SlideShare a Scribd company logo
1 of 79
国際金融決済システム SWIFT とは

                                                             目次

1.SWIFT の概要..................................................................................................................... 2
   1-1.SWIFT とは(業務、組織、経営、関連会社 等) ................................................. 2
   1-2.SWIFT の歴史(過去の取組みや最近の取組み)................................................... 14
2.サービスの概要 ............................................................................................................... 18
   2-1.現在のサービスラインナップ(仕組み、料金体系) ........................................... 18
   2-2.システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP                                                          等)................................. 37
   2-3.SWIFT のビジネスモデル ....................................................................................... 51
3.現時点での実績 ............................................................................................................... 55
   3-1.海外での実績 ......................................................................................................... 55
   3-2.日本国内での実績 .................................................................................................. 66
4.今後の戦略 ...................................................................................................................... 72
   4-1.グローバルでの戦略............................................................................................... 72
   4-2.アジア向け戦略...................................................................................................... 76
   4-3.日本向け戦略 ......................................................................................................... 77




                                                                1
1.SWIFT の概要


1-1.SWIFT とは(業務、組織、経営、関連会社 等)

◎SWIFT の概要

    SWIFT ( Society Society WORLDWIDE INTERBANK FINANCIAL
    TELECOMMUNICATION)とは、73年に設立の、国際取引を行う世界中の主要
    銀行が設立したワールドワイドな通信ネットワークである。安全で標準化され
    た通信サービス、およびインターフェースソフトウエアを、206カ国・地域、約
    8,000の金融機関に提供している。組織形態としては、非営利の「協同組合
    (COOPERETION)」であり、ベルギーに本部を置いている。

    提供サービスとしては、外国為替、貿易、送金などの資金決済や証券取引に
    必要な主要メッセージをインフラとして提供している。国際金融市場の基幹イ
    ンフラではあるが、厳密な意味では、金融機関でも支払システムでもなく、金
    融取引のメッセージのキャリアにしかすぎない。しかしながら、決済業務にお
    いて非常に重要な役割を果たしており、各国の中央銀行や、他の銀行業界・
    証券業界などのインフラと連携しながら、現金・手形などの現物の処理や銀
    行・証券取引などにおける決済システムなどを支えている。

    SWIFTのメンバーは、銀行、ブローカーディーラー、投資会社などを含んでおり、
    最近では、決済の市場インフラを提供する企業、証券会社、財務関連、商社
    などにも対象を拡大している。さらに地域的にも、発祥の地である欧州から、
    アジア・オセアニア、アメリカ、アフリカへと広がりを見せている。


    日本国内では、2005年10月現在で約270の金融機関などのユーザ企業が参
    画しており(500以上のSWIFTコード(BICコードともいい、組織ごとに割り当てら
    れる。)があり、資金決済や証券取引の主要メッセージインフラを提供している。
    日本からの発信メッセージシェアは約3%、国別順位では9位となっている。

    利用者、利用数の拡大に伴って、SWIFTにおけるメッセージ交換の価格は、過
    去10年で80%以上、ここ5年で50%引き下げられており、システムは99.999%の信
    頼性(1年を通じてダウンタイムがトータルでせいぜい1、2分程度)を実現して
    いる。


                           2
◎SWIFT の特徴

    SWIFT は、金融業界にメッセージ・サービスを世界的に提供する共同組合で
    あり、ユーザ自身が出資者でもある。本部はベルギーであり、欧州での活用
    が活発であるが、出資者は世界に分散している。

    SWIFT は営利団体ではない。そのため、オペレーション・センター、ネットワー
    クなどの開発費、メンテナンスなどのコストを差し引いた上で、剰余金が生じれ
    ば料金の引き下げ、リベートなどによってユーザに還元することとしている。

    高度に安全な金融情報メッセージ・サービスを安価に提供することを主眼とし
    ており、近年では、世界の金融業界の標準化の推進母体という位置づけも強
    まっている。


◎銀行間の決済の仕組み

    国際間で資金決済を行う場合には、一箇所で集中決済を行う制度はないため、
    海外との資金決済を行う場合には、金融機関同士で個別に資金決済を行う必
    要がある。通常は、コルレス契約を締結したコルレス銀行を用いることとなる。

    銀行間での決済(日米間での外国為替の事例)における SWIFT の役割(事
    例)




  ■ 日本の銀行と外国銀行間で、外国為替の決済についての事例を取り上げる。




                     3
①日本において外為決済システムを用い A 銀行から B 銀行へ円を受け渡す。
   ②B 銀行はコルレス契約先行の自行口座から A 銀行のコルレス契約先へと口
    座振込を依頼(この際かつてテレックスが使われていた)。
   ③米国において CHIPS(米国の大口決済サービス)を用い B 銀行から A 銀行
    へドルを受け渡す。
   ④A 銀行のコルレス契約先行から A 銀行へと入金を通知する。

   そもそも、SWIFT 設立の当初の目的は、従来、国際取引において、コルレス銀
   行とのデータ送信、および入金通知はテレックス、ファックス、郵便などによっ
   て行われていたが、非効率、不確実であったため、コンピュータ化することで、
   自動処理を実現することであった。そのため、従来ばらばらであった通信フォ
   ーマットを統一することが必要となったが、そのため共通化を進めることが
   SWIFT の活動の歴史となった。


◎ビジョンとミッション

○ビジョン

   国際的な金融市場において、リスクを最大限に押さえ、最高の耐障害性を提
   供する、フォーマット化された通信メッセージのインフラとなる。

   上記を達成するために、「ネットワーク時代の有力なネットワークサービスの 1
   つ」と呼ばれてきたことを活用し、メンバー企業の世界的なコミュニティのため
   に、このネットワークサービスにおける、非常に大きな潜在力を開拓する。


○ミッション

   SWIFT は、世界的な金融機関のコミュニティであり、メンバー企業、マーケット
   のインフラ、エンドユーザ・コミュニティの間で、相互連携を可能とするコミュニ
   ケーションソリューションのリーダーとなることを目的としている。

   上記のため SWIFT は、以下のことを実行する。
        □ メンバーと協力し、低コスト、競争力のある金融プロセッシング、及び最
          高のセキュリティと信頼性を有する通信サービスを提供する。
        □ メッセージ処理と金融の標準化において、リーダーとして得られた専門
          知識に基づいて、エンドツーエンドの金融取引プロセスの自動化を推


                      4
進し、メンバーのビジネスの発展に大きく貢献する。
     □ 世界の金融機関のための国際的なオープンフォーラムとしての地位を
       活用し、業界レベルの脅威、種々の問題と事業機会を議論する場とな
       る。
     □ 最高の人材を雇い入れ、最も有益なリソースに投資を行い、その専門
        性、実効性、ビジョン、マネジメントによって尊重されるような、世界をリ
        ードする組織になる。

   設立当初は、決済情報交換のインフラとしてスタートしたのであるが、次第に、
   金融に関わる情報交換における、世界の標準化をリードする組織を目指すよ
   うになってきた。


◎参加資格

   参加者は以下の 3 つのカテゴリーに分かれる(国によって若干異なる)。全部
   で 8,000 以上の会員数である。


①メンバー
   出資者でもある。1999 年までは、加盟国の銀行のみであった。最近は、証券
   会社および投資顧問会社もメンバーとして参加するケーが増えている。証券
   系のメッセー ジが大 きく伸びており、今後の 決済システムインフ ラとして
   GSTPA (GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION、グ
   ローバルな証券のマッチング等を実施する機関)等の運用開始をターゲットに、
   インフラを提供しようとしている。加盟時には、株の引受以外に 1 万ユーロの
   加盟金を支払う。現在 2,300 の会員がメンバー登録している。


②サブ・メンバー
   メンバーの在外支店やメンバー出資行の子会社(出資比率 50%以上)等が相
   当する。加盟金は 5,000 ユーロである。


③パティシパント
   メンバーおよびサブ・メンバー以外の接続先である。証券会社、投資顧問会社、
   マネーブローカー、CSD、一般事業会社等が相当する。最近は、一部の出資
   の少ないメンバー銀行が、SWIFT サービスのアウトソーサーであるサービス・
   ビューロが増えるに従い、出資金の返却を受け、メンバーからパティシパント
   に移行する動きがある。日本では証券会社など、銀行以外の会員が増えてい


                          5
ることから、パティシパントが増加している。加盟金は 2,000 ユーロ。


◎SWIFT の参加者

○SWIFT の参加者の広がり(参加業界・団体と参加年)




    SWIFT は、1973 年の設立当初、銀行をメンバーとして、銀行間の資金決済の
    インフラとしてスタートした。しかし、87 年以降、大きく戦略を変更し拡大路線を
    採用した。資金決済システム、保管・決済サービス、ブローカーディーラー、証
    券取引所など、銀行関連サービスへ対象を拡大した。更に、87 年から証券取
    引に関する通信サービスの提供も始めたが、証券取引に関するメッセージは
    年々増加し、成長率は資金決済に関するメッセージの 2 倍になっている。90
    年には受託サービス、さらには 98 年以降、インターネットの拡大とともに、資
    金決済システムのインフラ、証券決済システム、行政機関、保険会社、事業法
    人などと立て続けに対象を拡大してきた。

    世界に広がるインフラ事業であることから、先行的に設備投資を必要とする。
    利用者の拡大が価格の低下につながるため、近年、オープン化への対応にと
    もなって、積極的に対象を増やすことに注力するようになってきた。




                      6
◎SWIFT のオフィス

    現在、全世界に 17 箇所のオフィスを持つ。世界の全職員は 1,800 名である。
    欧州が発祥の地であり、もっとも多くのオフィスを持つ。近年では、欧州通貨統
    合への対応と同時に、アジア地域への拡大を進めるため、北京事務所を開設
    するなど、BRICs への対応を重視し始めている。

    業務量の多い国・地域にオフィスを設置しており、その国・地域では SWIFT が
    直接営業を行っている。但し、それ以外のところでは、パートナーが代行して
    行う。たとえば、韓国、ミャンマー、ベトナムなどはオフィスがないが香港オフィ
    スがカバーしている。


    南北アメリカ地区:
      □ サンパウロ(ブラジル)、ニューヨーク(アメリカ合衆国)

    アジア太平洋地区:
      □ シドニー(オーストラリア)、香港(香港)、東京(日本)、北京(中華人民
        共和国)、シンガポール(シンガポール)

    欧州アフリカ中近東地区:
     □ ラ・ユルプ(ブリュッセル郊外;本部& ベルギー)、パリ(フランス)、フラ
        ンクフルト(ドイツ)、ミラノ(イタリア)、ホートン (南アフリカ)、マドリード
        (スペイン)、ストックホルム(スウェーデン)、チューリッヒ(スイス)、デュ
        バイ(アラブ首長国連合)、ロンドン(イギリス)


◎経営及びガバナンス




                       7
SWIFT の経営及びガバナンスは、通常の株式会社とは若干異なる。株式会社
では、最初に出資した出資金に相当する株数株数に比例した投票権を有する
が、SWIFT では、年間に支払ったフィーを比例した株数にあわせて、投票のポ
イントが決まる。

新メンバーは、加盟時点で加盟金を払い、1 株が与えられる。基本的には、メ
ンバーは最低 1 株を所有する。株数は少なくとも 3 年ごとに、見直しされる。
サブ・メンバーの貢献も合わせた、それぞれのメンバーの金銭的な貢献度合
いに比例して、株数を割り当てられ、年次総会の 30 日前までに通知がなされ
る。つまり、トラフィック量および利用度合いに応じて、発言力が増すシステム
になっている。

ガバナンス・経営の階層は以下である。
  □ SWIFT の組織としての意思決定は、メンバーによる年次総会である。
 □ 実質的な意思決定機関は、BOAD (理事会)が行う。
 □ BOADMEMBER は、計 25 名である。出資の順に、上位 6 カ国から 2
   名ずつ、7 位から 16 位まで 1 名ずつ、17 位以下は共同推薦により 3
   名が選ばれる。2005 年時点での日本は 9 位であるため、1 名が三菱
   東京 UFJ 銀行から派遣されている。
 □ その他、BOADCOMMITTEE、国別グループ、ユーザ・グループ、アドバ
   イザリーグループなどが階層別に構成されている。
 □ G10(主要 10 か国蔵相・中央銀行総裁会議)諸国の中央銀行および
   ベルギー国立銀行(リーダー)による、国際協調オーバーサイト(監督)
   がなされている。SWIFT は特定の国際機関に属さない、独自の共同組
   合ではあるが、運営に支障が生じた場合には、全世界的に多大な影
   響が及ぶことが予想される。そのため、SWIFT が、金融安定化や金融
   インフラの健全性に対して、さまざまなリスク管理を行うための、適切な
   内部統制やリスク管理体制を備えていることを確保するため、国際協
   調オーバーサイトがなされている。

日本のメンバー&ユーザ・グループは、東京銀行協会が事務局機能を代行し
ている。SWIFT のサービスに関する会員の意見集約・意見具申、各種講習会
やセミナーを定期的に行っている。

日本銀行は、SWIFT の国際協調オーバーサイトにも G10 の主要メンバーとし


                  8
て参加している。


◎パートナー

   SWIFT は国際金融ネットワークの立場から、各地域へのサービスを展開する
   ために、さまざまな企業とパートナーシップを結んでいる。アプリケーションベ
   ンダー、コンサルタント、インターフェースプロバイダー、インストールエキスパ
   ート、セールスエージェント、リセーラー、ネットワークプロバイダなどの種々の
   パートナーと連携し、ビジネスを推進している。パートナーは、大きく分けて、営
   業及びプロモーションなどを行う「ビジネス・パートナー」、メンテナンス等カスタ
   マーケアを行う「サービス・パートナー」、システム開発・構築等を担当する「ソ
   リューション・パートナー」、回線接続等を担当する「ネットワーク・パートナー」
   に分かれる。

   SWIFT は、パートナー認定制度を導入しており、SWIFT のパートナーになるた
   めには SWIFT の認定資格に合格する必要がある。

○ビジネス・パートナー
○ビジネス・パートナー

  SWIFT は、国または地域ごとに、限定された国または地域内において SWIFT
  に代わって活動を行う、外部のパートナー会社を選定し、長年にわたってネット
  ワークを構築している。これら企業は、「SWIFT ビジネス・パートナー」と呼ばれ
  ている。


  これらの会社は SWIFT 製品の拡販とリセール(例えば SWIFTAlliance システム
  と SWIFTNet サービスを新規及び既存顧客に提供する)に対して責任を持つ。
  さらに、製品インストールのサービスも提供し、インテグレーションサービスも提
  供することがある。また、ビジネス・パートナーの中には、自社のテリトリーの中
  で SWIFT トレーニングコースを開催したり、ローカルユーザへのヘルプデスク
  サービスを提供したりしているものもある。

  多くの SWIFT ビジネス・パートナーは、民間の「サービス・ビューロ」を通して
  SWIFT ネットワークへの接続サービスを提供する。これらの「サービス・ビュー
  ロ」は、非常に安全な方法で、そして、SWIFT が規定した厳格な規則に従って営
  業を行う。これらの規則の完全なる遵守により、サービス・ビューロは、ビジネ
  ス・パートナーとしてのサービス・ビューロに認定される。


                       9
さらに、全てのビジネス・パートナーは、SWIFT が提供するサービスに加え、シ
ステムインテグレーション、一般的なコンサルティング、顧客向けシステムのイ
ンストールなどにおいて、さまざまなサービスを提供している。そして、SWIFT の
顧客の多くから、これら追加のサービスは、SWIFT 製品およびサービスの範囲
を補完しており、相乗効果を与えていると評価されている。

日本では、住商情報システムとジェトロニクスの 2 社が、SWIFT の認定ビジネ
ス・パートナーである。

ビジネス・パートナー一覧
 ANDEAN     REGION : BCG       –   BUSINESS    COMPUTER    GROUP
 (WWW.BCG.COM.VE)
 AUSTRIA, GERMANY, LIECHTENSTEIN, SWITZERLAND : INCENTAGE AG
 (WWW.INCENTAGE.COM)
 BALKAN COUNTRIES:CIS D.O.O.(WWW.CIS.CO.YU)
 BENELUX AND FRANCE:S.I.D.E. BENELUX & FRANCE S.A.(WWW.SIDE.LU)
 BRITISH ISLES, IRELAND AND CHANNEL ISLANDS :SMA SOFTWARE +
 CONSULTING LTD.(WWW.SMA.CO.UK)
 CENTRAL AMERICA AND MEXICO:BCG PANAMA(WWW.BCG.COM.VE)
 CIS COUNTRIES:Alliance FACTORS LTD.(WWW.Alliance.RU)
 INDIAN    SUBCONTINENT      :    CAMBRIDGE     SOLUTIONS    LTD
 (WWW.CAMBRIDGEWORLDWIDE.COM)
 ITALY:TAS – GRUPPO NCH(WWW.NCHSPA.COM)
 JAPAN:GETRONICS JAPAN, LTD.(JP.GETRONICS.COM/SWIFT)
 JAPAN:SUMISHO COMPUTER SYSTEMS CO.(WWW.SCS.CO.JP)
 MIDDLE    EAST     &   GULF     REGION : EASTERN      NETWORKS
 (WWW.EASTNETS.COM)
 MIDDLE EAST & NORTH AFRICA:ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L.
 (WWW.AEG-MEA.COM)
 NORTH AMERICA:S.I.D.E. AMERICA CORP.(WWW.SIDE.LU)
 NORTH AMERICA:S.I.D.E. AMERICA CORP.(WWW.SIDEAMERICA.COM)
 OCEANIA – SOUTH PACIFIC:DECILLION SOLUTIONS (AUSTRALIA) PTY
 LTD(WWW.DECILLION.COM.AU)
 PEOPLES REPUBLIC OF CHINA : NCSI (SHANGHAI) CO., LTD
 (WWW.NCS.COM.CN)
 SOUTHERN AFRICA :PERAGO AFRICA (PTY) LTD.(WWW.PERAGO.COM)
 SOUTH     EAST    ASIA : DECILLION       SOLUTIONS    PTE   LTD
 (WWW.DECILLION.COM.SG)
 SOUTH KOREA:COMAS INC.(WWW.COMAS.CO.KR)


                            10
SOUTHERN LATIN AMERICA : FINANCEWARE COMERCIO E SERVICOS
     LTDA(WWW.FINANCEWARE.COM.BR)
     TAIWAN:ARES INTERNATIONAL CORP.(WWW.ARES.COM.TW)
     WEST & CENTRAL AFRICA : ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L.
     (WWW.AEG-MEA.COM)
      LOGICACMG(WEBSITE: WWW.LOGICACMG.COM)

     GLOBAL BUSINESS PARTNERS/SOFTWARE RESELLERS : IBM BELGIUM
     (WWW.IBM.COM)



「サービス・ビューロ」
   サ ー ビ ス ・ ビ ュ ー ロ は 、 SWIFT 接 続 の ア ウ ト ソ ー シ ン グ サ ー ビ ス で あ り 、
   SWIFTNet と SWIFT インターフェースへの接続の操作を代行する。これらのサー
    ビスを提供することができるサービス・ビューロは、各テリトリー内に複数あり、ユ
    ーザは自由に選択できるが、接続は自己責任となる。

    サービス・ビューロを介して間接的に SWIFT に接続することのメリットとしては、
    メンバーになって自社で接続するのに比べて①SWIFTNet への接続が容易で費
    用効果がよい。②すばやくソリューションの提供を受けることができる。③ディザ
    スタリカバリー(障害対策)を外注することができる。などがあげられる。

○サービス・パートナー
○サービス・パートナー

    サービス・パートナーは、SWIFTNet の展開と導入、運用・保守などカスタマーケ
    アのため、インストール、インテグレーション、コンサルティングサービスを提供す
    るものである。 SWIFT は特定の基準に基づいて、これらのパートナーを公認し、
    品質レベルを一定に確保している。サービス・パートナーは、従来の SWIFT シス
    テムから SWIFTNet への移行作業も実行している(現在,SWIFTNet フェーズ 2
    移行期)。



    サービス・パートナー一覧
     BENELUX SIDE INTERNATIONAL S.A.
     DUBAI - U.A.E EASTERN NETWORKS
     FRANCE CONSORT NT
     FRANCE ONFIN
     FRANCE SIDE FRANCE


                                 11
GERMANY CSC DEUTSCHLAND SOLUTIONS GMBH
   GERMANY SWISSRISK AG
   ITALY N.C.H. NETWORK COMPUTER HOUSE S.P.A
   LEBANON ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L
   LUXEMBOURG SKILLTEAM LUXEMBOURG
   NETHERLANDS CAP GEMINI NEDERLAND B.V.
   NIGERIA SOFTWORKS LIMITED
   POLAND KIR S.A. (KRAJOWA IZBA ROZLICZENIOWA)
   ROMANIA BIS (BUSINESS INFORMATION SYSTEMS SRL)
   RUSSIA Alliance FACTORS
   SERBIA-MONTENEGRO CIS D.O.O. (COMPUTER & INFORMATION SYSTEM
   D.O.O.)
   SOUTH AFRICA PERAGO AFRICA
   SPAIN ACOTEL S.A.
   SPAIN CAP GEMINI
   SWITZERLAND CARDINAL CONSULTING SA
   UNITED KINGDOM LOGICA CMG PLC
   UNITED KINGDOM SIMPLEX UK LIMITED
   UNITED KINGDOM SMA SOFTWARE & CONSULTING LTD
   UNITED KINGDOM SYNERGY FINANCIAL SYSTEMS LTD

   BRAZIL FINANCEWARE CMERCIO & SERVICOS LTDA
   CANADA EXPERTUS TECHNOLOGIES INC
   UNITED STATES AKSHAY SOFTWARE INTERNATIONAL INC
   UNITED STATES AXLETREE SOLUTIONS, INC.
   UNITED STATES SIDE AMERICA CORP
   VENEZUELA BUSINESS COMPUTER GROUP

   AUSTRALIA DECILLION SOLUTIONS (AUSTRALIA) PTY. LTD
   CHINA NCSI SHANGHAI) CO. LTD
   HONG KONG AUTOMATED SYSTEMS (HK) LTD
   INDIA CAMBRIDGE SOLUTIONS LTD
   JAPAN GETRONICS JAPAN, LTD
   JAPAN SUMISHO COMPUTER SYSTEMS CO
   KOREA COMAS, INC
   SINGAPORE DECILLION SOLUTIONS PTE LTD
   SINGAPORE NEWGENS PTE LTD
   TAIWAN ARES INTERNATIONAL CORP
   VIETNAM BLITZ IT CONSULTANTS PTE LTD

