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社会システムの分解と理解で学ぶ
教育手法「ReBaLe」の提案
大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 システムデザイン工学科 井上明
株式会社富士通総研 坂倉康平,橋本尚志
2019年3月23日
ISECON2018
本資料はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
ISECON2018 大阪工業大学,株式会社富士通総研,井上明,坂倉康平,橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
本資料について
• 本資料は、一般社団法人 情報処理学会 情報処理教育委員会 情報システム教育
委員会主催による第11回情報システム教育コンテスト(ISECON2018)の本審査
用資料を元に再編集されたものです。
• 本資料(井上明,坂倉康平,橋本尚志,『社会システムの分解と理解で学ぶ教育
手法の提案』,ISECON2018, 2019.3.23)は、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0
国際 ライセンスの下に提供されています。
2
3ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
教育プログラムの対象者と教育目標
対象者
実践的技術と新たな創造マインドの両面を持つ
「チェンジメーカー」を志す工学系学生と社会人技術者
教育目標
1. 工学系学生や社会人技術者に求められる広範囲なコンピテンシーの
向上
2. アイデア創造に必要な基礎知識や技術の獲得
4ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
本実践の特徴
• 社会システムの “リバース・エンジニアリング”から基礎技術の習得と
新たな課題解決を行う新たな教育メソッド
「ReBaLe(Reverse&Redesign-Based Learning:レバレ)」を提案
• 「ばらす」「わかる」「まねぶ」「創る」の4ステップで,「知識」と
「社会課題解決力」を身につける
知識の活用と発展
社会システムのリバース・エンジニア
リングによる基礎技術の理解と習得.
「ばらす」「わかる」「まねぶ」
ICTを活用した社会課題の解決.「創る」
小さな学びを
大きな成果に
5ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
ReBaLe(Reverse & ReDesign based Learning:レバレ)
チェンジメーカー
の育成
本手法による学びのプロセス
4.「創る」
学んだ要素技術で、社会の他
の課題を解決するアイデア・仕
組みを創り出す
新たな
社会
システムの
創造
基礎知識の理解と習得(本質的な課題発見プロセスの習得) 知識の活用と応用
実社会の問題・生活課題の
発見、創造的な解決策の仮
説立案、プロトタイプによるア
イデア表現・検証
Ⅰ.リバースデザイン(ReverseDesign) Ⅱ.リデザイン(ReDesign)
既存の社会
システム
1.「ばらす」
実社会で動いて
いる仕組みを分
解する
2.「わかる」
仕組みを構成す
る要素技術を知
る
3.「まねぶ」
要素技術で再現・
プロトタイピング・検
証.「まねて・まなぶ」
既存の仕組みへのリバースエンジニア
リング的なアプローチにより、社会シス
テムの原理・技術等への基礎理
解、教科書に依らない知識の吸収
学習活動の進め方 期待される成果
プロトタイピングに
よる動作検証・
知識定着と仕組
みへの深い理解
周囲の仕組
みへの
関心・興味
社会を変え
ようとする知
識と姿勢
工学技術や新たなアイデ
ア創造の知識と、創造的
な課題解決的思考・態
度を獲得した人材(キーコ
ンピテンシーの獲得)
【例】セルフレジの「商品認識」
「数量カウント」の仕組みを分解
SDGs「持続可能な
水資源管理」
⇒身近な節水問題の
解決策「水の認識」
「水利用量の計量」の
仕組みを提案
学習者の行動
サービスジャーニー
マップで「ばらす」
要素マンダラで
「わかる」
プロトタイピングで
仕組みを再現
応用
簡単IoTセンサ・アク
チュエータで「まねぶ」
MESH等
課題解決のための基礎
知・専門知識の獲得
理論に基づいた知識とス
キルを獲得し,社会課
題の解決に知識を活用
できる
6ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
背景
技術と創造マインドを持った次世代エンジニアの育成が求められている
「共通基盤技術・要素技術を深く理解するとともに,技術の変化に対しても基盤技
術に基づき,分野内,分野間で新たな展開ができる人材」
(文部科学省, 大学における工学系教育の在り方に関する検討委員会,2017)
PBLが抱える「基礎知識の無さ」による学習活動への影響を改善したい
• 基礎知識が不足しているために,「何から手をつけていいか」が分からない
• 「今知っていること」だけでアウトプットを出そうとするために,思ったような
成果が出ない
7ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
ReBaLe(レバレ)の実践
技術と創造マインドを持った次世代エンジニアの育成が求められている
「共通基盤技術・要素技術を深く理解するとともに,技術の変化に対しても基盤技
術に基づき,分野内,分野間で新たな展開ができる人材」(文部科学省, 大学における工学系
教育の在り方に関する検討委員会,2017)
