「記憶の解凍」Aチーム
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東京大学大学院学際情報学府「学際情報学概論II」の「記憶の解凍」課題，Aチームのスライドです。
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「記憶の解凍」Aチーム
- 1. UNDARKEN MEMORIES 「記憶の解凍」と「コミュニケーションの創発」 渡邉先生Aチーム Twitter @undarkenmemory Instagram ＠undarken_memories 1
- 11. 反応① 写真自体の感想 11
- 12. 反応 ②追加情報 12
- 13. 反応 ③連想・思い出 13
- 14. 反応④対話の創出 14
- 15. 反応⑤その他 15
- 17. 17
Editor's Notes
- 「Undarken Memories ―記憶の解凍とコミュニケーションの創発」と題して、渡邉先生Aチームが発表します。 TwitterとInstagramを使用しているので、実際に投稿の様子をご覧いただければと思います。 良ろしければフォローもお願いします。
- ダークツーリズムで訪れるような負の歴史を抱えたもの・場所の白黒写真をカラー化し、それをSNSで 発信して、そこで新しいコミュニケーションを生むことを試みた
- 私たちのプロジェクトの名前は、テーマに関連する短いフレーズという点からUndarkenにしました。 色づけによって、暗くなったものをクリアーにするだけではなく、 日の目を見ることなく忘れられている記憶に光を当てることで、その記憶を解凍する意味も込めました。
- 白黒写真のカラー化にあたっては、早稲田大学の研究室が公開している自動色付け技術を用いました。 どのような写真も入力として用いることができ、色付けの結果も自然であることが多いため、多くのユーザに満足されているサービスです。
- 今回はこの自動色付け技術を用いて白黒写真をカラー化したのち、ソフトを用いて、より自然な仕上がりになるように色補正を行いました。 （写真は後の原爆ドームとなる広島産業陳列館、他の資料から屋根が緑であったことが判明したため、手修正を行いました。）
- 私たちの取り組みの背後にあるのは、「記憶の解凍」というテーマです。社会には多くの資料が存在していますが、殆ど用いられることなく死蔵されています。私たちは色つけを行ってSNSで提示することで、コミュニケーションを生むとともに、 資料そのものの価値を高めることも企図していました。
- 「記憶の解凍」というテーマを具体化するため、ダークツーリズムという軸を立てました。ダークツーリズムとは、悲しい歴史を抱えた場所を観光することで、そこで起きた悲劇に関する記憶を継承します。ただ、悲劇に染まる前には日常が存在していて、カラー化を使うことでスポットを当てます。 「記憶の解凍」という大きなテーマを具体化するモチーフとして、A班は悲しい歴史を抱えた場所を観光するダークツーリズムという軸を立てました。確かに本来のダークツーリズムは記憶を継承するためのものですが、悲劇に染まる前の日常に目を向けない人もいます。「ダーク」化された過去の歴史だけでなく「ダーク化」される前の過去をまなざす回路を提示するツールとして、カラー化を使おうと思いました。
- 以上の問題意識に基づき、ツールとしてTwitterとInstagramを選びました。 この２つを選んだ理由は、反応が順次にフロー化され、様々な人とコミュケーションが取れるからです。 そして、何より、写真を提示した時に生まれる、人々のリアクションに関心を持ったからです。 以上の問題意識に基づいて、私たちはSNS、その中でもTwitterやInstagramなどカジュアルなツールを使うことにしました。その理由は、まず、写真への反応が順次にフロー化され様々な人とコミュケーションができるからです。しかし、何よりも、過去の白黒写真、撮られた時の現在（いま）だったはずがダーク化されたものを再び提示した時に、生まれる人々のリアクションに関心を抱いているからです。
- こちらは、Twitterの投稿例です。 色付けした写真と白黒写真を載せて、3ヶ国語でテーマに関する説明をツイートしました。 twitterは、リツイートという形で拡散できます。 また、こちらは、私たちが投稿した中でもっとも広がったツイートで、今朝現在3,500回ほどいいね！を頂いてます Twitterは、リツイートという形で興味を持った投稿を気軽に自身のフォロワーに流すことができる、という特徴を活用しました。