○ソリューション・パートナー



                              12
ソリューション・パートナーは、SWIFT メッセージのインターフェース(CBT;
  COMPUTER BASED TERMINAL)の構築、提供を行う。アプリケーション・プロバ
  イダーとビジネス・インテグレーション及びコンサルタントを含む。

  提供されるソリューションとしては、ビジネスアプリケーション、ミドルウエア・
  EAI(エンタープライズアプリケーション統合)、インターフェース、コンサルティン
  グ・アウトソーシングなどがある。

  ソリューション・パートナーの位置づけ




  このうち、アプリケーション・プロバイダーは、インターフェースだけでなく顧客に
  対するソリューションを提供し、SWIFT メッセージ作成とプロセッシングのための
  組み込み機能を用いて、さまざまなビジネス・プロセスをサポートする。これは、
  ミドルウエアプロバイダーと電子商取引関連アプリケーション・プロバイダーも含
  まれる。

  コンサルタント及びシステムインテグレーターは、いろいろなパートナーによるソ
  リューション提供を確実に実行するため、インテグレーションと関連したコンサル
  タンティングにより、顧客サポートを行う。


○ネットワーク・パートナー

  ネットワーク・パートナーは、SWIFT におけるネットワーク・インフラ提供ベンダー
  である。




                      13
SWIFT は、安全な IP ネットワーク(SIPN;SECURE IP NETWORK)のマルチベン
   ダーモデルを採用し、柔軟で高いセキュリティを確保している。新しいアーキクテ
   チャーにより、最高水準のリスク対策を行い、高い耐障害性を実現している。こ
   のアーキテクチャーのキーとなるポイントは、複数の IP ネットワーク・パートナー
   の共存である。SWIFT は、4 つのネットワーク・パートナー(IP-VPN サービスの
   標準的なソリューション)を利用しているが、メンバー企業は、SWIFTNet メッセー
   ジングプラットホームに連結したネットワーク・パートナー会社と、自由に契約を
   結ぶことができる。

   ネットワーク・パートナー一覧
    AT&T WWW.ATT.COM/SWIFTNet
    BT INFONET WWW.BT.INFONET.COM/SWIFT_IP_SOLUTIONS
    COLT WWW.COLT.NET/SWIFT
    ORANGE BUSINESS SERVICES WWW.ORANGE-BUSINESS.COM



 1-2.SWIFT の歴史(過去の取組みや最近の取組み)

   SWIFTは1973年に設立された後、欧州をベースとして、世界中の民間銀行、証
   券会社など金融機関、関連サービス等が次々に加盟していった。さらに、欧州諸
   国をはじめとする中央銀行が加盟している。近年では、一般事業法人もネットワ
   ークの直接利用に乗り出し、利用者の対象領域、裾野が拡大した。90年代後半
   のインターネットの普及に伴い、2000年代に入ってオープン化を進めており、現
   在では、金融メッセージの標準化推進団体の位置づけの側面も強まっている。

1973年:5月、15カ国、239の銀行からサポートを受け、銀行間の金融取引情報の送受
    信を行うためにSWIFTの運営会社がベルギーブリュッセルにて、設立された。
    SWIFTは、、国際的な金融取引のために、世界共通のデータ処理、通信リンク
    と共通言語をつくる業務をスタートした。
     (239 メンバー、15 カ国、0 メッセージ数)

1974 年: パートナーシップ原則が制定される。SWIFT に参加予定の金融機関は、積極
    的にメッセージ交換のために協力することで、処理プロセスの発展と、確実に
    効果ある運用を実現することを目指した。
     (503 企業、17 カ国、メッセージ数 0 件)




                             14
1975 年: セキュリティと信頼性の強化。セキュリティ責任と信頼性を規定するルールが
      策定され、運用方法が定められた。SWIFT における初期の基本的なルールが
      制定された。
       (515 顧客、17 カ国、メッセージ数 0 件)


1976 年:最初のオペレーション・センターがオープンした。実際の運営に向かって大きく
      前進した。各々はバックアップのため冗長な施設を持ち、高いシステム稼動を
      実現した。
       (515 顧客、 17 カ国、メッセージ数 0 件)

1977 年:最初のメッセージを送信した。メンバーは 22 カ国の 518 の商業銀行に拡大。
       (518 顧客、22 カ国、メッセージ数 340 万件)

1978 年:1000 万件のメッセージを送信し、最初の年次総会が開催された。
        (586 顧客、25 カ国 、メッセージ数 2160 万件)

1979 年:北米オペレーション・センターーがオープンした。
       (683 顧客、30 カ国、メッセージ数 3450 万件)

1980 年:香港とシンガポールでアジア地域のオペレーションが開始された。
        (768 顧客、36 カ国、メッセージ数 4,690 万件)

1981 年:ST100 インターフェースが導入された。
       (900 顧客、40 カ国、メッセージ数 6,250 万件)

1982 年:運用が財政的に安定化し、収入がコストを上回った。
       (1,017 顧客、44 カ国、メッセージ数 7,990 万件)

1983 年:メンバー企業が 1,000 社を超えた。
        (1,046 顧客、52 カ国、メッセージ数 1 億 410 万件)

1987 年:メンバーを銀行のみならず証券会社に拡大することを決定した。
       (2,360 顧客、64 カ国、メッセージ数 2 億 2,230 万件)

1993 年:12 の新しい国の 404 のメンバーを追加した。新しい UNIX ベースのインターフ
       ェースが適応された。


                             15
(3,986 ユーザ、106 カ国、メッセージ数 4 億 5,700 万件)

1994 年:さまざまなサービスの拡大が図られ、ACCORDWORKSTATION, SWIFTASSET
      RECONCILIATION, SWIFTAlliance などが追加された。
       (4,625 ユーザ、126 カ国、5 億 1,800 万件)

1995 年:アジアパシフィック地域におけるサービスを拡大することが決定された。
       (5,229 ユーザ、137 カ国、メッセージ数 6 億 30 万件)

1996 年:自動化推進によりコストとリスクを低減した。
        (5,632 ユーザ、151 カ国、メッセージ数 6 億 8,800 万件)

1997 年:FIN トラフィックの急速な増加とインターネット技術革新により、SWIFTNet へ移
      行することが発表された。
       (6,176 ユーザ、164 カ国、メッセージ数 8 億 1,200 万件)

2001 年:国内市場において SWIFTNet の運用がスタートされた。
       (7,457 ユーザ、196 カ国、メッセージ数 15 億 3,400 万件)

2002 年:SWIFTNet FIN メッセージの通信が開始された。
        (7,601 ユーザ、198 カ国、メッセージ数 18 億 1,700 万件)

2003 年:オーストリアは国内の支払システムのインフラとして SWIFTNet を採用した。
      SWIFT の参加企業が 200 カ国を超えた。ISO15022 及び MT103 の移行が完
      了した。イタリアの RTGS は、SWIFTNet サービスへ移行した。年間の FIN 通
      信量が 20 億件に達し、1999 年の 2 倍となった。
       (7,527 ユーザ、200 カ国、メッセージ数 20 億 4,700 万件)


2004 年:SWIFTNet の移行が完了し、ISO20022 が発表された。
        (7,667 ユーザ、202 カ国、メッセージ数 22 億 9,900 万件)

2005 年:TARGET2 が SWIFT を採用した。2006 年末までに価格を 50%下げることを目
      標とした。SWIFTNet フェーズ 2 パイロットの開始に成功した。FIN トラフィック
      は、前年比 9.5%増加し、25 億メッセージとなった(平均 1 日 1000 万メッセー
      ジ)。2005 年末には 204 カ国の 7,863 の金融機関が接続。12 月 1 日に、FIN
      証券メッセージのトラフィックが 4 百万件/日のピークに達した。FIN トラフィック


                              16
が、12 月 20 日に 1,150 百万/日のピークに達した。2005 年下期には、FIN メッ
セージの利用において、価格が 8%、1400 万ユーロ相当の削減となった。全
体の 7%、2300 万ユーロ相当のリベートを行った。
(7,863 ユーザ、204 カ国、メッセージ数 25 億 1,800 万件)




                      17
2.サービスの概要


2-1.現在のサービスラインナップ(仕組み、料金体系)

◎SWIFT のサービス概要




◎「SWIFTNet」のサービス概要
◎「SWIFTNet
  SWIFTNet」のサービス概要

   SWIFT が提供するネットワークとサービスを含めた総称で、主に以下の 4 つの
   サービスを提供している。

 SERVICE   CHARACTERISTICS                  TYPICAL     BUSINESS
                                            APPLICATION
 FIN       MESSAGE TRANSFER, STORE AND TREASURY AND CASH
           FORWARD,       FIN      MESSAGE MANAGEMENT,
           STANDARDS (E.G. MT101, MT940...) PAYMENTS
 FileAct   FILE TRANSFER, BULK/BATCHED PAYMENTS,
           MESSAGES                         COLLECTIONS, PAYROLL
                                            ETC


                              18
Interact   QUERY-RESPONSE        MESSAGING SWIFTSOLUTIONS:   E.G.
            USING XML STANDARDS             CASH REPORTING
 Browse     SECURE BROWSING USING HTML REPORTING
            GUIS. MANUAL INPUT OF MESSAGES.

① SWIFTNetFIN サービス
              サービス(FINANCIAL APPLICATION)サービス:個別取引用。
  SWIFT の中核をなす金融メッセージ・サービスである。国際標準の定型通信フォ
   ーマットである。

② SWIFTNetFileAct サービス
                  サービス:バッチ処理用で、大容量ファイル添付に使用する。
  あらゆるタイプのファイルが送信可能である。

③ SWIFTNetInteract サービス
                   サービス:即時のメッセージングやインタラクティブなメッセー
  ジングが可能である。FIN FileAct を補完する。

④ Browse サービス:上記 FileAct や Interact を補完するもので、各種サービスを
         サービス
  ブラウザ環境で利用することが可能である。


◎SWIFT のサービス内容

(1)メッセージング・サービス

            FIN」
① 「SWIFTNet FIN」(FINANCIAL APPLICATION)
    STORE AND FORWARD 型(データをいったん蓄積してから転送する仕組み)の
   金融メッセージ交換サービスで SWIFT の中核をなす。STORE AND FORWARD
   方式は、データを SWIFT に完全に記録してから、その後送信するという方式で
   ある。安全性のきわめて高い方式であり、このような方式をとっているネットワー
   クは稀で、SWIFT の信頼性を保証するものである。

   付加価値サービスとして、SWIFTNet FIN COPY と SWIFTFIN Inform がある。

 □ SWIFTNet FIN COPY は、高額決済や財務・証券関連の取引業務のメッセー
     ジのコピーを、安全・容易に、第 3 者に対し自動的に転送する。中央銀行や決
     済機関など世界の 40 以上のインフラで、相互的な金融取引のモニタリングに
     利用されている。

 □ SWIFTFIN Inform は、安全に容易に、他のビジネス・プロセスとの情報の送受


                               19
信を可能とする。



            FileAct」
② 「SWIFTNet FileAct」
    2001 年 3 月から開始された。リアルタイムにセキュリティの高いファイル転送を
   行うサービスである。SWIFTNetFIN が一件ごとの処理であり、主に大口取引に
   使われるのに対して、FileAct は、件数が膨大な小口送金に利用され、あらゆる
   データをファイル転送する大量のバッチ処理用に使われる。そのため低コストで
   のメッセージの送信が可能となる。これも、STORE AND FORWARD 方式を採用
   しており、高い安全性を保証するものである。

   利用領域としては、少額で大量の資金決済、証券取引、中央銀行等に対する
   定期的なレポート、ソフトウエアの配信、データベースの復旧等である。国際間、
   金融機関の本支店間、SWIFTNet 上のユーザ・グループ間での利用が可能で
   ある。

   本件は、かつて利用されていた大容量データを送受信するサービスであった
   SWIFT IFT(INTER-BANK FILE TRANSFER)サービスに相当するものである。
   IFT サービスと同様に、一括送受信するデータは利用者間で自由にフォーマット
   が決定でき、フレキシビリティが高い。SWIFTNet 上ではインタラクティブな転送
   が可能である。

   ちなみに、IFT サービスは、30 数カ国、200 以上の金融機関で利用され、主に
   欧州の金融機関が利用していた。利用対象としては、年金等のデータ、各種レ
   ポートやイメージ・データ、証券決済関連等の大量データを金融機関同士での
   交換などが上げられる。

③「SWIFTNet Interact」
③「SWIFTNet Interact」
   2000 年 3 月から一部サービスが開始された。リアルタイム(即時)でインタラク
   ティブ(双方向)な、メッセージ交換のトランザクション処理を行うサービスである。
   SWIFTNetFIN、SWIFTNetFileAct を補完し、取引完了までの時間が短縮できる。

   XML ベースの通信を行い、モニター機能、条件検索、コマンドの投入等が実施
   できる。インタラクティブでリアルタイムなモニタリング、支払指示のコントロー
   ル・リアルタイムな確認、流動性のリアルタイムな管理などに適している。その
   ため、CLS 銀行(CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT BANK、「外為取引の 2


                          20
通貨(売渡通貨と買受通貨)の同時決済」を連続的に行う仕組み)、GSTPA
  (GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION、グローバル
  な 証 券 の マ ッ チ ン グ 等 を 実 施 す る 機 関 ) 、 RTGS ( REAL-TIME GROSS
  SETTLEMENT SYSTEMS、即時グロス決済) 、などいくつかの決済システムある
  いは、SWIFT の ACCORD SERVICE などで、取引状況をリアルタイムでモニタリ
  ングするために使用されている。

  また、金融機関において、顧客向けの日中流動性管理サービス(REAL TIME
  NOSTRO REPORTING)のために Interact を利用しているケースもある。

  3 つの通信モデル
   ①「即時」(REAL TIME)型通信
    □ 「通知」(MESSAGE)の送信や、「確認」(ACNOWLEDGEMENT)の返信な
      ど、個別の指示・コンファメーション・レポート等を即時に行う。
   ②「即時の問い合わせ・応答」(RESPONSE)が即時に返ってくる」タイプの通信
   モデル。
   ③「STORE AND FORWARD」型通信
    □ STORE AND FORWARD 形式の通信タイプも選択でき、多数の通信相手
      に、個々の指示・コンファメーション・レポートなどを送付するケースや、時
       差のある地域への通信、各国ごとの休日対応を要する通信などに有用
       である。

④「SWIFTNet Browse」
④「SWIFTNet Browse」
   情報閲覧用のウエブサービスを提供し、さまざまな情報提供を行う。HTTPS イ
  ンターネット・プロトコルに準拠している。

  SWIFTNet Browse サービスでは、SWIFTNet 上で各サービスプロバイダーが展
  開するウエブサーバーに、HTTPS プロトコルを使用し、FileAct や Interact を利
  用した各種サービスをブラウザ環境で利用することが可能となる。SWIFT サー
  ビスにおいては、SWIFTAlliance WEBSTATION を使ったリモートのウエブサー
  ビスを利用するのに使われる。

(2)企業向けサービス

  グローバル大手企業に限定しているものの、2001 年以降、一般事業法人に参
  加 を 開 放 し た 。 金 融 機 関 が 運 営 す る 「 MAC-UG ( MEMBER ADMINISTERED


                              21
CLOSED USER GROUP)」に参加することなどでアクセスが可能となった。




複数の標準とプロトコルで接続するケース          単一のプラットフォームで接続するケース


 事業法人の SWIFT への接続方法




 接続方法のパターンは以下の 3 つである。
① TRCO(TREASURY CONTERPARTY):企業財務に限定で、SWIFT に接続す
  TRCO(         CONTERPARTY)
  るする全ての銀行に直接アクセスすることが可能となる。この場合、支払指示
  の送信、銀行からの銀行取引履歴の受信、証券の売り買いなどはできない。
  上場企業、未上場企業いずれも利用が可能。


② MA-CUG(MEMBER ADMINISTERED CLOSED USER GROUP):金融機関が
  MA-CUG(                                GROUP)
  運営する「MA-CUG」に接続する。多くの銀行がすでにこうしたサービスの提
  供を行っている。企業は一度に一つの銀行のユーザ・グループしか接続でき
  ず、顧客同士の直接な通信は認められていないが、複数の銀行のユーザ・グ
  ループの利用が可能である。提供される情報は、支払、企業財務、レポート、


                        22
証券など広い。現在、このサービスを提供する SWIFT 加盟銀行の本支店は
    500 店舗である。


  ③ SCORE(THE STANDARDISED CORPORATE ENVIRONMENT) :一定のル
    SCORE(                           ENVIRONMENT)
    ールで多くの銀行に接続することが可能となるもの。参加者は、FINANCIAL
    ACTION TASK FORCE (FATF) の参加国(日本、米国など 31 カ国)の上場企
    業で財務内容が優れた企業に限定される。あらゆる取引の情報交換が可能
    となる。2007 年 1 月よりスタートした。現在の提供銀行は 30 行である。



(3)SWIFT サービスに付随するさまざまなソリューション

  SWIFTNet ACCORD
    □ 外国為替、資本市場、デリバティブ等においてマッチング、例外操作の処
      理をリアルタイムで行うもので、例外処理を効率的に行うもので、従来そ
       れにかかっていた時間とコストの削減を可能とするものである。




  SWIFTNet AFFIRMATIONS
    □ 資 本 市 場 、 デ リ バ テ ィ ブ 等 に お い て コ ス ト 優 位 な STP(STRAIT-
      THROUGH-PROCESSING)を提供する。

  SWIFTNet BULK PAYMENTS
    □ SWIFTNet FileAct をベースに提供される銀行業務向けソリューションで
      ある。複数者間でのコスト優位、フォーマット不問のデータ交換を行うこと


                            23
ができる。また、MA-CUGS と連携することによって、金融機関と顧客で
     ある一般企業の間での利用が可能となる。企業の給与・年金支払い、借
     入金の返済資金データの送受信といった、少額かつ大量の決済データを
     送受信する場面での利用が進んでいる。

SWIFTNet CASH REPORTING
   □ リアルタイムの情報ニーズに対しキャッシュレポーティングをサポートす
     るサービスである。コルレス先に発送した支払い指示の決済状況や、流
     動性ポジション(預金残高等)についての報告を受けることができる。
     SWIFTNet Interact が提供する「即時の問い合わせ・応答」(REAL-TIME
     QUERY AND RESPONSE)型の通信機能や、SWIFTSTANDARDS XML
     を利用することにより、リアルタイムで口座残高や取引情報の照会を可
     能とした。
  □ また近年、企業における資金の有効活用を図る CMS へのニーズが強ま
    っているが、リアルタイムでの流動性ポジション把握にも利用されている。

SWIFTNet CLS THIRD PARTY SERVICE
  □ CLS メンバーでない銀行にグローバルな FX 決済を提供する。

SWIFTNet CORPORATE ACTIONS
   □ 企業において資本構成や資金状況に影響を及ぼすあらゆるイベント (ス
     ピンオフ、自己株式取得、株式分割など)において、株式所有者は企業
     行動に対し対応をサポートする。


SWIFTNet DATA DISTRIBUTION
   □ ISO15022 における証券メッセージ標準と SWIFT ソリューションにおける
     接続において、市場のインフラとコミュニケーションを可能とするサービス
     である。

SWIFTNet EXCEPTIONS AND INVESTIGATIONS
  □ ペイメントにおける不着事故などの調査をサポートする。

SWIFTNet FIX
   □ SWIFTNet FIX(金融フォーマット):フロントとバック・オフィスと連動する。

SWIFTNet FUNDS


                            24
□ 投資ファンドの分配・資金移動の自動化をサポートする。

   SWIFTNet TRADE SERVICES UTILITY (TSC)
     □ サプライチェーンマネジメントにおける、企業向け銀行サービスのプロセ
       スをサポートする。

   SWIFTSOLUTIONS Society PAYMENTS CLEARING
     □ 支払決済において、50 以上の決済システムが、一日に 500 から 20 万件
       のペイメントを行っている。安全な接続と共通のメッセージ標準によりス
        ムーズな接続を可能とする。

   SWIFTWATCH
      □ トラフィック分析、メッセージコスト分析、支払処理分析などを行う。




◎SWIFT におけるオープン化、セキュリティの強化の動き

○SWIFTNet への移行


「フェーズ 1」

   フェーズ 1 では、インターネットの普及およびオープン化の流れに即し、新しい
   SWIFT のネットワークである SWIFTNet に移行することを、2002 年に決定した。


                               25
プロトコルは、普及率の低い従来の X2.5 プロトコルから、インターネットの標準
    である TCP/IP へ変更した。

    フェーズ 1 では、SWIFT の全ユーザが 2004 年末までに移行することを義務付
    けられた。2004 年中に、全部のユーザが、従来のネットワークから新しいネット
    ワークを利用した基盤への移行を完了した。

    フェーズ 1 の実施により、オープン化が進められ、金融機関は他業種や他シス
    テムと直接接続し、データ交換することが可能となった。FileAct や Interact とい
    った新しいメッセージ・サービススの利用も日本で行われるようになってきている。

「フェーズ 2」

    SWIFT がオープン化の技術を取り入れることは、同時に外部からの攻撃やデー
    タ詐取の可能性も増大することを意味する。そのため、これらセキュリティへの
    対応が非常に重要な課題となっており、フェーズ 2 では、既存の基盤のアップデ
    ートとともに、セキュリティを強化することを主眼としている。

    2002 年に本格スタートした SWIFTNet は、現在フェーズ 2 の期間中で、05 年か
    ら 06 年までが準備期間で、08 年末までには全ユーザが移行を完了する予定で
    ある。

    従来 SWIFT のセキュリティは BKE 方式(BILATERAL KEY EXCHANGE、相互キ
    ー交換)方式で、しかしこの方式では、相手先毎に鍵を交換しなければならず、
    また定期的にその鍵を変更する必要がある。そのため、処理負担が大きく、安
    全性にも問題がないとは言えなかった。このため、フェーズ 2 では、電子署名
    (DIGITAL SIGNATURE)や認証(CERTIFICATION)を利用した「SWIFTNet PKI」
    を導入し、ユーザの安全性を高めていく。今後は、SWIFT のメッセージに、発信
    者の秘密鍵による電子証明書を付加することになる。このため、従来に比べ煩
    雑な暗号管理がなくなり、安全性も高まることが期待されている。



◎SWIFT コード
   SWIFT 参 加 の メ ン バ ー の 固 有 番 号 で あ る 。 SWIFT ア ド レ ス 、 BIC ( BANK
    IDENTITY CODE)コードともいう。