◆工学部ロボット工学科2018年度前期選択授業「ロボット工学実験Ⅲ」のテーマ「IoTシステムの提案と構築」
を選択した3年生12名(3名x4チーム)
◆100分授業 x 2コマ連続(週1回x14週)
実践対象とした授業スケジュール
授業内容:IoTをテーマに本手法を使い新たなシステム提案を行う。
【1週目,2週目】 「ばらす」 現在社会で活用されているサービスや製品の
仕組みを分解
【3週目,4周目】 「わかる」 サービスやシステムがどのような仕組みで
構成されているのかの理解
【5週目,6週目】 「まねぶ」 簡易的なIoTツールを使ってのプロトタイピング
【7週目】 「中間発表」 「まねぶ」の成果発表
【8週目~12週目】「創る」
「ばらす」「わかる」「まねぶ」で獲得した知識や
考え方を使って新たな社会課題解決を提案
【13週目,14週目】 「最終発表」(「創る」の成果発表とこれまでのまとめ)
「ばらす」と「わかる」
IoTツールで「まねぶ」
中間発表 新たな製品・サービスを「創る」
最終発表
8ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
Step1「ばらす」
学生が自分の身の回りに存在す
るシステムや製品・サービスを探索
する。その中から、興味のある仕
組みを選択する。
ユーザー(人)とシステム
に注目し、システムの利用
行動を分解する
利用行動を理解し
た上で仕組みを
成り立たせている
技術・機能の
要素を分解する
学生の取組
「サービス・ジャーニーマップ」と「要素マンダラ」を用いて,既存の社会シス
テムや製品・サービスの技術・機能を要素分解する.ターゲットは自分たちが興味
のある社会システム
セ
ル
フ
レ
ジ
1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
9ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
Step2「わかる」
Step1. ばらす
「ばらす」で理解した
機能をさらに詳細に分解し
仕組みを構成する技術要素
の基礎知識を得る
「ばらす」で明らかにした機能をより詳細に分解.製品やサービスを構成している
機能や仕組みを理解することで技術要素の基礎知識を得る
1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
10ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
Step3「まねぶ」
いくつか機能を選び,IoTセンサ等
を使って仕組みを再現する 再現したセルフレジStep2. わかる
いくつかの機能についてIoTセンサなどを使って再現する.その活動を通じてテク
ノロジーを活用する力を獲得する
1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
11ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
Step4「創る」
周囲の社会問題やSDGs等の社会課題を見つ
けて技術・知識を他の課題解決へ応用する
新たな仕組みの
プロトタイプを制作
~Step3. まねぶ
獲得した技術や知識,新たな着眼点からテクノロジーを活用した社会課題解決を
提案し、プロトタイプを制作するターゲットとするテーマはSDGs(持続可能な開
発目標)から選択
「ばらす」「わかる」「まねぶ」で
技術・知識・仕組みへの理解を獲得
1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
12ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
効果1.アイデア創造に必要な基礎知識や技術を獲得
「ばらす」「わか
る」のターゲット
「まねぶ」で再現
した仕組み
学習したハード
ウェア技術
学習したソフト
ウェア技術
チーム1
スマートホームの仕
組み
「子どもを模したQR
コード」「不審者を
模したQRコード」を
認識・判断しメール
で通知
MESH人感センサ,
LEDタグ,スマート
フォンQRコード読み
取り
IFTTT,Workflow,G-
Mailを使ったマッ
シュアップ
チーム2
ナンバーロックシス
テムの仕組み
1.人がモニタに近づ
くとLEDが点滅
2.テンキーで暗証番
号を入力し正誤判
定
3.ナンバーロックシ
ステム利用履歴の
記録と送信
MESH人感センサ,
LEDタグ, Arduino
IFTTT,Googleスプ
レッドシート,LINE
を使ったマッシュ
アップ
Arduinoスケッチプ
ログラミング
チーム3
タッチディスプレイ
の仕組み
指の動きを感知しパ
ソコン上のソフト
ウェアを操作
MESH傾きセンサ,ボ
タンセンサ,
Arduino
Arduinoスケッチプ
ログラミング
チーム4
スマートホームの仕
組み
1.音声認識で天気・
当日予定の確認
2.音声認識で買い物
リストへ登録
3.子どもの帰宅確
認・撮影・通知,照
明自動点灯
MESH 人感センサ.
傾きセンサ,LEDタ
グ
Google
assistant,Google
スプレッドシー
ト,IFTTT,OpenWeat
herMAP API,LINEを
使ったマッシュ
アップ
技術の活用方法の
理解に加え,
各種ICT技術を
「使いこなす」た
めの実践力を獲得
予定していた
MESHとIFTTTだ
けでなく,学生が
自主的にArduino
や各種WebAPIを
自学自習→活発な
能動的学び
13ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
「まねぶ」で再現した成果物
1. Workflowを使ってス
マホQRコード読み込
み作業を自動化.
