理倉庫
共有倉庫組織の
論理倉庫
(購買部の論理倉庫)
組織Bの
論理倉庫
 例えば組織Aのユーザーが受注伝票を登録する際に、地理的に各地に存在する在庫の引当を、以下の範
囲で行う事ができる。
組織Aの共有倉庫
保管場所
共有倉庫組織の
共有倉庫保管場所
組織Bの共有倉庫
保管場所
共有倉庫
組織Aの共有倉庫2
保管場所
共有倉庫組織の
共有倉庫2保管場所
組織Bの共有倉庫2
保管場所共有倉庫2
保管場所
タイプ
組織Aの
専用倉庫
組織Aの専用倉庫
保管場所
受注伝票
在庫移動
伝票
自動作成
論理在庫移動
同じ物理倉庫(同じ保管場所
タイプ)であれば、受注伝票
完成時に、論理的な在庫移
動伝票を自動作成する事が
できる。
物理的な倉庫が異なって
も、同じ組織Aの論理倉庫
なので、引当が可能。
同じ物理倉庫だが、アク
セス権がなく、他の組織
の在庫なので、勝手に在
庫移動はできない。
責任部署も、物理的な在
庫の保管場所も異なるた
め、勝手に在庫移動はで
きない。
〇 ×アクセス権あり アクセス権なし
〇
〇
〇
△
×
×
※在庫移動は、在庫移動伝票を使用するほかにも、社内売買を行う事
により移動させる事もできます。組織をまたぐ在庫移動を行う場合は、
どちらの方法がよいのか運用ルールを決める必要があります。
共有倉庫でも、物理的な在庫
の保管場所が異なる(保管場所
タイプが異なる)場合は受注伝
票完成時に在庫移動伝票を自
動作成する事はできない。
×
×
論理在庫移動
△
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 17
課題:物理的な倉庫単位での在庫数の把握
 物理的に1つの倉庫が、セグメント(組織)毎の在庫把握のために論理的
な倉庫マスタに区分されてしまう。その場合、物理的な倉庫単位で在庫
を把握するにはどうすればよいのか?
解決案
 iDempiereの在庫管理は、保管場所をキー情報のひとつと
して在庫管理しているため、その保管場所をグルーピング
できる保管場所タイプを物理的な倉庫として登録する。そ
うすれば保管場所タイプをキーとして在庫を集計する事で
物理的な(地理的な)倉庫単位での在庫数を把握する事ができ
る。
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 18
課題:物理的な倉庫単位で出荷納品伝票を作成するように制御する
受注伝票
出荷納品
伝票
売上請求
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
出荷納品
伝票
売上請求
伝票
 受注伝票は得意先からの注文単位で入力するのが基本であり、出荷納品伝票は、
地理的に出荷業務を行う場所毎に、出荷する単位で作成するのが基本である。
そうすると複数の地理的場所をまたがっての出荷納品伝票を作成できないよう
にする制御が必要なのではないかと思われる。
明細行に、在庫を引き当てている(と想定している)保管場所を出荷予定保管場所(JP_Locator_ID)として指定
しておく。※受注明細に登録する品目の在庫数を保管場所毎に確認できる検索ウィンドウかレポートを用意して
おき、出荷予定保管場所として受注伝票明細に(可能な限り)登録してもらう運用とする。
受注伝票の明細に、出荷予定保管場所の情報があるので、それを引き継いで出荷納品伝票明細を作成する事は可
能。仮に受注伝票明細上で異なった保管場所を、1枚の出荷納品伝票の中に含めても、受注伝票明細上に指定す
る保管場所はあくまでも、出荷予定の保管場所であり、出荷納品伝票明細に指定する保管場所は実際に出荷した
保管場所であるため、異なっていても特に問題ないとする(ワーニング程度は必要かもしれないが…)
解決案
© OSS ERP Solutions All Right Reserved. 19
- おわり -
http://www.oss-erp.co.jp/
オープンソースのERPを活用し、
企業が抱えている課題を
素早く低コストで解決します!

