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Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
Makerの道具としての
ハードウエアと半導体
Hardware and Semiconductor
as a Tool for Makers
秋田純一(金沢大)
@akita11
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
Contents
自己紹介
コンピュータと半導体の歴史:ムーアの法則
「道具の民主化」がもたらすこと
情報科学と半導体の新しい関係
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
自己紹介
 浅田研@東大(VDEC)でPh.D(‘98)(イメージセンサ)
 金沢大(’98~’00・’04~)
 公立はこだて未来大(’00~’04)
 ’95〜’00:はこだて未来大 計画策定委員
 本業:(機能つき)イメージセンサ
 +LSIを使うデバイス・システム(←電子工少年)
LSI(イメージセンサ)のレイアウト図
(プロッタ出力して目視チェック)
チップと基板をつなぐ
ワイヤーボンディング 基板設計
はんだ部屋
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コンピュータと半導体の歴史
:ムーアの法則
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コンピュータの歴史
(1946)
真空管: 18,000本
消費電力: 140kW
サイズ: 30m×3m×1m
演算性能: 5,000加算/s
(ENIAC:世界最初のコンピュータ)
最小加工寸法: 0.014μm(14nm)
素子数: ~50,000,000
消費電力: 100W~数mW
サイズ: 10mm×10mm程度
演算性能: 10,000,000,000演算/s
(1960頃)集積回路(IC)の発明
US Patent No. 2 981 877
(R. Noyce, 1961)
US Patent No. 2 138 743
(J. Kilby, 1959)
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ICの進化の歴史:Mooreの法則
ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm
50年間ずっと、性能が
毎年「約1.5倍」になっている
(等比数列)
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Mooreの法則のカラクリ:スケーリング
MOSトランジスタを、より小さく作ると・・・?
寸法: 1/α
不純物濃度: α
電源電圧: 1/α
結論:いいことばかり
速度↑
消費電力↓
集積度(機能)↑
技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース
p-Si
S DG
n-Sin-Si
p-Si
S DG
n-Sin-Si
L
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MOSトランジスタの微細化の歴史
微細化するほど
メリットがある
=がんばって微細化
そろそろ「原子」が
見えてきている
ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事
L=20nm(いま)
L=5nm(2020年ごろ?)
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コンピュータの高速化の歴史
DEC VAX(1976)
1MIPS
Cray-1 (1978)
100MIPS
MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数)
(世界最初のスーパーコンピュータ)
「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある
20000MIPS
10MIPS
100MIPS
20MIPS20000MIPS
109MFLOPS
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コンピュータの進化がもたらしたもの
(昔)コンピュータが高価で性能が低かった
紙テープ、テキスト/CUI (Character UI)
TSS(大学に1台、企業に1台)
(少し昔)
凝った信号処理もOK/GUI (Graphical UI)
個人に1台(PC)
(いま)
画像、動画、3Dの処理はあたりまえ
Natural UI (ジェスチャなど)/Physical Computing
一人で何台も(ユビキタス化)
コンピュータが「お手軽」に
→利用場面の拡大
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「LED点滅(Lチカ)」のパラダイムシフト
コスト面:マイコン○(「もったいなくない」)
機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易)
「枯れた技術」でも、世の中は変わりうる
※ただし、「それを使うこと」ができれば
マイコン(MCU)
部品点数=1
コスト:100円
発振回路(555)
部品点数=4
コスト:150円
while(1){
a = 1;
sleep(1);
a = 0;
sleep(1);
}
※さすがにPCではちょっと・・・
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ムーアの法則のもたらしたもの(その2)
コストダウン
同一機能を小チップ=低価格で
古い世代の製造装置でも作れるLSIも、
「そこそこ」高性能
=パラダイムが
変わる可能性
12
(C.クリステンセン「イノベーションのジレンマ—技術革新が
巨大企業を滅ぼすとき」(翔泳社(2001))
マイコン
SoC
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「道具の民主化」がもたらすこと
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
「道具の普及」がもたらしたもの
(昔)「表現」はプロの特権だった
音楽、映画、・・・
私たち=Consumer
(今)「表現」は誰でもできる
「道具」の普及
(DTM、初音ミク、などなど)
「発表機会」の普及
(ニコ動、などなど)
私たち=Creator/Makerになることができる
(ならなくてもいい)
宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす
―表現のためのメディア技術」
(明治大学出版会, 2015)
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「道具の普及」とユーザーイノベーション
発明・イノベーションは、
ユーザーが行う場合も多い
道具が民主化されている
(=やろうと思えばできる)
ユーザーは「アツい心」をもつ
(=採算・労力を度外視で
がんばれる)
小川進「ユーザーイノベーション:
消費者から始まるものづくりの未来」
(東洋経済新報社, 2013)
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情報科学ではどうか?