2. MESHで検知した動
きをIFTTT経由で
メール通知
センサの動きを読み取
り,Arduinoよりパソ
コンの画面操作をおこ
なう
動きセンサの動作に
応じた内容をLINEへ
自動メッセージ送信
MESHとArduinoを組み合
わせセキュリティシステ
ムを再現.さらにIFTTT
経由でLINEにメッセージ
送信
新たな知識や技術を自ら進んで獲得する力が見られた
14ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
「まねぶ」の知識を「創る」へ
Arduino+MESH+Web
サービスを使ったIoT
「まねぶ」で理解した情報技術を社会課題解決に応用する力の獲得
サービスジャーニーマッ
プや要素マンダラを使っ
たシステム構築
スマホ+
MESH+IFTTT+Workflow
を使った処理の自動化
公園へのアクセスをより
安全にするアプリ
「公共スペースへの普遍的
アクセス」
大学での学習支援システム
「質の高い教育をみんなに」
「
ま
ね
ぶ
」
「
創
る
」
を
応
用
し
QRコードを使った対象物
認識と処理
自転車防犯システム
「住み続けられるまちづく
り」
自動節水システム
「安全な水とトイレを世界
中に」
15ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
効果2.広範囲なコンピテンシー向上
OECD「DeSeCo」基準のキーコンピテンシーの評価
1. DeSeCoの基準に本実践での活動自己評価用ルーブリックを作成
➡「言語・シンボル・テクストを活用する能力」「知識や情報を活用する能力」「テクノロジーを活
用する能力」「協調する能力」「大局的に行動する能力」について評価
2. 授業前後での受講生に対するコンピテンシー自己評価を実施
16ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
評価規準 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4
言語、シンボ
ル、テクスト
を活用する能
力
○ ワークや発表、レポート作成の際に、
伝えたいことを組み立て、論理的に表現で
きる
○ 数値、図表等の数量情報を解釈・表現
できる
人に自分の考えを伝えるときに、話の筋
道を立てることや数字・図絵等使うこと
を意識せず、思いつきで話している
人に自分の考えを説明する時に、ある程
度筋道を立てたり、数字や図絵を使う
が、相手が理解するには十分とは言えな
い
筋道立てて説明したり、言葉・数字・図
絵等を使って人に分かりやすく伝えるこ
とができる
分かりやすく伝えるために、相手に合わ
せて説明の仕方を変えたり、その場の判
断で、言葉・数字・図絵等を使い分けて
伝えることができる
知識や情報を
活用する能力
○ 新たなことの知識・情報を自ら進んで
収集することができる
○ 自分の持っている知識や調べた情報等
を組み合わせて、新しいアイデアを企画で
きる
与えられた情報だけを使い、自ら情報を
収集したり、自分からアイデアを考えよ
うとしない。
他人の指示に従うだけで、自らの知識や
情報を活用することをしない
自ら知識や情報を集めることはするが、
あまり適切でない情報であることが多
い。知識はある程度有しているが、それ
を組み合わせたり、新しいアイデアへ発
展することが少ない
自ら進んで知識や情報を集めて、それら
を組み合わせて新しいアイデアを企画で
きる
必要な知識・情報を臨機応変に判断しな
がら積極的に情報収集し、それらを組み
合わせて新しいアイデアを企画できる
テクノロジー
を活用する能
力
○テクノロジー(各種センサ、MESH、ソフト
ウェア等)を、課題解決のためのツールとして
活用できる
○ 世の中にある様々なソフトウェアやサービス
を積極的に活用できる
テクノロジーの利用について、それらの
特徴を理解できていないか、単に思いつ
きで作業をしている。
テクノロジーの特徴を理解し、課題解決
のために技術を活用しているが、その適
用範囲が限定的である。
テクノロジーを使って課題解決が行えて
いる。また、その適用範囲も広範囲にわ
たっている
いくつかのテクノロジーを応用的・発展
的に組み合わせることで、新たなテクノ
ロジーの萌芽的活用が見られる
多様な集
団におけ
る人間関
係形成能
力
協調する能力 ○ チーム全体の状況や自分の役割を理解
し、お互いに助け合うことができる
個人作業にとどまり、チーム全体の目
標・ゴールに対して、他のメンバーと協
力することができない
チーム全体の目標・ゴールに対して、他
のメンバーと協力しながら達成に向けて
努力できる
チーム全体の目標・ゴールに対して、積
極的に他のメンバーとの協力に応じるこ
とができる
チーム全体の目標・ゴールに対して、自
ら貢献するととも、全体の状況を見なが
ら他のメンバーをフォローできる
自律的に
行動する
能力
大局的に行動
する能力
○身の回りの社会と自分との関わりを理解し、
自ら問題や課題を見つけることが出来る
○社会的課題に対して、自らの知識を活用し
て、解決方法を具体化できる
身の回りにある社会的課題に興味を示す
ことがない
身の回りにある社会的課題を考え、自分
とのかかわりを意識できる
身の回りにある社会的課題の原因や解決
策を考え、自らの知識や経験を活用して
解決策を考えることができる
身の回りにある社会的課題の原因や解決
策を考え、積極的に課題を解決するため
の行動ができる
評価軸
社会・文
化・技術
的ツール
を相互作
用的に活
用する能
力 自分自身の活動と成果を他者の視点になって客観的に評価する
(メタ認知的学習評価)
活動自己評価用ルーブリック
17ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
4つのコンピテンシーが向上
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
言語、シンボル、テ
クストを活用する
能力
系列1 系列2
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
知識や情報を活
用する能力
系列1 系列2
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
テクノロジーを活
用する能力
系列1 系列2
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
協調する能力
系列1 系列2
授業前後でのコンピテンシー評価の結果
「言語,シンボル,テクストを活用する能力」(p=0.008),「知識や情報を活用する能
力」(p=0.015),「テクノロジーを活用する能力」(p=0.010),「大局的に行動する能力」
(p=0.046),の4項目について授業前後で有意差が見られた.
