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実践知リーダーシップと
   アジャイル/スクラム
- イノベーションを生み出し続ける組織に
     求められるリーダーとは -

            一橋大学名誉教授
  株式会社富士通総研 経済研究所 理事長
カリフォルニア大学ゼロックス名誉ファカルティ・スカラー
 クレアモント大学ドラッカー・スクール名誉スカラー
             野中郁次郎
          2013年1月16日(水)
   Scrum Regional Gathering Tokyo 2013
最              あるビジネス卩 匝トップ20
- The most influential business thinkers, Wall Street Journal -

   氏名                 特徴

1. ゲリー・ハメル            コンサルタント
2. トーマス L.フリードマン      ニューヨーク・タイムズ 特約寄稿家
3. ビル・ゲイツ             マイクロソフト会長
4. マルコム・グラッドウェル       『ブリンク』著者
5. ハワード・ガードナー         ハーバード大学教授
6. フィリップ・コトラー         ノースウェスタン大学教授
6. ロバート B.ライヒ         前労働省長官
8. ダニエル・ゴールマン         心理学者
9. ヘンリー・ミンツバーグ        マギル大学教授
10. スティーブン R.コヴィー     『七つの習慣』著者
11. ジェフリー・フェファー       スタンフォード大学教授
11. ピーター M.センゲ        『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』著者
13. リチャード・ブランソン       ヴァージン・グループ創業者
14. マイケル E.ポーター       ハーバード大学教授
15. マイケル S.デル         デル創業者
16. ギァート・ホーフステッド      『経営文化の国際比較―多国籍企業の中の国民性』著者
17. クレイトン M.クリステンセン   ハーバード大学教授
18. ジャック・ウェルチ         前GE CEO
18. トム・ピーターズ          『エクセレント・カンパニー』著者
20. マイロン S.ショールズ      ノーベル賞受賞者
20. 野中 郁次郎            一橋大学名誉教授
                      一橋大学名誉教授
                           名誉

                           Source: “Quest for Innovation, Motivation Inspires the Gurus”, The Wall Street Journal Online, May 5, 2008

                                                                                                                                  2
知 ベースの勛 経営
イノベーションを持続する動的共同体モデル
Dynamic Communitarian Model of Sustainable Innovation

                                            共通善の追求・拡張
                                              フロネシス

                                                企業ビジョン

                                                 価値命題
                                                顧客・生活者の
                                                 内的価値              共同体(顧客)と
                                                                    の共感・ネット
                                                 知識創造              ワーク・価値提供
                                                  (SECI)
                                                    場




                                      コスト         利潤                   市場価値

                                            出所:野中郁次郎、紺野登 『知識創造経営のプリンシプル』 2012年、東洋経済新報社、P318

© 2013 Nonaka I. all right reserved                                                       4
20世紀は資本主義者の時代
                  アダム・スミス、マルクス、新古典派経済学
                                      神の見えざる手:人は自分自身の安全と利益だけを求めよう
                                      とする。この利益は、例えば「莫大な利益を生み出し得る品物
                                      を生産する」といった形で事業を運営することにより、得られる
                                      ものである。このような行動を意図するのは、見えざる手に
                                      よって導かれた結果である。
                                           アダム・スミス 『国富論』 第4編「経済学の諸体系について」 Wikipediaより



                                      新古典派経済学では、完全競争市場には完全均衡が存在す
                                      ると仮定し、完全情報を持ち合理的で自己利益にのみ基づい
                                      て判断をする経済人(ホモエコノミカス)モデルを前提とする

                                      資本主義は、資本の蓄積のために、マネーがより多くのマ
                                      ネーを求めて永久運動的に投下されるプロセスである。
                                        Harvey,D.(2010) The Enigma of Capital and the Crisis of Capitalism,Oxford,P.40


   カール・マルクス

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21世紀は知 創造者の時代
                          ドラッカー、シュンペーター、ハイエク

            知識は今日唯一の意義ある資源である。
            今言えることは、知識を富の創造過程の中心に据える経済理
            論が必要とされているということである。そのような経済理論
            のみが、今日の経済を説明し、経済成長を説明し、イノベー
            ションを説明することができる。
                                      P. F. ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 ダイヤモンド社 1993年、P.303

            創造的破壊:イノベーションとは、既存の静態的な均衡を破る
            ことである。イノベーションとは、起業家が新たな知識を商業
            的・産業的に結合することである
                                                       シュンペーター『経済発展の理論』 (1912)

            市場とは、「部分的な知識しか持っていない多くの人々との間
            の相互作用の場」であり、個人が試行錯誤するなかで誤りを
            修正するダイナミックな発見の場である。そこでは、自主的に
            秩序が創発していく。
                                                       ハイエク F. 『個人主義と経済秩序』 (1948)
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資本主義は生き延びることができるか
                      シュンペーターの最後の問い
   革新が日常化され、自動化され、組織化された結果、発展はい
   わば官僚機構における専門家の行うような仕事となり、革新を
   担う企業社の機能と社会的地位は失われる
   功利性の発展のために、道徳、規律、慣習、制度の面で資本
   主義を支えていたマックス・ウェーバーの言う資本主義的要素
   が失われる
   資本主義の発展は、資本主義に対して批判的な知識階級と民
   主主義政治体制を生み出す
   経済的性向を基準とする資本主義の価値観が力を失い、平等
   化、社会保障、政府統制、余暇といったものを好む考え方が強
   くなる
  これら非経済的要因が資本主義の自己崩壊をもたらし、社会主
   義への移行を可能にする
                                      出所:塩野谷祐一『シュンペーター的思考:総合的社会科学の構想』1995年、東洋経済新報社
                                         シュンペーター、J.A. (1950) 『『資本主義・社会主義・民主主義(第3版)』、1950年にもとづく

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『知 創造企業』と『及れを経営する』
                『知 創造経営のプリンシプル』の命題

    企業は                               企業は        企業は
    知識創造体である                          知識を知恵化する   イノベーションを
                                      プロセスである    持続する実践知
                                                 共同体である




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『アジャイル開発とスクラム』

                                       顧客・技術・経営の3者をつなぐために、
                                        アジャイルと日本経営の接合点を探る
                                       (組織、人事、リーダーシップ、マネジメント)
                                       海兵隊のフラクタル組織とアジャイル
                                       知識創造プロセスとアジャイル
                                       実践知リーダーシップとアジャイル
                                       富士通・楽天・リクルートのアジャイル事例
                                       Jeff Sutherlandインタビューを含む




                                        1/17 翔泳社より発売予定 平鍋健児+野中郁次郎著

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知 ベース企業観:
                             企業はユニークな未来を創る存在

           知識の最大の特質は「人が関係性の中で創る資源で
           ある」ということである。
           知識とは、個人の信念/思いを「真理」に向って社会
           的に正当化していくダイナミック・プロセスである。

                 A dynamic social process of justifying personal
                 belief towards the truth.

                    イノベーションは、知識創造プロセスである。戦略は、
                    現実を解釈し、新たな現実を社会的に創り続ける知力
                    である。
                                       出所:野中郁次郎、遠山亮子、平田透 『流れを経営する』 2010年、東洋経済新報社

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知 創造プロセス
 - SECIモデル -
プラトン(左)とアリストテレス(右)
アテネの学堂(School of Athens)-ラファエロ
天を指さすプラトン          地に手をかざすアリストテレス
=理想主義、演繹的          =実践主義、帰納的




               出所: http://en.wikipedia.org/wiki/The_School_of_Athens

                                                                       12
匩勯のイデア

「原節子の一番好きなのは彼
女の顔です。
あの美は地上の美ではなく天
上と結ばれた美だと思います。
魂そのものの表象です。」
         (横尾 忠則)




                                   淑女性
                            「小津映画の中で、原節子は
                            女性の『イデア』(理想化され
                            た姿)を示した。」
                                        (茂木 健一郎)




     神秘性             優雅性     出所: 『原節子のすべて』新潮社(2012)

                                                   13
身体の否定:
                                  プラトン匆来の勽 の知の

        人間の思考について考えるときに、身体を否定すると
        いうことは古代ギリシア以来の西洋の知の伝統である。
        プラトンの言葉がもっともよくこのことを言い表している。
        われわれが生きている間は、身体とのあらゆる接触
        や関連を可能な限り排除することによって、知識に近
        づき続けることができる。そして、身体に侵されること
        を許さず、神が身体から解放してくれるまでわれわれ
        自身を純化する必要がある。


                                出所:Gibbs, R.W. (2005). Embodiment and cognitive science. Cambridge University Press. Cambridge: MA. P.3. による

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なぜ暗黙知なのか
                                      - Tacit Knowing -

   “われわれは語れる以上のことを知りうる”
                      (M.ポラニー)
   (We can know more than we can tell)
   “すべての知識は暗黙的か暗黙知に根ざす”
   (All knowledge is either tacit or rooted in tacit knowledge)
   “信じなければ理解できない”                                   (聖アウグスティヌス)
   (Unless you believe, you shall not understand)
   信念は知ることに先立つ
   (Belief precedes knowing)
   客観的で科学的な形式知こそが知識であるとする偏見から脱却す
   るには、知ること(Knowing)は、個人的なコミットメントが不可欠だと
   認めることで、信念と理性、アートとサイエンスのバランスある知識
   観を回復しなければならない。

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知 創造プロセス:
          知 創造は暗黙知と形式知の相 厭                                          卞動である

                暗黙知                   (Tacit Knowledge)
                                             Knowledge)    形式知 (Explicit Knowledge)
                                                                         Knowledge)

     言語・文章で表現し難い                                          言語・文章で表現できる
     主観的・身体的な経験知                                          客観的・理性的な言語知

     特定の文脈ごとの経験の反覆によっ                                     特定の文脈に依存しない一般的な概
     て個人に体化される
                                                          念や論理(
                                                          念や論理(理論・問題解決手法・マニュ
     思考スキル(思い・メンタル・モデル)
     思考スキル(思い・メンタル・モデル)や
     行動スキル(熟練・ノウハウ)
     行動スキル(熟練・ノウハウ)                                       アル・データベース)
                                                          アル・データベース)



                                                相互作用の
                                               スパイラルアップ
                                              アナログ知-デジタル知の綜合


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経験と言語は創造的関係にある

             IT化により、暗黙知だったものが形式知に移っていくこ
             とが出てくるかもしれません。しかし移ってはいくけれ
             ど、新しい暗黙知もどんどん出てくるわけです。今の
             社長の渡辺は、「暗黙知と形式知がうまくスパイラルア
             ップしていくことで向上する」と言っています。
                 出所: 奥田碩・朱建栄 『「地球企業トヨタ」は中国で何を目指すのか』 角川学芸出版 (2007)


             知覚は言語表現よりも豊かであると共に、言語も知覚
             を超えた意味を喚起し得る。知覚と言語の共働や循
             環は弁証法的ー創造的関係にある。
                                       出所:長濱祥司 『知覚とことば』 ナカニシヤ出版(1999)




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経験を言語化して、新たな知を創造する

       価値判断のツールは、ワインを試飲し、その時自分で感じ
       た感覚を言語化して自分の頭に記憶することです。実際に
       サービスするお客様とは、常に一期一会なのです。過去か
       ら現在、未来を瞬時に想像できなくてはなりません。
       ・・・言語化は、新たな感覚を作り出し、過去に記憶した感覚
       を蘇らせる。言語化を積み重ねていくことで、感覚も養われ
       ていくと思います。
                                      出所:田崎真也 『言葉にして伝える技術ーソムリエの表現力』祥伝社新
                                                                   書(2010)
       例:
       パインや黄桃のトロピカルフレーバーにスモーキーなニュアンス(シャルドネ)
       フローラルな香りが立ちあがり、マーマレードのようなニュアンス(スーヴィニオン ブラン)
       アルコールの熟感から生まれる甘みとタンニンが相乗してフレンドリーな味わい(キャバネ)
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組織的知 創造プロセス
                                        - SECIモデル -
  身体・五感を駆使、                                    暗黙知                       暗黙知                    対話・思索・喩えによる
  直接経験を通じた                                                                                       概念・図像の創造
   暗黙知の獲得、
  共有、創出(共感)
                                            共同化(S)                   表出化(E)                        (概念化)

                                             Environment             E       O I                4.自己の暗黙知の




                                                                                          形式知
                                      暗黙知
1. 組織内外の活動によ                                                             I            I           言語化
   る現実直感                                                                     Group              5.言語から概念・原型
                                                I       Individual                                の創造
2. 感情移入・同期・                                                              I            I
   気づき・予知・イメージ                                                                    I
                                                                                                形式知の組み合わせ
   の獲得
                                                                                                による情報活用と知識
3. 暗黙知の伝授、移転
                                                                                                の体系化(モデル化)
                                            内面化( I )                 連結化(C)
                                      暗黙知




 形式知を行動を                                                    O        E                          6. 概念間の関係と仮説の
                                                                              G




                                                                                          形式知
 通じて具現化、                                                G
                                                                                                   生成、モデル化、
新たな暗黙知として                                           I                    G   Org. G                プロトタイピング
理解・体得(実践)                                                                                       7. 形式知の伝達・普及・
                                              E                               G
9. 実験・仮説検証を通じた                                                                                     共有
   形式知の血肉化                                                                                      8. 形式知の編集・操作化、
10.行為のただ中の熟慮と                                  形式知                           形式知                   シュミレーション、ICT化
   フィードバック                                      I = 個人(Individual) G = 集団(Group)
                                            O = 組織(Organization) E = 環境(Environment)      © Nonaka I. , N.Konno R. Toyoma

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イノベーションはSECIスパイラルである


          直接経験を通じて現実に共感し共同化(Socialization)、
          気づきの本質をコンセプトに凝縮し表出化(Externalization)、
          コンセプトを関係づけて体系化し連結化(Combination)、
          技術、商品、ソフト、サービス、経験に価値化し、知を血肉
          化する内面化(Internalization)と同時に、組織・市場・環境
          の新たな知を触発し、再び共同化につなげる。このSECIの
          「高速回転化」が創造性と効率性をダイナミックに両立させ
          る知の綜合力(Synthesizing Capability)である。

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場
ー 知 創造のプラットフォーミング ー
場:知は場で創発される
            -場:動く文脈の共有(Shared Context In Motion)-

                                           人は場で意味をつくる




                                              相互主観性
  開放                                  閉鎖
                                             Intersubjectivity   閉鎖   開放

                                                    Ba
                                             (プラットフォーミング)
 相互主観性とは、相互に他者の主観と全人的に向き合い、受け容れ合い、共感し
 合うときに成立する、自己を超える「われわれ」の主観性である。
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価値(意味)は文脈から生まれる
                                      - コンテクストの定義 -

            ある発話の直前に起こった発語(言語的コンテクスト)
              「結構です」 ⇒ 「いる」か?「いらない」か?
            発話が行われる場面の状況(物理的コンテクスト)
              「これはタコだ」 ⇒ 「蛸」か?「凧」か?


