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©2017 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved
Society5.0時代の保険と課題
~プラットフォーム規制後の世界を見据えて~
次世代保険ビジネスの最前線
December 2018
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増島 雅和
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自己紹介
1
増島 雅和(ますじま まさかず)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP: 金融破綻処理法制担当)
2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員
2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員
経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、
日本ブロックチェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会顧問、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等
イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する「Startup Innovators」主宰
http://startupinnovators.jp/
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InsurTechをめぐる世界と日本の動向
2
保険のfat marginは大規模テック企業の次の標的
大規模テック企業の強み
 顧客との直接のつながりを既に持っている
– 保険にとって最も重要なディストリビューション・チャネルを既に築いている
– インターネットを通じた即時性のある継続的なつながり
 複数サービスをワンIDで提供する体制を既に構築済み
– 生活に関わる多様なサービスを通じて、ユーザのデータを蓄積
– ポイントは、多様なサービスを通じて獲得したデータが、ワンIDで顧客に紐づい
て蓄積している点
 複数サービスの提供者は従来から存在したものの、サービスごとに顧客
データベースを構築しているものがほとんど
 ソフトウェアエンジニア、データアナリストとAIタレントを既に囲い込んでいる
– 従来型の保険会社が従業員のスキルセットのトランスフォーメーションに苦労
している一方で、テック企業は必要なタレントを既に揃えている
大規模テック企業参入判断のポイント
 みずからキャピタルを投じる意味があるか
– 薄いキャピタルのままディストリビューションに徹するほうが効率的ではないか
– ノウハウ獲得期としてのディストリビューション
 現状行っているビジネスと利益率の面でどの程度優位性があるか
– 粗利80%(純利益15%)と言われているネットビジネスからみた保険の
「おいしさ」
– 単品ではなく既存ビジネスとの相乗効果(利益面、データ獲得面)を狙う
Your fat margin is
my opportunity
- Jeff Bezos
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InsurTechをめぐる世界と日本の動向
3
Fintech領域のプレイヤーによるinsurtechスペースへの参入
築き上げた
バリューチェーンの
延長
既存の
テクノロジー・ノウハウ
の横展開
いずれも保有データに「厚み」をもたらすための戦略的な動き
レンディング 生命保険
家計簿
自動車保険見積もり
株式情報配信
保険ロボアド
自動車保険スコア
クレジットスコア
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InsurTechをめぐる世界と日本の動向
4
小規模な事業者への保険提供への課題に向き合うデジタルブローカー
 コミュニティ経済、ギグ経済において、個人事
業主や小規模SMEが増大することは確実
 SME向け保険における保険会社の従来の
戦略
– 「オールリスク」を謳ったone fits all型の高額
な保険を販売
– 業界団体向けにグループ保険を卸して事業
者をバルクで管理
 Insurtech企業から見たSMEに対する保険
サービスの提供
– 業態ごとの固有のリスクに応じた多品種の
保険を開発・販売
– スケールを出すためにまとめるものの、データ
獲得のため事業者は個別に管理
日本におけるブローカービジネスの見方
ブローカーライセンスを用いた
個人事業主向けクラウド保険
業界関係者の視点
 現状のビジネスは再保険や大規模保険のみ
– ブローカービジネスを持っている商社も販売は代理店
 資本関係の規制などで「使いにくい」
 ベストアドバイス義務が重い
 保険会社が相手にしてくれない?
イノベーターの視点
 ITによるデータドリブンなデジタルブローカーモデルの可能性
 販売マーケティング資料を自由に作ることができる
 ITビジネスの顧客ファースト原則、顧客本位の業務運営の原
則のもと、デジタルブローカーの立ち位置は一貫したものになる
 すべての保険会社の商品を対象とすることができる
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InsurTechをめぐる世界と日本の動向
5
データとITを活用した保険とは異なる形での保障・補償の提供
 ブロックチェーンを用いた相互扶助サービス
 発売から40日で2,000万ユーザを獲得
 支付宝によるペイメントインフラと芝麻信用
によるクレジットスコアリングインフラを活用し、
保険とは異なる形でガンや心筋梗塞などの
重大疾病を発症した際の補償を提供
 ペイメントプラットフォームを抑えていることに
より、保険料の支払いを不要とすることで、
保険非該当・資本規制を負わずに(薄い
資本で)コミッションビジネスを展開
– 余額宝モデルの保険版
 モラルリスクを芝麻スコアで管理
 オペレーショナルコストの低減、サービス透明
性をブロックチェーン技術により確保
日本では
相互扶助モデル
としてGojo
共同財布モデルにピボット
① 無償で加入
- 芝麻スコアで加入可否判定
- 60歳以上又は罹患者は加
入不可
相互宝
相互宝
⑤ 補償認定された患者に他の加入
者が支付宝により自動支払い
- 加入者の年間負担額上限
188元
- 相互宝は8%のコミッション
- 39歳以下最大30万元、
40-59歳最大10万元
② 医療費申請
③ 異議申立て ④ ドキュメントチェック
(7日・21日)
相互宝
Ant Financialによる相互宝(旧称: 相互保)(シャンフーバオ)
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Society 5.0と次世代保険
6
銀行・証券と異なり、保険はフィジカル空間におけるリスクを取り扱う
銀行・証券 保険
サイバー空間
フィジカル空間
サイバー空間
フィジカル空間
クラウド ビッグデータ
センサーセンサー センサー
解析クラウド
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Society 5.0と次世代保険
7
Society5.0は、あらゆるモノ・ヒト・場所にはりめぐらされたセンサを前提に、収集したデータの
解析結果をバリューとして提供する超スマート社会
出所: 内閣府
これまでの情報社会(4.0) Society 5.0
Society5.0の枠組みの中で、保険はどのような形で存在することになるか?
