2 i46. Introduction
• 企業活動における特許権等の知的財産の運用の重要性
– Apple と Samsung の特許紛争
– 台湾 Everlight 社による日亜化学工業が保有する白色ダイオード関連特
許に関して特許無効審判請求
• 一気通貫型の経営方針はグローバル社会において限界
– 研究から開発,製造,市場開拓,販売までを一つの企業内で行なう
– Google, Facebook, Apple, Amazon, Microsoft, Samsung, HTC, Motorola などの
ICT 企業を中心に,知的財産取得を目的とした,企業買収,もしくは知
的財産そのものの買収が盛ん
• 我が国の ICT 産業の疲弊
– 自社研究開発のコスト的および技術的な限界
– ICT のコモディティ化による更なる機能付加をユーザが期待していない
「オーバーシューティング」による, ICT 産業の限界
我々のような公的研究機関(不実施機関)は知的財産における経済活動にお
我々のような公的研究機関(不実施機関)は知的財産における経済活動にお
いて
いて
どのような位置づけでとるべき対策は何か?
どのような位置づけでとるべき対策は何か?
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8. 日本の論文数の低下
整数カウント
法
2002-2004 年
2008-2010 年
伸び率
日本
63,800
71,100
+11%
米国
223,900
297,200
+33%
英国
ドイツ
61,800
82,200
+33%
58,000
80,000
+38%
中国
43,400
120,200
+177%
Thomson Scientific 社“ Web of Science” を基に、科学技術政策研究所が集計したもの
ここでは、日本と米国の共著論文の場合、日本 1 件と米国 1 件とする整数カウント法で計測し
ている。
産業界
この不景気で研究費を捻
出できない。イノベー
ションの 頼みの綱は、
大学、研究独法なのに…
…
知的財産といいながら、肝心な論文数も伸び悩む
各研究者 ( 大学、研究独法 ) の肝心の研究活動が疎かになっている理由
は?
知的財産管理について、もう一度整理すべきではないか
桑原輝隆,日本の大学の研究活動の現状把握~研究面を中心とする機能分化について~ , 中央教育審議会大学分科会(第 101 回)資料 5, 2011
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11. 産業界の分野別特許実施率 (2011 年 )
0.00%
10.00%
20.00%
30.00%
40.00%
50.00%
60.00%
70.00%
80.00%
90.00% 100.00%
全体
建設業
食品製造業
繊維・
パルプ・
紙製造業
医薬品製造業
化学工業
石油石炭・
プラスチッ ゴム・
ク・
窯業
鉄鋼・
非鉄金属製造業
金属製品製造業
機械製造業
用
輸送
他社実施
率
電気機械製造業
自社実施
率
機械製造業
機械器具製造業
用
業務
その他の製造業
情報通信業
卸売・
小売等
その他の非製造業
教育・
TLO・
公的研究機関・
公務
個人・
その他
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12. これらの資料から見えてくるもの
• 「教育・ TLO ・公的研究機関・公務」 他社実施率が1
割強
– 研究成果、知的財産が使用されない状況
• 不実施機関に至っては約 85 %もが死蔵特許
• 日本の産業全体の特許実施率
– 業務用機械器具製造業以外は全体で 50% 程度の実施率
– 他社実施率が平均 10% 程度 公的機関と変わらない!