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JPiere 共有倉庫とセグメント別在庫管理検討資料

  • 1. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. オープンソースのERP(Enterprise Resource Planning) 共有倉庫とセグメント別在庫管理 の検討資料
  • 2. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 1 共有倉庫とセグメント別在庫管理を検討するための 前提知識
  • 3. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 2 前提知識:iDempiereの在庫管理の枠組み  iDempiereでは、”倉庫(Warehouse)”は在庫管理の枠組みの1つである。  “倉庫”にある在庫の責任部署を明確にするために、倉庫は必ず1つの”組織 (Organization)”と結びつく。  “倉庫”は、その中を”保管場所(Locator)”を使用して区切る事ができる。 組織A 倉庫A1 倉庫A2 保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1 組織B 倉庫B1 保管場所B1-1 クライアント 組織(Organization) 保管場所(Locator) 倉庫(Warehouse)  組織をまたぐ在庫移動は、社内取引(組織間取引)として処 理する事ができる。 カウンター伝票 ⇒(例)社内取引で組織Aで発注伝票を起票すると組織Bで対応する受注伝 票が作成される。 本支店会計の仕訳も起票する事ができる。  在庫管理の地理的区分の最小単位。  実際に在庫の増減に係る伝票では、倉庫ではなく保管場 所を指定して入力する。  そのため保管場所をまたぐ在庫移動は、在庫移動伝票を 起票する必要がある。 1 N N 1  在庫管理上の大きな枠組みで、保管場所を束ねる。  在庫の引当は倉庫に対して行う。 ※組織と倉庫は1:Nの関係になる ※倉庫と保管場所は1:Nの関係になる 1 N 1 N 1 N
  • 4. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 3 前提知識:iDempiereの在庫管理の枠組み  倉庫をまたいで保管場所を束ねる概念として”保管場所タイプ(Locator Type)” がある。 組織A 倉庫A1 倉庫A2 保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1 組織B 倉庫B1 保管場所B1-1 クライアント 保管場所タイプ2 保管場所タイプ1 保管場所タイプ(Locator Type)  保管場所を、倉庫をまたいでグルーピングする事ができる。 “組織”と”倉庫”、”保管場所”、”保管場所タイ プ”のシステム的な役割や制約を理解して、ど のように定義し運用していくのかは、とても重 要です!!
  • 5. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 4 前提知識:在庫管理の枠組みと販売管理の伝票の関係  受注伝票は得意先からの注文単位で作成するのが基本であり、iDempiereの受 注伝票ではヘッダー情報に在庫を”引当”する”倉庫”を1つ指定する。  出荷納品伝票は、地理的に出荷業務を行う場所毎に、出荷する単位で作成する。 受注伝票が1枚であっても、出荷業務を行う場所が複数個所あったり、別日にな る場合は、その分出荷納品伝票を作成する。出荷納品伝票には、ヘッダーに”倉 庫”を指定し、明細に倉庫と結びつく”保管場所”を指定する。  売上請求伝票は”倉庫”や”保管場所”は入力しない(入力する必要性がない)。 受注伝票 出荷納品 伝票 売上請求 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 売上請求 伝票  受注伝票には”倉庫”を1つ入力する。受注伝票を”完成”にするとその倉庫に対して在庫の引 当を行う。  倉庫は、受注伝票の”組織”に結びつく倉庫だけ選択できる。※すべての伝票は、その責任部 署を明確にするために”組織”を必ず1つ入力する必要がある。  出荷納品伝票には、ヘッダー(鑑)の部分に”倉庫”を1つ入力し、明細に倉庫に結びつく” 保管場所”と、その保管場所から出荷する”品目”とその”数量”を入力する。  出荷納品伝票は、出荷を行う場所毎に、出荷する単位で作成する。  出荷納品伝票を”完成”にすると在庫が減少する。  売上請求伝票は、売上を計上し請求書を作成するための伝票であり、倉庫や在庫とは関係 なく作成する事ができる。  売上請求伝票には、”倉庫”や”保管場所”の情報は入力しない。