プログラミング言語・環境の民主化
(昔)PCもコンパイラも高価
=「遊びに使う」なんて論外
(今)PCも安価、コンパイラはタダ
=「遊びに使う」からはじめられる
ユーザ・コミュニティによる「知の蓄積」も後押し
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「技術の民主化」と多様性
(従来)技術=プロの特権
(いま)技術=誰でも使える(民主化)
ユーザの裾野が広がる(多様化)
その中から「アタリ(イノベーション)」が生まれる
相対的に「プロ」の重要性↑↑(「遊び」だけでない)
(L.Fleming, Harvard Business Review,
8(9), pp.22-24 (2004))メンバの「均一性」
生まれる成果
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こんなことやってます:NT金沢
「つくってみた」の「ドヤ顔大会」
遊び・アツい思い(多様性)→アタリは出るか?
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ハードウエアはどうか?最近の秋葉原
※客層が変わってきている(こっちの)
(昔)ロボコン高専生・電子工作マニア(おっさん)
(今)↑+テクノ手芸女子、親子連れ、美大生
19
西餅「ハルロック」
(週刊モーニングで連載中)
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Make: 理工離れ?どこの世界の話?
“Maker”の活動の広がり
実はみんな「作るのが大好き」
FabLab(レーザーカッター、3Dプリンタ等の
加工機をコアにしたコミュニティ)
いままでは「技術が手元になかった」だけ
道具・技術が「民主化」されて、
使えるようになった
MakerFaireTokyo2013の様子
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
“Maker”から産業へ
ロングテール:嗜好の多様化+それに応える産業
「本当に欲しいもの」が手に入る
実際に製造業でも
小規模製造業、高い技術力
熱心なユーザ・ファン、ユニークな製品
市場調査+資金調達=CrowdFunding
サプライチェーン・製造技術の活用
製造業におけるロングテールの具現化
「ハードウエア・スタートアップ」が続々
(C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009))
全体の40%
「一人家電メーカ」BsizeのStroke(39,900円)
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
なぜMakerが生まれたのか?
製造技術が真の意味で普及したから
技術がこなれてきた
ノウハウがたまった
ユーザの「幅」が広がった
Arduino←→無数のマイコンボードの違いは?
使いやすさ+ユーザコミュニティ(主にオンライン)
ArduinoUno
22
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「技術の普及」の結果:深圳の華強北
23
山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”)
※FakeCopyではなく、プロダクトの
進化系。これが1週間で量産される
無限に続くパーツ屋
築地のような活気
“Used Mobile Phone Shop”の実体
パーツに分解
(BGAも)
路上で解体
店頭でリペア
(BGAも手はんだ:ボール再生機あり)
ShenZhen HuaQiangBei
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情報科学と半導体の新しい関係
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
「道具」としてのICを持つこと
ふつうの情報工学の研究・・・「あるもの」を使う
カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・
新技術で、一気にパラダイムが変わることがある
「ICをつくる」という道具を持つと?