        正確な定義(関連性理論)

        発話を解釈にあたっての手助けとなる、聞き手が自分の頭から
        取り出した想定(assumptions
                assumptions)を文脈(コンテクスト)と呼ぶ。
        取り出した想定(assumptions)を文脈(コンテクスト)と呼ぶ。



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場は共同化を促進する
                                      -身体的、精神的触れ合い-

           身体感覚は相互に浸透する:間身体性
           (Intercorporeality:メルロ・ポンティ)

           身体化された心
           (Embodied Mind:フランシスコ・ヴァレラ)

           共同化は脳内での他者の行動の模倣に始まる
           :ミラーニューロンの発見

   我々の脳内には、他人のしていることを見て、自分がそれをしているか
    のように感じさせる細胞があり、「共感」の土台はここにある。私たち
    は、生まれつき共感を覚えるようにできており、だからこそ社会を形
    成して、そこをさらに住みよい場所に変えていくことができるのだ。
                                                 (Iacoboni, et al:2005, Rizzolatti:2005)


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身体的「場」が原単位の経営

   知を生み出して活用するには、組織の個々人に身
   体化された知が集まり、客観化していく実践の「場」
   が基本単位となる。そこから、経営における社会的
   側面と経済的側面をバランスする「共創発」(Co-
   emergence)が起きる。場は「共有された動的な文
   脈あるいは意味空間」と定義される。

    私たちのミッションは大きいものに聞こえるかもしれませんが、起点は「2
    人の人の関係」という小さいものです。個人的な関係は、社会の基礎をな
    すものです。こうした関係によって、新しい考え方を知ったり、世界につい
    て理解を深めたり、究極的には長期的な幸福を得ているのです。

                              (マーク・ザッカーバーグからの手紙、ニュヨーク証券取引所新規株式公開申請書類)


出所:野中郁次郎、紺野登 『知識創造経営のプリンシプル』東洋経済新報社、2012年、P27
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勩・厑・学・ の匞 促進
                                      -知のグローバル・エコシステム -
     知識は関係性の中で創られる。ステークホルダーは、場をつなぐ場を構築して
     関係性をダイナミックに生成し変容させていく。産・官・学・民は協働することで、
     組織的な壁を超越していく。

                                                    大学          政府
                                       顧客


                                            場
                                                         場     地域社会

                                 供給業者
                                                場
                                                             競争業者
                                            企業

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価値命題とビジネスモデル
   -モノとコト-
価値命題はユニークなコトの提供

                                      ユニークなコトを提供するには、
                                      ユニークなモノが必要でもある
             例:iPod(モノ)ではなく、簡単に取り扱え、持ち運びしやすく、
               内容を自分でダウンロード・構成でき、いつでも手軽に好きな
               音楽を聴けるという出来事(イベント)を実現したことが重要

                                          機器とネット
                                          のサービス




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i-Pod のビジネスモデル

    能力はあるか                                                    いかなるコトを                                                     顧客は誰か
                                   コンテンツ                       与えるのか                        ライフスタイル
                                    制作                         (価値命題)                         ブランド
    ハード・ソフト
                                 ハードウエア
      開発.
      開発.
                                   生産
                                                                   i-Pod                    アップルストア
      e-コマース
                                  製品・ソフト                                                                                    ハイエンド
                                   デザイン                                                                                      顧客
                                                                   iBook                     ディーラー網
   マルチメディア
   著作権の管理                        ブランド管理
                                                              マルチメディア                            iTunes
      コンテンツ                                                    視聴体験
                                  ハード販売

                                   コンテンツ
                                    配信                                                      ハードの売上

                                                                    利潤
                                                                                           マルチメディア
                                   コスト構造
                                                                                             の売上

出所: De Kluyver, C.A. (2009). Business model innovation and ecosystem management
Osterwalder, A. (2005). Clarifying business models: Origins, present, and future of the concept. Communications of AIS, Volume 15

                                                                                                                                    29
ビジネスモデル・キャンバス
                                         -アップル iPodの事 -
        キーパートナー                          キー活動          顧客価値命題              顧客との              顧客セグメント
                  (KP)
                     )                    (KA)
                                             )           (VP)
                                                            )              関係性                 (CS)
                                                                                                  )
                                       ・イノベーション志向の
                                       マーケティング
                                                                            (CR)
                                                                               )
                                                      コンセプト:ソフト、サービス
                                       ・持続的ハード開発          と一体化した        ・アップルブランドの場
                                       ・持続的ソフト開発         音楽プレイヤー        ・Windowsモデル
                                       ・インターネット広告
        ・生産パートナー
        (台湾OEM)                          キー資源         ・マルチメディア視聴           チャネル              ・幅広い音楽嗜好層
        ・レコード会社との契約                                   経験                                     ・大学生
        ・コンテンツパートナー
                                          (KR)
                                             )                              (C)
                                                                              )
                                       ・アップルブランド                       ・アップルストア
                                       ・ソフトウェア(iOS)                    ・iTunes Musicstore
                                       ・デザイナー、マーケティ                    ・アップルウェブサイト
                                       ング人材

                                      コスト構造                                   収入の流れ
                                       (CS)
                                          )                                    (RS)
                                                                                  )
                            ・マーケティング                                   ・iPodハードの販売収益
                            ・ハード、ソフト開発費                                ・iTunes Musicstoreの
                            ・生産コスト                                          コンテンツ販売益
                            ・人件費
                            ・コンテンツ契約

                                                      出所:アレックス・オースターワルダー、イヴ・ピニュール『ビジネスモデル・ジェネレーション』翔泳社、2012年
                                                         紺野登『ソーシャル・イノベーションとビジネスモデル』2012年7月27日プレゼンテーション

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物象(モノ)の事象(コト)化

           「コト」づくりは名詞の動詞化から
           ひとつの事象は複数の力の合成によって現出している。対象をそ
           れ自体(名詞)として見ず、○○化(-zation)、「○○という状態にい
           たるプロセス」(動詞)として見直す。
                                                  出所:刈谷剛彦『複眼的思考法』講談社、1996
                                                                       年


           プレゼントは贈る人の心、表現の仕方、贈るタイミング、お互いの
           関係、その時の文脈といったことで贈られる側の感動が違う。それ
           らを含めた総体が価値として認識される。

           「商品とはひとつの社会関係である」
           マルクスは、「商品とは見える眼前のモノではなく、資本家が労働
           者を搾取する社会関係である」と見なすことによって、現実を固定
           化した客観的対象ではなく、人間の主体的な活動としてとらえ、革
           命の方法を明らかにした。
                                         出所:真木悠介「気流の鳴る音」ちくま学芸文庫、2003年に基づく
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フロネティック・リーダーシッ
       プ
   ー 賢慮・実践的知恵 ー
賢慮/実践知のリーダー




出所:Harvard Business Review: MAY 2011
   DIAMOND ハーバードビジネスレビューSEP2011
   『美徳の経営』 野中 郁次郎・紺野登、NTT出版、2007

                                       33
勘卾実な知の生  のイノベーションには、
          実践知のリーダーシップが必要

         環境は市場のみで捉えられない。組織は「社会=産業の
         知の生態系」におけるダイナミックな「知」創造体である。
         知のグローバル・エコシステムはリスクに直面している。
         宗教・倫理・政治など価値観の問題、環境保全、技術革
         新や人口動態の変化など、多様で変化する状況では、
         「いまここ」の文脈での判断が必要となる。
         我々がいま必要なのは、フロネシス(実践知)のリーダー
         シップである。智恵は、実践のなかにこそ存在する。


                                      出所:Nonaka, I., and Takeuchi, H. (forthcoming). “Cultivating Leaders with Practical Wisdom”

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アリストテレスの実践知の原典
                                      フロネシス(Phronesis)とは
                             賢慮(Prudence)、実践知(Practical Wisdom)

   共通善(Common Good)の価値基準をもって、個別のその都度の
   文脈のただ中で、最善の判断ができる身体性を伴う実践知である。


        個別具体の文脈で「ちょうど(just right)」の解を見つける能力
    個別と普遍を往還しつつ、熟慮に基づく合理性とその場の即興性
   を両立させる能力
    動きながら考え抜く「行為のただ中の熟慮」
   (Contemplation in Action)
    「文脈に即した判断」と「適時・絶妙なバランス」
   (Contextual Judgment) &(Timely Balancing)


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賢慮/実践知リーダーシップ
             - フロネティック・リーダーシップ の 印 -

       フロネシスとは、共通善の価値判断をもって、その都度
          の文脈で最適な判断・行為ができる実践知

           ⑥実践知を組織化                                     ①「善い」目的を
             する能力                                         つくる能力


   ⑤概念を実現する                                                ②場をタイムリーに
      政治力                                                    つくる能力


               ④直観の本質を                                 ③ありのままの現実を
                概念化する能力                                  直視する能力
                                            出所:野中郁次郎・紺野登『知識創造経営のプリンシプル』2012年、東洋経済新報社

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実践知リーダー
                                  本   とスティーブ・ジョブズ


         本田宗一郎 (1906 ー1991)
         本田技研工業の創始者



         スティーブ・ジョブズ (1955ー2011)
                    (1955ー
         アップル・コンピュータ社の共同創始者



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①「善い」目的をつくる


  「あらゆる行為や選択はすべて何らかの善を希求する」
                                                    ニコマコス倫理学』
                                           アリストテレス 『ニコマコス倫理学』


       例:幸福ないし自己実現:
         手段にならない、自己充足的価値

  「美徳は社会的に確立された卓越性の基準を達成しよう
   とする無限の実践に内在する」・・・職人道(artisanship)
   とする無限の実践に内在する」・・・職人道(artisanship)
                                             マッキンタイア『美徳なき時代』
                                             マッキンタイア『美徳なき時代』


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人は       を 求する生き物である

   最適な結果というものは、限界を超えたところでさらに手
   を伸ばしてつかもうとすることによってのみ得られる場合
   が多い。人は現実と可能性の二つの世界の住人なので
   ある。
                                            (Nicolas Rescher, 1987 )

   理想は決して達成できないかもしれないが、それを達成し
   ようとするからこそ人は限界を超え知を創造する。人を動
   かすのは理想を追求したいという「想い」「志」である。




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リベラルアーツ、人間愛と結びついた
                                 テクノロジーと3つの喜び

  アップルのDNA:”
  アップルのDNA:”テクノロジーだけ
       DNA:
  では十分ではない。我々の心を
  高鳴らせるものはリベラルアーツ
  と結びついたテクノロジーであり、
  人間愛と結びついたテクノロジー
  である。

                        スティーブ・ジョブズ,
                        スティーブ・ジョブズ, アップル

 3つの喜び
 (買う喜び、売る喜び、創る喜び)

                                      本田宗一郎


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世化的視 に つ
                                       本
      われわれの社風の一番大事な骨子というのは、世界的視野に立って、と
      いうことをわれわれの社風にうたっています。これは、ずっと前につくった
      ものです。その時にわたしはある人に笑われちゃったんです。まだ千人か
      そこらのときに、ホンダが危機だ、危機だと言われたときに、世界的視野
      に立って、なんていうことを書いたもんだから、大きなことを言ってやがる、
      専務と社長は大ぼら吹きだ、って言われたんです。しかし、この「世界的
      視野」っていうことが何かって言やぁ、何も、「世界」ということばをあえて
      使ったということは、さっそくに私はみんなにもういっぺん考えてもらわな
      きゃならない。これは、われわれが英国に行って考えることでもなきゃ、ア
      メリカに行って考えることでもないんです。日本で結構です、考えることは。
      日本におっても、どこの人種、どこの国境を越えても、人種の上を越えて
      も、いつだれがどこで考えてもそうなくちゃならん、ということが世界的視
      野なんだ。国境を越えて、人類として、人間である限りは、必ず納得できる
      ような、いわゆる、理論の持ち主になってもらいたいということが、私の狙
      いの世界的視野ということなんです。
                                                      -本田宗一郎
                                                 出所:本田技研工業 “Top Talks”
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② 場をタイムリーにつくる



          知識が創造され、共有・活用されるダイナミック
          な時空間を、他者の立場に立ってその気持ちを
          共感し、理解することによって刻々と変化する
          文脈を構築する能力。




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ジョークと

     ジョークというのは実にむずかしい。そのときの雰囲気とチャンスをつかまなけ
     ればならない。ふっとそこにだけ存在するもので、他には存在しない。そのタイ
     ミングを外したらジョークは成り立たない。
     ・・・ジョークというのはアイデアであり、人情の機微を察することである。

                                                                       本田宗一郎 『俺の考え』


     ジョブズはファースト・ネームでくり返し呼びかけてきます。レーザーのようにじ
     っと目を見てきます。それが映画スターのような目で、まるで催眠術にかかった
     ようになるんです。でも、なんといっても違うのは話し方ですねーー話すリズム
     とか、取り上げているものに対する驚くような熱意とか、そのあたりに秘密があ
     りそうです。とにかくすごい感染力なんです。

                                      出所:カーマイン・ガロ『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』2010年、日経BP社、P.64.




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ワイガヤのプロセス
                                      三日三晩の生きた時空間の共有

          会社負担で場(よい宿とよい食事、よい温泉)を手配
  • 日常的仕事環境からの脱却 - 間身体性の成立

          初日: 個と個のぶつかり合い
  • 話は上司の悪口、不満、対立から始まる
  • 徹底的に話させると、喧嘩も起きるが逃げ場がない
  • そのうちうわべの形式知が尽き、自己中心の殻がとれる

          二日目: 相互理解・許容
  • 違いを認める、お互いの思いを知るようになる
  • 気に入らない相手の意見も全人的に受け入れる

          三日目:自己意識を超えた深みから生まれる相互主観の創造
  • 建設的思考、コンセプトの飛躍が生まれる
                           出所: 小林三郎 「知識創発型研究開発マネジメント~ホンダ~」 『知識創造経営とイノベーション』 野中郁次郎・遠山亮子 (編) 丸善 2006


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直接・リアルと間接・バーチャルの
                                 コミュニケーションの違い
                                         直接・リアル        間接・バーチャル
    1. 知覚される情報の質と量 相手の状態や周囲の状況など                     限られた時空間の視覚・聴覚
                   の情報を総合的に処理                        情報から相手を推測

    2. 意識化の働きと身体から 身体からの直接入力によって                     入力はことばや映像に限られ、
       の入力         意識下の反応がある                         意識下の反応はない

    3. 相手と情報を共有するた 相手の全体像を見るので意図                     深い推論をすれば相手への深
       めの心の働き      や気持ちを読み取りやすい                      い共感が起きる可能性はある


    4. 共同体における共感と社 身体性を通じて感情を共有し、                    意識の上で推論した感情や意
       会維持の機能      社会関係を安定維持する                       図を共有する


    5. 記憶や思考の方略と連                     体験を通して他者を認識して記 メアドなどで他者を認識し、柔
       帯の強さ                           憶し、強い連帯を生む     らかい連帯を生む

   現代ではひとりの人間が両方のコミュニケーション方法を行っていることが普通。
   身体のはたらき、感情、社会性、意識下と意識の上でのはたらきなど様々にか
   かわっている。                 出所安西祐一郎『心と脳』岩波新書、2011年、P.262 – 262.