一方,「協調する能力」については有意差は見られなかった(p=0.053).
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
大局的に行動す
る能力
系列1 系列2
18ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
得られた知見
◼ 第4次産業革命や超スマート社会Society5.0が到来している社会では,テク
ノロジー単体を学ぶのではなく「社会と技術」をセットに学ぶ
⚫ 今の社会を作っている社会システムを「ばらす」「わかる」で「社会とテ
クノロジー」への興味関心が向上する
⚫ 「まねぶ」で幅広い基礎知識を獲得
⚫ 「創る」で社会との連携を考える
◼ これからの技術者には,技術+姿勢(マインド)が必要
⚫ 姿勢を育てる評価基準としてキー・コンピテンシーに基づく学びの評価
◼ 一見自由な学びと思われがちなアクティブ・ラーニングにこそ「基礎知識」
と「体系的な学びのメソッド」が必要である
19ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
関連するJ07-SLUと本手法での活動
活動全体を通じて幅広いラーニングユニットに関わる
「ばらす」
LU#1304 情報システムのリテラシ
LU#0463 IT の最新動向
LU#404 問題構造
チームで活動
LU#1313 対人関係の構築
LU#0403 グループダイナミクス
「まねぶ」
LU#0145 ラピッドプロトタイピング
LU#0103 IS 開発と管理
「わかる」
LU#0101 情報システム理論
LU#0702 組織と情報システム
LU#0400 情報システムと社会
LU#1004情報技術と社会
「創る」
LU#1308 専門領域の IS への応用能力
LU#1120 社会生活で利用されるネット
ワーク技術
LU#0116 IS 社会と倫理
LU#1312 視点の多様化
LU#1302 人間社会への理解
LU#0135 IS 技術の発展
20ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
今後の取り組み
2019 2020
来年度以降の
想定スケジュール
ReBaLe
メソッドの普及
高校生
向け実践
社会人
向け実践
ReBaLeツールキット開発
■工学系人材だけでない幅広い展開
• 文系学生:テクノロジーと社会課題を
学ぶ
• 小中学生:STEM教育向けReBaLe
• 高校生:高校生向けReBaLeを実践予
定(高校生120名対象)
• 社会人:「社会実装」をメインとした
社会人技術者向けReBaLeの開発
■ReBaLeの実践支援ツールの開発
• 「ReBaLeツールキット」の開発
• 「ばらす」「わかる」で使える論理的
思考支援アプリの開発
STEM
基礎知識獲得
プロトタイ
プ制作
アイデア創出・
発想力の獲得
社会課題解決
21ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』,
ISECON2018, 2019.3.23
まとめ
4.「創る」
学んだ要素技術で、
社会の他の課題を解決する
アイデア・仕組みを創り出す
1.「ばらす」
実社会で動いている
仕組みを分解する
2.「わかる」
仕組みを構成する
要素技術を知る
3.「まねぶ」
要素技術で
再現・プロトタイピング・
検証.「まねて・まなぶ」
⚫ 「ばらす」「わかる」「まねぶ」「創る」の学びのフレームワークから基礎知識
と社会課題解決力を育成する教育メソッド「ReBaLe」を提案
⚫ 実際に工学系学生を対象としたReBaLeを実践し,技術の専門性のみならず、技術
に立脚した社会を変革するための姿勢や態度であるコンピテンシーの向上を確認
⚫ 今後はReBaLeの対象を広げ,学びの体系化と教育効果のさらなる検証を実施する

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社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案

  • 1. 社会システムの分解と理解で学ぶ 教育手法「ReBaLe」の提案 大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 システムデザイン工学科 井上明 株式会社富士通総研 坂倉康平,橋本尚志 2019年3月23日 ISECON2018 本資料はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
  • 2. ISECON2018 大阪工業大学,株式会社富士通総研,井上明,坂倉康平,橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 本資料について • 本資料は、一般社団法人 情報処理学会 情報処理教育委員会 情報システム教育 委員会主催による第11回情報システム教育コンテスト(ISECON2018)の本審査 用資料を元に再編集されたものです。 • 本資料(井上明,坂倉康平,橋本尚志,『社会システムの分解と理解で学ぶ教育 手法の提案』,ISECON2018, 2019.3.23)は、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 2