=「いまできること」という発想から脱却
「カメラをつくれる」→画素をいじってみる
「容量センサをつくれる」→回路とつなげる
Depth画像
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現状、ICは「道具」になっているか?
マイコンは「道具」になった
カスタムIC(オレIC)は?:否
「カスタムICを作ったことがある人、いますか?」
設計ツール:高すぎ、高機能すぎ
製造方法:高すぎ、時間かかりすぎ(1000万円・半
年)、NDA(設計情報のアクセス制限)が厳しすぎ
ユーザ・コミュニティ:高い参入障壁、現状は専門
家ばかり
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「失敗から学ぶ」
「作る→失敗する→そこから学ぶ」のサイクル
プログラミング:失敗OK
マイコン:失敗OK
プリント基板:失敗OK
カスタムIC:さすがにNG
もし学部1年生が「IC作らせてください」ときたら?
「高いんだぞ・・・」「失敗したらシャレにならんぞ」
「ツールの使い方が難しいぞ」
「基礎知識(回路理論など)をいっぱい勉強しろ」
「ちゃんと動かすのは難しいぞ」
27
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ICを道具にするために: MakeLSI:
情報収集・整理
フリーCADなど
VDEC非依存の環境で
仲間さがし
けっこういる
素人で作ってみる?
http://ifdl.jp/make_lsi
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MakeLSI: まずはやってみた
ML登録:50人くらい(プロ以外も多数)
設計データ:8人・9種類+α(イラスト)
8/3から北九州で製造開始
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ICが道具になったら何をしたい?
https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093
本チップ試作は東京大学大規模集積システム
設計教育研究センターを通し、ローム(株)および
凸版印刷(株)の協力で行われたものです
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LチカLSI動画:ニコ動でのコメント
 こっから?
 ニコ技界のTOKIO
 ゲートの無駄遣い
 ここから!!?
 ひでえ、勿体ない使い方wwwww
 マジかよ。レジストレベルの設計とか
ガチすぎる。
 無駄遣い過ぎるだろw
 贅沢というかなんというか
 え?まじでここからかよ」wwww」」
 IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・
 (FPGAでは)いかんのか?
 俺はFPGAで我慢することにする
 いや、そこまでは必要ないです
 量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・
 アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w
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LチカLSI ver2(センサ機能つき)
タッチセンサ
光センサ
※北九州学術研究都市 共同研究開発センターの半導体試作施設において、
(一財)ファジィシステム研究所の協力の下、他大学学生のLSI製造演習として
試作されました
CMOS 2um 2Al 3.2mm x 3.2mm
https://www.youtube.com/watch?v=NN1wNf66vXw
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24280073
CAD:フリーウエア(Inkscape)
製造:北九州の時間貸しクリーンルーム
マイコンではできない芸当!
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でもやっぱり、そこまでやらなくても・・・・
SiP (System In Package)
(Elmos社のWebページより)
自分でつくったIC(カスタム品)
(ほしい機能)
既製品のチップ=汎用品
(マイコン、無線など)
「Arduinoまで作らなくても、それは買ってきて、
それにつなぐ部分だけ作ればOK」と同じこと
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
ICが道具になるとは・・・
『3Dプリンタは、私たちに「何をつくりたいの
か」を問いかけているのです。』
あなたなら、何を作りますか?
