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ゲームシナリオ構成論
      経験と理論に基づくマルチエンディングタイトル向け
      シナリオ構成メソッド




            小林信行
        Nobuyuki Kobayashi
            2012/04/16


                             1
はじめに
 僕自身がゲームシナリオの構成論めいたものを考えはじめて、10年ぐらい経つ。

 元々のひな形は、10年前のある日、崩壊間もないプロジェクトの戦後処理をしている、とあるチームのヘルプに入るに当たって、どう考えても面白
 くなりそうもない前任者のプロットを前に、どうすればこれが面白くなるのか考えていた矢先のこと。朝、出勤する前にシャワーを浴びていてフト思
 いついたことがすべての始まりだった。

 それまで僕が読んだ様々なゲームシナリオの構成論は、そのほとんどが映画シナリオの構成論を元にしていて、それ自体は非常に有益なものでは
 あったが、当時の僕が手がけていたシナリオはギャルゲー、それもマルチエンディングのタイトルだった。

 マルチエンディングタイトルには、当たり前だが複数のエンドがある。一方、それまで学んでいた映画流のシナリオ構成法では、エンディングはただ
 のひとつ。ということは、マルチエンディングタイトルを1本作成する為には、映画複数本分のシナリオを必要とするということになってしまう。これで
 はどんなにネタがあったとしても、3本も作る頃には多少はあった才能さえ枯渇してしまうだろう。実際、有名タイトルの多くをこなしてきたシナリオ
 ライターがどんどん書けなくなっていくのを目の当たりに見ていた僕は、これはなんとかしないとイカンと常々思っていたのだった。

 それから10年。いくつか作ったコンシューマタイトルが評判になったおかげで、バンタンゲームアカデミーのほうでプランナー向けにシナリオ構成法の
 授業を持つことになった。本レジュメはその際に教材として配布したものだ。縁というものは面白いもので、その時に教えた生徒のうち2人が今、
 僕のプロジェクトで一緒に戦ってくれている。彼らが僕にとって大きな力になってくれているのは間違いない。本当にありがたいことだと思う。

 最後に第0章の「ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について」の授業をする際に、生田美和さんの『RPGシナリオライターの育て方について』と
 いうエントリーを、生徒の皆と一緒に読んだ。この文章は、シナリオライターになるかどうかにかかわらず、ストーリーのあるゲームを作ることを志す皆
 さんなら、一読の価値のある素晴らしいエントリーだと思う。下に感謝と共に、リンクを紹介しておこう。


                 生田美和オフィシャルサイト
                 『LevelScript』
                 RPGシナリオライターの育て方について
                 http://shoda-miwa.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-65c4.html


 いくら方法論があったとしても、最後にシナリオを書くのはアナタ自身だ。。
 方法論にできることは、例えるならば不調に陥った時に、もう一度自分のフォームを再確認し、矯正するための視座のようなものだと思う。

 そして素晴らしいシナリオを駆動するのは、魅力あるキャラクター達である。
 そのことを忘れないでいたいと思う。

                                                                                   2012年4月16日


                                                                                           2
もくじ

         第0章 ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について                                                                   4
         第1章 魅力あるキャラクターとはどんなものか                                                                      5
         第2章 魅力あるキャラクターを設計するには                                                                       7
         第3章 自分が書くべきテーマを把握するには                                                                       9
         第4章 ドラマチックストラクチャーという考え方を知る                                                                  12
         第5章 ゲームシナリオの難しさは分岐の扱いにある                                                                    24
         第6章 ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングに拡張する                                                            30
         第7章 マルチエンディングタイプのドラマチックストラクチャーメソッド                                                          38


      筆者自己紹介
      小林信行(Nobuyuki Kobayashi) Twitter @nyaa_toraneko / facebook http://www.facebook.com/nyaa.kobayashi/


      最近はSoftimage&Mayaを使うことが多く、Lightwaveの使い方を忘れはじめてちょいヤバ気味のコンシューマゲーム系クリエイティブ
      ディレクター。
      主にPSP/PS3プラットフォーム上での、キャラクターゲームの企画&開発を得意としています。
      有限会社ガイズウェア所属。

      最新監督作:『涼宮ハルヒの追想』/過去監督作:『涼宮ハルヒの約束』『とらドラ・ポータブル!』『デジタルなのは』全てバンダイナム
      コゲームス様より発売中です。Best版もあり□!

      本レジュメは、2011年10月~2012年2月にバンタンゲームアカデミーで行いました、プランナー志望者向けシナリオ構成講座におい
      て配布しました資料をまとめたものです。

      専門分野
      計量経済学(統計を用いた実証経済学)、シナリオ分析、シナリオ設計&構成、ゲームデザイン、3Dを使ったイラスト&セル的キャラ
      表現



                                                                                                           3
第0章 ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について

1. 将来は、シナリオライター/ディレクター/ゲームデザイナー?
2. 仕事の具体的なサンプル(僕の場合)
3. プランナーはゲーム業界の入り口
4. 自分のウリは何かを早く知ることが大事
   ←人は「自分」という枠の中からしか世界を理解できない
   →自分が面白いと感じるポイントを「分析」する
    「面白いもの」には必ず「理由」がある
   →他人が面白いと感じるポイントを「理解」する
5. 着想の始まり:「どうやってみつけるか?」
   ・なんでもメモ
   ・個人的な欲求の普遍化/他人の欲求を探る
   ・自分ならどうする/どう作る…?
   ・自分の経験をネタにする
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第1章 魅力あるキャラクターとはどんなものか?
1. キャラクターとは?
   →「純粋な文学」と
    「コンテンツ(映画/漫画/アニメ/ゲーム/ライノベ…)」を別けるもの
 ストーリー = キャラクター同士の行動がぶつかり合う様を描いたもの
2. 魅力のあるキャラクターとは?
   →キャラクターの魅力は、外見? それとも、内面?
3. 外見的な魅力
   →『絵』にできる特長が重要。
    ※クルマにたとえれば、ボディ部分の『美しさ』の魅力
4. 内面的な魅力
   →ストーリーを動かし、ドラマを盛り上げる『力』
    ※クルマにたとえれば、エンジン部分の『パワー』の魅力
5. キャラクターは単独では立たない
   →集団の中で立たせる工夫。そのキャラクターなりの独自性
    ※特に、ひとつの作品の中で、行動が『首尾一貫している』ことが重要
   ←シナリオライターは自分ひとつの人生しか歩いていない
    →どうやって、キャラクターを動かすか?
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6. キャラクターの行動を関数として考えてみる
 z = Maximization [ f(x(y)) , Condition]
    z:    キャラクターの感情、決断等の行動
    x(y): シナリオ内で提示されているシチュエーション
    y:    シナリオライター自身(性格/経験/…個人を形成するもの)
    f(x): キャラクターの設定(類型/タイプ)
    Condition:制約条件
7. 制約条件
   →キャラクターを囲む外的要因
    (置かれている環境や状況、仲間、敵の存在等)
8. 最適化過程(Maximization)
   →キャラクターが当初より持つ超目的(超目標/劇的欲求)の実現
    (そのシナリオを通じて、キャラクターが達成したいと願うもの)
   →時に、超目的がシナリオ進行過程でシフト(変化)することもある
    (e.g. 成長もの)
9. 「キャラクターの性格」は、「行動に現れる」
   →「何を言うか」ではなく、「何をするか」によって表現する
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第2章 魅力あるキャラクターを設計するためには?
【本日の目標】キャラクター対比表を作ってみよう
1. キャラクター対比表とは?
   →自分のシナリオに出てくる主なキャラクターの設定を一覧できるように
    したもの
 列カテゴリ:キャラリスト
   主人公(=プレイヤーキャラ?)
   敵(主人公の目的を阻む障害)                     ★特定のフォーマット
                                       があるわけではない
   仲間(主人公を引き立てるキャラ)、ヒロイン?             →ゲーム/シナリオごとに
                                       必要となる要素は異なる
 行カテゴリ:キャラ設定                          ため
   キャラの外見イメージを固めるのに必要な情報              ★各項目は、自分の
    (例:名前/年齢/性別/人種/職業・スキル/階級…)
                                       作るゲーム/シナリオ
   キャラの内面を規定する情報                      に合わせて、適宜
    (例:性格/長所・短所/趣味/家族関係/好き・嫌い/頭の良さ…)   調整する
   シナリオのテーマに関わる情報
    ・各キャラがシナリオ中で実現しようとしている超目的
    ・そのシナリオが始まるまでの各キャラのバックストーリー
    ・ラストシーンにおける各キャラの立ち位置/役割…
                                               7
2. キャラ対比表を作る際のポイント
   今自分が書こうと思っているシナリオのテーマに必要なものだけをチョイスして、
    なるべく簡潔に書き上げる
   『設定』に必要以上にこだわらない
   「キャラクターの性格」は「行動に現れる」
   →「何を言うか」ではなく、「何をするか」によって表現する
   →キャラクターを行動させるために必要不可欠な『設定』にのみ絞る
3. キャラ対比表をつくる意味
   書こうとしているテーマに対して、機能していないキャラ、役割がダブっている
    キャラがいないかチェックするために作業する
    •   機能していないキャラ→「機能させる」か、思い切って「削ってしまう」
    •   役割がダブっているキャラ→「区別をつける」か、「まとめてしまう」

  【本日のまとめ】
  キャラクターは、シナリオライターが自分が書こうとしている
  シナリオのテーマを表現するための手段(ツール)である
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第3章 自分が書くべきテーマを把握するには
【本日の目標】自分が書くシナリオのテーマを把握する
1. そもそも《テーマ Theme》とはどういう意味か?
 →まずは辞書で調べてみよう
          【広辞苑】主題。題目。
          【大辞林】創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題。
          【明鏡】①主題。題目。また、中心課題。②音楽の主旋律。主題。




   “テーマ”とは、シナリオライターがこれから書こうとしているシナリオを、
   登場人物と行動とにしぼって前もって簡潔にまとめた、劇的内容の
   ことである。
                                           9
2. テーマのまとめ方
   「4行以内の文章にまとめる」「名刺サイズのカード裏に収まるようにまとめる」
    →いずれにせよ、「簡潔に、必要なことだけを書く」とされている
   様々なテーマのまとめ方、気づき方のノウハウの例
    → 「関連性を明らかにできる/並び替えが簡単にできる」手法を選ぶとよい
     KJ法→カードや付箋紙に一言ずつ自由にメモして、
          後に大きな模造紙の上にそれらのメモを記入したカードや付箋紙を置き、
          その内容からグループ分けをしつつ、グループ間の関連性をまとめていく
     マインドマップ→ソフトも多く、パソコンで作業しやすい

3. そもそも何のためにテーマをまとめるのか?
   自分がこれから書こうとしているシナリオを理解するために書く
    ←シナリオの執筆で一番難しいのは、自分が何を書いているのか、
     きちんと把握すること
4. テーマの具体的な書き方
 自分の書こうとしているテーマを、登場人物と行動とに絞って、2、3の文章にまとめる
 →次にそれを構成に沿って、4ページ程度のあらすじへとまとめてみる


                                         10
5. テーマを具体的にまとめる際のコツ
   ディティールにこだわって、あまり細かく書き込み過ぎないこと
    ※まずは自分が書こうとしているストーリーを自分できちんと把握する
     ことに重点を置く。単純でかまわない。
   登場人物とその行動を中心に、「誰が、何をすることで、どういう結果になる話」
    という形式になるように単純化してみるとよい
6. 「テーマ」を「あらすじ」へと広げていく際のコツ
   設定したテーマを表現するのに必要となる、出発点と終点をまず決める
    ※構成とは、「出発点と終点を決めること」である
   その構成に沿って、分かりやすく無理のない進行になるようにテーマを展開する
    ※展開とは、「出発点と終点の間をつなぐ行程を決めること」である


             【本日のまとめ】
        シナリオの執筆で一番難しいのは、
   自分が何を書いているのかきちんと把握することである。
   テーマをまとめることで、何を書くべきなのか把握できる。
                                       11
第4章 ドラマチックストラクチャーという考え方を知る
【本日の目標】シド・フィールドのドラマチックストラクチャー
       という考え方を学ぶ
1. シド・フィールドの紹介
   経歴
     •   アメリカの脚本家、プロデューサー、シナリオ講師。
     •   20世紀フォックス、
         ディズニースタジオ、
         ユニバーサルピクチャーズ、
         トリスターピクチャーズ他の脚本コンサルタントを歴任。
     •   全米脚本家協会で初の名誉の殿堂入りを果たした。
   著書『Screenplay』
     •   22ヶ国で翻訳され、全米400以上の学校で
         テキストとして利用されている。
   関係した作品
     •   『ゴッドファーザー』 フランシス・F・コッポラ監督作品 (1972)
     •   『アリスの恋』 マーティン・スコセッシ監督作品 (1974)
     •   『アメリカン・グラフィティ』 ジョージ・ルーカス監督作品 (1973) など
   主な門下生
     •   ジェームズ・キャメロン 『アバター』『タイタニック』
     •   テッド・タリー 『羊たちの沈黙』
     •   キュアロン兄弟 『天国の口、終りの楽園。』『ルドandクルシ』
                                                  12
2. ドラマチックストラクチャーとは?
  •   シド・フィールドが名作と呼ばれる映画脚本に共通として見られるエピソード構成
      上の特徴を、パラダイムという形式でまとめたもの。