                                26
ISO 9362 で規定されており、これは国際標準化機構によって承認された金融機
関識別コードの標準書式である。実際のコードの登録は、SWIFT が実施する。

銀行間の送金、特に国際的な送金に使用される。SWIFT コードは受取側の銀行
を特定するために用いられ、送金側は、受取先銀行の SWIFT コードを入力する
ことにより、受取先の銀行名・支店名・所在地等の情報を省略することが可能と
なる。
 □ コードは 8 文字か 11 文字で構成。
 □ 4 文字 - 金融機関コード
 □ 2 文字 - ISO 国名略号
 □ 2 文字 - 所在地コード
 □ 3 文字 - 支店コード、任意付与('XXX'は本店)

ちなみに、米国では、同様の体系のコードである ABA コードの利用が一般的で
ある。これは、米国内の銀行が個別に保有する銀行番号で、米国の銀行間や米
国に送金する際に用いられることが多い。

ヨーロッパでも同様の個別のコードを使っている国があり、イギリスの SORT
CODE、フランス BK&BR NO などがあった。しかし、欧州通貨統合を機に最近
になって低コスト、迅速、正確を目的とし、「IBAN」というコードで統一された。

通常 8 桁で、送金は一旦受取側銀行の本店宛に送られるが、3 文字の支店コ
ードを利用し 11 桁として、国際間の送金が特定の支店へ向けられるのを許容
するケースもある。

かつては、参加者向けの BIC ディレクトリーの発行は、四半期に 1 度のサイク
ルであった。新しい参加者が実際に SWIFT を運用できるのは、発行後であるた
め、このことは、SWIFT の利用に長いタイムラグを生じることを意味していた。と
ころが、2006 年より、発行のサイクルを 1 ヶ月に短縮したため、より早く SWIFT
の利用を開始することが可能となった。




                     27
◎契約形態 各種契約に基づく

  SWIFT GENERAL TERMS AND CONDITIONS(SWIFT 基本契約)

  HSM EQUIPMENT TERMS AND CONDITIONS(ハードウエア・セキュリティ・モジ
  ュール機器契約)

  USE EQUIPMENT TERMS AND CONDITIONS(使用機器契約)

  SWIFTNet ACCORD TERMS AND CONDITIONS(SWIFTNet ACCORD サービス
  契約)

  DEVELOPERS TOOLKIT LICENCE AGREEMENT(開発ツールライセンス契約)

  SWIFTWATCH TERMS AND CONDITIONS(SWIFT WATCH 契約、分析系プロダ
  クト)

  BIC PRODUCTS LICENCE AGREEMENTS(BIC 製品ライセンス)

  SWIFT DATA RETRIEVAL POLICY(SWIFT DATA 回復ポリシー)

  SWIFT SERVICE BUREAU POLICY(SWIFT サービス・ビューロ・ポリシー)




                           28
◎SWIFT が提供する基本サービスの料金体系

  メンバーとなるには出資金が必要であるが、パティシパントは不要である。

  基本的なルールとして、トラフィックの送り手が料金を支払い、受取り手は払わな
  い。しかし、変更は可能である。

  主要 4 サービスの料金体系は以下である。

  □ FIN:価格はクライアントによって何層かに層別され、更に送信されるファイル
    のサイズによっても層別される。クライアントの層別は、年間の SWIFT 利用
    量に基づく。メッセージごとの価格は、サイズが大きくなるにしたがって、追加
    料金が発生する。

  □ FileAct:価格はクライアントによって何層かに層別され、更に送信されるファ
    イルのサイズによっても層別される。クライアントの層別は、年間の SWIFT 利
    用量に基づく。ファイル毎のチャージは、最初の 100KB に対し層別された価
    格が適用される。それから次の 1000KB までのサイズに対しては、割引され
    た価格が適用される。残りのバイトに対しては、さらに割引された価格を適用
    することによって価格は決定される。ファイルのサイズはコストにそれほど影
    響を及ぼさないが、回数を多く送信することはより多くのコストを生じる。その
    ため、SWIFT はサイズが小さいファイルを頻繁に送ることよりも、サイズが大
    きなファイルを回数少なく送信することを、奨励している。


  □ Interact:上記と同様に層別されていて、メッセージ 1 件につき価格がつけら
    れている。 しかし、Interact メッセージは単独のものではなく他のサービス
    (CASH REPORTING や ACCORD など)に必ずリンクしているため、単独で請
    求されるのではなく、それらサービスの価格に含まれて、請求される。

  □ Browse:Interact と同様に、契約するサービス内容に基づいてチャージされる。


◎SWIFT の料金イメージ

○加盟金
   メンバーは 10,000 ユーロ
   サブ・メンバーは 5,000 ユーロ


                        29
パティシパントは 2,000 ユーロ

            アカウント持つ場合:メッセージ件数 1 日 50 件以内を想定
○一般企業ユーザが 5 アカウント持つ場合

  TYPICAL CLIENT(5 口座)
  □ APPLICATION FEE ($150/MO/CP) = $2,100/MO
  □ MESSAGE FEE ($2/MSG, 50/DAY) = $2,200/MO
  □ OVERALL (5 CP’s) = $34,200

 ※SWIFTNetFIN において、1 メッセージの送信は 2 ドルの価格である。

○利用するソフトウエア

  SWIFTAlliance ACCESS OR ENTRY (SAA/SAE)
  □ SWIFTNetFIN への接続用

  SWIFTAlliance GATEWAY OR STARTER SET (SAG/SAS)
  □ FileAct、Interact、Browse の利用


○ソフトウエアのコスト(提供されるパッケージ毎の料金)

                      N/A
                                        Package 3        Standard
                                         SA Entry +
FIN +                                                      offer
                                        SA Gateway +
                                        SA WebStation
SWIFTNet
                                       12,500 EUR/year

                 Package 1              Package 2        Standard
SWIFTNet         SA WebStation          SA Gateway +
                                        SA WebStation
                                                           offer

                 3,000 EUR/year        8,500 EUR/year

                   1アカウント                5 アカウント          無制限




                                  30
○SWIFT のコスト INTRO PACK 3 (<100 FIN MGS/DAY)の場合
                                   MGS/DAY)の場合
  (メッセージ数一日 100 件日以内を想定)

  PRODUCT
  PRODUCT                           ONE-
                                    ONE-TIME (USD)   ANNUAL (USD)
  MEMBERSHIP                        12,415           1,552
  INTRO PACK                        0                15,519
  TRAINING                          372
  HANDBOOK                                           700
  TRAFFIC                                            2,000
  TOTAL                             12,787           19,771

      加入時に約 1 万 3 千ドル。ランニングコストで年間約 2 万ドル。


○SWIFT のコスト ALL-IN (<250 FIN MGS/DAY)の場合
            ALL-             MGS/DAY)の場合
  (メッセージ数一日 250 件以内を想定)

  PRODUCT                           ONE-TIME
                                    ONE-TIME (USD)   ANNUAL (USD)
  MEMBERSHIP                        12,415           1,552
  CONNECTIVITY (+TRAFFIC)           4,314            12,335
  SAE(SWIFT Alliance ENTRY)         31,300           6,260
  SAS    (   SWIFT       Alliance   4,750            1,850
  STARTERSET)
  SNL(SWIFTNet LINK)                3,800            1,700
  TRAINING                          372
  HANDBOOK                                           700
  TOTAL                             56,952           24,397

    加入時に約 5 万 7 千ドル。ランニングコストで年間約 2 万 4 千ドル。

○加盟費用
   一般企業:登録料で年間 2,000 EUR/YEAR を支払う。MA-CUG(S)フィーも含
     まれる。
     銀行: 追加の費用はなし(メンバー費他関連費用に含まれる)


○サービス・ビューロを通じた間接的な接続の場合のコスト




                                    31
上記のフィーにあわせ、サービス・ビューロから請求される、加入金と年会費が
   必要である。

◎SWIFTNetFIN へ接続への手続き




◎サービス別の利用状況


                        32
メッセージ平均単価の推移
    (1,000 文字あたり、ユーロセント=約 1.6 円で、現在約 20 円)




   スケールメリットが働き、2001 年から 2006 年の 5 年間で約 50%の値下げを行う
   ことが可能となった。SWIFT は非営利で運営されている共同組合であり、剰余金
   が発生すると価格の引き下げ、リベートとして還元することとしており、適宜引き
   下げが実施されている。


◎サービス別の利用状況

○SWIFTNet FIN トラフィック状況

   メッセージトータル数 (年間)                   2,864,537,431 件
   メッセージ増加率 (前年比)                    13.75%
   一日平均トラフィック数(年平均)                  11,439,846 件
   メッセージ増加率 (一日平均)                   13.93%
   最新のピーク日:メッセージ数                    13,663,975 件 2006 年 12 月 20 日
   SWIFTNet FIN 信頼性 SWIFTNet FIN SYSTEMS               99.996%
   SWIFTNet FIN 顧客数
     □ 国数                 : 207 カ国
     □ メンバー数                    : 2,288 件
     □ サブ・メンバー数                : 3,120 件
     □ パティシパント数                : 2,697 件


                              33
□ トータルユーザー数            : 8,105 件



◎SWIFTNet FIN のマーケット別の分類

   FIN サービスは、MT(MESSAGE TYPE)と呼ばれるメッセージのカテゴリー
   (CATEGORY)を持っている。大きく分けて 5 つの分野、カテゴリーとしては、0 か
   ら 9 まで分類されている。もっとも多いのが、カテゴリー1 の顧客送金で、カテゴ
   リー1 とカテゴリー2 で全体の 90%を占める。最近では、カテゴリー5 の証券メッセ
   ージが急速に増加している。カテゴリー6 のシンジケーションやカテゴリー8 のト
   ラベラーズ・チェックは、あまり利用されていない。




   PAYMENTS (銀行取引)
     □ カテゴリー 1: CUSTOMER PAYMENTS(顧客送金)、 CHEQUES(小切
               1:
       手)
                (顧客から依頼を受けた送金をコルレス先に通知し、支払
                 を指示するメッセージ)
     □ カテゴリー 2: FINANCIAL INSTITUTION TRANSFERS(銀行間付替)
             2:
                (銀行間の資金の付替をコルレス先に指示するメッセー
                 ジ・受取通知等)
     □ カテゴリー 8: TRAVELLERS CHEQUES(トラベラーチェック)
             8:
     □ カテゴリー 9: CASH MANAGEMENT(キャッシュ・マネジメント)、
             9:


                           34
CUSTOMER STATUS(顧客状況)
    □ FIN-COPY MT 012 + MT 096
      FIN-


  SECURITIES (証券取引)
    □ カテゴリー 5: SECURITIES MARKETS(証券市場)
               5:
                   (証券業務関連メッセージ)


  TREASURY (企業財務)
    □ カテゴリー 3: FOREIGN EXCHANGE(外国為替), MONEY MARKETS
              3:
                (マネーマーケット)、DERIVATIVES(デリバティブ取引)
    □ カテゴリー 6: PRECIOUS METALS(貴金属)、
            6:
                SYNDICATIONS(シンジケーション)


  TRADE (貿易)
    □ カテゴリー 4: COLLECTION(取立)、
             4:
                CASH LETTERS(キャッシュレター)
    □ カテゴリー 7: DOCUMENTARY CREDITS(信用状)、
            7:
                GUARANTEES(保証状)


  SYSTEM (システム)
    □ カテゴリー 0: SYSTEM MESSAGES EXCLUDING FIN-COPY
             0:
                    MESSAGES: MT 012 + MT 096


◎導入に伴う金融機関側の負担

  SWIFT 参加者は、専用のハードウエア及びソフトウエアの導入が必要である。
  基 本 ハ ー ド ウ エ ア と し て は 、 ネ ッ ト ワ ー ク へ の 接 続 機 器 と し て 「 M-CPE 」
  (MANAGED CUSTOMER PREMISES EQUIPMENT)、基本ソフトウエアとしては、
  通信用ソフトウエアとして「SNL」(SWIFTNet LINK)、セキュリティのための機器で
  ある HSM(HARDWARE SECURITY MODULE)と専用ソフトウエアと「SWIFTNet
  PUBLIC KEY INFRASTRUCTURE」等が必須である。

  ベンダー、パートナーがこれらのソフトウエア、ハードウエアを提供することにな
  るが、SWIFT 公認のビジネス・パートナー及びサービス・パートナーがサポート
  することになる。自社で接続する際には、以下のシステムの導入が必要となる。




                               35
SWIFT の IP NETWORK と接続方法




 SWIFT の回線はすべて 2 重化しており、安全性が確保されている。SWIFT 内
 部のみならず、ネットワーク・パートナー、カスタマー内におけるシステムにお
 いても、SWIFT が接続システムを提供し、2 重化を確保している。

 M-CPE(MANAGED CUSTOMER PREMISES EQUIPMENT):ROUTER(ネット
 ワーク・ルータ)及び VPNBOX(VIRTUAL PRIVATE NETWORK BOX)から構
 成される。VPNBOX とは、暗号化などを担う機器であり、ダイヤルアップにも
 対応している。ブロードバンドが利用できない国などでは、ダイヤルアップを利
 用する。

 SWIFTAlliance WEBSTATION(SAB):SWIFTNet の接続方法の一つであり、
 画面による手入力を前提としており、条件検索およびリアルモニター機能が
 中心となっている。

 SNL(SWIFTNet LINK):SWIFTNet に接続するために必須の通信ソフトウエア
 である。全ての SWIFT ユーザの機器に SNL は装備されているため、相互運
 用性が確保される。


                           36
SAG(SWIFT Alliance GATEWAY):取引相手のシステムに対してプロトコルの
    変換やデータの変換などを行い相互に通信し大量のトランザクション処理を
    行う。SWIFTNet LINK とユーザのネットワークをつなぐ。

    CBT(COMPUTOR BASED TERMINAL):SWIFT に接続するためのインターフ
    ェースを受け持つ専用のソフトウエアとそれを稼動させるためのハードウエア
    である。SWIFT ユーザのアプリケーションと SWIFT インターフェースを接続す
    るもので、各ベンダーが提供する。




2-2.システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP 等)
   .システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP

◎プロトコル

  TCP/IP ベースのシステム
    □ 近年のインターネットの技術の進歩に伴って、SWIFTNet では、インター
      ネットの技術を導入し TCP/IP を採用した。

    □ かつて利用していたのは、X.25 プロトコルであったが、X.25 では、①イン
      ターネットで主流となっている TCP/IP プロトコルとの親和性がない、 ②
      X.25 プロトコルは普及率が低く、広範なネットワークで利用しているのは
      SWIFT のみでサポートが少なくなってきたこと、③増え続ける業務量に
      X.25 プロトコルでは限界がでてきた、ため、TCP/IP に変更することとした。

    □ マーケットの要請から、国際金融クロスボーダー金融取引の増加、証券


                        37
業務の STP(STRAIGHT THROUGH PROCESSING)化、リスク管理のリ
       アルタイム化、マーケット・インフラの改革(CLS、RTGS 等)などが進んで
       いる。また、決済リスクを低減するため、世界各国の中央銀行が RTGS
       (REAL-TIME GROSS SETTLEMENT:即時グロス決済)の資金決済シス
       テムを採用する流れとなり、リアルタイムでの流動性管理が必要になった。
       そのため、他のシステムとシームレスな接続が可能な、オープンな技術
       の導入が必要となってきた。

  SWIFTNet フェーズ 1
    □ 世の中のインターネットの普及およびオープン化の流れに合わせ、従来
      の X2.5 プロトコルから、TCP/IP プロトコルへの変更を 2002 年にスタート
       した。

    □ 全ユーザは、従来のネットワークから新しいネットワークを利用したシス
      テムへの移行を行うことが義務付けられ、2004 年に全ての移行が完了し
       た。

    □ フェーズ 1 の実施により、金融機関は、他業種や他システムとのデータ
      交換の親和性が高くなるメリットが享受されるようになり、FileAct や
       Interact といった新しいメッセージ・サービスの利用がスタートした。


◎金融機関との接続のバリエーション

  SWIFT は個別の銀行間の通信ネットワークとして利用されているのみならず、決
  済システムを支えるインフラとしても利用されている。

  決済システムにおける SWIFT の利用方法は、大きく分けて 3 つの形態がある。

①「通信ネットワーク」として SWIFT を利用するケース
   □ ユーロ決済の「TARGET」、ベルギー、フィンランド、南アフリカなどの
      RTGS システム、CLS 銀行、などでのメッセージインフラとして SWIFT を
      利用する。

    ※ TARGET ; TRANSEUROPEAN   AUTOMATED   REAL-TIME   GROSS
    SETTLEMENT EXPRESS TRANSFER SYSTEM 。 EU 域 内 で の 各 国 の
    RTGS システムをリンクして、ユーロのクロスボーダー決済を行うためのシス


                          38
テムであり、1999 年 1 月より稼動した。ユーロの大口決済のうち件数ベース
     で 58%、金額ベースで 87%(2003 年)を占めている。TARGET は参加 15 カ国
     の分散型システムであったが、TARGET2 にて共通のインフラに集約する方
     向で対応中である。これに、SWIFT がインフラとして利用されることが決定し
     ている。

 ②SWIFT が開発した「FIN COPY SERVICE (Y COPY)」を利用するケース
     □ Y COPY は A 行から B 行へ支払い指示が送信されると、このメッセージ
       の主要部分を SWIFT のコンピュータが、コピーして中央銀行に送信する
       仕組みである。中央銀行では、仕向銀行の残高を確認し、十分な残高が
       ある場合には資金の振替(決済)が行われる。Y CPPY は、主として RTGS
       システムを構築するために利用される。

 ③SWIFT が「決済システムのオペレーション」までを請け負うケース
     □ 例えば、ユーロのネット決済システムである「EURO1」では、システムのオ
       ペレーションを SWIFT に委託している。英国の証券システムである
       「CREST」においても同様である。

※「CLS
※「CLS 銀行」とは」
   世界の主要な銀行 20 行が集まって作られた G20 で準備を進めている国際連
   続同時外為決済(CLS;CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT)機関である。為
   替リスクを避けるために、2 通貨を同時決済する必要がある。国際連続同時外
   為決済により、異なる通貨を同時に決済して、連鎖的に決済不能となるリスクを
   減らす事を目的としている。


◎金融機関との接続のバリエーション

① 直接 SWIFT と接続するパターン

   SWIFTNet と直接接続する方法は、基本的に 3 つの方法がある。
     □ 「SWIFTNet Alliance WEBSTATION」という WWW(WORLD WIDE WEB)の
       方式で接続する形態
     □ 「SWIFT Alliance GATEWAY」と呼ばれる STP を前提とした自動化をする
       ためのサーバを利用する形態
      □ 直接アプリケーションに組み込むビルトイン方式
   SWIFT Alliance には、少量処理向けの「SWIFT Alliance WEBSTATION」と大量


                            39
処理向けの「SWIFT Alliance GATEWAY」がある。
  □ SWIFT Alliance WEBSTATION は、画面による手入力を前提としており、
    条件検索およびリアルタイムモニター機能が中心となっている。SWIFT
    Alliance WEBSTATION は、画面上に CLS 銀行、GSTPA、RTGSPLUS 等
    のアイコンが存在し、画面上でクリックすれば簡単に各アプリケーション
    にアクセスできるため、非常に利便性が高い。




  □ SWIFT Alliance GATEWAY は、STP 化およびトランザクション処理の自動
    化を前提とした設計になっている。SWIFT Alliance GATEWAY では、大量
    のトランザクション処理を行っているホストコンピュータに対して直接に接
    続して STP 化された自動処理が行えるように設計されている。




                        40
② サービス・ビューロを通じて接続するパターン

    □ SWIFT サービス・ビューロは、金融機関と企業に対して SWIFT への接続
      環境を提供するサービスである。現在、世界で約 90 のサービス・ビュー
      ロが運営されている。
       事例:ダイヤモンドコンピューターサービス(三菱東京 UFJ 銀行関連)

    □ DCS のサービス・ビューロは、当社が保有する先進のコンピュータセンタ
      ーでシステムを運用し、SWIFT 接続のためのあらゆる機能を提供してい
      る。




◎他ベンダーによる各種ソリューション
  現在日本では、ビジネス・パートナーとして、ジェトロニクス及び住商情報システ
  ムの 2 社が存在する。従来、住商情報情報システム 1 社のみであったが、日本
  でのビジネス拡大を推進するため一地域 1 社体制を崩し、ジェトロニクスを追加
  した(2002 年 SWIFT ビジネス・パートナー資格取得、2003 年 SWIFT サービス・
  パートナー資格取得)。現在では、アクティブな活動を行っているのはジェトロニ
  クスである。但し、SWIFTJapan としては、パートナーとの長期的な協力関係を重
  視するため、今後パートナーの数を増やしていくという考え方は今のところない。




○ジェトロニクスの事例


                        41
世界 30 カ国に拠点を持つオランダ企業の日本法人であるジェトロニクスは、前
   身の日本オリベッティ時代も含めて、日本でも 40 年以上の実績を持つ。金融業
   界には、決済、外為、融資の 3 分野を中心にサービスを提供している。

   現在、国内金融機関が決済に利用しているインフラには、国際業務の SWIFT、
   小口国内送金の全銀ネット、大口送金の日銀ネットの 3 種類がある。一方で海
   外、特に欧州では、国内・国際を問わず E ビジネスでは SWIFT が中心になって
   いる決済系システムに力を入れており、SWIFT と日銀ネットに対応したシステム
   を提供している。SWIFT 関連では、SWIFT から公認ベンダーに認定されており、
   多くの実績を有する。

   外国為替では、外為勘定系パッケージを提供している。外為の取り扱いが少な
   い銀行では勘定系システムに外為機能を付加するのはコスト面で非効率である
   ため、同パッケージはウェブでの送金依頼などにも対応し、地銀 30 数行で導入
   されている。また、スキャナーを利用した為替事務集中システムや大手行と共同
   開発の債券現物管理システムも提供しており、採用が進んでいる。



○ジェトロニクスの取り組み実績


                      42
① ダイヤモンド・コンピュータ・サービス(DCS)の事例 HTTP://WWW.DCS.CO.JP/
  ダイヤモンド・コンピュータ・サービス(DCS)の事例
                       ス(DCS
    ジェトロニクスは 2003 年 12 月より DCS が運営する「SWIFT サービス・ビュー
    ロ・システム」(いわゆる「スイフト共同利用センター」)である SWIFT サービス・ビ
    ューロのシステム開発をサポートしている。

