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塩基配列
200 nm 2000 km
生体分子
超微細構造 オルガネラ 細胞 組織 器官 個体 地球環境
個体群
10 nm 10 m 10 mm 1 km 105 km
(10-8 m) (10-5 m) (10-2 m) 1m (103 m) (108 m)
0.1 nm
(10-10 m)
スケール
画像 (バイオイメージング)
電顕 衛星画像
デジタル画像は生命科学の広いスケールで扱われる実験データ.
その解析法を習得することで,共焦点顕微鏡だけでなく,電顕や
デジカメ,Google Earth のような衛星画像を用いた研究も容易に.
生物以外の分野での ‘つぶし’ も効くし,生活や趣味にも役立つ.
5. ImageJ と KBI plugins のインストール
http://hasezawa.ib.k.u-tokyo.ac.jp/zp/Kbi/ImageJTutForNaist
6. ImageJ の基本画面
← メニューバー
← ツールバー
← ステータスバー
← 画像タイトル
画像情報(サイズ等)
← 画像ウインドウ
タバコBY-2 液胞膜
赤い三角形の付く
アイコンは右クリック
で機能切り替え可.
ツールバー
赤い線: 頻用するもの.
青い線: selection (ROI).
http://rsb.info.nih.gov/ij/docs/tools.html
7. 本実習での表記
メニュー操作に関して:
File - Open… File から Open… を選択する.
ショートカット操作に関して:
t Windows : t キー.
Mac : コマンド + t キー.
Shift + c Windows : Shift を押しながら c キー.
Mac : コマンド と Shift を押しながら c キー.
※コマンド一覧は Plugins - Shortcuts - Control Panel… でツリー形式,
Plugins - Shortcuts - Create Shortcut の Command 欄でプルダウン形式で確認できる.
※メニューの一部は ij.jar 内の IJ_Props.txt を編集することでカスタマイズ可能.
JARはZIP形式として展開できる.
メニューを完全に変更したい場合は ImageJ.java をいじる.
※ ショートカットの一覧表示や追加は Plugins - Shortcuts メニューから可能.
一部のショートカットはソース中に埋め込まれている ( t とか < とか) .
9. 画素と画素数
←画像情報: 159x153 pixels; 8-bit; 24K
159
153 + キーで拡大
- キーで縮小
(3200%) : 拡大・縮小率
画素, pixel (picture element)
画像ウインドウ左上に青い枠が表示されている場合,
ウインドウに画像全域が収まっていない.
現在表示されている部位が,画像全域のどこに相当する
かを示している.
10. 座標系と画素と輝度
←画像情報: 159x153 pixels; 8-bit; 24K
x
(3, 0)
輝度30
(x,y) = (0, 0) (3, 2)
輝度 35 輝度 21
ImageJ では左上を原点(0, 0)とし,右に X 軸,下にY軸が伸びる.
y 各画素には輝度 (強度,intensity.明度 brightness とも言う)
が割り当てられている.
※ 「0 から数えること」「左上が原点であること」 に注意.
11. 159 座標系と画素と輝度
File - Save As - Text Image…
153
x
(3, 0)
輝度30
(x,y) = (0, 0) (3, 2)
輝度 35 輝度 21
y 159列
表示を縮小
Excel で開いた例 153行
12. PowerPoint 等での強拡大に注意
PowerPoint
で拡大
補間なし
PowerPoint や Photoshop 等で補間を
ともなう"強拡大"をするとデジタル的
な解像度や分解能と関係なく擬似的
にズームしたようになるが,解像度や
分解能が上がる訳ではない. 補間あり
データ解釈を誤らないよう注意.
13. Brightness & Contrast による表示状態の変更 ( Shift + c キー)
真っ白
真っ黒
スライドバーを動かすことによる調整は,表示上の"明るさ"を
変えているに過ぎない.→ 輝度は変化しない.
8-bit 画像の場合は Apply ボタンを押すことによって,その時の
表示範囲が0~255にスケールされる.→ 輝度が変化する.
14. 輝度ヒストグラム ( h キー )
h
位置情報を無視した上で,全画素について
輝度の分布を可視化したもの.
輝度の基本的な統計量(最小,最大,平均,
標準偏差等)も表示されている.
15. 輝度のタイプ
輝度のデータ型.
ビット深度(bit depth), bits per pixel,
量子化ビット数等とも呼称.
