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60分でわかる感染症診療の基本 改訂第3版
- 8. Tierney LM Jr et al: Current Medical Diagnosis and Treatment, 39th ed. McGraw-Hill, 2000より改変
重要な発熱原因の例
感染症 ウイルス,細菌,リケッチア,真菌,寄生虫
自己免疫疾患 SLE,血管炎,リウマチ熱,リウマチ性多発筋痛症,成人発症Still病
中枢神経症 脳出血,外傷,脳腫瘍
悪性腫瘍・
血液疾患
腫瘍,リンパ腫,白血病,溶血性貧血
心臓血管系 心筋梗塞,肺塞栓,血栓性静脈炎
消化器系 炎症性腸疾患,肝膿瘍,肉芽腫性肝炎
内分泌系 甲状腺機能亢進症,褐色細胞腫
化学物質 薬剤反応,悪性症候群,悪性高熱
その他 サルコイドーシス,組織損傷,血腫,詐病
膠原病・腫瘍のほかに血栓症でも発熱することに注意。
- 9. 岸本暢将,岡田正人,徳田安春 (2014). 研修医になったら必ず読んでください 羊土社 より改変
抗菌薬の原則不要な感染症
小児の急性滲出性中耳炎
急性咽頭炎(A群連鎖球菌以外で膿瘍なし)
気管支炎(基礎疾患なし)
急性副鼻腔炎(発症1週間〜10日以内で軽症)
急性腸炎(非旅行者で軽症〜中等症) ※抗菌薬投与で逆に増悪することあり
無症候性細菌尿(妊婦,泌尿器科手術前患者以外)
抗菌薬が不要な感染症を覚えておくことも重要です。
- 42. おまけ:どうしてABPCじゃダメなの?
ABPC: アンピシリン PCG: ペニシリンG PBP: ペニシリン結合タンパク
PRSP: penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae
本当は、感受性があればABPCやPCGを使う
しかし、MSSAでもペニシリナーゼ産生のため
ペニシリン系がきかなかったり
肺炎球菌でも低親和性PBPの産生のため
ペニシリンが効かなかったりする(PRSP)
→感受性がわかるまではCEZが無難
- 44. Clostridium spp.
(クロストリジウム属: C. difficile, C. tetani, C. botulinum, C. perfringens) :
毒素による多彩な症状(偽膜性腸炎や破傷風、ボツリヌス中毒など)
Corynebacterium diphtheriae(ジフテリア菌):
毒素による多彩な症状
Bacillus cereus(セレウス菌):
毒素による食中毒や、血流感染(薬物中毒や院内感染など)
Bacillus anthracis(炭疽菌):
毒素によるバイオテロの危険
Listeria monocytogenes(リステリア菌):
免疫不全者の敗血症、髄膜炎
おまけ:グラム陽性桿菌について
毒素産生菌や免疫不全者に悪さをする菌ですね。
- 60. おまけ:他のSPACE等の治療
参考:藤本卓司(2013). 感染症レジデントマニュアル 第2版 医学書院
Serratia marcescens: CFPM. CTRXは疑問符
Acinetobacter baumannii: ABPC/SBT. SBTが単独で有効
Citrobacter freundii: CFPM, MEPM, PIPC/TAZ
Enterobacter spp. : MEPM.