日本におけるデジタル保険のアジェンダ
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Society 5.0と次世代保険
8
国内産業である保険は、日本が解決しなければならない「課題」を念頭に変革の波が
訪れる
アベノミクスが継続する間、未来投資戦略における重点分野とフラッグシップ・プロジェクトに関連する
分野は、政策リソースと財務リソースが集中的に投下されるはずなので、その周囲におけるリスクマネジ
メント需要に対して、テクノロジーの観点からアプローチしたソリューションが生まれると考えるのが自然
 次世代モビリティシステムの構築
– 2020年に向けた無人自動運転による移動サービスの
実現
– 自動運転に係る制度整備大綱に基づく法制度整備
– まちづくり・公共交通の連携、新たなモビリティサービスのモ
デル都市・地域構築
 次世代ヘルスケアシステムの構築
– 健診・診療・投薬情報を、医療機関との間で共有するた
めの工程表作成
– 認知症対応のサービス
– オンライン医療
 エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーション
– 2050年を見据えた諸施策
 FinTech / キャッシュレス化
– 機能別・横断的法制
– QRコード
 デジタル・ガバメントの推進
– デジタルファースト一括法
– ワンストップ・ワンスオンリー政策
 次世代インフラ・メンテナンス・システム
– 建設から維持管理までのプロセス全体の三次元データ化
– オープンイノベーションの積極活用
– PPP / PFIの取組強化
 農林水産業のスマート化
– AI・ロボットの社会実装
 スマートシティ
– モデル都市構築
– コンパクト・プラス・ネットワーク
 SMEの生産性革命
– AI・ロボット導入推進
上記に加えて、インフラとしての5G、サイバーセキュリティ
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オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響
9
オンライン・プラットフォームのビジネスモデルに対する規制体系が整備されつつある中で、
プラットフォーム戦略を追求すれば事足りるフェーズは終わりつつある
オンライン・プラットフォームは、インターネットによる情報伝播とデータ蓄積の力で直接・間接ネットワー
ク効果が大きく効くという特性が、既存の法体系によって十分にキャプチャされていなかった。
1. 直接・間接ネットワーク効果
2. 情報生産の限界費用の低さによる規模の経済
3. 1.2.によるデータ集中によるユーザーロックイン
4. データ利活用によるビジネスモデルの自己強化
特定のマーケットで独占化・寡占化
隣接マーケットに水平展開することで
新たな面を創出し、上記1~4を展開
多面市場型プラットフォームの特性
プラットフォーム
間接ネットワーク効果
直接ネットワーク効果
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オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響
10
オンライン・プラットフォームにおけるP2P取引を成立させるマッチングモデルは、コード / アーキテ
クチャを通じてP2Pの取引内容を制御している
① 利用規約の問題点
 プラットフォームのルールの不透明性が不公正な取引慣行の温床となっ
ているのではないか
 経産省、公取委の共同ヒアリングの結果
– 決済手段の拘束
– 硬直的な価格体系
– 競合アプリの排除
– 販売・返金処理等に関する過少の情報提供
– 不透明な審査基準と運用
– アプリストアを経由しない取引の制限
– 過度に広範な秘密保持契約
※ 秘密保持契約を理由に十分な情報収集が困難
② 利用規約の問題点
 プラットフォームが取得するデータは金銭と同様の経済価値
 パーソナルデータやプロファイリングの方法によっては、利用者の人格的
利益を侵害するおそれ
 信用情報のプロファイリングは利用者の経済的不利益を及ぼす可能性
 プラットフォームと利用者の間の取引の透明性と公正性が求められる
のではないか
 個々の被害額が小さいため、個々の利用者による法的な権利行使
に期待できないことを踏まえた実効的な救済手段の確保の必要性
プラットフォーム
利用者
(供給者)
利用者
(需要者)
収納代行
③ 取引契約
① 利用規約 ② 利用規約
プラットフォームは、「取引の場」であるとの建前だったが、③取引契約はデジ
タルプラットフォームのコード / アーキテクチャにより規律され、市場支配力を
背景に、プラットフォームがルールを自在に変更でき、操作性が高く不透明な
「私的市場」であるにもかかわらず、市場の設計・運営・管理のあり方につい
て特段の業法による規制が課されていない。
 社会経済に不可欠な基盤を提供
 市場の設計・運営・管理者である
 市場の操作性・不透明性の高さ
規制者の
視点
 デジタル・プラットフォーマーを巡る取引慣行の実態を把握することができる仕組みの必要性
 プラットフォームのルール(コード・アーキテクチャ)を理解することができる専門知識・能力の必要性
