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151028教育評価論（三田）第5講
- 1. 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成(1) 文部科学省 国立教育政策研究所 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま 山 もり 森 こう 光 よう 陽 (教育心理学) koyo@nier.go.jp 平成 27 年 10 月 27 日 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません
- 2. はじめに 本日の出席とスライド 本日の出席 https: //questant.jp/q/151028 本日のスライド http://www.slideshare.net/ koyoyamamori/eduass151028 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 2 / 27
- 3. はじめに 本日の内容 1 テスト冊子作成の考え方 2 テスト冊子作成の手順 手順 1：単元の決定と単元の評価規準の設定 手順 2：単元の評価規準に対するテスト項目 手順 3：A(十分満足) と評価する項目の設定 テスト冊子へのまとめ 3 次回講義までの課題 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 3 / 27
- 4. テスト冊子作成の考え方
- 5. テスト冊子作成の考え方 項目に応答させる形式：段階評価 300 400 500 600 700 800 0.00.20.40.60.81.0 Item response function Ability Probabilityofacorrectresponse 300 400 500 600 700 800 0.00.20.40.60.81.0 Item response function Ability Probabilityofacorrectresponse 300 400 500 600 700 800 0.00.20.40.60.81.0 Item response function Ability Probabilityofacorrectresponse Figure 1: 項目と特性 Figure 2: レベル表 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 5 / 27
- 6. テスト冊子作成の考え方 テスト冊子が持つべき性質 −4 −2 0 2 4 0.00.20.40.60.81.0 Item response function Ability Probabilityofacorrectresponse Figure 3: 複数項目の項目特性曲線 項目を多めに用意することで段階を増やす 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 6 / 27
- 7. テスト冊子作成の考え方 観点別評価のためのテスト テスト項目の作り方 56 効果的な形成的フィードバックの方法 通 過 率 高 低 評価規準に対し てCに相当する 生徒が正答可能 な項目 評価規準に対し てBに相当する 生徒が正答可能 な項目 評価規準に対し てAに相当する 生徒が正答可能 な項目 ○○なことができれば， この評価規準を上回る （A）と評価可能 ○○なことができれば， この評価規準を満たす （B）と評価可能 Figure 4: 観点別評価を行うためのテスト冊子の考え方 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 7 / 27
- 8. テスト冊子作成の手順
- 9. テスト冊子作成の手順 取り組んでいる課題 課題の内容 講義で示した手順に沿って，自身が免許取得を希望する教科 （または，それに近い教科）の中学 2 年生に対して思考・判断・ 表現の観点別評価を行うためのテストを作成してください。 テスト冊子は，B と判断するための項目と，A と判断するため の項目 2 項目で構成してください。 課題の要件 評価対象となる単元を示す。 単元の評価規準を示す。 B に相当する項目，A に相当する項目をそれぞれ設定する。 設定された項目について，なぜ B（あるいは A）に相当するの かの理由を明示する。 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 9 / 27
- 10. テスト冊子作成の手順 テスト項目とテスト冊子作成の大まかな流れ 大まかな流れ 評価規準（達成目標）を設定する 評価規準（達成目標）に対して，どのようなことが出来れば 「おおむね満足」「十分満足と言えるか」を検討する。 「おおむね満足」といえる状況を判断可能なテスト項目と， 「十分満足」といえる状況を判断可能なテスト項目をそれぞれ 設定する。 このようなテストの利点 0 点で C，1 点で B，2 点で A という対応関係が成立 単なる正答数の積み上げでは観点別評価は不可能 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 10 / 27
