More Related Content
Similar to 交通崩壊を防げ:コロナ禍が明らかにする日本の公共交通の構造的問題にITは立ち向かうことが出来るか? (20)
More from Masaki Ito (20)
交通崩壊を防げ:コロナ禍が明らかにする日本の公共交通の構造的問題にITは立ち向かうことが出来るか?
- 2. 伊藤 昌毅
• 東京大学 生産技術研究所 特任講師
– ユビキタスコンピューティング
– 交通情報学
• 経歴
– 静岡県掛川市出身
– 2002 慶應義塾大学 環境情報学部卒
– 2009 博士(政策・メディア) 指導教員: 慶應義塾大学 徳田英幸教授
– 2008-2010 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究助教
– 2010-2013 鳥取大学 大学院工学研究科 助教
– 2013-2019 東京大学 生産技術研究所 助教
– 2019- 現職
• 委員(国土交通省)
– バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長
– 公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会 委員
– MaaS関連データ検討会 委員
– 交通政策基本研究小委員会 委員 他
• 委員(その他)
– 経済産業省 官民データの相互運用性実現に向けた検討会 座長
– 沖縄 観光2次交通の利便性向上に向けた検討委員会 委員長 他
3
- 3. これまでの興味や研究分野
慶應義塾大学 徳田研究室
学生・特別研究助教
2000 2010
鳥取大学 大学院
工学研究科 助教
東京大学 生産技術研究所
瀬崎研究室 助教
大口研究室
特任講師
2013 2019
ユビキタスコンピューティング(IoT) 計算機やセンサの遍在環境
交通計画学
交通工学
空間情報・地図情報
公共交通のIT化・地域交通
ITS・交通制御
Human-Computer Interaction (HCI) ・社会におけるコンピュータの受容
環境センシング 人流センシング
コンピュータによって人・社会・空間を
どのように変えられるか
- 4. Cyber World と Physical Worldが融合す
る中での空間情報やナビゲーションに関心
Physical World
地図(Cyber World
でのWorld Model)
Mapping
受益者として空間情報
サービスを利用する
空間行動は物理空間
上の現象としても
扱われるように
専門家による特別な仕事から,情報技術に
よって多種多様な情報がマッピングの対象に
人の活動が媒介となり物理空間と
サイバー空間の融合が加速
- 15. • ユーザ側:
– 常に高度な情報端末を持つ
– 移動の全行程をスマホが状況を理解しながらサポート
– 不安の無いバス利用を実現
• システム側:
– 車載機器や通信が安価に可能に
– リアルタイムの情報発信
• エコシステム:
– ビッグデータ分析で移動需要に応じたバスサービスを実現
テーマ: スマートフォン時代のバスとの付き合い方
- 29. • 一人一人に専用の車・ド
ライバー
富豪的解決 ←→ スマートな解決
https://km-yokohama.jp/hire/
• 同じ車両・ドライバーに同乗
• 方向によって車両を乗り継ぎ
• 異なる大きさの車両を組み合
わせ
• 要するに、鉄道、バス、
タクシーみたいなもの?
- 32. Uber
• 2010年 サンフランシス
コで設立
• 2011年 NY、パリ進出
• 2013年 東京でタクシー
配車開始
• 2015年 CMUの研究者40
名を引き抜き
• 2015年福岡市でライド
シェア実証実験、国交省
が中止
• 2016年 トヨタと提携
• 2016年 京丹後市で「さ
さえ合い交通」
- 37. • マスクの利用(運転手・乗客にも要請)
• 窓の開放
• バス最前席の使用禁止
• 運転席にビニールシート
• 頻繁な消毒
• 間隔を空けた着席
従業員や乗客の感染予防策を試行錯誤
https://mainichi.jp/articles/20200424/ddl/k33/040/401000c
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412730
38
- 38. • 日本の公共交通の原則は独立採算制
– 民間企業が競争し合い、運賃収入で利益を上げて運営するのが制度の基本
– 欧米では市など行政が主体で運営することが多い(特に都市・地域交通)
• 運賃収入の減少が経営難に直結
– 鉄道・バスは運行継続が期待されており、運行コストは変わらない
– 多くの利用者が「不要不急の外出を避け」たらどうなるか?
• 事業者の窮状は一般に理解されていない?
– 地域の老舗・大企業だから大丈夫だろう
– どうせ税金が投入されているんだろう
• いざという時も事業者が声を上げにくい雰囲気?
