ソフトウェア開発30年史を振り返りつつ考えるプログラマにとって変わらないもの

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Happy Creation, Play the Development!
ソフトウェア開発30年史
プログラマにとって変わらないもの
2018 02/16 D4
エンバカデロ・テクノロジーズ Delphi MVP
株式会社シリアルゲームズ取締役
細川淳
【16-D-4】
#devsumiD
#インターネット老人会

このセッションは…
• エンバカデロ・テクノロジーズのスポンサーセッションですが…
開発者が興味を持ち、面白いと思ってもらえることを
自由にしゃべってよいと言われています。
本日のおみあげはこちら。Delphi版の小型書籍が
ほしい方はコンポーネントソースブースへ
Delphiキャラクター
神野甘音
エンバカデロはボーランドの開発ツール部門を引き継ぎ
Delphiをはじめとする開発ツールを提供しています。

あんた誰？

細川淳 (Twitter: @pik)
• 株式会社シリアルゲームズ
• エンバカデロ・テクノロジーズ Delphi MVP
• 最初に触ったマイコン： MZ-80K
• 最初に触った言語： SHARP BASIC
• 最初に触った統合開発環境：Turbo Pascal 5.0
https://edn.embarcadero.com/museum/antiquesoftware

• 学生時代に使った機種：PC-E500, FM-TOWNS II UX20, AT&T Globalyst 200
• 学生時代に使った言語：BASIC, MASM, C, Pascal, Object Pascal
• 学生時代に使ったエディタ：RED2, WZ-Editor
• 欲しかったマシン：DEC digital Hinote Ultra

シリアルゲームズ
• ゲームのサーバー・クライアント両方をワンストップで！
• 自社タイトルピタッチ
• http://pitacchi.com/

混沌があった

• 低レベル言語の時代
– 機械語
– アセンブリ言語
• 研究の時代
• 高級言語の実用化
– FORTRAN
– LISP
– COBOL
– ALGOL
1950 • メインフレーム
– UNIVAC
– IBM 70x / 70xx シリーズなど

• 言語の発展
– CPL → BCPL → B → C
– BASIC
• オブジェクト指向
– Simula
• C の登場
– C
– Pascal
• 実用的なオブジェクト指向
– Smalltalk
– C++
– Objective-C
• 個人で使える開発環境の登場
– 各社 BASIC
– Borland Turbo シリーズ
– LSI-C
– Microsoft Basic / C など
1960
1970
1980
• ハードウェアアーキテクチャ確定へ
– IBM System/360
– 8bit = 1byte
– 2の補数
– マイクロコード
• ミニコンの誕生
– DEC PDP / VAX シリーズ
• Unix の誕生
• マイクロコンピュータの誕生
– マイコン
• パーソナルコンピュータの誕生
– CP/M, MS-DOS
– IBM PC/AT
– PC 8801 / 9801
– MZ / X1 / X68000
– FM / FM Towns
– MSX

未来を感じさせたワード達
• ニューメディア
– ビデオテックス
– CAPTAIN System
• マルチメディア
• テレビ電話

ジョン・バッカスは
「FORTRANあれ」と言われた。
するとFORTRANがあった。

初期の言語
• FORTRAN
– 初期のコンピュータの目的でもあった弾道計算を簡単にするた
めに企図された言語。
– そのため、現在も科学技術計算用途として優れている。
• LISP
– 数学的な表記法をプログラムに持ち込むために考え出された）
– 人工知能系のプログラミングによく使われていた
• ALGOL
– 欧州の計算機科学者達が米国に対抗するために生まれた。
– アルゴリズム記述によく用いられた
• COBOL
– 事務処理システムの統一言語として誕生した

• どれも実際的な目的を持って開発されています
• ジョン・ワーナー・バッカスは「プログラムが嫌いだったので、
簡単にプログラムするために FORTRAN を作った」と言っていま
す。
• 今も受け継がれているプログラマの美徳「怠惰」
めんどくせー