- 11. テスト冊子作成の手順 手順1：単元の決定と単元の評価規準の設定 教科書などを参考に各教科について中 2 の単元を一つ選択 する。 当該単元の「思考・判断・表現」に相当する観点（英語は「理 解の能力」）の評価規準を国立教育政策研究所の「参考資料」 の「評価規準の設定例」より抜粋する。 抜粋した評価規準が教科書の単元内容と一致している場合に はそれを単元の評価規準とする。 抜粋した評価規準が単元内容を完全に反映していない場合に は，抜粋した評価規準を単元内容にあわせて修正する。 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 11 / 27
- 12. テスト冊子作成の手順 単元の決定 歴史のとらえ方 ￨■￨ ■ ■ ■ 1歴史学習のはじめに 2歴史の大きな流れを見てみよう 3歴史の調べ学習をするには… ? 1節 文明のおこりと日本の成り立ち 1世界の古代文明と宗教のお こり … … 鑑回因Dヨ ーロッパの古代文明とイスラム教 2日 本列島の誕生と縄文文化 3弥生文化 と邪馬台国 . 4大王の時代 ０ ４ ８ ０ ２ ２ ２ ２ ３ ３ 2節 古代国家の歩みと東アジア世界 轟わた したち歴史探検隊 1 古代 日本の玄関口・福岡 大陸との交流を探る 1聖徳太子の政治改革 2大化の改新 3律令国家の成立 と平城京 4奈良時代の人々のくらし 5天平文化 6平安京 と東アジアの変化 7摂 関政治 と文化の国風化 経圏国 "考 古学のとびら 襲この時代の特色をとらえよう. ■この時代の学習をふり返つて,みんなで考えてみよう 50 斜 ３６ ３８ ４０ ４２ ４ “ ５４ ５５ ５６ 第 3章 1節 武士の台頭と鎌倉幕府 1武士の成長 2武家政権の成立 3武士 と民衆の生活 4鎌倉時代の文化 と宗教 60 62 64 66 2節 東アジア世界とのかかわりと社会の変動 ■わたしたち歴史探検隊 2 自治都市・堺 とその遺産 鉄砲か ら刃物へ . 1モ ンゴルの襲来 と日本 2南 北朝の動乱と室町幕府 3東アジアとの交流 4産業の発達 と民衆の生活 . 5応仁の乱 と戦国大名 6室町文化 とその広が り ６８ Ю ７２ ７４ ７６ ７８ “ ８６ ８７ ８８ ＾０ 日憂D 鰹田D 東アジア世界の朝貢体制と琉球王国 室町時代の生活文化 と現代 ■この時代の特色をとらえよう . ■この時代の学習をふ り返つて,みんなで考えてみよう 1節 ヨーロッパ人との出会いと全国統一 1キ リス ト教世界 とルネサ ンス 2ヨ ーロッパと外の世界 3ヨ ーロッパ人との出会い 4織田信長・豊臣秀吉による統一事業 5兵農分離 と朝鮮侵略 6桃山文化 2節 江戸幕府の成立 と鎖国 1江戸幕府の成立 と支配の しくみ 2さ まざまな身分 とくらし 3貿 易の振興か ら鎖国ヘ 4鎖 国下の対外関係 . . 104 106 108 _ 110 1農業や諸産業の発達 2都市の繁栄 と元禄文化 3享保の改革 と社会の変化 3節 産業の発達と幕府政治の動き 112 114 116 歴史 もくじ ５ ５ １３ ７ 古代までの日本 中世の日本 仄屹卜屹最近世の日本 ﹁ ︲ ︱ コ ９２ ９４ ９６ ９８ ∞ ０２ 2 Figure 5: 教科書の目次の例（中学社会歴史的分野） 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 12 / 27
- 13. テスト冊子作成の手順 単元の内容 ９ Ｌ 節 1齢 cコ檸多踏に (高 さ約 2.5m 復元された石塁 指胃帯讐歯) ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ︲ 遍勇 モンゴルの襲来はどのようなもので,日 本にどのような影響をあたえたので 纏要 しょうか。 モンゴリレ帯画の 13世紀のはじめ,モ ンゴル高原で遊牧生活を していたモンゴル民族か ら出たチンギス・ハ→〉p万5 ンは,部族を統一 して国を建設 しました。その子や孫は,そ の国 を広大なユーラシア大陸の東西にまたがる大帝国(モ ンゴル帝国) に成長させ,5代 目のフビライ・ハンは,都 を大都 (北 京)に移 し,5 国号を元と定めて皇帝にな りました。 モンゴル帝国は各地の民族の宗教を認め,陸路だけでなく海路 も整え,広 く交流を進めたので,ヨ ーロッパか らキリス ト教を布 教する宣教師や商人なども元を訪れました。 しゅうらい 三度の襲来 フビライは朝鮮半島の高麗を従え,さ らに日10→p.45 本を従えようと,たびたび使者を送つてきま した。 これを執権の北条時宗が退けたため,元 は高麗の軍勢も合 わせて攻めてきました。1274(文 永 11)年 には,対馬,壱岐をおそ ったのちに九州北部の博多湾岸(福 岡市)に 上陸 し,集団戦法 と優 れた火器によ り,幕府軍をなやませましたが,内紛や暴風雨のた 15 めに引きあげました(文永の役)。 さらに元は宋(南 宋)を ほろぼすと,1281(弘 安4)年 に,ふたた 白ロ フピライの国書 …高麗はわた しの東方の属国 である。日本は高麗に近く,と きどき中国に使いを送ってきた が,わた しの時代になつてから は一人の使いもよこさない。 ・ 今後はたがいに訪問 し友好を結 ぼうではないか。…武力を使い たくはないのでよく考えてほし いo (部 分要約) ロ フビライ・ハン(左 :1215∼ 94) と北条時宗(1251∼ 84)と 伝えら れる肖像画 (北 条時宗は熊本県 満願寺蔵) ロモンゴル軍との戦い 異国からの襲来に, 御家人たちは勇んで戦い,苦労しながらも, これを退けました(:;を 泉の覆)。 様岳襲策晨 詞 東京都 宮内庁三の丸尚蔵館蔵) 元はどんな戦い方 をしているのかな。 第 3章 中世の日本 ■ 日 =‐ ‐ ― :ざ =言―■ I:ユ ‐・ ― ― : 」・ 1 東 ア ジ ア 世 界 と の か か わ り と 社 会 の 変 動 建 f 雪 ,森■t モンゴルの 襲来と日本 ￨ ￨ ヽ 68 Figure 6: 教科書の内容の例（中学社会歴史的分野） 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 13 / 27
