SlideShare a Scribd company logo
1 of 40
Download to read offline
「ファンドレイジング」の理解を深めよう
大西 純
日本ファンドレイジング協会
准認定ファンドレイザー
[注] 本資料は、個人の知識習得を目的に作成したものであります
ファンドレイジングとは?
• ファンドレイジング(Fundraising)とは、
• 民間非営利団体(Non-Profit Organizations:
日本では公益法人、特定非営利活動法人、
大学法人、社会福祉法人などを含む)が、
• 活動のための資金を個人、法人、政府など
から集める行為の総称。
1
Wikipedia(フリー百科事典):ファンドレイジング より
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
ファンドレイジングの手段は?
• 企業と同様に、事業やサービスの提供、業務
委託などによる収入(事業収入)もあるが、そ
れ以外にも寄付、会費、助成金、補助金、借
入金、預託金などによる収入も重要な財源。
• 「ファンドレジング」と言った場合、広義には民
間非営利団体のこうした財源獲得の総称で
あるが、一般的には寄付、会費、助成金、補
助金などの財源の獲得手段を指す。
2
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
NPOの資金調達方法 -その1-
種類 説明
会費  使い道が限定されていない自由な資金で、事務所の家賃支出や専
従スタッフへの給与など、使途に制約はない
 定期的に安定した収入を確保できるという意味で、活動を支える大き
な資金となるといえる
 正会員(民法上の社員、総会議決権有)と賛助会員から構成
寄付  使途を限定しない一般寄付と、使途を定めた指定寄付がある
 後者の指定寄付は、指定された使途にしか使えませんが、前者の一
般寄付では、会費の場合同様、ある程度使途の自由度が高い
 対価なく、しかも継続性のある関係ではないことから、会費の場合よ
りも、本来的な活動に限定されるべきということができる
助成金  設立・活動・事業を支援するために提供されるもので、民間の基金や
財団がその意義を認めた活動・事業の遂行の手助けとし資金提供
 そのほとんどは申請し、一定の審査を経て決定
 その競争率も上がっており、去年の助成が今年もあるとは限らない
補助金  国や地方自治体が、NPOなどの団体や個人が行う特定の事業 など
に対して支援する目的で資金提供
 その支援に全く見返りを求めないものや 、広い意味で、NPOに特定
の事業を任す対価(いわゆる委託)としての支援金を指す 3
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
NPOの資金調達方法 -その2-
種類 説明
物品販売
サービス提供
事業収入
 物品販売は、事業収益のひとつであり、書籍やDVDの販売のほ
か、Tシャツやステッカーの販売、イベント時の飲食物の販売など
 収益事業として、基本的に法人税の課税対象となる
 ここで得た収益は使途の自由な資金として、自由に使用可能
 最近は、ソーシャルビジネスに注目集まる
協賛金・
物品協賛
 協賛金とは、団体が開催するイベントに対して、企業に協賛をお
願いして、資金提供をお願いした場合の提供資金をいう
 物品協賛とは、企業が生産している製品を、事業のために無料で
物品提供してもらうことをいう
その他  ニュースレターや雑誌への広告料
 リーバースモーゲージ活用型の生前寄付
 金融機関からの借入金や市民債券の発行
 低価格もしくは無料での素材仕入
 電話代や郵送費などの経費削減
 利息
4
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
使途の自由度と調達効率の関係
5
(低)
(低)
(高)
(高)
調達の効率
使途の自由度
会
費
寄
付 事業
収入
委託金
受託金
助成金
補助金
調達効率が高い(良い)とは、
1件あたりの調達額が大きく、
調達にかかる労力が少ない
ことを表している
活動の安定資金となる
会費をいかに効率よく
集めるかがポイント!
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
あああああ
6
寄付・会費
収入の増加
助成委
託収入
増加
事業
収入の
増加
調達方法のシナジー(相乗)効果
事業
収入↑
寄付
会費
収入↑
助成
委託
収入↑
「共感型」サービス
購入者層の増加
知名度、潜在的
支援者の増加
ネットワーク・場・
知名度の増加
信用力、
企画力の増加
信用力・場・知名度の増加
信頼性・安定性・公共性
のイメージの改善
個別対応でなく、全体戦略の中で、シナジー効果を意識!
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
ファンドレイジングを考える上での重要な原則
