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© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
UXリサーチのための状況理解と問いの立て方
Koki Kusano, Merpay. Inc.
1
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
メルペイ (メルカリグループ)
 UXリサーチャー
 R4D リサーチフェロー
慶應SDM研究科 特任講師
 デザイン手法の研究
 人間中心設計
 博士(SDM)Koki Kusano
_koki_k @twitter
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
メルカリアプリで使える

スマホ決済サービスを

つくってます

3
メルペイ
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
4
UXリサーチのための状況理解と問い?
プロダクト作りにおけるリサーチは手段で、状況にあわせて使うことが大事
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
メルペイのUXリサーチ
5
https://mercan.mercari.com/articles/18349/
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
記事から一部抜粋
調査の目的やかけられるコストなどを加味しながら、「何の手法をなぜ使うか」
「いつ使うか」「何と組み合わせるか」「どのように共有するか」といった、
リサーチデザインをします。さらに、調査結果を活用するためのワークショップ
をゼロからデザインして、そのファシリテーションをすることも…
6
https://mercan.mercari.com/articles/18349/
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
状況
理解
問い
立案
手順
設計
調査
分析
ここもとても大事
ここに目が行きがち
7
…
リサーチのプロセス
共有
&活用
…
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
参考:似たことはコミュニティでも議論されている
8
https://github.com/researchops/research-skills/blob/master/materials/japanese/researcherskills-workshop_guide_deck-JA.pdf
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問いはいろいろな視点で立てられる
状況
理解
問い
立案
9
User Interface

Service Concept

Service Strategy

and more 

…
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
手段を決める前に、3つの質問に答える
● 自分たちはどういう状況にいる?
○ そもそも自分たちは何に困っている?(潜在化してる場合も)
○ 使える時間、予算、人員、機材は?
●
● 何を明らかにしたい?
○ 状況を鑑みて、何が明らかになると良い?
●
●
● 主に用いたら良い手段と手順は?
○ 妥当性は?逆にその手段ではできないことは?
10
状況
理解
問い
立案
手順
設計
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例:ユーザビリティテストをしよう!
11
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
状況
理解
問い
立案
手順
設計
調査
分析
ユーザビリティテスト!
12
…
リサーチのプロセス
共有
&活用
…
? ? ? ?
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
● 機能のリリース前で、操作データを取りにくい
○ 開発が重めの機能で気軽にリリースできない
●
● 参考にできる情報が少ない
○ ガイドラインとかの前例が少ない
○ デザインを試しながら洗練するために、利用者の反応が見たい
●
● 魅力的品質より、まずは当たり前品質
  例:自分たちはどういう状況にいる?
13
状況
理解
※アプリでかんたん本人確認の
状況を参考に話します
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
  例:何を明らかにしたい?
● 機能に対して起こりうるユーザビリティ課題を広く洗い出すこと
○ 複数のデザインを試して、表出する課題の変化を観察すること
○ 可能なら、課題の取り組み優先度を決められること
● 逆に対象外とすること
○ 量的データとして、課題の深刻度を評価をすること
○ 試した複数のデザインを、比較評価すること
14
問い
立案
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
  例:主に実施すべき手段は?
15
● ユーザビリティテスト(5人に実施)
■ inVisionを用いたデジタルペーパープロトタイプ
●
● 手段の妥当性は?
○ Nielsenらの研究によれば,5人のユーザビリティテストによって85%のユーザビリ
ティ課題を発見することが可能と言われている(古い事例ではあるが)。いきなり15
人にテストするより,5人x3回で試したほうが、問いにも状況的にもマッチする.
手順
設計
[Nielsen et al. A Mathematical Model of the Finding of Usability Problems (1993)]
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参考:ユーザビリティテスト
16
ユーザビリティに関することをテストすること
構成要素
○ 早く学習できる
○ 効率的に使える
○ 容易に思い出せる
○ エラーが少ない
○ 主観的な心地よさ(UX寄り)
他にも ISO9241-11などでも定義
- 利用状況(コンテキスト)に合うか、が入っているのが特徴
[Jakob Nielsen, Usability Engineering (1994)]
この辺がメイン
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参考:ユーザビリティの位置づけ
17
[Jakob Nielsen, Usability Engineering (1994)]
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
参考:ユーザビリティの5人でいいとは?
18
[Nielsen et al. A Mathematical Model of the Finding of Usability Problems (1993)]
一人の評価者が発見できる問題の数 

