Explaining the common structure of regulation and the recent theory of regulatory design, then discussing how the real time monitoring norm should be designed.

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October 2019
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増 島 雅 和
ガバナンスイノベーション
～デジタルを用いたリアルタイムモニタリングの規制デザインの視点～

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<自己紹介>
増 島 雅 和（ますじま まさかず）
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所（シリコンバレーオフィス）
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課（RRP担当）兼保険課
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
イニシアチブ： 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰
http://startupinnovators.jp/
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 ＩＭＦ外部カウンセル（米国FSAP：金融破綻処理法制担当）
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、
日本ブロックチェーン協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等
2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員
2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員
経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員
特許庁 経営における知的財産戦略有識者会合 委員
経済産業省 ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会 座長代理
2019 総務省 AIインクルージョン推進会議 委員

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レギュレーションとイノベーション概論
レギュレーションの目的と構造、イノベーションとの関係についての概観
レギュレーション
ルール
 レギュレーションの目的：経済、社会、環境に対するより良い成果をもたらすこと
「デザイン」が重要：デザインがまずいと生産性を損なう
 デザインの原則：①比例性、②標的性、③公正性、④透明性
 代替手段との補完性：①規範（法的拘束力のない準則）②市場（インセンティブ）③アーキテクチャ（選択への介入）
 レギュレーションのイノベーションへのインパクトは甚大
 レギュレーションがイノベーションを促進したり実装を阻んだりする
 レギュレーションが投資資金の向かう先を左右する（研究開発 or コンプライアンス）
 レギュレーションがイノベーションの消費者による受容を左右する（お墨付き効果）→企業の参入を左右する
「レギュレーションにより、経済と国民を利するイノベーションを刺激・支援するための市場ルールをデザインする」発想が重要
 レギュレーションの構造
義務付け：“～しなければならない”
禁止：“～してはならない”
プロセス
モニタリング：ルールを遵守しているかどうかを監視
エンフォースメント：ルール違反に対する法執行
実効性を担保

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モニタリング規範のデザイン
レギュレーションにおけるモニタリング規範のデザインにあたっての着眼点
 規制におけるモニタリングは、それ自身に意味があるわけではなく、エンフォースメントのための手段として存
在する
 モニタリングに対して副次的な（後付け的な）意味付けをして、モニタリング自身に価値があるという議論をする場合
には、その価値が果たしてモニタリングのコストに見合う価値なのかが問われる必要がある（レギュレーションのデザイン
の観点）
 規制におけるモニタリングは、ルールの実効性を高めるものである必要がある
モニタリングがルールの実効性を高める経路
エンフォースメントが執行されることによりルールが守られる
エンフォースメントの脅しによりルール遵守が動機づけられる
いずれの経路によるものであれ、モニタリングの結果、違反が検知され
ればエンフォースメントがトリガーすることが確保されていることが前提
 モニタリングがエンフォースメントの手段であり、エンフォースメントとともにルールの実効性を確保するためのも
のであるとすれば、モニタリング（またはそこから得られるエビデンス）の実態（限界）から、ルールの内容
を決定することも正当化される
 モニタリングが不可能であり、その結果エンフォースメントができないのであれば、そもそもそのようなルールを作ることに意
味がない。
 同様に、モニタリングとエンフォースメントにかかるコストが、ルールを遵守することにより得られる社会的なベネフィットより
大きいのであれば、ルールの内容を見直す必要がある。

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監査の世界において提案されている継続的監査のプロセスは、リアルタイムモニタリングのデザインにあたって参
考になる
リアルタイムモニタリング
Business
process
Automated audit
procedures
Storage Data modeling benchmarks
Data analytics
Continuous data
assurance
Continuous
controls
monitoring
No
exceptional
event
Exceptions
Audit
report
Exception reportExplanation
Additional data
Decision making
Business Auditor
<リアルタイムモニタリングのデザインにあたって検討すべき事項>
 「誰が」モニタリングを担当するべきか
 モニタリングとエンフォースメントの関係をどのように設計するか
• モニタリング結果と連動する自動的なエンフォースメント(enforcement by code)を指向すべきか
 ルールを実効あらしめるものとするために、政府はモニタリングについて、その枠組の決定のほかに果たすべき役割はなにか
 ルールの実効性確保とルール自体の改善のため（適切なフィードバックループを機能させるため）に、モニタリング成果をどのよう
に活用すべきか

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リアルタイムモニタリングの仕組みへの移行を民間部門に働きかけるためには、民間部門の移行へのインセンティ
ブの構造を理解する必要がある
民間部門のインセンティブ
External pressures
• Legal/regulatory risk environment
• Uncertain economic environment
• Scrutiny from capital market
Strategic motivations
• Need to improve internal control
• Need to improve accountability
• Pursuit of scalability (globalization)
Operational motivations
• Cost reduction
• Improve leverage of IT investment
• Addressing misconduct risk
Real time monitoring
strategies
 従来型のモニタリングの仕組みを残しつつ、ルールの実効性確保の観点から同程度の効果が望める、デジタルを用いたリアルタ
イムモニタリングの枠組の設計
• モニタリング事項の同等性ではなく、ルールの実効性確保という効果に対する同等性
• モニタリング内容はイテラティブに発展する可能性があり、それを可能とするモニタリング枠組み（ルール形成）
 従来型のモニタリングへの慣性を乗り越えてリアルタイムモニタリングに投資することのインセンティブの設計
• デジタル化による正の外部性（当局の監視コストを含む社会的コストの低減、収集データの分析による生産性向上）を追求する観点から、
基本的にはリアルタイムモニタリング移行を動機づける方向でモニタリング規範をデザインするべきか

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連絡先
弁護士 増 島 雅 和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03.5220.1812
email. masakazu.masujima@mhmjapan.com