第一の
原則
• ファンドレイジングを「単なる資金集めの手
段」ではなく、「社会を変えていく手段」として
捉え直す。
第二の
原則
• ファンドレイジングは、「施しをお願いする行
為」ではなく、社会に「共感」してもらい、自ら
団体の持つ「解決策」を理解してもらう行為
であると考える。
第三の
原則
• 「良い活動をしているのに寄付が集まらない
のは、社会が成熟していないからだ」という
発想は捨てる。
7
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
ファンドレイジングを考える上での重要な原則
第四の
原則
• 大きな支援を売るためには、NPO自身も
「つり銭型寄付」のパラダイムのみならず、
「社会変革型寄付」のパラダイムを念頭に。
第五の
原則
• 日本には寄付文化がないのではなく、寄付
の成功体験と習慣がないにすぎないと理解
する。
第六の
原則
• 活動の質を高め、適切な組織マネジメントを
行うことは、良いファンドレイジングの前提で
あると理解する。
8
「つり銭型寄付」:気が向いた時に、つり銭程度を寄付をするという行動
「社会変革型寄付」:未来への投資、目的志向で寄付をするという行動
ファンドレイジング成功のための7つの原則
9
1 • 組織の潜在力の棚卸し
2 • 既存寄付者・潜在的寄付者の分析
3 • 理事・ボランティアの巻き込み
5
• ファインドレイジング計画の作成
6
• ファンドレイジングの実施
7
• 感謝・報告
4 • コミュニケーション方法や内容の選択
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
第一のステップ=組織の潜在力の棚卸し
1.ファンドレイジングの基本セットは、「夢」+「物語」
+「場」である
~ 人の持つ夢に共感すれば応援したくなる ~
~ 「夢」や「物語」を共有し、共感の「場」を ~
2.メッセージの3階層化
~ 多くの団体が、受益者中心として視線
での事業価値説明にとどまる ~
3.ファンドレイジングの
7つの基本事項を
チェック (次頁に続く)
10
• 国、行政、社会、日本人の
価値観に及ぼす変化
第3階層
• その団体の事業分野、近
隣地域社会に及ぼす変化
第2階層
• 活動対象の受益者に起こ
す変化
第1階層
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
ファンドレイジングの7つの基本事項
11
組織のミッションやビジョンのメッセージ性の確認
寄付ニーズと目標金額の確定 ~なぜ?いくら?~
過去の実績の整理 ~外部評価・表彰、支援者推移~
「支援者はなぜ支援しているのか」の再整理
理事・スタッフ・ボランティア等の中核人材の確認
既存ネットワークの確認 ~「場」「チャネル」~
スタッフや理事、支援者の成功体験の洗い出し
文章化し、関係者で共有 → 同じ土俵で検討を!
第二のステップ=既存/潜在寄付者の分析
12
4.ドナーレンジチャートを使いこなす
~寄付金額帯別人数・金額構成比を把握する ~
① 分析編
・多くのNPOは、「2割の寄付者が総額の8割」
・異なるカテゴリー層に対し、戦略を持つ
② 戦略編
・カテゴリー別の目標金額(1人あたり)を設定
・それぞれ具体的に何名獲得するかを明確に
5.ステークホルダ・ピラミッドを使った体質改善 (次頁)
6.個人の寄付者がなぜ寄付をするのか (次々頁)
ステークホルダー・ピラミッド
13
ゆるやかな関心層 (たとえば、アフリカ研究者、
アフリカに拠点がある企業、国際協力関心層、開発研究教育者など)
事業サービ
ス利用・
購入者
賛助会員
イベント
参加者
提携企業
正会員
賛助会員
(継続者)
継続
ボランティア
大口寄付
5年継続
寄付者
元理事・
コアの
ボランティア
理事
運営委員
スタッフ何もしない
と毎年確実
に20%が
下層階へ
毎年30%
が上層階
へ行く仕掛
けが必要
組
織
・
活
動
へ
の
ロ
イ
ヤ
リ
テ
ィ
高
低
「縁」を大切にした日常の取組 → 関係性強化へ
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
個人寄付者の「あいうえお」
14
「あ」(愛) 利他的行動者、他者への愛
「い」(粋) 社会貢献は粋な行為、自分のライフスタイル
「う」(内、内輪) グループ帰属欲求、社会との繋がり
「え」(縁) 地縁、血縁、何かのご縁、義理、仁義
「お」(恩返し、面白さ) 社会・組織への恩返し、イベント
寄付の動機に応じて、
寄付者の満足の高め方も違う
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
第三のステップ=理事/ボランティア巻き込み
15
7.かかわる人間のポートフォリオバランスは良いか
・対外ネットワーク、コミュニケーション力高い理事
・ファンドレイジング(財務)担当理事
・過去の大口寄付者 ・PRスキルある人材