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③ ありのままの現実を直視する



          時々刻々と変化する、ありのままの現実を直視し、
          その背後にある本質を直観的に見抜く状況洞察能力。
          「一回性」の出来事に「普遍」を洞察する。


                                      神は細部に宿る(God is in details)




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ありのままの現実を直視する
                                  本         とスティーブ・ジョブズ




                                                      http://images.businessweek.com/ss/09/09/0929_jobs_presentations/index.htm



                                        写真提供:本田技研工業



   全五感を総合する研ぎ澄まされた共通感覚
   (コモンセンス)は瞬時の想像力や判断力を
   昂める


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④ 直観の本質を物語る


     ミクロの直観を、マクロの構想力(歴史的想像力・ビジョ
     ン・テーマ)と関係づけ、対話やメタファーによって、抽象
     化し、概念化し、モデル化し、物語化する。

          「物語は自己を歴史的文脈に位置づけることである」

                                              マッキンタイア『美徳なき時代』




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の場で   (コンセプト)を  合う
                                    /メタファーをフル活用する




                                          http://images.businessweek.com/ss/09/09/0929_jobs_presentation
             提供:本田技研工業
                                          s/index.htm




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⑤   を実現する 匮


        情熱と勇気とコミットメントをもって、あらゆる方法を駆
        使し、状況に応じて、未来を描くビジョンを共有・説得し、
        現在の価値創造を実現する。

        とりわけ、他人を説得し行動へと向かわせるレトリック
        (逆説・隠喩(メタファー)・対比)が重要である。一般通
        念を打破する新しいビジョンはレトリックに頼らざるを
        得ない。
                                              出所:塩野谷祐一『正・徳・善』2009年、ミネルヴァ出版




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を実現するリーダーシップ

           ホンダの未来を描き示す 本田宗一郎
           <マン島TTレース出場宣言>
           全従業員諸君!
           本田技研の全力を結集して栄冠を勝ち取ろう、本田技研の将来は一にかかって諸君
           の双肩にある。 […]本田技研の飛躍は諸君の人間的成長であり、諸君の成長はわ
           が本田技研の将来を約束するものである。 日本の機械工業の真価を問い、これを
           全世界に誇示するまでにしなければならない。わが本田技研の使命は日本産業の
           啓蒙にある。[…]ここに私の決意を披歴し、TTレースに出場、優勝するためには、精
           魂を傾けて創意工夫に努力することを諸君とともに誓う。
           右宣言する。
                                                                       出所: Honda Top Talks 『語りつがれる原点』


           現実歪曲空間(Reality Distortion Field)スティーブ・ジョブズ
           現実歪曲空間はカリスマ的なレトリック、不屈の精神、いかなる事実をも自らの目的
           に従わせようとする熱意が寄せ集まったものだ。ある論法で説得できなければ、彼は
           次の論法にうまく移行する。ときには相手の意見を突然自分の意見のように言い出
           して、相手を面食らわせることもある。自分が別の意見を持っていたことは認めようと
           しない。
                                         Source: Karney, L. (2008/2009). 『スティーブ・ジョブズの流儀』ランダムハウス講談社、P.197



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⑥ 実践知を組織化する
                                      Distributed Phronesis

        個人の全人格に埋め込まれているフロネシスを、
        実践のなかで組織内に伝承し、育成し、自律
        分散的フロネシス(distributed phronesis)に
        体系化する。

        そうすることによって、何が起ろうとも、弾力的・
        創造的に、リアルタイムで対応できるしなやかな
        組織(resilient organization)を構築できる。



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フロネシスを育てる
                                       スティーブ・ジョブズ
     人事評価のジェットコースター:
     ジョブスが部下に厳しい要求をするのと同じようにアップ
     ルのミドルマネジャーは同じレベルの高いパフォーマン
     スを部下に要求する。その結果、職場を支配するのは恐
     怖である。だれもが仕事を失うのではないかといつもびく
     びくしている。今日英雄だったかと思えば、明日はろくで
     なし呼ばわりされる。「信じられないほどの天国があると
     思えば、信じられないほどの地獄が待っています」



                                      出所:『スティーブ・ジョブスの流儀』 (2009/2009) ランダムハウス講談社、pp184-185

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実践知育成の基本は          勧

         賢慮/実践知                         賢慮/実践知
         =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ)
          =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ
         + 実践の場の経験 + フィードバック
                    )
         リーダーは訓練を通じてしか育たない。
               + 実践の場の経験 + フィードバッ
         • 難度の高い仕事への挑戦と、
           適時の具体的な評価と内省 ク   成長度
           によるフィードバックによって、
                     賢慮/実践知
           判断力や精神力の成長を
           =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ
           促進する
         • 飛躍的成長が期待できる     )
               + 実践の場の経験 + フィードバッ
                                                                           時間
                       ク                     出所:ラム・チャラン『CEOを育てる』2009年 ダイヤモンド社に基づく

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実践の型
                              -非凡なるコモンセンスをつくる-


       「型」とは、「規範とされる一定の体勢や動作」の
       ことで、創造的な知識資産の核となる
       良い「型」はクリエイティブ・ルーティンを養成する原型
       として機能し、より高い自由度を与える
       守(型を学ぶ)、破 (型を破る)、離(型から離れる)は、
               破        離
       創造的に自己革新を継続するために重要である




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知 創造の型
                                       -Creative Routines-
                                      ホンダ                                Apple
           三現主義:現場に行くこと、                            単純化せよ
           現物・ 現状を知ること、現実                           (Simplify)
           的であること                                   妥協するな
                                                    (Don’t compromise)
           理論とアイディアと時間を尊
           重すること                                    全員を巻き込め
                                                    (Include everyone)
           A00-何のためにやるのか?                           知的な闘いをせよ
           A0-コンセプトは何か?                             (Engage in intellectual combat.)
           A-スペックは何か?                               仕事に情熱を持て
                                                    (Find a passion in your work.)


                                                    出所: Karney, L. (2008/2009). Inside Steve’s Brain (expanded edition).
                                                                                                    Portfolio, New York.

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ホンダにおける
                                      プロデューサー型人材の育成
           ホンダの手本は本田宗一郎
           ホンダはトップだけが頑張るような会社ではありません。製造現場の一人一人がもの
           すごく重要なんです。ですから、従業員全員が本田宗一郎にならなきゃいけない。
           大勢の本田宗一郎を作ることが、ホンダにとっては大切なんです
           - 福井威夫社長             出典: 赤井邦彦 『「強い会社」を作る』 文春新書 (2006)



                                         LPL:開発責任者

                           設計PL            テストPL       デザインPL
                   ●エンジン                  ●エンジン      ●レイアウト
                   ●ボディ                   ●風洞        ●エクステリアデザイン
                   ●サスペンション               ●衝突        ●インテリアデザイン
                   ●艤装                    ●エミッション    ●カラー/
                                                     ●カラー/表皮
                   など                     ●耐久        ●デザインデータ
                                          など         ●デザインモデル
                                                     など 出所: 本田技研工業株式会社   社内資料

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ダイハツ:ミラ イース
          「スモールカーが持つエコのチカラを、いまある技術で き卲 う」

        「第3のエコカー」
        コンセプト「e:S」を、エナジー・セービングからecoでSmartへ。
        •       軽であるからには、低燃費、低価格、省資源。
        •       これまでの延長線ではなく、ダイハツの生き方を変える。
        •       縦割りx横串のマトリクス型は止め、メンバーをプロジェクトに転籍させ目的を
                共有し一体化する
                「登場感」を出すCMでサプライズを演出                                                              ブルース・ウィリス




                                           http://gazoo.com/G-Blog/tampyou/488549/Article.aspx



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組織と技術のイノベーション:
                                      自己相似形のフラクタル組織へ
         社員の所属をプロジェクトに移す(本籍・現住所統合)
         •       トップ直轄のタスクフォースでプロジェクト・チームを構築。プロジェクトで知識
                 を創造・蓄積・活用する。
         •       出身部門の利益代表(部分最適)ではなく、プロジェクトの利益のためにベク
                 トルを合わせて(全体最適)情報や知識を共有し活動する。
         •       チーフ・エンジニア(上田亨氏)に人事権「帰るところがない」
         •       他部門との調整はプロジェクトメンバーが決める。
                 3つのイノベーションで17カ月で開発から発売へ
         •       組織面:部分最適から「イース最適」、バーチャルカンパニー化
                      企画、開発、調達、生産、販売まで、各部門の                              プロジェクト・メンバー
                      エキスパート30人が参加
                 終了後に育った人材を全社の知のハブに配置
         •       技術面:JC08モードで30km/リッター、
                 最低価格79.5万円
                 ミラに比べて、約60Kg軽量化、部品点数15%削減、
                 40%の燃費改善
         •       新しい言葉でコミュニケーション
                 「同期設計」「予算性」「素質」
                                                http://www.sankeibiz.jp/business/news/110926/bsa1109260501000-n2.htm


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R&D 組織の改編
                                         社内起業的な13部門を創設
   3つの区分:
   3つの区分:
    Product Creation Units (PCUs): 新薬の研究、臨床開発、許認可を担当し、研究開発から商品化ま
   での時間を短縮し、新商品を迅速に市場に提供する
    Core Function Units (CFUs): 申請業務や臨床試験支援、薬物動態・毒性、バイオマーカーとファー
   マコオミックス、医薬製造など専門的な支援を行う
    CEO オフィス: 中期戦略計画の達成とその後の継続的な成長に向けた研究開発テーマの推進、グ
   ローバル投資や企業提携、グローバル人材戦略などの、企業価値向上への戦略策定

         Decision Making Support
         & Strategic Coordination                                                Product Creation
           CEO                 Neuro-                                                                            Biomarker /  Next
                               science   Oncology Morphotek Frontier   Premier   CRC                       DMPK/ Pharmaco- Generation Clinical Regulatory
                                 PCU       PCU      PCU       PCU        PCU     PCU     KAN        CMC     TOX     Omics    Systems Support     Affairs




       CEO Office
 • Product creation
   strategy                                    PCU (Product Creation Unit)                                CFU (Core Function Unit)
 • Corporate portfolio
   management
 • Inter-unit
   coordination

                                                                 Provide Functional            Provide Demand
                                                                     Excellence                                    Copyright Nonaka I. and R. Toyama 2009
               Operation Support & Coordination                                                  Intelligence
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JAL:稲盛式企業再生の仕組み
    ー哲学と理念が具現化された経営システムー
        柱                                    具体的効果


   フィロソフィーの注入                        仕事へのコミットメントの強化


                                          アメーバ・レベルの
                                            業務改善
   アメーバ経営の導入


  ・ 時間当たり付加価値が                          超アメーバ・レベルでの
    わかる仕組み                               資源配分の合理化
  ・ 市場の動きをダイレクト
    に伝え即座に対応する
    自律分散の小集団                         全社レベルでの資源戦略の
                                          確立

予算配分権を現場に直結しない経営企画部から部門別採算制度を統括する経営管理部に移管
            出所:稲盛和夫『アメーバ経営』、日経文庫、2010、 加護野忠男「経営時論」プレジデント2012年7月2日号に基づく

                                                                     61
海兵空 機動部隊(MAGTF)
                                      -フラクタル・オーガニゼーション-
                                           海兵遠征部隊(MEF)
                                           海兵遠征部隊(MEF)
                                                  MEF
                                                                      兵員数
                                                FORCE
                                                FORCE             USMC 49,700
                                            HEADQUARTERS
                                            HEADQUARTERS          USN  2,600

                     REINFORCED             MARINE AIRCRAFT      FORCE SERVICE
                       DIVISION                  WING            SUPPORT GROUP
                         (陸)                      (空)                (支援)

                                           海兵遠征旅団(MEB)
                                           海兵遠征旅団(MEB)
                                                  ME
                                               BRIGADE                 兵員数
                                               BRIGADE            USMC 15,000
                                            HEADQUARTERS
                                            HEADQUARTERS          USN   900

                    REGIMENTAL              MARINE AIRCRAFT     BRIGADE SERVICE
                   LANDING TEAM                 GROUP           SUPPORT GROUP
                       (陸)                        (空)                (支援)

                                           海兵遠征隊(MEU)
                                           海兵遠征隊(MEU)
                                                 MEU
                                              BATTALION                兵員数
                                              BATTALION           USMC 1,900
                                            HEADQUARTERS
                                            HEADQUARTERS          USN    110

                    BATTALION               MARINE AIRCRAFT    BATTALION SERVICE
                   LANDING TEAM               SQUADRON          SUPPORT GROUP
                       (陸)                        (空)                (支援)


           MAGT
        1. MAGTFはフラクタル構造:戦闘規模により構成員数は変化するが、基本構造は変わらない。
           三階層の原理
                の原理(the              hierarchy):伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon)、
                                               :伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon)
        2. 三階層の原理(the rules of three hierarchy):伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon)、
           大尉は3小隊編成の中隊(company)
                             (company)を各指揮し、同様のパターンは将官までいく。末端の兵卒から大佐までは8階層ある。
           大尉は3小隊編成の中隊(company)を各指揮し、同様のパターンは将官までいく。末端の兵卒から大佐までは8階層ある。

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出所:Page, T. & J. Pimlott, eds., NAM(1988) P.10