  •   さらに名作脚本に共通する経験則を理論化して、新規にシナリオを執筆する際に
      注意すべきこととして、方法論(脚本術)として提示した。

  •   映画脚本を視覚による時間芸術と規定し、シナリオ構成とは
      「設定したテーマを表現するのに必要な、出発点と終点を決めること」と定義した。
      「120分の上映時間内で、いかに無駄なくテーマに沿ってイベントを割り当ててい
      くことを通じて、ドラマを構築する」という方法論。

  •   内容は実践的であり、かつ具体的。
      ワークブックの形式となっている。

  •   オチがある脚本を執筆する際に非常に有効な方法論で
      あると同時に、シナリオの良い点/悪い点を評価する際の
      視点としても有効な方法論である。




                                           13
ドラマチックストラクチャー ①




                  14
ドラマチックストラクチャー ②




                  15
ドラマチックストラクチャー ③




                  16
ドラマチックストラクチャー ④




                  17
ドラマチックストラクチャー ⑤




                  18
『天空の城 ラピュタ』をドラマチックストラクチャーに分解する
『天空の城 ラピュタ』のドラマチックストラクチャー
                                                                                        ラピュタの闇の部分は
                                                                                        海に落ち、光の部分は
飛行石を狙うムスカによって
                                                                                         空高く消えていく。
  虜とされたシータ、
                                                                                          ドーラ達と別れて
  同じく飛行石を狙う
                                                                                          パズー、シータを
  ドーラに襲われる。
                                                                                         生まれ故郷に送る。



                                          シータを                ゴリアテ&      シータの飛行石を使い、
          シータとパズー            軍の虜になる                 ドーラと共に
                                         救出に行く                竜の巣との       恐怖の帝国の復活を
           の出会い                二人                  ムスカを追う二人
                                          パズー                  遭遇          もくろむムスカ



        パズー、空から落ちてきた                                                        パズーとシータ、滅びのおまじない
          飛行石を持つ少女             飛行石の秘密をムスカより               見張りの最中に
                                                                                を飛行石に唱え、
           シータに出会う             知らされたシータ、パズーの            滅びのおまじないを
                                                                               ムスカ共々ラピュタの
                              命を守る為に、これ以上自分と             思い出すシータ。             闇の部分を葬ることを、
                              ラピュタに関わるなと警告し、             飛行石を捨てれば
                                                                                  決心する。
                                  パズーを解放。              よかったというシータに、
                               自らはムスカの虜になる。             パズーはラピュタが
                                                        恐ろしい場所ならば、
                                   自宅に戻った                ムスカに渡しては
                                  パズー、ドーラに
                 飛行石を狙うドーラとムスカに               パズー、シータの いけないと決心する。    パズーとシータ
                                  諭されてシータの
                追い詰められたパズーとシータ、              救出には成功するが、             ラピュタに到着する。
                                   本意に気づく。
                 飛行石の引き起こす奇跡で                 発動してしまった              同時にムスカも到着。
                                   シータを救出
                    命を取り留める。                  飛行石はムスカの                ドーラは虜に。
                                    するために
                  ラピュタの実在を確信する                  手に落ちる。
                                   海賊に入れて
                 パズーと、なんでそんなもの                ラピュタに向かう
                                    くれと頼む。
                 が自分の家に伝えられていた                ムスカを追って、
                                   「向こう岸から     二人はドーラの
                   のか不安になるシータ。
                                    船が来る」       船に乗る。



                  テーマ:伝説の空の浮島ラピュタに行くことを夢見ていた少年パズーが、
                      空から落ちてきた飛行石を持つ少女シータと出会い、
                      彼らに好意を寄せる海賊ドーラの船に乗ってラピュタに向かい、
                      恐怖の帝国ラピュタの復活をもくろむムスカを退けるお話。

                                                                                         19
各エピソードポイントのまとめ ①
   ドラマチック・ストラクチャーを構成する7つのエピソードポイントに
   ついてまとめてみると、以下のようにまとめることができる。
 1. オチ
        第3幕・解決の時間帯に配置
        ストーリーのオチやキャラに結末をつけるエピソードを選ぶ。
        キャラに余韻をつける、「ラストの遊び」を心がける。                 書こうとしている
                                                   シナリオのテーマ
 2. 発端                                             に沿って、最もふ
        第1幕・状況設定の時間帯に配置                           さわしいものを設
        主役となるキャラの紹介したり、世界観を魅せるのによいエピソードを選ぶ。       定する。
        物語の発端など。「つかみ」を意識する。

 3. プロットポイントⅠ
        第1幕終了間際に配置。
        第2幕・葛藤の時間帯が始まるきっかけとなるエピソードや事件を選ぶ。
        読者の前で始めて事件が発生する(第1の事件)ポイント。 藪の入り口のイメージ。

 4. プロットポイントⅡ
        第2幕終了間際に配置。
        第3幕・解決の時間帯に繋がるきっかけとなるエピソードや事件を選ぶ。
        物語中で発生する最後の事件が発生するポイント。
        第3幕での逆転のきっかけとなるエピソードを配置したり、ラストへの伏線を配置すること
         を心がける。


                                                      20
各エピソードポイントのまとめ ②
  5. ミッドポイント
        第2幕・葛藤の時間帯の中央に配置
        プロットポイントⅠとⅡの内容を元に、その中間となる、「葛藤と対決」を象徴するエピソードを
         配置する。同時にシナリオ全体の折り返し点であることも意識すること。
        中盤の一番大きな事件やエピソードが発生するポイント。ただしお客さん的には、この位置で
         起こる事件は「序盤の盛り上がり」として意識される傾向が高い。(後半にこれよりも高い盛り
         上がりが設定されているから)
        それまで敵にしてやられてきた主人公に、希望の光が見えてくるエピソードが配置されることも
         多い。
        このポイントを境に、第2幕・葛藤の時間帯の質や内容が変わることもある。物語のテーマが観
         客にも理解され始め、より関心が深まっていく時間帯である。

  6. ピンチⅠ
        第2幕前半(当初より想定される対決と葛藤の時間帯)の中央に配置
        第2幕前半の中間に配置し、ミッドポイントに向かって物語が中弛みしないようにエピソードを
         配置する。
        この直前ぐらいに行われる主人公の初手の行動は大概失敗する。落ち込んでいる主人公が
         超目的達成のために、新たな見方や手段を手に入れるなど、「向こう岸から船がやってくる」
         類のエピソードを配置する。

  7. ピンチⅡ
        第2幕後半(当初の対決と葛藤の形が深化や変化していく時間帯)の中央に配置
        第2幕後半の中間に配置し、ミッドポイントで発生するエピソードを受けて、主人公の側につか
         の間の安息が訪れたり、敵が主人公に対してさらなる攻勢を仕掛けてきたりする時間帯。
        物語全体のテーマを象徴するエピソードもよく起こる。今まで敵だと思ってきた相手のさらに向
         こう側に、より巨大で強力な敵がいることがわかったり、しばしば大切な仲間が死んだりする
         時間帯でもある。
                                                  21
エピソードポイントに配置するもの
 各エピソードポイントに配置されるものとして、次のようなものが考えられる

   1. 映画の場合
      カットとそれらによって構成されるシーン      印象深いシーンやエピソードを
      観客の印象に残るシーンやセリフ、アクション    設けることで、観客に各幕の
                                時間の区切りを意識させる

   2. ゲームの場合
        イベントCG
        インタラクティブな戦闘パート
        ムービー                  ゲームの場合、プレイ時間はプレイヤー
        特別な音楽/ボイス             任せの部分もあるので、ゲームデザイ
                               ナー側がこれらの要素を積極的に設け
        そのゲームのウリとなるような新システム   てやることで、プレイセッションの目安と
        セーブポイント               なる要素を設定してやる必要がある
         •   あらすじシステム
         •   達成度表示              ※プレイセッション→通常1回のゲームプレイに費やす長さの尺
      プレイヤーの印象に残る演出やシステム、      度のこと。最短時間や平均時間、最長時間ではなく、各プレイ
                                ヤーがゲームのアクティビティに費やす主観的な時間のこと
       アクティビティ


    プレイヤーの印象に残るシーンや演出、システムを配置してやること
    で、気持ちの区切りと達成感、次の展開への期待を持たせることが
    ポイント
                                                     22
【本日のまとめ】
自分の好きな映画を時計を片手に見てみよう。
   その映画のプロットポイントⅠ,Ⅱ
そしてミッドポイントは何か、確かめてみよう。
      (P.80の演習問題より)




                         23
第5章 ゲームシナリオの難しさは分岐の扱いにある

【本日の目標】ゲームにおける理想的なシナリオ構成像を考える
A.ゲームにおけるシナリオ構成論の現状

 1. 従来はRPGなどの比較的一本道展開のシナリオ向けの方法論が中心
   • エンディングが1つしかないなら、比較的映画と同様の方法論が適用できた
   • ストーリー主導型のゲームなら、映画の方法論をそのまま移植できる可能性も高かった


 2. ゲームのシナリオ構成論には、シド・フィールドの映画用シナリオの構成論のように一般的に
    受け入れられているものがない
   I. 経験者が経験的に語るものが多い
     • 本人のスキルや各プロジェクトでの状況に依存した結果論にすぎない場合が多い
     • 概念的なものが多く、一般性のあるノウハウとしてまとめられていない

   II. ゲームで必要とされるテキスト量は、映画シナリオの数本分
     • ゲームのシナリオは、通しで読むことが難しいものも多く、筋道を立てて分析すること自体が難しい
     • 実際の現場では、これらの莫大なテキストを構成論もなしに、根性と経験のみに頼って作業していることも多い
     • シナリオが原因で、スケジュールの大幅な遅延を招き、プロジェクトの成否に重大な影響を招くこともよくある




                                                       24
A.ゲームにおけるシナリオ構成論の現状
  3.映画とゲームの違いが吸収できないことも多い
    I. 分岐の存在
       •   映画にはストーリーの分岐が存在しない
       •   ゲームでは、途中複数のシナリオ分岐があったり、時には複数のエンディングが存在したりする

    II. 視点の違い
        映画の多くは三人称視点が採用される
            • カメラ視点が必ずしも主人公の視点とは限らない。客観視点の場合が多い。
            • 事件は、主人公の知らない場所で発生してもかまわない

        ゲームでは、しばしばプレイヤーの一人称視点でのシステムが採用される
            • プレイヤーの視点=主人公の視点=カメラ視点のことがしばしばある
            • カメラの前で発生した事件は、主人公の目の前で発生したものと考えるのが普通
            • 主人公の目の前で発生しない事件は、表現するのが難しい

    III. 体験時間の違い
        映画では、ユーザーは一定時間、画面に拘束される
            • 全てのユーザーが同じ長さの時間を体験する
        ゲームでは、ユーザーはある程度プレイする時間を自分の希望に合わせて調整できる
            • ゲームのクリアまでの時間は、プレイヤーそれぞれによって異なる

    IV. そもそもストーリーらしきものが存在しないゲームもある
       •   そのようなゲームにもドラマは存在する

                                                         25
B.ゲームの特徴である「分岐」
 1. そもそも「分岐」とは何か?
   •   シナリオフロー上で発生する、ルートが枝分かれしている部分
   •   プレイヤーの選択を、インタラクティブにゲームに反映させるために、ゲームデザイナーが事前に設けておく複数の
       シナリオ展開のこと
   •   システム的に複数のシナリオ展開が、1つのタイトル内で共存できるゲームならではのギミック
   •   途中経過だけでなく、エンディングおよびそれに至るルートまで複数存在すれば、マルチエンディングと呼ばれる




                                                        26
B.ゲームの特徴である「分岐」
 2. 分岐が発生する場所
   I. 選択肢
       選択内容提示(いわゆる三択)
       移動先選択(マップ選択)
       コマンド選択

   II. 条件判定
       フラグ
            • Yes/No、ON/OFF、1/0のように、2種類の変数状態を保持することで、条件を設定&判定する

       カウンタ
            • ある変数に、整数値などを入力して保持することで、複数の状態を設定&判定する

       ファジー理論
            • メンバーシップ関数と呼ばれる、ある状態を表す関数を複数設定することで、それらの関数の交点として、
              人が判断するような複雑な状態の判定をコンピュータに行わせる技術

       ルールベースAIシステム
            • 一連のif-then形式で記述されるルールと、一連の事実およびそれに新たに追加される情報(assertion)と
              で構成される、行動/推測分岐群のセットのこと