 システムにある問題の総数

λ=
一人3割ぐらいのバグが見つけられる対象なら

5人程度で85%ぐらい見つけられる

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  例:本手段でできないことは?
19
● 量的データとしての判断は難しい
○ ○人中 □人ができたからOK、みたいな判断は難しい
●
● お客さまのサービス理解度・利用意向の影響
○ 課題の深刻度が変わる可能性がある
●
● 発見された課題の優先順位がつけられない可能性がある
○ 結局、量的な材料がほしくなる可能性
手順
設計
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  例:できないことを鑑みたプラスの対応策
● 量的データとしての判断への対応
○ 状況や問いを含め共有して合意しておく
●
● ユーザのサービス理解度・利用意向の影響への対応
○ お客さまの理解度や利用意向をインタビューで理解
●
● 発見された課題の優先順位付けへの対応
○ インパクト軸とコスト軸で課題をマッピング
○ アンケートで量的な判断材料を増やせる準備をしておく
20
手順
設計
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
  例:いろいろ踏まえて、どういう手順でやる?
1. お客さま理解のためのインタビュー&ユーザビリティテスト x 5名
○ お客さま像、試したデザイン、発見された課題のセットをリストアップ
●
2. インパクト軸xコスト軸を主とした調査結果の整理ワーク
○ オプション:追加のアンケート調査
●
3. 整理ワークの結果をもとに改善案を導出
※ いくつかのデザインを試しながら課題を洗い出すために、5名 x 3回実施
21
手順
設計
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
● 自分たちはどういう状況にいる?
● 何を明らかにしたい?
● 主に用いたら良い手段と手順は?
再掲:手段を決める前に、3つの質問に答える
22
状況
理解
問い
立案
手順
設計
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見た目が魅力的か
UIを操作できるか
IAを理解できるか
機能が必要十分か
サービスが用事を
片付けるのに合うか
(Problem Solution Fit)
参考:問いは色々なところに立てられる
23
© 2019 Koki Kusano, Merpay, Inc
http://www.jjg.net/elements/pdf/elements_ch02.pdf
Web UX Elements
[GARRETT, Jesse James (2002)]
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
参考:問いは色々なところに立てられる
24
予期的UX 一時的UX エピソード的UX 累積的UX
[安藤, 私の利用体験を分析する「UX自己分析ワークシート」(2017)]
http://andoken.blogspot.com/2017/06/ux_3.html
手に入れる前
どんな想像してた?
使い始めの使い心地の
印象は?
使っていて良いなぁと
思ったエピソードは?
使い続けた現在の
想いはどんなもの?
[UX White Paper (2011)]
http://www.allaboutux.org/files/UX-WhitePaper.pdf
© 2020 Merpay, Inc.
● データ収集
○ 質的データ:デプスインタビュー、フィールドリサーチ、ユーザビリティテスト
○ 定量データ:アンケート、サービスの利用ログ
● データ分析
○ 質的データの分析:mGTA、SCAT
○ 定量データの分析:多変量解析
● 分析結果の活用
○ デザイン支援:サービスデザイン・ワークショップ
○
参考:問いに合わせて手法を選ぶ
25
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状況を理解し問いを立てること、を忘れないために
UXリサーチをサービスとして捉える
26
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
● 誰がUXリサーチ(自分)のお客さまか?
● お客さまが解決したいジョブは?
● お客さまにどのような価値を提供する? w/ UXR
● そのための重要なアクティビティは?リソースは?
● どのようなパートナーと組む必要がある?
● コストとベネフィットのバランスは?どう評価する?
UXリサーチ(自分)をサービスとして捉える
27
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
● 状況に合わせて、必要な分をリサーチすること
○ リサーチ前に関係者にインタビューすることもUXリサーチの一歩
●
● 質的なリサーチデータを蓄積&参照容易にすること
○ リサーチのスピードだけで量的なデータには敵わない
●
● 完璧なリサーチはなく、モアベター精神で実践・改善すること
●
●
● 先人の研究や理論を学ぶこと、自分の考えを研究として論じること
私が現職で大事にしていること
28
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
研究と実践の違い(HCI分野)
29
https://www.interaction-design.org/literature/book/the-encyclopedia-of-human-computer-interaction-2nd-ed/research-through-design
研究 実践的デザイン
目的 汎用的な知見 特定の解
結果 抽象的 具体的
期間 長期的 短期的
成果 理論 実現
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リサーチの実践と研究の相互作用に挑戦中
● 様々な方法を知り、目的に合わせて目利きをする
○ 俯瞰して選択肢を提示できる、なぜ良いのかを説明できる
● 実践の文脈に合わせて、方法を応用する
○ 理論通りに使えることは稀、理論と実践の理解ができる
● 実践から新しい研究を見つけて探求する
○ 実践を研究の視点から考察できる
● コミュニティに知を蓄積して成長する ← 挑戦中
○ 一人では難しいことも、コミュニティになればできる
30
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
状況
理解
問い
立案
手順
設計
調査
分析
ここもとても大事
ここに目が行きがち
31
…
おわりに:状況理解と問いを意識する
共有
&活用
…
© 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano
● 自分たちはどういう状況にいる?
● 何を明らかにしたい?
● 主に用いたら良い手段は?
おわりに:手段を決める前に3つの質問に答える
32
状況
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問い
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UXリサーチにおける状況理解と問いの立て方 - Design of UX Research -