田中「SFを実現する 3Dプリンタの想像力」
(講談社現代新書, 2014)
2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
まとめ
半導体とコンピュータ・情報科学
ムーア法則→コンピュータの性能向上
コンピュータの性能向上→情報工学の幅の広がり
「技術の民主化」という見方
プロの特権→誰でも使える(コスト面・使い勝手面)
多様な人が使う → アウトプットの多様性↑
その中からイノベーションが出る(かもしれない)
「半導体(IC)の民主化」
そのための道筋
それによって広がる「情報科学」の守備範囲・可能性

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Makerの道具としての ハードウエアと半導体

  • 1. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Makerの道具としての ハードウエアと半導体 Hardware and Semiconductor as a Tool for Makers 秋田純一(金沢大) @akita11
  • 2. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Contents 自己紹介 コンピュータと半導体の歴史:ムーアの法則 「道具の民主化」がもたらすこと 情報科学と半導体の新しい関係
  • 3. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 自己紹介  浅田研@東大(VDEC)でPh.D(‘98)(イメージセンサ)  金沢大(’98~’00・’04~)  公立はこだて未来大(’00~’04)  ’95〜’00:はこだて未来大 計画策定委員  本業:(機能つき)イメージセンサ  +LSIを使うデバイス・システム(←電子工少年) LSI(イメージセンサ)のレイアウト図 (プロッタ出力して目視チェック) チップと基板をつなぐ ワイヤーボンディング 基板設計 はんだ部屋
  • 4. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータと半導体の歴史 :ムーアの法則
  • 5. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの歴史 (1946) 真空管: 18,000本 消費電力: 140kW サイズ: 30m×3m×1m 演算性能: 5,000加算/s (ENIAC:世界最初のコンピュータ) 最小加工寸法: 0.014μm(14nm) 素子数: ~50,000,000 消費電力: 100W~数mW サイズ: 10mm×10mm程度 演算性能: 10,000,000,000演算/s (1960頃)集積回路(IC)の発明 US Patent No. 2 981 877 (R. Noyce, 1961) US Patent No. 2 138 743 (J. Kilby, 1959)
  • 6. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ICの進化の歴史:Mooreの法則 ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm 50年間ずっと、性能が 毎年「約1.5倍」になっている (等比数列)
  • 7. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則のカラクリ:スケーリング MOSトランジスタを、より小さく作ると・・・? 寸法: 1/α 不純物濃度: α 電源電圧: 1/α 結論:いいことばかり 速度↑ 消費電力↓ 集積度(機能)↑ 技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース p-Si S DG n-Sin-Si p-Si S DG n-Sin-Si L
  • 8. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ MOSトランジスタの微細化の歴史 微細化するほど メリットがある =がんばって微細化 そろそろ「原子」が 見えてきている ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事 L=20nm(いま) L=5nm(2020年ごろ?)
  • 9. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの高速化の歴史 DEC VAX(1976) 1MIPS Cray-1 (1978) 100MIPS MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数) (世界最初のスーパーコンピュータ) 「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある 20000MIPS 10MIPS 100MIPS 20MIPS20000MIPS 109MFLOPS
  • 10. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの進化がもたらしたもの (昔)コンピュータが高価で性能が低かった 紙テープ、テキスト/CUI (Character UI) TSS(大学に1台、企業に1台) (少し昔) 凝った信号処理もOK/GUI (Graphical UI) 個人に1台(PC) (いま) 画像、動画、3Dの処理はあたりまえ Natural UI (ジェスチャなど)/Physical Computing 一人で何台も(ユビキタス化) コンピュータが「お手軽」に →利用場面の拡大
  • 11. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「LED点滅(Lチカ)」のパラダイムシフト コスト面:マイコン○(「もったいなくない」) 機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易) 「枯れた技術」でも、世の中は変わりうる ※ただし、「それを使うこと」ができれば マイコン(MCU) 部品点数=1 コスト:100円 発振回路(555) 部品点数=4 コスト:150円 while(1){ a = 1; sleep(1); a = 0; sleep(1); } ※さすがにPCではちょっと・・・