       確率モデル
            • 上記の様々な分岐判定にさらに確率に基づく分岐要素を追加したもの


                                                                  27
補足説明:『とらドラP!』の基本システムについて
                                            『とらドラP!』は、3Dによる「マップ移動画面」と、2D「ストーリー画
                                            面」の2つを行ったり来たりすることで、ゲームおよびストーリーを
                                 現在のプレイヤー   進めるインタフェースをとっています。
                                   キャラ
                                            「マップ移動画面」では、プレイヤーはプレイヤーキャラを操作する
                                            ことで、画面上を移動できます。
                                            マップ上には各々イベントが割り当てられているノンプレイヤー
                                            キャラがシナリオ進行テーブルに合わせて配置されており、イベン
                                            トに関連するアクション(演技)をしています。




 マップ移動画面(3D)
               イベント待ち状態の
               ノンプレイヤーキャラ




                   ストーリー画面(2D)



                                                   イベントエンカウントのアラート表示


                                            発生するイベントには、上のようにアラート表示がされることで
                                            プレイヤーが見るか見ないか選択できるイベントもあれば、強
                                            制発生するイベントや、一定時間が過ぎることで発生する時
                                            限発生イベントがあります。
                                            イベントが発生すると、移動や動作が伴うものに関しましては
                                            3Dマップ上で処理されますが、それ以外のストーリーやイラ
                                            ストを楽しみたいイベントの場合には、それに適した2D「ストー
                                            リー画面」へと切り替わります。
モーションポートレート会話について




  話題を6択から選択     選んだ話題から話す内容を選択。
              相手を見つめる目つきなども選択できる。


                 モーションポートレート会話は、会話内容選
                 択時のキャラのリアクションを表情(気分)
                 単位で管理する。
                 左の図は、ヒロインが不信感を持っている
                 男性(この場合、主人公)に対しての基本的
                 なリアクションである。この例だと、ヒロイン
                 を怒らせた時点で会話が終了してしまうとい
                 う構成になっている。
                 この会話ミッションでの目的は、「ヒロインの
                 不信感を除き、自分を信じさせる」こと。
                 今回のゲームでは、この会話ミッションの目
                 的をさらに明確化し、「会話相手を説得せ
                 よ」などの具体的なミッションを与えることで、
                 従来のキャラとの自然な会話を超えたゲー
                 ム性を強化する。
                                          選ばれた話題の内容や、その時の
                                            相手キャラの気分(表情)
                                          によってリアクションが変化する。
B.ゲームの特徴である「分岐」
  3. 分岐発生の原因
    I. プレイヤー選択の結果としてルートが分岐する
      •   選択肢を前にした時のプレイヤーの選択結果に応じて分岐する
       プレイヤーが意識できる分岐
    II. フラグ等に基づくシステム側での条件判定の結果としてルートが分岐する
      •   プレイヤーの意思とは関係なく、分岐判定が行われる場所以前にすでになされた
          選択の結果として分岐する
       プレイヤーが意識できない分岐




       選択肢による分岐の例                 条件判定による分岐の例



                                                 28
C.実際に、ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングシナリオに適用してみる
 →以下の様な問題点に直面する
   1. スタートは1つだが、エンディングが複数ある
      エンディングが複数あるから、結果としてミッドポイントも複数発生してしまう
      スタートが共通のオムニバス形式のシナリオ群なら作成できる

   2. ある程度の一本道を前提にすると、分岐がうまく扱えない
      スタート直後に個別ルートに分岐する?
      エンディング間際で個別ルートに分岐する?
      選択の後で、また同じルート上に戻って来る?

      本当に欲しいのは、ある程度複数のルートを行ったり来たりしつつ、プレイヤーの
       選択によって大きく展開が変わり得るシナリオ構成であって、オムニバス形式の
       シナリオが欲しいのではない

                    【本日のまとめ】
    1.ゲーム向けのシナリオ構成論は、分岐を適切に扱える必要がある。
    2.もしドラマチックストラクチャーをマルチエンディングシナリオに適用するならば、
      なんらかの工夫、もしくはアプローチの変更が必要である。

                                               29
第6章 ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングに拡張する
               【本日の目標】
     ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングタイプの
         ゲームシナリオに適用する方法を考える


 A:ドラマチックストラクチャーの要点
  →4つにまとめることができる

  1.書きたいテーマに沿って、7つのエピソードポイントを、三幕構成を意識しつつ
    冒頭から結末まで配置できれば、シナリオは完結する

  2.テーマとは、キャラクターの行動によって描かれる

  3.書こうとしているシナリオ中で、キャラクターは自己の持つ超目標(劇的欲求)
    を実現しようと行動する

  4.オチで描くべきなのは、そのシナリオで語られるエピソードがどう決着するか、
    もしくはそのシナリオを通じてキャラクターがどのように変化したか(あるいは
    変わらなかったか)である

                                      30
B:ドラマチックストラクチャーのメソッドをゲームシナリオに
  そのまま適用しようとする際に発生する問題点 →主に2つ
 1. ルート分岐と複数エンディングがそのままでは扱えない
    ドラマチックストラクチャーの構成法は、映画などのように、一本道で表現できるシナリオを前提
     にしているので、複数エンディングがあったり、途中でルートが分岐するような場合をそのままで
     は扱えない

 2. ゲームの場合、主人公はプレイヤーキャラである場合が多く、
    しばしばキャラクターとしての色がない(目立った特徴がない)場合も多い
    一人称視点のゲームだと、しばしば主人公はゲーム内のカメラでしかない取り扱いの場合も多い

    ゲームの場合、選択肢で示される行動を実際に選ぶのはプレイヤーであるので、どの行動を
     プレイヤーが実際に選ぶのかを事前に想定し、最適に演出するのは難易度が高い

       • 「演出をする」ということは、究極的にはひとつに絞り込むことである
       • 正しい選択がひとつしかないゲームでは、つまらないかもしれない

    複数エンディングがあるということは、プレイヤーに合わせて、主人公に複数の超目的を持たせる
     ようなプレイができるという意味なのだろうか?

       • 当然、このようなゲームも考えられうるが、どちらかといえば特殊なゲームではある
       • どちらかといえば、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)的なアプローチ


                                               31
C:マルチエンディングゲームが生まれた系譜

  1. おそらくノベルゲームから始まったものと思われる
       違う選択肢を選んで行くことで、ストーリー展開およびエンディングも変化するゲーム
        •   『弟切草』 1992年3月 チュンソフト
        •   『かまいたちの夜』 1994年11月 チュンソフト

  2. ほぼ同時期に、複数ヒロイン攻略型のゲームに導入された
       登場する複数のヒロイン毎に個別のシナリオを辿りながら恋愛関係を深めていくゲーム
        •   『同級生』 1992年12月 エルフ(ジャンル:ナンパシミュレーション)
        •   『ときめきメモリアル』 1994年5月 コナミ(ジャンル:恋愛シミュレーション)
        •   『同級生2』 1995年 エルフ

  3. 元々はシミュレーションゲームの系譜だった?
       箱庭的な世界でヒロインを育成することで、様々なエンディングを楽しむことのできる
        ストーリー性のあるシミュレーションゲーム
        •   『プリンセスメーカー』 1991年5月 ガイナックス
        •   『卒業 ~Graduation~』 1992年6月 ジャパンホームビデオ
        •   『プリンセスメーカー2』 1993年6月 ガイナックス

   いずれも、アクション性よりもストーリー性や結果のバリエーションをウリとするために
    生まれたゲーム
    (特に初期のPCは、ゲームにアクション性を持たせるには反応速度が遅かった)

   特に『同級生』『ときメモ』の成功以降、「恋愛シミュレーション」(狭義のギャルゲー)という
    ジャンルが成立すると、ヒロイン攻略という視点からも多数作られるようになった
                                                       32
マルチエンディングゲームが生まれた系譜




                      33
マルチエンディングゲームが生まれた系譜




                      34
D:マルチヒロイン攻略型のマルチエンディングシナリオタイプのゲームを考察する

1. 各キャラクタールート
   どのシナリオも基本、プレイヤーキャラと各々のヒロインが結ばれるまでのストーリーと
    なっている

   多くの場合、プレイヤーキャラである主人公はこれといった特徴がない
     •   プレイヤーキャラは超目標を持っていない

   ある女性キャラがヒロインとして扱われるのは、そのキャラルートのみの場合が多い
     •   専用キャラルートで、そのヒロインに関わるテーマが展開されることがほとんど
     •   自分以外の他キャラルートではヒロインではなく、サブキャラの位置づけにまわるか、
         途中でゲームに登場しなくなることも多い
     •   つまり専用キャラルートでのみ、そのキャラがヒロインとしての超目標を果たす場合が多い

   各キャラクタールートでは、そのルートでヒロインの役割を占めるキャラクターのほうが、
    ドラマチックストラクチャー的な意味では、主人公といったほうが適切である




                                                     35
2. 選択肢
   選択肢はプレイヤーが選ぶが、その配置の多くは、複数存在するヒロインキャラの内か
    ら、どのキャラクターとの親密度をアップするかという目的で設計されている
   親密度の高さは、各々のヒロインキャラに関わる情報(フラグ)をどれだけ多く集めたか
    で、表現される
   選択肢は、フラグを立てるために存在する。フラグの多くは、各ヒロインに紐付けられて
    おり、特定のヒロインに関わるフラグを多く立てているほど、そのヒロインとプレイヤー
    キャラとの親密度が高まり、ヒロインとのハッピーエンドに至るようにエピソードが配置さ
    れている

3. 分岐
   ルートが分岐する前は、共通ルートと呼ばれるルートを進む場合が多い
   現在、プレイヤーキャラが持っている情報(ルート上で立てたフラグ)によって、
    分岐が発生する
        •   大きな分岐は、各ヒロイン毎のルートが分岐するところで発生する
        •   小さな分岐は、プレイヤーキャラが現在持っている情報(フラグ)に対して、
            細かいエピソードの辻褄を合わせるために発生する
   フラグは、あるエピソードをプレイヤーキャラが経験したか否かに伴って、ON/OFFされる
    場合がほとんどである
        •   あるエピソードの背後にあるのは、そのエピソードと関わりの深いキャラクターに関する情報
            である。
   分岐は、プレイヤーが立てたフラグを元に、複数同時に進行している各キャラクター別
    ルートを最終的にひとつに絞り込むために存在する。最終的にひとつに絞り込められた
    ルート上でハッピーエンドに至るのは、ひとりのヒロインである場合が多い。
                                                    36
D:マルチヒロイン攻略型のマルチエンディングシナリオタイプのゲームを考察する(続き)


                      【考察の結論】

 ある一人のヒロインに注目すれば、
  そのヒロインがハッピーエンドに至るためにプレイヤーと共に辿るルートは、
  ほぼ一本道であるとみなすことができる

     この種のゲームの攻略情報が、ヒロイン毎のルート別攻略になっていることからも
      裏付けられる

 個別のヒロインルートに着目すれば、ドラマチックストラクチャーのメソッドで
  7つのエピソードポイントを配置することが可能になる




      以上の考察を元に、
      次にマルチエンディングタイプのゲームシナリオ向けの
      ドラマチックストラクチャーのメソッドをモデル化してみよう!
                                             37
第7章 マルチエンディングタイプのドラマチックストラクチャーメソッド
               【本日の目標】
     マルチエンディングタイプのゲーム向けシナリオ用に、
    ドラマチックストラクチャーのメソッドをモデル化してみよう
        ※モデル化=ワークフローを作成すること
    おおまかな手順としては、以下のようになる。
      ① 各攻略キャラ単位にドラマチックストラクチャーのメソッドで構成した
         個別ルートのプロットを作成する。
      ② 各エピソードポイントが発生する『場所』と『時間』に着目して
         個別ルートを一度分解する
      ③ 各イベントをゲーム進行のタイムテーブル上で並列化し、
         プレイヤー視点から再構成する


  【準備編】
          1. 全体のテーマやシステムを考える
               ゲームのシステム(ジャンル)
                →ジャンルが変わると、インタフェースが変化する
               ゲームのプレイ単位となる『進行時間』の区切り単位
                →ゲーム内期間が、3年間/1ヶ月/2週間…
                →ゲーム内期間の長さによって、区切りとなる時間は当然異なる
               想定プレイ時間(プレイセッションとプレイウィンドウ)

                                                38
【準備編】
        2. キャラ対比表を作成する
          i.     各ルートの『主人公』は誰か?
                    各ルートでの攻略キャラは誰か?
                     →攻略キャラ(ヒロイン)を各ルートでの『主人公』と考えることで、
                      ストーリーを構成することが可能となる
          ii.    各ルートにおいて、主人公以外のキャラは、そのルートの『主人公』に対して、
                 どのような立ち位置を占めることになるか?
                    ルートによって、関係性が変化する場合/関係性が変化しない場合の両方がありうる
                    マルチルートシナリオでは、関係も相対的であることに注意

          iii.   各ルートの個別テーマを考える
                    各ルートで達成される『主人公』の超目標(劇的欲求)を考える
                    各ルートのオチを考える
                    スタート時点での各『主人公』の状況(初期的状況)を考える
                         各『主人公』(ヒロイン)のバックストーリーを参考にするとよい
                    各ルートにおいて『主人公』に対しプレイヤーキャラがどのように働きかけるか考える
                     ( 『主人公』とプレイヤーキャラとの関係性)
                     →選択肢を作るヒントになる
          iv.    各キャラごとに関係性の深い場所や要素を設定する
                    よく行く場所
                    所属しているコミュニティ
                    参加するイベント
                    普段の行動パターン
                     →これらが、プレイヤーキャラと各ヒロインを出会わせる(きっかけを作る)ヒントとなる
          v.     各ルート別にざっくりとした三幕構成の内容を考えておく
                    最初の状態
                    葛藤と対立、発生する主な事件
                    決着のつき方