  • 6. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 5 前提知識:在庫管理の枠組みと購買管理の伝票の関係  発注伝票は仕入先への注文単位で作成するのが基本(ただし、入荷する場所が異なるので あれば別伝票とするのが照合が行いやすいので運用上好ましい)であり、iDempiereの発 注伝票では、発注数量を管理するために”倉庫”を1つ指定する。  入荷伝票は、入荷する場所毎に、入荷する単位で作成する。発注伝票が1枚であっても、 入荷する場所が複数個所あったり、別日になる場合は、その分入荷伝票を作成する。入荷 伝票には、ヘッダーに”倉庫”を指定し、明細に倉庫と結びつく”保管場所”を指定する。  仕入請求伝票は”倉庫”や”保管場所”は入力しない(入力する必要性がない)。 発注伝票 売上請求 伝票 票 入荷伝票 仕入請求 伝票  発注伝票には”倉庫”を1つ入力する。発注伝票を”完成”にするとその倉庫に対して在庫の発 注が行われたことになる。これで1つの倉庫のある品目に対して受注による引当数量と発 注による注文数量を管理する事ができるようになる。  倉庫は、発注伝票の”組織”に結びつく倉庫だけ選択できる。※すべての伝票は、その責任 部署を明確にするために”組織”を必ず1つ入力する必要がある。  入荷伝票には、ヘッダー(鑑)の部分に”倉庫”を1つ入力し、明細に倉庫に結びつく”保管 場所”と、その保管場所から出荷する”品目”とその”数量”を入力する。  入荷伝票は、入荷を行う場所毎に、入荷する単位で作成する。  入荷伝票を”完成”にすると在庫が増加する。  仕入請求伝票は、仕入と費用を計上し仕入先からの請求書(債務)を管理するための伝票で あり、倉庫や在庫とは関係なく作成する事ができる。  仕入請求伝票には、”倉庫”や”保管場所”の情報は入力しない。
  • 7. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 6 前提知識:在庫管理の枠組みと在庫の増減に係る伝票 受注伝票発注伝票 出荷納品 伝票 入荷伝票 仕入請求 伝票 売上請求 伝票 入金伝票支払伝票 出納帳 見積伝票 購買依頼 伝票 在庫移動 伝票 棚卸伝票 社内使用 在庫伝票 製造指図 伝票 JPiere/iDempiereのいろいろある伝票の中で、在庫管理を する上では”在庫の増減に関係する伝票”を意識する事が大切 です。そして、在庫の増減に関係する伝票には、必ず”保管 場所を指定”しているという事も意識して下さい。 JPiere/iDempiereの主な伝票(取引データ) 現在庫数量 管理台帳 在庫取引 管理台帳 総勘定 元帳 振替仕訳 伝票 “ 保 管 場 所 ” は 在 庫 管 理 上 の 最 小 の 枠 組 み で 、 iDempiereでは、保管場所をキー情報として在庫数量 を管理しています。 台帳
  • 8. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 7 未請求買掛金 / 仕入仮勘定 前提知識:在庫管理の枠組みと伝票の関係のまとめ  伝票は各種取引を管理する事が目的であり、その責任部署を明確にするため、伝票には必ず“組 織”を1つ入力します。  倉庫は在庫を管理する大きな枠組みであり、倉庫にある在庫の責任部署を明確にするため、 倉 庫は必ず1つの”組織”に所属します。  倉庫は、その内部を地理的に区分するために”保管場所”を複数定義する事ができます。保管場所 はiDempiereの在庫管理における最小の枠組みです。  そして、各種伝票に入力する倉庫/保管場所は、伝票の責任部署である”組織”に所属している倉 庫/保管場所に限られます(在庫移動伝票を除く)。 これらは、”セグメント(組織)”別の情報を正確に収集するための仕組みです。 受注伝票発注伝票 出荷納品 伝票 入荷伝票 仕入請求 伝票 売上請求 伝票 売上原価 / 棚卸資産 売掛金 / 売上 / 仮受消費税 棚卸資産 / 未請求買掛金 仮払消費税 仕入仮勘定 / 買掛金 仕訳なし 仕訳なし 請求照合 伝票 発注照合 伝票 各伝票から起票される自動仕訳にはセグメント(組織)情報が必ずあり、すべての仕訳をセグメント別に集計 し、セグメント別の損益管理はもちろん、最終的にセグメント別のBSとPLの作成が可能です。 責任部署(組織)が明確な”倉庫”という概念 をキー情報にして在庫に係る取引を記録す る事により、セグメント別の情報を正確に 収集する事ができます。 組織A