 供給者・需要者の双方について、取引の透明性・公正性の観点から利用者保護の必要性
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オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響
11
課題に対応する新たな規制のグランドデザイン、従来規制や運用の見直しについて提言が
出されている
規制デザイン案
 実態把握のための実効性のある調査権限(独禁法40条の一般調査権等)
 専門組織の創設(①コード・アーキテクチャの設計・運営・管理のあり方に対する調査・分析と関係当局への報告
(NIST的組織)、②法解釈・立法措置の提言、違法事案に関する情報提供(CMA、Observatory on the
Online Platform Economy的組織)
 デジタル・プラットフォーマーと利用者の間の取引慣行の透明性・公正性確保の観点からの規律の導入
– プラットフォームのルール(コード / アーキテクチャ)の重要な部分について、事業者への明示・開示の義務付け
– ビジネス変化の速さ、知的財産権、営業秘密やノウハウ等への配慮の必要性(インカメラ手続の導入)
– 自主規制と法規制を組み合わせた共同規制のアプローチ
– プラットフォームと利用者の間の問題を利用者が自ら解決するための実効的な紛争解決手段の導入
– 実行的な情報開示を担保するための仕組みの導入
公正かつ自由な競争の再定義
 競争法の重要性の高まりは明らかであるものの、適用の困難性(競争法、消費者法、データ・プライバシー保護法
のクロスオーバー)
 以下の観点を踏まえたデジタル市場における公正かつ自由な競争の再定義・再構築の必要性
– デジタル・プラットフォーマーが社会経済の不可欠な基盤を提供するものであること
– デジタル・プラットフォーマーが、市場支配力を背景に市場を設計・運営・管理していること
– プロファイリング等による市場操作性・不透明性の高さ
– オフライン環境への競争への影響
 競争法における従来の枠組みによる分析の困難性に鑑みた、競争政策の強化の検討
 デジタル・プラットフォーマーによる潜在的な競争相手の芽を摘む形の企業結合に対する審査のあり方
– facebookによるWhatsAppの買収、AmazonによるWhole Foodsの買収
 サービス利用のためにはデータ提供を余儀なくされる消費者に対する優越的地位の濫用規制の適用可能性の検討
 課徴金によるエンフォースメントの可能性の検討
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オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響
12
課題に対応する新たな規制のグランドデザイン、従来規制や運用の見直しについて提言が
出されている
データ・ポータビリティとオープンAPI
 GDPRが個人の権利として認めたデータポータビリティ権は、個人の基本的権利(プライバシー権)の強化とともに、
新興・中小企業の市場への参入障壁を低くするという効果がある
 データ駆動型社会における消費者政策、競争政策・競争基盤の整備という観点から、データ・ポータビリティやオープ
ンAPI施策を検討することの必要性
– 個人データ管理・アクセスの確保を個人の権利として認める法制の検討
– データの集中的な蓄積かつ社会経済に不可欠な基盤を提供するデジタル・プラットフォーマー、インターオペラビリティが高い事業分野
について、
イノベーションが絶えず生じる競争環境の整備(オープンAPIの設置強制)
グローバルな視点
 法適用の平等性、法執行の実効性の確保
– 日本の法令の域外適用のあり方の検討
– 海外事業者への法執行の実効性確保のための仕組みのあり方の検討
 国際的なルールメイキングの必要性
– ルールのグローバルなハーモナイゼーションと実効性の確保
– 自主規制と法規制を組み合わせた共同規制による枠組みを国際的に連携して検討
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保険業界は何をすべきか
13
金融庁は、Society5.0において政府が掲げるアジェンダに呼応して、機能別・横断的な金融
規制体系への再構築を目指して果敢に活動
機能的・横断的な金融規制体系の検討事項
情報の適切な利活用
決済の横断法制
プラットフォーマーへの
対応
銀行・銀行グループに
対する規制の見直し
• 多様なプレイヤーが適切に情報を利活用し、利用者目線に立って競争することを後押しすることに
向けた議論
• 決済分野の規制の横断化による、規制をまたいだ柔軟なサービス提供の実現と、規制のアービト
ラージによる非効率性への対処
• 決済分野の規制の柔構造化として、資金移動業者の送金上限額の緩和とこれに伴う措置、オン
ライン決済プラットフォームに対する適切な規制のあり方
• 収納代行型を含めたオンライン決済プラットフォームにおける利用者保護と情報の適切な利活用に
向けた規律
• 業務範囲規制による規制上の制限が厳格な業態における、情報の利活用を通じた利用者利便
の向上・イノベーションの促進
いまだに「業態」の発想にとらわれて、「保険業界には影響なし」などと考えていないか?