                                            63
ライフルマンを中心にした有機的な配置

                                                航空支援
                                                航空支援

                                 攻撃航空支援                    戦略機動支援
                                  ハリアー近接支援攻撃機              大型侵攻輸送用ヘリコプター
                                  ホーネット戦闘攻撃機               中型侵攻輸送用ヘリコプター
                                  イントルーダー攻撃機               軽侵攻ヘリコプター
                                  プラウラー電子戦機                攻撃ヘリコプター
                                  ファントム偵察機                 ハーキュリーズ強襲輸送・空中給油機
                                  ブロンコ観測・攻撃機
                                                ライフルマン
            輸送・艦砲支援
            輸送・艦砲支援                         拳銃
                                             拳銃                         役務支援
                                                                        役務支援
                                            ライフルM16A22
                                            ライフルM16A2
                                                M16A
                                             ライフルM16A
                                                 M16A2
                                             ライフルM16A
                                            グレネード・ランチャー
                                             グレネード・ランチャー
           水上戦闘艦                                                  ガーター橋        レッカー
           水陸両用艦船                                                 クレーン         水浄化ユニット
           攻撃潜水艦                                                  燃料システム       フォークリフト
           海兵隊事前集積艦(
           海兵隊事前集積艦(MPS)                                          発電機          ブルドーザー
                                                地上支援
                                                地上支援              トラック         グレーダー

                                          戦車        機関銃
                                          強襲水陸両用車   対戦車ロケット
                                          軽装甲車      対戦車ミサイル
                                          榴弾砲       対空ミサイル
                                          迫撃砲                  出所:野中郁次郎『アメリカ海兵隊』中公新書(1995)p.179

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アメリカ海兵隊のEthos(エトス:精神、気風)
  『我々が日々行う任務は全てはこの0311(歩兵)の為に』
   我々が日々行う任務は全てはこの    (歩兵)の為に』
                      (歩兵)の為に
                                      2004年11月にイラク・ファルージャで大作戦が展開された。
                                      海兵隊員が部屋いっぱいに待機していたところにテロが
                                      手榴弾を放り込んだ。1stSgtカサール(シニア歩兵)は若
                                      い(歩兵)に覆い被さり、手榴弾の爆発から守った。手榴
                                      弾の衝撃の大半を受けたカサールは、出血多量ながらも
                                      テロを倒し部隊を守った。
                                                              最前線からリーダーシップ)
                                      Leading from the Front (最前線からリーダーシップ)
                                      彼は1stSgt(15年以上のベテラン)ながらも前線で、しかも
                                      若い部下・仲間をかばう
                                                             :荒々しく、しぶとく)
                                                             :荒々しく、しぶとく
                                      Teufelhunden (Devil Dog:荒々しく、しぶとく
                                      手榴弾を受け出血多量でありながらも自分と仲間を負傷
                                      させたテロを拳銃で倒した


                                      一人の歩兵を助け、その歩兵の戦いを支援するた
                                       めにMAGTFの全てが組織的に形成されている
   仲間の海兵に助けられて担ぎ出される                  一人の歩兵を助けたいという「思い」がMAGTFを
   1stSgtカサールファルージャの戦いにて
                                             ひとつにまとめる
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自                                       型実践知経営を体現するマージ ルマン

                 クロネコヤマト:セールスドライバー                                                                          資生堂:ビューティ・コンサルタント




                                                                                                                       http://group.shiseido.co.jp/company/business/feature



                                                                                              加賀屋:仲居                                                             富士通:SE
                                                                                                                                                                 富士通:SE




            Uniqlo Marche at Ginza Store: http://toyokeizai.net/articles/-/11139
                                                                                            http://http://www.kagaya.co.jp/ct/




                              http://www.sej.co.jp/owner/about/photogallery/owner007.html                        http://www.sankeibiz.jp/business/news/110926/bsa1109260501000-n2.htm



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アジャイル・スクラム・イノベーション
                              - ソフト開発は知 創造プロセス                                                                         -

  アジャイル・スクラムは、開発進行中にチームメンバーの共同化、表出化、内面
  化と技術的な知識の連結化を促進し、その結果として技術的な専門知識を実践
  共同体としてのコミュニティの資産へと変換(野中、1995)。

  したがって、スクラム会議は、チー                                                        連続的 (A) vs. 重複的 (B 及び C) 開発フェーズ
  ムメンバーの知識を共同化し、互
  いの文化的な壁の超越を促進。                                                  フェーズA
                                                                  (リレー)
                                                                                        1           2          3       4       5   6
  会議が毎日、同じ場所、同じ時間                                                フェーズB
  、同じ参加者で行われることによ                                                (サシミ)                  1       2          3   4   5       6
  り自律的な場を創り、場への親密                                                フェーズC
  さを高め、知識を共有する習慣を                                                (スクラム)               1 2 3 4 5                6
  形成し、日々の開発プロセスの改                                                    出所: Takeuchi, H. & I. Nonaka. (1986). The
  善を促進する。                                                            new new product development, Harvard
                                                                     Business Review January-February, 1986.




出所: Sutherland, J. et al. Scrum: An extension pattern language for hyperproductive software development.

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スクラム開発の厣
                                - Human Touch with ICT -
      毎朝のスクラム・ミーティング
      ペア・プログラミング
      •       2人の開発者(ドライバー役とナビゲータ役)が1台                                         お菓子は
                                                                               必須♪
              のPC/WSを共有してコードを書く
      •       役割を5-10分毎に交代。
              ペアも日に数回組みかえる
      タスクかんばん(作業の見える化)
      •       ToDo(未実施)、Doing(実施中)、Done(完了)を
              管理。指示がなくても、自発的に作業できる
      KPTフィードバック
      •       カジュアルな雰囲気の中で、Keep(うまくいった点)、                       やってみて
              Problem(うまくいかなかった点)、Try(次回挑戦) うまく                 Keep     Try
              を全員で出し、暗黙知の共同化と、形式知への変 いった
              換(表出化・連結化)を行う
                                                           うまく Problem 解決法
                                                           いかない
   出所: 平鍋健児(2010)「アジャイル開発とスクラム」Agile Japan 2010 講演資料に基づく
                                                           新しい問題       新しいアイディア
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スクラム開発のプロセス
                                         - アジャイル 価値創造 -

      スクラム開発では、要件定義・開発・テストを1サイクル
      とする「スプリント」を繰り返しながら、開発を行う                                                      毎朝のスクラム・ミーティング
                                                                                    ペア・プログラミング
顧客、チーム、利用者、他の利害関                                                                    タスクカンバンによる
係者からの入力情報                                                                           作業の見える化
                                                        スクラムマスター
                                                                                    KPT(Keep,Problem,Try)
                                                        (チームの代表)



                                            スクラムチーム
      プロダクトオーナー                           (スクラム:6~7人)            2週間程度の
      (プロダクトビジョン)                                                  スプリント
                                                                  (作業期間)                      評価スプリント
                                          優先順位に     具体的タスク
                 優先順位の                     あわせた
                  ついた                     開発計画
                 開発仕様書
                                      プロダクトオーナー
                                                    スプリント
                                                    バックログ    スプリントの期間と                          開発終了品
                                                             開発内容は固定する
                                       スプリント計画会議:            ユーザーの希望する機能
       製品バックログ:                        スプリント毎の開発             が完成するまで反復する
       開発すべき機能                           対象を決める
                                                                                        ふりかえりスプリント
                                                                   出所: Sutherland, J. Scrum Training Institute に基づく


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集合賢慮/実践知:ミドル・アップ・ダウン

  壮大な理論(あるべき理想)
                                       トップ

   矛盾解消
                                      中範囲コンセプト
                                        ミドル




          矛盾
                                      (現実はこうだ)   知識の転移


                                        フロント
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社内ソーシャルメディア活用により社員全員をカリスマに:
                                      【事 】シスコとシスコジャパン
ジョン・チェンバース会長兼CEO
「トップダウン経営から、コラボレーションとチームワークの経営へ移行を図る
                      Engine)」
(Distributed Creative Engine)
  トップの戦略も現場も分かる中間管理層を原動力
        現場に近く、かつ経営ビジョンを理解している中間管理層を中心に7万人超の全社員が部門や国境、
        上司部下というカベを取り払い、世界中の英知を瞬時に結集するためのインフラ
•SNSに自分のページを作り、得意分野やビジネスノウハウや自己PRを掲載。互いに検索して知り合え
るようにする。
   • CEOから現場マネージャーまで年度方針として、個人目標設定と評価がでるICTツールを駆使し
     た、統合人事システム。全社共通の戦略フレームワークの導入。コミュニケーションをグローバ
     ル、リアルタイムで可視化する場。
    個が臨機応変に動くサッカー型組織
リアルタイムに戦略を修正しながら個々の力を発揮できる円形,球体のネットワーク、組織。現場に判断
をゆだねることができる。社員一人ひとりの立場で最適な判断をタイムリーに下せる俊敏さをめざす
    ICTカンパニーからBTカンパニーへ
ICTを更に進化させたビジネス創造を支援する価値を提供するビジネス・テクノロジー企業へ



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動的共同体経営
-   主義的プラグマティズム-
ウォール街を占拠せよ (Occupy Wall Street)
                                              き厢                    た資本主義への       動
2011年9月17日に始まった反ウォール街運動
-背景は、失業、収入格差、課税不平等、
 医療不安など社会の不平等に対する不満
-労働組合などが支援
-全米各地で同様の運動が拡大中
-2012年の大統領選に影響を及ぼす可能性

                                                                    「『ウォール街を占拠せよ』はリーダーの存在し
                                                                    ない抗議運動で、多様な人種や性別、支持政
                                                                    党の人々が集まっている。共通するのはただ1
                                                                    点、我々は1%の強欲や不正を許さない99%であ
                                               Map by Google
                                                                    る。われわれは目標を達成するために“アラブ
                                                                    の春”でとられた戦術を採用している。また、す
                                                                    べての参加者の安全が最大限に守られるよう
                                                                    に非暴力を推奨している」
                                      出所 http://occupywallst.org/


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賢慮の基盤

  教養(Humanity/Liberal Arts)
   哲学、歴史、文学、心理、レトリック、芸術
   ※人類学、生物学、デザイン学、政治学、都市計画学、神学(HBS)

  至高・多様経験(Peak and Diverse Experience)
   極限体験(畏敬)、手本との共体験、失敗・成功体験、
   異文化経験・・・

  実践・伝統・評価
   職人道(Artisanship),型
   高い卓越性の評価基準
   ※Moon Shots for Management
         (Harvard Business Review, April,2009)




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善(Good)と正義(Justice)
                          どちらを優先すべきか-2つの
        リバタリアニズム                            コミュニタリアニズム
        Libertarianism:自由至上主義               Communitarianism:共同体主義
        人間は他者の権利を侵害しない限り、                   人間は社会の一員として生まれ、生きる:
        自由という基本的権利を持つ                       全くの自由は持たない
                                            善が正義に先行する:個別具体の状況の
        正義が善に先行する:善の価値判断                    社会的関係性の中で、生き方(善の価値
        をせず、万人に共通する正義を論理                    観と目的)を問う
        的で普遍の命題として前提に置く




       論理的に普遍化され統一された
       正義では、個別の状況の質的な違い
       を考慮した判断はできない
                                      出所:マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』2010年 早川書房に基づく

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共同体主義の

     宗教や政治信条、価値観の多様化する多元的社会では、
     市民の義務や社会の共通善とは何か、すなわち、「より
     良い生き方」とは何かを世界的視野で問い、公共の場で
     議論し、分かり合うことによって、相互尊重 (リスペクト)
     が成り立ち、公正な社会が実現する。
                                      出所: マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう』 2010年 早川書房に基づく




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日本的経営のDNA「武士道」:社会価値の共創
         日本的な共同体的価値観の原点としての「武士道」
  日本の場合は、「見えざる神の手」というような普遍的な進歩の法則よりも現実の“世のため人のため
                                        世のため人のため”という
                                        世のため人のため
  ような、直接的な社会関係や人間関係への貢献こそが、ビジネスマンの努力を動機づけたのである。明治以
  後の近代化の時代にはいっても、国家、郷土、家のような社会的関係が価値観の根底に存在しつづけた。だ
  から、個人のアスピレーションの実現も、国、郷土、家のような社会関係に不可分に依存した。日本の近代化
  は、必ずしも古いものを切り捨てていくドグマ的な近代化のタイプでなく、遅れているものも共存せしめてゆく
  プラグマティックなそれであったといってよい。
                                      出所:ヒルシュマイヤー, j.・由井常彦 『日本の経営発展』 1977年、東洋経済新報社に基づく

         新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」
   私は日本語の武士道を、凡そ騎士道(Chivalry)と訳したが、それは語源において馬術
  (Horsemanship)よりも深い意味を持っている。武・士・道とは、字義的にみると、武人、騎士の道であり、
  戦士たる貴人が、本来の職分にとどまらず、日常生活においても、順守すべき規範であるといえる。
                                                  出所:新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」(2012)P.28

   武士道の枠組みを支えているものは智、仁、勇であるとされ、それぞれ、知恵、博愛心、勇気を意味
  している。侍とは本質的に行動の従である。学問は侍の行動の範囲外にあった。侍は自らの武士とい
  う職業に関連する限りにおいて学問を活用した。
                                                 出所:新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」(2012)P.158




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マネジメントとは
  「クラフト・アート・サイエンス」のブレンド
            マネジメントとは、伝統的な意味における一般教養である。知識、自己認識、
            知恵、リーダーシップという人格に関わるものであるがゆえに教養であり、
            同時に実践と応用にかかわるものであるがゆえに教養である。したがって
            マネジメントに携わる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史、物理学
            など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野に渡る知識と洞察を身に
            つけなければならない。それらの知識によって成果を上げなければならない。
            病人の治療、学生の教育、橋の建設、ソフトの設計と販売等、成果をあげる
            ことに使わなければならない。
                                      出所:P.F.ドラッカー、上田惇生訳、『ドラッカー365の金言』, 2005、ダイヤモンド社,p15


            マネジメントとは本来、「クラフト(=経験)」「アート(=芸術)」「サイエンス=
            (分析)」の三つを適度にブレンドしたものでなくてはならない。必要なのは、
            バランス感覚のある献身的な人材。言ってみれば「関与型」のマネジメントを
            行える人物だ。関与型のマネージャーは、単に会社の株価を引き上げるだ
            けではなく、組織を強くすることを自分に役割と考えている。
                                      出所:H.ミンツバーグ、池村千秋訳、『MBAが会社を滅ぼす』2006、日経BP社,p12




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実践知とは危うい知である
「よりよい」の叄                                      求:       主義的プラグマティズム

                                                                                       共通善

                                                                                      企業の社会
                                      ステップ 3:
                                                                                      的存在意義を
                                      実践結果から               目標                         追求する
                                      仮説を見直す

                                            目標        ステップ4
                                                      ステップ4:
                                                      目標を修正する
                                                      (理想と現実の間の矛盾を克服する)
    ステップ 1:                            ステップ 2:
    目標を設定する                            目標達成の手段の仮説を立て実践する
    (何を達成したいか?)
     何を達成したいか?)                        (「いま・ここ」の文脈で最も良い選択肢を選ぶ)
                                        「いま・ここ」の文脈で最も良い選択肢を選ぶ)
                                                                                            時間