  • 9. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 8 共有倉庫とセグメント別在庫管理の 課題と解決案
  • 10. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 9 iDempiereの在庫管理の課題 組織A 倉庫A1 倉庫A2 保管場所A1-1 保管場所A1-2 保管場所A2-1 iDempiereの在庫管理は、”倉庫”が大きな枠組みとなって行われます。1つの倉庫は、在 庫を保管している場所を区分管理するために”保管場所”を複数登録する事ができます。そ して、倉庫は在庫の責任部署を明確にするために、必ず1つの”組織”に所属する事になり ます。この事は、各組織が共有して使用している倉庫(以下、”共有倉庫”)がある場合に、 どのように実現するのか検討が必要になる事を意味します。 組織B 倉庫B1 保管場所B1-1 クライアント 共有倉庫 組織Aの在庫 組織Bの在庫 共有の在庫
  • 11. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 10 iDempiereの在庫管理の課題 上場している企業など、内部セグメント別の会計情報を外部に公表している場合、在庫も明確にどのセ グメントに属しているのか区分管理しておく必要があります。そのため共有倉庫にある在庫といえども、 どのセグメントの在庫なのか区分管理しておく必要があります。 iDempiereの標準機能としては、共有倉庫をセグメント別に理論的にわける(以下、”論理倉庫”)ことで、 セグメント別の在庫を区分管理する事はできます。 共有倉庫組織A 組織B クライアント どこの組織でも使用できる(引当できる)在庫もある… 組織Aの共有倉庫 組織Bの共有倉庫 物理的な共有倉庫を、内部セグメ ント(組織)毎に理論的に分けま す(論理倉庫)。この考え方を採用 す る とiDempiere の” 倉 庫 マ ス タ”は組織毎の在庫を把握するた めの論理的な枠組みと考える事が できます。 組織Aの在庫 組織Bの在庫 共有の在庫
  • 12. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 11 セグメント情報は、組織マスタをグルーピング化し集計して把握する事ができる前 提です。 iDempiereの在庫管理の課題 物理的な共有倉庫をセグメント(組織)毎に論理的に分けた論理倉庫の課題  複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫は、どのセグメントの在庫とし て認識すればよいのか?  複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫を、どのように引当すればよい のか?  物理的に1つの倉庫が、セグメント(組織)毎の在庫把握のために論理的な倉庫マ スタに区分されてしまう。その場合、物理的な倉庫単位で在庫を把握するには どうすればよいのか? 組織A 組織B 組織C 組織D クライアント セグメント1 セグメント2
  • 13. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 12 課題:物理的な共有倉庫にある在庫の把握とセグメント別の在庫管理 共有倉庫組織 (購買部) 組織Aの論理倉庫 組織A 組織B 組織Bの論理倉庫 クライアント 共有倉庫- 組織A在庫保管場所 共有倉庫- 組織B在庫保管場所 保管場所タイプ:共有倉庫(物理倉庫) “保管場所タイプ”は基本的 に物理的な倉庫(以下、物理 倉庫)として活用する→保管 場所タイプをキーに在庫数 を把握すれば物理的な倉庫 の在庫数が把握できる。 共有倉庫 共有倉庫 - 共有在庫保管場所 クライアントに共有倉 庫を管理する”組織”を 追加。 イメージ例→購買部 “倉庫”マスタは基本的にセ グメント別の情報を取得す るための論理倉庫としての 位置づけ。 この定義により、すべての 取引をセグメント別に把握 する事ができる。  複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫は、どのセグメントの在庫とし て認識すればよいのか? この組織がどのセグメントに属 するのか決めれば、セグメント 別の在庫管理が可能。 組織Aの在庫 組織Bの在庫 共有倉庫組織 の在庫共有倉庫組織の在 庫はどの組織でも 使用してよいとし た場合、この在庫 を引き当てる方法 は?