 「ペイメント」は、保険料・保険金の支払いをはじめとして、保険の機能・顧客体験の向上にとってクリティカルに重要な機能
 「利用者目線に立った競争促進の観点からの情報の適切な利活用」とは、オープンAPI法制の横展開を視野に入れたア
ジェンダであることは明らか
 銀行規制の見直しは、規制体系を同じくする保険領域にも連動
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保険業界は何をすべきか
14
中国の先進的な金融機関においては、NPSを用いたエビデンスベースの金融サービスのペイン
ポイントの分析と改善の方向性につきオープンな議論がなされている
平安保険とTaylor Nelson Sofres社の共同による中国の金融サービスに対するNPS調査
(2016.9-10 N=16,285)を受けた中国の保険ビジネスの改善の方向性
セールス偏重、
サービス軽視
• 顧客と企業のコミュニケーションが少なく、顧客体験やサービス提供、ブランドイメージに深刻な影響
• 募集人がメインチャネル・ソースだが、裁量が大きいまま直感的に行動、地域、担当者、タイミングによって
顧客体験のレベルがまちまち、振れ幅も大きく、顧客体験の一貫性も保たれない
• 企業と募集人が協調して、複数のチャネルで顧客とコミュニケーションすることで顧客体験の構築に積極的に
関わる施策が必要
商品のクオリティ
複雑な
請求プロセス
1
2
3
• 期待より利回りが低い、約款が複雑でわかりにくい
• ①投資ポートフォリオのなかで保険商品の位置づけを明確化したうえで、顧客による利回りに対する期待に
答える、②読みたい・読める・知りたくなる販売補助資料と、顧客にとってわかりやすく、募集人にとって話しや
すい募集資料、③商品ラインナップは、顧客ニーズの細分化に対応した多様な商品提供
 「商品プラス」戦略
• 「査定金額が予想と違う」、「査定にかかる時間が長い」、「請求手続きが面倒」
 保険金請求手続きの長期化、不透明な査定プロセスが顧客体験を深刻に悪化させている
• 申請手続きのオンライン化、査定プロセスのAI化、アプリによる査定プロセスの見える化、fintech活用による
保険金支払い
生命保険のペインポイントとその解消策
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保険業界は何をすべきか
15
中国の先進的な金融機関においては、NPSを用いたエビデンスベースの金融サービスのペイン
ポイントの分析と改善の方向性につきオープンな議論がなされている
平安保険とTaylor Nelson Sofres社の共同による中国の金融サービスに対するNPS調査
(2016.9-10 N=16,285)を受けた中国の保険ビジネスの改善の方向性
全体の傾向
• 保険金申請・支払いの顧客体験が悪いと、他社への乗り換えにつながる
• 店舗サービスによって感動体験を与えるとNPSにポジティブ、他方店舗サービスがなくてもNPS
にネガティブに触れるわけではない(アプリや他の非対面コミュニケーションで補完可能)
• 他の接点(マーケティング、契約締結、保険証書の受領、問い合わせ、ロードサービス等)は、
いずれも顧客体験と強い相関、すべてのチャネルを通じた全体的な顧客体験の向上を
デザインする必要がある
セールス面の問題
サービス面の問題
1
2
3
• 保険サービスにとって本質的でない利益提供による顧客誘引が、スーパーマーケットでの値
引き競争のような印象を顧客に与えている
• 顧客価値分析に基づく価格設定の差別化をねらうための施策
• 保険金請求に時間がかかる、請求手続きが複雑
• 査定時間の短縮、必要書類提出のしやすさ、レスポンスの速さに課題
自動車保険のペインポイントとその解消策
Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.
保険業界は何をすべきか
16
政府が掲げるSociety5.0のパラダイムのもと、次世代の保険サービスのあり方について、民間
主導で先行して議論を開始するべきではないか
自社の既存ビジネスへの影響を恐れて、機能別・横断法制による規制変革の波が滞りなく通り過ぎる
のを息をひそめて待つ姿勢で良いのか?
 各社によるInsurtechへの取組みと資本投下は歓迎すべきである一方で、FoMOドリブンな対応で足りるほど甘い変化では
ない可能性があるのではないか
保険規制は保険業界の好むと好まざるとにかかわらず、外部環境の変化により変革を余儀なくされる
 Society5.0戦略に基づくもの
– プラットフォーム規制とデータ流通の円滑化(データ・ポータビリティとオープンAPI)
– データドリブンな保険ビジネス(デジタルインシュランス)
• デジタルインシュランスブローカー
• データドリブンなアンダーライティング
• データドリブンなクレームハンドリング
• テクノロジーを駆使した規制対応
 海外との競争上必要となる規制改正
 テクノロジー企業による規制改正要望
機能別・横断的規制が決済分野を対応している間に、次世代保険サービスに対する規制のあり方に
ついて、民間主導で論点整理とアジェンダ設定をしておくべきではないか
 環境変化が速い現代における保険商品の認可体制
 デジタル保険ディストリビューション(旧来型の保険販売規制の見直し)
 保険業のスコープ
 保険会社、保険グループの業務範囲規制(ロスコントロール、ロスプリベンション活動、非金融情報関連サービス)
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JOIN IN OUR FUTURE!
17
特徴
 イノベーションサイドから金融規制を解説
 法律ではなくビジネスについて記載したQ&A
– プラットフォーム型ビジネスモデルとは?
– エコシステム型ビジネスモデルとは?
– ディスラプティブイノベーションの構図とは?
– オープンイノベーションの取り組み方は?
– FinTechによる地方創生とは?
– FinTechによる貧困対策とは?