– 米国では盛んに知的財産の売り買いが激しくなっている ICT 分
野に至っては,他社実施率が 10 %に届かず,自社実施率と合わ
せても 40% に満たない
閉鎖方式では,世界で戦えない
閉鎖方式では,世界で戦えない
↓
↓
打開策はオープンイノベーションの実践(知的財産の流動化)
打開策はオープンイノベーションの実践(知的財産の流動化)
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13. 科学技術の状況に係る総合的意識調査
• 科学技術政策研究所が出した調査
• 産学官連携の活発度 ( アンケート調査 )
– 2006 年より 2010 年が低くなり,共同研究実施件数も 2008 年を
境に落ち込んでいる
• これはサブプライム問題による不景気によるものと考えられる
• 不景気を解決するものだったはずの産学官連携自体が,不景気によって産学
官連携や共同研究から遠ざかっている結果が明らかになっている
– また,産業界が抱えている技術的課題の大学や公的研究機関へ
の情報発信が十分でないという意見が 2006 年から継続して大学
等から出ているのに対し,産業界は十分に発信していると答え
ており,そこからニーズマッチングがうまくいっていない
• これに関しては大学等の知的財産管理技能者やコーディネータの人材不足等
が挙げられている
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15. 3 ステップでの社会展開
ユーザにて運用
NICT にて運用サポート
•
成果の社会展開を阻む要素(アイデア、ビジネスモデル、コスト)であるユー
ザを支援
NICT
– 何に使えるのかわからない?
STEP1
アプリ公開 //実証実験による成果の周知(宣伝活動)
アプリ公開 実証実験による成果の周知(宣伝活動)
– 試してみたいけれど、ビジネスになるかどうかわからないので、
リスク回避として開発費を抑えたい
STEP2
NICT
フォーラム等を介したデータベース提供、 SDK 整備と無償サーバ
フォーラム等を介したデータベース提供、 SDK 整備と無償サーバ
によるプロトタイプ開発環境提供
によるプロトタイプ開発環境提供
– プロトタイプによってビジネスとして成功しそうであるが、独自の運
用方法で実施したい
STEP3
民間へのライセンス供与(ソースコード、データベースなど)により
民間へのライセンス供与(ソースコード、データベースなど)により
、
、
民間サイドの独自の改変、運用、メンテを実現( NICT inside!! )
民間サイドの独自の改変、運用、メンテを実現( NICT inside!! )
16. NICT ー UCRI での取り組み(1)
研究所体制面での取り組み
• ICT でも特に,アプリケーションレイヤの研究
• 研究をよりオープンに
– 共同研究と出向契約を組み合わせて産業界から人材を受け入れ
– 研究所での研究のフェーズからの参加
– 技術思想やノウハウを得て,それを元にしてビジネスモデルで展開する
という形の社会還元例
今まで無視されてきた不実施機関の特許の産業界への還元例
今まで無視されてきた不実施機関の特許の産業界への還元例
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17. NICT ー UCRI での取り組み(2)
ICT システム面での取り組み(本年10月〜)
一般用語
(どういうときに
使うか?)
他社の特許が
身近になる
産業界/一般ユーザ
経営陣
知財を利活用するための検索
目的指向型技術
目的指向型技術
文書検索技術
文書検索技術
オ
ー
プ
ン
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
技術の要約
研究者/研究グループ
知財を創造するための検索
キーワード
IPC/FI/F ターム
/D ターム
弁理士/知財管理者
知財を守るための検索
類似技術文書検索
類似技術文書検索
技術
技術
特許データ
ベース
IPDL 、 esp@ce
net 、 PatentScope
などの既存の
検索エンジン
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22. NICT ー UCRI での取り組み(2)
特許マップ自動生成システムとの違い
特許マップは特許文献に対し、本システムより多彩なマップ、グラ
フを出し多角的に俯瞰可能
→ しかし、そのマップを出すためには、クエリをはじめ、軸を何に
するかはマップ作成者に任されるため、マップ作成者(サー
チャー)の技量と利益権者に有利なマップを故意に作ることも可能
。
→ 本システムは、アイデアのメモ書きを入力するのみで、そのアイ
デアを膨らませる、特徴付けする、もしくは分類するための語を軸
として自動的に取り出す
自分のアイデアを客観的に俯瞰することが可能
自分のアイデアを客観的に俯瞰することが可能
↓
↓
知的財産を洗練して育てる、利用先を見つける
知的財産を洗練して育てる、利用先を見つける
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23. Conclusion
• 大学および研究型独立行政法人の研究費のほとんどは税
金でまかなわれている
– 研究成果を社会に還元することは我々の責務
• NICT は産業界と手を結びながら研究開発をし,世の中に
成果を製品,サービスの形で還元
– 本来は研究をすべき研究者がサポート人員になってしまった例
– 不実施機関の知的財産が着目されないのが実情
– 研究所の「営業部門」設立?