・イベント企画運営力に優れたボランティア
→ 肩書き無視で熱意ある人材を優先して!
8.参加型寄付
・「参加」から「共感」が起こりやすい
・「寄付とは参加である」
・年次総会は、報告型でなく参加型に
第四のステップ=コミュニケーションの選択
16
9.ファンドマレイジングマトリックスを作成する(次項)
~ それぞれの層別にウェイトづけしたアプローチ~
10.ACTIONフレームワークを活用する (次々項)
~ コミュニケーション戦略を考えるヒント ~
11.信用力を補完する
~ 寄付者・スタッフの(^o^)見える化、企業や行政
連携、徹底した情報開示、理事会メンバー ~
12.会員の制度設計を戦略化する
~ 「実利型」「共感型」「仲間型」会員制度 ~
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
ファンドマレイジングのマトリックス例
支援者 企画段階での
関与
個別事前
感謝・報告
DM・チラシ イベント
大口寄付・
理事
◎ ◎ ○ ○
正会員・賛助
会員(継続)
ー
ー
◎ ◎
賛助会員・
ボランティア
ー ー
◎ ◎
外部関係者
ー ー
○(一部) ◎
17
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
アクションフレームワークとは
18
ACTION 解 説
A Attention
キーワードは、いかに相手の「共感」を得るか。ぱっと目を引い
て右脳に訴えかけるものを打ち出すことが大切。
C Change
何を変えようとして、何を実現しようとしているのか。そうした夢
や願望のメッセージは含まれていることが大切。
T Trust
パンフレットやウェブサイトでいかにして信用力を位置づけるか
が大切。(連携企業・行政、理事会メンバー、使途開示など)
I Imagination
事業をストーリー化するとイメージしやすい。受益者のヒューマ
ンストーリー、スタッフの体験談、幸せの連鎖を物語化。
O Only One
「日本初」「地域随一」「業界で一番」といった「何かユニークなこ
と」「オンリーワン感」「あたらしさ感」で、他と差別化。
N Network
団体のステークホルダーとの繋がり、広がりが感じられるかが
ポイント。
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
右脳から入って左脳に落とすことが重要!
19
問題への
共感
(右脳(直感))
解決策への
納得
左脳(論理)
支援
双方へのアプローチが大切!
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
第五のステップ=計画の策定
20
13.計画倒れにならない計画を作るコツ
~ 計画が計画のままで終わらないために ~
① 最初の1,2か月のスタートダッシュの活動を
必ず織り込む(最初が肝心)
② うまくいかなかったとき、いつ見極めて、どう
対処するかをあらかじめ決める(修正オプション)
③ 理事会に実施責任者を決める(担当理事)
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
第六のステップ=ファンドレイジングの実施
21
14.ファンドレイジングの心理学的要素を理解する
~ 計画が計画のままで終わらないために ~
・コミュニケーションの3つの構成要素
① 伝達者・情報の出所 (誰が話し手か?)
② 伝達するメッセージの内容 (両面性メッセージ)
③ 周囲の状況
・6つの心理学的要素
① 返報性 ② コミットメントと一貫性 ③ 社会的証明
④ 好意 ⑤ 権威 ⑥ 希少性
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
第七のステップ=感謝・報告
22
15.誠意と善意のコミュニケーションをメカニズム化
~ 支援いただいた時に、いかに感謝するか ~
寄付を受領した時(領収書と同時に感謝の念を)
会報などでの指名の掲載
暑中見舞いや年賀状
誕生日のお祝いはがき
イベントなどのご招待
事業報告を伝える
一度支援してもらったら7回感謝することをシステム化
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
NPOの2つの顧客
23
企業 NPO
「顧客」 資金提供者サービスの受け手・
利用者
「2つの顧客」
商品・
サービス
お金
(対価)
サービス お金(会費・寄付・助成金他)
労力(ボランティア)
≠
違いを意識したフィードバックの仕組みを!
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
NPO法人と株式会社との違い
NPO法人 株式会社
構
成
構成員の責任 定めなし 有限責任
構成員の人数 社員(会員)10名以上 1名以上
機
関
重要事項の決定 社員(会員)総会での決議
が原則
株主総会
業務執行
意志決定機関
理事の過半数 取締役会または取締役