                                                            39
キャラ対比表サンプル
           列方向は、PC(プレイヤーキャラ)と、各個別ルートで『主人公』となるヒロイン、ストーリー全体の敵、友人等を記入




行
方
向
に
各
キ
ャ
ラ
ク
タ
ー
の
プ
ロ
フ
ィ
ー
ル
を
記
入




                                                                     40
【準備編】
    3. 各ルート別プロットを作成する
        i.     各ルート別に、そのルートで『主人公(ヒロイン)』を務めるキャラを中心に、
               7つのエピソードポイントを配置する

                  各エピソードポイントに配置される内容は、通常のドラマチックストラクチャーと同じ
                  エピソードポイントを契機に、『主人公(ヒロイン)』の行動が変化することに注意
                  エピソードポイントで発生するイベントの起こる場所、時間をざっくりと決めておく

        ii.    各エピソードポイントで発生する事件が、プレイヤーキャラの目前で発生する
               かどうかチェックする

                  目前で発生するものなら、プレイヤーキャラがその時間、同じ場所に『主人公』と一緒
                   に居合わせる必要がある
                  目前で発生しないのなら、いわゆる『伏線』的なエピソードとなってしまうので、後々プ
                   レイヤーキャラに、変化した『主人公』の行動の意味をどのように開示するか、考えて
                   おく必要がある

        iii.   事件は並列に発生していることを、常に意識する

                  『オッカムの剃刀』
                  無理な段取りを重ねなければ、プレイヤーキャラの目前で発生させることができない
                   事件は、素直に伏線に回す
                  あえて目前で見せるのだったら、特別なルートとして分岐させる方がよい




                                                              41
各ルート別プロットサンプル

        【共通カレンダー】        【ヒロインAシナリオ・プロット】
         【共通カレンダー】        【ヒロインAシナリオ・プロット】
        12/31大晦日         ◎ライブハウス前でPC一行に出会う
         12/31大晦日         ◎ライブハウス前でPC一行に出会う
        (月)               →簡単な紹介
         (月)               →簡単な紹介
                          (レポートの件を簡単にPCに振る)
                           (レポートの件を簡単にPCに振る)
        1/1    餅つき大会     ◎PCとヒロインAの出会い(初詣帰り)
         1/1    餅つき大会     ◎PCとヒロインAの出会い(初詣帰り)
        (火)               →レポートの件を聞くPC。翌日、借りる約束
         (火)               →レポートの件を聞くPC。翌日、借りる約束
                           をつける。(翌日ヒロインAはバイト休み)
                            をつける。(翌日ヒロインAはバイト休み)
                         ○主人公、餅つき大会で友人Mがバイトを
                          ○主人公、餅つき大会で友人Mがバイトを
                          やろうかなと考えているのを聞く
                           やろうかなと考えているのを聞く            ルート別に、発生する出来事をメモし
                         (理由は、生き方改善の一環だが、
                          (理由は、生き方改善の一環だが、            ていく。
                          別にPCには語る必要はなし。ただの含み)
                           別にPCには語る必要はなし。ただの含み)       後に分かりやすいように、自分なりに
                         ■PC、知人Eと出会う
                          ■PC、知人Eと出会う                 ルールを決めて、共通ルート的に見る
                          →ヒロインBの家に年始回りに行く途中
                           →ヒロインBの家に年始回りに行く途中         もの、個別ルートでのみ見るもの、伏
                         ■私服のヒロインAにヒロインBの自宅前で会う
                          ■私服のヒロインAにヒロインBの自宅前で会う      線的な他のキャラの動き等をメモし
                         (状況的には、知人Eの姿を見かけて、後を着けて
                          (状況的には、知人Eの姿を見かけて、後を着けて     ていくとよい。
                          きたというところ)
                           きたというところ)                  左の例だと、
                          →ヒロインA、PCの自宅を知る
                           →ヒロインA、PCの自宅を知る            ◎→共通的な出来事
        1/2    羽根つき大会    ◎羽根つき大会を適当に切り上げるPC。
         1/2    羽根つき大会    ◎羽根つき大会を適当に切り上げるPC。         ■→個別ルートでのみ見る出来事
        (水)               →ヒロインAとの待ち合わせ場所に急ぐと、
         (水)               →ヒロインAとの待ち合わせ場所に急ぐと、       ○→伏線的な他のキャラの動き
                           初詣に誘われる
                            初詣に誘われる                   になっている。
                         ◎初詣の後、ヒロインAにレポートを借りる
                          ◎初詣の後、ヒロインAにレポートを借りる
                          →PCの家に来るヒロインA・1
                           →PCの家に来るヒロインA・1
                          →■玄関先で適当な会話に終始
                           →■玄関先で適当な会話に終始
                          →■【ヒロインA、ヒロインBとPCの関係を知る】
                           →■【ヒロインA、ヒロインBとPCの関係を知る】
                         ○友人Mからバイトはダメだった件を聞く
                          ○友人Mからバイトはダメだった件を聞く
                          (すでに定員に達していたとかで)
                           (すでに定員に達していたとかで)
                          →でも、落ち込んでいない
                           →でも、落ち込んでいない
                          →素敵な店員さんと知り合いになったとのこと
                           →素敵な店員さんと知り合いになったとのこと
                          →あんな女性になりたいなぁと憧れてる友人M
                           →あんな女性になりたいなぁと憧れてる友人M


      共通ルートで発生する大きめの
      イベントを書く欄
      (後にルートの結節点として使う)




                                                                  42
【準備編】
   4. 全体ラフプロットを作成する
        i.     具体的なフロー作業にはいる前に、共通ルートと個別ルートで発生するイベントを
               一覧できるようにしておくとよい

        ii.    ゲームの進行時間単位を考慮して、共通ルート、個別ルートで発生する出来事
               (イベント)をざっくりと書き込んでおく

        iii.   共通ルートと個別ルートで起こることを簡単にまとめておくことで、
               後々フローを作成する際に、各ルートの結節点や分岐点を作りやすくするのが目的

                  共通ルート用イベント中では、多くのキャラが同じ時間、同じ場所に居合わせることになる
                   ので、各ルートの結節および分岐ポイントが作りやすくなる
                  個別ルート用イベント中では、そのルートの『主人公』となるキャラ(ヒロイン)と、プレイヤー
                   キャラが一緒に行動することになるので、各ヒロインをプレイヤーに深く印象付けるための
                   イベントを配置する
                  もちろんこれらのイベントが、各ルート別プロット中でエピソードポイントに当たっているよう
                   にする。そうすることで、分岐後の展開がドラマチックになる

        iv.    その他、共通設定などもメモしておくとよい(日付とか、その日の天気とか)




                                                              43
全体ラフプロットのサンプル
           ------------------------------------------------------------------------------
            ------------------------------------------------------------------------------
           12月31日(月曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:未明から雪                                            基本情報などを書く欄
            12月31日(月曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:未明から雪
           ------------------------------------------------------------------------------
            ------------------------------------------------------------------------------
           ●共通
            ●共通
           朝:
            朝:
           昼:                                                                                共通ルートで見られるイベント
            昼:
           夕:                                                                                や情報等を書き込む。
            夕:
           夜:大晦日ライブに参加《CGあり》                                                                 イベントCGがある時には、その
            夜:大晦日ライブに参加《CGあり》
                                                                                             旨を書いておくとよい。
           ●ヒロインA
            ●ヒロインA
           朝:朝からバイト。早朝シフトは時給も高い。
            朝:朝からバイト。早朝シフトは時給も高い。
           昼:引き続きバイト。言い寄ってくるバカな客を適当にあしらったりしている。
            昼:引き続きバイト。言い寄ってくるバカな客を適当にあしらったりしている。
ゲームの進行     夕:バイト明けて「どうしようかな~」ってところ。最近お兄ちゃんには会ってないし
            夕:バイト明けて「どうしようかな~」ってところ。最近お兄ちゃんには会ってないし
タイムテーブル    ‥‥。
            ‥‥。
を考慮して、     夜:で、大晦日ライブを覗いたりする。ここでPCに会ってもいい?
            夜:で、大晦日ライブを覗いたりする。ここでPCに会ってもいい?
ざっくりと時間を
わけて出来事を    ●ヒロインB
            ●ヒロインB                                                                           以下、各ルート別ヒロイン単位に
書き込んでいく    朝:前日に残った仕事をかたづけるために学校へ。
            朝:前日に残った仕事をかたづけるために学校へ。                                                          見られるイベントや情報を書き込む。
           昼:お仕事。しつこい同僚に言い寄られたりしても、気にしない。
            昼:お仕事。しつこい同僚に言い寄られたりしても、気にしない。                                                   サンプルのようにバックストーリー的
           夕:お仕事終わって一人で帰る。その前に赤ちょーちんに走る。
            夕:お仕事終わって一人で帰る。その前に赤ちょーちんに走る。                                                    に書いておくと、後々便利
           夜:大晦日は遅くまで電車あっていいわねぇ‥‥ヒック、とか言いながら帰宅。
            夜:大晦日は遅くまで電車あっていいわねぇ‥‥ヒック、とか言いながら帰宅。
           ●ヒロインC
            ●ヒロインC
           朝:多分、家でお勉強。
            朝:多分、家でお勉強。
           昼:引き続き、自宅でお勉強。時々同じクラスのアイツのことを考えたりしてる。
            昼:引き続き、自宅でお勉強。時々同じクラスのアイツのことを考えたりしてる。
           夕:年越しそば用のめんつゆを買いに行くところを、忘年会に行く途中のPC達に
            夕:年越しそば用のめんつゆを買いに行くところを、忘年会に行く途中のPC達に
               見られたりする。あの制服ナツカシ~とか言ってる年増がいることを耳にしたり。
                見られたりする。あの制服ナツカシ~とか言ってる年増がいることを耳にしたり。
           夜:年越しそばを食いながら『ゆく年くる年』を見ている。初詣は家族で深夜に行く。
            夜:年越しそばを食いながら『ゆく年くる年』を見ている。初詣は家族で深夜に行く。
           ------------------------------------------------------------------------------
            ------------------------------------------------------------------------------
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           1月1日(火曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:晴れ
            1月1日(火曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:晴れ
           ------------------------------------------------------------------------------
            ------------------------------------------------------------------------------
           ●共通
            ●共通
           朝:みんなで初詣                                                                          以下、同じフォーマットで
            朝:みんなで初詣
           昼:ヒロインBの家で餅つき。 《CGあり》                                                             進行タイムテーブルの最後まで
            昼:ヒロインBの家で餅つき。 《CGあり》
           夕:                                                                                書いていく
            夕:
           夜:
            夜:




                                                                                                          44
【執筆編】
 5. シナリオ構成表を作成する
   i.     全体ラフプロットを元に、各ルート別プロットで配置したエピソードポイントを、ゲーム進行用
          のタイムテーブル上に再配置する

             各ルート別プロットをシナリオ構成表に組み直すことで、プレイヤーが実際に目のあたりにするゲーム
              のシナリオ構成となる

   ii.    多くの場合、タイムテーブルの1マスが、シナリオテキストの1ファイルに対応する形式になる

             ここで正式なファイル名も決めておく

   iii.   シナリオ構成表には、シナリオテキスト作成に必要な情報をすべて書き込んでおくこと

             そのファイル内で書かれるべき内容に関してのざっくりとした説明
             フラグの発生と参照、条件判定等の情報、発生するアイテム等
             そのファイルから分岐する先(ジャンプ先)のファイル名
             具体的なテキストはないが、システム上必要となるファイルなども入れておくとよい
              (分岐先を整理しただけのファイルとか)
             各ルートが複雑に結節したり、分岐したりする構成になる場合、各々のルートを辿ってきた時にどのよ
              うな情報がプレイヤーの手元にあるか、きちんと整理しておくこと

                 プレイヤーが持っている情報を、アイテムに体化する
                  →プレイヤーが情報を得るタイミングとアイテムゲットのタイミングを合わせる




                                                          45
シナリオ構成表サンプル
       イベントカテゴリ     ファイル名とタイトル     手に入るアイテムや、注意すべきフラグ管理、特殊なジャンプ先等の情報がある場合には記入しておく




タイム
テーブル




         重要な役割を占めるキャラクター         舞台となる場所         シナリオテキストの具体的な内容

                                                                        46
【執筆編】
 6. シナリオフローを作成する
   i.     シナリオ構成表を元に、各シナリオファイルがどういう順番で発生するか、フローとしてまとめ
          る

   ii.    フロー図の書き方のルールに基づいて、シナリオ構成表より分岐条件を抽出し、各シナリオ
          ファイルを配置する

             選択肢の配置(プレイヤーの入力に対する分岐)
             初期化も含むフラグやカウンタの設定
             条件判定のよる分岐

   iii.   シナリオファイルは多くの場合、スクリプトファイルの元になるので、シナリオフローを作成する
          ことで、スクリプトの発生順序が確定する