研究の時代
• 当時、アセンブリ言語での記述が現実的な方法で、高級言語は現
実的ではないと考えられていました。
• FORTRAN は、最初から最適化コンパイラとして設計されていま
す。
• LISP も、また元々は「超循環評価器」の論文からスタートしてい
ます。
• ALGOL に至っては、そもそもアルゴリズム言語の略称でアルゴリ
ズムの研究に使われました。
– ALGOL から抽象的な概念や技法や記法が生み出されました。

この時代は、新しい技術である高級言語に対する研究、そして新たな研究・探求、といった
サイクルを通して、次の時代へ繋がって行ったのです。
言語
探求発展

はじめに C ありき

C の誕生
• アセンブリ言語が主流だった時代に FORTRAN が誕生し、高級言
語が次々と誕生しました。
• そんな中 CPL, BCPL, B と続いた系列から遂に「C言語」が誕生し
ます。
• 汎用性・移植性の高さから C の文法を受け継いだ様々な言語が誕
生しました。
– もちろん C 系列ではない言語も誕生します。

誕生した言語
• C 言語以降も様々な言語が誕生します。
• 特に 1990 年代は現代でも使われる多くの言語が誕生します。
• Python, Haskell, VisualBasic, Ruby また中でも 1995 年は Delphi(Object
Pascal), Java, PHP, JavaScript といった言語が誕生しています。
Delphi だって
現役だし！！

オブジェクト指向
• C とは別にオブジェクト指向という考え方も登場しました。
• 後の言語に大きな影響を与えた言語としては Simula, Smalltalk
があります。
• C と Simula, Smalltalk のオブジェクト指向を融合させた C++
と Objective-C が誕生します。
• 以降、多くのオブジェクト指向言語が続々と誕生します。

スクリプト言語の隆盛
• コンピューティングパワーが上がるに連れてスクリプト言語も発
展しました。
• 面白い事に当初の高級言語と同様、スクリプト言語は速度の観点
から使い物にならないと考えられていました。
• それらを覆したのはインターネットの進展によってサーバ側の需
要が増したからかも知れません。
– スクリプト言語は、プログラムミスがあってもサーバそのものは落ちづら
いからです。

Java の誕生
• そんな中ついに Java が誕生します。
– 元々は STB 用言語として開発されたことから、プログラムミスによる高
障害耐性がありました。
• Java によって現実的な実行環境としての Virtual Machine が実現
します。
Android のアプリは Java のハズなのに
良く落ちるって？
Android の Java は Java じゃないし…

VM の活用
• この Java の Virtual Machine の成功で、色々な VM が出てきま
す。
– C# CLR, ActionScript VM などです。
• さらに Java ではなく、他の言語をコンパイルし Java byte code
を出力するタイプの言語が出てきます。
• Scala, Kotlin, Groovy や、Clojure 等です。

言語の変遷
• AI では従来 Lisp や Prolog といった言語が使われてきました。しかし、
Google が AI 分野でも Python を利用している事から、近年では
Python が AI 用の言語として台頭しています。
• JavaScript も元々のブラウザ上で動く、という枠から飛び出してサー
バサイドやクライアントのアプリも記述できるようになりました。
• C# は元々は Windows のアプリを作るための言語でしたが、近年では
モバイルやサーバサイドにも使われるようになっています。
• Delphi も元々は Windows アプリを作るための言語と環境でしたが、
現在は macOS, iOS, Android, Linux のアプリケーションを製作でき
るように発展しています。

言語の探求から新しい言語が生まれ、さらに新しい考え方が誕生し、そしてさらに新しい言語
が登場します。言語はスパイラルで発展しました。
言語
探求解決
問題
応用

ハードウェアとともに

• コンピューターハードウェアの発展とともに OS も
進化を繰り返しました。
• 様々な概念や技術革新がハードウェアを発展させて
いきます。
• CPU では、CISC / RISC の戦いが起こったり、
キャッシュやクロック数を増大させたり、省電力化
のためのコードモーフィング（Transmeta
Crusoe）といった新しい技術が数多く生まれまし
た。
• ハードウェアの発展に合わせて OS も進化しました。

