More Related Content More from Kenji Saito (20) 地球規模OS の実現に向けて1. WIDE 合宿 2011 春 ボードワークショップ
地球規模 OS の実現に向けて
∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ ∼
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 特別研究講師
斉藤 賢爾
ks91@sfc.wide.ad.jp
Twitter: ks91020
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.1/37
3. これまでとこれからのあらすじ
(架空アニメ作品「産業社会少女まどか ⋆ マギカ」より)
第 1 話「石油があった、ような . . .」
第 2 話「成長はとっても嬉しいなって」
第 3 話「もう石油ピークも怖くない」
第 4 話「石炭ピークもピークウランもあるんだよ」
第 5 話「1 人あたり 1.4kW なんて、あるわけない」
第 6 話「こんなの絶対おかしいよ」
第 7 話「次の文明と向き合えますか?」
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.3/37
4. 問題提起編
青白き点
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.4/37
8. PALE BLUE DOT (青白き点)
カール・セーガンの提案で
撮影
1990 年 2 月、太陽系の黄
道面を離れたボイジャー 1
号は地球を振り返る
地球はどこ?
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.7/37
9. PALE BLUE DOT (青白き点)
カール・セーガンの提案で
撮影
1990 年 2 月、太陽系の黄
道面を離れたボイジャー 1
号は地球を振り返る
地球はどこ?
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.7/37
10. PALE BLUE DOT (青白き点)
セーガンの講演
「この青白い点の上に、あ
なたの愛するすべての人、
すべての知人、あなたが聞
いたことがあるすべての人、
すべての人類が生きている」
YouTube 動画
http://bit.ly/9PApWV
(full speech)
http://bit.ly/2fTCL5 (日本語字幕)
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.8/37
12. 2006 年、カッシーニが撮影した地球
Our Spaceship EARTH
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.9/37
13. 2006 年、カッシーニが撮影した地球
Our Spaceship EARTH
宇宙船地球号の上での活動を可能にしているエネルギー源は?
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.9/37
14. 2006 年、カッシーニが撮影した地球
Our Spaceship EARTH
宇宙船地球号の上での活動を可能にしているエネルギー源は?
私たちの生命を維持しているメカニズムは?
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.9/37
16. 単位系のおさらい
1J (ジュール) = 1Ws (約 2.78 × 10−7 kWh)
エネルギー、仕事、熱量の単位
1N の力が、力の方向に物体を 1 メートル動かすときの仕事
1kg · m2 · s−2
小さなリンゴが地球上で 1 メートル落下するときの仕事
1kJ で Google で 1 回検索でき、1MJ で 3kg の氷が溶ける
1W (ワット) = 1J/s
仕事率の単位
人体は約 100W 消費します (10 秒で Google での検索 1 回)
ヤシマ作戦 (TV 版) は 160GW (今だと 300GW 近く)
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.11/37
17. 規模感の把握のために
植物プランクトンのエネルギー蓄積:
約 62.7TW
その約 1%である 630GW のパワーで魚や海洋哺乳
類が海水をかき回す結果、深海の潮流に作用し、気
候に影響をもたらしているという学説
植物のエネルギー蓄積:
約 120TW ぐらいか
植物プランクトンの酸素生成への寄与が約 50%
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.12/37
19. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
20. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW 潮汐力: 約 3TW/0.002%
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
21. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW 潮汐力: 約 3TW/0.002%
地熱: 約 23TW/0.013%
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
22. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW 潮汐力: 約 3TW/0.002%
地熱: 約 23TW/0.013%
化石燃料の燃焼:
約 13TW/0.007%
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
23. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW 潮汐力: 約 3TW/0.002%
地熱: 約 23TW/0.013%
化石燃料の燃焼:
約 13TW/0.007%
太陽からの放射:
約 174PW/100%
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
24. 地球のエネルギー予算、収入と支出
地球の大気に入るエネルギー
総量は約 174PW
174PW 174PW 潮汐力: 約 3TW/0.002%
地熱: 約 23TW/0.013%
化石燃料の燃焼:
約 13TW/0.007%
太陽からの放射:
約 174PW/100%
3 割が即、反射され、7 割が吸
収された後に赤外線放射
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.13/37
25. 文明の全景
人類のエネルギー利用は
約 12.5∼18TW (でかい)
米国: 約 3.4TW (11kW/人)
日本: 約 700GW (5.5kW/人)
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.14/37
26. 文明の全景
人類のエネルギー利用は
約 12.5∼18TW (でかい)
米国: 約 3.4TW (11kW/人)
日本: 約 700GW (5.5kW/人)
完新世 (Holocene) から
人新世 (Anthropocene) へ
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.14/37
27. 文明の全景
人類のエネルギー利用は
約 12.5∼18TW (でかい)
米国: 約 3.4TW (11kW/人)
日本: 約 700GW (5.5kW/人)
完新世 (Holocene) から
人新世 (Anthropocene) へ
私たちはエネルギーの流れを
制御し、そこに情報の流れを
乗せています
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.14/37
28. 文明の全景
人類のエネルギー利用は
約 12.5∼18TW (でかい)
米国: 約 3.4TW (11kW/人)
日本: 約 700GW (5.5kW/人)
完新世 (Holocene) から
人新世 (Anthropocene) へ
私たちはエネルギーの流れを
制御し、そこに情報の流れを
乗せています
その情報の流れがエネルギー
の流れを支配しています
貨幣経済の都合で起こる
壮大な無駄と暴力
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.14/37
29. 文明の全景
人類のエネルギー利用は
約 12.5∼18TW (でかい)
米国: 約 3.4TW (11kW/人)
日本: 約 700GW (5.5kW/人)
完新世 (Holocene) から
人新世 (Anthropocene) へ
私たちはエネルギーの流れを
制御し、そこに情報の流れを
乗せています
その情報の流れがエネルギー
の流れを支配しています
貨幣経済の都合で起こる
壮大な無駄と暴力
ただしそれは続きません
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.14/37
30. ピークオイル/コール (石炭)/ウラン . . .