Stenotrophomonas maltophilia: カルバペネム系に自然耐性,
ST合剤やニューキノロンなどを使用
- 85. ここまで大雑把なまとめ
ブ 大
嫌 非
MRSA 緑膿菌
CD 結核菌
第1世代セフェム
βラクタマーゼ阻害薬
配合ペニシリン
第3世代セフェム
マクロライド
抗MRSA薬 抗緑膿菌ペニシリン
メトロニダゾール 抗結核薬
原
則
例
外
- 88. 抗菌薬を知る
ペニシリン系
ペニシリンG(PCG ペニシリンG)
アンピシリン(ABPC ビクシリン)
アモキシシリン(AMPC サワシリン)
ピペラシリン(PIPC ペントシリン)
βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬
アンピシリン・スルバクタム(SBT/ABPC ユナシン)
クラブラン酸・アモキシシリン(CVA/AMPC オーグメンチン)
ピペラシリン・タゾバクタム(TAZ/PIPC ゾシン)
セフェム系
第1世代
セファゾリン(CEZ セファメジン)
セファレキシン(CEX ケフレックス)
セファクロル(CCL ケフラール)
第2世代
セフォチアム(CTM パンスポリン)
セフメタゾール(CMZ セフメタゾン)
フロモキセフ(FMOX フルマリン)
第3世代
セフジニル(CFDN セフゾン)
セフジトレン・ピボキシル(CDTR-PI メイアクト)
セフテラム・ピボキシル(CFTM-PI トミロン)
セフポドキシム・プロキセチル(CPDX-PR バナン)
セフカペン・ピボキシル(CFPN-PI フロモックス)
セフォタキシム(CTX セフォタックス)
セフトリアキソン(CTRX ロセフィン)
セフォペラゾン(CPZ セフォペラジン)
セフタジジム(CAZ モダシン)
ラタモキセフ(LMOX シオマリン)
第4世代
セフォゾプラン(CZOP ファーストシン)
セフェピム(CFPM マキシピーム)
βラクタマーゼ阻害剤配合セフェム系
セフォペラゾン・スルバクタム(SBT/CPZ スルペラゾン)
カルバペネム系
メロペネム(MEPM メロペン)
ドリペネム(DRPM フィニバックス)
アミノグリコシド系
ゲンタマイシン(GM ゲンタシン)
トブラマイシン(TOB トブラシン)
アミカシン(AMK アミカシン)
アルベカシン(ABK ハベカシン)
イセパマイシン(ISP イセパシン)
リンコマイシン系
クリンダマイシン(CLDM ダラシン)
ホスホマイシン系
ホスホマイシン(FOM ホスミシン)
テトラサイクリン系
ミノサイクリン(MINO ミノマイシン)
クロラムフェニコール系
クロラムフェニコール(CP クロマイ)
マクロライド系
14員環マクロライド
クラリスロマイシン(CAM クラリス)
含窒素15員環マクロライド
アジスロマイシン(AZM ジスロマック)
グリコペプチド系
バンコマイシン(VCM バンコマイシン)
テイコプラニン(TEIC タゴシッド)
ニューキノロン系
第3世代キノロン
シプロフロキサシン(CPFX シプロキサン)
レボフロキサシン(LVFX クラビット)
第4世代キノロン
モキシフロキサシン(MFLX アベロックス)
ガレノキサシン(GRNX ジェニナック)
シタフロキサシン(STFX グレースビット)
サルファ剤・葉酸代謝阻害剤
ST合剤(TMP/SMX バクタ)
オキサゾリジノン系
リネゾリド(LZD ザイボックス)
- 89. 抗菌薬を知る=βラクタム系を知る
ペニシリン系
ペニシリンG(PCG ペニシリンG)
アンピシリン(ABPC ビクシリン)
アモキシシリン(AMPC サワシリン)
ピペラシリン(PIPC ペントシリン)
βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬
アンピシリン・スルバクタム(SBT/ABPC ユナシン)
クラブラン酸・アモキシシリン(CVA/AMPC オーグメンチン)
ピペラシリン・タゾバクタム(TAZ/PIPC ゾシン)
セフェム系
第1世代
セファゾリン(CEZ セファメジン)
セファレキシン(CEX ケフレックス)
セファクロル(CCL ケフラール)
第2世代
セフォチアム(CTM パンスポリン)
セフメタゾール(CMZ セフメタゾン)
フロモキセフ(FMOX フルマリン)
第3世代