  • 3. 3ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 教育プログラムの対象者と教育目標 対象者 実践的技術と新たな創造マインドの両面を持つ 「チェンジメーカー」を志す工学系学生と社会人技術者 教育目標 1. 工学系学生や社会人技術者に求められる広範囲なコンピテンシーの 向上 2. アイデア創造に必要な基礎知識や技術の獲得
  • 4. 4ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 本実践の特徴 • 社会システムの “リバース・エンジニアリング”から基礎技術の習得と 新たな課題解決を行う新たな教育メソッド 「ReBaLe(Reverse&Redesign-Based Learning:レバレ)」を提案 • 「ばらす」「わかる」「まねぶ」「創る」の4ステップで,「知識」と 「社会課題解決力」を身につける 知識の活用と発展 社会システムのリバース・エンジニア リングによる基礎技術の理解と習得. 「ばらす」「わかる」「まねぶ」 ICTを活用した社会課題の解決.「創る」 小さな学びを 大きな成果に
  • 5. 5ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 ReBaLe(Reverse & ReDesign based Learning:レバレ) チェンジメーカー の育成 本手法による学びのプロセス 4.「創る」 学んだ要素技術で、社会の他 の課題を解決するアイデア・仕 組みを創り出す 新たな 社会 システムの 創造 基礎知識の理解と習得(本質的な課題発見プロセスの習得) 知識の活用と応用 実社会の問題・生活課題の 発見、創造的な解決策の仮 説立案、プロトタイプによるア イデア表現・検証 Ⅰ.リバースデザイン(ReverseDesign) Ⅱ.リデザイン(ReDesign) 既存の社会 システム 1.「ばらす」 実社会で動いて いる仕組みを分 解する 2.「わかる」 仕組みを構成す る要素技術を知 る 3.「まねぶ」 要素技術で再現・ プロトタイピング・検 証.「まねて・まなぶ」 既存の仕組みへのリバースエンジニア リング的なアプローチにより、社会シス テムの原理・技術等への基礎理 解、教科書に依らない知識の吸収 学習活動の進め方 期待される成果 プロトタイピングに よる動作検証・ 知識定着と仕組 みへの深い理解 周囲の仕組 みへの 関心・興味 社会を変え ようとする知 識と姿勢 工学技術や新たなアイデ ア創造の知識と、創造的 な課題解決的思考・態 度を獲得した人材(キーコ ンピテンシーの獲得) 【例】セルフレジの「商品認識」 「数量カウント」の仕組みを分解 SDGs「持続可能な 水資源管理」 ⇒身近な節水問題の 解決策「水の認識」 「水利用量の計量」の 仕組みを提案 学習者の行動 サービスジャーニー マップで「ばらす」 要素マンダラで 「わかる」 プロトタイピングで 仕組みを再現 応用 簡単IoTセンサ・アク チュエータで「まねぶ」 MESH等 課題解決のための基礎 知・専門知識の獲得 理論に基づいた知識とス キルを獲得し,社会課 題の解決に知識を活用 できる
  • 6. 6ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 背景 技術と創造マインドを持った次世代エンジニアの育成が求められている 「共通基盤技術・要素技術を深く理解するとともに,技術の変化に対しても基盤技 術に基づき,分野内,分野間で新たな展開ができる人材」 (文部科学省, 大学における工学系教育の在り方に関する検討委員会,2017) PBLが抱える「基礎知識の無さ」による学習活動への影響を改善したい • 基礎知識が不足しているために,「何から手をつけていいか」が分からない • 「今知っていること」だけでアウトプットを出そうとするために,思ったような 成果が出ない
  • 7. 7ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 ReBaLe(レバレ)の実践 技術と創造マインドを持った次世代エンジニアの育成が求められている 「共通基盤技術・要素技術を深く理解するとともに,技術の変化に対しても基盤技 術に基づき,分野内,分野間で新たな展開ができる人材」(文部科学省, 大学における工学系 教育の在り方に関する検討委員会,2017) ◆工学部ロボット工学科2018年度前期選択授業「ロボット工学実験Ⅲ」のテーマ「IoTシステムの提案と構築」 を選択した3年生12名(3名x4チーム) ◆100分授業 x 2コマ連続(週1回x14週) 実践対象とした授業スケジュール 授業内容:IoTをテーマに本手法を使い新たなシステム提案を行う。 【1週目,2週目】 「ばらす」 現在社会で活用されているサービスや製品の 仕組みを分解 【3週目,4周目】 「わかる」 サービスやシステムがどのような仕組みで 構成されているのかの理解 【5週目,6週目】 「まねぶ」 簡易的なIoTツールを使ってのプロトタイピング 【7週目】 「中間発表」 「まねぶ」の成果発表 【8週目~12週目】「創る」 「ばらす」「わかる」「まねぶ」で獲得した知識や 考え方を使って新たな社会課題解決を提案 【13週目,14週目】 「最終発表」(「創る」の成果発表とこれまでのまとめ) 「ばらす」と「わかる」 IoTツールで「まねぶ」 中間発表 新たな製品・サービスを「創る」 最終発表