  勇気はすべての徳の根源であり、人の価値観の基盤である(メイ.R)
                                                          出所: May, R. (1975). 『愛と意思』 誠信書房
                                                               野中郁次郎、紺野登、 『美徳の経営』NTT出版2007年


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「去す人にな う」:本
                              “Be Someone Who Tries”

  人生は見たり、聞いたり、試したり
  の3つの知恵でまとまっているが、
  多くの人は見たり聞いたりばかり
  で一番重要な“試したり”をほとん
  どしない。
  ありふれたことだが失敗と成功は
  裏腹になっている。                                     静岡県浜松市天竜区・光明小学校
  みんな失敗を恐れるから成功の                               本田宗一郎の母校に建てられた石碑

  チャンスも少ない。
  「やってみもせんで」・・・宗一郎
                                          出所: 本田宗一郎 『本田宗一郎一日一話』 PHP出版 (1988)

© 2013 Nonaka I. all right reserved                                            80
賢慮/実践知リーダー:フロニモス
 「 慮的な実践的          厱」(Contemplation in Action)
フロニモスは価値判断のダイナミック・バランスを実現する「徳」のある人である
    頭 Mind                                体 Body
                  「身体化された心」
   思索家 Thinker                           実践家 Doer
                   Embodied Mind




                     知的体育会系
                 “Intellectual Muscle”
                    共通善に向けた
                  「よりよい」の無限追求                  © Nonaka I., R. Toyama,

