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高井 一輝 (Takai Kazuki)
某ISP勤務
クラウドサービスの開発、設計、設備維持
Windows Server / System Center / Linux / etc…
Microsoft MVP - Cloud and Datacenter Management
System Center User Group Japan (SCUGJ)
Twitter : @zhuky7 / Facebook : kazuki.takai
Blog : http://operationslab.wordpress.com/
3. 内容とセッションのゴール
内容(お話すること)
現在(Windows Server 2016 RTM)の Nano Server で実現できること
Nano Server のデプロイと管理
お話しないこと
Hyper-V や Container など、Nano Server で利用できる機能の詳細
Container Application の構成方法や、Container Image の利用方法
セッションのゴール
現在の Nano Server についてイメージできる、必要があれば触れる
6. 最初に少しだけ
Windows Server の次期バージョンにおける Nano Server について(6/19)
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-server/get-started/nano-in-semi-
annual-channel
https://blogs.technet.microsoft.com/hybridcloud/2017/06/15/delivering-
continuous-innovation-with-windows-server/
少なくとも次のバージョンでは、Nano Server はコンテナベースイメージとし
てのリリースのみ
インフラストラクチャーを構成するサービススタック・機能は含まれない
インフラストラクチャー系の機能は、Server Core での利用を推奨
コンテナイメージに特化することで、イメージサイズをさらに 50% 削減
8. Nano Server とは
Windows Server のインストールオプション
Windows Server 2016 で Nano Server が追加
Server Core や Desktop Experience 以外の、第3の選択肢
Server Core (デフォルト、多くの場合に推奨)
Desktop Experience (特定用途向け)
Nano Server (かなり限定された用途向け)
特定の Edition や Version や SKU を示すものではない
9. Nano Server の特徴
フットプリント(メモリ/ディスク)が小さい
リソース消費量の削減
イメージサイズが小さい
イメージ展開速度、デプロイ所要時間の向上
ポータビリティの向上
コンテナのベースイメージとしての利便性向上
上記を実現するために、機能が限定的
10. Nano Server でできること
通常の Windows Server と比較して機能を限定し、特定用途に特化することで、
軽量化を実現
稼働プロセス、サービスを最小化
機能が限定的(何でもできるわけではない) – e.g. GUI なし
できること
一部の(主にリソースプール基盤となるような)役割の実行
リモート管理に必要なサービスや一部エージェントの実行
できないこと
多くの(主に何かを管理するような)役割の実行
GUI が必要なアプリケーション、ツールの実行
11. Nano Server で実行可能な役割・機能
Hyper-V
Container
Internet Information Services
File Server
DNS Server
Failover Clustering
Datacenter Bridging
12. Nano Server の制約
Graphical User Interface なし、ローカルログオン機能なし
64bit アプリケーションのみサポート
グループポリシーは未サポート
Group Policy Client サービスが実装されていない
プロキシサーバーを利用するようなインターネットアクセスは未サポート
NIC チーミングは SET (Switch Embedded Teaming) のみサポート
従来の LBFO によるチーミングは利用不可
HBA 未サポート
.NET Framework / PowerShell は機能制限あり
15. その前に
Nano Server は必ず英語版を使用する
少なくとも Windows Server 2016 RTM (Ver.1607) においては
日本語版でもイメージを作成してブートすることは可能
回復コンソールが文字化けする
静的 IP アドレスの構成に失敗する
https://github.com/k-takai/Misc/blob/master/scripts/Modify-NanoServerImageGenerator.ps1
特定条件下で Gen2 VM を電源オンできない
特定条件下で VMMS がクラッシュする
など、運用上重大な支障があるので、バグ出ししたい人以外はお勧めしません
(日本語版が将来バージョンでも提供される、という保証もありません)
16. Nano Server の展開
Nano Server は、通常の OS インストールメディアからインストールできない
エディション/インストールオプションの一覧には選択肢が存在しない
別途、自分でイメージを作成して展開する必要がある
17. Nano Server の展開ステップ
1. イメージを作成する
インストールメディアまたは既存のイメージをベースに、イメージを作成する
Nano Server Image Generator (PowerShell)
Nano Server Image Builder (GUI Tool)
2. イメージを展開する
作成したイメージをインストール(起動)対象へ配置・展開する
VM へ ディスクイメージをアタッチして起動
物理サーバへ vhd/vhdx をコピーして VHD(X) ブート
WDS を使用してイメージを展開
18. Nano Server Image Generator (NSIG)
インストールメディア内に同梱されている PowerShell モジュール
インストールメディアの NanoServer フォルダー配下に存在
モジュールをインポートすることで、Nano Server イメージの作成が可能
Copy-Item -Recurse <DVD>:¥NanoServer¥NanoServerImageGenerator .¥
Import-Module .¥NanoServerImageGenerator¥NanoServerImageGenerator
New-NanoServerImage