                                                    47
シナリオフローサンプル



              ジャンプ先等の構成が複雑な時
              には、積極的に「端子」を使って
              書くとよい。
              巨大な巻物にならないように
              注意すること




                                シナリオ構成表を
                                元に、シナリオフロー
                                として起こす。
                                ここでフラグの
                                ON/OFF情報を
                                確定する




                                   48
【執筆編】
 7. 各シナリオファイルの作成
   i.    シナリオ執筆のためのテキスト仕様と、シナリオ構成表を参考に各シナリオファイルを作成する

   ii.   ゲームの場合、文字数制限など、個別のゲームごとに異なる決まりごと(仕様)があるので、
         それらに従って、テキスト作成をする必要がある



                      【本日のまとめ】
  1. マルチエンディングタイプのゲームシナリオにドラマチックストラクチャーのメソッ
     ドを取り入れる場合、各攻略キャラ単位にドラマチックストラクチャーのメソッドで
     構成した個別ルートのプロットを、各エピソードポイントが発生する『場所』と
     『時間』に着目して一度分解した後で、各イベントをゲーム進行のタイムテーブル
     上で並列化し、プレイヤー視点から再構成することで実現することができる。

  2. 共通イベントを各ルートの結節点及び分岐点として利用することで、ルートの途中
     変更ポイントを効果的に配置することができる。その際、各ルートを辿ることでど
     のような情報をプレイヤーが得るか、しっかりと確認しておく必要がある。

  3. 各分岐ポイントを個別ルートのエピソードポイントに一致させることで、分岐後の
     展開をドラマチックに演出することが可能となる。


                                                  49

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ゲームシナリオ構成論 The Method for the game sinario writings for multi-ending adventure games