 FinTech、データ、競争政策にわたって政府の動向を網羅
 API、ブロックチェーンなど核となる技術もカバー
 もちろんInsurTechもカバー
 海外ビジネスモデルの分析と日本法上の展開可能について検討
日経FinTech選書(税込2,916円)
弁護士 増島 雅和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03-5220-1812
Email: masakazu.masujima@mhmjapan.com
Facebook: https://www.facebook.com/startupinnovators

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  • 1. ©2017 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved Society5.0時代の保険と課題 ~プラットフォーム規制後の世界を見据えて~ 次世代保険ビジネスの最前線 December 2018 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 増島 雅和
  • 2. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. 自己紹介 1 増島 雅和(ますじま まさかず) 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 2001 弁護士登録 2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス) 2007 ニューヨーク州弁護士登録 2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課 日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー 2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員 2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP: 金融破綻処理法制担当) 2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員 内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員 全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員 2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員 経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員 2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員 日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、 日本ブロックチェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会顧問、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等 イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する「Startup Innovators」主宰 http://startupinnovators.jp/
  • 3. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. InsurTechをめぐる世界と日本の動向 2 保険のfat marginは大規模テック企業の次の標的 大規模テック企業の強み  顧客との直接のつながりを既に持っている – 保険にとって最も重要なディストリビューション・チャネルを既に築いている – インターネットを通じた即時性のある継続的なつながり  複数サービスをワンIDで提供する体制を既に構築済み – 生活に関わる多様なサービスを通じて、ユーザのデータを蓄積 – ポイントは、多様なサービスを通じて獲得したデータが、ワンIDで顧客に紐づい て蓄積している点  複数サービスの提供者は従来から存在したものの、サービスごとに顧客 データベースを構築しているものがほとんど  ソフトウェアエンジニア、データアナリストとAIタレントを既に囲い込んでいる – 従来型の保険会社が従業員のスキルセットのトランスフォーメーションに苦労 している一方で、テック企業は必要なタレントを既に揃えている 大規模テック企業参入判断のポイント  みずからキャピタルを投じる意味があるか – 薄いキャピタルのままディストリビューションに徹するほうが効率的ではないか – ノウハウ獲得期としてのディストリビューション  現状行っているビジネスと利益率の面でどの程度優位性があるか – 粗利80%(純利益15%)と言われているネットビジネスからみた保険の 「おいしさ」 – 単品ではなく既存ビジネスとの相乗効果(利益面、データ獲得面)を狙う Your fat margin is my opportunity - Jeff Bezos
  • 4. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. InsurTechをめぐる世界と日本の動向 3 Fintech領域のプレイヤーによるinsurtechスペースへの参入 築き上げた バリューチェーンの 延長 既存の テクノロジー・ノウハウ の横展開 いずれも保有データに「厚み」をもたらすための戦略的な動き レンディング 生命保険 家計簿 自動車保険見積もり 株式情報配信 保険ロボアド 自動車保険スコア クレジットスコア
