2010年1月14日に東京で開催された「帰ってきたWeb研 Vol.2」で登壇した名村晋治のセミナースライドです。 ■セミナーの詳細はこちら http://cssnite.jp/osaka/info2007spring.html http://web-directions.com/director/seminar/webken-vol2.html Webディレクションにおけるファシリテーションに関して話をさせていただきました。

1. 今後のWebディレクターに求められる、
ディレクション・シンキングメソッド
株式会社サービシンク
名村 晋治
2010年1月14日

2. 名村 晋治
株式会社サービシンク(Servithink co.,ltd.)
代表取締役 / チーフディレクター / namura@servithink.co.jp
略歴
1996年 Web制作チームネイムヴィレッジを学生の仲間と立ち上げ
府内の某呉服店のサイトの構築に携わる
1999年 大学卒業と同時に役者・声優になるため上京
2000年 芝居で食えなかったので、株式会社ネクストにWebディレクターとして参加
サイトの企画立案から立ち上げ、実際のフロントエンドエンジニアとして実装などに関わる
2005年 ネクストでSips事業の収束に伴い退職、同年株式会社ソナーに参画
2006年 取締役員就任
2007年 Webブランディングの入門教科書を毎日コミュニケーションズより出版
変革期のウェブを毎日コミュニケーションズより出版
「Web標準の日々」にてモデレーター/ディレクショントラックスピーカー
2009年 年末を持って最終出社
2010年 Web制作に関する総合的なディレクションカンパニー「サービシンク」の立ち上げ

3. 本も執筆をさせていただきました

4. ブログもやってます

5. 今日のテーマ
1. ディレクターの仕事と役割
2. ディレクターに必要な能力ファシリテーション能力
3. ファシリテーションの為のツールワーク
4. ディレクションのシンキングメソッド
Twitterタグ #webken2

6. ディレクターの
仕事と役割

7. ディレクターとしての能力について
•「プロジェクトマネージャー」「Webディレクター」
など様々な呼び名
•今日のセミナーでは広義の意味を含め、
「プロジェクトを回す」人を「ディレクター」と呼称

8. プロデューサーとディレクター？

9. プロデューサーとディレクター？
•プロデューサーは「どんな手段を使っても案件
を”成功”させる」人
•ディレクターは「どんな手段を使っても案件を
”完遂”させる」人

10. ディレクターに求められること
考える 判断する 決定する
• 大きな前提は「やっている」か「やらされている」か
• そして、常に「判断」とその責任を負う「覚悟」のいる

11. ディレクターにとって大事なこと
マネジメント、プロデュース、営業など様々なタイプがいる
そういったものに紐付くスキルも大切ですが、それ以上に
マインドセットが重要
[マインドセット]
１）仁義・礼儀・道義
２）ファシリテーション能力
３）自分が某であるか？という個性
[スキルセット]
クリエイティブ
プランニングプロマネ
技術力 マーケティング

12. ディレクターに必要な能力
ファシリテーション力

13. 「ファシリテーション」とは？
容易にすること・助長などの意
組織や集団による問題解決や合意形成、学習促進などのコミュニケーション活動
において、協働的・創造的な議論や話し合いのプロセスを設計・マネジメント
することまた、その技法
会議やワークショップにおいて参加者の主体性を育み、コミュニケーションを
活性化させ、多様な意見の交換の中から新たな発見や可能性、アイディアを
見出すことを促し，個々の知恵を創造的な成果に結び付けていくことを支援する
自律分散協調型（ネットワーク型）の組織において重視される手法で、
ビジネスや社会活動などの分野で取り入れられている（国語辞典）