  • 1. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano UXリサーチのための状況理解と問いの立て方 Koki Kusano, Merpay. Inc. 1
  • 2. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano メルペイ (メルカリグループ)  UXリサーチャー  R4D リサーチフェロー 慶應SDM研究科 特任講師  デザイン手法の研究  人間中心設計  博士(SDM)Koki Kusano _koki_k @twitter
  • 3. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano メルカリアプリで使える
 スマホ決済サービスを
 つくってます
 3 メルペイ
  • 4. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 4 UXリサーチのための状況理解と問い? プロダクト作りにおけるリサーチは手段で、状況にあわせて使うことが大事
  • 5. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano メルペイのUXリサーチ 5 https://mercan.mercari.com/articles/18349/
  • 6. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 記事から一部抜粋 調査の目的やかけられるコストなどを加味しながら、「何の手法をなぜ使うか」 「いつ使うか」「何と組み合わせるか」「どのように共有するか」といった、 リサーチデザインをします。さらに、調査結果を活用するためのワークショップ をゼロからデザインして、そのファシリテーションをすることも… 6 https://mercan.mercari.com/articles/18349/
  • 7. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 状況 理解 問い 立案 手順 設計 調査 分析 ここもとても大事 ここに目が行きがち 7 … リサーチのプロセス 共有 &活用 …
  • 8. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 参考:似たことはコミュニティでも議論されている 8 https://github.com/researchops/research-skills/blob/master/materials/japanese/researcherskills-workshop_guide_deck-JA.pdf
  • 9. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 問いはいろいろな視点で立てられる 状況 理解 問い 立案 9 User Interface
 Service Concept
 Service Strategy
 and more 
 …
  • 10. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 手段を決める前に、3つの質問に答える ● 自分たちはどういう状況にいる? ○ そもそも自分たちは何に困っている?(潜在化してる場合も) ○ 使える時間、予算、人員、機材は? ● ● 何を明らかにしたい? ○ 状況を鑑みて、何が明らかになると良い? ● ● ● 主に用いたら良い手段と手順は? ○ 妥当性は?逆にその手段ではできないことは? 10 状況 理解 問い 立案 手順 設計
  • 11. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 例:ユーザビリティテストをしよう! 11
  • 12. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 状況 理解 問い 立案 手順 設計 調査 分析 ユーザビリティテスト! 12 … リサーチのプロセス 共有 &活用 … ? ? ? ?
  • 13. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano ● 機能のリリース前で、操作データを取りにくい ○ 開発が重めの機能で気軽にリリースできない ● ● 参考にできる情報が少ない ○ ガイドラインとかの前例が少ない ○ デザインを試しながら洗練するために、利用者の反応が見たい ● ● 魅力的品質より、まずは当たり前品質   例:自分たちはどういう状況にいる? 13 状況 理解 ※アプリでかんたん本人確認の 状況を参考に話します
  • 14. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano   例:何を明らかにしたい? ● 機能に対して起こりうるユーザビリティ課題を広く洗い出すこと ○ 複数のデザインを試して、表出する課題の変化を観察すること ○ 可能なら、課題の取り組み優先度を決められること ● 逆に対象外とすること ○ 量的データとして、課題の深刻度を評価をすること ○ 試した複数のデザインを、比較評価すること 14 問い 立案
  • 15. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano   例:主に実施すべき手段は? 15 ● ユーザビリティテスト(5人に実施) ■ inVisionを用いたデジタルペーパープロトタイプ ● ● 手段の妥当性は? ○ Nielsenらの研究によれば,5人のユーザビリティテストによって85%のユーザビリ ティ課題を発見することが可能と言われている(古い事例ではあるが)。いきなり15 人にテストするより,5人x3回で試したほうが、問いにも状況的にもマッチする. 手順 設計 [Nielsen et al. A Mathematical Model of the Finding of Usability Problems (1993)]
  • 16. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 参考:ユーザビリティテスト 16 ユーザビリティに関することをテストすること 構成要素 ○ 早く学習できる ○ 効率的に使える ○ 容易に思い出せる ○ エラーが少ない ○ 主観的な心地よさ(UX寄り) 他にも ISO9241-11などでも定義 - 利用状況(コンテキスト)に合うか、が入っているのが特徴 [Jakob Nielsen, Usability Engineering (1994)] この辺がメイン
  • 17. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 参考:ユーザビリティの位置づけ 17 [Jakob Nielsen, Usability Engineering (1994)]
  • 18. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 参考:ユーザビリティの5人でいいとは? 18 [Nielsen et al. A Mathematical Model of the Finding of Usability Problems (1993)] 一人の評価者が発見できる問題の数 
  システムにある問題の総数
 λ= 一人3割ぐらいのバグが見つけられる対象なら
 5人程度で85%ぐらい見つけられる

