More Related Content
Similar to (04)配置と異動の管理 (14)
(04)配置と異動の管理
- 1. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
Theme 4 配置と異動の管理(雇用管理②)
【構成】
1 配置と異動とは何か
2 初任配属と異動の管理
3 配置と異動の実際
4 配置と異動の国際比較
5 配置と異動の新しい仕組み
6 企業グループ内における配置と異動
1 配置と異動とは何か
従業員 仕 事
〔配置と異動〕
従業員と仕事を結びつけ、
仕事の遂行に必要な労働サービスの提供を
従業員に求めるための仕組み
※ 配置:割り当てられた地位や職場
異動:社内の地位や職場が一定期間でかわること
配置と異動は何のために実施するのか
a)従業員の適性や能力を評価し、それに見合った仕事につける
b)従業員の能力開発
最近の変化
会社主導型:キャリア(=配置と異動の連鎖)に関する人事権=企業サイド
↓
双方調整型:従業員の希望と企業にとっての必要を調整し、配置と異動を行う
変化の背景
a)従業員-従業員-キャリアの自己決定や自己管理を求める者が増加
-1-
- 2. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
b)企 業-キャリアの選択を従業員に任せた方が従業員の取り組み意欲が高まる
2 初任配属と異動の管理
2-1 初任配属
意味:外部労働市場から採用した労働者を最初の職場や仕事に配属すること
初任配属が決まる経緯
採用前
事業計画 → 採用計画 → 採用者数の決定 → 採用後の配属
↓ ↓
確定している 未確定が一般的
採用選考や内定時の配属は大括りの職能分野
ex)生産部門、事務営業部門、技術部門
採用後
〔採用面接での情報+新入社員研修での情報+本人の希望〕→ 人事部 → 配属
2つの方法
① 現場に配属後、職能分野に配属
新規学卒者全員 → 営業所 or 工場へ一定期間配属(1 年~2 年)→ 配属予定の職場
② 最初から職能分野に配属
新規学卒者各々 → 配属予定の職場
2-2 異動のパターン
異動のパターン ①②+a)b)の組み合わせ
① 現在の配属先と同じ職能分野のなかで職場を変わる
② 他の職能分野の職場に変わる
a)異なる事業所間の異動 ― 地理的移動をともなうもの=「転勤」
b)職場内の配置の異動 ―「ローテーション」
2-3 初任配属の重要性
初任配属の権限=本社の人事セクション
↓
その後の異動
a)職能内の異動:基本方針は人事セクション / 実質的権限は職能分野の責任者
b)職場内の異動(ローテーション):権限=職場の管理職
↓
異動の範囲=職能内または特定の職場内に固定される傾向
職能間の異動はそれほど多くはない
↓
初任配属の職能分野=その後のキャリアの展開範囲を決める傾向(強)
-2-
- 3. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
↓
初任配属が重要
3 配置と異動の実際
広くないキャリアの幅
疑問 通説「日本企業ではキャリアの幅が広いゼネラリストが多い」は本当か?
検証 キャリア=企業内の異動で従業員が経験してきた仕事の連鎖
↳ その特徴を知るには?
仕事の種類と仕事の範囲を明らかにすればよい
結論
①年齢や勤続年数に関わりなく、
現在の勤務先でのキャリアが特定の職能分野に収まる者が多い
② 最も長く経験している職能分野のなかの仕事の幅も狭い者が多い
↓
通説は正しくない
従業員のキャリア形成からすると、
職業能力はゼネラリストではなくスペシャリスト
4 配置と異動の国際比較
日本・アメリカ・ドイツのホワイトカラーのキャリア形成を国際比較
表 5.2 から言えること
勤続期間に占める最長職能分野
⒜単一職能型 76%以上=特定の職能分野の経験が相当長い
⒝準単一職能型 51~75%=他の職能分野の経験もあるが特定の職能分野の経験が比較的長い
⒞複数職能型 50%以下=複数の職能分野を経験し、経験の長い特定の職能分野がない
日 本 ⒜⒝⒞にほぼ3等分
アメリカ ⒜が多く 残りは⒝⒞に二分
ドイツ ⒜が多く 残りは⒝⒞に二分
↓
何が言えるのか
① どの国もゼネラリストは少ない
② そのなかで日本は相対的にキャリアの幅が広い → 通説へ
-3-
- 4. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
5 配置と異動の新しい仕組み
5-1 自己申告制度
自己申告制度
従業員が仕事やキャリアなどに関する希望を会社に申し出る仕組み
導入の目的
① 従業員の意欲を向上させる
② 従業員が自らの仕事やキャリアへの希望を明確にすることで、
将来の能力開発目標を強く自覚する
③ コミュニケーションの円滑化
面談を通じて、上司と部下のコミュニケーションの円滑化をはかる
上司は仕事やキャリアについての部下の希望をより適切に把握する
運用上の問題点
ⅰ)自己申告書に本音が書きにくい
上司との面談が行われる → 部下の遠慮 → 申告書に本音が反映されない
ⅱ)従業員のモラールが下がる
同じ希望を何度か申告 → 配置・異動に反映されない → やる気喪失
ⅲ)人材発掘機能が限定される
自己申告時の希望=その時点での事業分野 → 新規事業分野に対応しない
5-2 社内公募制度
社内公募制度
担当する業務内容をあらかじめ明示し、
-4-
- 5. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
その業務に従事したい人材を社内から広く募集する制度
導入の目的
① 人材発掘手段として活用する ※異業種への進出
② 人材の活性化策として活用する ※志願者は仕事への意欲が高い
③ 組織の活性化策として活用する ※管理者の人材囲い込みを排除する
④ 能力開発の活性化策として活用する ※疑似労働市場で仕事能力への関心を高める
運用上の留意点
① 自由に応募できる ※直接応募制、応募の事実は明らかにしない
② 管理職の理解を求める ※上司の意識改革
③ 選考に漏れた従業員のフォロー ※定期異動で、モラールの低下を回避する
6 企業グループ内における配置と異動
キャリアの範囲=資本関係・取引関係のある他企業にも広がる=擬似労働市場の形成
↓ グループ内での継続雇用
企業間の異動・配置の仕組み
① 出向
出向もとの企業との雇用関係を残したまま出向先と雇用関係を結び、
出向先の企業に対して労働サービスを提供するもの
※一時出向と一定期間経過後に転籍する出向とがある
② 転籍
転籍もとの企業との雇用関係を終了させ、転籍先と新たに雇用関係を結ぶもの
※転籍=転籍元と転籍先の企業の両者が関与する
転職=従業員の自主的な選択
-5-
- 6. 人的資源管理論 Teme4 配置と異動の管理(雇用管理②)
-6-