  • 8. 8ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 Step1「ばらす」 学生が自分の身の回りに存在す るシステムや製品・サービスを探索 する。その中から、興味のある仕 組みを選択する。 ユーザー(人)とシステム に注目し、システムの利用 行動を分解する 利用行動を理解し た上で仕組みを 成り立たせている 技術・機能の 要素を分解する 学生の取組 「サービス・ジャーニーマップ」と「要素マンダラ」を用いて,既存の社会シス テムや製品・サービスの技術・機能を要素分解する.ターゲットは自分たちが興味 のある社会システム セ ル フ レ ジ 1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
  • 9. 9ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 Step2「わかる」 Step1. ばらす 「ばらす」で理解した 機能をさらに詳細に分解し 仕組みを構成する技術要素 の基礎知識を得る 「ばらす」で明らかにした機能をより詳細に分解.製品やサービスを構成している 機能や仕組みを理解することで技術要素の基礎知識を得る 1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
  • 10. 10ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 Step3「まねぶ」 いくつか機能を選び,IoTセンサ等 を使って仕組みを再現する 再現したセルフレジStep2. わかる いくつかの機能についてIoTセンサなどを使って再現する.その活動を通じてテク ノロジーを活用する力を獲得する 1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
  • 11. 11ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 Step4「創る」 周囲の社会問題やSDGs等の社会課題を見つ けて技術・知識を他の課題解決へ応用する 新たな仕組みの プロトタイプを制作 ~Step3. まねぶ 獲得した技術や知識,新たな着眼点からテクノロジーを活用した社会課題解決を 提案し、プロトタイプを制作するターゲットとするテーマはSDGs(持続可能な開 発目標)から選択 「ばらす」「わかる」「まねぶ」で 技術・知識・仕組みへの理解を獲得 1.ばらす 2.わかる 3.まねぶ 4.創る
  • 12. 12ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 効果1.アイデア創造に必要な基礎知識や技術を獲得 「ばらす」「わか る」のターゲット 「まねぶ」で再現 した仕組み 学習したハード ウェア技術 学習したソフト ウェア技術 チーム1 スマートホームの仕 組み 「子どもを模したQR コード」「不審者を 模したQRコード」を 認識・判断しメール で通知 MESH人感センサ, LEDタグ,スマート フォンQRコード読み 取り IFTTT,Workflow,G- Mailを使ったマッ シュアップ チーム2 ナンバーロックシス テムの仕組み 1.人がモニタに近づ くとLEDが点滅 2.テンキーで暗証番 号を入力し正誤判 定 3.ナンバーロックシ ステム利用履歴の 記録と送信 MESH人感センサ, LEDタグ, Arduino IFTTT,Googleスプ レッドシート,LINE を使ったマッシュ アップ Arduinoスケッチプ ログラミング チーム3 タッチディスプレイ の仕組み 指の動きを感知しパ ソコン上のソフト ウェアを操作 MESH傾きセンサ,ボ タンセンサ, Arduino Arduinoスケッチプ ログラミング チーム4 スマートホームの仕 組み 1.音声認識で天気・ 当日予定の確認 2.音声認識で買い物 リストへ登録 3.子どもの帰宅確 認・撮影・通知,照 明自動点灯 MESH 人感センサ. 傾きセンサ,LEDタ グ Google assistant,Google スプレッドシー ト,IFTTT,OpenWeat herMAP API,LINEを 使ったマッシュ アップ 技術の活用方法の 理解に加え, 各種ICT技術を 「使いこなす」た めの実践力を獲得 予定していた MESHとIFTTTだ けでなく,学生が 自主的にArduino や各種WebAPIを 自学自習→活発な 能動的学び
  • 13. 13ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 「まねぶ」で再現した成果物 1. Workflowを使ってス マホQRコード読み込 み作業を自動化. 2. MESHで検知した動 きをIFTTT経由で メール通知 センサの動きを読み取 り,Arduinoよりパソ コンの画面操作をおこ なう 動きセンサの動作に 応じた内容をLINEへ 自動メッセージ送信 MESHとArduinoを組み合 わせセキュリティシステ ムを再現.さらにIFTTT 経由でLINEにメッセージ 送信 新たな知識や技術を自ら進んで獲得する力が見られた