    DCS は、三菱 UFJ フィナンシャルグループの IT 中核企業である。2003 年 12 月
    に日本初の SWIFT サービス・ビューロのサービスを開始した。2005 年 3 月 31
    日には三菱総合研究所との戦略的提携により、コンサルティングからシステム
    設計・開発、運用・処理サービス・ビューロタル・サービスのさらなるグレードアッ
    プを実現している。

    DCS は、SWIFT のプロトコル変更に対応し、02 年 12 月から金融機関向けに業
    務を開始している。大手銀行や政策系金融機関などのほか、有力地銀・第二地
    銀など 30 行庫が利用している。特に、SWIFTNet の導入により、期限限定での
    技術的変更が必須となった。これまで、自社で直接 SWIFT に接続していたが、
    技術的・人的に対応が困難となった銀行などが、SWIFT メンバーを辞めて、アウ
    トソーシング先として利用するケースが増えたものと思われる。そのため処理デ
    ータ量は、世界トップを誇るまで拡大している。今後は、商社、自動車などグロー
    バル展開をする大企業や、取引先が海外進出する地域金融機関にユーザを拡
    大する計画である。

 ②フランス FIRCOSOFT 社のアンチ・マネーロンダリング・ソリューションの事例


    ジェトロニクスは、DCS に対し、フランス FIRCOSOFT 社の金融機関向けアンチ・
    マネーロンダリング・ソリューション「OFAC-AGENT SUITE」を提供している。

    これにより、DCS の SWIFT サービス・ビューロに参加している金融機関は、不正
    送金を自動検知することが容易となるサービスを受けることが可能となった。

    SWIFT サービス・ビューロへの「OFAC-AGENT SUITE」の共同利用サービス
    構築は、金融機関のコンプライアンスへの対策強化を目的に、以下のような効
    果を提供することが可能となった。
      □ 金融機関に対し、不正送金を容易に自動検知することが可能なサービ
         スを提供する。
       □ 金融庁が推進している、特定金融情報室を中心とした金融機関に対す


                         43
る届け出を義務付け、検査・監督を通じてマネー・ロンダリング防止のた
        めの内部管理体制の構築を支援する。

  「OFAC-AGENT SUITE」の機能」
  ①業界トップクラスのフィルタリング制度
     □ FPH(FALSE POSITIVE HIT RATE:疑わしい先でないのにも関わらず
       誤認識する確率)が 0.5%以下の実績値を持ち、海外では JP Morgan
       Chase や BNP Paribas など大手金融機関が採用している。

  ②さまざまな金融当局のブラックリストにマルチ対応
    □ 米 国 OFAC 作 成 の 「 SDN リ ス ト 」 ( SPECIALLY   DESIGNATED
       NATIONALS AND BLOCKED PERSONS:特定国籍業者リスト)やその
       他の金融当局のチェックリストに対応し、マネー・ロンダリングを検知する。

  ③金融機関が独自に定義したルール設定への柔軟性
     □ 麻薬やテロ資金の国際的な取締りがますます強化されている中、対応不
       十分な金融機関に対しては業務改善命令や営業停止処分となるケース
       がある。また、、海外当局から罰金を課されることもある。そのため、金融
       機関でも独自にルール作りが必要で、こうしたルール対応はますます重
       要となっている。

  FIRCOSOFT 社について
     □ 1992 年にフランス パリで設立された。ユーロネクストに上場し 50 カ国
       以上に事務所を構える IT ベンダーSWORD GROUP に属している。
       OFAC AGENT SUITE ソリューションは、1994 年に ROYAL BANK OF
       CANADA に提供して以来、欧米・アジアなど世界各国で展開しており、現
       在は OFAC だけでなくマルチ当局対応にグレードアップしている。

○ファンドテック(FUNDTECH)の事例
○ファンドテック(FUNDTECH)の事例
         FUNDTECH

  当社は、企業および提携銀行間で、電子的なキャッシュ管理、支払処理、資金
  転送を可能とし、支払、決済、キャッシュ管理を容易にするソフトウエアをグロー
  バルに提供する大手プロバイダである。NASDAQ とテルアビブ証券市場に上場
  している。

  当社のクライアント・サーバおよびインターネットソフトウエア製品は企業、銀行、


                           44
清算システム間で資金転送プロセスを自動化し、企業が効率良くかつリアルタイ
  ムでグローバルなキャッシュ持高管理ができるようにできる。当社はスイスの子
  会社を通して世界最大規模の SWIFTNet サービス(参加金融機関間の金融取
  引にかかわるデータ交換・通信システム基盤・ネットワークサービス)を提供して
  いる。

  当社は、CLS(国際連続同時決済)システムの大手開発会社のひとつで、CLS
  決済会員銀行のうち 20 行に利用されている。当サービスを利用することでリス
  クの低減、効率向上、顧客サービスの向上などが可能となる。当社の支払およ
  び電子バンキング機能を利用することで、顧客銀行は他行と差別化が図れる優
  れたオンライン金融サービスを提供できる。


○住商情報システムの事例

  SWIFT の認定ビジネス・パートナーである住商情報システムは、マルチエンター
  プライズ・コラボレーション・ソリューション・プロバイダである、米国オハイオ州の
  「スターリングコマース」社の(HTTP://WWW.STERLINGCOMMERCE.COM/)と提
  携し、金融業界へ向けた SWIFT 接続ソリューションの営業を行っている。

  住商情報システムは、スターリングコマース社の SWIFT 接続ソフトウエアである
  「CONNECT:DIRECT FOR SWIFTNet」を活用した SWIFTNetFileAct 対応ソリ
  ューションを販売している。SWIFTNet FileAct は、SWIFTNet 上でリアルタイム
  にセキュリティの高いファイル転送を行うサービスで、国内大手金融機関などで、
  同社のソリューションが導入されている。

  SWIFT を利用する金融機関においては、従来から SWIFT が提供する FIN サー
  ビスに加えて、Interact、FileAct、Browse 等の各種の新サービスの利用が進め
  られている。FileAct は、欧米の金融機関においては、少額で大量の資金決済、
  証券取引や中央銀行等に対する定期的なレポート、ソフトウエアの配信、データ
  ベースの復旧等に活用されている。日本における FileAct の活用については、
  大手金融機関を中心に導入が進んでいる。

  「CONNECT:DIRECT FOR SWIFTNet」は、欧米の金融機関におけるマネージ
  ド・ファイル転送ソフトウエアとしてデファクト製品の一つとなっている
  「CONNECT:DIRECT」をベースに開発された製品である。金融業界での長年の
  実績を有し、FileAct の活用とともに安全・確実なファイル転送を実現すものであ


                          45
る。また、同製品は社内バックエンドシステムとのシームレスなデータ連携が可
   能で、クラアントにおける SWIFTNetFileAct 運用において、転送前後の処理を自
   動化するなど高い利便性を提供するものである。大容量のビジネスクリティカル
   なデータを安全かつ正確に相互転送できる高信頼性のファイル転送ソリューショ
   ンで、SWIFTNet に対応した高パフォーマンスのデータ交換により一括決済、連
   結諸表、画像、その他各種ファイルの転送を自動化し管理することができる。


◎セキュリティ

○SWIFTNet のセキュリティ・レイヤー 「SIPN」(SECURE IP NETWORK)
                        SIPN」(
                            」(SECURE NETWORK)

  SWIFT が提供するネットワークである SIPN は、ネットワークの階層をレイヤー1、
  レイヤー2、レイヤー3 の 3 つに分けている。

  ①レイヤー1
  「物理ネットワーク層」のことである。このネットワーク層では、VPN(VIRTUAL
  PRIVATE NETWORK:仮想私設網)を採用しており、インターネット・プロトコルの
  TCP/IP を使って、専用線と同等のセキュリティと公衆回線と同等な経済性を有し
  ている。
  また、主要な国際通信キャリアとの契約により、世界中にアクセス・ポイントがあ
  り、高速のネットワークに即時アクセスできるため、全世界的な接続性を実現して
  いる。

  ②レイヤー2
  「INFORMATION TRANSFER 層」であり、Messaging レイヤーである。SIPN におけ
  る基本的な処理を担当している。この層は、STORE AND FORWARD の仕組みを
  持ち、かつリアルタイムにデータ伝送することが可能であり、セキュリティのインフ
  ラ・ストラクチャーである PKI の仕組みや運用サービス管理等の機能を持ってい
  る。
  この層においては、ミドルウエアによる処理が可能となっている。ミドルウエアは、
  フォーマットの変換等の処理を、人手を介さずに行う。ミドルウエアは、特に証券
  系における情報交換、フォーマットの変換、マッチング等で利用されており、
  GSTPA のマッチング機関としてのアウトソーシングを受託する場合にも必要なも
  のである。
  なお、ミドルウエアの中で比較的高機能なものとして「WORKFLOW」がある。これ
  は、あるルールに基づいた 1 つの仕事に対して、段階を追って様々な処理を加え


                           46
られるものであり、SWIFT.としては HUB-AND-SPOKE における新しいネットワー
  クに、「WORKFLOW」の技術の利用を想定している。

  ③レイヤー3
  「 ア プ リ ケ ー シ ョ ン 層 」 で あ り 、 基 本 的 に は T-COPY 、 Y-COPY 、 SWIFT の
  ACCORD 等のアプリケーションの新バージョンがここに搭載される。また、マーケ
  ット・インフラのアウトソーシングを受託する際には、このレイヤー3 で処理をする
  形になる。




(SWIFTNet フェーズ 2 での対応)
    SWIFTNet はフェーズ 1 でオープン化した。そのため、フェーズ 2 では、既存の
  サービスの強化・ソリューションの改善とともに、セキュリティを強化することを主
  眼としている。
  現在、SWIFTNet はフェーズ 2 の段階に移行。05 年から 06 年までが準備期間
  で、08 年末までには全ユーザが移行を完了する予定である。
  システム接続時の認証の機能が向上する。SWIFT を利用して発信する電文に
  発信者の秘密鍵による電子証明書を付加するため、煩雑な暗号管理がなくなり、
  安全性も向上することが期待されている。




                               47
現行の SWIFTNetFIN (フェーズ 1)




次の SWIFTNetFIN (フェーズ 2)




                           48
従来 SWIFT のセキュリティは BKE 方式(相互キー交換)方式で、一つ一つキー
  の交換が必要で、通信などへの負担が大きかった。フェーズ 2 では、すべての
  送受信データが、公開鍵方式(PKI)を採用したものとなり、シンプルでかつ安全
  性が高まることとなる。


○SWIFTNet フェーズ 2
   フェーズ 2 における FIN サービスの機能向上を目指す。

  さらに、SWIFT ユーザにとっては、フェーズ 2 に移行することにより提供される
  PKI の技術を利用することで、現行フェーズ 1 システムで最も広範に利用されて
  いる SWIFTNet FIN(FIN)サービスに、以下 3 つのセキュリティ上のメリットが提供
  され、強化されたセキュリティが確保される。

① システム接続の認証に関する機能向上
    □ FIN システムへのアクセス時に正当なアクセス権限を持つことを PKI によ
       るソフトウエアの認証方式で実施する。
     □ 現行は専用機器を使い接続ごとに生成されるセッションキーを使用する
       ことで、システムへの接続の認証を行っているが、PKI 方式に移行するこ
       とで認証を意識する必要がなくなる。
② 電文発信者の認証に関する機能向上
   □ SWIFT を利用して発信する電文に発信者の秘密鍵(シークレット・キー)
       による電子証明書を付加することで、受信者側は発信者の公開鍵を使っ
       て認証を実施する。
     □ 現行は発信者と受信者があらかじめ好感した暗号(BK)を使用し、発信
       者の認証を行うため、相対するコルレス先の数の分だけ BK をあらかじ
       め交換しておく必要があったが、秘密鍵を利用することで、煩雑な暗号管
     理が安全かつ効率化することができる。
③ 電文メッセージ改ざん防止
     □ 電文内に埋め込まれた改ざん防止用のチェック文字列に発信者の秘密
       鍵で署名する。
     □ 現行は、②と同様に BK の交換を取引先の数分実施する必要があるが、
       PKI 方式はその都度自動で公開鍵を利用するために煩雑なオペレーショ
       ンが不要となる。

○セキュリティ(SWIFTNet
○セキュリティ(SWIFTNet フェーズ 2 での対応)の詳細




                       49
HSM(HARDWARE SECURITY MODULE)の導入
     □ PKI(公開鍵方式)の計算処理を行う専用機器として、SWIFT 指定のベン
       ダーからセキュリティ用ハードウエアである HSM の導入が求められる。

   RMA(RELATIONSHIP MANAGEMENT APPLICATION)の導入
     □ 通信相手の管理(通信許可)を行う新アプリケーションの導入が求められ
       る。PHASE2 移行後も現在の通信相手先との送受信を継続して行えるよ
        うに、相手先リストの移行が必要である。また、対応後の業務に関する運
        用も変更となるため、事前のオペレーション研修が必要となってくる。

   SWIFT 製品のバージョンアップ
     □ HSM・RMA を利用し、PHASE2 規格での SWIFT 通信を行うことが出来る
       よ う に SWIFT 製 品 の 最 新 バ ー ジ ョ ン が 必 要 と な る ( 例 え ば 、
        SWIFTAlliance 製品などのバージョンアップ作業)。また、作成される電文
        規格も変更になるため、後続のバックアップオフィスとデータを連携して
        いる場合には、PHASE2 規格の電文による影響がないか事前の確認が
        必要な場合がある。

   基盤 OS のバージョンアップ
     □ SWIFTAlliance 製品の最新版を導入するため、PC 及びサーバのインフラ
       規格の変更が必要になる場合がある。なお対応はクライアントの状況に
        より異なるので、検討が必要である。


◎BUSINESS CONTINGENCY PLAN(災害対策)
                      PLAN(災害対策)

   SWIFT による災害対策
     □ SWIFT のすべての通信設備は二重化され、安全が確保されている。
     □ さらに、欧米と米国にあるオペレーション・センターは相互にバックアップ
       関係にある。
     □ SWIFT は、STORE AND FORWARD 方式を採用しており、全てのメッセー
        ジは、SWIFT のネットワークを通過するまで、正確性、完全性、タイムリー
        な配信が確保されており、99.999%の信頼性を達成している。

   サービス・ビューロによる災害対策
     □ DCS(ダイヤモンドコンピュータサービス)によるバックアップサイトの事例




                            50
◎マネーロンダリングへの取り組み

   SWIFT としては、マネーロンダリングは重要であるとの認識はある。どこかの国
   の金融当局に監督されているわけでもなく、国際的な中立的なインフラである
   立場を貫き、データの中身まではタッチしないのが原則である。マネーロンダリ
   ングへの対応は、各銀行の責任であるとの考え方である。


2-3.SWIFT のビジネスモデル

   接続形態は、① INFRASTRUCTURE-CENTRIC、 ②PRIVATE MESSAGING ③
   INDUSTRY-WIDE、の 3 つである。

 ①INFRASTRUCTURE-CENTRIC
     □ 最も開発優先順位が高い。
     □ HUB-AND-SPOKE モデル。MANY-TO-ONE の形式をとり、GSTPA、
        CLS 銀行等の新しいサービスはこの形態で提供。非常に成長性が高い
        と予測されるモデル。


                           51
□ HUB の部分にすべての情報が集まり、データベースを構築、処理の追加
        等が可能。

 ②PRIVATE MESSAGING
     □ INFRASTRUCTURE-CENTRIC に次いで開発優先順位の高いもの。
     □ 行内ネットワークのような形のものであり、欧州において長期的な成長性
       が期待。

 ③INDUSTRY-WIDE
     □ 最も開発優先順位が低いもの。
     □ MANY-TO-MANY モデル。現行の SWIFT のネットワークに近いものであ
        り、十分な移行期間を必要とするため、最後に更新する計画。


◎金融機関等との役割分担

○SWIFTNet 導入を利用した新たなサービス

   CLS 銀行(CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT BANK)
     □ 「外為取引の 2 通貨(売渡通貨と買受通貨)の同時決済」を連続的に行う
       仕組である。1977 年 7 月に CLSS(CLS SERVICE LTD.)が設立した。
     □ 1998 年 4 月に CLSS の会議の中で、SWIFT の次世代ネットワークであ
        る SWIFTNet の利用を決定し、SWIFTNet が利用されている。

   GSTPA(GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION)
     □ グローバルな証券取引のマッチング等を実施する機関である。
     □ CLS 銀行と同様にネットワークに SWIFTNet を利用している。GSTPA に
        関しては、スイスの SIS、TKS/TCS、SWIFT の 3 社で構成されている。
        「AXION4」の開発を実施中である。
     □ GSTPA による SWIFTNet の利用により、証券メッセージが増大(400 万
       件/日から 2,000 万件/日にまで増加すると予想。)


◎SWIFT 導入のメリット・デメリット

○メリット

   マーケットに対するアクセス時間の短縮


                             52
業界標準の利用による開発コストが削減でき、共通部品の共有化が可能となる。
  単一ネットワークによる異なる業務分野の統合
  新しいテクノロジーの活用による通信費用の削減
  インタラクティブかつリアルタイムに情報をやり取り可能となるため、世界中から
  リスク管理および流動性管理の情報を取得可能
  SWIFT によるサービス・マネジメント実施
  ユーザ要求への柔軟性の向上


○デメリット

  SWIFTNet フェーズ 2 移行時に、暗号化等の処理量が多くなるため、コンピュー
  ターシステムの高い処理能力が必要となる。
  MT プロトコル変更への対応が必要
    □ ISO15022 メッセージは今後、証券取引の標準メッセージとなる。これへ
      の対応で現行システムの更新が生じ、金融機関に負担を生じる可能性
     あり。
  専用システムが必要
    □ SWIFTNet に接続するためにはインターフェースを受け持つ SWIFTCBT
      の導入が必要であり、システムの運用負担が発生する可能性あり。
  災害対策サイトの設置が必要
   □ 現行システムの更新が生じ、金融機関に負担が生じる可能性あり。


◎SWIFT における金融業界の通信メッセージの標準化推進活動

  金融業務で利用される通信メッセージはさまざまである。しかし、近年、欧米の
  銀行・証券業界では、様々な金融業務で利用される通信メッセージを標準化す
  るための統合的な枠組みとして、新しい国際規格である ISO20022(UNIFI;ユニ
  ファイ)を活用する動きが広がりつつある。

  欧州では、大規模なプロジェクトや制度改革が進む中、小口決済、投資信託等
  に関連する通信メッセージを ISO20022 に基づいて標準化する動きがみられる。
  さらに米国でも、Web サービスを用いた企業間決済のための通信メッセージを
  ISO20022 の枠組みのもとで開発する動きがある。

  SWIFT では、これまでデータは固定長のフォーマットであった UML 対応から
  XML 対応への移行進めており、約 2 年間パイロットプロジェクトを推進してきて


                     53
おり、この標準の策定・普及を促すリーダー的な役割を果たしている。

これにより、企業や銀行内のビジネスフローへ、直接的なデータの取り込みが可
能となる。取引のマッチングが容易となり、トレーサビリティーが向上することか
ら、企業や金融機関内での取引管理能力の向上が期待できる。




                54
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)

More Related Content

What's hot

Collateral Management and Market Developments - Whitepaper
Collateral Management and Market Developments - WhitepaperCollateral Management and Market Developments - Whitepaper
Collateral Management and Market Developments - WhitepaperNIIT Technologies
 
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdf
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdfSoftware Ecom and Fintech 2020 report.pdf
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdfDhatrpriyaLakhanee
 
International Auditing Organizations – Big Four
International Auditing Organizations – Big FourInternational Auditing Organizations – Big Four
International Auditing Organizations – Big FourYura Stakh
 
What is RegTech?
What is RegTech?What is RegTech?
What is RegTech?Abi Smith
 
Beyond Banking: New Business Models for the Digital Era
Beyond Banking: New Business Models for the Digital EraBeyond Banking: New Business Models for the Digital Era
Beyond Banking: New Business Models for the Digital EraJessica Wilkinson
 
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...eraser Juan José Calderón
 
Revolut - Really the best bank ever?
Revolut - Really the best bank ever?Revolut - Really the best bank ever?
Revolut - Really the best bank ever?JeremyDemange
 
What’s all the Fuss with ISO 20022?
What’s all the Fuss with ISO 20022?What’s all the Fuss with ISO 20022?
What’s all the Fuss with ISO 20022?Nasreen Quibria
 
Telegraphic transferred and MICR
Telegraphic transferred and MICRTelegraphic transferred and MICR
Telegraphic transferred and MICRAvishek Raut
 
Dissertation presentation on Digital Wallet
Dissertation presentation on Digital WalletDissertation presentation on Digital Wallet
Dissertation presentation on Digital WalletHardikBhandari7
 
Payments and transaction processing systems - Global and Indian Overview
Payments and transaction processing systems - Global and Indian OverviewPayments and transaction processing systems - Global and Indian Overview
Payments and transaction processing systems - Global and Indian OverviewAkshay Kaul
 

What's hot (20)

Collateral Management and Market Developments - Whitepaper
Collateral Management and Market Developments - WhitepaperCollateral Management and Market Developments - Whitepaper
Collateral Management and Market Developments - Whitepaper
 
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdf
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdfSoftware Ecom and Fintech 2020 report.pdf
Software Ecom and Fintech 2020 report.pdf
 
F88 pitch deck
F88 pitch deckF88 pitch deck
F88 pitch deck
 
International Auditing Organizations – Big Four
International Auditing Organizations – Big FourInternational Auditing Organizations – Big Four
International Auditing Organizations – Big Four
 
Currency unions for south east asia
Currency unions for south east asiaCurrency unions for south east asia
Currency unions for south east asia
 
Swift
SwiftSwift
Swift
 
Payment Card System Overview
Payment Card System OverviewPayment Card System Overview
Payment Card System Overview
 
Swift
SwiftSwift
Swift
 
What is RegTech?
What is RegTech?What is RegTech?
What is RegTech?
 
Starling Bank Deep Dive
Starling Bank Deep DiveStarling Bank Deep Dive
Starling Bank Deep Dive
 
INTERNATIONAL TRADE FINANCE
INTERNATIONAL TRADE FINANCEINTERNATIONAL TRADE FINANCE
INTERNATIONAL TRADE FINANCE
 
Beyond Banking: New Business Models for the Digital Era
Beyond Banking: New Business Models for the Digital EraBeyond Banking: New Business Models for the Digital Era
Beyond Banking: New Business Models for the Digital Era
 
12 neobanks for SMEs and GIGs
12 neobanks for SMEs and GIGs12 neobanks for SMEs and GIGs
12 neobanks for SMEs and GIGs
 
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...
Central banks and the future of digital money. A practical proposal for centr...
 