                                                                    81
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  • 1. 実践知リーダーシップと アジャイル/スクラム - イノベーションを生み出し続ける組織に 求められるリーダーとは - 一橋大学名誉教授 株式会社富士通総研 経済研究所 理事長 カリフォルニア大学ゼロックス名誉ファカルティ・スカラー クレアモント大学ドラッカー・スクール名誉スカラー 野中郁次郎 2013年1月16日(水) Scrum Regional Gathering Tokyo 2013
  • 2. あるビジネス卩 匝トップ20 - The most influential business thinkers, Wall Street Journal - 氏名 特徴 1. ゲリー・ハメル コンサルタント 2. トーマス L.フリードマン ニューヨーク・タイムズ 特約寄稿家 3. ビル・ゲイツ マイクロソフト会長 4. マルコム・グラッドウェル 『ブリンク』著者 5. ハワード・ガードナー ハーバード大学教授 6. フィリップ・コトラー ノースウェスタン大学教授 6. ロバート B.ライヒ 前労働省長官 8. ダニエル・ゴールマン 心理学者 9. ヘンリー・ミンツバーグ マギル大学教授 10. スティーブン R.コヴィー 『七つの習慣』著者 11. ジェフリー・フェファー スタンフォード大学教授 11. ピーター M.センゲ 『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』著者 13. リチャード・ブランソン ヴァージン・グループ創業者 14. マイケル E.ポーター ハーバード大学教授 15. マイケル S.デル デル創業者 16. ギァート・ホーフステッド 『経営文化の国際比較―多国籍企業の中の国民性』著者 17. クレイトン M.クリステンセン ハーバード大学教授 18. ジャック・ウェルチ 前GE CEO 18. トム・ピーターズ 『エクセレント・カンパニー』著者 20. マイロン S.ショールズ ノーベル賞受賞者 20. 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 一橋大学名誉教授 名誉 Source: “Quest for Innovation, Motivation Inspires the Gurus”, The Wall Street Journal Online, May 5, 2008 2
  • 4. イノベーションを持続する動的共同体モデル Dynamic Communitarian Model of Sustainable Innovation 共通善の追求・拡張 フロネシス 企業ビジョン 価値命題 顧客・生活者の 内的価値 共同体(顧客)と の共感・ネット 知識創造 ワーク・価値提供 (SECI) 場 コスト 利潤 市場価値 出所:野中郁次郎、紺野登 『知識創造経営のプリンシプル』 2012年、東洋経済新報社、P318 © 2013 Nonaka I. all right reserved 4
  • 5. 20世紀は資本主義者の時代 アダム・スミス、マルクス、新古典派経済学 神の見えざる手:人は自分自身の安全と利益だけを求めよう とする。この利益は、例えば「莫大な利益を生み出し得る品物 を生産する」といった形で事業を運営することにより、得られる ものである。このような行動を意図するのは、見えざる手に よって導かれた結果である。 アダム・スミス 『国富論』 第4編「経済学の諸体系について」 Wikipediaより 新古典派経済学では、完全競争市場には完全均衡が存在す ると仮定し、完全情報を持ち合理的で自己利益にのみ基づい て判断をする経済人(ホモエコノミカス)モデルを前提とする 資本主義は、資本の蓄積のために、マネーがより多くのマ ネーを求めて永久運動的に投下されるプロセスである。 Harvey,D.(2010) The Enigma of Capital and the Crisis of Capitalism,Oxford,P.40 カール・マルクス © 2013 Nonaka I. all right reserved 5
  • 6. 21世紀は知 創造者の時代 ドラッカー、シュンペーター、ハイエク 知識は今日唯一の意義ある資源である。 今言えることは、知識を富の創造過程の中心に据える経済理 論が必要とされているということである。そのような経済理論 のみが、今日の経済を説明し、経済成長を説明し、イノベー ションを説明することができる。 P. F. ドラッカー 『ポスト資本主義社会』 ダイヤモンド社 1993年、P.303 創造的破壊:イノベーションとは、既存の静態的な均衡を破る ことである。イノベーションとは、起業家が新たな知識を商業 的・産業的に結合することである シュンペーター『経済発展の理論』 (1912) 市場とは、「部分的な知識しか持っていない多くの人々との間 の相互作用の場」であり、個人が試行錯誤するなかで誤りを 修正するダイナミックな発見の場である。そこでは、自主的に 秩序が創発していく。 ハイエク F. 『個人主義と経済秩序』 (1948) © 2013 Nonaka I. all right reserved 6
  • 7. 資本主義は生き延びることができるか シュンペーターの最後の問い 革新が日常化され、自動化され、組織化された結果、発展はい わば官僚機構における専門家の行うような仕事となり、革新を 担う企業社の機能と社会的地位は失われる 功利性の発展のために、道徳、規律、慣習、制度の面で資本 主義を支えていたマックス・ウェーバーの言う資本主義的要素 が失われる 資本主義の発展は、資本主義に対して批判的な知識階級と民 主主義政治体制を生み出す 経済的性向を基準とする資本主義の価値観が力を失い、平等 化、社会保障、政府統制、余暇といったものを好む考え方が強 くなる これら非経済的要因が資本主義の自己崩壊をもたらし、社会主 義への移行を可能にする 出所:塩野谷祐一『シュンペーター的思考:総合的社会科学の構想』1995年、東洋経済新報社 シュンペーター、J.A. (1950) 『『資本主義・社会主義・民主主義(第3版)』、1950年にもとづく © 2013 Nonaka I. all right reserved 7
  • 8. 『知 創造企業』と『及れを経営する』 『知 創造経営のプリンシプル』の命題 企業は 企業は 企業は 知識創造体である 知識を知恵化する イノベーションを プロセスである 持続する実践知 共同体である © 2013 Nonaka I. all right reserved 8
  • 9. 『アジャイル開発とスクラム』 顧客・技術・経営の3者をつなぐために、 アジャイルと日本経営の接合点を探る (組織、人事、リーダーシップ、マネジメント) 海兵隊のフラクタル組織とアジャイル 知識創造プロセスとアジャイル 実践知リーダーシップとアジャイル 富士通・楽天・リクルートのアジャイル事例 Jeff Sutherlandインタビューを含む 1/17 翔泳社より発売予定 平鍋健児+野中郁次郎著 © 2013 Nonaka I. all right reserved 9
  • 10. 知 ベース企業観: 企業はユニークな未来を創る存在 知識の最大の特質は「人が関係性の中で創る資源で ある」ということである。 知識とは、個人の信念/思いを「真理」に向って社会 的に正当化していくダイナミック・プロセスである。 A dynamic social process of justifying personal belief towards the truth. イノベーションは、知識創造プロセスである。戦略は、 現実を解釈し、新たな現実を社会的に創り続ける知力 である。 出所:野中郁次郎、遠山亮子、平田透 『流れを経営する』 2010年、東洋経済新報社 © 2013 Nonaka I. all right reserved 10
  • 11. 知 創造プロセス - SECIモデル -
  • 12. プラトン(左)とアリストテレス(右) アテネの学堂(School of Athens)-ラファエロ 天を指さすプラトン 地に手をかざすアリストテレス =理想主義、演繹的 =実践主義、帰納的 出所: http://en.wikipedia.org/wiki/The_School_of_Athens 12
  • 13. 匩勯のイデア 「原節子の一番好きなのは彼 女の顔です。 あの美は地上の美ではなく天 上と結ばれた美だと思います。 魂そのものの表象です。」 (横尾 忠則) 淑女性 「小津映画の中で、原節子は 女性の『イデア』(理想化され た姿)を示した。」 (茂木 健一郎) 神秘性 優雅性 出所: 『原節子のすべて』新潮社(2012) 13
  • 14. 身体の否定: プラトン匆来の勽 の知の 人間の思考について考えるときに、身体を否定すると いうことは古代ギリシア以来の西洋の知の伝統である。 プラトンの言葉がもっともよくこのことを言い表している。 われわれが生きている間は、身体とのあらゆる接触 や関連を可能な限り排除することによって、知識に近 づき続けることができる。そして、身体に侵されること を許さず、神が身体から解放してくれるまでわれわれ 自身を純化する必要がある。 出所:Gibbs, R.W. (2005). Embodiment and cognitive science. Cambridge University Press. Cambridge: MA. P.3. による © 2013 Nonaka I. all right reserved 14
  • 15. なぜ暗黙知なのか - Tacit Knowing - “われわれは語れる以上のことを知りうる” (M.ポラニー) (We can know more than we can tell) “すべての知識は暗黙的か暗黙知に根ざす” (All knowledge is either tacit or rooted in tacit knowledge) “信じなければ理解できない” (聖アウグスティヌス) (Unless you believe, you shall not understand) 信念は知ることに先立つ (Belief precedes knowing) 客観的で科学的な形式知こそが知識であるとする偏見から脱却す るには、知ること(Knowing)は、個人的なコミットメントが不可欠だと 認めることで、信念と理性、アートとサイエンスのバランスある知識 観を回復しなければならない。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 15
  • 16. 知 創造プロセス: 知 創造は暗黙知と形式知の相 厭 卞動である 暗黙知 (Tacit Knowledge) Knowledge) 形式知 (Explicit Knowledge) Knowledge) 言語・文章で表現し難い 言語・文章で表現できる 主観的・身体的な経験知 客観的・理性的な言語知 特定の文脈ごとの経験の反覆によっ 特定の文脈に依存しない一般的な概 て個人に体化される 念や論理( 念や論理(理論・問題解決手法・マニュ 思考スキル(思い・メンタル・モデル) 思考スキル(思い・メンタル・モデル)や 行動スキル(熟練・ノウハウ) 行動スキル(熟練・ノウハウ) アル・データベース) アル・データベース) 相互作用の スパイラルアップ アナログ知-デジタル知の綜合 © 2013 Nonaka I. all right reserved 16
  • 17. 経験と言語は創造的関係にある IT化により、暗黙知だったものが形式知に移っていくこ とが出てくるかもしれません。しかし移ってはいくけれ ど、新しい暗黙知もどんどん出てくるわけです。今の 社長の渡辺は、「暗黙知と形式知がうまくスパイラルア ップしていくことで向上する」と言っています。 出所: 奥田碩・朱建栄 『「地球企業トヨタ」は中国で何を目指すのか』 角川学芸出版 (2007) 知覚は言語表現よりも豊かであると共に、言語も知覚 を超えた意味を喚起し得る。知覚と言語の共働や循 環は弁証法的ー創造的関係にある。 出所:長濱祥司 『知覚とことば』 ナカニシヤ出版(1999) © 2013 Nonaka I. all right reserved 17
  • 18. 経験を言語化して、新たな知を創造する 価値判断のツールは、ワインを試飲し、その時自分で感じ た感覚を言語化して自分の頭に記憶することです。実際に サービスするお客様とは、常に一期一会なのです。過去か ら現在、未来を瞬時に想像できなくてはなりません。 ・・・言語化は、新たな感覚を作り出し、過去に記憶した感覚 を蘇らせる。言語化を積み重ねていくことで、感覚も養われ ていくと思います。 出所:田崎真也 『言葉にして伝える技術ーソムリエの表現力』祥伝社新 書(2010) 例: パインや黄桃のトロピカルフレーバーにスモーキーなニュアンス(シャルドネ) フローラルな香りが立ちあがり、マーマレードのようなニュアンス(スーヴィニオン ブラン) アルコールの熟感から生まれる甘みとタンニンが相乗してフレンドリーな味わい(キャバネ) © 2013 Nonaka I. all right reserved 18
  • 19. 組織的知 創造プロセス - SECIモデル - 身体・五感を駆使、 暗黙知 暗黙知 対話・思索・喩えによる 直接経験を通じた 概念・図像の創造 暗黙知の獲得、 共有、創出(共感) 共同化(S) 表出化(E) (概念化) Environment E O I 4.自己の暗黙知の 形式知 暗黙知 1. 組織内外の活動によ I I 言語化 る現実直感 Group 5.言語から概念・原型 I Individual の創造 2. 感情移入・同期・ I I 気づき・予知・イメージ I 形式知の組み合わせ の獲得 による情報活用と知識 3. 暗黙知の伝授、移転 の体系化(モデル化) 内面化( I ) 連結化(C) 暗黙知 形式知を行動を O E 6. 概念間の関係と仮説の G 形式知 通じて具現化、 G 生成、モデル化、 新たな暗黙知として I G Org. G プロトタイピング 理解・体得(実践) 7. 形式知の伝達・普及・ E G 9. 実験・仮説検証を通じた 共有 形式知の血肉化 8. 形式知の編集・操作化、 10.行為のただ中の熟慮と 形式知 形式知 シュミレーション、ICT化 フィードバック I = 個人(Individual) G = 集団(Group) O = 組織(Organization) E = 環境(Environment) © Nonaka I. , N.Konno R. Toyoma © 2013 Nonaka I. all right reserved 19
  • 20. イノベーションはSECIスパイラルである 直接経験を通じて現実に共感し共同化(Socialization)、 気づきの本質をコンセプトに凝縮し表出化(Externalization)、 コンセプトを関係づけて体系化し連結化(Combination)、 技術、商品、ソフト、サービス、経験に価値化し、知を血肉 化する内面化(Internalization)と同時に、組織・市場・環境 の新たな知を触発し、再び共同化につなげる。このSECIの 「高速回転化」が創造性と効率性をダイナミックに両立させ る知の綜合力(Synthesizing Capability)である。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 20
  • 22. 場:知は場で創発される -場:動く文脈の共有(Shared Context In Motion)- 人は場で意味をつくる 相互主観性 開放 閉鎖 Intersubjectivity 閉鎖 開放 Ba (プラットフォーミング) 相互主観性とは、相互に他者の主観と全人的に向き合い、受け容れ合い、共感し 合うときに成立する、自己を超える「われわれ」の主観性である。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 22
  • 23. 価値(意味)は文脈から生まれる - コンテクストの定義 - ある発話の直前に起こった発語(言語的コンテクスト) 「結構です」 ⇒ 「いる」か?「いらない」か? 発話が行われる場面の状況(物理的コンテクスト) 「これはタコだ」 ⇒ 「蛸」か?「凧」か? 正確な定義(関連性理論) 発話を解釈にあたっての手助けとなる、聞き手が自分の頭から 取り出した想定(assumptions assumptions)を文脈(コンテクスト)と呼ぶ。 取り出した想定(assumptions)を文脈(コンテクスト)と呼ぶ。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 23
  • 24. 場は共同化を促進する -身体的、精神的触れ合い- 身体感覚は相互に浸透する:間身体性 (Intercorporeality:メルロ・ポンティ) 身体化された心 (Embodied Mind:フランシスコ・ヴァレラ) 共同化は脳内での他者の行動の模倣に始まる :ミラーニューロンの発見 我々の脳内には、他人のしていることを見て、自分がそれをしているか のように感じさせる細胞があり、「共感」の土台はここにある。私たち は、生まれつき共感を覚えるようにできており、だからこそ社会を形 成して、そこをさらに住みよい場所に変えていくことができるのだ。 (Iacoboni, et al:2005, Rizzolatti:2005) © 2013 Nonaka I. all right reserved 24
  • 25. 身体的「場」が原単位の経営 知を生み出して活用するには、組織の個々人に身 体化された知が集まり、客観化していく実践の「場」 が基本単位となる。そこから、経営における社会的 側面と経済的側面をバランスする「共創発」(Co- emergence)が起きる。場は「共有された動的な文 脈あるいは意味空間」と定義される。 私たちのミッションは大きいものに聞こえるかもしれませんが、起点は「2 人の人の関係」という小さいものです。個人的な関係は、社会の基礎をな すものです。こうした関係によって、新しい考え方を知ったり、世界につい て理解を深めたり、究極的には長期的な幸福を得ているのです。 (マーク・ザッカーバーグからの手紙、ニュヨーク証券取引所新規株式公開申請書類) 出所:野中郁次郎、紺野登 『知識創造経営のプリンシプル』東洋経済新報社、2012年、P27 © 2013 Nonaka I. all right reserved 25
  • 26. 勩・厑・学・ の匞 促進 -知のグローバル・エコシステム - 知識は関係性の中で創られる。ステークホルダーは、場をつなぐ場を構築して 関係性をダイナミックに生成し変容させていく。産・官・学・民は協働することで、 組織的な壁を超越していく。 大学 政府 顧客 場 場 地域社会 供給業者 場 競争業者 企業 © 2013 Nonaka I. all right reserved 26
  • 27. 価値命題とビジネスモデル -モノとコト-
  • 28. 価値命題はユニークなコトの提供 ユニークなコトを提供するには、 ユニークなモノが必要でもある 例:iPod(モノ)ではなく、簡単に取り扱え、持ち運びしやすく、 内容を自分でダウンロード・構成でき、いつでも手軽に好きな 音楽を聴けるという出来事(イベント)を実現したことが重要 機器とネット のサービス © 2013 Nonaka I. all right reserved 28
  • 29. i-Pod のビジネスモデル 能力はあるか いかなるコトを 顧客は誰か コンテンツ 与えるのか ライフスタイル 制作 (価値命題) ブランド ハード・ソフト ハードウエア 開発. 開発. 生産 i-Pod アップルストア e-コマース 製品・ソフト ハイエンド デザイン 顧客 iBook ディーラー網 マルチメディア 著作権の管理 ブランド管理 マルチメディア iTunes コンテンツ 視聴体験 ハード販売 コンテンツ 配信 ハードの売上 利潤 マルチメディア コスト構造 の売上 出所: De Kluyver, C.A. (2009). Business model innovation and ecosystem management Osterwalder, A. (2005). Clarifying business models: Origins, present, and future of the concept. Communications of AIS, Volume 15 29
  • 30. ビジネスモデル・キャンバス -アップル iPodの事 - キーパートナー キー活動 顧客価値命題 顧客との 顧客セグメント (KP) ) (KA) ) (VP) ) 関係性 (CS) ) ・イノベーション志向の マーケティング (CR) ) コンセプト:ソフト、サービス ・持続的ハード開発 と一体化した ・アップルブランドの場 ・持続的ソフト開発 音楽プレイヤー ・Windowsモデル ・インターネット広告 ・生産パートナー (台湾OEM) キー資源 ・マルチメディア視聴 チャネル ・幅広い音楽嗜好層 ・レコード会社との契約 経験 ・大学生 ・コンテンツパートナー (KR) ) (C) ) ・アップルブランド ・アップルストア ・ソフトウェア(iOS) ・iTunes Musicstore ・デザイナー、マーケティ ・アップルウェブサイト ング人材 コスト構造 収入の流れ (CS) ) (RS) ) ・マーケティング ・iPodハードの販売収益 ・ハード、ソフト開発費 ・iTunes Musicstoreの ・生産コスト コンテンツ販売益 ・人件費 ・コンテンツ契約 出所:アレックス・オースターワルダー、イヴ・ピニュール『ビジネスモデル・ジェネレーション』翔泳社、2012年 紺野登『ソーシャル・イノベーションとビジネスモデル』2012年7月27日プレゼンテーション © 2013 Nonaka I. all right reserved 30