グレイスケール画像, 濃淡画像
≠白黒画像
8-bit: 0~255 の整数(integer)
16-bit: 0~65535 の整数(integer)
32-bit: 浮動小数点数(float)
実数の近似値.±3.4*1038 の
範囲で7桁位の精度.
(3, 0)
輝度30 カラー画像
8-bit Color: 使わない.
RGB Color: 赤緑青の3チャネルを
(0, 0) (3, 2)
重ねることによるカラー表現.
輝度 35 輝度 21
各チャネルのデータ型は8-bit,
16-bit, 32-bit のいずれかで,
チャネル間では統一されている.
16. 輝度のビット深度
輝度 28 =256 段階
グレイスケール画像, 濃淡画像 255
≠白黒画像
8-bit: 0~255 の整数(integer)
16-bit: 0~65535 の整数(integer)
32-bit: 浮動小数点数(float) 0
8 bits/pixel 位置(pixel)
実数の近似値.±3.4*1038 の
範囲で7桁位の精度.
原画像のビット深度はカメラによって異なり,8~16 bits/pixel が主.
12 bits/pixel (212 , 0~4095) や 14 bits/pixel (214 , 0~16383)の
カメラで得た画像は 16 bits/pixel の画像フォーマットとして扱う
(大は小を兼ねる).
輝度には必ずノイズが混じるので,深度が大きい方が一概に
高性能というわけではない.
画像処理的には内部で 32-bit (float) を用いることも多い
(小数やマイナスの値が扱えるので) .
19. 実習
班ごとに指定した画像ファイルを用いて,以下について解析せよ.
Q1. 以下の表を埋めよ.
水平画素数 中央の画素の座標と輝度
垂直画素数 最小輝度
全画素数 最大輝度と,その画素の座標
ビット深度 平均輝度
※ 複数枚の画像(Z軸や時間軸がある画像)の場合, Image - Stack - Z Project… -
Max Intensity によって1枚の投影画像に変換してから解析すること.
Q2. ヒストグラムウインドウで Live ボタンを押した後(赤文字になる),
画像に下記の処理(ガウスぼかしによるノイズ抑制)を行なった
場合に,ヒストグラムがどのように変化するかを述べよ.
処理: Process - Filter - Gaussian Blur… にて Preview を ON,
Sigma(Radius)の値を0,1,2,4,8,16,32と増やす.
注意: ヒストグラムウインドウでなく画像に対して処理すること.
21. 手作業でのROI設定を介した形状解析: 長さ
t
Excel 等にペースト or
テキストファイルに保存して
R スクリプトで統計処理 等.
線分や曲線をマウスで引き, t キーで ROI Manager に登録,を繰返す.
ROI Manager の「Show All」をチェックしておくと見やすい.
Measure ボタンで登録済の ROI 全部をまとめて測定.
角度や長さ(画素単位)が得られる. Excel等でμmに変換し,統計処理.
ROI: region of interest,関心領域,注目領域
22. 手作業でのROI設定を介した形状解析: 面積
or
t
測定項目は Analyze - Set Measurements... で決定.
「測定対象領域をマウスで指定し,
t キーで ROI Manager に登録」を繰返す.
Measure ボタンで測定.
23. 二値化による領域抽出 ( Shift + t キー)
二値画像
(白黒画像)
グレイスケール画像
(濃淡画像)
or
蛍光像の場合,「高い輝度の領域」が「測定対象領域」の
場合が多い.閾値となる輝度を決め,二値画像(白黒画像)
に変換することで,領域抽出(領域分割, segment)ができる.
ではどのように閾値を決めればいいのか?
27. 二値化を介した繊維構造の解析例
シロイヌナズナ気孔
アクチン繊維
共焦点画像 バンドパスフィルタ 二値化像 細線化像
による繊維等の強調
気孔開閉の指標 アクチン繊維の配向の指標
短径 / 長径 長径 気孔に対する
アクチン繊維の角度
短径
気孔
灰色: 気孔領域 この場合, この場合,
黒色: アクチン繊維 短径 / 長径=0.47 アクチン繊維の角度=54.3°
28. バンドパスフィルタ
輝度プロファイル(左図の黄色い線)
細胞表層微小管のプラス端
Process - FFT - Bandpass Filter...