  • 1. ゲームシナリオ構成論 経験と理論に基づくマルチエンディングタイトル向け シナリオ構成メソッド 小林信行 Nobuyuki Kobayashi 2012/04/16 1
  • 2. はじめに 僕自身がゲームシナリオの構成論めいたものを考えはじめて、10年ぐらい経つ。 元々のひな形は、10年前のある日、崩壊間もないプロジェクトの戦後処理をしている、とあるチームのヘルプに入るに当たって、どう考えても面白 くなりそうもない前任者のプロットを前に、どうすればこれが面白くなるのか考えていた矢先のこと。朝、出勤する前にシャワーを浴びていてフト思 いついたことがすべての始まりだった。 それまで僕が読んだ様々なゲームシナリオの構成論は、そのほとんどが映画シナリオの構成論を元にしていて、それ自体は非常に有益なものでは あったが、当時の僕が手がけていたシナリオはギャルゲー、それもマルチエンディングのタイトルだった。 マルチエンディングタイトルには、当たり前だが複数のエンドがある。一方、それまで学んでいた映画流のシナリオ構成法では、エンディングはただ のひとつ。ということは、マルチエンディングタイトルを1本作成する為には、映画複数本分のシナリオを必要とするということになってしまう。これで はどんなにネタがあったとしても、3本も作る頃には多少はあった才能さえ枯渇してしまうだろう。実際、有名タイトルの多くをこなしてきたシナリオ ライターがどんどん書けなくなっていくのを目の当たりに見ていた僕は、これはなんとかしないとイカンと常々思っていたのだった。 それから10年。いくつか作ったコンシューマタイトルが評判になったおかげで、バンタンゲームアカデミーのほうでプランナー向けにシナリオ構成法の 授業を持つことになった。本レジュメはその際に教材として配布したものだ。縁というものは面白いもので、その時に教えた生徒のうち2人が今、 僕のプロジェクトで一緒に戦ってくれている。彼らが僕にとって大きな力になってくれているのは間違いない。本当にありがたいことだと思う。 最後に第0章の「ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について」の授業をする際に、生田美和さんの『RPGシナリオライターの育て方について』と いうエントリーを、生徒の皆と一緒に読んだ。この文章は、シナリオライターになるかどうかにかかわらず、ストーリーのあるゲームを作ることを志す皆 さんなら、一読の価値のある素晴らしいエントリーだと思う。下に感謝と共に、リンクを紹介しておこう。 生田美和オフィシャルサイト 『LevelScript』 RPGシナリオライターの育て方について http://shoda-miwa.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-65c4.html いくら方法論があったとしても、最後にシナリオを書くのはアナタ自身だ。。 方法論にできることは、例えるならば不調に陥った時に、もう一度自分のフォームを再確認し、矯正するための視座のようなものだと思う。 そして素晴らしいシナリオを駆動するのは、魅力あるキャラクター達である。 そのことを忘れないでいたいと思う。 2012年4月16日 2
  • 3. もくじ 第0章 ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について 4 第1章 魅力あるキャラクターとはどんなものか 5 第2章 魅力あるキャラクターを設計するには 7 第3章 自分が書くべきテーマを把握するには 9 第4章 ドラマチックストラクチャーという考え方を知る 12 第5章 ゲームシナリオの難しさは分岐の扱いにある 24 第6章 ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングに拡張する 30 第7章 マルチエンディングタイプのドラマチックストラクチャーメソッド 38 筆者自己紹介 小林信行(Nobuyuki Kobayashi) Twitter @nyaa_toraneko / facebook http://www.facebook.com/nyaa.kobayashi/ 最近はSoftimage&Mayaを使うことが多く、Lightwaveの使い方を忘れはじめてちょいヤバ気味のコンシューマゲーム系クリエイティブ ディレクター。 主にPSP/PS3プラットフォーム上での、キャラクターゲームの企画&開発を得意としています。 有限会社ガイズウェア所属。 最新監督作:『涼宮ハルヒの追想』/過去監督作:『涼宮ハルヒの約束』『とらドラ・ポータブル!』『デジタルなのは』全てバンダイナム コゲームス様より発売中です。Best版もあり□! 本レジュメは、2011年10月~2012年2月にバンタンゲームアカデミーで行いました、プランナー志望者向けシナリオ構成講座におい て配布しました資料をまとめたものです。 専門分野 計量経済学(統計を用いた実証経済学)、シナリオ分析、シナリオ設計&構成、ゲームデザイン、3Dを使ったイラスト&セル的キャラ 表現 3
  • 4. 第0章 ゲームプランナーの仕事と勉強の仕方について 1. 将来は、シナリオライター/ディレクター/ゲームデザイナー? 2. 仕事の具体的なサンプル(僕の場合) 3. プランナーはゲーム業界の入り口 4. 自分のウリは何かを早く知ることが大事 ←人は「自分」という枠の中からしか世界を理解できない →自分が面白いと感じるポイントを「分析」する 「面白いもの」には必ず「理由」がある →他人が面白いと感じるポイントを「理解」する 5. 着想の始まり:「どうやってみつけるか?」 ・なんでもメモ ・個人的な欲求の普遍化/他人の欲求を探る ・自分ならどうする/どう作る…? ・自分の経験をネタにする 4
  • 5. 第1章 魅力あるキャラクターとはどんなものか? 1. キャラクターとは? →「純粋な文学」と 「コンテンツ(映画/漫画/アニメ/ゲーム/ライノベ…)」を別けるもの ストーリー = キャラクター同士の行動がぶつかり合う様を描いたもの 2. 魅力のあるキャラクターとは? →キャラクターの魅力は、外見? それとも、内面? 3. 外見的な魅力 →『絵』にできる特長が重要。 ※クルマにたとえれば、ボディ部分の『美しさ』の魅力 4. 内面的な魅力 →ストーリーを動かし、ドラマを盛り上げる『力』 ※クルマにたとえれば、エンジン部分の『パワー』の魅力 5. キャラクターは単独では立たない →集団の中で立たせる工夫。そのキャラクターなりの独自性 ※特に、ひとつの作品の中で、行動が『首尾一貫している』ことが重要 ←シナリオライターは自分ひとつの人生しか歩いていない →どうやって、キャラクターを動かすか? 5
  • 6. 6. キャラクターの行動を関数として考えてみる z = Maximization [ f(x(y)) , Condition] z: キャラクターの感情、決断等の行動 x(y): シナリオ内で提示されているシチュエーション y: シナリオライター自身(性格/経験/…個人を形成するもの) f(x): キャラクターの設定(類型/タイプ) Condition:制約条件 7. 制約条件 →キャラクターを囲む外的要因 (置かれている環境や状況、仲間、敵の存在等) 8. 最適化過程(Maximization) →キャラクターが当初より持つ超目的(超目標/劇的欲求)の実現 (そのシナリオを通じて、キャラクターが達成したいと願うもの) →時に、超目的がシナリオ進行過程でシフト(変化)することもある (e.g. 成長もの) 9. 「キャラクターの性格」は、「行動に現れる」 →「何を言うか」ではなく、「何をするか」によって表現する 6
  • 7. 第2章 魅力あるキャラクターを設計するためには? 【本日の目標】キャラクター対比表を作ってみよう 1. キャラクター対比表とは? →自分のシナリオに出てくる主なキャラクターの設定を一覧できるように したもの  列カテゴリ:キャラリスト  主人公(=プレイヤーキャラ?)  敵(主人公の目的を阻む障害) ★特定のフォーマット があるわけではない  仲間(主人公を引き立てるキャラ)、ヒロイン? →ゲーム/シナリオごとに 必要となる要素は異なる  行カテゴリ:キャラ設定 ため  キャラの外見イメージを固めるのに必要な情報 ★各項目は、自分の (例:名前/年齢/性別/人種/職業・スキル/階級…) 作るゲーム/シナリオ  キャラの内面を規定する情報 に合わせて、適宜 (例:性格/長所・短所/趣味/家族関係/好き・嫌い/頭の良さ…) 調整する  シナリオのテーマに関わる情報 ・各キャラがシナリオ中で実現しようとしている超目的 ・そのシナリオが始まるまでの各キャラのバックストーリー ・ラストシーンにおける各キャラの立ち位置/役割… 7
  • 8. 2. キャラ対比表を作る際のポイント  今自分が書こうと思っているシナリオのテーマに必要なものだけをチョイスして、 なるべく簡潔に書き上げる  『設定』に必要以上にこだわらない 「キャラクターの性格」は「行動に現れる」 →「何を言うか」ではなく、「何をするか」によって表現する →キャラクターを行動させるために必要不可欠な『設定』にのみ絞る 3. キャラ対比表をつくる意味  書こうとしているテーマに対して、機能していないキャラ、役割がダブっている キャラがいないかチェックするために作業する • 機能していないキャラ→「機能させる」か、思い切って「削ってしまう」 • 役割がダブっているキャラ→「区別をつける」か、「まとめてしまう」 【本日のまとめ】 キャラクターは、シナリオライターが自分が書こうとしている シナリオのテーマを表現するための手段(ツール)である 8
  • 9. 第3章 自分が書くべきテーマを把握するには 【本日の目標】自分が書くシナリオのテーマを把握する 1. そもそも《テーマ Theme》とはどういう意味か? →まずは辞書で調べてみよう 【広辞苑】主題。題目。 【大辞林】創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題。 【明鏡】①主題。題目。また、中心課題。②音楽の主旋律。主題。 “テーマ”とは、シナリオライターがこれから書こうとしているシナリオを、 登場人物と行動とにしぼって前もって簡潔にまとめた、劇的内容の ことである。 9
  • 10. 2. テーマのまとめ方  「4行以内の文章にまとめる」「名刺サイズのカード裏に収まるようにまとめる」 →いずれにせよ、「簡潔に、必要なことだけを書く」とされている  様々なテーマのまとめ方、気づき方のノウハウの例 → 「関連性を明らかにできる/並び替えが簡単にできる」手法を選ぶとよい  KJ法→カードや付箋紙に一言ずつ自由にメモして、 後に大きな模造紙の上にそれらのメモを記入したカードや付箋紙を置き、 その内容からグループ分けをしつつ、グループ間の関連性をまとめていく  マインドマップ→ソフトも多く、パソコンで作業しやすい 3. そもそも何のためにテーマをまとめるのか?  自分がこれから書こうとしているシナリオを理解するために書く ←シナリオの執筆で一番難しいのは、自分が何を書いているのか、 きちんと把握すること 4. テーマの具体的な書き方 自分の書こうとしているテーマを、登場人物と行動とに絞って、2、3の文章にまとめる →次にそれを構成に沿って、4ページ程度のあらすじへとまとめてみる 10
  • 11. 5. テーマを具体的にまとめる際のコツ  ディティールにこだわって、あまり細かく書き込み過ぎないこと ※まずは自分が書こうとしているストーリーを自分できちんと把握する ことに重点を置く。単純でかまわない。  登場人物とその行動を中心に、「誰が、何をすることで、どういう結果になる話」 という形式になるように単純化してみるとよい 6. 「テーマ」を「あらすじ」へと広げていく際のコツ  設定したテーマを表現するのに必要となる、出発点と終点をまず決める ※構成とは、「出発点と終点を決めること」である  その構成に沿って、分かりやすく無理のない進行になるようにテーマを展開する ※展開とは、「出発点と終点の間をつなぐ行程を決めること」である 【本日のまとめ】 シナリオの執筆で一番難しいのは、 自分が何を書いているのかきちんと把握することである。 テーマをまとめることで、何を書くべきなのか把握できる。 11
  • 12. 第4章 ドラマチックストラクチャーという考え方を知る 【本日の目標】シド・フィールドのドラマチックストラクチャー という考え方を学ぶ 1. シド・フィールドの紹介  経歴 • アメリカの脚本家、プロデューサー、シナリオ講師。 • 20世紀フォックス、 ディズニースタジオ、 ユニバーサルピクチャーズ、 トリスターピクチャーズ他の脚本コンサルタントを歴任。 • 全米脚本家協会で初の名誉の殿堂入りを果たした。  著書『Screenplay』 • 22ヶ国で翻訳され、全米400以上の学校で テキストとして利用されている。  関係した作品 • 『ゴッドファーザー』 フランシス・F・コッポラ監督作品 (1972) • 『アリスの恋』 マーティン・スコセッシ監督作品 (1974) • 『アメリカン・グラフィティ』 ジョージ・ルーカス監督作品 (1973) など  主な門下生 • ジェームズ・キャメロン 『アバター』『タイタニック』 • テッド・タリー 『羊たちの沈黙』 • キュアロン兄弟 『天国の口、終りの楽園。』『ルドandクルシ』 12
  • 13. 2. ドラマチックストラクチャーとは? • シド・フィールドが名作と呼ばれる映画脚本に共通として見られるエピソード構成 上の特徴を、パラダイムという形式でまとめたもの。 • さらに名作脚本に共通する経験則を理論化して、新規にシナリオを執筆する際に 注意すべきこととして、方法論(脚本術)として提示した。 • 映画脚本を視覚による時間芸術と規定し、シナリオ構成とは 「設定したテーマを表現するのに必要な、出発点と終点を決めること」と定義した。 「120分の上映時間内で、いかに無駄なくテーマに沿ってイベントを割り当ててい くことを通じて、ドラマを構築する」という方法論。 • 内容は実践的であり、かつ具体的。 ワークブックの形式となっている。 • オチがある脚本を執筆する際に非常に有効な方法論で あると同時に、シナリオの良い点/悪い点を評価する際の 視点としても有効な方法論である。 13
  • 19. 『天空の城 ラピュタ』をドラマチックストラクチャーに分解する 『天空の城 ラピュタ』のドラマチックストラクチャー ラピュタの闇の部分は 海に落ち、光の部分は 飛行石を狙うムスカによって 空高く消えていく。 虜とされたシータ、 ドーラ達と別れて 同じく飛行石を狙う パズー、シータを ドーラに襲われる。 生まれ故郷に送る。 シータを ゴリアテ& シータの飛行石を使い、 シータとパズー 軍の虜になる ドーラと共に 救出に行く 竜の巣との 恐怖の帝国の復活を の出会い 二人 ムスカを追う二人 パズー 遭遇 もくろむムスカ パズー、空から落ちてきた パズーとシータ、滅びのおまじない 飛行石を持つ少女 飛行石の秘密をムスカより 見張りの最中に を飛行石に唱え、 シータに出会う 知らされたシータ、パズーの 滅びのおまじないを ムスカ共々ラピュタの 命を守る為に、これ以上自分と 思い出すシータ。 闇の部分を葬ることを、 ラピュタに関わるなと警告し、 飛行石を捨てれば 決心する。 パズーを解放。 よかったというシータに、 自らはムスカの虜になる。 パズーはラピュタが 恐ろしい場所ならば、 自宅に戻った ムスカに渡しては パズー、ドーラに 飛行石を狙うドーラとムスカに パズー、シータの いけないと決心する。 パズーとシータ 諭されてシータの 追い詰められたパズーとシータ、 救出には成功するが、 ラピュタに到着する。 本意に気づく。 飛行石の引き起こす奇跡で 発動してしまった 同時にムスカも到着。 シータを救出 命を取り留める。 飛行石はムスカの ドーラは虜に。 するために ラピュタの実在を確信する 手に落ちる。 海賊に入れて パズーと、なんでそんなもの ラピュタに向かう くれと頼む。 が自分の家に伝えられていた ムスカを追って、 「向こう岸から 二人はドーラの のか不安になるシータ。 船が来る」 船に乗る。 テーマ:伝説の空の浮島ラピュタに行くことを夢見ていた少年パズーが、 空から落ちてきた飛行石を持つ少女シータと出会い、 彼らに好意を寄せる海賊ドーラの船に乗ってラピュタに向かい、 恐怖の帝国ラピュタの復活をもくろむムスカを退けるお話。 19
  • 20. 各エピソードポイントのまとめ ① ドラマチック・ストラクチャーを構成する7つのエピソードポイントに ついてまとめてみると、以下のようにまとめることができる。 1. オチ  第3幕・解決の時間帯に配置  ストーリーのオチやキャラに結末をつけるエピソードを選ぶ。  キャラに余韻をつける、「ラストの遊び」を心がける。 書こうとしている シナリオのテーマ 2. 発端 に沿って、最もふ  第1幕・状況設定の時間帯に配置 さわしいものを設  主役となるキャラの紹介したり、世界観を魅せるのによいエピソードを選ぶ。 定する。  物語の発端など。「つかみ」を意識する。 3. プロットポイントⅠ  第1幕終了間際に配置。  第2幕・葛藤の時間帯が始まるきっかけとなるエピソードや事件を選ぶ。  読者の前で始めて事件が発生する(第1の事件)ポイント。 藪の入り口のイメージ。 4. プロットポイントⅡ  第2幕終了間際に配置。  第3幕・解決の時間帯に繋がるきっかけとなるエピソードや事件を選ぶ。  物語中で発生する最後の事件が発生するポイント。  第3幕での逆転のきっかけとなるエピソードを配置したり、ラストへの伏線を配置すること を心がける。 20