• オープンイノベーションは社会の役割整理とコラボレー
ション
– 産業界が抱えている技術的課題に我々研究所が取り組む
– オープンイノベーションは社会全体が意識
実は知的財産の集積する場所は弁理士/知財部門の人間
実は知的財産の集積する場所は弁理士/知財部門の人間
新時代のコラボレーションの拠点
新時代のコラボレーションの拠点
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25. 成果事例 ( 音声翻訳アプリ VoiceTra )
6 言語の音声入出力。
21 言語の文字入出力。
NICT 実証実験システム
NICT
実証実験用
音声翻訳サーバ
パケット通信
言語ごとの入出力対応状
況
iPhone 用公開
2010 年 7 月 29 日
Android 用公開
2011 年 4 月 25 日
利用状況
50 万 DL
日本語
英語
北京語
台湾華語
韓国語
フラ
ンス語
ド
イツ語
ヒ
ンディ
語
インド
ネシア語
イタ ア語
リ
マレー語
ポルト
ガル語
ポルト
ガル語
( ジル)
ブラ
ロシア語
スペイン語
タ
ガログ語
タ
イ語
ベト
ナム語
アラ
ビア語
オラ
ンダ語
デンマーク語
入力
出力
テキスト 音声 テキスト 音声
○
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26. 自動翻訳構築のための新しい試み
人力翻訳エンジン + 自動翻訳エ
留学生ネットワーク@みんなの翻訳
NICT 研究開発エンジン
1. アパレルサイト
アイテム説明
全テキストデータ
(日本語原文)を
分析
ンジン
「留学生ネットワーク@みんなの翻
訳」
https://en.ecom.trans-aid.jp/index.htm
4. 自動翻訳エンジン
構築
2. 翻訳サイト「留学生
ネットワーク@みんなの
翻訳」
にて、国内留学生により
安価に日本語→多言語に
人力翻訳(対訳構築)
今夏大流行のマキシ丈ワンピース。この夏1枚
は欲しいアイテムです。
↓
Maxi length dresses are one of the hottest items
of this summer. One of the items you definitely
need to buy this summer.
3. モデル化
今夏→ this summer
大流行→ the hottest items
マキシ丈ワンピース→ Maxi length dresses
この夏→ this summer
1枚は欲しいアイテムです→ are one of the
items you definitely need to buy.
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29. 成果事例(情報分析システム)
情報分析システム WISDOM
様々な人が発信した Web コンテンツを多面的に分析するシステム
発信者別の意見の分布
発信者別の意見の分布
「風力発電は環境に良
い」
発信者の種類の違いによる
意見の偏りがわかる
風力発電は環境に良い
といわれるが本当だろうか
主要・対立文
主要・対立文
大多数の情報と
企業・匿名は肯定的
公益法人等は賛否が拮抗
肯定・否定意見の集
肯定・否定意見の集
約
約
1000 件の文書中の肯定・否定
Web ページ内の
詳しい分析結果を表
示
少数の対立する主張の提
示
意見を 30 行程度に要約
分析詳細ナビ
分析詳細ナビ
発信者の分布
発信者の分布
発信者ごとの肯定・否定意見一
発信者ごとの肯定・否定意見一
覧
覧
経済効果が見込まれる
一方で、騒音問題もある
WISDOM によって風力発電
の利点欠点を整理し、十分
な情報に基づく判断が可能
公益法人のページで
野鳥の衝突の危険性が指摘
騒音や野鳥被害などの環境問題
が残されている。設置場所等十
分検討して計画するべき
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