Revolut - Really the best bank ever?
Revolut - Really the best bank ever?Revolut - Really the best bank ever?
Revolut - Really the best bank ever?
 
What’s all the Fuss with ISO 20022?
What’s all the Fuss with ISO 20022?What’s all the Fuss with ISO 20022?
What’s all the Fuss with ISO 20022?
 
Telegraphic transferred and MICR
Telegraphic transferred and MICRTelegraphic transferred and MICR
Telegraphic transferred and MICR
 
Visa
VisaVisa
Visa
 
Dissertation presentation on Digital Wallet
Dissertation presentation on Digital WalletDissertation presentation on Digital Wallet
Dissertation presentation on Digital Wallet
 
Payments and transaction processing systems - Global and Indian Overview
Payments and transaction processing systems - Global and Indian OverviewPayments and transaction processing systems - Global and Indian Overview
Payments and transaction processing systems - Global and Indian Overview
 

Similar to 国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)

金融論2/3 午前
金融論2/3 午前金融論2/3 午前
金融論2/3 午前Yukio Saito
 
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例KVH Co. Ltd.
 
2010-04-13 Fcec at FindStar Forum
2010-04-13 Fcec at FindStar Forum2010-04-13 Fcec at FindStar Forum
2010-04-13 Fcec at FindStar ForumFCEC
 
投資家向けマネージドアカウントマニュアル
投資家向けマネージドアカウントマニュアル投資家向けマネージドアカウントマニュアル
投資家向けマネージドアカウントマニュアルmamanager
 
デザインコンペ報告PR用_4 Takakuwa
デザインコンペ報告PR用_4 Takakuwaデザインコンペ報告PR用_4 Takakuwa
デザインコンペ報告PR用_4 TakakuwaTradeWaltz
 
主要3ファンド紹介資料 20160224
主要3ファンド紹介資料 20160224主要3ファンド紹介資料 20160224
主要3ファンド紹介資料 20160224Crowdcredit_inc
 
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」Samurai Incubate Inc.
 
これからのデジタルサイネージビジネス
これからのデジタルサイネージビジネスこれからのデジタルサイネージビジネス
これからのデジタルサイネージビジネス株式会社はまぞう
 
【01】100209 Fcec
【01】100209 Fcec【01】100209 Fcec
【01】100209 FcecFCEC
 
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆Toshio Taki
 
金融機関向けブロックチェーン・ビジネス
金融機関向けブロックチェーン・ビジネス金融機関向けブロックチェーン・ビジネス
金融機関向けブロックチェーン・ビジネスHiroshi Shimo
 
マネーフォワード クラウド経費サービス資料
マネーフォワード クラウド経費サービス資料マネーフォワード クラウド経費サービス資料
マネーフォワード クラウド経費サービス資料Money Forward, Inc.
 
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料tetsuro ito
 
Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Hideaki Suzuki
 
Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Hideaki Suzuki
 
20110630Code4Lib JAPAN報告書
20110630Code4Lib JAPAN報告書20110630Code4Lib JAPAN報告書
20110630Code4Lib JAPAN報告書Code4Lib JAPAN
 
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)Toshio Taki
 

Similar to 国際金融決済システムSWIFTとは(完全版) (20)

金融論2/3 午前
金融論2/3 午前金融論2/3 午前
金融論2/3 午前
 
Fintech2017
Fintech2017Fintech2017
Fintech2017
 
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例
高頻度売買取引(HFT)向け IT ソ リューション導入事例
 
2010-04-13 Fcec at FindStar Forum
2010-04-13 Fcec at FindStar Forum2010-04-13 Fcec at FindStar Forum
2010-04-13 Fcec at FindStar Forum
 
Hyperledger meetup 20190319 (2)
Hyperledger meetup 20190319 (2)Hyperledger meetup 20190319 (2)
Hyperledger meetup 20190319 (2)
 
投資家向けマネージドアカウントマニュアル
投資家向けマネージドアカウントマニュアル投資家向けマネージドアカウントマニュアル
投資家向けマネージドアカウントマニュアル
 
デザインコンペ報告PR用_4 Takakuwa
デザインコンペ報告PR用_4 Takakuwaデザインコンペ報告PR用_4 Takakuwa
デザインコンペ報告PR用_4 Takakuwa
 
主要3ファンド紹介資料 20160224
主要3ファンド紹介資料 20160224主要3ファンド紹介資料 20160224
主要3ファンド紹介資料 20160224
 
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」
サムライセミナー「スタートアップのための失敗しないオフショア開発の利用法」
 
Future of crypto assets
Future of crypto assetsFuture of crypto assets
Future of crypto assets
 
これからのデジタルサイネージビジネス
これからのデジタルサイネージビジネスこれからのデジタルサイネージビジネス
これからのデジタルサイネージビジネス
 
【01】100209 Fcec
【01】100209 Fcec【01】100209 Fcec
【01】100209 Fcec
 
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆
Fintechベンチャーがもたらす日本市場への示唆
 
金融機関向けブロックチェーン・ビジネス
金融機関向けブロックチェーン・ビジネス金融機関向けブロックチェーン・ビジネス
金融機関向けブロックチェーン・ビジネス
 
マネーフォワード クラウド経費サービス資料
マネーフォワード クラウド経費サービス資料マネーフォワード クラウド経費サービス資料
マネーフォワード クラウド経費サービス資料
 
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料
20170207 bigdata analytics_tokyo講演資料
 
Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316
 
Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316Future standard会社紹介 20170316
Future standard会社紹介 20170316
 
20110630Code4Lib JAPAN報告書
20110630Code4Lib JAPAN報告書20110630Code4Lib JAPAN報告書
20110630Code4Lib JAPAN報告書
 
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)
Fintechにおける オープンイノベーションの最新動向(2015年8月)
 

More from Fusion Reactor LLC

米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却Fusion Reactor LLC
 
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒントFusion Reactor LLC
 
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向Fusion Reactor LLC
 
Market & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersMarket & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersFusion Reactor LLC
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察Fusion Reactor LLC
 
米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向Fusion Reactor LLC
 
スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上Fusion Reactor LLC
 
米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業Fusion Reactor LLC
 
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術Fusion Reactor LLC
 
バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析Fusion Reactor LLC
 
企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 Fusion Reactor LLC
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)Fusion Reactor LLC
 
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用Fusion Reactor LLC
 
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案Fusion Reactor LLC
 
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにFusion Reactor LLC
 
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webJetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webFusion Reactor LLC
 
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?Fusion Reactor LLC
 
血糖値測定装置市場動向(完全版)
血糖値測定装置市場動向(完全版)血糖値測定装置市場動向(完全版)
血糖値測定装置市場動向(完全版)Fusion Reactor LLC
 

More from Fusion Reactor LLC (20)

米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
 
Covid19 stanford study
Covid19 stanford studyCovid19 stanford study
Covid19 stanford study
 
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
 
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向
米国西海岸のクリーン・エネルギー企業動向
 
Market & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersMarket & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D Printers
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察
 
米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向
 
スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上
 
米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業
 
どっこい合衆国
どっこい合衆国どっこい合衆国
どっこい合衆国
 
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
 
バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析
 
企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
 
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
 
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
 
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
 
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webJetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
 
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
 
血糖値測定装置市場動向(完全版)
血糖値測定装置市場動向(完全版)血糖値測定装置市場動向(完全版)
血糖値測定装置市場動向(完全版)
 

国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)