色々な OS
• UNIX
– 言わずと知れた最も歴史がありコンピュータ
カルチャーそのもの
– Free BSD
• macOS などに
– Linux
• Android などに
• CP/M, MS-DOS
– パーソナルコンピュータ用の代表的なOS
• System, 漢字 Talk, Mac OS
– Apple Macintosh 用の OS

現代でコンシューマーよりの OS
• MS-Windows
– Microsoft 社の OS
• MacOS X, OS X, macOS
– Apple Macintosh 用 OS
• iOS
– Apple iPhone 用 OS
• Android
– Android Smart Phone 用 OS

覇権を争った？OS
• OS/2
– IBM PS/2のOSとしてIBMとマイクロソフトが
共同で開発
• NeXTSTEP, OPENSTEP
– スティーブ・ジョブズ率いる NeXT 社の OS
– Objective-C によるオブジェクト指向の OS
– Apple に買収された
• BeOS
– C++ によるオブジェクト指向の OS
• 現在 Haiku プロジェクトとして継続中
– Apple が採用を見送った

モバイル用 OS
• Newton OS
– Apple が作った世界初の PDA の Newton に
搭載された OS です。
– この時の経験が iOS にも生きています。
• Magic Cap
– General Magic 社が作った OS
– General Magic は、Apple や Microsoft と
いった様々な企業の出資で設立されました。
ここには後に Android を製作したアン
ディー・ルービンもいました。
• Palm OS
– PDA として最も成功した OS だと思います。

• 様々な OS の試行錯誤によって遂にモバイルの時代が来ます。皆
さんご存じ iOS, Android です。
– Windows CE, Windows Phone, FireFox OS …
• iOS, Android については、またの機会に。

OS / ハードウェアの仮想化
• 少し前までは仮想化というのは速度的にあり得ないという意見が
大勢でしたが、ハードウェアの進化で可能になりました。
• VMware や Hyper-V などの仮想化ソフトが出てきました。
– その他にも例えば BlueStack などのエミュレータもあります。
• Docker といったコンテナ技術も出てきました。

ハードウェアの発展に伴って OS も発展を続けてきました。
その OS を知ることはハードウェアを知ることにもなり、また物理的な変化も訪れました。
OS
探求発展

開発環境？
秀丸だよ

エディタについて
• パンチカード
– 流石に読めませんが…
– 当然ですが磁気記録媒体やモニタの出現以前と以後でエディタが変わりま
す。
• ラインエディタ
– ed, edlin など
– 実際にこれでプログラム組むのはすごい辛い…
• テキストエディタ
– 高機能なエディタではなく、本当に初期のテキストを打つだけのもの

• ソースコードエディタ
– 色分けや補完などできるようになっているもの
– 有名処では vi / Vim, Emacs など
– 最近は、Sublime Text, Atom, Visual Studio Code と
いった新しい勢力が盛り上がってきて「マルチプラッ
トフォーム対応」や「ミニマップ」「マルチカーソ
ル」といった新しい機能も追加されたりしています。
ビルド環境
– テキストエディタでコードを書き、コンパイラ、リン
カ、を経て実行ファイルができあがりました。
– 1977 に make がリリースされます。
– CMake や Ninja, Bazel, MSBuild といったビルドシス
テムが今でも開発されています

バージョン管理
• 現代のプログラムにはバージョン管理システムも重要なファク
ターです
• Git, Mercurial, Subversion など、特に Git は人気のツールです
ね
パッケージマネージャ
• librarian といった *.obj を *.lib 化するツールもありました。
• 現代的なパッケージマネージャは依存関係を自動的に解決したり
する高機能なモノが多いです。
– NuGet, CocoaPods, GetIt など