業務執行・
代理機関
各理事 代表取締役または取締役
役員の任期 2年以内 取締役:原則2年以内
監査役:原則4年以内
準拠法 特定非営利活動促進法
(NPO法)
会社法
24
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
寄付を取り巻く環境の変化
25
超高齢化社会
の到来
所得格差拡大
新富裕層の台頭
企業のCSR活動
の本格化
ワークライフ
バランスの変化
寄付の成功体験
の広がり
寄付の受け手
(NPO)の変化
寄付を取り巻く環境が
「変革期」に入っている
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
日本の寄付文化革新への5つの課題
26
個々のNPOのファンドレイジング力を着実に改善
フィランソロ
ピー(慈善)
教育
寄付市場の
ルール作り
NPOやファン
ドレイジング
の成功体験を
共有する
メカニズム
富裕層の
寄付促進
高齢者寄付
が進む
仕組みや
空気創り
寄付者をハッピーにさせる成功体験や感動を共有
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
日本の資金仲介組織の例
27
組織名 URL
Give One http://www.giveone.net/cp/pg/TopPage.aspx
Just Giving Japan http://justgiving.jp/
NGOアリーナ http://www.ngo-arena.org/
チャリティ・プラットフォーム http://www.charity-platform.com/
日本財団(夢の貯金箱) http://www.nippon-foundation.or.jp/yumecho/
市民社会創造ファンド http://www.civilfund.org/
神奈川子ども未来ファンド http://www.kodomofund.com/
財団法人大阪コミュニティ財団 http://www.osaka-community.or.jp/
Just Giving Japanは、震災後1.5か月で
3.4億円をNPOを寄付
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
日本のNPOの団体数の推移
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
35000
40000
0
1,364
3,264
5,889
9,726
15,151
20,350
25,220
30,257
33,675
36,552
39,214
28
内閣府NPOホームページ 特定非営利活動促進法に基づく認証数
1998年NPO法の施行以来、右肩上がり
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
NPO法の改正と新寄付税制
• 平成23年6月15日 NPO法改正案成立
– NPO法人会計基準の導入
– 認定NPO法人制度のNPO法組み込み 等
• 平成23年6月22日 新寄付税制成立
– 所得税の税額控除制度
– 認定NPO法人の認定要件緩和
– 日本版プランドギビング税制の創設 等
29
寄付を促進する税制へ
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
認定NPO法人制度とは?
30
NPO法人
法律に定める要件を満たしていれば設立
を認める認証主義
認定NPO法人
NPO法人のうち一定の要件を満たして
いると国税庁長官が認めた法人に様々
な税制上の優遇措置を与える
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
一定の要件とは?
31
① パブリックサポートテスト(PST)をクリアしていること
② 活動の対象が会員などをメインとした共益的な活動
ではないこと
③ 運営組織及び経理について適正であること
④ 事業活動について、一定の要件を満たしていること
⑤ 情報公開が適正にされていること
⑥ 所轄庁へ事業報告書等が提出されていること
⑦ 法令違反、不正の行為等がないこと
⑧ 設立後1年を超える期間を経過してること
新たなPSTを導入
すること等により
①の要件を満たし
やすくした
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
PST(パブリックサポートテスト)とは?
32
幅広く市民の支持を得ているかどうかのテスト
⇒ 認定NPO法人になるための最大の関門
【従来のPSTの条件】
寄付金等収入金額
経常収入金額
【問題点】
・計算が困難 ・目標としづらい
・事業型のNPO法人がクリアできない
≧ 20%
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
PSTの要件変更とは?
33
 PSTに、一定金額以上の寄付者の絶対数で