- 14. テスト冊子作成の手順 評価規準の設定(1) Ⅱ 歴史的分野 １ 歴史的分野の目標 (1) 歴史的事象に対する関心を高め，我が国の歴史の大きな流れを，世界の歴史を背景に，各時代の特色 を踏まえて理解させ，それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるととも に，我が国の歴史に対する愛情を深め，国民としての自覚を育てる。 (2) 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を， その時代や地域との関連において理解させ，尊重する態度を育てる。 (3) 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ，我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深 くかかわっていることを考えさせるとともに，他民族の文化，生活などに関心をもたせ，国際協調の 精神を養う。 (4) 身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め，様々な資料を活用 して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育て る。 ２ 歴史的分野の評価の観点の趣旨 社会的事象への 社会的な 社会的事象についての 資料活用の技能 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 知識・理解 歴史的事象に対する関 歴史的事象から課題を 年表や歴史地図，映像 我が国の歴史の大きな 心を高め，それを意欲 見いだし，我が国の歴 など歴史に関する様々 流れを，世界の歴史を 的に追究し，広い視野 史の大きな流れや各時 な資料を収集し，有用 背景に，各時代の特色 に立って我が国の伝統 代の特色などを多面的 な情報を適切に選択し を踏まえて理解し，そ と文化について考え国 ・多角的に考察し，公 て，読み取ったり図表 の知識を身に付けてい 民としての自覚をもと 正に判断して，その過 などにまとめたりして る。 うとする。 程や結果を適切に表現 いる。 している。 ３ 学習指導要領の内容，内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項及び評価規準の設定例 （１）「（１）歴史の捉え方」 【学習指導要領の内容】 ア 我が国の歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりするなどの活動を通して，時代の 区分やその移り変わりに気付かせ，歴史を学ぶ意欲を高めるとともに，年代の表し方や時代区分に ついての基本的な内容を理解させる。 イ 身近な地域の歴史を調べる活動を通して，地域への関心を高め，地域の具体的な事柄とのかかわ りの中で我が国の歴史を理解させるとともに，受け継がれてきた伝統や文化への関心を高め，歴史 の学び方を身に付けさせる。 ウ 学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して，各時代の特色を捉えさせる。 【「（１）歴史の捉え方」の評価規準に盛り込むべき事項】 社会的事象への 社会的な 社会的事象についての 資料活用の技能 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 知識・理解 我が国の歴史の大きな 我が国の歴史の大きな 我が国の歴史の大きな 我が国の歴史における 流れや各時代の特色， 流れや各時代の特色， 流れや各時代の特色， 時代の移り変わりに気 地域の歴史に対する関 地域の歴史について考 地域の歴史に関する様 付くとともに，年代の 心を高め，意欲的に追 察し，その過程や結果 々な資料を収集し，有 表し方や時代区分につ 究しようとしている。 を 適 切 に 表 現 し て い 用な情報を適切に選択 いての基本的な内容， る。 して，読み取ったり図 身近な地域の歴史との 表などにまとめたりし 関わりの中での我が国 ている。 の歴史，各時代の特色 - 31 - Figure 7: 評価の観点の趣旨（中学社会歴史的分野） 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 14 / 27