ドキュメント生成ツール
– プログラム制作が大規模化するにつれてドキュメントについても重視され
るようになりました。
– ツールとしては、JavaDoc, Doxygen, JSDoc など様々なモノがあります。
トランスレーションツール
– マーケットが自国のみで閉じている時代から AppStore や Play Store と
いった全世界に展開されているマーケットに移行したことで多言語対応が
必須になってきました。
– Android のように文字列リソースを多言語化するアプローチや、Delphi
FireMonkey のようにコンポーネントとして多言語化するアプローチなど
様々なモノがあります。

統合開発環境
• 開発が大規模になるに従い旧来のビルドツールでは不満な事や GUI 構
築の必要性から新しい形のツールが出てきました。
• それが統合開発環境です。
• コードの記述、コンパイル、リンク、を一括で実行し、さらにはデバッ
グ（統合デバッガ）まで出来るものです。
• 最初期の統合開発環境としては Borland の Turbo Pascal や Microsoft
の Programmer’s Workbench などがありました。
– Delphi は Turbo Pascal の進化形です。
• 現代では様々な統合開発環境があり、様々な言語や環境で使用されてい
ます。

アプリケーション開発としての JavaScript
• JavaScript を使用したアプリ開発フレームワークも色々と出てい
ます。
– Apache Cordova
– Sencha
先日、エンバカデロ・テクノロジーズの
親会社 IDERA に買収されました

パンチカードからモニタへの移行などハードウェアの物理的変更から、開発環境もドラス
ティックに変化していきました。
環境
開発発展

アプセトネデブ

Internet 前夜
• ARPANET などで今のインターネットに繋がる技術が多く開発されました。
• また、個人間では Nifty-Serve や PC-VAN といったパソコン通信サービスが発達
しました。
– 猫の手スクロール
– 「やめろよな、あの半角カナ口調！俺達のとこは禁止してるんだよ！！」
– You’ve Got mail

インターネットの登場
• インターネットの登場でソフトウェア開発にも多きな変革が起き
ます。
• WWW が誕生し様々なウェブブラウザが誕生しました。
• そこで、ブラウザをクライアントとして使ったり、サーバ側で多
くの処理を実行するなど、新しい考え方・技術が発展します。

WWW
• ブラウザでは VB Script や JavaScript といったブラウザ上で動く
スクリプト言語が誕生します。
• Flash も登場しました。
– Future Splash を Macromedia が買収して、さらに Macromedia を
Adobe が買収して、ジョブズが殺しました。
– 他にも Director とか ActiveX という技術も誕生しました。
• 既に述べましたがサーバ側では Java や PHP, Python, Ruby と
いった言語が新しく誕生しました。
– Java は当初、サーバサイドではありませんでしたが…

クラウドの登場
• Amazon AWS, Google GCP, Microsoft Azure など
• OS の仮想化、SaaS (Software as a Service), ASP など様々な
サービスが展開されています。
• WebAPI とのやり取りなどで使う XML や JSON, BSON などの
データ形式も登場しました。

IoT
• Internet Of Things で、色々なものがネットに繋がるように
• Raspberry Pi, mBed, IchigoJam などのワンボードコンピュータが登場しま
した
– 言語は C や BASIC といった往年の言語
– OS は Linux だったり、Android を載せたりできます。
• ワンボードコンピュータから IoT 機器を制御できます

スマートスピーカー
• 近年急速に存在感を増しているのがス
マートスピーカーです。
– Alexa, Google Home, Clova, HomePod
• 言語としては、JavaScript を使うことが
多いようです。

インターネットによって必要な技術も変わり新しい言語や技術が誕生しました
Web
探求発展

2018年

• プログラマにとって変わらないモノ、それは「探究心・好奇心」ではないで
しょうか？これらが発展をもたらし新しい技術を生んで行きます。
• 2018 年には何が起きるのでしょう？
?
探求発展

ソフトウェア開発30年史を振り返りつつ考えるプログラマにとって変わらないもの

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