14. 「ファシリテーション」とは？
ファシリテーション（英: Facilitation）は、会議、ミーティング等の場で、
発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を
確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、
組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の１つ。
コミュニケーションスキル以外にも、ルールが必要な場合の内容設定や補助、
プログラムのデザイン、進め方や、さらに会議の場所や参加者の選択、
日程のデザインなど、オーガナイザーやリーダーの機能を担う。
会議の場に限定される機能とするのは誤りであり、日常での組織コミュニケーシ
ョン全般において、ファシリテーション技術は活用される。 （wikipediaより）

15. 要するに？
•ディレクターとして「チームの場」を作り上げていく能力が
極めて重要
•今後プロジェクトを回して行くために、プロジェクト
ファシリテーション能力が必須

16. プロジェクトマネジメントと違う？
•プロジェクトマネジメントは「計画」と「タスク」の管理
（「計画達成のマネジメント」）
成果を計画的に出していくためのスキル、技術
•プロジェクトファシリテーションは、「リーダーシップ・
コラボレーション型」
•プロジェクトの現場を活性化し、モチベートし、協調関係
を作るためのスキル、技術

17. ファシリテーションがないと
•自身のスキルを向上 したい
•高い技術力でよいものづくりをしたい
•顧客から感謝の言葉をもらいたい
•尊敬できる先輩と意見 を交換したい
•家庭や趣味と仕事をバランスさせたい
といったプロジェクトメンバーの根底に流れる満足度やモチベーションの
維持が困難になってきます
その点が困難になると案件としては終わったけど「デスマーチだった」
「上から言われたことをこなしただけ」「俺○日家に帰ってないから！」
となってしまう可能性がある

18. プロジェクトファシリテーション
• 問題の可視化（見える化）
• タイミングの切り分け
• 全員で共通の命名
• 問題を「問題という事象」として扱い、人と切り分ける
• カイゼンの実施

19. 見える化で利用するドキュメント
• 要件定義書
• タスクリスト
• スケジュールリスト
• コスト管理ツール

29. タイミングの切り分け
1.日報、週報、月報、四半期の振り返り
2.毎朝のスタンダップミーティング
3.会議のタイミングと意義の通知
タイミングの切り分けで大切なのは、継続すること・カイゼンの結果
どれかのタイミングを削るのはアリですが、「忙しいから」と
いう理由でなくなるのは、最もあってはならない事です

30. 全員で同じ共通の命名
•同じものを指しているけど微妙に違う
•最終的に「同じもの？」のズレ
•「この案件では○○と言うことにする」という決め
基本的にプロジェクトは異なる職域の人たち異なる言語の元に
行われるものです
だからこそ、全員で同じものをいっている「認識」を作るためには、
あやふやにせず「命名」していく事が重要です

31. 問題を「事象」として扱う
• 問題が起こった時「問題」に取り組み、問題を起こした人と
闘わない
• “you VS me” や “you VS us” の構図にしない
• 問題を起こした人の振り返りはプロジェクトではなく、
ヒューマンマネジメントであり「問題」
• 「問題が起きた」原因について解決を目指すべき
• 問題はもう起こっている！起きた問題は解決せねばならない

32. トヨタ式の「カイゼン」の思考
•よくなった効果を全員で共有する
•明日を今日よりよくしてこそ、知的労働者
•現状を良しとせず、小さな日々のカイゼンを考える思考
例：「メールの書き方」「ファイルの置き場所」「伝達の方法」など・・
・

33. それではワークに入ります

34. 見える化
GTD（Getting Things Done）
それにならい、自分の会社で持っているタスク・作業を下記の
内容に分けてみてください
• ToDo（未実施）
• Doing（実施中）
• Done（作業としては終わっているが手を離れていないもの）

35. 見える化の目的
• 「見える化」の目的は、
問題の可視化、現状把握、情報共有
• プロジェクトファシリテーションをする際には
「見える化しよう！」ではなく、見える化してからの
共有プロセスが重要

36. タスクの洗い出しに困ったら
• タスクの開始日と締め切り日
• 案件の具体的な名称
• お客様の担当者
• 自社の担当者
• そのタスクの現状の進捗具合
• そこから考えられる現状の問題点と解決策
次の項目を見直してみてください