判定する新しい方式を導入
 現行制度との選択制とする
「各事業年度中の寄付金の額が3,000円以
上である寄付者の数が、年平均100人以上
であること」
従来方式の問題点を解消
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
日米の寄付市場
34
日本 米国
寄附金額 5,820億円 31兆2360億円
(比較) 日本を1とすると 53.7
法人 86.5% 5.3%
財団 8.9% 11.5%
個人 4.6% 76.5%
遺贈 - 6.7%
日本:国税庁寄附金控除・所得税控除統計、
「日本の助成財団の現状」財団助成センター、2005年
米国:“Giving USA”、2006年
アメリカは、個人が主流で、日本の約54倍の規模
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
オンラインでの寄付金額を決める方程式
35
訪問者数 ウェブサイトに訪問した人の数
転換率 訪問した人のうち何人が寄付するかの比率
平均寄付単価 寄付者の寄付金額の平均単価
平均寄付回数 寄付者が一定期間に寄付をする平均回数
×
×
×
= 寄付額
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
方程式をさらに要因で分解
36
訪問
者数
転換率
団体の
認知度
平均
寄付
単価
平均
寄付
回数
× × × = 寄付額
メルマガ
からの
流入
SNS
からの
流入
活動の
説得力
決済
手段の
多様化
サイト
導線の
良さ
寄付の
呼びかけ
文言
フォーム
の単価
設定
問合せ
対応の
質
継続
支援の
必要性
システム
の継続
寄付
機能
既存寄
付者の
ケア
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
オンライン寄付でのドナー・ピラミッド
37
 それぞれの階層から上に上
がるには、ハードルがある
 それを超えてもらうために
は、様々なチャネルを駆使す
る 必要がある
 オンライン寄付は、②のイン
ターネット上でしか繋がって
いない人や、③のイベント参
加しただけの人を④の単発
寄付者にあげるのに適してい
る
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
寄付手段別の特徴
メリット デメリット ターゲット
金
融
機
関
郵便募金口座 募金専用口座で安心感、振
込票に名前、住所等の情報
記入可能
郵便局に行く必要がある
団体への取扱票送付が3
日ほどブランクあり
高齢者、主婦など
銀行振込み 寄付者にとっては、銀行振
込みが便利は場合も(郵便
局が遠い、ネット利用可)
誰からの寄付かが記帳だ
けでは分らない(別途寄付
者の情報取得が必要)
企業、ビジネスマン
など
口座引落し 口座登録をすることで継続
性が高く、安定収入につな
がりやすい
口座相違、印鑑相違など
あれば事務処理に負荷
引落開始までに1月以上
公共料金の自動引
き落としに慣れてい
る人
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
クリック募金、
買い物寄付
団体を知らなかった人への
アプローチで活動広報効果
寄付者の情報取得できず、
ビックドナーに成長しにくい
不特定多数
ポータルサイト 団体を知らなかった人への
アプローチ
情報更新が不十分だと活
動していない団体とみられ
る
不特定多数
オンライン募金
システム
団体に合わせた個人情報の
収取が可能
事後ケアに繋げることが可
能
初期費用がかかる
導入後の運用設計が不十
分な場合、件数増加に伴う
運用負荷が大
20~50代の働き
盛り世代、電子マ
ネー活用すれば若
者への拡大か
38
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.
参考文献
39
• NPOの資金づくりがわかる本(田中尚輝、2008年)
• NPOの経営(坂本文武、2004年)
• NPOの経営の仕組みと実践(坂本恒夫・丹野安子、2009年)
• ファンドレイジングが社会を変える(鵜尾雅隆、2009年)
• ファンドレイジング道場 http://dojo.livedoor.biz/ (鵜尾雅隆)
• 寄付白書2010(日本ファンドレイジング教会、2010年)
• 内閣府NPOホームページ https://www.npo-homepage.go.jp/
• はじめてのNPO、NGOガイド http://www.npo-ngo.com/
• NPO向けオンラインツール紹介セミナー(NPOサポートセンター主催)
• NPO法人新公益法人Q&A(脇坂誠也、2009年)
• NPO会計道 http://blog.canpan.info/waki/ (脇坂誠也)
Copyright (C) 2012 Jun Ohnishi All Rights Reserved.