  • 21. 各エピソードポイントのまとめ ② 5. ミッドポイント  第2幕・葛藤の時間帯の中央に配置  プロットポイントⅠとⅡの内容を元に、その中間となる、「葛藤と対決」を象徴するエピソードを 配置する。同時にシナリオ全体の折り返し点であることも意識すること。  中盤の一番大きな事件やエピソードが発生するポイント。ただしお客さん的には、この位置で 起こる事件は「序盤の盛り上がり」として意識される傾向が高い。(後半にこれよりも高い盛り 上がりが設定されているから)  それまで敵にしてやられてきた主人公に、希望の光が見えてくるエピソードが配置されることも 多い。  このポイントを境に、第2幕・葛藤の時間帯の質や内容が変わることもある。物語のテーマが観 客にも理解され始め、より関心が深まっていく時間帯である。 6. ピンチⅠ  第2幕前半(当初より想定される対決と葛藤の時間帯)の中央に配置  第2幕前半の中間に配置し、ミッドポイントに向かって物語が中弛みしないようにエピソードを 配置する。  この直前ぐらいに行われる主人公の初手の行動は大概失敗する。落ち込んでいる主人公が 超目的達成のために、新たな見方や手段を手に入れるなど、「向こう岸から船がやってくる」 類のエピソードを配置する。 7. ピンチⅡ  第2幕後半(当初の対決と葛藤の形が深化や変化していく時間帯)の中央に配置  第2幕後半の中間に配置し、ミッドポイントで発生するエピソードを受けて、主人公の側につか の間の安息が訪れたり、敵が主人公に対してさらなる攻勢を仕掛けてきたりする時間帯。  物語全体のテーマを象徴するエピソードもよく起こる。今まで敵だと思ってきた相手のさらに向 こう側に、より巨大で強力な敵がいることがわかったり、しばしば大切な仲間が死んだりする 時間帯でもある。 21
  • 22. エピソードポイントに配置するもの 各エピソードポイントに配置されるものとして、次のようなものが考えられる 1. 映画の場合  カットとそれらによって構成されるシーン 印象深いシーンやエピソードを  観客の印象に残るシーンやセリフ、アクション 設けることで、観客に各幕の 時間の区切りを意識させる 2. ゲームの場合  イベントCG  インタラクティブな戦闘パート  ムービー ゲームの場合、プレイ時間はプレイヤー  特別な音楽/ボイス 任せの部分もあるので、ゲームデザイ ナー側がこれらの要素を積極的に設け  そのゲームのウリとなるような新システム てやることで、プレイセッションの目安と  セーブポイント なる要素を設定してやる必要がある • あらすじシステム • 達成度表示 ※プレイセッション→通常1回のゲームプレイに費やす長さの尺  プレイヤーの印象に残る演出やシステム、 度のこと。最短時間や平均時間、最長時間ではなく、各プレイ ヤーがゲームのアクティビティに費やす主観的な時間のこと アクティビティ プレイヤーの印象に残るシーンや演出、システムを配置してやること で、気持ちの区切りと達成感、次の展開への期待を持たせることが ポイント 22
  • 23. 【本日のまとめ】 自分の好きな映画を時計を片手に見てみよう。 その映画のプロットポイントⅠ,Ⅱ そしてミッドポイントは何か、確かめてみよう。 (P.80の演習問題より) 23
  • 24. 第5章 ゲームシナリオの難しさは分岐の扱いにある 【本日の目標】ゲームにおける理想的なシナリオ構成像を考える A.ゲームにおけるシナリオ構成論の現状 1. 従来はRPGなどの比較的一本道展開のシナリオ向けの方法論が中心 • エンディングが1つしかないなら、比較的映画と同様の方法論が適用できた • ストーリー主導型のゲームなら、映画の方法論をそのまま移植できる可能性も高かった 2. ゲームのシナリオ構成論には、シド・フィールドの映画用シナリオの構成論のように一般的に 受け入れられているものがない I. 経験者が経験的に語るものが多い • 本人のスキルや各プロジェクトでの状況に依存した結果論にすぎない場合が多い • 概念的なものが多く、一般性のあるノウハウとしてまとめられていない II. ゲームで必要とされるテキスト量は、映画シナリオの数本分 • ゲームのシナリオは、通しで読むことが難しいものも多く、筋道を立てて分析すること自体が難しい • 実際の現場では、これらの莫大なテキストを構成論もなしに、根性と経験のみに頼って作業していることも多い • シナリオが原因で、スケジュールの大幅な遅延を招き、プロジェクトの成否に重大な影響を招くこともよくある 24
  • 25. A.ゲームにおけるシナリオ構成論の現状 3.映画とゲームの違いが吸収できないことも多い I. 分岐の存在 • 映画にはストーリーの分岐が存在しない • ゲームでは、途中複数のシナリオ分岐があったり、時には複数のエンディングが存在したりする II. 視点の違い  映画の多くは三人称視点が採用される • カメラ視点が必ずしも主人公の視点とは限らない。客観視点の場合が多い。 • 事件は、主人公の知らない場所で発生してもかまわない  ゲームでは、しばしばプレイヤーの一人称視点でのシステムが採用される • プレイヤーの視点=主人公の視点=カメラ視点のことがしばしばある • カメラの前で発生した事件は、主人公の目の前で発生したものと考えるのが普通 • 主人公の目の前で発生しない事件は、表現するのが難しい III. 体験時間の違い  映画では、ユーザーは一定時間、画面に拘束される • 全てのユーザーが同じ長さの時間を体験する  ゲームでは、ユーザーはある程度プレイする時間を自分の希望に合わせて調整できる • ゲームのクリアまでの時間は、プレイヤーそれぞれによって異なる IV. そもそもストーリーらしきものが存在しないゲームもある • そのようなゲームにもドラマは存在する 25
  • 26. B.ゲームの特徴である「分岐」 1. そもそも「分岐」とは何か? • シナリオフロー上で発生する、ルートが枝分かれしている部分 • プレイヤーの選択を、インタラクティブにゲームに反映させるために、ゲームデザイナーが事前に設けておく複数の シナリオ展開のこと • システム的に複数のシナリオ展開が、1つのタイトル内で共存できるゲームならではのギミック • 途中経過だけでなく、エンディングおよびそれに至るルートまで複数存在すれば、マルチエンディングと呼ばれる 26
  • 27. B.ゲームの特徴である「分岐」 2. 分岐が発生する場所 I. 選択肢  選択内容提示(いわゆる三択)  移動先選択(マップ選択)  コマンド選択 II. 条件判定  フラグ • Yes/No、ON/OFF、1/0のように、2種類の変数状態を保持することで、条件を設定&判定する  カウンタ • ある変数に、整数値などを入力して保持することで、複数の状態を設定&判定する  ファジー理論 • メンバーシップ関数と呼ばれる、ある状態を表す関数を複数設定することで、それらの関数の交点として、 人が判断するような複雑な状態の判定をコンピュータに行わせる技術  ルールベースAIシステム • 一連のif-then形式で記述されるルールと、一連の事実およびそれに新たに追加される情報(assertion)と で構成される、行動/推測分岐群のセットのこと  確率モデル • 上記の様々な分岐判定にさらに確率に基づく分岐要素を追加したもの 27
  • 28. 補足説明:『とらドラP!』の基本システムについて 『とらドラP!』は、3Dによる「マップ移動画面」と、2D「ストーリー画 面」の2つを行ったり来たりすることで、ゲームおよびストーリーを 現在のプレイヤー 進めるインタフェースをとっています。 キャラ 「マップ移動画面」では、プレイヤーはプレイヤーキャラを操作する ことで、画面上を移動できます。 マップ上には各々イベントが割り当てられているノンプレイヤー キャラがシナリオ進行テーブルに合わせて配置されており、イベン トに関連するアクション(演技)をしています。 マップ移動画面(3D) イベント待ち状態の ノンプレイヤーキャラ ストーリー画面(2D) イベントエンカウントのアラート表示 発生するイベントには、上のようにアラート表示がされることで プレイヤーが見るか見ないか選択できるイベントもあれば、強 制発生するイベントや、一定時間が過ぎることで発生する時 限発生イベントがあります。 イベントが発生すると、移動や動作が伴うものに関しましては 3Dマップ上で処理されますが、それ以外のストーリーやイラ ストを楽しみたいイベントの場合には、それに適した2D「ストー リー画面」へと切り替わります。
  • 29. モーションポートレート会話について 話題を6択から選択 選んだ話題から話す内容を選択。 相手を見つめる目つきなども選択できる。 モーションポートレート会話は、会話内容選 択時のキャラのリアクションを表情(気分) 単位で管理する。 左の図は、ヒロインが不信感を持っている 男性(この場合、主人公)に対しての基本的 なリアクションである。この例だと、ヒロイン を怒らせた時点で会話が終了してしまうとい う構成になっている。 この会話ミッションでの目的は、「ヒロインの 不信感を除き、自分を信じさせる」こと。 今回のゲームでは、この会話ミッションの目 的をさらに明確化し、「会話相手を説得せ よ」などの具体的なミッションを与えることで、 従来のキャラとの自然な会話を超えたゲー ム性を強化する。 選ばれた話題の内容や、その時の 相手キャラの気分(表情) によってリアクションが変化する。
  • 30. B.ゲームの特徴である「分岐」 3. 分岐発生の原因 I. プレイヤー選択の結果としてルートが分岐する • 選択肢を前にした時のプレイヤーの選択結果に応じて分岐する  プレイヤーが意識できる分岐 II. フラグ等に基づくシステム側での条件判定の結果としてルートが分岐する • プレイヤーの意思とは関係なく、分岐判定が行われる場所以前にすでになされた 選択の結果として分岐する  プレイヤーが意識できない分岐 選択肢による分岐の例 条件判定による分岐の例 28
  • 31. C.実際に、ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングシナリオに適用してみる →以下の様な問題点に直面する 1. スタートは1つだが、エンディングが複数ある  エンディングが複数あるから、結果としてミッドポイントも複数発生してしまう  スタートが共通のオムニバス形式のシナリオ群なら作成できる 2. ある程度の一本道を前提にすると、分岐がうまく扱えない  スタート直後に個別ルートに分岐する?  エンディング間際で個別ルートに分岐する?  選択の後で、また同じルート上に戻って来る?  本当に欲しいのは、ある程度複数のルートを行ったり来たりしつつ、プレイヤーの 選択によって大きく展開が変わり得るシナリオ構成であって、オムニバス形式の シナリオが欲しいのではない 【本日のまとめ】 1.ゲーム向けのシナリオ構成論は、分岐を適切に扱える必要がある。 2.もしドラマチックストラクチャーをマルチエンディングシナリオに適用するならば、 なんらかの工夫、もしくはアプローチの変更が必要である。 29
  • 32. 第6章 ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングに拡張する 【本日の目標】 ドラマチックストラクチャーをマルチエンディングタイプの ゲームシナリオに適用する方法を考える A:ドラマチックストラクチャーの要点 →4つにまとめることができる 1.書きたいテーマに沿って、7つのエピソードポイントを、三幕構成を意識しつつ 冒頭から結末まで配置できれば、シナリオは完結する 2.テーマとは、キャラクターの行動によって描かれる 3.書こうとしているシナリオ中で、キャラクターは自己の持つ超目標(劇的欲求) を実現しようと行動する 4.オチで描くべきなのは、そのシナリオで語られるエピソードがどう決着するか、 もしくはそのシナリオを通じてキャラクターがどのように変化したか(あるいは 変わらなかったか)である 30
  • 33. B:ドラマチックストラクチャーのメソッドをゲームシナリオに そのまま適用しようとする際に発生する問題点 →主に2つ 1. ルート分岐と複数エンディングがそのままでは扱えない  ドラマチックストラクチャーの構成法は、映画などのように、一本道で表現できるシナリオを前提 にしているので、複数エンディングがあったり、途中でルートが分岐するような場合をそのままで は扱えない 2. ゲームの場合、主人公はプレイヤーキャラである場合が多く、 しばしばキャラクターとしての色がない(目立った特徴がない)場合も多い  一人称視点のゲームだと、しばしば主人公はゲーム内のカメラでしかない取り扱いの場合も多い  ゲームの場合、選択肢で示される行動を実際に選ぶのはプレイヤーであるので、どの行動を プレイヤーが実際に選ぶのかを事前に想定し、最適に演出するのは難易度が高い • 「演出をする」ということは、究極的にはひとつに絞り込むことである • 正しい選択がひとつしかないゲームでは、つまらないかもしれない  複数エンディングがあるということは、プレイヤーに合わせて、主人公に複数の超目的を持たせる ようなプレイができるという意味なのだろうか? • 当然、このようなゲームも考えられうるが、どちらかといえば特殊なゲームではある • どちらかといえば、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)的なアプローチ 31
  • 34. C:マルチエンディングゲームが生まれた系譜 1. おそらくノベルゲームから始まったものと思われる  違う選択肢を選んで行くことで、ストーリー展開およびエンディングも変化するゲーム • 『弟切草』 1992年3月 チュンソフト • 『かまいたちの夜』 1994年11月 チュンソフト 2. ほぼ同時期に、複数ヒロイン攻略型のゲームに導入された  登場する複数のヒロイン毎に個別のシナリオを辿りながら恋愛関係を深めていくゲーム • 『同級生』 1992年12月 エルフ(ジャンル:ナンパシミュレーション) • 『ときめきメモリアル』 1994年5月 コナミ(ジャンル:恋愛シミュレーション) • 『同級生2』 1995年 エルフ 3. 元々はシミュレーションゲームの系譜だった?  箱庭的な世界でヒロインを育成することで、様々なエンディングを楽しむことのできる ストーリー性のあるシミュレーションゲーム • 『プリンセスメーカー』 1991年5月 ガイナックス • 『卒業 ~Graduation~』 1992年6月 ジャパンホームビデオ • 『プリンセスメーカー2』 1993年6月 ガイナックス  いずれも、アクション性よりもストーリー性や結果のバリエーションをウリとするために 生まれたゲーム (特に初期のPCは、ゲームにアクション性を持たせるには反応速度が遅かった)  特に『同級生』『ときメモ』の成功以降、「恋愛シミュレーション」(狭義のギャルゲー)という ジャンルが成立すると、ヒロイン攻略という視点からも多数作られるようになった 32
  • 37. D:マルチヒロイン攻略型のマルチエンディングシナリオタイプのゲームを考察する 1. 各キャラクタールート  どのシナリオも基本、プレイヤーキャラと各々のヒロインが結ばれるまでのストーリーと なっている  多くの場合、プレイヤーキャラである主人公はこれといった特徴がない • プレイヤーキャラは超目標を持っていない  ある女性キャラがヒロインとして扱われるのは、そのキャラルートのみの場合が多い • 専用キャラルートで、そのヒロインに関わるテーマが展開されることがほとんど • 自分以外の他キャラルートではヒロインではなく、サブキャラの位置づけにまわるか、 途中でゲームに登場しなくなることも多い • つまり専用キャラルートでのみ、そのキャラがヒロインとしての超目標を果たす場合が多い  各キャラクタールートでは、そのルートでヒロインの役割を占めるキャラクターのほうが、 ドラマチックストラクチャー的な意味では、主人公といったほうが適切である 35
  • 38. 2. 選択肢  選択肢はプレイヤーが選ぶが、その配置の多くは、複数存在するヒロインキャラの内か ら、どのキャラクターとの親密度をアップするかという目的で設計されている  親密度の高さは、各々のヒロインキャラに関わる情報(フラグ)をどれだけ多く集めたか で、表現される  選択肢は、フラグを立てるために存在する。フラグの多くは、各ヒロインに紐付けられて おり、特定のヒロインに関わるフラグを多く立てているほど、そのヒロインとプレイヤー キャラとの親密度が高まり、ヒロインとのハッピーエンドに至るようにエピソードが配置さ れている 3. 分岐  ルートが分岐する前は、共通ルートと呼ばれるルートを進む場合が多い  現在、プレイヤーキャラが持っている情報(ルート上で立てたフラグ)によって、 分岐が発生する • 大きな分岐は、各ヒロイン毎のルートが分岐するところで発生する • 小さな分岐は、プレイヤーキャラが現在持っている情報(フラグ)に対して、 細かいエピソードの辻褄を合わせるために発生する  フラグは、あるエピソードをプレイヤーキャラが経験したか否かに伴って、ON/OFFされる 場合がほとんどである • あるエピソードの背後にあるのは、そのエピソードと関わりの深いキャラクターに関する情報 である。  分岐は、プレイヤーが立てたフラグを元に、複数同時に進行している各キャラクター別 ルートを最終的にひとつに絞り込むために存在する。最終的にひとつに絞り込められた ルート上でハッピーエンドに至るのは、ひとりのヒロインである場合が多い。 36