  • 14. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 13 課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法 解決案  組織Aと組織Bの担当者には共有倉庫の組織へのアクセス権を持たせる。 このことにより、共有倉庫の共有在庫の在庫数を把握し、共有在庫を自 分の組織の在庫に移動させる操作が可能になる。  次に、受注伝票明細に、共有倉庫の共有在庫がある保管場所から、同じ 共有倉庫内にある自分の組織の在庫の保管場所に在庫移動を行うための 情報を入力し、受注伝票完成時に“在庫移動伝票”を自動で作成できるよ うにする。※この在庫移動は物理的な(地理的な)在庫移動を伴わないの でJPiereでは”論理在庫移動”という事とする。  つまり受注伝票で論理在庫移動を可能にする事で共有倉庫にある共有在 庫の引当を実現する。  複数の組織で使用する(引当てる事のできる)在庫を、どのよ うに引当を行えばよいのか?
  • 15. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 14 課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法 受注伝票 > 受注伝票明細 [ 選択レコード/表示レコード数] OSS ERP Solutions 受注伝票 クライアント* 本社組織* - ステータス SOO-1000XXX受注伝票* 得意先01取引先 20XX/8/8注文日付* 20XX/8/10納品予定日* 千葉県印西市取引先住所* 0引当数量* 10,000行合計* 説明 取引組織 - 数量情報 - 金額情報 I0001_品目A品目 属性セットインスタンス リソースアサイン 個数量単位 ▼10入力数量 8%-課税取引税金情報* - 在庫移動情報 (JP_LocatorFrom_ID)移動元保管場所 (JP_LocatorTo_ID)移動先保管場所 OES本社倉庫倉庫* 0出荷済数量* 0請求済数量* 0注文数量* 1,000入力単価* 1,000単価* 500限度価格* 0.0割引% 1,000定価* 10明細番号 10,000課税標準額* 800税額* ▼▼ (JP_ASI_From_ID) 属性セットインスタンス (From) (JP_ASI_To_ID) 属性セットインスタンス (To)  受注伝票明細に論理在庫移動情報を入力するイメージ 共有在庫の保管場所 が表示される。 • 移動元保管場所に指定した、保管場所と同 じ保管場所タイプ(物理的に同じ倉庫)の保 管場所 かつ • 受注伝票ヘッダで選択した”倉庫”と結びつ く保管場所 が選択できる。 移動元(From) 移動先(To)
  • 16. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 15 組織Aの論理倉庫 組織Aの共有倉庫 保管場所 課題:共有倉庫の共有在庫に引当を行う方法 共有倉庫組織 (購買部) 組織B 組織Bの論理倉庫 組織Bの共有倉庫 保管場所 共有倉庫 共有倉庫組織の 保管場所 在庫移動 伝票 自動作成 受注伝票 保管場所タイプ:共有倉庫 組織Bの在庫に係る取引は、組 織Bと結びつく論理倉庫を経由 して行われる。そのため、正確 なセグメント別のデータを集計 する事ができる。 組織Aの在庫 組織Bの在庫 共有の在庫  例えば組織Bのユーザーが受注伝票を登録する場合、組織Bの論理倉庫にある在庫は地理的に在庫の”保 管場所”が違う場所にある場合でも、在庫の引当は行える。  そして共有倉庫の組織にアクセスできる場合、“共有倉庫の共有在庫の保管場所”から地理的に同じ場所 にある“組織Bの共有倉庫の保管場所”に受注伝票の完成と同時に在庫移動伝票を作成し”論理在庫移動” を行う事で、共有在庫を自分の組織の在庫として引当をかける事ができる。 組織A 完成 完成 在庫がマイナス にならないよう に制限をかける。 地理的に同じ場所に ある在庫を、セグメ ント別に理論的に把 握するためにデータ 上在庫移動させる(論 理在庫移動)。 論 理 在 庫 移 動