– 支援して欲しい、資金が欲しい、という声が出てこない
独立採算による経営が限界に
39
- 41. • 全体:年間約900億人
• 公共交通:年間約300億人
– 近年増加傾向
公共交通利用:全移動の約1/3 (人員ベース)
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/tetsudo_list.html
※旅客の輸送分野別分担率、公共輸送機関別分担率より
※古い数字だが翌年より調査方法が変わったためこの年を採用
2009年 国内輸送人員
自動車 66,599,647
鉄道 22,984,742
旅客船 92,200
航空 83,872
合計 89,760,461
(千人)
- 43. バスの事業規模
黒字 赤字 合計 収入 支出 損益 経常収支
率
民営 66 153 219 5770億円 6011億円 -241億円 96.0%
公営 2 16 18 1551億円 1650億円 -98億円 94.0%
合計 68 169 237 7322億円 7662億円 -339億円 95.6%
• 特に地方において経営が
成り立たない状況
– 多くの赤字路線を抱え補助金
により運営している
(調査対象事業者は保有車両数30両以上の237者)
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000294.html
平成29年度乗合バス事業の収支状況について
- 48. • 複数の交通事業者を一体運用し統一的な公共交通サービスを実現する組織
– 交通事業者、自治体などが主導し結成される
• 公費を投入しての運営が前提、運賃収入は半分以下
• ドイツ、フランスなどで導入が進む
– 1965年にドイツ ハンブルグで始まる
• 運輸連合の役割(例)
– 統一的な運賃システムの構築と販売のマネジメント
– 事業者間での運賃調整
– 地方自治体や事業者との契約に関するマネジメント
– ローカル線の維持管理と品質管理
– 旅客輸送の計画策定
– マーケティングと乗客への情報提供
ヨーロッパなどでは運輸連合を形成
https://www.itej.or.jp/assets/seika/jijyou/201209_00.pdf
運輸連合の概要と日本への示唆 −ドイツ・ベルリンを例に−(渡邉亮) 参照
- 63. Whim by MaaS Global
• ヘルシンキ(フィンランド)でMaaSを実現
• Whim というアプリを通して鉄道、バス、タ
クシー、自転車などの組み合わせ検索や予約決
済を実現
https://time-space.kddi.com/digicul-column/world/20161209/1772
- 66. • 2019年度〜
– 経産省
• 主に産業政策としてのMaaS
• 「スマートモビリティチャレンジ」
– 国交省
• 主に交通の維持と発展のためのMaaS
• 「新モビリティサービス推進事業」「日本版MaaS推進・支援事業」
• 2020年度〜
– 内閣府
• スマートシティ、スーパーシティ関連事業という整理
MaaSを巡る日本の動き
- 67. • 経産省+国交省
• 99自治体
• 132事業者
• その他26団体
• 登録料・年会費なし
スマートモビリティチャレンジ推進協議会
事務局 :国立研究開発法人 産業技術総合研究所 情報・人間工学領域
ヒューマンモビリティ研究センター スマートモビリティチャレンジ協議会 事務局
https://www.mobilitychallenge.go.jp/aboutsmcpc
- 69. • MaaSをテーマにした懇親会
• 委員
– 石田東生 筑波大学特命教授 (座長)
– 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所助教
– 鎌田実 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
– 川端由美 自動車ジャーナリスト、株式会社ローラン
ド・ベルガー
– 須田義大 東京大学生産技術研究所教授
– 高原勇 筑波大学未来社会工学開発研究センター長
– 森本章倫 早稲田大学社会環境工学科教授
– 矢野裕児 流通経済大学流通情報学部教授
– 吉田樹 福島大学経済経営学類准教授
• 2019年3月に中間とりまとめ公表
国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000089.html
- 75. • 地元の印象
– あるモノを押しつけてるだけ、地域から学ぶ気が無い!
– 地域は残り続けるのに企業は撤退出来る
• 企業の本音
– 大企業では数百人規模のサービスに投資出来ない
– 地域交通はビジネス化が難しい
• 地域交通専門家の知見
– 「やっぱり」
– 他の地域は騙されないように気をつけよう
熱を生み出すことができず、スタートでつまづく
いくつもの地域に関わっているのでか
なり重要なのだが、往々にしてIT企業
はキーパーソンだと認識していない
- 82. 令和元年度 第2回 (第16回) 国土交通省交通政策審議会 交通体系分科会 地域公共交通部会 (19/09/27)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001311067.pdf
専門家からのインプット
名古屋大学
加藤博和教授による
これ以外にも関係者の会
議等で発言の機会がある
度に申請の電子化の話を
されていた
- 94. 97
• 路線バス事業者: 全体の約2割
– 一部地域で民間・公営事業者を含めたGTFSオープンデータ整備が進む
• 北海道、青森、群馬、富山、山梨、和歌山、岡山、佐賀、熊本、沖縄など
• 計画中の事業者も少なくない
– 一部の大規模事業者は自前データ作成、Google提供(有償含む)
– 様子見の事業者も多く、大都市部は進まず
• コミュニティバス:全体の約2割
– 県や市の事業でデータ整備推進
• 北海道、群馬、富山、静岡、愛知、岐阜、高知、福井、福岡、沖縄など
• 本年度事業で整備計画中の県も複数あり
– 地域的な偏りも大きいが格差は埋まりつつある
GTFSデータ整備状況: 273事業者の内訳