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Ipe多職種連携教育
- 10. 協働に向けたステージ
コミュニケーション: 一時・計画的情報交換
コンサルテーション: 一方が他方に助言や指示をもらうため
のコミュニケーション
協力(Cooperation): 短期間の非公式な関係
統合(Coordination): 共通の目標やより構造・計画を
持つ公式な関係
コラボレーション: 共同の解決策を求めて権限を持つ者同
士が協力する
協働(Collaborative practice): 互いに専門性を有し,
シナジー効果のある多職種連携チームが臨床アウトカムを
よくするためによい関係を築き上げる
- 12. Sickness, Disease, Illness
(Young A, 1982)
Sickness:疾病=包括的概念
Disease:医療者から見た「疾患」
Illness:患者から見た「病い」
疾病(Sickness)
対応する疾患
がない部分
対応する病い
がない部分
疾患(Disease)
病い(Illness)
- 13. 患者中心の医療の方法
PATIENT-CENTERED CLINICAL Method
臨床技法モデルの一つ
ウエスタンオンタリオ大学家庭医療学講座
M. Stewartらにより開発(1980年代)
1995年初版,2002年第2版, 2014年第3版
様々な研究による理論的背景
BPSモデル ⇒ あとで説明します
外来診察を撮影したビデオ映像の解析に基づく研究
家庭医・看護師など多様な職種による探索的研究など
世界的な卒前・卒後医学教育システムにも利用
臨床研究に有効性が示されつつある
患者満足度のみならず、様々な健康指標などにも有効
性である研究結果も
- 17. 2. 患者を全人的にとらえる
近位コンテクスト
家族 家計
教育 職業
余暇 社会的サポート
遠位コンテクスト
地域コミュニティー
文化 経済状況
ヘルスケアシステム
社会的・歴史的経緯
地理的条件
マスメディア
2.患者を全人的にとらえる
BPSモデルの
家族的背景
社会的背景
近位コンテクスト
病疾病
健康観
遠位コンテクスト
- 22. Source: WHO, 2010. Framework for Action on IPE and CP
WHO 2010
健康
アウトカム
の改善
地域の
保健ニーズ
保健人材
保健・教育システム
協働に関する研究
地域の文脈
現在と将来の
保健人材
適切な
保健
サービス
断片化した
保健システム
Interprofessional
Education
Collaborative
Practice
強化された
保健システム
Editor's Notes
- 答えは、患者中心の医療の方法を用いたからにさせてください。
これは、臨床技法モデルの一つで、ウエスタンオンタリオ大学家庭医療学講座のMoira Stewart(モイラ・スチュワート)らによって1980年代に開発されました。
1995年初版で日本ではこの初版の翻訳が出ています。
2002年に第2版が、そして昨年に第三版が出ました。本日の内容は、第三版に準じて実施させて頂きます。
患者中心の医療の方法は、様々な研究による理論的背景の集大成で、このうちBPSモデルについてはあとで紹介します。
北米やヨーロッパなど、世界的な卒前・卒後医学教育システムにも利用されていて、様々な臨床研究で有効性が示されつつあります。
- では、まず第一の 健康観と疾患と病の経験を明らかにする から御説明致します。私たち医師は、主に疾患を病歴・診察・検査から診断しようとします。
- 恐らく、先ほど登場した研修医の頭のなかは、亜急性咳嗽というキーワードから、こんなことを浮かべていたと思います。
(時間により、スライドの単語をいくつか述べてもOK)
- しかし、実際の患者さんは疾患と同時にそれに伴う病いの体験をしていますし、独自の健康感も持っています。
患者さんが医療機関を受診する際、その理由の方が診断名よりも重要なこともありますし、健康感との関係も重要でしょう。
このため、身体症状の原因を積極的に探すとともに、一つには患者の病いの体験の4つの側面、
即ち、よく「かきかえ」 と言われているものですが、
患者さんの病いについての考え方や解釈、そこからくる感情、何をしてほしいかという期待、
そして、日常機能への影響に注意を払う必要があります。
また、患者さんが考える「健康な状態」は個人により異なり、今回のロールプレイでは、
仕事に支障がない状態が健康ということになるでしょう。
このように、疾患と病いの体験そして健康感のについて考えていかなければなりません。
- 次に、患者中心の医療の第二の要素は、「地域・家族を含め全人的に理解する」こと、
即ち、患者のライフサイクルと人生の文脈まで含めた全人的な理解を伴った疾患と病いの概念の統合です。
患者自身がもつ多様な背景、これをコンテクストと言いますが、これは、様々な重みをもって、診療に影響を与えます。
コンテキストには、家族等の近位のものと地域コミュニティなどの遠位のものが考えられます。
これらはBPSモデルの家族的背景や社会的背景に相当するものです。
※コメント
・家族:最も身近な存在であり、病気の原因にもなると同時に、病気に対処する際の医療資源にもなる。
・家計:治療の選択が限られるケースも
・教育:収入や生活レベルに直結し、死亡率にも影響
・職業:労働災害や心理的ストレスなど。職業を通しての社会的地位や教育、人生観なども知ることができる。
・余暇:高齢者では死亡率低下に相関するという研究も。
- では、ここで少し生物心理社会モデル、BPSモデルについて整理しておきましょう。
個別ケアを実践する上では、まず患者さんがある疾患に罹患した際に生じる多様な反応が「なぜ生じるのか」についての理解が重要です。
この理解の方法として、BPSモデルが、1977年に、ロチェスター大学精神科医のEngel(エンゲル)により提唱されました。
疾患に関わるものとしてはこのように様々なレベルのものがあり立ち位置により守備範囲がありますが、 スライド進める
- いわゆる、一般医学的なアプローチとしては、このあたりを相手にすることになります。
亜急性咳嗽として、感染性なのか、ウィルスや好酸球の関与は
という感じでしょうか。
- これに対して、BPSモデルでは、病をもっと大きな枠組みでとらえようというものです。
個人を中心としてスライド右側の生物学的な理解は必要ですが、
同時に人としての側面、他人との関係、家族や地域といった側面も理解していきます。(スライド進み)
生物学的要因、心理学的要因、社会学的要因のこれらは
は互いに影響し合っていますが、どのように、患者の疾患や症状、感情、生活に反映されているかを考えます。(スライド進む)
BPSモデルとは、このように、患者個人の健康問題を立体的に把握しようとするものです。