  • 5. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. InsurTechをめぐる世界と日本の動向 4 小規模な事業者への保険提供への課題に向き合うデジタルブローカー  コミュニティ経済、ギグ経済において、個人事 業主や小規模SMEが増大することは確実  SME向け保険における保険会社の従来の 戦略 – 「オールリスク」を謳ったone fits all型の高額 な保険を販売 – 業界団体向けにグループ保険を卸して事業 者をバルクで管理  Insurtech企業から見たSMEに対する保険 サービスの提供 – 業態ごとの固有のリスクに応じた多品種の 保険を開発・販売 – スケールを出すためにまとめるものの、データ 獲得のため事業者は個別に管理 日本におけるブローカービジネスの見方 ブローカーライセンスを用いた 個人事業主向けクラウド保険 業界関係者の視点  現状のビジネスは再保険や大規模保険のみ – ブローカービジネスを持っている商社も販売は代理店  資本関係の規制などで「使いにくい」  ベストアドバイス義務が重い  保険会社が相手にしてくれない? イノベーターの視点  ITによるデータドリブンなデジタルブローカーモデルの可能性  販売マーケティング資料を自由に作ることができる  ITビジネスの顧客ファースト原則、顧客本位の業務運営の原 則のもと、デジタルブローカーの立ち位置は一貫したものになる  すべての保険会社の商品を対象とすることができる
  • 6. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. InsurTechをめぐる世界と日本の動向 5 データとITを活用した保険とは異なる形での保障・補償の提供  ブロックチェーンを用いた相互扶助サービス  発売から40日で2,000万ユーザを獲得  支付宝によるペイメントインフラと芝麻信用 によるクレジットスコアリングインフラを活用し、 保険とは異なる形でガンや心筋梗塞などの 重大疾病を発症した際の補償を提供  ペイメントプラットフォームを抑えていることに より、保険料の支払いを不要とすることで、 保険非該当・資本規制を負わずに(薄い 資本で)コミッションビジネスを展開 – 余額宝モデルの保険版  モラルリスクを芝麻スコアで管理  オペレーショナルコストの低減、サービス透明 性をブロックチェーン技術により確保 日本では 相互扶助モデル としてGojo 共同財布モデルにピボット ① 無償で加入 - 芝麻スコアで加入可否判定 - 60歳以上又は罹患者は加 入不可 相互宝 相互宝 ⑤ 補償認定された患者に他の加入 者が支付宝により自動支払い - 加入者の年間負担額上限 188元 - 相互宝は8%のコミッション - 39歳以下最大30万元、 40-59歳最大10万元 ② 医療費申請 ③ 異議申立て ④ ドキュメントチェック (7日・21日) 相互宝 Ant Financialによる相互宝(旧称: 相互保)(シャンフーバオ)
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  • 8. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. Society 5.0と次世代保険 7 Society5.0は、あらゆるモノ・ヒト・場所にはりめぐらされたセンサを前提に、収集したデータの 解析結果をバリューとして提供する超スマート社会 出所: 内閣府 これまでの情報社会(4.0) Society 5.0 Society5.0の枠組みの中で、保険はどのような形で存在することになるか? 日本におけるデジタル保険のアジェンダ
  • 9. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. Society 5.0と次世代保険 8 国内産業である保険は、日本が解決しなければならない「課題」を念頭に変革の波が 訪れる アベノミクスが継続する間、未来投資戦略における重点分野とフラッグシップ・プロジェクトに関連する 分野は、政策リソースと財務リソースが集中的に投下されるはずなので、その周囲におけるリスクマネジ メント需要に対して、テクノロジーの観点からアプローチしたソリューションが生まれると考えるのが自然  次世代モビリティシステムの構築 – 2020年に向けた無人自動運転による移動サービスの 実現 – 自動運転に係る制度整備大綱に基づく法制度整備 – まちづくり・公共交通の連携、新たなモビリティサービスのモ デル都市・地域構築  次世代ヘルスケアシステムの構築 – 健診・診療・投薬情報を、医療機関との間で共有するた めの工程表作成 – 認知症対応のサービス – オンライン医療  エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーション – 2050年を見据えた諸施策  FinTech / キャッシュレス化 – 機能別・横断的法制 – QRコード  デジタル・ガバメントの推進 – デジタルファースト一括法 – ワンストップ・ワンスオンリー政策  次世代インフラ・メンテナンス・システム – 建設から維持管理までのプロセス全体の三次元データ化 – オープンイノベーションの積極活用 – PPP / PFIの取組強化  農林水産業のスマート化 – AI・ロボットの社会実装  スマートシティ – モデル都市構築 – コンパクト・プラス・ネットワーク  SMEの生産性革命 – AI・ロボット導入推進 上記に加えて、インフラとしての5G、サイバーセキュリティ
  • 10. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響 9 オンライン・プラットフォームのビジネスモデルに対する規制体系が整備されつつある中で、 プラットフォーム戦略を追求すれば事足りるフェーズは終わりつつある オンライン・プラットフォームは、インターネットによる情報伝播とデータ蓄積の力で直接・間接ネットワー ク効果が大きく効くという特性が、既存の法体系によって十分にキャプチャされていなかった。 1. 直接・間接ネットワーク効果 2. 情報生産の限界費用の低さによる規模の経済 3. 1.2.によるデータ集中によるユーザーロックイン 4. データ利活用によるビジネスモデルの自己強化 特定のマーケットで独占化・寡占化 隣接マーケットに水平展開することで 新たな面を創出し、上記1~4を展開 多面市場型プラットフォームの特性 プラットフォーム 間接ネットワーク効果 直接ネットワーク効果