  • 14. 14ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 「まねぶ」の知識を「創る」へ Arduino+MESH+Web サービスを使ったIoT 「まねぶ」で理解した情報技術を社会課題解決に応用する力の獲得 サービスジャーニーマッ プや要素マンダラを使っ たシステム構築 スマホ+ MESH+IFTTT+Workflow を使った処理の自動化 公園へのアクセスをより 安全にするアプリ 「公共スペースへの普遍的 アクセス」 大学での学習支援システム 「質の高い教育をみんなに」 「 ま ね ぶ 」 「 創 る 」 を 応 用 し QRコードを使った対象物 認識と処理 自転車防犯システム 「住み続けられるまちづく り」 自動節水システム 「安全な水とトイレを世界 中に」
  • 15. 15ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 効果2.広範囲なコンピテンシー向上 OECD「DeSeCo」基準のキーコンピテンシーの評価 1. DeSeCoの基準に本実践での活動自己評価用ルーブリックを作成 ➡「言語・シンボル・テクストを活用する能力」「知識や情報を活用する能力」「テクノロジーを活 用する能力」「協調する能力」「大局的に行動する能力」について評価 2. 授業前後での受講生に対するコンピテンシー自己評価を実施
  • 16. 16ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 評価規準 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 言語、シンボ ル、テクスト を活用する能 力 ○ ワークや発表、レポート作成の際に、 伝えたいことを組み立て、論理的に表現で きる ○ 数値、図表等の数量情報を解釈・表現 できる 人に自分の考えを伝えるときに、話の筋 道を立てることや数字・図絵等使うこと を意識せず、思いつきで話している 人に自分の考えを説明する時に、ある程 度筋道を立てたり、数字や図絵を使う が、相手が理解するには十分とは言えな い 筋道立てて説明したり、言葉・数字・図 絵等を使って人に分かりやすく伝えるこ とができる 分かりやすく伝えるために、相手に合わ せて説明の仕方を変えたり、その場の判 断で、言葉・数字・図絵等を使い分けて 伝えることができる 知識や情報を 活用する能力 ○ 新たなことの知識・情報を自ら進んで 収集することができる ○ 自分の持っている知識や調べた情報等 を組み合わせて、新しいアイデアを企画で きる 与えられた情報だけを使い、自ら情報を 収集したり、自分からアイデアを考えよ うとしない。 他人の指示に従うだけで、自らの知識や 情報を活用することをしない 自ら知識や情報を集めることはするが、 あまり適切でない情報であることが多 い。知識はある程度有しているが、それ を組み合わせたり、新しいアイデアへ発 展することが少ない 自ら進んで知識や情報を集めて、それら を組み合わせて新しいアイデアを企画で きる 必要な知識・情報を臨機応変に判断しな がら積極的に情報収集し、それらを組み 合わせて新しいアイデアを企画できる テクノロジー を活用する能 力 ○テクノロジー(各種センサ、MESH、ソフト ウェア等)を、課題解決のためのツールとして 活用できる ○ 世の中にある様々なソフトウェアやサービス を積極的に活用できる テクノロジーの利用について、それらの 特徴を理解できていないか、単に思いつ きで作業をしている。 テクノロジーの特徴を理解し、課題解決 のために技術を活用しているが、その適 用範囲が限定的である。 テクノロジーを使って課題解決が行えて いる。また、その適用範囲も広範囲にわ たっている いくつかのテクノロジーを応用的・発展 的に組み合わせることで、新たなテクノ ロジーの萌芽的活用が見られる 多様な集 団におけ る人間関 係形成能 力 協調する能力 ○ チーム全体の状況や自分の役割を理解 し、お互いに助け合うことができる 個人作業にとどまり、チーム全体の目 標・ゴールに対して、他のメンバーと協 力することができない チーム全体の目標・ゴールに対して、他 のメンバーと協力しながら達成に向けて 努力できる チーム全体の目標・ゴールに対して、積 極的に他のメンバーとの協力に応じるこ とができる チーム全体の目標・ゴールに対して、自 ら貢献するととも、全体の状況を見なが ら他のメンバーをフォローできる 自律的に 行動する 能力 大局的に行動 する能力 ○身の回りの社会と自分との関わりを理解し、 自ら問題や課題を見つけることが出来る ○社会的課題に対して、自らの知識を活用し て、解決方法を具体化できる 身の回りにある社会的課題に興味を示す ことがない 身の回りにある社会的課題を考え、自分 とのかかわりを意識できる 身の回りにある社会的課題の原因や解決 策を考え、自らの知識や経験を活用して 解決策を考えることができる 身の回りにある社会的課題の原因や解決 策を考え、積極的に課題を解決するため の行動ができる 評価軸 社会・文 化・技術 的ツール を相互作 用的に活 用する能 力 自分自身の活動と成果を他者の視点になって客観的に評価する (メタ認知的学習評価) 活動自己評価用ルーブリック
