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技術が実現する
イノベーションと
データセンターの将来
さくらインターネット研究所の中長期ビジョン
2018/8/2 さくらインターネット株式会社 さくらインターネット研究所 鷲北 賢
(C) Copyright 1996-2018 SAKURA Internet Inc
自己紹介
• 鷲北 賢(わしきた けん)
• 1998年4月入社
• バックボーンのお守りからサービス開発まで
─ 初期の専用サーバ、データセンター構築
─ オンラインゲームプロジェクト
─ CTO兼取締役、などなど
• 2009年より、さくらインターネット研究所 所長
─ 仮想化技術の研究(Linux KVM)
─ さくらのVPS開発ヘルプ
• 2011年~2017年、さくらのクラウドPD兼務
• @ken_washikita
• https://facebook.com/ken_washikita
2
さくらには研究所があるんです
• 企業R&DのRを担当する部門
─ インターネット技術に関する研究を行う
─ 成果の発信と利用を通じて、社会と会社の発展に寄与する
• モットー
─ 面白いと思うテーマにどしどし取り組んでいく
• 過去に取り組んだテーマ
─ IDCにおけるIPv6実装
─ 仮想化技術の研究(サーバ/ストレージ/ネットワーク)
─ IoTの研究
─ 災害対策とICT/パノラマ写真
─ 発電技術の研究(燃料電池/地熱発電/風力発電)
3
これまでの成果物など
4
研究所ブログ https://research.sakura.ad.jp
現在の研究所のフォーカス
5
さくら
現業ビジネス
インフラ領域
新ビジネス領域新技術領域
量子
コンピューティング
サーバネットワーク
データ流通
分散システム
(エッジ・フォグ)
衛星データ
(位置データ活用PF)
クラウド・VPS
IoT
モビリティ・
ロボティクス
機械学習
ストレージ
セキュリティ
ブロックチェーン
データセンター
ファシリティ
音声インタフェース
スマートシティ
・スマートビル
さくらインターネット研究所 中長期ビジョン
66
ビジネス適用検討期新
ビ
ジ
ネ
ス
領
域
新
技
術
領
域
技術的黎明期
中規模
データセンター
(政令指定都市)
情報システムはスマホから飛び出し、現場(環境)に溶けこんでいく
集中・分散の
ハイブリッド
可搬型・ビル型・
小型データセンター
(300拠点?)
センターレス
分散システム
クラウドと同じパワー・使い勝手を低遅延で
現場のデータ処理を吸い上げる
=現場での脱PC・脱スマホ
現場にたくさんあるものを賢くする
常にコンピュータのアシストがある
(ビッグブラザーの時代)
イ
ン
フ
ラ
領
域
ビジネス化(開発)期
機械学習・AI
分散システム(エッジ・フォグ)
量子コンピューティング
ブロックチェーン
音声インタフェース
LPWA
ARMクラスタ
5G
サーバ/ストレー
ジ・ネットのPod化
クラウド・Arukas
のコンポーネント化
スマートシティ・スマートビル
(データ公開・API開放)
データ流通
衛星データ
(位置データ活用PF)
モビリティ・ロボティクス
クラウド時代のインフラストラクチャ
• 大規模データセンターへのリソースの過度な集中
─ クラウドとは、コンピューティングをデータセンターに集
中させることによる効率化である
─ 端末はさまざまな形態を取りうるが、それほど「スマー
ト」ではない
─ 処理をセンターに押し付けることで高度なタスクを実行し
ている
• 効率化によって大きな成果は上がったが、欠点もある
• 深刻な帯域不足と大きなレイテンシが発生している
─ センサーの高度化・多数化により帯域が不足
─ 全世界規模のメガ・クラウドの出現によりレイテンシが深
刻な問題化
─ リアルタイムな課題・問題には不向き
7
具体例:スマートスピーカー
• 話しかけるだけで利用できる「賢い」機器
• 実態はデータセンターにある「本体」と通信するだけ
の端末に過ぎない
• 考えているのは「本体」で、端末
はそれほど賢くない
• それでも一見、スピーカーが考え
ているように見える
8
エッジ/フォグ・コンピューティング
• 端末側にコンピューティングを降ろす
─ 処理をセンターに任せない(任せられない)
─ 自立的に処理し、結果だけをセンターに返す(共有)
• 短・中距離無線通信でノード間を繋ぐ
─ 移動体/自律体
─ 単体だけでなくグループで動作することもありうる
• 局所(ローカル)でノードをまとめるセンターが必要
─ 一定の効率化(有線ノードの方が有利)
─ 一定の性能確保(固定ノードの方が高性能)
9
具体例:自動運転自動車
• 自律性
─ その場で即時の判断が必要
─ センターに判断を仰いでいては間に合わない
• 移動体通信
─ 中・高速移動
─ 大容量通信が必要
➢ 現在は小さくとも将来どんどん大きくなる
─ ノード間通信も活用できる
➢ 自動車同士が情報交換し、運転の助けとする
➢ 渋滞回避/事故情報の共有/などなど
• 大規模センターへの集約ではなく…
─ 多数の中・小規模センターを作り、分散共有する
─ 近距離センターと通信することでレイテンシを抑える
10
研究所的結論
• 大規模データセンターは時代遅れになる
─ コンテナよりも小さな規模の、可搬型ノードや数ラックの
センターが多数(300程度)必要になる
─ これらを中心にエッジノード/フォグノード群を形成
─ IoT過渡期/普及期を経て、スマートビル/スマートシティ
が具現化していく
• 極小センターを取りまとめる中規模センター
─ 全国各政令指定都市(現在20)に設置
─ クラウド並みのコンピューティングパワーを低レイテンシ
で提供
• センターレス/分散システム
─ 現場にある大量のモノを賢くする
• 集中・分散のハイブリッド
─ 常にコンピュータのアシストがある
11
さくらインターネット研究所 中長期ビジョン
1212
ビジネス適用検討期新
ビ
ジ
ネ
ス
領
域
新
技
術
領
域
技術的黎明期
中規模
データセンター
(政令指定都市)
情報システムはスマホから飛び出し、現場(環境)に溶けこんでいく
集中・分散の
ハイブリッド
可搬型・ビル型・
小型データセンター
(300拠点?)
センターレス
分散システム
クラウドと同じパワー・使い勝手を低遅延で
現場のデータ処理を吸い上げる
=現場での脱PC・脱スマホ
現場にたくさんあるものを賢くする
常にコンピュータのアシストがある
(ビッグブラザーの時代)
イ
ン
フ
ラ
領
域
ビジネス化(開発)期
機械学習・AI
分散システム(エッジ・フォグ)
量子コンピューティング
ブロックチェーン
音声インタフェース
LPWA
ARMクラスタ
5G
サーバ/ストレー
ジ・ネットのPod化
クラウド・Arukas
のコンポーネント化
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モビリティ・ロボティクス
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