  • 1. 国際金融決済システム SWIFT とは 目次 1.SWIFT の概要..................................................................................................................... 2 1-1.SWIFT とは(業務、組織、経営、関連会社 等) ................................................. 2 1-2.SWIFT の歴史(過去の取組みや最近の取組み)................................................... 14 2.サービスの概要 ............................................................................................................... 18 2-1.現在のサービスラインナップ(仕組み、料金体系) ........................................... 18 2-2.システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP 等)................................. 37 2-3.SWIFT のビジネスモデル ....................................................................................... 51 3.現時点での実績 ............................................................................................................... 55 3-1.海外での実績 ......................................................................................................... 55 3-2.日本国内での実績 .................................................................................................. 66 4.今後の戦略 ...................................................................................................................... 72 4-1.グローバルでの戦略............................................................................................... 72 4-2.アジア向け戦略...................................................................................................... 76 4-3.日本向け戦略 ......................................................................................................... 77 1
  • 2. 1.SWIFT の概要 1-1.SWIFT とは(業務、組織、経営、関連会社 等) ◎SWIFT の概要 SWIFT ( Society Society WORLDWIDE INTERBANK FINANCIAL TELECOMMUNICATION)とは、73年に設立の、国際取引を行う世界中の主要 銀行が設立したワールドワイドな通信ネットワークである。安全で標準化され た通信サービス、およびインターフェースソフトウエアを、206カ国・地域、約 8,000の金融機関に提供している。組織形態としては、非営利の「協同組合 (COOPERETION)」であり、ベルギーに本部を置いている。 提供サービスとしては、外国為替、貿易、送金などの資金決済や証券取引に 必要な主要メッセージをインフラとして提供している。国際金融市場の基幹イ ンフラではあるが、厳密な意味では、金融機関でも支払システムでもなく、金 融取引のメッセージのキャリアにしかすぎない。しかしながら、決済業務にお いて非常に重要な役割を果たしており、各国の中央銀行や、他の銀行業界・ 証券業界などのインフラと連携しながら、現金・手形などの現物の処理や銀 行・証券取引などにおける決済システムなどを支えている。 SWIFTのメンバーは、銀行、ブローカーディーラー、投資会社などを含んでおり、 最近では、決済の市場インフラを提供する企業、証券会社、財務関連、商社 などにも対象を拡大している。さらに地域的にも、発祥の地である欧州から、 アジア・オセアニア、アメリカ、アフリカへと広がりを見せている。 日本国内では、2005年10月現在で約270の金融機関などのユーザ企業が参 画しており(500以上のSWIFTコード(BICコードともいい、組織ごとに割り当てら れる。)があり、資金決済や証券取引の主要メッセージインフラを提供している。 日本からの発信メッセージシェアは約3%、国別順位では9位となっている。 利用者、利用数の拡大に伴って、SWIFTにおけるメッセージ交換の価格は、過 去10年で80%以上、ここ5年で50%引き下げられており、システムは99.999%の信 頼性(1年を通じてダウンタイムがトータルでせいぜい1、2分程度)を実現して いる。 2
  • 3. ◎SWIFT の特徴 SWIFT は、金融業界にメッセージ・サービスを世界的に提供する共同組合で あり、ユーザ自身が出資者でもある。本部はベルギーであり、欧州での活用 が活発であるが、出資者は世界に分散している。 SWIFT は営利団体ではない。そのため、オペレーション・センター、ネットワー クなどの開発費、メンテナンスなどのコストを差し引いた上で、剰余金が生じれ ば料金の引き下げ、リベートなどによってユーザに還元することとしている。 高度に安全な金融情報メッセージ・サービスを安価に提供することを主眼とし ており、近年では、世界の金融業界の標準化の推進母体という位置づけも強 まっている。 ◎銀行間の決済の仕組み 国際間で資金決済を行う場合には、一箇所で集中決済を行う制度はないため、 海外との資金決済を行う場合には、金融機関同士で個別に資金決済を行う必 要がある。通常は、コルレス契約を締結したコルレス銀行を用いることとなる。 銀行間での決済(日米間での外国為替の事例)における SWIFT の役割(事 例) ■ 日本の銀行と外国銀行間で、外国為替の決済についての事例を取り上げる。 3
  • 4. ①日本において外為決済システムを用い A 銀行から B 銀行へ円を受け渡す。 ②B 銀行はコルレス契約先行の自行口座から A 銀行のコルレス契約先へと口 座振込を依頼(この際かつてテレックスが使われていた)。 ③米国において CHIPS(米国の大口決済サービス)を用い B 銀行から A 銀行 へドルを受け渡す。 ④A 銀行のコルレス契約先行から A 銀行へと入金を通知する。 そもそも、SWIFT 設立の当初の目的は、従来、国際取引において、コルレス銀 行とのデータ送信、および入金通知はテレックス、ファックス、郵便などによっ て行われていたが、非効率、不確実であったため、コンピュータ化することで、 自動処理を実現することであった。そのため、従来ばらばらであった通信フォ ーマットを統一することが必要となったが、そのため共通化を進めることが SWIFT の活動の歴史となった。 ◎ビジョンとミッション ○ビジョン 国際的な金融市場において、リスクを最大限に押さえ、最高の耐障害性を提 供する、フォーマット化された通信メッセージのインフラとなる。 上記を達成するために、「ネットワーク時代の有力なネットワークサービスの 1 つ」と呼ばれてきたことを活用し、メンバー企業の世界的なコミュニティのため に、このネットワークサービスにおける、非常に大きな潜在力を開拓する。 ○ミッション SWIFT は、世界的な金融機関のコミュニティであり、メンバー企業、マーケット のインフラ、エンドユーザ・コミュニティの間で、相互連携を可能とするコミュニ ケーションソリューションのリーダーとなることを目的としている。 上記のため SWIFT は、以下のことを実行する。 □ メンバーと協力し、低コスト、競争力のある金融プロセッシング、及び最 高のセキュリティと信頼性を有する通信サービスを提供する。 □ メッセージ処理と金融の標準化において、リーダーとして得られた専門 知識に基づいて、エンドツーエンドの金融取引プロセスの自動化を推 4
  • 5. 進し、メンバーのビジネスの発展に大きく貢献する。 □ 世界の金融機関のための国際的なオープンフォーラムとしての地位を 活用し、業界レベルの脅威、種々の問題と事業機会を議論する場とな る。 □ 最高の人材を雇い入れ、最も有益なリソースに投資を行い、その専門 性、実効性、ビジョン、マネジメントによって尊重されるような、世界をリ ードする組織になる。 設立当初は、決済情報交換のインフラとしてスタートしたのであるが、次第に、 金融に関わる情報交換における、世界の標準化をリードする組織を目指すよ うになってきた。 ◎参加資格 参加者は以下の 3 つのカテゴリーに分かれる(国によって若干異なる)。全部 で 8,000 以上の会員数である。 ①メンバー 出資者でもある。1999 年までは、加盟国の銀行のみであった。最近は、証券 会社および投資顧問会社もメンバーとして参加するケーが増えている。証券 系のメッセー ジが大 きく伸びており、今後の 決済システムインフ ラとして GSTPA (GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION、グ ローバルな証券のマッチング等を実施する機関)等の運用開始をターゲットに、 インフラを提供しようとしている。加盟時には、株の引受以外に 1 万ユーロの 加盟金を支払う。現在 2,300 の会員がメンバー登録している。 ②サブ・メンバー メンバーの在外支店やメンバー出資行の子会社(出資比率 50%以上)等が相 当する。加盟金は 5,000 ユーロである。 ③パティシパント メンバーおよびサブ・メンバー以外の接続先である。証券会社、投資顧問会社、 マネーブローカー、CSD、一般事業会社等が相当する。最近は、一部の出資 の少ないメンバー銀行が、SWIFT サービスのアウトソーサーであるサービス・ ビューロが増えるに従い、出資金の返却を受け、メンバーからパティシパント に移行する動きがある。日本では証券会社など、銀行以外の会員が増えてい 5
  • 6. ることから、パティシパントが増加している。加盟金は 2,000 ユーロ。 ◎SWIFT の参加者 ○SWIFT の参加者の広がり(参加業界・団体と参加年) SWIFT は、1973 年の設立当初、銀行をメンバーとして、銀行間の資金決済の インフラとしてスタートした。しかし、87 年以降、大きく戦略を変更し拡大路線を 採用した。資金決済システム、保管・決済サービス、ブローカーディーラー、証 券取引所など、銀行関連サービスへ対象を拡大した。更に、87 年から証券取 引に関する通信サービスの提供も始めたが、証券取引に関するメッセージは 年々増加し、成長率は資金決済に関するメッセージの 2 倍になっている。90 年には受託サービス、さらには 98 年以降、インターネットの拡大とともに、資 金決済システムのインフラ、証券決済システム、行政機関、保険会社、事業法 人などと立て続けに対象を拡大してきた。 世界に広がるインフラ事業であることから、先行的に設備投資を必要とする。 利用者の拡大が価格の低下につながるため、近年、オープン化への対応にと もなって、積極的に対象を増やすことに注力するようになってきた。 6
  • 7. ◎SWIFT のオフィス 現在、全世界に 17 箇所のオフィスを持つ。世界の全職員は 1,800 名である。 欧州が発祥の地であり、もっとも多くのオフィスを持つ。近年では、欧州通貨統 合への対応と同時に、アジア地域への拡大を進めるため、北京事務所を開設 するなど、BRICs への対応を重視し始めている。 業務量の多い国・地域にオフィスを設置しており、その国・地域では SWIFT が 直接営業を行っている。但し、それ以外のところでは、パートナーが代行して 行う。たとえば、韓国、ミャンマー、ベトナムなどはオフィスがないが香港オフィ スがカバーしている。 南北アメリカ地区: □ サンパウロ(ブラジル)、ニューヨーク(アメリカ合衆国) アジア太平洋地区: □ シドニー(オーストラリア)、香港(香港)、東京(日本)、北京(中華人民 共和国)、シンガポール(シンガポール) 欧州アフリカ中近東地区: □ ラ・ユルプ(ブリュッセル郊外;本部& ベルギー)、パリ(フランス)、フラ ンクフルト(ドイツ)、ミラノ(イタリア)、ホートン (南アフリカ)、マドリード (スペイン)、ストックホルム(スウェーデン)、チューリッヒ(スイス)、デュ バイ(アラブ首長国連合)、ロンドン(イギリス) ◎経営及びガバナンス 7
  • 8. SWIFT の経営及びガバナンスは、通常の株式会社とは若干異なる。株式会社 では、最初に出資した出資金に相当する株数株数に比例した投票権を有する が、SWIFT では、年間に支払ったフィーを比例した株数にあわせて、投票のポ イントが決まる。 新メンバーは、加盟時点で加盟金を払い、1 株が与えられる。基本的には、メ ンバーは最低 1 株を所有する。株数は少なくとも 3 年ごとに、見直しされる。 サブ・メンバーの貢献も合わせた、それぞれのメンバーの金銭的な貢献度合 いに比例して、株数を割り当てられ、年次総会の 30 日前までに通知がなされ る。つまり、トラフィック量および利用度合いに応じて、発言力が増すシステム になっている。 ガバナンス・経営の階層は以下である。 □ SWIFT の組織としての意思決定は、メンバーによる年次総会である。 □ 実質的な意思決定機関は、BOAD (理事会)が行う。 □ BOADMEMBER は、計 25 名である。出資の順に、上位 6 カ国から 2 名ずつ、7 位から 16 位まで 1 名ずつ、17 位以下は共同推薦により 3 名が選ばれる。2005 年時点での日本は 9 位であるため、1 名が三菱 東京 UFJ 銀行から派遣されている。 □ その他、BOADCOMMITTEE、国別グループ、ユーザ・グループ、アドバ イザリーグループなどが階層別に構成されている。 □ G10(主要 10 か国蔵相・中央銀行総裁会議)諸国の中央銀行および ベルギー国立銀行(リーダー)による、国際協調オーバーサイト(監督) がなされている。SWIFT は特定の国際機関に属さない、独自の共同組 合ではあるが、運営に支障が生じた場合には、全世界的に多大な影 響が及ぶことが予想される。そのため、SWIFT が、金融安定化や金融 インフラの健全性に対して、さまざまなリスク管理を行うための、適切な 内部統制やリスク管理体制を備えていることを確保するため、国際協 調オーバーサイトがなされている。 日本のメンバー&ユーザ・グループは、東京銀行協会が事務局機能を代行し ている。SWIFT のサービスに関する会員の意見集約・意見具申、各種講習会 やセミナーを定期的に行っている。 日本銀行は、SWIFT の国際協調オーバーサイトにも G10 の主要メンバーとし 8
  • 9. て参加している。 ◎パートナー SWIFT は国際金融ネットワークの立場から、各地域へのサービスを展開する ために、さまざまな企業とパートナーシップを結んでいる。アプリケーションベ ンダー、コンサルタント、インターフェースプロバイダー、インストールエキスパ ート、セールスエージェント、リセーラー、ネットワークプロバイダなどの種々の パートナーと連携し、ビジネスを推進している。パートナーは、大きく分けて、営 業及びプロモーションなどを行う「ビジネス・パートナー」、メンテナンス等カスタ マーケアを行う「サービス・パートナー」、システム開発・構築等を担当する「ソ リューション・パートナー」、回線接続等を担当する「ネットワーク・パートナー」 に分かれる。 SWIFT は、パートナー認定制度を導入しており、SWIFT のパートナーになるた めには SWIFT の認定資格に合格する必要がある。 ○ビジネス・パートナー ○ビジネス・パートナー SWIFT は、国または地域ごとに、限定された国または地域内において SWIFT に代わって活動を行う、外部のパートナー会社を選定し、長年にわたってネット ワークを構築している。これら企業は、「SWIFT ビジネス・パートナー」と呼ばれ ている。 これらの会社は SWIFT 製品の拡販とリセール(例えば SWIFTAlliance システム と SWIFTNet サービスを新規及び既存顧客に提供する)に対して責任を持つ。 さらに、製品インストールのサービスも提供し、インテグレーションサービスも提 供することがある。また、ビジネス・パートナーの中には、自社のテリトリーの中 で SWIFT トレーニングコースを開催したり、ローカルユーザへのヘルプデスク サービスを提供したりしているものもある。 多くの SWIFT ビジネス・パートナーは、民間の「サービス・ビューロ」を通して SWIFT ネットワークへの接続サービスを提供する。これらの「サービス・ビュー ロ」は、非常に安全な方法で、そして、SWIFT が規定した厳格な規則に従って営 業を行う。これらの規則の完全なる遵守により、サービス・ビューロは、ビジネ ス・パートナーとしてのサービス・ビューロに認定される。 9
  • 10. さらに、全てのビジネス・パートナーは、SWIFT が提供するサービスに加え、シ ステムインテグレーション、一般的なコンサルティング、顧客向けシステムのイ ンストールなどにおいて、さまざまなサービスを提供している。そして、SWIFT の 顧客の多くから、これら追加のサービスは、SWIFT 製品およびサービスの範囲 を補完しており、相乗効果を与えていると評価されている。 日本では、住商情報システムとジェトロニクスの 2 社が、SWIFT の認定ビジネ ス・パートナーである。 ビジネス・パートナー一覧 ANDEAN REGION : BCG – BUSINESS COMPUTER GROUP (WWW.BCG.COM.VE) AUSTRIA, GERMANY, LIECHTENSTEIN, SWITZERLAND : INCENTAGE AG (WWW.INCENTAGE.COM) BALKAN COUNTRIES:CIS D.O.O.(WWW.CIS.CO.YU) BENELUX AND FRANCE:S.I.D.E. BENELUX & FRANCE S.A.(WWW.SIDE.LU) BRITISH ISLES, IRELAND AND CHANNEL ISLANDS :SMA SOFTWARE + CONSULTING LTD.(WWW.SMA.CO.UK) CENTRAL AMERICA AND MEXICO:BCG PANAMA(WWW.BCG.COM.VE) CIS COUNTRIES:Alliance FACTORS LTD.(WWW.Alliance.RU) INDIAN SUBCONTINENT : CAMBRIDGE SOLUTIONS LTD (WWW.CAMBRIDGEWORLDWIDE.COM) ITALY:TAS – GRUPPO NCH(WWW.NCHSPA.COM) JAPAN:GETRONICS JAPAN, LTD.(JP.GETRONICS.COM/SWIFT) JAPAN:SUMISHO COMPUTER SYSTEMS CO.(WWW.SCS.CO.JP) MIDDLE EAST & GULF REGION : EASTERN NETWORKS (WWW.EASTNETS.COM) MIDDLE EAST & NORTH AFRICA:ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L. (WWW.AEG-MEA.COM) NORTH AMERICA:S.I.D.E. AMERICA CORP.(WWW.SIDE.LU) NORTH AMERICA:S.I.D.E. AMERICA CORP.(WWW.SIDEAMERICA.COM) OCEANIA – SOUTH PACIFIC:DECILLION SOLUTIONS (AUSTRALIA) PTY LTD(WWW.DECILLION.COM.AU) PEOPLES REPUBLIC OF CHINA : NCSI (SHANGHAI) CO., LTD (WWW.NCS.COM.CN) SOUTHERN AFRICA :PERAGO AFRICA (PTY) LTD.(WWW.PERAGO.COM) SOUTH EAST ASIA : DECILLION SOLUTIONS PTE LTD (WWW.DECILLION.COM.SG) SOUTH KOREA:COMAS INC.(WWW.COMAS.CO.KR) 10
  • 11. SOUTHERN LATIN AMERICA : FINANCEWARE COMERCIO E SERVICOS LTDA(WWW.FINANCEWARE.COM.BR) TAIWAN:ARES INTERNATIONAL CORP.(WWW.ARES.COM.TW) WEST & CENTRAL AFRICA : ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L. (WWW.AEG-MEA.COM) LOGICACMG(WEBSITE: WWW.LOGICACMG.COM) GLOBAL BUSINESS PARTNERS/SOFTWARE RESELLERS : IBM BELGIUM (WWW.IBM.COM) 「サービス・ビューロ」 サ ー ビ ス ・ ビ ュ ー ロ は 、 SWIFT 接 続 の ア ウ ト ソ ー シ ン グ サ ー ビ ス で あ り 、 SWIFTNet と SWIFT インターフェースへの接続の操作を代行する。これらのサー ビスを提供することができるサービス・ビューロは、各テリトリー内に複数あり、ユ ーザは自由に選択できるが、接続は自己責任となる。 サービス・ビューロを介して間接的に SWIFT に接続することのメリットとしては、 メンバーになって自社で接続するのに比べて①SWIFTNet への接続が容易で費 用効果がよい。②すばやくソリューションの提供を受けることができる。③ディザ スタリカバリー(障害対策)を外注することができる。などがあげられる。 ○サービス・パートナー ○サービス・パートナー サービス・パートナーは、SWIFTNet の展開と導入、運用・保守などカスタマーケ アのため、インストール、インテグレーション、コンサルティングサービスを提供す るものである。 SWIFT は特定の基準に基づいて、これらのパートナーを公認し、 品質レベルを一定に確保している。サービス・パートナーは、従来の SWIFT シス テムから SWIFTNet への移行作業も実行している(現在,SWIFTNet フェーズ 2 移行期)。 サービス・パートナー一覧 BENELUX SIDE INTERNATIONAL S.A. DUBAI - U.A.E EASTERN NETWORKS FRANCE CONSORT NT FRANCE ONFIN FRANCE SIDE FRANCE 11
  • 12. GERMANY CSC DEUTSCHLAND SOLUTIONS GMBH GERMANY SWISSRISK AG ITALY N.C.H. NETWORK COMPUTER HOUSE S.P.A LEBANON ALLIED ENGINEERING GROUP S.A.R.L LUXEMBOURG SKILLTEAM LUXEMBOURG NETHERLANDS CAP GEMINI NEDERLAND B.V. NIGERIA SOFTWORKS LIMITED POLAND KIR S.A. (KRAJOWA IZBA ROZLICZENIOWA) ROMANIA BIS (BUSINESS INFORMATION SYSTEMS SRL) RUSSIA Alliance FACTORS SERBIA-MONTENEGRO CIS D.O.O. (COMPUTER & INFORMATION SYSTEM D.O.O.) SOUTH AFRICA PERAGO AFRICA SPAIN ACOTEL S.A. SPAIN CAP GEMINI SWITZERLAND CARDINAL CONSULTING SA UNITED KINGDOM LOGICA CMG PLC UNITED KINGDOM SIMPLEX UK LIMITED UNITED KINGDOM SMA SOFTWARE & CONSULTING LTD UNITED KINGDOM SYNERGY FINANCIAL SYSTEMS LTD BRAZIL FINANCEWARE CMERCIO & SERVICOS LTDA CANADA EXPERTUS TECHNOLOGIES INC UNITED STATES AKSHAY SOFTWARE INTERNATIONAL INC UNITED STATES AXLETREE SOLUTIONS, INC. UNITED STATES SIDE AMERICA CORP VENEZUELA BUSINESS COMPUTER GROUP AUSTRALIA DECILLION SOLUTIONS (AUSTRALIA) PTY. LTD CHINA NCSI SHANGHAI) CO. LTD HONG KONG AUTOMATED SYSTEMS (HK) LTD INDIA CAMBRIDGE SOLUTIONS LTD JAPAN GETRONICS JAPAN, LTD JAPAN SUMISHO COMPUTER SYSTEMS CO KOREA COMAS, INC SINGAPORE DECILLION SOLUTIONS PTE LTD SINGAPORE NEWGENS PTE LTD TAIWAN ARES INTERNATIONAL CORP VIETNAM BLITZ IT CONSULTANTS PTE LTD ○ソリューション・パートナー 12
  • 13. ソリューション・パートナーは、SWIFT メッセージのインターフェース(CBT; COMPUTER BASED TERMINAL)の構築、提供を行う。アプリケーション・プロバ イダーとビジネス・インテグレーション及びコンサルタントを含む。 提供されるソリューションとしては、ビジネスアプリケーション、ミドルウエア・ EAI(エンタープライズアプリケーション統合)、インターフェース、コンサルティン グ・アウトソーシングなどがある。 ソリューション・パートナーの位置づけ このうち、アプリケーション・プロバイダーは、インターフェースだけでなく顧客に 対するソリューションを提供し、SWIFT メッセージ作成とプロセッシングのための 組み込み機能を用いて、さまざまなビジネス・プロセスをサポートする。これは、 ミドルウエアプロバイダーと電子商取引関連アプリケーション・プロバイダーも含 まれる。 コンサルタント及びシステムインテグレーターは、いろいろなパートナーによるソ リューション提供を確実に実行するため、インテグレーションと関連したコンサル タンティングにより、顧客サポートを行う。 ○ネットワーク・パートナー ネットワーク・パートナーは、SWIFT におけるネットワーク・インフラ提供ベンダー である。 13
  • 14. SWIFT は、安全な IP ネットワーク(SIPN;SECURE IP NETWORK)のマルチベン ダーモデルを採用し、柔軟で高いセキュリティを確保している。新しいアーキクテ チャーにより、最高水準のリスク対策を行い、高い耐障害性を実現している。こ のアーキテクチャーのキーとなるポイントは、複数の IP ネットワーク・パートナー の共存である。SWIFT は、4 つのネットワーク・パートナー(IP-VPN サービスの 標準的なソリューション)を利用しているが、メンバー企業は、SWIFTNet メッセー ジングプラットホームに連結したネットワーク・パートナー会社と、自由に契約を 結ぶことができる。 ネットワーク・パートナー一覧 AT&T WWW.ATT.COM/SWIFTNet BT INFONET WWW.BT.INFONET.COM/SWIFT_IP_SOLUTIONS COLT WWW.COLT.NET/SWIFT ORANGE BUSINESS SERVICES WWW.ORANGE-BUSINESS.COM 1-2.SWIFT の歴史(過去の取組みや最近の取組み) SWIFTは1973年に設立された後、欧州をベースとして、世界中の民間銀行、証 券会社など金融機関、関連サービス等が次々に加盟していった。さらに、欧州諸 国をはじめとする中央銀行が加盟している。近年では、一般事業法人もネットワ ークの直接利用に乗り出し、利用者の対象領域、裾野が拡大した。90年代後半 のインターネットの普及に伴い、2000年代に入ってオープン化を進めており、現 在では、金融メッセージの標準化推進団体の位置づけの側面も強まっている。 1973年:5月、15カ国、239の銀行からサポートを受け、銀行間の金融取引情報の送受 信を行うためにSWIFTの運営会社がベルギーブリュッセルにて、設立された。 SWIFTは、、国際的な金融取引のために、世界共通のデータ処理、通信リンク と共通言語をつくる業務をスタートした。 (239 メンバー、15 カ国、0 メッセージ数) 1974 年: パートナーシップ原則が制定される。SWIFT に参加予定の金融機関は、積極 的にメッセージ交換のために協力することで、処理プロセスの発展と、確実に 効果ある運用を実現することを目指した。 (503 企業、17 カ国、メッセージ数 0 件) 14
  • 15. 1975 年: セキュリティと信頼性の強化。セキュリティ責任と信頼性を規定するルールが 策定され、運用方法が定められた。SWIFT における初期の基本的なルールが 制定された。 (515 顧客、17 カ国、メッセージ数 0 件) 1976 年:最初のオペレーション・センターがオープンした。実際の運営に向かって大きく 前進した。各々はバックアップのため冗長な施設を持ち、高いシステム稼動を 実現した。 (515 顧客、 17 カ国、メッセージ数 0 件) 1977 年:最初のメッセージを送信した。メンバーは 22 カ国の 518 の商業銀行に拡大。 (518 顧客、22 カ国、メッセージ数 340 万件) 1978 年:1000 万件のメッセージを送信し、最初の年次総会が開催された。 (586 顧客、25 カ国 、メッセージ数 2160 万件) 1979 年:北米オペレーション・センターーがオープンした。 (683 顧客、30 カ国、メッセージ数 3450 万件) 1980 年:香港とシンガポールでアジア地域のオペレーションが開始された。 (768 顧客、36 カ国、メッセージ数 4,690 万件) 1981 年:ST100 インターフェースが導入された。 (900 顧客、40 カ国、メッセージ数 6,250 万件) 1982 年:運用が財政的に安定化し、収入がコストを上回った。 (1,017 顧客、44 カ国、メッセージ数 7,990 万件) 1983 年:メンバー企業が 1,000 社を超えた。 (1,046 顧客、52 カ国、メッセージ数 1 億 410 万件) 1987 年:メンバーを銀行のみならず証券会社に拡大することを決定した。 (2,360 顧客、64 カ国、メッセージ数 2 億 2,230 万件) 1993 年:12 の新しい国の 404 のメンバーを追加した。新しい UNIX ベースのインターフ ェースが適応された。 15