  • 17. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 16 参考:在庫引当と論理在庫移動 共有倉庫組織 (購買部) 組織B組織A 組織Aの 論理倉庫 共有倉庫組織の 論理倉庫 (購買部の論理倉庫) 組織Bの 論理倉庫  例えば組織Aのユーザーが受注伝票を登録する際に、地理的に各地に存在する在庫の引当を、以下の範 囲で行う事ができる。 組織Aの共有倉庫 保管場所 共有倉庫組織の 共有倉庫保管場所 組織Bの共有倉庫 保管場所 共有倉庫 組織Aの共有倉庫2 保管場所 共有倉庫組織の 共有倉庫2保管場所 組織Bの共有倉庫2 保管場所共有倉庫2 保管場所 タイプ 組織Aの 専用倉庫 組織Aの専用倉庫 保管場所 受注伝票 在庫移動 伝票 自動作成 論理在庫移動 同じ物理倉庫(同じ保管場所 タイプ)であれば、受注伝票 完成時に、論理的な在庫移 動伝票を自動作成する事が できる。 物理的な倉庫が異なって も、同じ組織Aの論理倉庫 なので、引当が可能。 同じ物理倉庫だが、アク セス権がなく、他の組織 の在庫なので、勝手に在 庫移動はできない。 責任部署も、物理的な在 庫の保管場所も異なるた め、勝手に在庫移動はで きない。 〇 ×アクセス権あり アクセス権なし 〇 〇 〇 △ × × ※在庫移動は、在庫移動伝票を使用するほかにも、社内売買を行う事 により移動させる事もできます。組織をまたぐ在庫移動を行う場合は、 どちらの方法がよいのか運用ルールを決める必要があります。 共有倉庫でも、物理的な在庫 の保管場所が異なる(保管場所 タイプが異なる)場合は受注伝 票完成時に在庫移動伝票を自 動作成する事はできない。 × × 論理在庫移動 △
  • 18. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 17 課題:物理的な倉庫単位での在庫数の把握  物理的に1つの倉庫が、セグメント(組織)毎の在庫把握のために論理的 な倉庫マスタに区分されてしまう。その場合、物理的な倉庫単位で在庫 を把握するにはどうすればよいのか? 解決案  iDempiereの在庫管理は、保管場所をキー情報のひとつと して在庫管理しているため、その保管場所をグルーピング できる保管場所タイプを物理的な倉庫として登録する。そ うすれば保管場所タイプをキーとして在庫を集計する事で 物理的な(地理的な)倉庫単位での在庫数を把握する事ができ る。
  • 19. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 18 課題:物理的な倉庫単位で出荷納品伝票を作成するように制御する 受注伝票 出荷納品 伝票 売上請求 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 出荷納品 伝票 売上請求 伝票  受注伝票は得意先からの注文単位で入力するのが基本であり、出荷納品伝票は、 地理的に出荷業務を行う場所毎に、出荷する単位で作成するのが基本である。 そうすると複数の地理的場所をまたがっての出荷納品伝票を作成できないよう にする制御が必要なのではないかと思われる。 明細行に、在庫を引き当てている(と想定している)保管場所を出荷予定保管場所(JP_Locator_ID)として指定 しておく。※受注明細に登録する品目の在庫数を保管場所毎に確認できる検索ウィンドウかレポートを用意して おき、出荷予定保管場所として受注伝票明細に(可能な限り)登録してもらう運用とする。 受注伝票の明細に、出荷予定保管場所の情報があるので、それを引き継いで出荷納品伝票明細を作成する事は可 能。仮に受注伝票明細上で異なった保管場所を、1枚の出荷納品伝票の中に含めても、受注伝票明細上に指定す る保管場所はあくまでも、出荷予定の保管場所であり、出荷納品伝票明細に指定する保管場所は実際に出荷した 保管場所であるため、異なっていても特に問題ないとする(ワーニング程度は必要かもしれないが…) 解決案
  • 20. © OSS ERP Solutions All Right Reserved. 19 - おわり - http://www.oss-erp.co.jp/ オープンソースのERPを活用し、 企業が抱えている課題を 素早く低コストで解決します!