- Instagramは、写真投稿が前提で、イメージを広めやすいという利点があります。 また、写真と位置情報を紐付けることができて、 ある場所における、人気で最新の投稿を一目で確認できる、という機能もあり、それを活用したいと考えました。 一方、同時に投稿を進めたInstagramは、Twitterと違ってリポストは珍しいです。写真投稿を前提に限られた人にハッシュタグで限られたテーマで発信する閉鎖性を持ちます。けれでも写真が中心でイメージを広めやすい利点と、何より位置情報が鍵となります。ある位置において人気や最新の投稿を一目で見れる特徴を持っています。また、ストーリーという時間制限を持って消える独特なシステムも特徴と言えます。
- ここからは、私たちの投稿に対するコメントを反応別に紹介します。 一番多かったのは、「写真自体の感想」です。 「きれい」「すごい」「かっこいい」「美しい」など、白黒写真がカラー化したことに、感動の声を沢山いただきました。
- 次に、「追加情報」です。 すべて正しい情報という訳ではなかったのですが、写真や投稿テーマに対する情報を付け足してくださり、 また、宣伝も兼ねたリツイートをしてくださった方もいます。
- 続いて、私たちの投稿を見て、連想した情報や個人の思い出を返してくださった方もいました。 例えば、アイヌの写真の投稿を見て、ニュージーランドのマオリの女性の刺青や、織物であるharakekeを連想したとコメントいただきました。 また、写真に関する個人の思い出を寄せてくださる方もいて、こういった形で思い出に触れるのは、SNSならではと感じました。
- 続いては、「記憶の解凍」の主な目的でもあった、コミュニケーションの創出の例です。 このように、私たちの投稿に関心を持ってくださった方が質問や意見をくださり、 それに対して返答するという形でコミュニケーションが生まれました。
- そのほかにも、数多くの興味深い反応をいただきました。 またインスタグラムにおいても、数は少ないとはいえ、投稿に対してリポストやコメントをいただくなど、資料がフロー化されていく姿が伺えました。
- Instagramでは先程も言ったように、位置情報やハッシュタグを利用して、それぞれの場所のオルタナティブなイメージを提示することを試みました。特に観光化が進んでいるチェルノブイリに顕著な例ですが、インスタグラムが「廃墟」や「過去」を連想させる白黒の写真で溢れかえっているのに対し、色がついた「その前の日常」という記憶のもう１つの流れを加えることに意義があると思いました。
- 今回においては、カラー化したい写真を公開している組織の許可を得る必要性という制約がありました。例えばアウシュビッツ資料館からはすぐに許可が降りたものの、長崎原爆資料館は再度申請と確認が必要とのことでした。これらは写真の著作権に絡む問題であり、ここでは深い立ち入りを避けますが、真剣に考えなければならない問題です。
- 権利の問題でSNSに公開できなかった写真もありました。使用料がかかる新聞社の写真や、個人が写真集などからスキャンして公開しているもので出典が不明なものなどがあります。（右上の写真は建設途中の福島第一原発を見学する小学生の写真です。この写真は朝日新聞のものでした）
- 私たちの取り組みではSNSを用いた不特定多数への発信となりました。その結果、多様なリアクションが生じてきたといえます。チェルノブイリの投稿がそんなに広まらなかったにもかかわらず、より濃密なコミュニケーションが生まれた一方、アイヌの投稿はより広く伝わりましたが、反応はライトなものでした。この取り組みを広げるにはそのような違った層にアプローチするという点が重要たと言えます。
- さて、私たちの取り組みの背景にダークな場所に対して、その凍り付いたイメージをゆるめる意図がありました。さらに、投稿に対し個人の経験にまつわる反応を受けたことは「大きな歴史」を「小さな歴史」と関連づける回路の誕生といえます。これをやっていると、「あの白黒写真は記憶の解凍に使えるのではないか？」という思考が生まれました。そうした意味でも、受け手側に「自動色付け」を体験してもらう重要性も再度認識しました。するに至りました。