- 15. テスト冊子作成の手順 評価規準の設定(2) 【「(３) 中世の日本」の評価規準に盛り込むべき事項】 社会的事象への 社会的な 社会的事象についての 資料活用の技能 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 知識・理解 中世の歴史的事象に対 中世の歴史的事象から 年表や歴史地図，映像 中世の特色などを，世 する関心を高め，意欲 課題を見いだし，中世 など中世に関する様々 界の歴史を背景に理解 的に追究し，中世の文 の特色などを多面的・ な資料を収集し，有用 し，その知識を身に付 化遺産を尊重しようと 多角的に考察し，公正 な情報を適切に選択し けている。 する。 に判断して，その過程 て，読み取ったり図表 や結果を適切に表現し などにまとめたりして ている。 いる。 【「(３) 中世の日本」の評価規準の設定例】 社会的事象への 社会的な 社会的事象についての 資料活用の技能 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 知識・理解 ・武家政権の成立と ・鎌倉幕府の成立，南 ・鎌倉幕府の成立，南 ・武士が台頭して武家 その支配の広まり， 北朝の争乱と室町幕 北朝の争乱と室町幕 政権が成立し，その 東アジア世界との 府，東アジアの国際 府，東アジアの国際 支配が次第に全国に 密接な関わり，武 関係，応仁の乱後の 関係，応仁の乱後の 広まるとともに，東 家政治の展開や民 社会的な変動や武家 社会的な変動などに アジア世界との密接 衆の成長を背景と 政治の特色について 関する様々な資料を な関わりがみられた した社会や文化な 多面的・多角的に考 収集し，有用な情報 ことを理解し，その ど，中世の歴史的 察し，公正に判断し を適切に選択して， 知識を身に付けてい 事象に対する関心 て，その過程や結果 読み取ったり図表な る。 を高め，意欲的に を適切に表現してい どにまとめたりして 追究し，中世の特 る。 いる。 色を捉えようとす るとともに，中世 ・農業など諸産業の発 ・農業など諸産業の発 ・武家政治の展開や民 の文化遺産を尊重 達，畿内を中心とし 達，畿内を中心とし 衆の成長を背景とし しようとする。 た都市や農村におけ た都市や農村におけ た社会や文化が生ま る自治的な仕組みの る自治的な仕組みの れたことを理解し， 成立，禅宗の文化的 成立，禅宗の文化的 その知識を身に付け な影響などについて な影響などに関する ている。 多面的・多角的に考 様 々 な 資 料 を 収 集 察し，その過程や結 し，有用な情報を適 果を適切に表現して 切に選択して，読み いる。 取ったり図表などに ま と め た り し て い る。 （４）「(４) 近世の日本」 【学習指導要領の内容】 ア 戦国の動乱，ヨーロッパ人来航の背景とその影響，織田・豊臣による統一事業とその当時の対外 関係，武将や豪商などの生活文化の展開などを通して，近世社会の基礎がつくられていったことを 理解させる。 イ 江戸幕府の成立と大名統制，鎖国政策，身分制度の確立及び農村の様子，鎖国下の対外関係など を通して，江戸幕府の政治の特色を考えさせ，幕府と藩による支配が確立したことを理解させる。 ウ 産業や交通の発達，教育の普及と文化の広がりなどを通して，町人文化が都市を中心に形成され たことや，各地方の生活文化が生まれたことを理解させる。 - 34 - Figure 8: 評価規準の設定例（中学社会歴史的分野） 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 15 / 27
- 16. テスト冊子作成の手順 評価規準の設定(2) • • (a) • • (b) 1-3 Figure 9: 単元の評価規準の設定 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 16 / 27
- 17. テスト冊子作成の手順 手順2：単元の評価規準に対するテスト項目 B(おおむね満足) と判断するためのテスト項目 評価規準の例 (理科第 2 分野「科学的な思考・表現」) 自然の恵みと災害について調べ、自然を多面的総合的にとらえて、 自然と人間のかかわりについて自らの考えをまとめ、表現して いる。 どのようなテスト項目に正答すると，この評価規準に記述さ れている能力が発揮されたと見なされるかを検討し，テスト 項目を作成する。 テスト項目は正答が一義的に定まらなければならない。 思考・判断・表現の評価には問題場面項目が向いている。 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 17 / 27
- 18. テスト冊子作成の手順 問題場面項目の例 のかを調べ，災害と自然環境 との関係についてまとめよう。 下の図は1959年の台風15号の発生４日後までの経路図である。この台風 は伊勢湾台風とも呼ばれ、日本の各地に大きな自然災害をもたらした台風 の１つである。この台風で、富山県にはどのような災害が起きたと考えられ るか。正しいと考えられるものを次のア～エから１つ選び記号で答えなさい。 ア 台風が中国地方を通り、日本海側に抜け たため、富山県には東よりの暴風によるフェー ン現象が発生し、記録的な猛暑となった。 イ 台風が本州に上陸したが、富山県上空を 台風の中心が通ったため、大きな被害はな かった。 ウ 台風が中国地方を通り、日本海側に抜け たため富山県には西よりの暴風が吹き、建物 の倒壊などの被害が大きかった。 エ 台風が本州に上陸したことから富山県では 暴風雨や高潮の被害が出た。 4日目 3日目 2日目 1日目 項目応答型評価 実現状況の一部分を評価。 単元で身についた知識と思考力を発揮させな がら一つの正解を選択させることで，単元の評 価規準に対する実現状況の一部分を評価。 Figure 10: 問題場面項目の例 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 18 / 27