  • 31. 物象(モノ)の事象(コト)化 「コト」づくりは名詞の動詞化から ひとつの事象は複数の力の合成によって現出している。対象をそ れ自体(名詞)として見ず、○○化(-zation)、「○○という状態にい たるプロセス」(動詞)として見直す。 出所:刈谷剛彦『複眼的思考法』講談社、1996 年 プレゼントは贈る人の心、表現の仕方、贈るタイミング、お互いの 関係、その時の文脈といったことで贈られる側の感動が違う。それ らを含めた総体が価値として認識される。 「商品とはひとつの社会関係である」 マルクスは、「商品とは見える眼前のモノではなく、資本家が労働 者を搾取する社会関係である」と見なすことによって、現実を固定 化した客観的対象ではなく、人間の主体的な活動としてとらえ、革 命の方法を明らかにした。 出所:真木悠介「気流の鳴る音」ちくま学芸文庫、2003年に基づく © 2013 Nonaka I. all right reserved 31
  • 32. フロネティック・リーダーシッ プ ー 賢慮・実践的知恵 ー
  • 33. 賢慮/実践知のリーダー 出所:Harvard Business Review: MAY 2011 DIAMOND ハーバードビジネスレビューSEP2011 『美徳の経営』 野中 郁次郎・紺野登、NTT出版、2007 33
  • 34. 勘卾実な知の生 のイノベーションには、 実践知のリーダーシップが必要 環境は市場のみで捉えられない。組織は「社会=産業の 知の生態系」におけるダイナミックな「知」創造体である。 知のグローバル・エコシステムはリスクに直面している。 宗教・倫理・政治など価値観の問題、環境保全、技術革 新や人口動態の変化など、多様で変化する状況では、 「いまここ」の文脈での判断が必要となる。 我々がいま必要なのは、フロネシス(実践知)のリーダー シップである。智恵は、実践のなかにこそ存在する。 出所:Nonaka, I., and Takeuchi, H. (forthcoming). “Cultivating Leaders with Practical Wisdom” © 2013 Nonaka I. all right reserved 34
  • 35. アリストテレスの実践知の原典 フロネシス(Phronesis)とは 賢慮(Prudence)、実践知(Practical Wisdom) 共通善(Common Good)の価値基準をもって、個別のその都度の 文脈のただ中で、最善の判断ができる身体性を伴う実践知である。 個別具体の文脈で「ちょうど(just right)」の解を見つける能力 個別と普遍を往還しつつ、熟慮に基づく合理性とその場の即興性 を両立させる能力 動きながら考え抜く「行為のただ中の熟慮」 (Contemplation in Action) 「文脈に即した判断」と「適時・絶妙なバランス」 (Contextual Judgment) &(Timely Balancing) © 2013 Nonaka I. all right reserved 35
  • 36. 賢慮/実践知リーダーシップ - フロネティック・リーダーシップ の 印 - フロネシスとは、共通善の価値判断をもって、その都度 の文脈で最適な判断・行為ができる実践知 ⑥実践知を組織化 ①「善い」目的を する能力 つくる能力 ⑤概念を実現する ②場をタイムリーに 政治力 つくる能力 ④直観の本質を ③ありのままの現実を 概念化する能力 直視する能力 出所:野中郁次郎・紺野登『知識創造経営のプリンシプル』2012年、東洋経済新報社 © 2013 Nonaka I. all right reserved 36
  • 37. 実践知リーダー 本 とスティーブ・ジョブズ 本田宗一郎 (1906 ー1991) 本田技研工業の創始者 スティーブ・ジョブズ (1955ー2011) (1955ー アップル・コンピュータ社の共同創始者 © 2013 Nonaka I. all right reserved 37
  • 38. ①「善い」目的をつくる 「あらゆる行為や選択はすべて何らかの善を希求する」 ニコマコス倫理学』 アリストテレス 『ニコマコス倫理学』 例:幸福ないし自己実現: 手段にならない、自己充足的価値 「美徳は社会的に確立された卓越性の基準を達成しよう とする無限の実践に内在する」・・・職人道(artisanship) とする無限の実践に内在する」・・・職人道(artisanship) マッキンタイア『美徳なき時代』 マッキンタイア『美徳なき時代』 © 2013 Nonaka I. all right reserved 38
  • 39. 人は を 求する生き物である 最適な結果というものは、限界を超えたところでさらに手 を伸ばしてつかもうとすることによってのみ得られる場合 が多い。人は現実と可能性の二つの世界の住人なので ある。 (Nicolas Rescher, 1987 ) 理想は決して達成できないかもしれないが、それを達成し ようとするからこそ人は限界を超え知を創造する。人を動 かすのは理想を追求したいという「想い」「志」である。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 39
  • 40. リベラルアーツ、人間愛と結びついた テクノロジーと3つの喜び アップルのDNA:” アップルのDNA:”テクノロジーだけ DNA: では十分ではない。我々の心を 高鳴らせるものはリベラルアーツ と結びついたテクノロジーであり、 人間愛と結びついたテクノロジー である。 スティーブ・ジョブズ, スティーブ・ジョブズ, アップル 3つの喜び (買う喜び、売る喜び、創る喜び) 本田宗一郎 © 2013 Nonaka I. all right reserved 40
  • 41. 世化的視 に つ 本 われわれの社風の一番大事な骨子というのは、世界的視野に立って、と いうことをわれわれの社風にうたっています。これは、ずっと前につくった ものです。その時にわたしはある人に笑われちゃったんです。まだ千人か そこらのときに、ホンダが危機だ、危機だと言われたときに、世界的視野 に立って、なんていうことを書いたもんだから、大きなことを言ってやがる、 専務と社長は大ぼら吹きだ、って言われたんです。しかし、この「世界的 視野」っていうことが何かって言やぁ、何も、「世界」ということばをあえて 使ったということは、さっそくに私はみんなにもういっぺん考えてもらわな きゃならない。これは、われわれが英国に行って考えることでもなきゃ、ア メリカに行って考えることでもないんです。日本で結構です、考えることは。 日本におっても、どこの人種、どこの国境を越えても、人種の上を越えて も、いつだれがどこで考えてもそうなくちゃならん、ということが世界的視 野なんだ。国境を越えて、人類として、人間である限りは、必ず納得できる ような、いわゆる、理論の持ち主になってもらいたいということが、私の狙 いの世界的視野ということなんです。 -本田宗一郎 出所:本田技研工業 “Top Talks” © 2013 Nonaka I. all right reserved 41
  • 42. ② 場をタイムリーにつくる 知識が創造され、共有・活用されるダイナミック な時空間を、他者の立場に立ってその気持ちを 共感し、理解することによって刻々と変化する 文脈を構築する能力。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 42
  • 43. ジョークと ジョークというのは実にむずかしい。そのときの雰囲気とチャンスをつかまなけ ればならない。ふっとそこにだけ存在するもので、他には存在しない。そのタイ ミングを外したらジョークは成り立たない。 ・・・ジョークというのはアイデアであり、人情の機微を察することである。 本田宗一郎 『俺の考え』 ジョブズはファースト・ネームでくり返し呼びかけてきます。レーザーのようにじ っと目を見てきます。それが映画スターのような目で、まるで催眠術にかかった ようになるんです。でも、なんといっても違うのは話し方ですねーー話すリズム とか、取り上げているものに対する驚くような熱意とか、そのあたりに秘密があ りそうです。とにかくすごい感染力なんです。 出所:カーマイン・ガロ『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』2010年、日経BP社、P.64. © 2013 Nonaka I. all right reserved 43
  • 44. ワイガヤのプロセス 三日三晩の生きた時空間の共有 会社負担で場(よい宿とよい食事、よい温泉)を手配 • 日常的仕事環境からの脱却 - 間身体性の成立 初日: 個と個のぶつかり合い • 話は上司の悪口、不満、対立から始まる • 徹底的に話させると、喧嘩も起きるが逃げ場がない • そのうちうわべの形式知が尽き、自己中心の殻がとれる 二日目: 相互理解・許容 • 違いを認める、お互いの思いを知るようになる • 気に入らない相手の意見も全人的に受け入れる 三日目:自己意識を超えた深みから生まれる相互主観の創造 • 建設的思考、コンセプトの飛躍が生まれる 出所: 小林三郎 「知識創発型研究開発マネジメント~ホンダ~」 『知識創造経営とイノベーション』 野中郁次郎・遠山亮子 (編) 丸善 2006 © 2013 Nonaka I. all right reserved 44
  • 45. 直接・リアルと間接・バーチャルの コミュニケーションの違い 直接・リアル 間接・バーチャル 1. 知覚される情報の質と量 相手の状態や周囲の状況など 限られた時空間の視覚・聴覚 の情報を総合的に処理 情報から相手を推測 2. 意識化の働きと身体から 身体からの直接入力によって 入力はことばや映像に限られ、 の入力 意識下の反応がある 意識下の反応はない 3. 相手と情報を共有するた 相手の全体像を見るので意図 深い推論をすれば相手への深 めの心の働き や気持ちを読み取りやすい い共感が起きる可能性はある 4. 共同体における共感と社 身体性を通じて感情を共有し、 意識の上で推論した感情や意 会維持の機能 社会関係を安定維持する 図を共有する 5. 記憶や思考の方略と連 体験を通して他者を認識して記 メアドなどで他者を認識し、柔 帯の強さ 憶し、強い連帯を生む らかい連帯を生む 現代ではひとりの人間が両方のコミュニケーション方法を行っていることが普通。 身体のはたらき、感情、社会性、意識下と意識の上でのはたらきなど様々にか かわっている。 出所安西祐一郎『心と脳』岩波新書、2011年、P.262 – 262. © 2013 Nonaka I. all right reserved 45
  • 46. ③ ありのままの現実を直視する 時々刻々と変化する、ありのままの現実を直視し、 その背後にある本質を直観的に見抜く状況洞察能力。 「一回性」の出来事に「普遍」を洞察する。 神は細部に宿る(God is in details) © 2013 Nonaka I. all right reserved 46
  • 47. ありのままの現実を直視する 本 とスティーブ・ジョブズ http://images.businessweek.com/ss/09/09/0929_jobs_presentations/index.htm 写真提供:本田技研工業 全五感を総合する研ぎ澄まされた共通感覚 (コモンセンス)は瞬時の想像力や判断力を 昂める © 2013 Nonaka I. all right reserved 47
  • 48. ④ 直観の本質を物語る ミクロの直観を、マクロの構想力(歴史的想像力・ビジョ ン・テーマ)と関係づけ、対話やメタファーによって、抽象 化し、概念化し、モデル化し、物語化する。 「物語は自己を歴史的文脈に位置づけることである」 マッキンタイア『美徳なき時代』 © 2013 Nonaka I. all right reserved 48
  • 49. の場で (コンセプト)を 合う /メタファーをフル活用する http://images.businessweek.com/ss/09/09/0929_jobs_presentation 提供:本田技研工業 s/index.htm © 2013 Nonaka I. all right reserved 49
  • 50. を実現する 匮 情熱と勇気とコミットメントをもって、あらゆる方法を駆 使し、状況に応じて、未来を描くビジョンを共有・説得し、 現在の価値創造を実現する。 とりわけ、他人を説得し行動へと向かわせるレトリック (逆説・隠喩(メタファー)・対比)が重要である。一般通 念を打破する新しいビジョンはレトリックに頼らざるを 得ない。 出所:塩野谷祐一『正・徳・善』2009年、ミネルヴァ出版 © 2013 Nonaka I. all right reserved 50
  • 51. を実現するリーダーシップ ホンダの未来を描き示す 本田宗一郎 <マン島TTレース出場宣言> 全従業員諸君! 本田技研の全力を結集して栄冠を勝ち取ろう、本田技研の将来は一にかかって諸君 の双肩にある。 […]本田技研の飛躍は諸君の人間的成長であり、諸君の成長はわ が本田技研の将来を約束するものである。 日本の機械工業の真価を問い、これを 全世界に誇示するまでにしなければならない。わが本田技研の使命は日本産業の 啓蒙にある。[…]ここに私の決意を披歴し、TTレースに出場、優勝するためには、精 魂を傾けて創意工夫に努力することを諸君とともに誓う。 右宣言する。 出所: Honda Top Talks 『語りつがれる原点』 現実歪曲空間(Reality Distortion Field)スティーブ・ジョブズ 現実歪曲空間はカリスマ的なレトリック、不屈の精神、いかなる事実をも自らの目的 に従わせようとする熱意が寄せ集まったものだ。ある論法で説得できなければ、彼は 次の論法にうまく移行する。ときには相手の意見を突然自分の意見のように言い出 して、相手を面食らわせることもある。自分が別の意見を持っていたことは認めようと しない。 Source: Karney, L. (2008/2009). 『スティーブ・ジョブズの流儀』ランダムハウス講談社、P.197 © 2013 Nonaka I. all right reserved 51
  • 52. ⑥ 実践知を組織化する Distributed Phronesis 個人の全人格に埋め込まれているフロネシスを、 実践のなかで組織内に伝承し、育成し、自律 分散的フロネシス(distributed phronesis)に 体系化する。 そうすることによって、何が起ろうとも、弾力的・ 創造的に、リアルタイムで対応できるしなやかな 組織(resilient organization)を構築できる。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 52
  • 53. フロネシスを育てる スティーブ・ジョブズ 人事評価のジェットコースター: ジョブスが部下に厳しい要求をするのと同じようにアップ ルのミドルマネジャーは同じレベルの高いパフォーマン スを部下に要求する。その結果、職場を支配するのは恐 怖である。だれもが仕事を失うのではないかといつもびく びくしている。今日英雄だったかと思えば、明日はろくで なし呼ばわりされる。「信じられないほどの天国があると 思えば、信じられないほどの地獄が待っています」 出所:『スティーブ・ジョブスの流儀』 (2009/2009) ランダムハウス講談社、pp184-185 © 2013 Nonaka I. all right reserved 53
  • 54. 実践知育成の基本は 勧 賢慮/実践知 賢慮/実践知 =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ) =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ + 実践の場の経験 + フィードバック ) リーダーは訓練を通じてしか育たない。 + 実践の場の経験 + フィードバッ • 難度の高い仕事への挑戦と、 適時の具体的な評価と内省 ク 成長度 によるフィードバックによって、 賢慮/実践知 判断力や精神力の成長を =座学 (・・・多くのMBA教育はここだけ 促進する • 飛躍的成長が期待できる ) + 実践の場の経験 + フィードバッ 時間 ク 出所:ラム・チャラン『CEOを育てる』2009年 ダイヤモンド社に基づく © 2013 Nonaka I. all right reserved 54
  • 55. 実践の型 -非凡なるコモンセンスをつくる- 「型」とは、「規範とされる一定の体勢や動作」の ことで、創造的な知識資産の核となる 良い「型」はクリエイティブ・ルーティンを養成する原型 として機能し、より高い自由度を与える 守(型を学ぶ)、破 (型を破る)、離(型から離れる)は、 破 離 創造的に自己革新を継続するために重要である © 2013 Nonaka I. all right reserved 55
  • 56. 知 創造の型 -Creative Routines- ホンダ Apple 三現主義:現場に行くこと、 単純化せよ 現物・ 現状を知ること、現実 (Simplify) 的であること 妥協するな (Don’t compromise) 理論とアイディアと時間を尊 重すること 全員を巻き込め (Include everyone) A00-何のためにやるのか? 知的な闘いをせよ A0-コンセプトは何か? (Engage in intellectual combat.) A-スペックは何か? 仕事に情熱を持て (Find a passion in your work.) 出所: Karney, L. (2008/2009). Inside Steve’s Brain (expanded edition). Portfolio, New York. © 2013 Nonaka I. all right reserved 56
  • 57. ホンダにおける プロデューサー型人材の育成 ホンダの手本は本田宗一郎 ホンダはトップだけが頑張るような会社ではありません。製造現場の一人一人がもの すごく重要なんです。ですから、従業員全員が本田宗一郎にならなきゃいけない。 大勢の本田宗一郎を作ることが、ホンダにとっては大切なんです - 福井威夫社長 出典: 赤井邦彦 『「強い会社」を作る』 文春新書 (2006) LPL:開発責任者 設計PL テストPL デザインPL ●エンジン ●エンジン ●レイアウト ●ボディ ●風洞 ●エクステリアデザイン ●サスペンション ●衝突 ●インテリアデザイン ●艤装 ●エミッション ●カラー/ ●カラー/表皮 など ●耐久 ●デザインデータ など ●デザインモデル など 出所: 本田技研工業株式会社 社内資料 © 2013 Nonaka I. all right reserved 57
  • 58. ダイハツ:ミラ イース 「スモールカーが持つエコのチカラを、いまある技術で き卲 う」 「第3のエコカー」 コンセプト「e:S」を、エナジー・セービングからecoでSmartへ。 • 軽であるからには、低燃費、低価格、省資源。 • これまでの延長線ではなく、ダイハツの生き方を変える。 • 縦割りx横串のマトリクス型は止め、メンバーをプロジェクトに転籍させ目的を 共有し一体化する 「登場感」を出すCMでサプライズを演出 ブルース・ウィリス http://gazoo.com/G-Blog/tampyou/488549/Article.aspx © 2013 Nonaka I. all right reserved 58
  • 59. 組織と技術のイノベーション: 自己相似形のフラクタル組織へ 社員の所属をプロジェクトに移す(本籍・現住所統合) • トップ直轄のタスクフォースでプロジェクト・チームを構築。プロジェクトで知識 を創造・蓄積・活用する。 • 出身部門の利益代表(部分最適)ではなく、プロジェクトの利益のためにベク トルを合わせて(全体最適)情報や知識を共有し活動する。 • チーフ・エンジニア(上田亨氏)に人事権「帰るところがない」 • 他部門との調整はプロジェクトメンバーが決める。 3つのイノベーションで17カ月で開発から発売へ • 組織面:部分最適から「イース最適」、バーチャルカンパニー化 企画、開発、調達、生産、販売まで、各部門の プロジェクト・メンバー エキスパート30人が参加 終了後に育った人材を全社の知のハブに配置 • 技術面:JC08モードで30km/リッター、 最低価格79.5万円 ミラに比べて、約60Kg軽量化、部品点数15%削減、 40%の燃費改善 • 新しい言葉でコミュニケーション 「同期設計」「予算性」「素質」 http://www.sankeibiz.jp/business/news/110926/bsa1109260501000-n2.htm © 2013 Nonaka I. all right reserved 59