  • 11. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響 10 オンライン・プラットフォームにおけるP2P取引を成立させるマッチングモデルは、コード / アーキテ クチャを通じてP2Pの取引内容を制御している ① 利用規約の問題点  プラットフォームのルールの不透明性が不公正な取引慣行の温床となっ ているのではないか  経産省、公取委の共同ヒアリングの結果 – 決済手段の拘束 – 硬直的な価格体系 – 競合アプリの排除 – 販売・返金処理等に関する過少の情報提供 – 不透明な審査基準と運用 – アプリストアを経由しない取引の制限 – 過度に広範な秘密保持契約 ※ 秘密保持契約を理由に十分な情報収集が困難 ② 利用規約の問題点  プラットフォームが取得するデータは金銭と同様の経済価値  パーソナルデータやプロファイリングの方法によっては、利用者の人格的 利益を侵害するおそれ  信用情報のプロファイリングは利用者の経済的不利益を及ぼす可能性  プラットフォームと利用者の間の取引の透明性と公正性が求められる のではないか  個々の被害額が小さいため、個々の利用者による法的な権利行使 に期待できないことを踏まえた実効的な救済手段の確保の必要性 プラットフォーム 利用者 (供給者) 利用者 (需要者) 収納代行 ③ 取引契約 ① 利用規約 ② 利用規約 プラットフォームは、「取引の場」であるとの建前だったが、③取引契約はデジ タルプラットフォームのコード / アーキテクチャにより規律され、市場支配力を 背景に、プラットフォームがルールを自在に変更でき、操作性が高く不透明な 「私的市場」であるにもかかわらず、市場の設計・運営・管理のあり方につい て特段の業法による規制が課されていない。  社会経済に不可欠な基盤を提供  市場の設計・運営・管理者である  市場の操作性・不透明性の高さ 規制者の 視点  デジタル・プラットフォーマーを巡る取引慣行の実態を把握することができる仕組みの必要性  プラットフォームのルール(コード・アーキテクチャ)を理解することができる専門知識・能力の必要性  供給者・需要者の双方について、取引の透明性・公正性の観点から利用者保護の必要性
  • 12. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響 11 課題に対応する新たな規制のグランドデザイン、従来規制や運用の見直しについて提言が 出されている 規制デザイン案  実態把握のための実効性のある調査権限(独禁法40条の一般調査権等)  専門組織の創設(①コード・アーキテクチャの設計・運営・管理のあり方に対する調査・分析と関係当局への報告 (NIST的組織)、②法解釈・立法措置の提言、違法事案に関する情報提供(CMA、Observatory on the Online Platform Economy的組織)  デジタル・プラットフォーマーと利用者の間の取引慣行の透明性・公正性確保の観点からの規律の導入 – プラットフォームのルール(コード / アーキテクチャ)の重要な部分について、事業者への明示・開示の義務付け – ビジネス変化の速さ、知的財産権、営業秘密やノウハウ等への配慮の必要性(インカメラ手続の導入) – 自主規制と法規制を組み合わせた共同規制のアプローチ – プラットフォームと利用者の間の問題を利用者が自ら解決するための実効的な紛争解決手段の導入 – 実行的な情報開示を担保するための仕組みの導入 公正かつ自由な競争の再定義  競争法の重要性の高まりは明らかであるものの、適用の困難性(競争法、消費者法、データ・プライバシー保護法 のクロスオーバー)  以下の観点を踏まえたデジタル市場における公正かつ自由な競争の再定義・再構築の必要性 – デジタル・プラットフォーマーが社会経済の不可欠な基盤を提供するものであること – デジタル・プラットフォーマーが、市場支配力を背景に市場を設計・運営・管理していること – プロファイリング等による市場操作性・不透明性の高さ – オフライン環境への競争への影響  競争法における従来の枠組みによる分析の困難性に鑑みた、競争政策の強化の検討  デジタル・プラットフォーマーによる潜在的な競争相手の芽を摘む形の企業結合に対する審査のあり方 – facebookによるWhatsAppの買収、AmazonによるWhole Foodsの買収  サービス利用のためにはデータ提供を余儀なくされる消費者に対する優越的地位の濫用規制の適用可能性の検討  課徴金によるエンフォースメントの可能性の検討
  • 13. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. オンライン・プラットフォーム規制の進展と影響 12 課題に対応する新たな規制のグランドデザイン、従来規制や運用の見直しについて提言が 出されている データ・ポータビリティとオープンAPI  GDPRが個人の権利として認めたデータポータビリティ権は、個人の基本的権利(プライバシー権)の強化とともに、 新興・中小企業の市場への参入障壁を低くするという効果がある  データ駆動型社会における消費者政策、競争政策・競争基盤の整備という観点から、データ・ポータビリティやオープ ンAPI施策を検討することの必要性 – 個人データ管理・アクセスの確保を個人の権利として認める法制の検討 – データの集中的な蓄積かつ社会経済に不可欠な基盤を提供するデジタル・プラットフォーマー、インターオペラビリティが高い事業分野 について、 イノベーションが絶えず生じる競争環境の整備(オープンAPIの設置強制) グローバルな視点  法適用の平等性、法執行の実効性の確保 – 日本の法令の域外適用のあり方の検討 – 海外事業者への法執行の実効性確保のための仕組みのあり方の検討  国際的なルールメイキングの必要性 – ルールのグローバルなハーモナイゼーションと実効性の確保 – 自主規制と法規制を組み合わせた共同規制による枠組みを国際的に連携して検討
  • 14. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. 保険業界は何をすべきか 13 金融庁は、Society5.0において政府が掲げるアジェンダに呼応して、機能別・横断的な金融 規制体系への再構築を目指して果敢に活動 機能的・横断的な金融規制体系の検討事項 情報の適切な利活用 決済の横断法制 プラットフォーマーへの 対応 銀行・銀行グループに 対する規制の見直し • 多様なプレイヤーが適切に情報を利活用し、利用者目線に立って競争することを後押しすることに 向けた議論 • 決済分野の規制の横断化による、規制をまたいだ柔軟なサービス提供の実現と、規制のアービト ラージによる非効率性への対処 • 決済分野の規制の柔構造化として、資金移動業者の送金上限額の緩和とこれに伴う措置、オン ライン決済プラットフォームに対する適切な規制のあり方 • 収納代行型を含めたオンライン決済プラットフォームにおける利用者保護と情報の適切な利活用に 向けた規律 • 業務範囲規制による規制上の制限が厳格な業態における、情報の利活用を通じた利用者利便 の向上・イノベーションの促進 いまだに「業態」の発想にとらわれて、「保険業界には影響なし」などと考えていないか?  「ペイメント」は、保険料・保険金の支払いをはじめとして、保険の機能・顧客体験の向上にとってクリティカルに重要な機能  「利用者目線に立った競争促進の観点からの情報の適切な利活用」とは、オープンAPI法制の横展開を視野に入れたア ジェンダであることは明らか  銀行規制の見直しは、規制体系を同じくする保険領域にも連動