セフジニル(CFDN セフゾン)
セフジトレン・ピボキシル(CDTR-PI メイアクト)
セフテラム・ピボキシル(CFTM-PI トミロン)
セフポドキシム・プロキセチル(CPDX-PR バナン)
セフカペン・ピボキシル(CFPN-PI フロモックス)
セフォタキシム(CTX セフォタックス)
セフトリアキソン(CTRX ロセフィン)
セフォペラゾン(CPZ セフォペラジン)
セフタジジム(CAZ モダシン)
ラタモキセフ(LMOX シオマリン)
第4世代
セフォゾプラン(CZOP ファーストシン)
セフェピム(CFPM マキシピーム)
βラクタマーゼ阻害剤配合セフェム系
セフォペラゾン・スルバクタム(SBT/CPZ スルペラゾン)
カルバペネム系
メロペネム(MEPM メロペン)
ドリペネム(DRPM フィニバックス)
アミノグリコシド系
ゲンタマイシン(GM ゲンタシン)
トブラマイシン(TOB トブラシン)
アミカシン(AMK アミカシン)
アルベカシン(ABK ハベカシン)
イセパマイシン(ISP イセパシン)
リンコマイシン系
クリンダマイシン(CLDM ダラシン)
ホスホマイシン系
ホスホマイシン(FOM ホスミシン)
テトラサイクリン系
ミノサイクリン(MINO ミノマイシン)
クロラムフェニコール系
クロラムフェニコール(CP クロマイ)
マクロライド系
14員環マクロライド
クラリスロマイシン(CAM クラリス)
含窒素15員環マクロライド
アジスロマイシン(AZM ジスロマック)
グリコペプチド系
バンコマイシン(VCM バンコマイシン)
テイコプラニン(TEIC タゴシッド)
ニューキノロン系
第3世代キノロン
シプロフロキサシン(CPFX シプロキサン)
レボフロキサシン(LVFX クラビット)
第4世代キノロン
モキシフロキサシン(MFLX アベロックス)
ガレノキサシン(GRNX ジェニナック)
シタフロキサシン(STFX グレースビット)
サルファ剤・葉酸代謝阻害剤
ST合剤(TMP/SMX バクタ)
オキサゾリジノン系
リネゾリド(LZD ザイボックス)
大半が
βラクタム系
- 109. 岡秀昭和(2015) 感染症プラチナマニュアル
矢野晴美(2010) 絶対わかる抗菌薬はじめの一歩 などから改変
初期治療としてカルバペネムが妥当な感染症
発熱性好中球減少症
壊死性筋膜炎
重症敗血症など、原因菌が不明で=ESBLs産生菌かもしれず、
外れると患者を失う場合
重度の糖尿病やAIDSなどの免疫不全があり、
原因として緑膿菌が想定される場合
重篤な医療関連感染症
重症腹腔内感染症でグラム陽性菌、緑膿菌を含むグラム陰性菌、嫌気性菌
の混合感染が想定される場合
カルバペネムは「よほどの事態でないと」使わないと思ってください!
- 128. まとめ2
ブ 大
嫌 非
MRSA 緑膿菌
CD 結核菌
第1世代セフェム
セファゾリン(CEZ)など
βラクタマーゼ阻害薬
配合ペニシリン
アンピシリン・スルバクタム
(SBT/ABPC)など
第3世代セフェム
セフトリアキソン(CTRX)など
マクロライド
アジスロマイシン
(AZM)など
抗MRSA薬
抗緑膿菌ペニシリン
ピペラシリン・タゾバ
クタム(TAZ/PIPC)など
メトロニダゾール
(MNZ)など
抗結核薬
原
則
例
外
- 130. 参考資料
特に下の二つは無料なのに非常に参考になります!
矢野晴美(2010). 絶対わかる抗菌薬はじめの一歩 羊土社
矢野晴美(2011). 感染症まるごとこの一冊 南山堂
岩田健太郎, 宮入烈(2012). 抗菌薬の考え方、使い方 ver.3 中外医学社
藤本卓司(2013). 感染症レジデントマニュアル 第2版 医学書院
青木眞(2015). レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版 医学書院
岡秀昭(2015). 感染症プラチナマニュアル MDSI
佐野邦明(2015). 抗菌薬と細菌について ver2.01
http://www.slideshare.net/kuniakisano9/ss-23099611
森重湧太(2014). 見やすいプレゼン資料の作り方 リニューアル増量版
http://www.slideshare.net/yutamorishige50/ss-41321443