  • 19. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano   例:本手段でできないことは? 19 ● 量的データとしての判断は難しい ○ ○人中 □人ができたからOK、みたいな判断は難しい ● ● お客さまのサービス理解度・利用意向の影響 ○ 課題の深刻度が変わる可能性がある ● ● 発見された課題の優先順位がつけられない可能性がある ○ 結局、量的な材料がほしくなる可能性 手順 設計
  • 20. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano   例:できないことを鑑みたプラスの対応策 ● 量的データとしての判断への対応 ○ 状況や問いを含め共有して合意しておく ● ● ユーザのサービス理解度・利用意向の影響への対応 ○ お客さまの理解度や利用意向をインタビューで理解 ● ● 発見された課題の優先順位付けへの対応 ○ インパクト軸とコスト軸で課題をマッピング ○ アンケートで量的な判断材料を増やせる準備をしておく 20 手順 設計
  • 21. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano   例:いろいろ踏まえて、どういう手順でやる? 1. お客さま理解のためのインタビュー&ユーザビリティテスト x 5名 ○ お客さま像、試したデザイン、発見された課題のセットをリストアップ ● 2. インパクト軸xコスト軸を主とした調査結果の整理ワーク ○ オプション:追加のアンケート調査 ● 3. 整理ワークの結果をもとに改善案を導出 ※ いくつかのデザインを試しながら課題を洗い出すために、5名 x 3回実施 21 手順 設計
  • 22. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano ● 自分たちはどういう状況にいる? ● 何を明らかにしたい? ● 主に用いたら良い手段と手順は? 再掲:手段を決める前に、3つの質問に答える 22 状況 理解 問い 立案 手順 設計
  • 23. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 見た目が魅力的か UIを操作できるか IAを理解できるか 機能が必要十分か サービスが用事を 片付けるのに合うか (Problem Solution Fit) 参考:問いは色々なところに立てられる 23 © 2019 Koki Kusano, Merpay, Inc http://www.jjg.net/elements/pdf/elements_ch02.pdf Web UX Elements [GARRETT, Jesse James (2002)]
  • 24. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 参考:問いは色々なところに立てられる 24 予期的UX 一時的UX エピソード的UX 累積的UX [安藤, 私の利用体験を分析する「UX自己分析ワークシート」(2017)] http://andoken.blogspot.com/2017/06/ux_3.html 手に入れる前 どんな想像してた? 使い始めの使い心地の 印象は? 使っていて良いなぁと 思ったエピソードは? 使い続けた現在の 想いはどんなもの? [UX White Paper (2011)] http://www.allaboutux.org/files/UX-WhitePaper.pdf