  • 15. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. 保険業界は何をすべきか 14 中国の先進的な金融機関においては、NPSを用いたエビデンスベースの金融サービスのペイン ポイントの分析と改善の方向性につきオープンな議論がなされている 平安保険とTaylor Nelson Sofres社の共同による中国の金融サービスに対するNPS調査 (2016.9-10 N=16,285)を受けた中国の保険ビジネスの改善の方向性 セールス偏重、 サービス軽視 • 顧客と企業のコミュニケーションが少なく、顧客体験やサービス提供、ブランドイメージに深刻な影響 • 募集人がメインチャネル・ソースだが、裁量が大きいまま直感的に行動、地域、担当者、タイミングによって 顧客体験のレベルがまちまち、振れ幅も大きく、顧客体験の一貫性も保たれない • 企業と募集人が協調して、複数のチャネルで顧客とコミュニケーションすることで顧客体験の構築に積極的に 関わる施策が必要 商品のクオリティ 複雑な 請求プロセス 1 2 3 • 期待より利回りが低い、約款が複雑でわかりにくい • ①投資ポートフォリオのなかで保険商品の位置づけを明確化したうえで、顧客による利回りに対する期待に 答える、②読みたい・読める・知りたくなる販売補助資料と、顧客にとってわかりやすく、募集人にとって話しや すい募集資料、③商品ラインナップは、顧客ニーズの細分化に対応した多様な商品提供  「商品プラス」戦略 • 「査定金額が予想と違う」、「査定にかかる時間が長い」、「請求手続きが面倒」  保険金請求手続きの長期化、不透明な査定プロセスが顧客体験を深刻に悪化させている • 申請手続きのオンライン化、査定プロセスのAI化、アプリによる査定プロセスの見える化、fintech活用による 保険金支払い 生命保険のペインポイントとその解消策
  • 16. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. 保険業界は何をすべきか 15 中国の先進的な金融機関においては、NPSを用いたエビデンスベースの金融サービスのペイン ポイントの分析と改善の方向性につきオープンな議論がなされている 平安保険とTaylor Nelson Sofres社の共同による中国の金融サービスに対するNPS調査 (2016.9-10 N=16,285)を受けた中国の保険ビジネスの改善の方向性 全体の傾向 • 保険金申請・支払いの顧客体験が悪いと、他社への乗り換えにつながる • 店舗サービスによって感動体験を与えるとNPSにポジティブ、他方店舗サービスがなくてもNPS にネガティブに触れるわけではない(アプリや他の非対面コミュニケーションで補完可能) • 他の接点(マーケティング、契約締結、保険証書の受領、問い合わせ、ロードサービス等)は、 いずれも顧客体験と強い相関、すべてのチャネルを通じた全体的な顧客体験の向上を デザインする必要がある セールス面の問題 サービス面の問題 1 2 3 • 保険サービスにとって本質的でない利益提供による顧客誘引が、スーパーマーケットでの値 引き競争のような印象を顧客に与えている • 顧客価値分析に基づく価格設定の差別化をねらうための施策 • 保険金請求に時間がかかる、請求手続きが複雑 • 査定時間の短縮、必要書類提出のしやすさ、レスポンスの速さに課題 自動車保険のペインポイントとその解消策
  • 17. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. 保険業界は何をすべきか 16 政府が掲げるSociety5.0のパラダイムのもと、次世代の保険サービスのあり方について、民間 主導で先行して議論を開始するべきではないか 自社の既存ビジネスへの影響を恐れて、機能別・横断法制による規制変革の波が滞りなく通り過ぎる のを息をひそめて待つ姿勢で良いのか?  各社によるInsurtechへの取組みと資本投下は歓迎すべきである一方で、FoMOドリブンな対応で足りるほど甘い変化では ない可能性があるのではないか 保険規制は保険業界の好むと好まざるとにかかわらず、外部環境の変化により変革を余儀なくされる  Society5.0戦略に基づくもの – プラットフォーム規制とデータ流通の円滑化(データ・ポータビリティとオープンAPI) – データドリブンな保険ビジネス(デジタルインシュランス) • デジタルインシュランスブローカー • データドリブンなアンダーライティング • データドリブンなクレームハンドリング • テクノロジーを駆使した規制対応  海外との競争上必要となる規制改正  テクノロジー企業による規制改正要望 機能別・横断的規制が決済分野を対応している間に、次世代保険サービスに対する規制のあり方に ついて、民間主導で論点整理とアジェンダ設定をしておくべきではないか  環境変化が速い現代における保険商品の認可体制  デジタル保険ディストリビューション(旧来型の保険販売規制の見直し)  保険業のスコープ  保険会社、保険グループの業務範囲規制(ロスコントロール、ロスプリベンション活動、非金融情報関連サービス)
  • 18. Copyright © 2017 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved. JOIN IN OUR FUTURE! 17 特徴  イノベーションサイドから金融規制を解説  法律ではなくビジネスについて記載したQ&A – プラットフォーム型ビジネスモデルとは? – エコシステム型ビジネスモデルとは? – ディスラプティブイノベーションの構図とは? – オープンイノベーションの取り組み方は? – FinTechによる地方創生とは? – FinTechによる貧困対策とは?  FinTech、データ、競争政策にわたって政府の動向を網羅  API、ブロックチェーンなど核となる技術もカバー  もちろんInsurTechもカバー  海外ビジネスモデルの分析と日本法上の展開可能について検討 日経FinTech選書(税込2,916円) 弁護士 増島 雅和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03-5220-1812 Email: masakazu.masujima@mhmjapan.com Facebook: https://www.facebook.com/startupinnovators