More Related Content

What's hot

從五個小故事看敏捷開發精神
從五個小故事看敏捷開發精神從五個小故事看敏捷開發精神
從五個小故事看敏捷開發精神
teddysoft
 

What's hot (20)

伝わるチラシの作りかた講座:1日目「情報の整理のコツ」
伝わるチラシの作りかた講座:1日目「情報の整理のコツ」伝わるチラシの作りかた講座:1日目「情報の整理のコツ」
伝わるチラシの作りかた講座:1日目「情報の整理のコツ」
 
アニメ聖地巡礼研究(修士論文版)
アニメ聖地巡礼研究(修士論文版)アニメ聖地巡礼研究(修士論文版)
アニメ聖地巡礼研究(修士論文版)
 
211101_最新トレンド_パッケージ
211101_最新トレンド_パッケージ211101_最新トレンド_パッケージ
211101_最新トレンド_パッケージ
 
デザイン思考による人間中心のイノベーション
デザイン思考による人間中心のイノベーションデザイン思考による人間中心のイノベーション
デザイン思考による人間中心のイノベーション
 
오늘의 야채 사업계획서
오늘의 야채 사업계획서오늘의 야채 사업계획서
오늘의 야채 사업계획서
 
人工知能研究のための視覚情報処理
人工知能研究のための視覚情報処理人工知能研究のための視覚情報処理
人工知能研究のための視覚情報処理
 
XAI (説明可能なAI) の必要性
XAI (説明可能なAI) の必要性XAI (説明可能なAI) の必要性
XAI (説明可能なAI) の必要性
 
企業WebサイトにおけるグローバルWebガバナンスパターン
企業WebサイトにおけるグローバルWebガバナンスパターン企業WebサイトにおけるグローバルWebガバナンスパターン
企業WebサイトにおけるグローバルWebガバナンスパターン
 
3D CNNによる人物行動認識の動向
3D CNNによる人物行動認識の動向3D CNNによる人物行動認識の動向
3D CNNによる人物行動認識の動向
 
You Only Look One-level Featureの解説と見せかけた物体検出のよもやま話
You Only Look One-level Featureの解説と見せかけた物体検出のよもやま話You Only Look One-level Featureの解説と見せかけた物体検出のよもやま話
You Only Look One-level Featureの解説と見せかけた物体検出のよもやま話
 
近年のHierarchical Vision Transformer
近年のHierarchical Vision Transformer近年のHierarchical Vision Transformer
近年のHierarchical Vision Transformer
 
アイデア創出ワークショップ(2021年、大阪、好きと得意からスモールビジネスのアイデアを発想する)
アイデア創出ワークショップ(2021年、大阪、好きと得意からスモールビジネスのアイデアを発想する)アイデア創出ワークショップ(2021年、大阪、好きと得意からスモールビジネスのアイデアを発想する)
アイデア創出ワークショップ(2021年、大阪、好きと得意からスモールビジネスのアイデアを発想する)
 
5分で笑えるwebサービスの作り方
5分で笑えるwebサービスの作り方5分で笑えるwebサービスの作り方
5分で笑えるwebサービスの作り方
 
KPIマネジメント
KPIマネジメントKPIマネジメント
KPIマネジメント
 
Webサービス企画のコツ
Webサービス企画のコツWebサービス企画のコツ
Webサービス企画のコツ
 
KPIマネジメント【図解】
KPIマネジメント【図解】KPIマネジメント【図解】
KPIマネジメント【図解】
 
從五個小故事看敏捷開發精神
從五個小故事看敏捷開發精神從五個小故事看敏捷開發精神
從五個小故事看敏捷開發精神
 
LLM は言葉の意味を理解しているのか?
LLM は言葉の意味を理解しているのか?LLM は言葉の意味を理解しているのか?
LLM は言葉の意味を理解しているのか?
 
[DL輪読会]Objects as Points
[DL輪読会]Objects as Points[DL輪読会]Objects as Points
[DL輪読会]Objects as Points
 
ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition
ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face RecognitionArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition
ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition
 

Similar to ファンドレイジングお勉強資料_JunOhnishi

Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
Tomoyuki Hashimoto
 
【No29】社会的事業の資金調達
【No29】社会的事業の資金調達【No29】社会的事業の資金調達
【No29】社会的事業の資金調達
etic_sal
 
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
NPOサポートセンター
 
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
Makishi Momiyama
 
See dx ビジネスプラン収支計画
See dx ビジネスプラン収支計画See dx ビジネスプラン収支計画
See dx ビジネスプラン収支計画
SEEDx
 
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
SEEDx
 
何でも勉強会(協働)201301302010
何でも勉強会(協働)201301302010何でも勉強会(協働)201301302010
何でも勉強会(協働)201301302010
嶋津 幸男
 

Similar to ファンドレイジングお勉強資料_JunOhnishi (20)

Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
Canpanフォーラム 講義レジュメ 東京_荻上_20130411
 
Social media for public interest corporation
Social media for public interest corporationSocial media for public interest corporation
Social media for public interest corporation
 
【No29】社会的事業の資金調達
【No29】社会的事業の資金調達【No29】社会的事業の資金調達
【No29】社会的事業の資金調達
 
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
Nonprofit marketing program 2012 presentation06 hiracen #npomap2012
 