  • 12. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ムーアの法則のもたらしたもの(その2) コストダウン 同一機能を小チップ=低価格で 古い世代の製造装置でも作れるLSIも、 「そこそこ」高性能 =パラダイムが 変わる可能性 12 (C.クリステンセン「イノベーションのジレンマ—技術革新が 巨大企業を滅ぼすとき」(翔泳社(2001)) マイコン SoC
  • 13. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「道具の民主化」がもたらすこと
  • 14. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「道具の普及」がもたらしたもの (昔)「表現」はプロの特権だった 音楽、映画、・・・ 私たち=Consumer (今)「表現」は誰でもできる 「道具」の普及 (DTM、初音ミク、などなど) 「発表機会」の普及 (ニコ動、などなど) 私たち=Creator/Makerになることができる (ならなくてもいい) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす ―表現のためのメディア技術」 (明治大学出版会, 2015)
  • 15. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「道具の普及」とユーザーイノベーション 発明・イノベーションは、 ユーザーが行う場合も多い 道具が民主化されている (=やろうと思えばできる) ユーザーは「アツい心」をもつ (=採算・労力を度外視で がんばれる) 小川進「ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来」 (東洋経済新報社, 2013)
  • 16. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 情報科学ではどうか? プログラミング言語・環境の民主化 (昔)PCもコンパイラも高価 =「遊びに使う」なんて論外 (今)PCも安価、コンパイラはタダ =「遊びに使う」からはじめられる ユーザ・コミュニティによる「知の蓄積」も後押し
  • 17. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「技術の民主化」と多様性 (従来)技術=プロの特権 (いま)技術=誰でも使える(民主化) ユーザの裾野が広がる(多様化) その中から「アタリ(イノベーション)」が生まれる 相対的に「プロ」の重要性↑↑(「遊び」だけでない) (L.Fleming, Harvard Business Review, 8(9), pp.22-24 (2004))メンバの「均一性」 生まれる成果
  • 18. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ こんなことやってます:NT金沢 「つくってみた」の「ドヤ顔大会」 遊び・アツい思い(多様性)→アタリは出るか?
  • 19. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ハードウエアはどうか?最近の秋葉原 ※客層が変わってきている(こっちの) (昔)ロボコン高専生・電子工作マニア(おっさん) (今)↑+テクノ手芸女子、親子連れ、美大生 19 西餅「ハルロック」 (週刊モーニングで連載中)
  • 20. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Make: 理工離れ?どこの世界の話? “Maker”の活動の広がり 実はみんな「作るのが大好き」 FabLab(レーザーカッター、3Dプリンタ等の 加工機をコアにしたコミュニティ) いままでは「技術が手元になかった」だけ 道具・技術が「民主化」されて、 使えるようになった MakerFaireTokyo2013の様子
  • 21. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Maker”から産業へ ロングテール:嗜好の多様化+それに応える産業 「本当に欲しいもの」が手に入る 実際に製造業でも 小規模製造業、高い技術力 熱心なユーザ・ファン、ユニークな製品 市場調査+資金調達=CrowdFunding サプライチェーン・製造技術の活用 製造業におけるロングテールの具現化 「ハードウエア・スタートアップ」が続々 (C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009)) 全体の40% 「一人家電メーカ」BsizeのStroke(39,900円)
  • 22. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ なぜMakerが生まれたのか? 製造技術が真の意味で普及したから 技術がこなれてきた ノウハウがたまった ユーザの「幅」が広がった Arduino←→無数のマイコンボードの違いは? 使いやすさ+ユーザコミュニティ(主にオンライン) ArduinoUno 22
  • 23. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「技術の普及」の結果:深圳の華強北 23 山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”) ※FakeCopyではなく、プロダクトの 進化系。これが1週間で量産される 無限に続くパーツ屋 築地のような活気 “Used Mobile Phone Shop”の実体 パーツに分解 (BGAも) 路上で解体 店頭でリペア (BGAも手はんだ:ボール再生機あり) ShenZhen HuaQiangBei
  • 24. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 情報科学と半導体の新しい関係