  • 16. (3,986 ユーザ、106 カ国、メッセージ数 4 億 5,700 万件) 1994 年:さまざまなサービスの拡大が図られ、ACCORDWORKSTATION, SWIFTASSET RECONCILIATION, SWIFTAlliance などが追加された。 (4,625 ユーザ、126 カ国、5 億 1,800 万件) 1995 年:アジアパシフィック地域におけるサービスを拡大することが決定された。 (5,229 ユーザ、137 カ国、メッセージ数 6 億 30 万件) 1996 年:自動化推進によりコストとリスクを低減した。 (5,632 ユーザ、151 カ国、メッセージ数 6 億 8,800 万件) 1997 年:FIN トラフィックの急速な増加とインターネット技術革新により、SWIFTNet へ移 行することが発表された。 (6,176 ユーザ、164 カ国、メッセージ数 8 億 1,200 万件) 2001 年:国内市場において SWIFTNet の運用がスタートされた。 (7,457 ユーザ、196 カ国、メッセージ数 15 億 3,400 万件) 2002 年:SWIFTNet FIN メッセージの通信が開始された。 (7,601 ユーザ、198 カ国、メッセージ数 18 億 1,700 万件) 2003 年:オーストリアは国内の支払システムのインフラとして SWIFTNet を採用した。 SWIFT の参加企業が 200 カ国を超えた。ISO15022 及び MT103 の移行が完 了した。イタリアの RTGS は、SWIFTNet サービスへ移行した。年間の FIN 通 信量が 20 億件に達し、1999 年の 2 倍となった。 (7,527 ユーザ、200 カ国、メッセージ数 20 億 4,700 万件) 2004 年:SWIFTNet の移行が完了し、ISO20022 が発表された。 (7,667 ユーザ、202 カ国、メッセージ数 22 億 9,900 万件) 2005 年:TARGET2 が SWIFT を採用した。2006 年末までに価格を 50%下げることを目 標とした。SWIFTNet フェーズ 2 パイロットの開始に成功した。FIN トラフィック は、前年比 9.5%増加し、25 億メッセージとなった(平均 1 日 1000 万メッセー ジ)。2005 年末には 204 カ国の 7,863 の金融機関が接続。12 月 1 日に、FIN 証券メッセージのトラフィックが 4 百万件/日のピークに達した。FIN トラフィック 16
  • 17. が、12 月 20 日に 1,150 百万/日のピークに達した。2005 年下期には、FIN メッ セージの利用において、価格が 8%、1400 万ユーロ相当の削減となった。全 体の 7%、2300 万ユーロ相当のリベートを行った。 (7,863 ユーザ、204 カ国、メッセージ数 25 億 1,800 万件) 17
  • 18. 2.サービスの概要 2-1.現在のサービスラインナップ(仕組み、料金体系) ◎SWIFT のサービス概要 ◎「SWIFTNet」のサービス概要 ◎「SWIFTNet SWIFTNet」のサービス概要 SWIFT が提供するネットワークとサービスを含めた総称で、主に以下の 4 つの サービスを提供している。 SERVICE CHARACTERISTICS TYPICAL BUSINESS APPLICATION FIN MESSAGE TRANSFER, STORE AND TREASURY AND CASH FORWARD, FIN MESSAGE MANAGEMENT, STANDARDS (E.G. MT101, MT940...) PAYMENTS FileAct FILE TRANSFER, BULK/BATCHED PAYMENTS, MESSAGES COLLECTIONS, PAYROLL ETC 18
  • 19. Interact QUERY-RESPONSE MESSAGING SWIFTSOLUTIONS: E.G. USING XML STANDARDS CASH REPORTING Browse SECURE BROWSING USING HTML REPORTING GUIS. MANUAL INPUT OF MESSAGES. ① SWIFTNetFIN サービス サービス(FINANCIAL APPLICATION)サービス:個別取引用。 SWIFT の中核をなす金融メッセージ・サービスである。国際標準の定型通信フォ ーマットである。 ② SWIFTNetFileAct サービス サービス:バッチ処理用で、大容量ファイル添付に使用する。 あらゆるタイプのファイルが送信可能である。 ③ SWIFTNetInteract サービス サービス:即時のメッセージングやインタラクティブなメッセー ジングが可能である。FIN FileAct を補完する。 ④ Browse サービス:上記 FileAct や Interact を補完するもので、各種サービスを サービス ブラウザ環境で利用することが可能である。 ◎SWIFT のサービス内容 (1)メッセージング・サービス FIN」 ① 「SWIFTNet FIN」(FINANCIAL APPLICATION) STORE AND FORWARD 型(データをいったん蓄積してから転送する仕組み)の 金融メッセージ交換サービスで SWIFT の中核をなす。STORE AND FORWARD 方式は、データを SWIFT に完全に記録してから、その後送信するという方式で ある。安全性のきわめて高い方式であり、このような方式をとっているネットワー クは稀で、SWIFT の信頼性を保証するものである。 付加価値サービスとして、SWIFTNet FIN COPY と SWIFTFIN Inform がある。 □ SWIFTNet FIN COPY は、高額決済や財務・証券関連の取引業務のメッセー ジのコピーを、安全・容易に、第 3 者に対し自動的に転送する。中央銀行や決 済機関など世界の 40 以上のインフラで、相互的な金融取引のモニタリングに 利用されている。 □ SWIFTFIN Inform は、安全に容易に、他のビジネス・プロセスとの情報の送受 19
  • 20. 信を可能とする。 FileAct」 ② 「SWIFTNet FileAct」 2001 年 3 月から開始された。リアルタイムにセキュリティの高いファイル転送を 行うサービスである。SWIFTNetFIN が一件ごとの処理であり、主に大口取引に 使われるのに対して、FileAct は、件数が膨大な小口送金に利用され、あらゆる データをファイル転送する大量のバッチ処理用に使われる。そのため低コストで のメッセージの送信が可能となる。これも、STORE AND FORWARD 方式を採用 しており、高い安全性を保証するものである。 利用領域としては、少額で大量の資金決済、証券取引、中央銀行等に対する 定期的なレポート、ソフトウエアの配信、データベースの復旧等である。国際間、 金融機関の本支店間、SWIFTNet 上のユーザ・グループ間での利用が可能で ある。 本件は、かつて利用されていた大容量データを送受信するサービスであった SWIFT IFT(INTER-BANK FILE TRANSFER)サービスに相当するものである。 IFT サービスと同様に、一括送受信するデータは利用者間で自由にフォーマット が決定でき、フレキシビリティが高い。SWIFTNet 上ではインタラクティブな転送 が可能である。 ちなみに、IFT サービスは、30 数カ国、200 以上の金融機関で利用され、主に 欧州の金融機関が利用していた。利用対象としては、年金等のデータ、各種レ ポートやイメージ・データ、証券決済関連等の大量データを金融機関同士での 交換などが上げられる。 ③「SWIFTNet Interact」 ③「SWIFTNet Interact」 2000 年 3 月から一部サービスが開始された。リアルタイム(即時)でインタラク ティブ(双方向)な、メッセージ交換のトランザクション処理を行うサービスである。 SWIFTNetFIN、SWIFTNetFileAct を補完し、取引完了までの時間が短縮できる。 XML ベースの通信を行い、モニター機能、条件検索、コマンドの投入等が実施 できる。インタラクティブでリアルタイムなモニタリング、支払指示のコントロー ル・リアルタイムな確認、流動性のリアルタイムな管理などに適している。その ため、CLS 銀行(CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT BANK、「外為取引の 2 20
  • 21. 通貨(売渡通貨と買受通貨)の同時決済」を連続的に行う仕組み)、GSTPA (GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION、グローバル な 証 券 の マ ッ チ ン グ 等 を 実 施 す る 機 関 ) 、 RTGS ( REAL-TIME GROSS SETTLEMENT SYSTEMS、即時グロス決済) 、などいくつかの決済システムある いは、SWIFT の ACCORD SERVICE などで、取引状況をリアルタイムでモニタリ ングするために使用されている。 また、金融機関において、顧客向けの日中流動性管理サービス(REAL TIME NOSTRO REPORTING)のために Interact を利用しているケースもある。 3 つの通信モデル ①「即時」(REAL TIME)型通信 □ 「通知」(MESSAGE)の送信や、「確認」(ACNOWLEDGEMENT)の返信な ど、個別の指示・コンファメーション・レポート等を即時に行う。 ②「即時の問い合わせ・応答」(RESPONSE)が即時に返ってくる」タイプの通信 モデル。 ③「STORE AND FORWARD」型通信 □ STORE AND FORWARD 形式の通信タイプも選択でき、多数の通信相手 に、個々の指示・コンファメーション・レポートなどを送付するケースや、時 差のある地域への通信、各国ごとの休日対応を要する通信などに有用 である。 ④「SWIFTNet Browse」 ④「SWIFTNet Browse」 情報閲覧用のウエブサービスを提供し、さまざまな情報提供を行う。HTTPS イ ンターネット・プロトコルに準拠している。 SWIFTNet Browse サービスでは、SWIFTNet 上で各サービスプロバイダーが展 開するウエブサーバーに、HTTPS プロトコルを使用し、FileAct や Interact を利 用した各種サービスをブラウザ環境で利用することが可能となる。SWIFT サー ビスにおいては、SWIFTAlliance WEBSTATION を使ったリモートのウエブサー ビスを利用するのに使われる。 (2)企業向けサービス グローバル大手企業に限定しているものの、2001 年以降、一般事業法人に参 加 を 開 放 し た 。 金 融 機 関 が 運 営 す る 「 MAC-UG ( MEMBER ADMINISTERED 21
  • 22. CLOSED USER GROUP)」に参加することなどでアクセスが可能となった。 複数の標準とプロトコルで接続するケース 単一のプラットフォームで接続するケース 事業法人の SWIFT への接続方法 接続方法のパターンは以下の 3 つである。 ① TRCO(TREASURY CONTERPARTY):企業財務に限定で、SWIFT に接続す TRCO( CONTERPARTY) るする全ての銀行に直接アクセスすることが可能となる。この場合、支払指示 の送信、銀行からの銀行取引履歴の受信、証券の売り買いなどはできない。 上場企業、未上場企業いずれも利用が可能。 ② MA-CUG(MEMBER ADMINISTERED CLOSED USER GROUP):金融機関が MA-CUG( GROUP) 運営する「MA-CUG」に接続する。多くの銀行がすでにこうしたサービスの提 供を行っている。企業は一度に一つの銀行のユーザ・グループしか接続でき ず、顧客同士の直接な通信は認められていないが、複数の銀行のユーザ・グ ループの利用が可能である。提供される情報は、支払、企業財務、レポート、 22
  • 23. 証券など広い。現在、このサービスを提供する SWIFT 加盟銀行の本支店は 500 店舗である。 ③ SCORE(THE STANDARDISED CORPORATE ENVIRONMENT) :一定のル SCORE( ENVIRONMENT) ールで多くの銀行に接続することが可能となるもの。参加者は、FINANCIAL ACTION TASK FORCE (FATF) の参加国(日本、米国など 31 カ国)の上場企 業で財務内容が優れた企業に限定される。あらゆる取引の情報交換が可能 となる。2007 年 1 月よりスタートした。現在の提供銀行は 30 行である。 (3)SWIFT サービスに付随するさまざまなソリューション SWIFTNet ACCORD □ 外国為替、資本市場、デリバティブ等においてマッチング、例外操作の処 理をリアルタイムで行うもので、例外処理を効率的に行うもので、従来そ れにかかっていた時間とコストの削減を可能とするものである。 SWIFTNet AFFIRMATIONS □ 資 本 市 場 、 デ リ バ テ ィ ブ 等 に お い て コ ス ト 優 位 な STP(STRAIT- THROUGH-PROCESSING)を提供する。 SWIFTNet BULK PAYMENTS □ SWIFTNet FileAct をベースに提供される銀行業務向けソリューションで ある。複数者間でのコスト優位、フォーマット不問のデータ交換を行うこと 23
  • 24. ができる。また、MA-CUGS と連携することによって、金融機関と顧客で ある一般企業の間での利用が可能となる。企業の給与・年金支払い、借 入金の返済資金データの送受信といった、少額かつ大量の決済データを 送受信する場面での利用が進んでいる。 SWIFTNet CASH REPORTING □ リアルタイムの情報ニーズに対しキャッシュレポーティングをサポートす るサービスである。コルレス先に発送した支払い指示の決済状況や、流 動性ポジション(預金残高等)についての報告を受けることができる。 SWIFTNet Interact が提供する「即時の問い合わせ・応答」(REAL-TIME QUERY AND RESPONSE)型の通信機能や、SWIFTSTANDARDS XML を利用することにより、リアルタイムで口座残高や取引情報の照会を可 能とした。 □ また近年、企業における資金の有効活用を図る CMS へのニーズが強ま っているが、リアルタイムでの流動性ポジション把握にも利用されている。 SWIFTNet CLS THIRD PARTY SERVICE □ CLS メンバーでない銀行にグローバルな FX 決済を提供する。 SWIFTNet CORPORATE ACTIONS □ 企業において資本構成や資金状況に影響を及ぼすあらゆるイベント (ス ピンオフ、自己株式取得、株式分割など)において、株式所有者は企業 行動に対し対応をサポートする。 SWIFTNet DATA DISTRIBUTION □ ISO15022 における証券メッセージ標準と SWIFT ソリューションにおける 接続において、市場のインフラとコミュニケーションを可能とするサービス である。 SWIFTNet EXCEPTIONS AND INVESTIGATIONS □ ペイメントにおける不着事故などの調査をサポートする。 SWIFTNet FIX □ SWIFTNet FIX(金融フォーマット):フロントとバック・オフィスと連動する。 SWIFTNet FUNDS 24
  • 25. □ 投資ファンドの分配・資金移動の自動化をサポートする。 SWIFTNet TRADE SERVICES UTILITY (TSC) □ サプライチェーンマネジメントにおける、企業向け銀行サービスのプロセ スをサポートする。 SWIFTSOLUTIONS Society PAYMENTS CLEARING □ 支払決済において、50 以上の決済システムが、一日に 500 から 20 万件 のペイメントを行っている。安全な接続と共通のメッセージ標準によりス ムーズな接続を可能とする。 SWIFTWATCH □ トラフィック分析、メッセージコスト分析、支払処理分析などを行う。 ◎SWIFT におけるオープン化、セキュリティの強化の動き ○SWIFTNet への移行 「フェーズ 1」 フェーズ 1 では、インターネットの普及およびオープン化の流れに即し、新しい SWIFT のネットワークである SWIFTNet に移行することを、2002 年に決定した。 25
  • 26. プロトコルは、普及率の低い従来の X2.5 プロトコルから、インターネットの標準 である TCP/IP へ変更した。 フェーズ 1 では、SWIFT の全ユーザが 2004 年末までに移行することを義務付 けられた。2004 年中に、全部のユーザが、従来のネットワークから新しいネット ワークを利用した基盤への移行を完了した。 フェーズ 1 の実施により、オープン化が進められ、金融機関は他業種や他シス テムと直接接続し、データ交換することが可能となった。FileAct や Interact とい った新しいメッセージ・サービススの利用も日本で行われるようになってきている。 「フェーズ 2」 SWIFT がオープン化の技術を取り入れることは、同時に外部からの攻撃やデー タ詐取の可能性も増大することを意味する。そのため、これらセキュリティへの 対応が非常に重要な課題となっており、フェーズ 2 では、既存の基盤のアップデ ートとともに、セキュリティを強化することを主眼としている。 2002 年に本格スタートした SWIFTNet は、現在フェーズ 2 の期間中で、05 年か ら 06 年までが準備期間で、08 年末までには全ユーザが移行を完了する予定で ある。 従来 SWIFT のセキュリティは BKE 方式(BILATERAL KEY EXCHANGE、相互キ ー交換)方式で、しかしこの方式では、相手先毎に鍵を交換しなければならず、 また定期的にその鍵を変更する必要がある。そのため、処理負担が大きく、安 全性にも問題がないとは言えなかった。このため、フェーズ 2 では、電子署名 (DIGITAL SIGNATURE)や認証(CERTIFICATION)を利用した「SWIFTNet PKI」 を導入し、ユーザの安全性を高めていく。今後は、SWIFT のメッセージに、発信 者の秘密鍵による電子証明書を付加することになる。このため、従来に比べ煩 雑な暗号管理がなくなり、安全性も高まることが期待されている。 ◎SWIFT コード SWIFT 参 加 の メ ン バ ー の 固 有 番 号 で あ る 。 SWIFT ア ド レ ス 、 BIC ( BANK IDENTITY CODE)コードともいう。 26
  • 27. ISO 9362 で規定されており、これは国際標準化機構によって承認された金融機 関識別コードの標準書式である。実際のコードの登録は、SWIFT が実施する。 銀行間の送金、特に国際的な送金に使用される。SWIFT コードは受取側の銀行 を特定するために用いられ、送金側は、受取先銀行の SWIFT コードを入力する ことにより、受取先の銀行名・支店名・所在地等の情報を省略することが可能と なる。 □ コードは 8 文字か 11 文字で構成。 □ 4 文字 - 金融機関コード □ 2 文字 - ISO 国名略号 □ 2 文字 - 所在地コード □ 3 文字 - 支店コード、任意付与('XXX'は本店) ちなみに、米国では、同様の体系のコードである ABA コードの利用が一般的で ある。これは、米国内の銀行が個別に保有する銀行番号で、米国の銀行間や米 国に送金する際に用いられることが多い。 ヨーロッパでも同様の個別のコードを使っている国があり、イギリスの SORT CODE、フランス BK&BR NO などがあった。しかし、欧州通貨統合を機に最近 になって低コスト、迅速、正確を目的とし、「IBAN」というコードで統一された。 通常 8 桁で、送金は一旦受取側銀行の本店宛に送られるが、3 文字の支店コ ードを利用し 11 桁として、国際間の送金が特定の支店へ向けられるのを許容 するケースもある。 かつては、参加者向けの BIC ディレクトリーの発行は、四半期に 1 度のサイク ルであった。新しい参加者が実際に SWIFT を運用できるのは、発行後であるた め、このことは、SWIFT の利用に長いタイムラグを生じることを意味していた。と ころが、2006 年より、発行のサイクルを 1 ヶ月に短縮したため、より早く SWIFT の利用を開始することが可能となった。 27
  • 28. ◎契約形態 各種契約に基づく SWIFT GENERAL TERMS AND CONDITIONS(SWIFT 基本契約) HSM EQUIPMENT TERMS AND CONDITIONS(ハードウエア・セキュリティ・モジ ュール機器契約) USE EQUIPMENT TERMS AND CONDITIONS(使用機器契約) SWIFTNet ACCORD TERMS AND CONDITIONS(SWIFTNet ACCORD サービス 契約) DEVELOPERS TOOLKIT LICENCE AGREEMENT(開発ツールライセンス契約) SWIFTWATCH TERMS AND CONDITIONS(SWIFT WATCH 契約、分析系プロダ クト) BIC PRODUCTS LICENCE AGREEMENTS(BIC 製品ライセンス) SWIFT DATA RETRIEVAL POLICY(SWIFT DATA 回復ポリシー) SWIFT SERVICE BUREAU POLICY(SWIFT サービス・ビューロ・ポリシー) 28
  • 29. ◎SWIFT が提供する基本サービスの料金体系 メンバーとなるには出資金が必要であるが、パティシパントは不要である。 基本的なルールとして、トラフィックの送り手が料金を支払い、受取り手は払わな い。しかし、変更は可能である。 主要 4 サービスの料金体系は以下である。 □ FIN:価格はクライアントによって何層かに層別され、更に送信されるファイル のサイズによっても層別される。クライアントの層別は、年間の SWIFT 利用 量に基づく。メッセージごとの価格は、サイズが大きくなるにしたがって、追加 料金が発生する。 □ FileAct:価格はクライアントによって何層かに層別され、更に送信されるファ イルのサイズによっても層別される。クライアントの層別は、年間の SWIFT 利 用量に基づく。ファイル毎のチャージは、最初の 100KB に対し層別された価 格が適用される。それから次の 1000KB までのサイズに対しては、割引され た価格が適用される。残りのバイトに対しては、さらに割引された価格を適用 することによって価格は決定される。ファイルのサイズはコストにそれほど影 響を及ぼさないが、回数を多く送信することはより多くのコストを生じる。その ため、SWIFT はサイズが小さいファイルを頻繁に送ることよりも、サイズが大 きなファイルを回数少なく送信することを、奨励している。 □ Interact:上記と同様に層別されていて、メッセージ 1 件につき価格がつけら れている。 しかし、Interact メッセージは単独のものではなく他のサービス (CASH REPORTING や ACCORD など)に必ずリンクしているため、単独で請 求されるのではなく、それらサービスの価格に含まれて、請求される。 □ Browse:Interact と同様に、契約するサービス内容に基づいてチャージされる。 ◎SWIFT の料金イメージ ○加盟金 メンバーは 10,000 ユーロ サブ・メンバーは 5,000 ユーロ 29
  • 30. パティシパントは 2,000 ユーロ アカウント持つ場合:メッセージ件数 1 日 50 件以内を想定 ○一般企業ユーザが 5 アカウント持つ場合 TYPICAL CLIENT(5 口座) □ APPLICATION FEE ($150/MO/CP) = $2,100/MO □ MESSAGE FEE ($2/MSG, 50/DAY) = $2,200/MO □ OVERALL (5 CP’s) = $34,200 ※SWIFTNetFIN において、1 メッセージの送信は 2 ドルの価格である。 ○利用するソフトウエア SWIFTAlliance ACCESS OR ENTRY (SAA/SAE) □ SWIFTNetFIN への接続用 SWIFTAlliance GATEWAY OR STARTER SET (SAG/SAS) □ FileAct、Interact、Browse の利用 ○ソフトウエアのコスト(提供されるパッケージ毎の料金) N/A Package 3 Standard SA Entry + FIN + offer SA Gateway + SA WebStation SWIFTNet 12,500 EUR/year Package 1 Package 2 Standard SWIFTNet SA WebStation SA Gateway + SA WebStation offer 3,000 EUR/year 8,500 EUR/year 1アカウント 5 アカウント 無制限 30
  • 31. ○SWIFT のコスト INTRO PACK 3 (<100 FIN MGS/DAY)の場合 MGS/DAY)の場合 (メッセージ数一日 100 件日以内を想定) PRODUCT PRODUCT ONE- ONE-TIME (USD) ANNUAL (USD) MEMBERSHIP 12,415 1,552 INTRO PACK 0 15,519 TRAINING 372 HANDBOOK 700 TRAFFIC 2,000 TOTAL 12,787 19,771 加入時に約 1 万 3 千ドル。ランニングコストで年間約 2 万ドル。 ○SWIFT のコスト ALL-IN (<250 FIN MGS/DAY)の場合 ALL- MGS/DAY)の場合 (メッセージ数一日 250 件以内を想定) PRODUCT ONE-TIME ONE-TIME (USD) ANNUAL (USD) MEMBERSHIP 12,415 1,552 CONNECTIVITY (+TRAFFIC) 4,314 12,335 SAE(SWIFT Alliance ENTRY) 31,300 6,260 SAS ( SWIFT Alliance 4,750 1,850 STARTERSET) SNL(SWIFTNet LINK) 3,800 1,700 TRAINING 372 HANDBOOK 700 TOTAL 56,952 24,397 加入時に約 5 万 7 千ドル。ランニングコストで年間約 2 万 4 千ドル。 ○加盟費用 一般企業:登録料で年間 2,000 EUR/YEAR を支払う。MA-CUG(S)フィーも含 まれる。 銀行: 追加の費用はなし(メンバー費他関連費用に含まれる) ○サービス・ビューロを通じた間接的な接続の場合のコスト 31
  • 32. 上記のフィーにあわせ、サービス・ビューロから請求される、加入金と年会費が 必要である。 ◎SWIFTNetFIN へ接続への手続き ◎サービス別の利用状況 32
  • 33. メッセージ平均単価の推移 (1,000 文字あたり、ユーロセント=約 1.6 円で、現在約 20 円) スケールメリットが働き、2001 年から 2006 年の 5 年間で約 50%の値下げを行う ことが可能となった。SWIFT は非営利で運営されている共同組合であり、剰余金 が発生すると価格の引き下げ、リベートとして還元することとしており、適宜引き 下げが実施されている。 ◎サービス別の利用状況 ○SWIFTNet FIN トラフィック状況 メッセージトータル数 (年間) 2,864,537,431 件 メッセージ増加率 (前年比) 13.75% 一日平均トラフィック数(年平均) 11,439,846 件 メッセージ増加率 (一日平均) 13.93% 最新のピーク日:メッセージ数 13,663,975 件 2006 年 12 月 20 日 SWIFTNet FIN 信頼性 SWIFTNet FIN SYSTEMS 99.996% SWIFTNet FIN 顧客数 □ 国数 : 207 カ国 □ メンバー数 : 2,288 件 □ サブ・メンバー数 : 3,120 件 □ パティシパント数 : 2,697 件 33
  • 34. □ トータルユーザー数 : 8,105 件 ◎SWIFTNet FIN のマーケット別の分類 FIN サービスは、MT(MESSAGE TYPE)と呼ばれるメッセージのカテゴリー (CATEGORY)を持っている。大きく分けて 5 つの分野、カテゴリーとしては、0 か ら 9 まで分類されている。もっとも多いのが、カテゴリー1 の顧客送金で、カテゴ リー1 とカテゴリー2 で全体の 90%を占める。最近では、カテゴリー5 の証券メッセ ージが急速に増加している。カテゴリー6 のシンジケーションやカテゴリー8 のト ラベラーズ・チェックは、あまり利用されていない。 PAYMENTS (銀行取引) □ カテゴリー 1: CUSTOMER PAYMENTS(顧客送金)、 CHEQUES(小切 1: 手) (顧客から依頼を受けた送金をコルレス先に通知し、支払 を指示するメッセージ) □ カテゴリー 2: FINANCIAL INSTITUTION TRANSFERS(銀行間付替) 2: (銀行間の資金の付替をコルレス先に指示するメッセー ジ・受取通知等) □ カテゴリー 8: TRAVELLERS CHEQUES(トラベラーチェック) 8: □ カテゴリー 9: CASH MANAGEMENT(キャッシュ・マネジメント)、 9: 34
  • 35. CUSTOMER STATUS(顧客状況) □ FIN-COPY MT 012 + MT 096 FIN- SECURITIES (証券取引) □ カテゴリー 5: SECURITIES MARKETS(証券市場) 5: (証券業務関連メッセージ) TREASURY (企業財務) □ カテゴリー 3: FOREIGN EXCHANGE(外国為替), MONEY MARKETS 3: (マネーマーケット)、DERIVATIVES(デリバティブ取引) □ カテゴリー 6: PRECIOUS METALS(貴金属)、 6: SYNDICATIONS(シンジケーション) TRADE (貿易) □ カテゴリー 4: COLLECTION(取立)、 4: CASH LETTERS(キャッシュレター) □ カテゴリー 7: DOCUMENTARY CREDITS(信用状)、 7: GUARANTEES(保証状) SYSTEM (システム) □ カテゴリー 0: SYSTEM MESSAGES EXCLUDING FIN-COPY 0: MESSAGES: MT 012 + MT 096 ◎導入に伴う金融機関側の負担 SWIFT 参加者は、専用のハードウエア及びソフトウエアの導入が必要である。 基 本 ハ ー ド ウ エ ア と し て は 、 ネ ッ ト ワ ー ク へ の 接 続 機 器 と し て 「 M-CPE 」 (MANAGED CUSTOMER PREMISES EQUIPMENT)、基本ソフトウエアとしては、 通信用ソフトウエアとして「SNL」(SWIFTNet LINK)、セキュリティのための機器で ある HSM(HARDWARE SECURITY MODULE)と専用ソフトウエアと「SWIFTNet PUBLIC KEY INFRASTRUCTURE」等が必須である。 ベンダー、パートナーがこれらのソフトウエア、ハードウエアを提供することにな るが、SWIFT 公認のビジネス・パートナー及びサービス・パートナーがサポート することになる。自社で接続する際には、以下のシステムの導入が必要となる。 35