37. カイゼン
自分の行った何かしらの案件で以下の振り返り項目を書き出し
てください
•良い点
•悪い点
•次回に挑戦をしたい点（やりたくても出来なかった点）
忙しさから、タスクや作業の振り返りやカイゼンを行う
フローがなければ、同じことを繰り返す
「一度やった事」を「二度しない」ようにする気概を持つ

38. 前半のまとめ
• 常に「判断」とその責任を負う「覚悟」のいる仕事
• スキルセット以上に大切なマインドセット
• ディレクターとして「チームの場」を作り上げていく能力
• プロジェクトファシリテーションとしての５つの「 問題の可視化（
見える化）」「タイミングの切り分け」「全員で共通の命名」
「問題を「問題という事象」として扱う」「カイゼンの実施」
• ファシリテーションに使う４つの「要件定義書」「タスクリスト」
「スケジュールリスト」「コスト管理ツール」

39. ディレクションの
シンキングメソッド

40. ディレクションのスキルの根本
• プロジェクトマネジメントもプロジェクトファシリテーション
も一つの「手段」
• 一番大切なのは「経験」を使える形にすること
• 手持ちの武器＝ツールを、適切な時に、適切な形に変えて
使う事が出来る「知恵」

41. シンキングメソッド
• 名村が問題を解決出来ている理由は、経験による
• しかし、僕もいつも困っていて、誰か「答えを教えて！」
と言いたい
でもね？

42. 経験を結びつけていく考え方
• みんな生きていて、毎日何かしたらの「情報」を享受している
そして多くの「経験」をしている
• その「情報」と「経験」を結びつけることで、
「置いているだけ」なく「使う事が出来る形」状態にする

43. 「情報」と「経験」を結びつけて
いくのは「習慣」
• 大前提は「技術論」「ツール」ではない
• 自動車の仕組みを知っているのと、運転が出来るのは別
• 情報を経験と結びつけて使えるようにするのは、その隔たり
• しかし一度運転の方法を身に付ければ、乗ることが可能

44. 経験を結びつけれは加速する
得られた情報から次に得られる情報は、経験を結びつけることを
していない人と比べ倍々で伸びていく
0
500
1,000
1,500
2,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009

45. 「情報に変える」習慣をつける
• 起きて活動している間、目に入ってくるもの全てを「情報」
に変えていく習慣
• まず最初は10分から開始

46. どういう思考が「使える情報」に
変えるか？
• 目に入る情報に対して「これはなぜこうなのか」を、
自分の言葉・情報に変えていく癖を付ける
• 「なぜこの形？」
• 「なぜこの立地？」
• 「なぜここの置いてある？」

47. 考える習慣がもたらす未来
• その場、その場で自分の知見を総動員した中で最適と
思われるものを選択出来るようになる
• 先に上げた「要件定義書」「スケジュールリスト」などは
全て「その状況で必要になった結果として選んだツール」
• それさえアレば完璧な「ディレクションに必要なツール」
を探すのではなく、「その案件のディレクションに必要」
なモノを選びだせる

48. 今後のディレクターとしての能力
• プロジェクトマネジメントは多くの書籍やセミナーや
エヴァンジェリストの方がいる
• ＰＭと同時に、プロジェクトファシリテーションを行え、
円滑なプロジェクト進行が出来る「場」を作れる必要
• 多くの書籍で語られている「ツール」に使われず、
「最適なツール」を選べる「知恵」が必要

49. 後半のまとめ
• 多くの「経験」を「使える形」にしていく能力の必要性
• ディレクションのツールは「使うもの」であって「使われる」
ものではない
• 経験は、積み重ねることで、得られる経験は倍加していく
• 日々の積み重ねが、実際の業務での解答を導く
• 知識と同じだけの「知恵」をつける事を考える

50. ご清聴ありがとうございました
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