  • 25. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「道具」としてのICを持つこと ふつうの情報工学の研究・・・「あるもの」を使う カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・ 新技術で、一気にパラダイムが変わることがある 「ICをつくる」という道具を持つと? =「いまできること」という発想から脱却 「カメラをつくれる」→画素をいじってみる 「容量センサをつくれる」→回路とつなげる Depth画像
  • 26. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 現状、ICは「道具」になっているか? マイコンは「道具」になった カスタムIC(オレIC)は?:否 「カスタムICを作ったことがある人、いますか?」 設計ツール:高すぎ、高機能すぎ 製造方法:高すぎ、時間かかりすぎ(1000万円・半 年)、NDA(設計情報のアクセス制限)が厳しすぎ ユーザ・コミュニティ:高い参入障壁、現状は専門 家ばかり
  • 27. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「失敗から学ぶ」 「作る→失敗する→そこから学ぶ」のサイクル プログラミング:失敗OK マイコン:失敗OK プリント基板:失敗OK カスタムIC:さすがにNG もし学部1年生が「IC作らせてください」ときたら? 「高いんだぞ・・・」「失敗したらシャレにならんぞ」 「ツールの使い方が難しいぞ」 「基礎知識(回路理論など)をいっぱい勉強しろ」 「ちゃんと動かすのは難しいぞ」 27
  • 28. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ICを道具にするために: MakeLSI: 情報収集・整理 フリーCADなど VDEC非依存の環境で 仲間さがし けっこういる 素人で作ってみる? http://ifdl.jp/make_lsi
  • 29. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ MakeLSI: まずはやってみた ML登録:50人くらい(プロ以外も多数) 設計データ:8人・9種類+α(イラスト) 8/3から北九州で製造開始
  • 30. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
  • 31. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ICが道具になったら何をしたい? https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0 http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093 本チップ試作は東京大学大規模集積システム 設計教育研究センターを通し、ローム(株)および 凸版印刷(株)の協力で行われたものです
  • 32. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ LチカLSI動画:ニコ動でのコメント  こっから?  ニコ技界のTOKIO  ゲートの無駄遣い  ここから!!?  ひでえ、勿体ない使い方wwwww  マジかよ。レジストレベルの設計とか ガチすぎる。  無駄遣い過ぎるだろw  贅沢というかなんというか  え?まじでここからかよ」wwww」」  IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・  (FPGAでは)いかんのか?  俺はFPGAで我慢することにする  いや、そこまでは必要ないです  量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・  アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w
  • 33. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ LチカLSI ver2(センサ機能つき) タッチセンサ 光センサ ※北九州学術研究都市 共同研究開発センターの半導体試作施設において、 (一財)ファジィシステム研究所の協力の下、他大学学生のLSI製造演習として 試作されました CMOS 2um 2Al 3.2mm x 3.2mm https://www.youtube.com/watch?v=NN1wNf66vXw http://www.nicovideo.jp/watch/sm24280073 CAD:フリーウエア(Inkscape) 製造:北九州の時間貸しクリーンルーム マイコンではできない芸当!
  • 34. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ でもやっぱり、そこまでやらなくても・・・・ SiP (System In Package) (Elmos社のWebページより) 自分でつくったIC(カスタム品) (ほしい機能) 既製品のチップ=汎用品 (マイコン、無線など) 「Arduinoまで作らなくても、それは買ってきて、 それにつなぐ部分だけ作ればOK」と同じこと
  • 35. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ICが道具になるとは・・・ 『3Dプリンタは、私たちに「何をつくりたいの か」を問いかけているのです。』 あなたなら、何を作りますか? 田中「SFを実現する 3Dプリンタの想像力」 (講談社現代新書, 2014)
  • 36. 2015/7/29 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ まとめ 半導体とコンピュータ・情報科学 ムーア法則→コンピュータの性能向上 コンピュータの性能向上→情報工学の幅の広がり 「技術の民主化」という見方 プロの特権→誰でも使える(コスト面・使い勝手面) 多様な人が使う → アウトプットの多様性↑ その中からイノベーションが出る(かもしれない) 「半導体(IC)の民主化」 そのための道筋 それによって広がる「情報科学」の守備範囲・可能性