  • 60. R&D 組織の改編 社内起業的な13部門を創設 3つの区分: 3つの区分: Product Creation Units (PCUs): 新薬の研究、臨床開発、許認可を担当し、研究開発から商品化ま での時間を短縮し、新商品を迅速に市場に提供する Core Function Units (CFUs): 申請業務や臨床試験支援、薬物動態・毒性、バイオマーカーとファー マコオミックス、医薬製造など専門的な支援を行う CEO オフィス: 中期戦略計画の達成とその後の継続的な成長に向けた研究開発テーマの推進、グ ローバル投資や企業提携、グローバル人材戦略などの、企業価値向上への戦略策定 Decision Making Support & Strategic Coordination Product Creation CEO Neuro- Biomarker / Next science Oncology Morphotek Frontier Premier CRC DMPK/ Pharmaco- Generation Clinical Regulatory PCU PCU PCU PCU PCU PCU KAN CMC TOX Omics Systems Support Affairs CEO Office • Product creation strategy PCU (Product Creation Unit) CFU (Core Function Unit) • Corporate portfolio management • Inter-unit coordination Provide Functional Provide Demand Excellence Copyright Nonaka I. and R. Toyama 2009 Operation Support & Coordination Intelligence © 2013 Nonaka I. all right reserved 60
  • 61. JAL:稲盛式企業再生の仕組み ー哲学と理念が具現化された経営システムー 柱 具体的効果 フィロソフィーの注入 仕事へのコミットメントの強化 アメーバ・レベルの 業務改善 アメーバ経営の導入 ・ 時間当たり付加価値が 超アメーバ・レベルでの わかる仕組み 資源配分の合理化 ・ 市場の動きをダイレクト に伝え即座に対応する 自律分散の小集団 全社レベルでの資源戦略の 確立 予算配分権を現場に直結しない経営企画部から部門別採算制度を統括する経営管理部に移管 出所:稲盛和夫『アメーバ経営』、日経文庫、2010、 加護野忠男「経営時論」プレジデント2012年7月2日号に基づく 61
  • 62. 海兵空 機動部隊(MAGTF) -フラクタル・オーガニゼーション- 海兵遠征部隊(MEF) 海兵遠征部隊(MEF) MEF 兵員数 FORCE FORCE USMC 49,700 HEADQUARTERS HEADQUARTERS USN 2,600 REINFORCED MARINE AIRCRAFT FORCE SERVICE DIVISION WING SUPPORT GROUP (陸) (空) (支援) 海兵遠征旅団(MEB) 海兵遠征旅団(MEB) ME BRIGADE 兵員数 BRIGADE USMC 15,000 HEADQUARTERS HEADQUARTERS USN 900 REGIMENTAL MARINE AIRCRAFT BRIGADE SERVICE LANDING TEAM GROUP SUPPORT GROUP (陸) (空) (支援) 海兵遠征隊(MEU) 海兵遠征隊(MEU) MEU BATTALION 兵員数 BATTALION USMC 1,900 HEADQUARTERS HEADQUARTERS USN 110 BATTALION MARINE AIRCRAFT BATTALION SERVICE LANDING TEAM SQUADRON SUPPORT GROUP (陸) (空) (支援) MAGT 1. MAGTFはフラクタル構造:戦闘規模により構成員数は変化するが、基本構造は変わらない。 三階層の原理 の原理(the hierarchy):伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon)、 :伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon) 2. 三階層の原理(the rules of three hierarchy):伍長は3人チーム(squad)、軍曹は3チーム編成の小隊(platoon)、 大尉は3小隊編成の中隊(company) (company)を各指揮し、同様のパターンは将官までいく。末端の兵卒から大佐までは8階層ある。 大尉は3小隊編成の中隊(company)を各指揮し、同様のパターンは将官までいく。末端の兵卒から大佐までは8階層ある。 © 2013 Nonaka I. all right reserved 62
  • 63. 出所:Page, T. & J. Pimlott, eds., NAM(1988) P.10 63
  • 64. ライフルマンを中心にした有機的な配置 航空支援 航空支援 攻撃航空支援 戦略機動支援 ハリアー近接支援攻撃機 大型侵攻輸送用ヘリコプター ホーネット戦闘攻撃機 中型侵攻輸送用ヘリコプター イントルーダー攻撃機 軽侵攻ヘリコプター プラウラー電子戦機 攻撃ヘリコプター ファントム偵察機 ハーキュリーズ強襲輸送・空中給油機 ブロンコ観測・攻撃機 ライフルマン 輸送・艦砲支援 輸送・艦砲支援 拳銃 拳銃 役務支援 役務支援 ライフルM16A22 ライフルM16A2 M16A ライフルM16A M16A2 ライフルM16A グレネード・ランチャー グレネード・ランチャー 水上戦闘艦 ガーター橋 レッカー 水陸両用艦船 クレーン 水浄化ユニット 攻撃潜水艦 燃料システム フォークリフト 海兵隊事前集積艦( 海兵隊事前集積艦(MPS) 発電機 ブルドーザー 地上支援 地上支援 トラック グレーダー 戦車 機関銃 強襲水陸両用車 対戦車ロケット 軽装甲車 対戦車ミサイル 榴弾砲 対空ミサイル 迫撃砲 出所:野中郁次郎『アメリカ海兵隊』中公新書(1995)p.179 © 2013 Nonaka I. all right reserved 64
  • 65. アメリカ海兵隊のEthos(エトス:精神、気風) 『我々が日々行う任務は全てはこの0311(歩兵)の為に』 我々が日々行う任務は全てはこの (歩兵)の為に』 (歩兵)の為に 2004年11月にイラク・ファルージャで大作戦が展開された。 海兵隊員が部屋いっぱいに待機していたところにテロが 手榴弾を放り込んだ。1stSgtカサール(シニア歩兵)は若 い(歩兵)に覆い被さり、手榴弾の爆発から守った。手榴 弾の衝撃の大半を受けたカサールは、出血多量ながらも テロを倒し部隊を守った。 最前線からリーダーシップ) Leading from the Front (最前線からリーダーシップ) 彼は1stSgt(15年以上のベテラン)ながらも前線で、しかも 若い部下・仲間をかばう :荒々しく、しぶとく) :荒々しく、しぶとく Teufelhunden (Devil Dog:荒々しく、しぶとく 手榴弾を受け出血多量でありながらも自分と仲間を負傷 させたテロを拳銃で倒した 一人の歩兵を助け、その歩兵の戦いを支援するた めにMAGTFの全てが組織的に形成されている 仲間の海兵に助けられて担ぎ出される 一人の歩兵を助けたいという「思い」がMAGTFを 1stSgtカサールファルージャの戦いにて ひとつにまとめる © 2013 Nonaka I. all right reserved 65
  • 66. 型実践知経営を体現するマージ ルマン クロネコヤマト:セールスドライバー 資生堂:ビューティ・コンサルタント http://group.shiseido.co.jp/company/business/feature 加賀屋:仲居 富士通:SE 富士通:SE Uniqlo Marche at Ginza Store: http://toyokeizai.net/articles/-/11139 http://http://www.kagaya.co.jp/ct/ http://www.sej.co.jp/owner/about/photogallery/owner007.html http://www.sankeibiz.jp/business/news/110926/bsa1109260501000-n2.htm © 2013 Nonaka I. all right reserved 66
  • 67. アジャイル・スクラム・イノベーション - ソフト開発は知 創造プロセス - アジャイル・スクラムは、開発進行中にチームメンバーの共同化、表出化、内面 化と技術的な知識の連結化を促進し、その結果として技術的な専門知識を実践 共同体としてのコミュニティの資産へと変換(野中、1995)。 したがって、スクラム会議は、チー 連続的 (A) vs. 重複的 (B 及び C) 開発フェーズ ムメンバーの知識を共同化し、互 いの文化的な壁の超越を促進。 フェーズA (リレー) 1 2 3 4 5 6 会議が毎日、同じ場所、同じ時間 フェーズB 、同じ参加者で行われることによ (サシミ) 1 2 3 4 5 6 り自律的な場を創り、場への親密 フェーズC さを高め、知識を共有する習慣を (スクラム) 1 2 3 4 5 6 形成し、日々の開発プロセスの改 出所: Takeuchi, H. & I. Nonaka. (1986). The 善を促進する。 new new product development, Harvard Business Review January-February, 1986. 出所: Sutherland, J. et al. Scrum: An extension pattern language for hyperproductive software development. © 2013 Nonaka I. all right reserved 67
  • 68. スクラム開発の厣 - Human Touch with ICT - 毎朝のスクラム・ミーティング ペア・プログラミング • 2人の開発者(ドライバー役とナビゲータ役)が1台 お菓子は 必須♪ のPC/WSを共有してコードを書く • 役割を5-10分毎に交代。 ペアも日に数回組みかえる タスクかんばん(作業の見える化) • ToDo(未実施)、Doing(実施中)、Done(完了)を 管理。指示がなくても、自発的に作業できる KPTフィードバック • カジュアルな雰囲気の中で、Keep(うまくいった点)、 やってみて Problem(うまくいかなかった点)、Try(次回挑戦) うまく Keep Try を全員で出し、暗黙知の共同化と、形式知への変 いった 換(表出化・連結化)を行う うまく Problem 解決法 いかない 出所: 平鍋健児(2010)「アジャイル開発とスクラム」Agile Japan 2010 講演資料に基づく 新しい問題 新しいアイディア © 2013 Nonaka I. all right reserved 68
  • 69. スクラム開発のプロセス - アジャイル 価値創造 - スクラム開発では、要件定義・開発・テストを1サイクル とする「スプリント」を繰り返しながら、開発を行う 毎朝のスクラム・ミーティング ペア・プログラミング 顧客、チーム、利用者、他の利害関 タスクカンバンによる 係者からの入力情報 作業の見える化 スクラムマスター KPT(Keep,Problem,Try) (チームの代表) スクラムチーム プロダクトオーナー (スクラム:6~7人) 2週間程度の (プロダクトビジョン) スプリント (作業期間) 評価スプリント 優先順位に 具体的タスク 優先順位の あわせた ついた 開発計画 開発仕様書 プロダクトオーナー スプリント バックログ スプリントの期間と 開発終了品 開発内容は固定する スプリント計画会議: ユーザーの希望する機能 製品バックログ: スプリント毎の開発 が完成するまで反復する 開発すべき機能 対象を決める ふりかえりスプリント 出所: Sutherland, J. Scrum Training Institute に基づく © 2013 Nonaka I. all right reserved 69
  • 70. 集合賢慮/実践知:ミドル・アップ・ダウン 壮大な理論(あるべき理想) トップ 矛盾解消 中範囲コンセプト ミドル 矛盾 (現実はこうだ) 知識の転移 フロント © 2013 Nonaka I. all right reserved 70
  • 71. 社内ソーシャルメディア活用により社員全員をカリスマに: 【事 】シスコとシスコジャパン ジョン・チェンバース会長兼CEO 「トップダウン経営から、コラボレーションとチームワークの経営へ移行を図る Engine)」 (Distributed Creative Engine) トップの戦略も現場も分かる中間管理層を原動力 現場に近く、かつ経営ビジョンを理解している中間管理層を中心に7万人超の全社員が部門や国境、 上司部下というカベを取り払い、世界中の英知を瞬時に結集するためのインフラ •SNSに自分のページを作り、得意分野やビジネスノウハウや自己PRを掲載。互いに検索して知り合え るようにする。 • CEOから現場マネージャーまで年度方針として、個人目標設定と評価がでるICTツールを駆使し た、統合人事システム。全社共通の戦略フレームワークの導入。コミュニケーションをグローバ ル、リアルタイムで可視化する場。 個が臨機応変に動くサッカー型組織 リアルタイムに戦略を修正しながら個々の力を発揮できる円形,球体のネットワーク、組織。現場に判断 をゆだねることができる。社員一人ひとりの立場で最適な判断をタイムリーに下せる俊敏さをめざす ICTカンパニーからBTカンパニーへ ICTを更に進化させたビジネス創造を支援する価値を提供するビジネス・テクノロジー企業へ © 2013 Nonaka I. all right reserved 71
  • 72. 動的共同体経営 - 主義的プラグマティズム-
  • 73. ウォール街を占拠せよ (Occupy Wall Street) き厢 た資本主義への 動 2011年9月17日に始まった反ウォール街運動 -背景は、失業、収入格差、課税不平等、 医療不安など社会の不平等に対する不満 -労働組合などが支援 -全米各地で同様の運動が拡大中 -2012年の大統領選に影響を及ぼす可能性 「『ウォール街を占拠せよ』はリーダーの存在し ない抗議運動で、多様な人種や性別、支持政 党の人々が集まっている。共通するのはただ1 点、我々は1%の強欲や不正を許さない99%であ Map by Google る。われわれは目標を達成するために“アラブ の春”でとられた戦術を採用している。また、す べての参加者の安全が最大限に守られるよう に非暴力を推奨している」 出所 http://occupywallst.org/ © 2013 Nonaka I. all right reserved 73
  • 74. 賢慮の基盤 教養(Humanity/Liberal Arts) 哲学、歴史、文学、心理、レトリック、芸術 ※人類学、生物学、デザイン学、政治学、都市計画学、神学(HBS) 至高・多様経験(Peak and Diverse Experience) 極限体験(畏敬)、手本との共体験、失敗・成功体験、 異文化経験・・・ 実践・伝統・評価 職人道(Artisanship),型 高い卓越性の評価基準 ※Moon Shots for Management (Harvard Business Review, April,2009) © 2013 Nonaka I. all right reserved 74
  • 75. 善(Good)と正義(Justice) どちらを優先すべきか-2つの リバタリアニズム コミュニタリアニズム Libertarianism:自由至上主義 Communitarianism:共同体主義 人間は他者の権利を侵害しない限り、 人間は社会の一員として生まれ、生きる: 自由という基本的権利を持つ 全くの自由は持たない 善が正義に先行する:個別具体の状況の 正義が善に先行する:善の価値判断 社会的関係性の中で、生き方(善の価値 をせず、万人に共通する正義を論理 観と目的)を問う 的で普遍の命題として前提に置く 論理的に普遍化され統一された 正義では、個別の状況の質的な違い を考慮した判断はできない 出所:マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』2010年 早川書房に基づく © 2013 Nonaka I. all right reserved 75
  • 76. 共同体主義の 宗教や政治信条、価値観の多様化する多元的社会では、 市民の義務や社会の共通善とは何か、すなわち、「より 良い生き方」とは何かを世界的視野で問い、公共の場で 議論し、分かり合うことによって、相互尊重 (リスペクト) が成り立ち、公正な社会が実現する。 出所: マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう』 2010年 早川書房に基づく © 2013 Nonaka I. all right reserved 76
  • 77. 日本的経営のDNA「武士道」:社会価値の共創 日本的な共同体的価値観の原点としての「武士道」 日本の場合は、「見えざる神の手」というような普遍的な進歩の法則よりも現実の“世のため人のため 世のため人のため”という 世のため人のため ような、直接的な社会関係や人間関係への貢献こそが、ビジネスマンの努力を動機づけたのである。明治以 後の近代化の時代にはいっても、国家、郷土、家のような社会的関係が価値観の根底に存在しつづけた。だ から、個人のアスピレーションの実現も、国、郷土、家のような社会関係に不可分に依存した。日本の近代化 は、必ずしも古いものを切り捨てていくドグマ的な近代化のタイプでなく、遅れているものも共存せしめてゆく プラグマティックなそれであったといってよい。 出所:ヒルシュマイヤー, j.・由井常彦 『日本の経営発展』 1977年、東洋経済新報社に基づく 新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」 私は日本語の武士道を、凡そ騎士道(Chivalry)と訳したが、それは語源において馬術 (Horsemanship)よりも深い意味を持っている。武・士・道とは、字義的にみると、武人、騎士の道であり、 戦士たる貴人が、本来の職分にとどまらず、日常生活においても、順守すべき規範であるといえる。 出所:新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」(2012)P.28 武士道の枠組みを支えているものは智、仁、勇であるとされ、それぞれ、知恵、博愛心、勇気を意味 している。侍とは本質的に行動の従である。学問は侍の行動の範囲外にあった。侍は自らの武士とい う職業に関連する限りにおいて学問を活用した。 出所:新渡戸稲造「武士道 BUSHIDO: The Soul of Japan」(2012)P.158 © 2013 Nonaka I. all right reserved 77
  • 78. マネジメントとは 「クラフト・アート・サイエンス」のブレンド マネジメントとは、伝統的な意味における一般教養である。知識、自己認識、 知恵、リーダーシップという人格に関わるものであるがゆえに教養であり、 同時に実践と応用にかかわるものであるがゆえに教養である。したがって マネジメントに携わる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史、物理学 など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野に渡る知識と洞察を身に つけなければならない。それらの知識によって成果を上げなければならない。 病人の治療、学生の教育、橋の建設、ソフトの設計と販売等、成果をあげる ことに使わなければならない。 出所:P.F.ドラッカー、上田惇生訳、『ドラッカー365の金言』, 2005、ダイヤモンド社,p15 マネジメントとは本来、「クラフト(=経験)」「アート(=芸術)」「サイエンス= (分析)」の三つを適度にブレンドしたものでなくてはならない。必要なのは、 バランス感覚のある献身的な人材。言ってみれば「関与型」のマネジメントを 行える人物だ。関与型のマネージャーは、単に会社の株価を引き上げるだ けではなく、組織を強くすることを自分に役割と考えている。 出所:H.ミンツバーグ、池村千秋訳、『MBAが会社を滅ぼす』2006、日経BP社,p12 © 2013 Nonaka I. all right reserved 78
  • 79. 実践知とは危うい知である 「よりよい」の叄 求: 主義的プラグマティズム 共通善 企業の社会 ステップ 3: 的存在意義を 実践結果から 目標 追求する 仮説を見直す 目標 ステップ4 ステップ4: 目標を修正する (理想と現実の間の矛盾を克服する) ステップ 1: ステップ 2: 目標を設定する 目標達成の手段の仮説を立て実践する (何を達成したいか?) 何を達成したいか?) (「いま・ここ」の文脈で最も良い選択肢を選ぶ) 「いま・ここ」の文脈で最も良い選択肢を選ぶ) 時間 勇気はすべての徳の根源であり、人の価値観の基盤である(メイ.R) 出所: May, R. (1975). 『愛と意思』 誠信書房 野中郁次郎、紺野登、 『美徳の経営』NTT出版2007年 © 2013 Nonaka I. all right reserved 79
  • 80. 「去す人にな う」:本 “Be Someone Who Tries” 人生は見たり、聞いたり、試したり の3つの知恵でまとまっているが、 多くの人は見たり聞いたりばかり で一番重要な“試したり”をほとん どしない。 ありふれたことだが失敗と成功は 裏腹になっている。 静岡県浜松市天竜区・光明小学校 みんな失敗を恐れるから成功の 本田宗一郎の母校に建てられた石碑 チャンスも少ない。 「やってみもせんで」・・・宗一郎 出所: 本田宗一郎 『本田宗一郎一日一話』 PHP出版 (1988) © 2013 Nonaka I. all right reserved 80
  • 81. 賢慮/実践知リーダー:フロニモス 「 慮的な実践的 厱」(Contemplation in Action) フロニモスは価値判断のダイナミック・バランスを実現する「徳」のある人である 頭 Mind 体 Body 「身体化された心」 思索家 Thinker 実践家 Doer Embodied Mind 知的体育会系 “Intellectual Muscle” 共通善に向けた 「よりよい」の無限追求 © Nonaka I., R. Toyama, 81