注目している物を,おおよその大きさを指定することで
強調する処理.ノイズや細胞形状の影響を抑制する.
29. この章のまとめ: 形の解析
領域抽出 (segmentation,領域分割) の方法
* マウス等で測定部位を描いて ROI を設定する.
* 輝度を閾値として二値化する. Shift + t キー.
* 人間による閾値決定.
* 自動閾値決定.
粒子解析
(ノイズ除去等) → 領域抽出 → (ノイズ除去等) → 測定
繊維解析
濃淡画像→二値画像→細線画像の場合:
(ノイズ除去等) → 領域抽出 → … → 細線化 → … → 測定
濃淡画像→細線画像の場合:
(ノイズ除去等) → … → 細線化 → … → 測定
30. 実習
Q3. 班ごとに指定した画像ファイルを ImageJ で読み込み,
適切な画像解析手法を用いて,以下の表を埋めよ.
ミトコンドリア ゴルジ体
解析に用いた領域抽出手法
1個あたりの面積
細胞内密度
※ 輝度を閾値とした二値化手法を用いた場合,閾値を決めた方法と,閾値がいくつかも示せ.
※ 細胞内密度の単位は「1000 * 1000 pixel あたりの個数」とせよ.
※ 大きさの単位は「pixel」とせよ.
ヒント: 画像が背景領域を含む場合は,事前に解析領域を
矩形ROIで選択し,Shift + x で切り出すことができる.
31. 実習
Q4. 指定した画像中のアクチン繊維の配向を解析せよ.
手順1. 最大輝度投影 手順3
Image - Stack - Z Project … - Max Intensity
手順2. 画像の複製 Shift + d キー BP1
手順3. バンドパスフィルタ BP2
Process - FFT - Bandpass Filter... - 右図
※ 赤く囲ったパラメタ(BP1,BP2)は強調する対象の
大きさの範囲.適切に設定せよ.
手順4. 二値化 (適切な手法を採用すること)
手順5. 細線化 Process - Binary - Skeletonize 手順6,7
手順6. 細線画像からの配向解析(画像全体からの測定)
Plugins - kbi - Kbi_LinesAngle - mode = eachSlice
※ theta: 平均角度,normAvgRad: 並列度,totalPair: 全長
手順7. 細線画像からの配向の可視化
Plugins - kbi - Kbi_LinesAngle - mode = map
※ 黄色い丸で囲ったパラメタは解析領域の大きさとステップ.
BP1 BP2 二値化法と閾値 平均角度 並列度 全長
33. スタック画像
時系列画像(動画像,動画,XYT)
や,焦点面を変えて撮影した連続
画像(立体画像,XYZ)はともに
スタック画像として操作できるが,
ZとTの区別が無いことに注意.
スタック画像を構成する2次元画像
をスライスとかフレームと呼ぶ.
ステータスバーの z=2 は
タバコ培養細胞
微小管プラス端 「Z座標の値が2」を示す
(0から数えている. 0-origin) .
画像情報欄の 3/10 は
表示中のスライスを変更 「全10枚中3枚目」を示す
(1から数えている.1-origin).
再生 (速度設定: Image - Stacks - Tools - Animation Options...)
35. 動き解析のための粒子追跡
輝度投影 1スライス目 10スライス目
(疑似色)
T-1
平均速度:
(pixel/slice) T: スライス数
36. 動き解析のためのカイモグラフ
最大輝度投影 1スライス目 10スライス目
Plugins - kbi - Kbi_DynProf - kymoStatic
位置
p
t 平均速度:
(pixel/slice)
時間
38. 動き解析のためのオプティカルフロー法
Plugins - kbi - Kbi_Flow
シロイヌナズナ胚軸表皮 小胞体
CSU, EM-CCD, 50 ms * 100 frame
Plugins - kbi - Kbi_DynProf - kymoStatic
位置
時間
40. 実習
Q5. 指定した画像中に分布するミトコンドリアやゴルジ体について,
個々の時間平均速度を測定せよ.
その後,オルガネラ平均速度を測定せよ.
単位: pixel / frame
カイモグラフ法 1 2 3 4 5 6 7 8 平均
ミトコンドリア
ゴルジ体
粒子追跡法 or
1 2 3 4 5 6 7 8 平均
オプティカルフロー
ミトコンドリア
ゴルジ体
※ オプティカルフローを試したい班は声をかけて下さい.
