米国のスタートアップビジネスから見た日本のものづくりの価値

燕三条×ものづくりセミナー
米国のスタートアップビジネスから見た
日本のものづくりの価値
2018年3月2日
FabFoundry社関信浩
（ニューヨーク在住）

「米国に挑戦するのに必要な一つのこと」

「日本から見た」
日本の価値ではなく
「米国から見た」
日本の価値を米国に

第三者視点で見続けた「日本」
米国から見た強みと課題

関信浩略歴
1990年代
東京
• 東京大学
工学部
• 日経BP社
技術系記者
• シリコンバレー
ドットコム取材
2000年代
シリコンバレー
• Carnegie Mellon
MBA
• ビジネスプラン
起業と断念
• Six Apart
ブログ文化輸入
携帯文化輸出
2010年代
ニューヨーク
• FabFoundry
米国スタートアッ
プへの経営支援
• “Monozukuri”
米国から日本へ
日本から米国へ

「日本から見た」ではなく
「米国から見た」日本の価値を米国に
• 米国のスタートアップを、
日本の製造技術の「ファ
ン」に育てる
• 米国に「日本びいき」の
ハードウェア・コミュニ
ティを構築する
• 米国のスタートアップ・コ
ミュニティと長期的な関係
を構築できる「モノづくり
コミュニティ」を構築する

「米国から見た」日本製造業の課題
• 「米国」での劣等感と、
「アジア」での優越感
• 「日本人」への親近感と、
「日本企業」への不信感
• 日本以外では「異質」に映
る商習慣への固執
• 「提案意識」の欠如
• 「スタートアップ企業」が
果たす役割への低い関心

世界の起業エコシステムの比較
日本
• VC投資
• 874億円
中国
• VC投資
• ２兆5084億円
米国
• VC投資
• ７兆1475億円

ハード製造は50兆円の成長市場
「自前主義」から「世界のハブ」へ
設計・生産管理技術
「量産」の司令塔に
スタートアップが
事業を「創造」
年50兆円
年成長率5％
Source: Electronics market research firm IHS iSuppli
Source: Research and Markets
投資5000億円
年成長率50％
地域ごとに
特色ある製造

シリコンバレー＋中国モデルは
20世紀型「大量生産・大量消費」
シリコンバレーが得意なもの
• 世界に通じる「ビジョン」
• 世界を市場にするための「資本」
中国が得意なもの
• 「世界の工場」と
しての安価な供給

先進国の消費は「オンリーワン」へ
消費者のトレンドは…
「他人とは違うものが欲しい」
「カスタマイズしたい」
「多少、高価でも良い」
「所有しなくても良い」
ドイツでは…
• コンピューターを活用した
一点ものの生産体制

日本のものづくりの価値は？

米国スタートアップが抱える課題
• 小ロット生産を受ける受託工場が少ない
• 量産設計や発注のノウハウがない
• 売上がゼロで、出荷が遅れると倒産
• 資金繰りが厳しい（発注時に手付金）
• 海外との業務経験がない

経産省Startup Factory構築事業

ディスラプションを阻む
日本の大手企業を取り巻く問題点
• 自前主義: オープン・イノベーション戦略がとれな
い
• モノづくり重視: ソフトウェアによる適応力やス
ピードに対応できない
• リスク回避: 「改良」による製品企画により、大量
生産・大量消費を前提とした開発・生産モデルか
ら抜け出ていない
• 現場主義: 過度な現場主義で、現場のノウハウが上
流の設計工程に生かされていない

日本の製造業インフラを「世界の多
品種少量生産ハブ」に作り変える
• 高付加価値戦略: 新奇性の高いスタートアップ製品の製
造を手がけ、高マージンを享受するための生産方法な
らびに、ビジネスモデル（含むフィンテック）の探求
• エンド-エンドのサプライチェーン管理: スマート・コ
ントラクトによる、業界を超えた契約・決済ネット
ワーク（コネクテッド・インダストリーズ）
• 軽量なデザイン思考: スタートアップとのプロジェクト
で、リーン・スタートアップの考え方を取り込む
• オープン・イノベーション手法: 既存の社内システムで
はなく、海外のスタートアップを取り込むことで、日
本特有の問題点をあらかじめ浮かび上がらせる

ディスラプションが必要な
多品種少量生産インフラの構築
100個の生産でも利
益が出る仕組み
徹底的に固定費を
抑えるインフラスピード重視
自動化と
最新テクノロジー
既存の延長でない、新しいインフラが必要

モノづくり起業推進協議会による
「バーチャル・ファクトリー」実証実験
• 小ロットの受託生産や、オンデマンド生産を実現
する、複数の組織の集合体
• 生産現場にあるノウハウを、上流の「設計工程」
に取り込むことで、バーチャル・エンジニアリン
グ時代の「世界のハブ」を目指す
• 「価格」ではなく「品質」と「納期」を重視する
• 「契約」「プロジェクト管理」「決済」などを、
国際的な取引に通用する仕組みにする

シリコンバレーの特異性と
ニューヨークという選択肢

VC投資は「シリコンバレー」に集中
• サンフランシスコ
• VC投資: 230億ドル
（全米1位、シェア34.1%）
• サンノゼ
• VC投資: 67億ドル
（全米3位、シェア9.80%）
Map of “Silicon Valley”, Undated byNathan Hughes Hamilton

日本でも「シリコンバレーブーム」
70%
80%
90%
100%
110%
120%
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
総領事館に登録されている
長期出張者数の推移（2006
年=100%）
サンフランシスコ
ニューヨーク
105.4%
（18,738人）
77.4%
（57,372人）
外務省「海外在留邦人数調査統計」（平成18年〜平成29年）より独自に作成

だが起業はシリコンバレーだけでない
Metro VC Investment
(in millions)
Share of
US Total
San Francisco-Oakland-Hayward, CA $23,401 34.13%
New York-Newark-Jersey City, NY-NJ-PA $7,565 11.03%
San Jose-Sunnyvale-Santa Clara, CA $6,718 9.80%
Boston-Cambridge-Newton, MA-NH $6,028 9.79%
Los Angeles-Long Beach-Santa Ana, CA $5,446 7.94%
San Diego-Carlsbad, CA $1,549 2.26%
Seattle-Tacoma-Bellevue, WA $1,503 2.19%
Miami-Fort Lauderdale-West Palm Beach, FL $1,296 1.89%
Chicago-Naperville-Elgin, IL-IN-WI $1,245 1.82%
Washington-Arlington-Alexandria, DC-VA-MD-WV $1,090 1.59%
Source: “Venture Capital Remains Highly Concentrated in Just a Few Cities”
https://www.citylab.com/life/2017/10/venture-capital-concentration/539775/

世界2位の投資を集めるニューヨーク
• ニューヨーク
• VC投資: 33億ドル（2位）、人口: 880万人（1位）

世界2位の投資を集めるニューヨーク
Silicon Valley
GDP:$625B
4M people
40+ Colleges
NYC
GDP: $1558B
20M people
130+ Colleges
「世界」が市場
「技術」に特化
「ソフトが世界を食
い尽くす」
世界一の市場
多様性を重視
北米一の「大都市」

NYCに60以上のアクセラレータ

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