  • 25. © 2020 Merpay, Inc. ● データ収集 ○ 質的データ:デプスインタビュー、フィールドリサーチ、ユーザビリティテスト ○ 定量データ:アンケート、サービスの利用ログ ● データ分析 ○ 質的データの分析:mGTA、SCAT ○ 定量データの分析:多変量解析 ● 分析結果の活用 ○ デザイン支援:サービスデザイン・ワークショップ ○ 参考:問いに合わせて手法を選ぶ 25
  • 26. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 状況を理解し問いを立てること、を忘れないために UXリサーチをサービスとして捉える 26
  • 27. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano ● 誰がUXリサーチ(自分)のお客さまか? ● お客さまが解決したいジョブは? ● お客さまにどのような価値を提供する? w/ UXR ● そのための重要なアクティビティは?リソースは? ● どのようなパートナーと組む必要がある? ● コストとベネフィットのバランスは?どう評価する? UXリサーチ(自分)をサービスとして捉える 27
  • 28. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano ● 状況に合わせて、必要な分をリサーチすること ○ リサーチ前に関係者にインタビューすることもUXリサーチの一歩 ● ● 質的なリサーチデータを蓄積&参照容易にすること ○ リサーチのスピードだけで量的なデータには敵わない ● ● 完璧なリサーチはなく、モアベター精神で実践・改善すること ● ● ● 先人の研究や理論を学ぶこと、自分の考えを研究として論じること 私が現職で大事にしていること 28
  • 29. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 研究と実践の違い(HCI分野) 29 https://www.interaction-design.org/literature/book/the-encyclopedia-of-human-computer-interaction-2nd-ed/research-through-design 研究 実践的デザイン 目的 汎用的な知見 特定の解 結果 抽象的 具体的 期間 長期的 短期的 成果 理論 実現
  • 30. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano リサーチの実践と研究の相互作用に挑戦中 ● 様々な方法を知り、目的に合わせて目利きをする ○ 俯瞰して選択肢を提示できる、なぜ良いのかを説明できる ● 実践の文脈に合わせて、方法を応用する ○ 理論通りに使えることは稀、理論と実践の理解ができる ● 実践から新しい研究を見つけて探求する ○ 実践を研究の視点から考察できる ● コミュニティに知を蓄積して成長する ← 挑戦中 ○ 一人では難しいことも、コミュニティになればできる 30
  • 31. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano 状況 理解 問い 立案 手順 設計 調査 分析 ここもとても大事 ここに目が行きがち 31 … おわりに:状況理解と問いを意識する 共有 &活用 …
  • 32. © 2020 Merpay, Inc. Koki Kusano ● 自分たちはどういう状況にいる? ● 何を明らかにしたい? ● 主に用いたら良い手段は? おわりに:手段を決める前に3つの質問に答える 32 状況 理解 問い 立案 手順 設計