42. なぜ画像解析をするのか?
* 撮影した画像をどのように扱うか,という問題.
典型的な何枚かを原稿に貼り付け,legend を書いて終わり?
定量性,そして客観性.
同じ画像から,解析次第で様々な情報が引き出せる.
* 何のために可視化したり撮影するのか,という問題.
可視化,撮像,解析までトータルに考えて実験計画を立てる.
研究者のツールとしての画像解析,という段階へ.
43. もう少し詳しく学ぶには
省略したがバイオイメージングで重要な事項
* blur (ボケ) と PSF(点像分布関数, point-spread function).
蛍光ビーズによるPSF測定.blur の影響と対策.
* ノイズ,とくにGaussノイズとショットノイズ.
撮像法との関係と,ノイズ抑制の手法.
* 背景 (background) 輝度の高さと分布の扱い.
参考になる本
田村秀行 (2002) コンピュータ画像処理
オーム社,ISBN-13: 978-4274132643
Burger W & Burge MJ (2007) Digital Image Processing:
An Algorithmic Introduction using Java
Springer, ISBN-13: 978-1846283796
※ ImageJ 本.バイオ指向.プラグインの作例が豊富.
参考になるサイト
英語なら ImageJ 公式サイトを起点に充実.翻訳??
44. 謝辞
* Plant Organelles Database2 で公開されている画像を例として一部で
用いました.
Mano S et al. (2008) Nucleic Acids Res 36: D929-D937.
http://podb.nibb.ac.jp/Organellome/
* 小胞体流動の画像提供と KbiFlow 開発への協力を
下記グループからいただきました.
京都大 理学研究科
西村いくこ先生,嶋田知生先生,田村謙太郎先生,上田晴子先生
46. File メニュー: ファイルの読み込み・書き込み等
New: 新規作成.
System Clipboard で他アプリから画像の
読み込みができる.
Open...: 画像ファイル等を開く.
Import: 各種フォーマットの
画像ファイル等を開く.
Close: 画像ウインドウを閉じる.
Save: 画像ウインドウの内容をファイルに
保存する.
※ Save しない限り,ファイルは書き
変わらない.
Quit: ImageJ を終了する.
47. Edit メニュー: 画像の切り貼り,描画
Undo: 直前の作業の取消し.
1ステップ限定かつ
一部のみ対応.
Cut, Copy, Paste:
画像の切り貼り.
対象は画像全域かROI .
Copy to System:
他アプリへのコピー.
Clear, Fill, Draw: 単色描画.実際の色は
Color Pickerで色は設定.
Selection: ROI の制御.
(Selection = ROI)
Add To Manager:
複数のROI を管理.
48. Image メニュー: 種別,色,スタック,変形,複製等,色々
Type: 輝度タイプの変換.
8-bit, 16-bit, 32-bit, RGB color...
Adjust: 表示上の明るさの調整や二値化等.
Color: グレイスケール画像とカラー画像の
変換等.
Stacks: 時系列画像(動画像),立体画像の
処理.輝度投影,スライス一覧(montage)
の作成等.
Crop: ROI 部分の切り出し.
Duplicate: 画像ウインドウの複製.
Rename: 画像ウインドウのタイトル変更.
Scale: 画像解像度の変更.つまり画像サイズ
の拡大・縮小.
※表示の拡大・縮小と混同しないよう注意.
49. Process メニュー: 基礎的な画像処理(フィルタ等)
Find Edges: 輪郭強調.
Binary: 2値画像(白黒画像)処理.
Math: 加減乗除等による
各画素の輝度変更.
Filters: ノイズ抑制等のフィルタ.
Image Calculator:
画像と画像の間
の演算.
加減乗除等.
50. Analyze メニュー: 測定やグラフ関係
Measure: ROI 部分の諸パラメタの測定.
Analyze Particles...: 粒子解析.
Set Measurements...: 'Measure' で測定する
パラメタの選択.
Set Scale...: 1画素が何 m かを設定する.
Histogram: 輝度ヒストグラムの表示.
Plot Profile: 輝度プロファイルの表示.
他のメニュー
Plugins: プラグイン,マクロ,ショートカット
キー設定等.
Window: 画像ウインドウ,ログウインドウ等
の一覧や並び換え.
Help:ブラウザにウェブ上のマニュアルを
表示する等.