  • 36. SWIFT の IP NETWORK と接続方法 SWIFT の回線はすべて 2 重化しており、安全性が確保されている。SWIFT 内 部のみならず、ネットワーク・パートナー、カスタマー内におけるシステムにお いても、SWIFT が接続システムを提供し、2 重化を確保している。 M-CPE(MANAGED CUSTOMER PREMISES EQUIPMENT):ROUTER(ネット ワーク・ルータ)及び VPNBOX(VIRTUAL PRIVATE NETWORK BOX)から構 成される。VPNBOX とは、暗号化などを担う機器であり、ダイヤルアップにも 対応している。ブロードバンドが利用できない国などでは、ダイヤルアップを利 用する。 SWIFTAlliance WEBSTATION(SAB):SWIFTNet の接続方法の一つであり、 画面による手入力を前提としており、条件検索およびリアルモニター機能が 中心となっている。 SNL(SWIFTNet LINK):SWIFTNet に接続するために必須の通信ソフトウエア である。全ての SWIFT ユーザの機器に SNL は装備されているため、相互運 用性が確保される。 36
  • 37. SAG(SWIFT Alliance GATEWAY):取引相手のシステムに対してプロトコルの 変換やデータの変換などを行い相互に通信し大量のトランザクション処理を 行う。SWIFTNet LINK とユーザのネットワークをつなぐ。 CBT(COMPUTOR BASED TERMINAL):SWIFT に接続するためのインターフ ェースを受け持つ専用のソフトウエアとそれを稼動させるためのハードウエア である。SWIFT ユーザのアプリケーションと SWIFT インターフェースを接続す るもので、各ベンダーが提供する。 2-2.システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP 等) .システムの概要(プロトコル、セキュリティ、BCP ◎プロトコル TCP/IP ベースのシステム □ 近年のインターネットの技術の進歩に伴って、SWIFTNet では、インター ネットの技術を導入し TCP/IP を採用した。 □ かつて利用していたのは、X.25 プロトコルであったが、X.25 では、①イン ターネットで主流となっている TCP/IP プロトコルとの親和性がない、 ② X.25 プロトコルは普及率が低く、広範なネットワークで利用しているのは SWIFT のみでサポートが少なくなってきたこと、③増え続ける業務量に X.25 プロトコルでは限界がでてきた、ため、TCP/IP に変更することとした。 □ マーケットの要請から、国際金融クロスボーダー金融取引の増加、証券 37
  • 38. 業務の STP(STRAIGHT THROUGH PROCESSING)化、リスク管理のリ アルタイム化、マーケット・インフラの改革(CLS、RTGS 等)などが進んで いる。また、決済リスクを低減するため、世界各国の中央銀行が RTGS (REAL-TIME GROSS SETTLEMENT:即時グロス決済)の資金決済シス テムを採用する流れとなり、リアルタイムでの流動性管理が必要になった。 そのため、他のシステムとシームレスな接続が可能な、オープンな技術 の導入が必要となってきた。 SWIFTNet フェーズ 1 □ 世の中のインターネットの普及およびオープン化の流れに合わせ、従来 の X2.5 プロトコルから、TCP/IP プロトコルへの変更を 2002 年にスタート した。 □ 全ユーザは、従来のネットワークから新しいネットワークを利用したシス テムへの移行を行うことが義務付けられ、2004 年に全ての移行が完了し た。 □ フェーズ 1 の実施により、金融機関は、他業種や他システムとのデータ 交換の親和性が高くなるメリットが享受されるようになり、FileAct や Interact といった新しいメッセージ・サービスの利用がスタートした。 ◎金融機関との接続のバリエーション SWIFT は個別の銀行間の通信ネットワークとして利用されているのみならず、決 済システムを支えるインフラとしても利用されている。 決済システムにおける SWIFT の利用方法は、大きく分けて 3 つの形態がある。 ①「通信ネットワーク」として SWIFT を利用するケース □ ユーロ決済の「TARGET」、ベルギー、フィンランド、南アフリカなどの RTGS システム、CLS 銀行、などでのメッセージインフラとして SWIFT を 利用する。 ※ TARGET ; TRANSEUROPEAN AUTOMATED REAL-TIME GROSS SETTLEMENT EXPRESS TRANSFER SYSTEM 。 EU 域 内 で の 各 国 の RTGS システムをリンクして、ユーロのクロスボーダー決済を行うためのシス 38
  • 39. テムであり、1999 年 1 月より稼動した。ユーロの大口決済のうち件数ベース で 58%、金額ベースで 87%(2003 年)を占めている。TARGET は参加 15 カ国 の分散型システムであったが、TARGET2 にて共通のインフラに集約する方 向で対応中である。これに、SWIFT がインフラとして利用されることが決定し ている。 ②SWIFT が開発した「FIN COPY SERVICE (Y COPY)」を利用するケース □ Y COPY は A 行から B 行へ支払い指示が送信されると、このメッセージ の主要部分を SWIFT のコンピュータが、コピーして中央銀行に送信する 仕組みである。中央銀行では、仕向銀行の残高を確認し、十分な残高が ある場合には資金の振替(決済)が行われる。Y CPPY は、主として RTGS システムを構築するために利用される。 ③SWIFT が「決済システムのオペレーション」までを請け負うケース □ 例えば、ユーロのネット決済システムである「EURO1」では、システムのオ ペレーションを SWIFT に委託している。英国の証券システムである 「CREST」においても同様である。 ※「CLS ※「CLS 銀行」とは」 世界の主要な銀行 20 行が集まって作られた G20 で準備を進めている国際連 続同時外為決済(CLS;CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT)機関である。為 替リスクを避けるために、2 通貨を同時決済する必要がある。国際連続同時外 為決済により、異なる通貨を同時に決済して、連鎖的に決済不能となるリスクを 減らす事を目的としている。 ◎金融機関との接続のバリエーション ① 直接 SWIFT と接続するパターン SWIFTNet と直接接続する方法は、基本的に 3 つの方法がある。 □ 「SWIFTNet Alliance WEBSTATION」という WWW(WORLD WIDE WEB)の 方式で接続する形態 □ 「SWIFT Alliance GATEWAY」と呼ばれる STP を前提とした自動化をする ためのサーバを利用する形態 □ 直接アプリケーションに組み込むビルトイン方式 SWIFT Alliance には、少量処理向けの「SWIFT Alliance WEBSTATION」と大量 39
  • 40. 処理向けの「SWIFT Alliance GATEWAY」がある。 □ SWIFT Alliance WEBSTATION は、画面による手入力を前提としており、 条件検索およびリアルタイムモニター機能が中心となっている。SWIFT Alliance WEBSTATION は、画面上に CLS 銀行、GSTPA、RTGSPLUS 等 のアイコンが存在し、画面上でクリックすれば簡単に各アプリケーション にアクセスできるため、非常に利便性が高い。 □ SWIFT Alliance GATEWAY は、STP 化およびトランザクション処理の自動 化を前提とした設計になっている。SWIFT Alliance GATEWAY では、大量 のトランザクション処理を行っているホストコンピュータに対して直接に接 続して STP 化された自動処理が行えるように設計されている。 40
  • 41. ② サービス・ビューロを通じて接続するパターン □ SWIFT サービス・ビューロは、金融機関と企業に対して SWIFT への接続 環境を提供するサービスである。現在、世界で約 90 のサービス・ビュー ロが運営されている。 事例:ダイヤモンドコンピューターサービス(三菱東京 UFJ 銀行関連) □ DCS のサービス・ビューロは、当社が保有する先進のコンピュータセンタ ーでシステムを運用し、SWIFT 接続のためのあらゆる機能を提供してい る。 ◎他ベンダーによる各種ソリューション 現在日本では、ビジネス・パートナーとして、ジェトロニクス及び住商情報システ ムの 2 社が存在する。従来、住商情報情報システム 1 社のみであったが、日本 でのビジネス拡大を推進するため一地域 1 社体制を崩し、ジェトロニクスを追加 した(2002 年 SWIFT ビジネス・パートナー資格取得、2003 年 SWIFT サービス・ パートナー資格取得)。現在では、アクティブな活動を行っているのはジェトロニ クスである。但し、SWIFTJapan としては、パートナーとの長期的な協力関係を重 視するため、今後パートナーの数を増やしていくという考え方は今のところない。 ○ジェトロニクスの事例 41
  • 42. 世界 30 カ国に拠点を持つオランダ企業の日本法人であるジェトロニクスは、前 身の日本オリベッティ時代も含めて、日本でも 40 年以上の実績を持つ。金融業 界には、決済、外為、融資の 3 分野を中心にサービスを提供している。 現在、国内金融機関が決済に利用しているインフラには、国際業務の SWIFT、 小口国内送金の全銀ネット、大口送金の日銀ネットの 3 種類がある。一方で海 外、特に欧州では、国内・国際を問わず E ビジネスでは SWIFT が中心になって いる決済系システムに力を入れており、SWIFT と日銀ネットに対応したシステム を提供している。SWIFT 関連では、SWIFT から公認ベンダーに認定されており、 多くの実績を有する。 外国為替では、外為勘定系パッケージを提供している。外為の取り扱いが少な い銀行では勘定系システムに外為機能を付加するのはコスト面で非効率である ため、同パッケージはウェブでの送金依頼などにも対応し、地銀 30 数行で導入 されている。また、スキャナーを利用した為替事務集中システムや大手行と共同 開発の債券現物管理システムも提供しており、採用が進んでいる。 ○ジェトロニクスの取り組み実績 42
  • 43. ① ダイヤモンド・コンピュータ・サービス(DCS)の事例 HTTP://WWW.DCS.CO.JP/ ダイヤモンド・コンピュータ・サービス(DCS)の事例 ス(DCS ジェトロニクスは 2003 年 12 月より DCS が運営する「SWIFT サービス・ビュー ロ・システム」(いわゆる「スイフト共同利用センター」)である SWIFT サービス・ビ ューロのシステム開発をサポートしている。 DCS は、三菱 UFJ フィナンシャルグループの IT 中核企業である。2003 年 12 月 に日本初の SWIFT サービス・ビューロのサービスを開始した。2005 年 3 月 31 日には三菱総合研究所との戦略的提携により、コンサルティングからシステム 設計・開発、運用・処理サービス・ビューロタル・サービスのさらなるグレードアッ プを実現している。 DCS は、SWIFT のプロトコル変更に対応し、02 年 12 月から金融機関向けに業 務を開始している。大手銀行や政策系金融機関などのほか、有力地銀・第二地 銀など 30 行庫が利用している。特に、SWIFTNet の導入により、期限限定での 技術的変更が必須となった。これまで、自社で直接 SWIFT に接続していたが、 技術的・人的に対応が困難となった銀行などが、SWIFT メンバーを辞めて、アウ トソーシング先として利用するケースが増えたものと思われる。そのため処理デ ータ量は、世界トップを誇るまで拡大している。今後は、商社、自動車などグロー バル展開をする大企業や、取引先が海外進出する地域金融機関にユーザを拡 大する計画である。 ②フランス FIRCOSOFT 社のアンチ・マネーロンダリング・ソリューションの事例 ジェトロニクスは、DCS に対し、フランス FIRCOSOFT 社の金融機関向けアンチ・ マネーロンダリング・ソリューション「OFAC-AGENT SUITE」を提供している。 これにより、DCS の SWIFT サービス・ビューロに参加している金融機関は、不正 送金を自動検知することが容易となるサービスを受けることが可能となった。 SWIFT サービス・ビューロへの「OFAC-AGENT SUITE」の共同利用サービス 構築は、金融機関のコンプライアンスへの対策強化を目的に、以下のような効 果を提供することが可能となった。 □ 金融機関に対し、不正送金を容易に自動検知することが可能なサービ スを提供する。 □ 金融庁が推進している、特定金融情報室を中心とした金融機関に対す 43
  • 44. る届け出を義務付け、検査・監督を通じてマネー・ロンダリング防止のた めの内部管理体制の構築を支援する。 「OFAC-AGENT SUITE」の機能」 ①業界トップクラスのフィルタリング制度 □ FPH(FALSE POSITIVE HIT RATE:疑わしい先でないのにも関わらず 誤認識する確率)が 0.5%以下の実績値を持ち、海外では JP Morgan Chase や BNP Paribas など大手金融機関が採用している。 ②さまざまな金融当局のブラックリストにマルチ対応 □ 米 国 OFAC 作 成 の 「 SDN リ ス ト 」 ( SPECIALLY DESIGNATED NATIONALS AND BLOCKED PERSONS:特定国籍業者リスト)やその 他の金融当局のチェックリストに対応し、マネー・ロンダリングを検知する。 ③金融機関が独自に定義したルール設定への柔軟性 □ 麻薬やテロ資金の国際的な取締りがますます強化されている中、対応不 十分な金融機関に対しては業務改善命令や営業停止処分となるケース がある。また、、海外当局から罰金を課されることもある。そのため、金融 機関でも独自にルール作りが必要で、こうしたルール対応はますます重 要となっている。 FIRCOSOFT 社について □ 1992 年にフランス パリで設立された。ユーロネクストに上場し 50 カ国 以上に事務所を構える IT ベンダーSWORD GROUP に属している。 OFAC AGENT SUITE ソリューションは、1994 年に ROYAL BANK OF CANADA に提供して以来、欧米・アジアなど世界各国で展開しており、現 在は OFAC だけでなくマルチ当局対応にグレードアップしている。 ○ファンドテック(FUNDTECH)の事例 ○ファンドテック(FUNDTECH)の事例 FUNDTECH 当社は、企業および提携銀行間で、電子的なキャッシュ管理、支払処理、資金 転送を可能とし、支払、決済、キャッシュ管理を容易にするソフトウエアをグロー バルに提供する大手プロバイダである。NASDAQ とテルアビブ証券市場に上場 している。 当社のクライアント・サーバおよびインターネットソフトウエア製品は企業、銀行、 44
  • 45. 清算システム間で資金転送プロセスを自動化し、企業が効率良くかつリアルタイ ムでグローバルなキャッシュ持高管理ができるようにできる。当社はスイスの子 会社を通して世界最大規模の SWIFTNet サービス(参加金融機関間の金融取 引にかかわるデータ交換・通信システム基盤・ネットワークサービス)を提供して いる。 当社は、CLS(国際連続同時決済)システムの大手開発会社のひとつで、CLS 決済会員銀行のうち 20 行に利用されている。当サービスを利用することでリス クの低減、効率向上、顧客サービスの向上などが可能となる。当社の支払およ び電子バンキング機能を利用することで、顧客銀行は他行と差別化が図れる優 れたオンライン金融サービスを提供できる。 ○住商情報システムの事例 SWIFT の認定ビジネス・パートナーである住商情報システムは、マルチエンター プライズ・コラボレーション・ソリューション・プロバイダである、米国オハイオ州の 「スターリングコマース」社の(HTTP://WWW.STERLINGCOMMERCE.COM/)と提 携し、金融業界へ向けた SWIFT 接続ソリューションの営業を行っている。 住商情報システムは、スターリングコマース社の SWIFT 接続ソフトウエアである 「CONNECT:DIRECT FOR SWIFTNet」を活用した SWIFTNetFileAct 対応ソリ ューションを販売している。SWIFTNet FileAct は、SWIFTNet 上でリアルタイム にセキュリティの高いファイル転送を行うサービスで、国内大手金融機関などで、 同社のソリューションが導入されている。 SWIFT を利用する金融機関においては、従来から SWIFT が提供する FIN サー ビスに加えて、Interact、FileAct、Browse 等の各種の新サービスの利用が進め られている。FileAct は、欧米の金融機関においては、少額で大量の資金決済、 証券取引や中央銀行等に対する定期的なレポート、ソフトウエアの配信、データ ベースの復旧等に活用されている。日本における FileAct の活用については、 大手金融機関を中心に導入が進んでいる。 「CONNECT:DIRECT FOR SWIFTNet」は、欧米の金融機関におけるマネージ ド・ファイル転送ソフトウエアとしてデファクト製品の一つとなっている 「CONNECT:DIRECT」をベースに開発された製品である。金融業界での長年の 実績を有し、FileAct の活用とともに安全・確実なファイル転送を実現すものであ 45
  • 46. る。また、同製品は社内バックエンドシステムとのシームレスなデータ連携が可 能で、クラアントにおける SWIFTNetFileAct 運用において、転送前後の処理を自 動化するなど高い利便性を提供するものである。大容量のビジネスクリティカル なデータを安全かつ正確に相互転送できる高信頼性のファイル転送ソリューショ ンで、SWIFTNet に対応した高パフォーマンスのデータ交換により一括決済、連 結諸表、画像、その他各種ファイルの転送を自動化し管理することができる。 ◎セキュリティ ○SWIFTNet のセキュリティ・レイヤー 「SIPN」(SECURE IP NETWORK) SIPN」( 」(SECURE NETWORK) SWIFT が提供するネットワークである SIPN は、ネットワークの階層をレイヤー1、 レイヤー2、レイヤー3 の 3 つに分けている。 ①レイヤー1 「物理ネットワーク層」のことである。このネットワーク層では、VPN(VIRTUAL PRIVATE NETWORK:仮想私設網)を採用しており、インターネット・プロトコルの TCP/IP を使って、専用線と同等のセキュリティと公衆回線と同等な経済性を有し ている。 また、主要な国際通信キャリアとの契約により、世界中にアクセス・ポイントがあ り、高速のネットワークに即時アクセスできるため、全世界的な接続性を実現して いる。 ②レイヤー2 「INFORMATION TRANSFER 層」であり、Messaging レイヤーである。SIPN におけ る基本的な処理を担当している。この層は、STORE AND FORWARD の仕組みを 持ち、かつリアルタイムにデータ伝送することが可能であり、セキュリティのインフ ラ・ストラクチャーである PKI の仕組みや運用サービス管理等の機能を持ってい る。 この層においては、ミドルウエアによる処理が可能となっている。ミドルウエアは、 フォーマットの変換等の処理を、人手を介さずに行う。ミドルウエアは、特に証券 系における情報交換、フォーマットの変換、マッチング等で利用されており、 GSTPA のマッチング機関としてのアウトソーシングを受託する場合にも必要なも のである。 なお、ミドルウエアの中で比較的高機能なものとして「WORKFLOW」がある。これ は、あるルールに基づいた 1 つの仕事に対して、段階を追って様々な処理を加え 46
  • 47. られるものであり、SWIFT.としては HUB-AND-SPOKE における新しいネットワー クに、「WORKFLOW」の技術の利用を想定している。 ③レイヤー3 「 ア プ リ ケ ー シ ョ ン 層 」 で あ り 、 基 本 的 に は T-COPY 、 Y-COPY 、 SWIFT の ACCORD 等のアプリケーションの新バージョンがここに搭載される。また、マーケ ット・インフラのアウトソーシングを受託する際には、このレイヤー3 で処理をする 形になる。 (SWIFTNet フェーズ 2 での対応) SWIFTNet はフェーズ 1 でオープン化した。そのため、フェーズ 2 では、既存の サービスの強化・ソリューションの改善とともに、セキュリティを強化することを主 眼としている。 現在、SWIFTNet はフェーズ 2 の段階に移行。05 年から 06 年までが準備期間 で、08 年末までには全ユーザが移行を完了する予定である。 システム接続時の認証の機能が向上する。SWIFT を利用して発信する電文に 発信者の秘密鍵による電子証明書を付加するため、煩雑な暗号管理がなくなり、 安全性も向上することが期待されている。 47
  • 48. 現行の SWIFTNetFIN (フェーズ 1) 次の SWIFTNetFIN (フェーズ 2) 48
  • 49. 従来 SWIFT のセキュリティは BKE 方式(相互キー交換)方式で、一つ一つキー の交換が必要で、通信などへの負担が大きかった。フェーズ 2 では、すべての 送受信データが、公開鍵方式(PKI)を採用したものとなり、シンプルでかつ安全 性が高まることとなる。 ○SWIFTNet フェーズ 2 フェーズ 2 における FIN サービスの機能向上を目指す。 さらに、SWIFT ユーザにとっては、フェーズ 2 に移行することにより提供される PKI の技術を利用することで、現行フェーズ 1 システムで最も広範に利用されて いる SWIFTNet FIN(FIN)サービスに、以下 3 つのセキュリティ上のメリットが提供 され、強化されたセキュリティが確保される。 ① システム接続の認証に関する機能向上 □ FIN システムへのアクセス時に正当なアクセス権限を持つことを PKI によ るソフトウエアの認証方式で実施する。 □ 現行は専用機器を使い接続ごとに生成されるセッションキーを使用する ことで、システムへの接続の認証を行っているが、PKI 方式に移行するこ とで認証を意識する必要がなくなる。 ② 電文発信者の認証に関する機能向上 □ SWIFT を利用して発信する電文に発信者の秘密鍵(シークレット・キー) による電子証明書を付加することで、受信者側は発信者の公開鍵を使っ て認証を実施する。 □ 現行は発信者と受信者があらかじめ好感した暗号(BK)を使用し、発信 者の認証を行うため、相対するコルレス先の数の分だけ BK をあらかじ め交換しておく必要があったが、秘密鍵を利用することで、煩雑な暗号管 理が安全かつ効率化することができる。 ③ 電文メッセージ改ざん防止 □ 電文内に埋め込まれた改ざん防止用のチェック文字列に発信者の秘密 鍵で署名する。 □ 現行は、②と同様に BK の交換を取引先の数分実施する必要があるが、 PKI 方式はその都度自動で公開鍵を利用するために煩雑なオペレーショ ンが不要となる。 ○セキュリティ(SWIFTNet ○セキュリティ(SWIFTNet フェーズ 2 での対応)の詳細 49
  • 50. HSM(HARDWARE SECURITY MODULE)の導入 □ PKI(公開鍵方式)の計算処理を行う専用機器として、SWIFT 指定のベン ダーからセキュリティ用ハードウエアである HSM の導入が求められる。 RMA(RELATIONSHIP MANAGEMENT APPLICATION)の導入 □ 通信相手の管理(通信許可)を行う新アプリケーションの導入が求められ る。PHASE2 移行後も現在の通信相手先との送受信を継続して行えるよ うに、相手先リストの移行が必要である。また、対応後の業務に関する運 用も変更となるため、事前のオペレーション研修が必要となってくる。 SWIFT 製品のバージョンアップ □ HSM・RMA を利用し、PHASE2 規格での SWIFT 通信を行うことが出来る よ う に SWIFT 製 品 の 最 新 バ ー ジ ョ ン が 必 要 と な る ( 例 え ば 、 SWIFTAlliance 製品などのバージョンアップ作業)。また、作成される電文 規格も変更になるため、後続のバックアップオフィスとデータを連携して いる場合には、PHASE2 規格の電文による影響がないか事前の確認が 必要な場合がある。 基盤 OS のバージョンアップ □ SWIFTAlliance 製品の最新版を導入するため、PC 及びサーバのインフラ 規格の変更が必要になる場合がある。なお対応はクライアントの状況に より異なるので、検討が必要である。 ◎BUSINESS CONTINGENCY PLAN(災害対策) PLAN(災害対策) SWIFT による災害対策 □ SWIFT のすべての通信設備は二重化され、安全が確保されている。 □ さらに、欧米と米国にあるオペレーション・センターは相互にバックアップ 関係にある。 □ SWIFT は、STORE AND FORWARD 方式を採用しており、全てのメッセー ジは、SWIFT のネットワークを通過するまで、正確性、完全性、タイムリー な配信が確保されており、99.999%の信頼性を達成している。 サービス・ビューロによる災害対策 □ DCS(ダイヤモンドコンピュータサービス)によるバックアップサイトの事例 50
  • 51. ◎マネーロンダリングへの取り組み SWIFT としては、マネーロンダリングは重要であるとの認識はある。どこかの国 の金融当局に監督されているわけでもなく、国際的な中立的なインフラである 立場を貫き、データの中身まではタッチしないのが原則である。マネーロンダリ ングへの対応は、各銀行の責任であるとの考え方である。 2-3.SWIFT のビジネスモデル 接続形態は、① INFRASTRUCTURE-CENTRIC、 ②PRIVATE MESSAGING ③ INDUSTRY-WIDE、の 3 つである。 ①INFRASTRUCTURE-CENTRIC □ 最も開発優先順位が高い。 □ HUB-AND-SPOKE モデル。MANY-TO-ONE の形式をとり、GSTPA、 CLS 銀行等の新しいサービスはこの形態で提供。非常に成長性が高い と予測されるモデル。 51
  • 52. □ HUB の部分にすべての情報が集まり、データベースを構築、処理の追加 等が可能。 ②PRIVATE MESSAGING □ INFRASTRUCTURE-CENTRIC に次いで開発優先順位の高いもの。 □ 行内ネットワークのような形のものであり、欧州において長期的な成長性 が期待。 ③INDUSTRY-WIDE □ 最も開発優先順位が低いもの。 □ MANY-TO-MANY モデル。現行の SWIFT のネットワークに近いものであ り、十分な移行期間を必要とするため、最後に更新する計画。 ◎金融機関等との役割分担 ○SWIFTNet 導入を利用した新たなサービス CLS 銀行(CONTINUOUS LINKED SETTLEMENT BANK) □ 「外為取引の 2 通貨(売渡通貨と買受通貨)の同時決済」を連続的に行う 仕組である。1977 年 7 月に CLSS(CLS SERVICE LTD.)が設立した。 □ 1998 年 4 月に CLSS の会議の中で、SWIFT の次世代ネットワークであ る SWIFTNet の利用を決定し、SWIFTNet が利用されている。 GSTPA(GLOBAL STRAIGHT THROUGH PROCESSING ASSOCIATION) □ グローバルな証券取引のマッチング等を実施する機関である。 □ CLS 銀行と同様にネットワークに SWIFTNet を利用している。GSTPA に 関しては、スイスの SIS、TKS/TCS、SWIFT の 3 社で構成されている。 「AXION4」の開発を実施中である。 □ GSTPA による SWIFTNet の利用により、証券メッセージが増大(400 万 件/日から 2,000 万件/日にまで増加すると予想。) ◎SWIFT 導入のメリット・デメリット ○メリット マーケットに対するアクセス時間の短縮 52
  • 53. 業界標準の利用による開発コストが削減でき、共通部品の共有化が可能となる。 単一ネットワークによる異なる業務分野の統合 新しいテクノロジーの活用による通信費用の削減 インタラクティブかつリアルタイムに情報をやり取り可能となるため、世界中から リスク管理および流動性管理の情報を取得可能 SWIFT によるサービス・マネジメント実施 ユーザ要求への柔軟性の向上 ○デメリット SWIFTNet フェーズ 2 移行時に、暗号化等の処理量が多くなるため、コンピュー ターシステムの高い処理能力が必要となる。 MT プロトコル変更への対応が必要 □ ISO15022 メッセージは今後、証券取引の標準メッセージとなる。これへ の対応で現行システムの更新が生じ、金融機関に負担を生じる可能性 あり。 専用システムが必要 □ SWIFTNet に接続するためにはインターフェースを受け持つ SWIFTCBT の導入が必要であり、システムの運用負担が発生する可能性あり。 災害対策サイトの設置が必要 □ 現行システムの更新が生じ、金融機関に負担が生じる可能性あり。 ◎SWIFT における金融業界の通信メッセージの標準化推進活動 金融業務で利用される通信メッセージはさまざまである。しかし、近年、欧米の 銀行・証券業界では、様々な金融業務で利用される通信メッセージを標準化す るための統合的な枠組みとして、新しい国際規格である ISO20022(UNIFI;ユニ ファイ)を活用する動きが広がりつつある。 欧州では、大規模なプロジェクトや制度改革が進む中、小口決済、投資信託等 に関連する通信メッセージを ISO20022 に基づいて標準化する動きがみられる。 さらに米国でも、Web サービスを用いた企業間決済のための通信メッセージを ISO20022 の枠組みのもとで開発する動きがある。 SWIFT では、これまでデータは固定長のフォーマットであった UML 対応から XML 対応への移行進めており、約 2 年間パイロットプロジェクトを推進してきて 53