第4回実施報告書
第4回実施報告書第4回実施報告書
第4回実施報告書
 
立教ソーシャルデザイン_第4回寺子屋_「プロボノとしての活動とそこから見える社会の動き」
立教ソーシャルデザイン_第4回寺子屋_「プロボノとしての活動とそこから見える社会の動き」立教ソーシャルデザイン_第4回寺子屋_「プロボノとしての活動とそこから見える社会の動き」
立教ソーシャルデザイン_第4回寺子屋_「プロボノとしての活動とそこから見える社会の動き」
 
NPOseniorChallenge#2-1
NPOseniorChallenge#2-1NPOseniorChallenge#2-1
NPOseniorChallenge#2-1
 
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
Npo版sib専用ファンド-ソーシャル・ファイナンスの新しいスキーム-
 
平成24年度岡山県新しい公共支援事業担い手育成支援事業提案
平成24年度岡山県新しい公共支援事業担い手育成支援事業提案平成24年度岡山県新しい公共支援事業担い手育成支援事業提案
平成24年度岡山県新しい公共支援事業担い手育成支援事業提案
 
Homma 20120317
Homma 20120317Homma 20120317
Homma 20120317
 
See dx ビジネスプラン収支計画
See dx ビジネスプラン収支計画See dx ビジネスプラン収支計画
See dx ビジネスプラン収支計画
 
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
Seedx 起業実務 資金調達abc 20121102
 
災害IT支援法人化プロジェクト
災害IT支援法人化プロジェクト災害IT支援法人化プロジェクト
災害IT支援法人化プロジェクト
 
おかやまシェア・ウェブと情報開示
おかやまシェア・ウェブと情報開示おかやまシェア・ウェブと情報開示
おかやまシェア・ウェブと情報開示
 
ソーシャルファイナンス講演資料 20110425
ソーシャルファイナンス講演資料 20110425ソーシャルファイナンス講演資料 20110425
ソーシャルファイナンス講演資料 20110425
 
NPO | PR & Curation
NPO | PR & CurationNPO | PR & Curation
NPO | PR & Curation
 
東京 情報発信 20130411
東京 情報発信 20130411東京 情報発信 20130411
東京 情報発信 20130411
 
何でも勉強会(協働)201301302010
何でも勉強会(協働)201301302010何でも勉強会(協働)201301302010
何でも勉強会(協働)201301302010
 
事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法
 
米中日のVC比較
米中日のVC比較米中日のVC比較
米中日のVC比較
 

More from Jun Ohnishi

IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
Jun Ohnishi
 
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
Jun Ohnishi
 
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
Jun Ohnishi
 
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
Jun Ohnishi
 
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
Jun Ohnishi
 

More from Jun Ohnishi (9)

プロボノ活用の事例とその可能性 - 中小企業診断士への期待
プロボノ活用の事例とその可能性 - 中小企業診断士への期待プロボノ活用の事例とその可能性 - 中小企業診断士への期待
プロボノ活用の事例とその可能性 - 中小企業診断士への期待
 
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
 
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
要求開発アライアンス定例会 2014年1月 大西純
 
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
M社 社内勉強会プレゼン jun_ohnishi_20131101
 
東京都中小企業診断士協会 ソーシャルビジネス研究会(2013年6月) 「企業内診断士とプロボノ」
東京都中小企業診断士協会 ソーシャルビジネス研究会(2013年6月)  「企業内診断士とプロボノ」東京都中小企業診断士協会 ソーシャルビジネス研究会(2013年6月)  「企業内診断士とプロボノ」
東京都中小企業診断士協会 ソーシャルビジネス研究会(2013年6月) 「企業内診断士とプロボノ」
 
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803_jun_ohnishi
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803_jun_ohnishiPmij forum2013 pmo-wg2-20130803_jun_ohnishi
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803_jun_ohnishi
 
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
Pmij forum2013 pmo-wg2-20130803
 
2013年度第1回BA車座(BA^KURUMAZA)_Jun Ohnishi
2013年度第1回BA車座(BA^KURUMAZA)_Jun Ohnishi2013年度第1回BA車座(BA^KURUMAZA)_Jun Ohnishi
2013年度第1回BA車座(BA^KURUMAZA)_Jun Ohnishi
 
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
2013年度第1回BA車座_Jun_Ohnishi
 

ファンドレイジングお勉強資料_JunOhnishi