  • 17. 17ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 4つのコンピテンシーが向上 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 言語、シンボル、テ クストを活用する 能力 系列1 系列2 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 知識や情報を活 用する能力 系列1 系列2 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 テクノロジーを活 用する能力 系列1 系列2 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 協調する能力 系列1 系列2 授業前後でのコンピテンシー評価の結果 「言語,シンボル,テクストを活用する能力」(p=0.008),「知識や情報を活用する能 力」(p=0.015),「テクノロジーを活用する能力」(p=0.010),「大局的に行動する能力」 (p=0.046),の4項目について授業前後で有意差が見られた. 一方,「協調する能力」については有意差は見られなかった(p=0.053). 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 大局的に行動す る能力 系列1 系列2
  • 18. 18ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 得られた知見 ◼ 第4次産業革命や超スマート社会Society5.0が到来している社会では,テク ノロジー単体を学ぶのではなく「社会と技術」をセットに学ぶ ⚫ 今の社会を作っている社会システムを「ばらす」「わかる」で「社会とテ クノロジー」への興味関心が向上する ⚫ 「まねぶ」で幅広い基礎知識を獲得 ⚫ 「創る」で社会との連携を考える ◼ これからの技術者には,技術+姿勢(マインド)が必要 ⚫ 姿勢を育てる評価基準としてキー・コンピテンシーに基づく学びの評価 ◼ 一見自由な学びと思われがちなアクティブ・ラーニングにこそ「基礎知識」 と「体系的な学びのメソッド」が必要である
  • 19. 19ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 関連するJ07-SLUと本手法での活動 活動全体を通じて幅広いラーニングユニットに関わる 「ばらす」 LU#1304 情報システムのリテラシ LU#0463 IT の最新動向 LU#404 問題構造 チームで活動 LU#1313 対人関係の構築 LU#0403 グループダイナミクス 「まねぶ」 LU#0145 ラピッドプロトタイピング LU#0103 IS 開発と管理 「わかる」 LU#0101 情報システム理論 LU#0702 組織と情報システム LU#0400 情報システムと社会 LU#1004情報技術と社会 「創る」 LU#1308 専門領域の IS への応用能力 LU#1120 社会生活で利用されるネット ワーク技術 LU#0116 IS 社会と倫理 LU#1312 視点の多様化 LU#1302 人間社会への理解 LU#0135 IS 技術の発展
  • 20. 20ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 今後の取り組み 2019 2020 来年度以降の 想定スケジュール ReBaLe メソッドの普及 高校生 向け実践 社会人 向け実践 ReBaLeツールキット開発 ■工学系人材だけでない幅広い展開 • 文系学生:テクノロジーと社会課題を 学ぶ • 小中学生:STEM教育向けReBaLe • 高校生:高校生向けReBaLeを実践予 定(高校生120名対象) • 社会人:「社会実装」をメインとした 社会人技術者向けReBaLeの開発 ■ReBaLeの実践支援ツールの開発 • 「ReBaLeツールキット」の開発 • 「ばらす」「わかる」で使える論理的 思考支援アプリの開発 STEM 基礎知識獲得 プロトタイ プ制作 アイデア創出・ 発想力の獲得 社会課題解決
  • 21. 21ISECON2018 大阪工業大学 井上明,株式会社富士通総研 坂倉康平 橋本尚志, 『社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案』, ISECON2018, 2019.3.23 まとめ 4.「創る」 学んだ要素技術で、 社会の他の課題を解決する アイデア・仕組みを創り出す 1.「ばらす」 実社会で動いている 仕組みを分解する 2.「わかる」 仕組みを構成する 要素技術を知る 3.「まねぶ」 要素技術で 再現・プロトタイピング・ 検証.「まねて・まなぶ」 ⚫ 「ばらす」「わかる」「まねぶ」「創る」の学びのフレームワークから基礎知識 と社会課題解決力を育成する教育メソッド「ReBaLe」を提案 ⚫ 実際に工学系学生を対象としたReBaLeを実践し,技術の専門性のみならず、技術 に立脚した社会を変革するための姿勢や態度であるコンピテンシーの向上を確認 ⚫ 今後はReBaLeの対象を広げ,学びの体系化と教育効果のさらなる検証を実施する