- 19. テスト冊子作成の手順 手順3：A(十分満足)と評価する項目の設定 いて 合的 のか の考え 。 現） 評価に用いる課題 富山県に被害をもたらした台 風にはどのような特徴がある のかを調べ，災害と自然環境 との関係についてまとめよう。 課題解決評価 下の図は1959年の台風15号の発生４日後までの経路図である。この台風 は伊勢湾台風とも呼ばれ、日本の各地に大きな自然災害をもたらした台風 の１つである。この台風で、富山県にはどのような災害が起きたと考えられ るか。正しいと考えられるものを次のア～エから１つ選び記号で答えなさい。 ア 台風が中国地方を通り、日本海側に抜け たため、富山県には東よりの暴風によるフェー ン現象が発生し、記録的な猛暑となった。 イ 台風が本州に上陸したが、富山県上空を 台風の中心が通ったため、大きな被害はな かった。 ウ 台風が中国地方を通り、日本海側に抜け たため富山県には西よりの暴風が吹き、建物 の倒壊などの被害が大きかった。 エ 台風が本州に上陸したことから富山県では 暴風雨や高潮の被害が出た。 4日目 3日目 2日目 1日目 項目応答型評価 調べて考えを広げたり，まとめたりす る過程と課題解決の結果を表現させ ることで，単元の評価規準に対する 実現状況の一部分を評価。 単元で身についた知識と思考力を発揮させな がら一つの正解を選択させることで，単元の評 価規準に対する実現状況の一部分を評価。 図1-‐15 課題解決評価と項目応答型評価の組み合わせ 科第２分野「（７）自然と人間 イ 自然の恵みと災害」における「科学的な思考・表現」の例） B と評価するために設定し た項目より難易度を上 げる。 内容的な難易度 (未習の内 容など) を上げるのでは ない。 抽象度や複雑さが高いもの にする。 より多面的，多角的に考 える必要がある。 判断すべき条件が多い。 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 19 / 27
- 20. テスト冊子作成の手順 テスト冊子へのまとめ テスト項目の作り方 56 効果的な形成的フィードバックの方法 通 過 率 高 低 評価規準に対し てCに相当する 生徒が正答可能 な項目 評価規準に対し てBに相当する 生徒が正答可能 な項目 評価規準に対し てAに相当する 生徒が正答可能 な項目 ○○なことができれば， この評価規準を上回る （A）と評価可能 ○○なことができれば， この評価規準を満たす （B）と評価可能 Figure 11: テスト冊子へのまとめ このように 2 つの項目をま とめると，当該評価規準 (達 成目標) に対する実現状況 のレベルを評価することが できる小さな冊子となる。 橋本 (1972)[1] が参考にな る (絶版で入手困難のため ログブックの掲示板に載せ ています) 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 20 / 27
- 21. 次回講義までの課題
- 22. 次回講義までの課題 作成したテスト冊子の提出 課題の要件 評価対象となる単元を示す。 単元の評価規準を示す。 B に相当する項目，A に相当する項目をそれぞれ設定する。 設定された項目について，なぜ B（あるいは A）に相当するのか の理由を明示する。 提出 A4 判用紙 2 枚程度 (スライド 2 枚) にまとめる。 プレゼンテーションに耐えられる構成にする。 グループ名とメンバーの名前を明記すること。 11 月 7 日 (土) 中に教職ログブックに全員が提出。 ※来週は今日の続きをやります。 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 22 / 27
- 23. 次回講義までの課題 発揮された能力の程度を見積もる工夫 であるため であると 考えられる 課題に 対する 出来具合 評価規準に 照らし 合わせた 能力の程度 出来を求める だけでなく 能力の発揮・伸 長を意図した支 援を可能にする 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 23 / 27
- 24. 出席の登録 本日の出席とスライド 本日の出席 https: //questant.jp/q/151028 本日のスライド http://www.slideshare.net/ koyoyamamori/eduass151028 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 25 / 27
- 25. References
- 26. References 引用文献 I [1] 橋本重治. 教師自作テストのつくり方 : 思想・創造・理解・技能などの作 問法. 図書文化, 1972. 教育評価論（第 5 講） テスト冊子の作成 (1) 平成 27 年 10 月 27 日 27 / 27