ピークオイル
世界の石油生産量がピークを迎
え、その後は永久に減少傾向に
転じる時点
その後は経済は衰退
私たちはすでにピークオイル
期に突入しました
IEA は在来型石油の生産ピーク
は 2006 年との見方を発表
今世紀前半、すべての主要な
エネルギー資源の生産がピー
http://www.theoildrum.com/node/5177 クを打つと見られます
現在の文明は、私たちの多くが
現役のうちに終了します
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.15/37
31. The Big Picture — 大きな絵
エネルギー、経済、環境のすべての問題は、私たちがどのように
情報 (主に「お金」) の流れを作るかによって生まれています
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.16/37
36. 宇宙船地球号での生命維持が機能するための
オペレーティングシステム (OS)
自然への非暴力、不服従を貫くために
Non-violence and peaceful resistance against the nature
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.19/37
37. 地球規模 OS
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.20/37
38. SF で描くゴール
「不思議の国の NEO
— 未来を変えたお金の話」
ジャンル:
「SF お金ファンタジー」
お金を根本から変える技
術の存在
それにより生まれるドラマ
英語版はフリーで公開
http://grsj.jp/neo.pdf
(CC-BY-SA 3.0)
企画書であり計画書
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.21/37
39. 関連研究分野・プロジェクト
Sustainable computing
むしろ計算機システムの環境負荷に関わる領域
地球規模 OS は、計算機システムが社会の持続性の維持に
寄与できることを追求
かつ、計算機システムとしてだけではなく、社会システムとして捉え、設計
していくことにその意義がある
マイクロ/スマートグリッド等
電力の融通を行うシステム
地球規模 OS では電力に留まらず、資源・エネルギー一般
の融通と共有を扱う
よいことプラットフォーム (村井純 他; G1 サミットからの提案)
地球規模 OS のサービス基盤と捉えることができる
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.22/37
43. 関連事例 – 2000-Watt Society (Switzerland)
http://en.wikipedia.org/wiki/2000-watt_society
2050 年までに産業国のエネルギー消費率を 1 人当たり
2kW に抑えるという運動
現在の人類全体のエネルギー消費率を全人口で割って
いる
スイスは現状 5kW 社会で、1960 年代には 2kW 社会
だった
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.25/37
44. 私たちにとって 1 人当たり 1.4kW とは?
現状、日本のエネルギー消費率は約 700GW
1 人あたりでは約 5.5kW
1.4kW 社会の実現は、我が国ではエネルギー消費を 1
4
に減らさなければならないことを意味する
同時に、各家庭の状況に注目した場合、既に 1 人あた
り 1.4kW 以下を実現している家庭も多いのでは
むしろ交通や各種産業を含む、社会インフラの面での
エネルギー効率の向上が必要
どこまで自動化でき、どこから社会のルールなのか
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.26/37
45. 地球規模 OS への要求
1. 物質・エネルギー循環のアカウンティングおよび需
給マッチング
2. あらゆる資源をネットワーク上の抽象として扱うた
めの、大規模・大容量分散ストレージ
3. 社会インフラとしての公共性の実現
4. 高信頼性のための可塑性の実現
5. 新たな資源管理の必要が生まれた際等の創発性の
実現
6. 知識の共有と保守のためのオープンソース化
7. 法律改正等、人間のルールに対して働きかけるため
の仕組み
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.27/37
46. 基本方針
地球規模 OS では P2P (Peer-to-Peer) 技術を採用
P2P には、中央制御を排すことを通して、専用のインフラスト
ラクチャを用意することなしに、皆が価値あると認めるサービ
スが規模を拡大していけるという特徴がある
P2P は、地球規模 OS に対する要求のうち 3∼5 を実現
するに役立ち、高い信頼性をもって 1∼2 を実現するた
めの支えになると期待できる
地産地消 P2P (P2P の強化概念) を推進する
そうした技術上の選択に加え、政策面に関しても、要
求のうち 7 を実現すべく、地球規模 OS の運用時に、
必要とされる政策提言が支援されるような枠組みにつ
いて考えていく必要がある
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.28/37
47. 機能と階層
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.29/37
52. よいことプラットフォーム
村井純 他; G1 サミットからの提案
(私的に所有される) 様々なレベルにおけるセンサネッ
トワーク・インフラストラクチャからの情報を公益の
ために利用可能にし、多様な応用を生むための基盤と
する取り組み
ウェザーニューズ社 (集合知による気象予測)
インターネット自動車
NTT docomo による人間の流動の観測
クロネコヤマトのセンサ情報の活用
. . . 等々
規制との戦い
地球規模 OS の実現に向けて ∼ ポスト石油・石炭ピーク時代における情報インフラストラクチャ – p.34/37