20. New-NanoServerImage のオプション
New-NanoServerImage
-DeploymentType [ Guest | Host ]
物理サーバにデプロイするか、VM ゲストとしてデプロイするかを選択
-Edition [ Datacenter | Standard ]
エディションを選択
-MediaPath <DVD Drive/ISO Mount Drive>:¥
DVD または ISO イメージをマウントしたドライブのルートフォルダーを指定
-TargetPath <image output path>
作成するイメージの出力先を指定
拡張子によって、イメージ形式とフォーマットを自動判別 (.vhd or .vhdx or .wim)
22. ServicingPackagePath
New-NanoServerImage の ServicingPackagePath オプションを使用することで、
更新プログラムのオフライン適用が可能
複数指定したい場合は、カンマ区切り(String の配列)で渡す
後述する NSIB と異なり、msu ファイルも指定可能
Dism にそのまま渡されているだけ(Dism はもともと msu を処理可能)
後述する NSIB と異なり、msu/cab が複数格納されたフォルダーも指定可能
Dism にそのまま渡されているだけ(Dism はもともとフォルダーを処理可能)
フォルダー内のファイルが全て適用される
23. Nano Server Image Builder (NSIB)
イメージ作成用の GUI ツール
ダウンロードセンターからダウンロード可能
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=54065
利用には Windows ADK が必要
事前にインストールしておく
Windows Server 2016 RTM 上で利用する場合、Version 1607 の Windows ADK を使用
Version 1703 (Windows 10 Ver.1703 (Creators Update) 向け) を使うとトラブルの元
裏側では NSIG を使用している
イメージ作成ステップで、NSIG のスクリプトを取得可能
26. NSIG と NSIB の違い
基本的には、できることは同じ
NSIG でしかできないこと
ServicingPackage で msu やフォルダーを指定
NSIB は、事前に msu を expand して cab を取り出しておく
NSIB でしかできないこと
タイムゾーンの設定(を指定するインタフェースがある)
NSIG では、SetupCompleteCommand を使用して明示的に仕込む
-SetupCompleteCommand ('tzutil.exe /s "Tokyo Standard Time"')
27. イメージ作成時の注意点
パーティションレイアウトは、イメージファイルの拡張子から自動判定・生成
.vhd … Gen 1 仮想マシンで利用可能な BIOS ブートできるパーティション構成
.vhdx … Gen 2 仮想マシンで利用可能な UEFI ブートできるパーティション構成
自動でドメイン参加させる場合は、イメージ作成ツールのオプションで指定
Nano Server はオンラインでのドメイン参加に対応していない
Unattend.xml を使用する場合も、資格情報を使用したオンラインでの参加ではなく、
オフラインドメイン参加用の設定が必要
静的 IP アドレスを構成する場合は、イメージ作成ツールのオプションで指定
又は、SetupComplete にアドレスを構成するコマンド・スクリプトを記述
28. イメージの展開
Nano Server だからと言って、それほど特殊な点はない
通常の Windows Server を展開するのと同様に、展開を実施
主な展開シナリオ
VHD(X) 形式のイメージを使用して、仮想マシンへ展開
VHD(X) 形式のイメージを使用して、物理サーバへ展開
WIM 形式のイメージを使用して、bootable USB からインストールを実行
WIM 形式のイメージを使用して、WDS から展開
31. WIM を使用した展開
仮想マシンか物理サーバかに関係なく、同一の手法で展開可能
何かしらの方法で展開環境をブートし、インストールイメージからインストール
カスタムイメージを使用した、通常の Windows Setup と概念は同じ
個別のブートデバイスをアタッチして起動する場合
NSIB から、展開用のブート可能な USB を作成可能
WDS から配信する場合
作成済みのイメージをインストールイメージとしてインポート
ブートイメージには(通常と同様に) WinPE を利用
33. メモリブート
Windows Server 2016 TP5 で利用
可能だったオンメモリでのブート
は、RTM/GA では利用不可
-RamdiskBoot オプションが存在
しない
-Internal RamdiskBoot で NSIG
としては構成が実行されるが、
RamdiskBoot 用のパッケージが
ないので実際にはブートできない
34. 展開後の構成
展開後は、通常の Windows Server と同様に役割・機能の構成を実施
リモートサーバー管理ツール(RSAT)や PowerShell を使用
一部の機能は、インストールされていても Enable になっていないので、dism または
PowerShell から有効化が必要
構成には DSC も利用可能だが、一部制約あり
Container を利用する場合は、docker のインストールが必要(後述)
35. iSCSI Initiator / MPIO
利用には Storage パッケージが必要
Storage パッケージをインストールしたうえで、明示的な Enable が必要
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName MultiPathIO
さらに、MPIO の構成スクリプト実行が必要
MSDSM のみ利用可能
負荷分散ポリシーは変更不可
詳細は以下のドキュメントを参照
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-server/get-started/mpio-on-nano-
server
36. Container ホストとしての構成
Container パッケージをインストールしただけでは、利用できない
docker のインストールが必要
docker インストールの前提条件として、KB3176936 (以降)の適用が必要
構成手順
Container パッケージインストール
最新の更新プログラムを適用
Install-Module -Name DockerMsftProvider -Repository PSGallery
Install-Package -Name docker -ProviderName DockerMsftProvider
再起動
37. ドメインへの参加