  • 39. D:マルチヒロイン攻略型のマルチエンディングシナリオタイプのゲームを考察する(続き) 【考察の結論】  ある一人のヒロインに注目すれば、 そのヒロインがハッピーエンドに至るためにプレイヤーと共に辿るルートは、 ほぼ一本道であるとみなすことができる  この種のゲームの攻略情報が、ヒロイン毎のルート別攻略になっていることからも 裏付けられる  個別のヒロインルートに着目すれば、ドラマチックストラクチャーのメソッドで 7つのエピソードポイントを配置することが可能になる 以上の考察を元に、 次にマルチエンディングタイプのゲームシナリオ向けの ドラマチックストラクチャーのメソッドをモデル化してみよう! 37
  • 40. 第7章 マルチエンディングタイプのドラマチックストラクチャーメソッド 【本日の目標】 マルチエンディングタイプのゲーム向けシナリオ用に、 ドラマチックストラクチャーのメソッドをモデル化してみよう ※モデル化=ワークフローを作成すること おおまかな手順としては、以下のようになる。 ① 各攻略キャラ単位にドラマチックストラクチャーのメソッドで構成した 個別ルートのプロットを作成する。 ② 各エピソードポイントが発生する『場所』と『時間』に着目して 個別ルートを一度分解する ③ 各イベントをゲーム進行のタイムテーブル上で並列化し、 プレイヤー視点から再構成する 【準備編】 1. 全体のテーマやシステムを考える  ゲームのシステム(ジャンル) →ジャンルが変わると、インタフェースが変化する  ゲームのプレイ単位となる『進行時間』の区切り単位 →ゲーム内期間が、3年間/1ヶ月/2週間… →ゲーム内期間の長さによって、区切りとなる時間は当然異なる  想定プレイ時間(プレイセッションとプレイウィンドウ) 38
  • 41. 【準備編】 2. キャラ対比表を作成する i. 各ルートの『主人公』は誰か?  各ルートでの攻略キャラは誰か? →攻略キャラ(ヒロイン)を各ルートでの『主人公』と考えることで、 ストーリーを構成することが可能となる ii. 各ルートにおいて、主人公以外のキャラは、そのルートの『主人公』に対して、 どのような立ち位置を占めることになるか?  ルートによって、関係性が変化する場合/関係性が変化しない場合の両方がありうる  マルチルートシナリオでは、関係も相対的であることに注意 iii. 各ルートの個別テーマを考える  各ルートで達成される『主人公』の超目標(劇的欲求)を考える  各ルートのオチを考える  スタート時点での各『主人公』の状況(初期的状況)を考える  各『主人公』(ヒロイン)のバックストーリーを参考にするとよい  各ルートにおいて『主人公』に対しプレイヤーキャラがどのように働きかけるか考える ( 『主人公』とプレイヤーキャラとの関係性) →選択肢を作るヒントになる iv. 各キャラごとに関係性の深い場所や要素を設定する  よく行く場所  所属しているコミュニティ  参加するイベント  普段の行動パターン →これらが、プレイヤーキャラと各ヒロインを出会わせる(きっかけを作る)ヒントとなる v. 各ルート別にざっくりとした三幕構成の内容を考えておく  最初の状態  葛藤と対立、発生する主な事件  決着のつき方 39
  • 42. キャラ対比表サンプル 列方向は、PC(プレイヤーキャラ)と、各個別ルートで『主人公』となるヒロイン、ストーリー全体の敵、友人等を記入 行 方 向 に 各 キ ャ ラ ク タ ー の プ ロ フ ィ ー ル を 記 入 40
  • 43. 【準備編】 3. 各ルート別プロットを作成する i. 各ルート別に、そのルートで『主人公(ヒロイン)』を務めるキャラを中心に、 7つのエピソードポイントを配置する  各エピソードポイントに配置される内容は、通常のドラマチックストラクチャーと同じ  エピソードポイントを契機に、『主人公(ヒロイン)』の行動が変化することに注意  エピソードポイントで発生するイベントの起こる場所、時間をざっくりと決めておく ii. 各エピソードポイントで発生する事件が、プレイヤーキャラの目前で発生する かどうかチェックする  目前で発生するものなら、プレイヤーキャラがその時間、同じ場所に『主人公』と一緒 に居合わせる必要がある  目前で発生しないのなら、いわゆる『伏線』的なエピソードとなってしまうので、後々プ レイヤーキャラに、変化した『主人公』の行動の意味をどのように開示するか、考えて おく必要がある iii. 事件は並列に発生していることを、常に意識する  『オッカムの剃刀』  無理な段取りを重ねなければ、プレイヤーキャラの目前で発生させることができない 事件は、素直に伏線に回す  あえて目前で見せるのだったら、特別なルートとして分岐させる方がよい 41
  • 44. 各ルート別プロットサンプル 【共通カレンダー】 【ヒロインAシナリオ・プロット】 【共通カレンダー】 【ヒロインAシナリオ・プロット】 12/31大晦日 ◎ライブハウス前でPC一行に出会う 12/31大晦日 ◎ライブハウス前でPC一行に出会う (月) →簡単な紹介 (月) →簡単な紹介 (レポートの件を簡単にPCに振る) (レポートの件を簡単にPCに振る) 1/1 餅つき大会 ◎PCとヒロインAの出会い(初詣帰り) 1/1 餅つき大会 ◎PCとヒロインAの出会い(初詣帰り) (火) →レポートの件を聞くPC。翌日、借りる約束 (火) →レポートの件を聞くPC。翌日、借りる約束 をつける。(翌日ヒロインAはバイト休み) をつける。(翌日ヒロインAはバイト休み) ○主人公、餅つき大会で友人Mがバイトを ○主人公、餅つき大会で友人Mがバイトを やろうかなと考えているのを聞く やろうかなと考えているのを聞く ルート別に、発生する出来事をメモし (理由は、生き方改善の一環だが、 (理由は、生き方改善の一環だが、 ていく。 別にPCには語る必要はなし。ただの含み) 別にPCには語る必要はなし。ただの含み) 後に分かりやすいように、自分なりに ■PC、知人Eと出会う ■PC、知人Eと出会う ルールを決めて、共通ルート的に見る →ヒロインBの家に年始回りに行く途中 →ヒロインBの家に年始回りに行く途中 もの、個別ルートでのみ見るもの、伏 ■私服のヒロインAにヒロインBの自宅前で会う ■私服のヒロインAにヒロインBの自宅前で会う 線的な他のキャラの動き等をメモし (状況的には、知人Eの姿を見かけて、後を着けて (状況的には、知人Eの姿を見かけて、後を着けて ていくとよい。 きたというところ) きたというところ) 左の例だと、 →ヒロインA、PCの自宅を知る →ヒロインA、PCの自宅を知る ◎→共通的な出来事 1/2 羽根つき大会 ◎羽根つき大会を適当に切り上げるPC。 1/2 羽根つき大会 ◎羽根つき大会を適当に切り上げるPC。 ■→個別ルートでのみ見る出来事 (水) →ヒロインAとの待ち合わせ場所に急ぐと、 (水) →ヒロインAとの待ち合わせ場所に急ぐと、 ○→伏線的な他のキャラの動き 初詣に誘われる 初詣に誘われる になっている。 ◎初詣の後、ヒロインAにレポートを借りる ◎初詣の後、ヒロインAにレポートを借りる →PCの家に来るヒロインA・1 →PCの家に来るヒロインA・1 →■玄関先で適当な会話に終始 →■玄関先で適当な会話に終始 →■【ヒロインA、ヒロインBとPCの関係を知る】 →■【ヒロインA、ヒロインBとPCの関係を知る】 ○友人Mからバイトはダメだった件を聞く ○友人Mからバイトはダメだった件を聞く (すでに定員に達していたとかで) (すでに定員に達していたとかで) →でも、落ち込んでいない →でも、落ち込んでいない →素敵な店員さんと知り合いになったとのこと →素敵な店員さんと知り合いになったとのこと →あんな女性になりたいなぁと憧れてる友人M →あんな女性になりたいなぁと憧れてる友人M 共通ルートで発生する大きめの イベントを書く欄 (後にルートの結節点として使う) 42
  • 45. 【準備編】 4. 全体ラフプロットを作成する i. 具体的なフロー作業にはいる前に、共通ルートと個別ルートで発生するイベントを 一覧できるようにしておくとよい ii. ゲームの進行時間単位を考慮して、共通ルート、個別ルートで発生する出来事 (イベント)をざっくりと書き込んでおく iii. 共通ルートと個別ルートで起こることを簡単にまとめておくことで、 後々フローを作成する際に、各ルートの結節点や分岐点を作りやすくするのが目的  共通ルート用イベント中では、多くのキャラが同じ時間、同じ場所に居合わせることになる ので、各ルートの結節および分岐ポイントが作りやすくなる  個別ルート用イベント中では、そのルートの『主人公』となるキャラ(ヒロイン)と、プレイヤー キャラが一緒に行動することになるので、各ヒロインをプレイヤーに深く印象付けるための イベントを配置する  もちろんこれらのイベントが、各ルート別プロット中でエピソードポイントに当たっているよう にする。そうすることで、分岐後の展開がドラマチックになる iv. その他、共通設定などもメモしておくとよい(日付とか、その日の天気とか) 43
  • 46. 全体ラフプロットのサンプル ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 12月31日(月曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:未明から雪 基本情報などを書く欄 12月31日(月曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:未明から雪 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ ●共通 ●共通 朝: 朝: 昼: 共通ルートで見られるイベント 昼: 夕: や情報等を書き込む。 夕: 夜:大晦日ライブに参加《CGあり》 イベントCGがある時には、その 夜:大晦日ライブに参加《CGあり》 旨を書いておくとよい。 ●ヒロインA ●ヒロインA 朝:朝からバイト。早朝シフトは時給も高い。 朝:朝からバイト。早朝シフトは時給も高い。 昼:引き続きバイト。言い寄ってくるバカな客を適当にあしらったりしている。 昼:引き続きバイト。言い寄ってくるバカな客を適当にあしらったりしている。 ゲームの進行 夕:バイト明けて「どうしようかな~」ってところ。最近お兄ちゃんには会ってないし 夕:バイト明けて「どうしようかな~」ってところ。最近お兄ちゃんには会ってないし タイムテーブル ‥‥。 ‥‥。 を考慮して、 夜:で、大晦日ライブを覗いたりする。ここでPCに会ってもいい? 夜:で、大晦日ライブを覗いたりする。ここでPCに会ってもいい? ざっくりと時間を わけて出来事を ●ヒロインB ●ヒロインB 以下、各ルート別ヒロイン単位に 書き込んでいく 朝:前日に残った仕事をかたづけるために学校へ。 朝:前日に残った仕事をかたづけるために学校へ。 見られるイベントや情報を書き込む。 昼:お仕事。しつこい同僚に言い寄られたりしても、気にしない。 昼:お仕事。しつこい同僚に言い寄られたりしても、気にしない。 サンプルのようにバックストーリー的 夕:お仕事終わって一人で帰る。その前に赤ちょーちんに走る。 夕:お仕事終わって一人で帰る。その前に赤ちょーちんに走る。 に書いておくと、後々便利 夜:大晦日は遅くまで電車あっていいわねぇ‥‥ヒック、とか言いながら帰宅。 夜:大晦日は遅くまで電車あっていいわねぇ‥‥ヒック、とか言いながら帰宅。 ●ヒロインC ●ヒロインC 朝:多分、家でお勉強。 朝:多分、家でお勉強。 昼:引き続き、自宅でお勉強。時々同じクラスのアイツのことを考えたりしてる。 昼:引き続き、自宅でお勉強。時々同じクラスのアイツのことを考えたりしてる。 夕:年越しそば用のめんつゆを買いに行くところを、忘年会に行く途中のPC達に 夕:年越しそば用のめんつゆを買いに行くところを、忘年会に行く途中のPC達に 見られたりする。あの制服ナツカシ~とか言ってる年増がいることを耳にしたり。 見られたりする。あの制服ナツカシ~とか言ってる年増がいることを耳にしたり。 夜:年越しそばを食いながら『ゆく年くる年』を見ている。初詣は家族で深夜に行く。 夜:年越しそばを食いながら『ゆく年くる年』を見ている。初詣は家族で深夜に行く。 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 1月1日(火曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:晴れ 1月1日(火曜日) 朝の天気:晴れ/昼の天気:晴れ/夜の天気:晴れ ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ ●共通 ●共通 朝:みんなで初詣 以下、同じフォーマットで 朝:みんなで初詣 昼:ヒロインBの家で餅つき。 《CGあり》 進行タイムテーブルの最後まで 昼:ヒロインBの家で餅つき。 《CGあり》 夕: 書いていく 夕: 夜: 夜: 44
  • 47. 【執筆編】 5. シナリオ構成表を作成する i. 全体ラフプロットを元に、各ルート別プロットで配置したエピソードポイントを、ゲーム進行用 のタイムテーブル上に再配置する  各ルート別プロットをシナリオ構成表に組み直すことで、プレイヤーが実際に目のあたりにするゲーム のシナリオ構成となる ii. 多くの場合、タイムテーブルの1マスが、シナリオテキストの1ファイルに対応する形式になる  ここで正式なファイル名も決めておく iii. シナリオ構成表には、シナリオテキスト作成に必要な情報をすべて書き込んでおくこと  そのファイル内で書かれるべき内容に関してのざっくりとした説明  フラグの発生と参照、条件判定等の情報、発生するアイテム等  そのファイルから分岐する先(ジャンプ先)のファイル名  具体的なテキストはないが、システム上必要となるファイルなども入れておくとよい (分岐先を整理しただけのファイルとか)  各ルートが複雑に結節したり、分岐したりする構成になる場合、各々のルートを辿ってきた時にどのよ うな情報がプレイヤーの手元にあるか、きちんと整理しておくこと  プレイヤーが持っている情報を、アイテムに体化する →プレイヤーが情報を得るタイミングとアイテムゲットのタイミングを合わせる 45
  • 48. シナリオ構成表サンプル イベントカテゴリ ファイル名とタイトル 手に入るアイテムや、注意すべきフラグ管理、特殊なジャンプ先等の情報がある場合には記入しておく タイム テーブル 重要な役割を占めるキャラクター 舞台となる場所 シナリオテキストの具体的な内容 46
  • 49. 【執筆編】 6. シナリオフローを作成する i. シナリオ構成表を元に、各シナリオファイルがどういう順番で発生するか、フローとしてまとめ る ii. フロー図の書き方のルールに基づいて、シナリオ構成表より分岐条件を抽出し、各シナリオ ファイルを配置する  選択肢の配置(プレイヤーの入力に対する分岐)  初期化も含むフラグやカウンタの設定  条件判定のよる分岐 iii. シナリオファイルは多くの場合、スクリプトファイルの元になるので、シナリオフローを作成する ことで、スクリプトの発生順序が確定する 47
  • 50. シナリオフローサンプル ジャンプ先等の構成が複雑な時 には、積極的に「端子」を使って 書くとよい。 巨大な巻物にならないように 注意すること シナリオ構成表を 元に、シナリオフロー として起こす。 ここでフラグの ON/OFF情報を 確定する 48
  • 51. 【執筆編】 7. 各シナリオファイルの作成 i. シナリオ執筆のためのテキスト仕様と、シナリオ構成表を参考に各シナリオファイルを作成する ii. ゲームの場合、文字数制限など、個別のゲームごとに異なる決まりごと(仕様)があるので、 それらに従って、テキスト作成をする必要がある 【本日のまとめ】 1. マルチエンディングタイプのゲームシナリオにドラマチックストラクチャーのメソッ ドを取り入れる場合、各攻略キャラ単位にドラマチックストラクチャーのメソッドで 構成した個別ルートのプロットを、各エピソードポイントが発生する『場所』と 『時間』に着目して一度分解した後で、各イベントをゲーム進行のタイムテーブル 上で並列化し、プレイヤー視点から再構成することで実現することができる。 2. 共通イベントを各ルートの結節点及び分岐点として利用することで、ルートの途中 変更ポイントを効果的に配置することができる。その際、各ルートを辿ることでど のような情報をプレイヤーが得るか、しっかりと確認しておく必要がある。 3. 各分岐ポイントを個別ルートのエピソードポイントに一致させることで、分岐後の 展開をドラマチックに演出することが可能となる。 49