Nano Server は通常のドメイン参加に対応していない
オフラインドメイン参加を使用する必要がある
イメージ作成時にドメインに関するオプションを設定すると、裏側で自動的にオフラ
インドメイン参加のプロビジョニングと構成が実行される
ブート後に(後から)ドメイン参加したい場合は、手動で djoin する
djoin.exe /provision /domain <Domain> /machine <ComputerName> /savefile
<Filepath>
<Filepath> に出力されたファイルを Nano Server へコピー(PowerShell などを利用)
djoin /requestodj /loadfile<FilePath> /windowspath C:¥Windows /localos
42. オペレーションツール・方法
リモートサーバー管理ツール(Remote Server Administration Tools ; RAST)
PowerShell (PowerShell Remoting)
winrs (Windows Remote Shell)
Server Management Tool (on Azure)# 廃止予定
回復コンソール(Nano Server Recovery Console)
緊急管理サービス(Emergency Management Services)
43. PowerShell / DSC
PowerShell は Core Edition
.NET Core ベース
Desktop Edition のサブセットとなるため、実装されていない機能やモジュール、コ
マンドレットがある
[ADSI] や [WMI] などの型プロバイダーは利用できない
WMI 系コマンドは使用できない(CimInstance 系のコマンドを使用)
DSC (Desiered State Configuration) は利用可能
Push モデルのみ(Pull モデルは利用できない)
44. Server Management Tool
Azure 上で利用可能なサーバー管理ツール
Azure の VM だけでなく、オンプレミスのサーバーも管理可能
ゲートウェイサーバーに SMT のエージェントをインストール
イントラネット内のサーバーに対しては、ゲートウェイサーバから WinRM で管理
残念ながら 2017/06/30 で提供終了
今後は、Azure やインターネット接続の必要がない形でのサーバー管理ツールを目指す方針
46. Nano Server 回復コンソール
ネットワークインターフェースの設定
ファイアウォール ルールの有効化・無効化
WinRM の(再)初期化
Hyper-V VM および VMSwitch の確認
サーバー再起動・シャットダウン
48. 運用管理エージェント
SCVMM Agent
Nano Server 用のパッケージを(イメージ作成時などに)インストール
-Package Microsoft-NanoServer-SCVMM-Package
-Package Microsoft-NanoServer-SCVMM-Compute-Package
SCOM Agent
SCOM 管理コンソールからカスタムエージェントをデプロイ
エージェントパッケージのローカルインストールは未サポート
Microsoft Management Agent (OMS Log Analytics)
未サポート
49. 更新プログラムの適用
オンラインで更新プログラムの検索・適用を行う場合は、CIM を直接叩く
更新プログラムのスキャン
$ci = New-CimInstance -Namespace root/Microsoft/Windows/WindowsUpdate -ClassName
MSFT_WUOperationsSession
$result = $ci | Invoke-CimMethod -MethodName ScanForUpdates -Arguments
@{SearchCriteria="IsInstalled=0";OnlineScan=$true}
$result.Updates
更新プログラムのインストール
$ci = New-CimInstance -Namespace root/Microsoft/Windows/WindowsUpdate -ClassName
MSFT_WUOperationsSession
Invoke-CimMethod -InputObject $ci -MethodName ApplyApplicableUpdates
Restart-Computer
50. セキュリティ ポリシーの適用
グループポリシーの(直接の)適用は不可能
ファイルからポリシーを読み込むことは可能
レジストリファイル (Registry.pol)
Export-GPRegistryPolicy でエクスポート
Import-GPRegistryPolicy -Path <GpoPolFilePath> -LocalMachine で適用
セキュリティ設定ファイル (GptTmpl.inf)
Restore-SecurityPolicy -Path <GptTmpl.inf Path>
監査ポリシー (audit.csv)
Restore-AuditPolicy -Path <Audit.csv Path>
51. Nano Server の更新チャネル
Semi-annual channel (Windows Server)
旧来の CBB (Current Branch for Business) 相当
年に1~2回の更新
最新機能の利用が可能
最新バージョンへの追従が必要
Semi-annual Channel
(Windows Server)
Long-term Servicing Channel
(Windows Server 2016)
Nano Server Yes
Server Core Yes Yes
Server with Desktop Experience Yes
https://blogs.technet.microsoft.com/hybridcloud/2017/06/15/delivering-continuous-innovation-with-windows-server/
52. Nano Server とライセンス
Windows Server ライセンス(Core ベース)
ライセンス + ソフトウェア アシュアランス(SA)が必要
後述する更新チャネルの関係上、常に最新バージョンを利用できる(権利がある)必要がある
Datacenter Edition / Standard どちらも考え方は同じ
53. まとめ
Nano Server はフットプリントが小さい、展開が速い
Nano Server は特定用途向け
無理に利用するのではなく、適合する環境・シナリオで利用する
まだまだ発展途上なところもある
今後の情報に注目
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