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kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
社会包摂のためのデザイン
歩くことを起点に
浅野 翔
デザインリサーチャー
DESIGN FOR SOCIAL INCLUSION
AT THE STANDING POINTO OF MOBILITY
KAKERU ASANO, Design Researcher
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浅野 翔(あさのかける)
 1987年生まれ。2011年京都工芸繊維大学工芸科学部造形工学課程 建築コー
ス卒業後、2014年同大学院 工芸科学研究科デザイン経営工学専攻 修了。同
年、名古屋を拠点にデザインリサーチャー、サービスデザイナーとして活動
を始める。
 「愛知県で伝統工芸の中に障がいのある人の働く場所をつくる」Good Job!
プロジェクトなど領域横断するプロジェクトのディレクター、関係と環境を
デザインするARIMATSU PORTAL; PROJECTを共催、DESIGNEASTプロジェ
クトマネージャーなど。
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医療福祉とまちづくり
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日本の人口推移と推計
3,500
7,000
10,500
14,000
800
1000
1200
1400
1600
1650
1700
1750
1800
1850
1900
1950
2000
2050
2100
備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」
(1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」
鎌倉幕府成立
1192年
757万人
江戸幕府成立
1603年
1,227万人
明治維新
1868年
3,300万人
2050年(中位推計)
9,708万人
6845年(中位推計)
4,959万人
終戦
1945年
7,199万人
2010年
12,806万人
(万人)
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社会保障費などの推移
20
40
60
80
100
120
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2016
56.7
53
41.2
24
10.5
0.90.50.1
37.9
32.9
26
18.4
10.7
2.11.51
23.7
19.3
11.1
53.60.60.30.1
(兆円)
資料:国立社会保障・人口問題研究所「平成23年度社会保障費用統計」、2012年度,2013年度、2014年度(予算ベース)は厚生労働省推計、2014年度の国民所得額は「平
成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(平成26年1月24日閣議決定)」
(注)図中の数値は、1950,1960,1970,1980,1990,2000及び2010並びに2014年度(予算ベース)の社会保障給付費(兆円)である。
(予算ベース)
年金
医療
福祉その他
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資料:「都市再生:健康・医療・福祉のまちづくりの推進 - 国土交通省」
http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_machi_tk_000055.html
健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン
11..更更ななるる超超高高齢齢化化をを迎迎ええるる都都市市政政策策のの課課題題
① 高齢者等が安心 暮 す が 難 なる社会
22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組
① 地域における医療 介護体制の見直し
平平成成2266年年 88月月 11日日 ままちちづづくくりり推推進進課課・・都都市市計計画画課課・・街街路路交交通通施施設設課課
① 高齢者等が安心して暮らすことが困難となる社会
・ 2055年には人口が約3割減少、総人口の約4割は65歳
以上の高齢者
・ 徒歩圏内に生鮮食料品店がない高齢者単独世帯数が
約2.5倍に増加
② 更に低下する地域の活力
社会参加の場の減少による地域交流 地域活動の停滞
③ 厳しさを増す都市経営
・ 2025年には社会保障に係る公費負担分は1.5倍
増の約60兆円
・ 社会資本(国土交通省所管)の維持管理費は20
年間で約1.3~1.5倍増加
④ 健康・医療・福祉施策との施策連携の不足
・ 8割以上の地方公共団体において政策連携の必
① 地域における医療・介護体制の見直し
・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域
包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域)
② 医療費適正化の推進
・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策
③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進
日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の
優先施策の立案や関係者間の取組意識を・ 首長を中心に 都市部局
((11)) 推推進進体体制制
① 住民の健康意識を高め 運動
((33)) 必必要要なな55つつのの取取組組 ((55)) パパッッケケーージジにに
よよるる取取組組
・ 社会参加の場の減少による地域交流、地域活動の停滞
・ 特に大都市においては地縁によるコミュニティ関係が薄く、
高い孤立化リスク
8割以上の地方公共団体において政策連携の必
要性を認識しているものの、共同して提案した計
画は、全体の1割程度
33..「「健健康康・・医医
療療・・福福祉祉のの
((44)) 「「診診断断」」のの実実施施
・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の
増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数
の増加(47都道府県とする)
44..取取組組効効
果果ののチチェェッッ
・ 多くの市民が自立
的に、また必要に
応じて地域の支援
・ 優先施策の立案や関係者間の取組意識を
高めるため、自都市の分析・評価(「診断」)
が有効
・ 首長を中心に、都市部局、
住宅部局、健康部局、医療
部局、福祉部局等の横断
的な組織体制づくり(データ
共有、計画連携、住民との合
意形成等)
・ 道路管理者、交通管理者、
① 住民の健康意識を高め、運動
習慣を身につける
社会環境の改善を通じた市民意識
等の向上
② コミュニティ活動への参加を高
め、地域を支えるコミュニティ活動
活性化を図る
・ 「診断」を踏まえて5つの
取組については、優先順
位を定め、必要な施策の
組み合わせを工夫
・ 地域や関係者とのコミュニ
ケ シ ンを重ねながら 多
よよるる取取組組
指指標標例例 診診断断のの視視点点 指指標標 デデーータタ
全全国国
平平均均
都市の 市街地の 市街地の DID面積率 3.4%
ままちちづづくくりり」」
のの推推進進
果果ののチチ ッッ
ククとと取取組組内内
容容のの改改善善
・ 定期的な実応じて地域の支援
を得て、より活動的
に暮らせるまちづく
り
・ 日常生活圏域等に
おける必要な機能
(①健康機能 ②医 必要な対策検討の前に「現
((22)) 「「現現状状」」・・「「将将来来」」のの
把把握握及及びび「「見見ええるる化化」」
交通事業者、NPO、新たな
コミュニティ等との連携
の活性化を図る
高齢者のコミュニティ活動への参加等
生きがいの創出、多様な主体の連
携、コミュニティ活動の拠点づくり、コミュ
ニティビジネスの活用
③ 日常生活圏域・徒歩圏域に都
ケーションを重ねながら、多
世代の交流等が高まるよ
う施策間の連携を高め、
一体的なパッケージとして
取り組むことが大切
図:都市・地域診断による
評価イメージ
基礎的
状況を
診断す
る指標
現況・形状 コンパクト度 DID人口比率 67.3%
高齢者の
生活と健康
状況
高齢化
進展度
65歳以上の
人口の割合
22.8%
健康寿命 健康寿命 男70.4歳
女73.6歳
都市経営の 財政力 財政力指数
・ 定期的な実
態把握を継
続的に行い、
市民や地域
と連携した必
要な取組の
(①健康機能、②医
療機能、③福祉機
能、④交流機能、⑤
商業機能、⑥公共
公益機能)の確保
や、歩行空間、公
共交通ネットワークの
・必要な対策検討の前に「現
状」・「将来」の把握を実施
高齢者等の暮らし、必要な都市
機能の配置状況、地域の交通
環境等
・分析結果の「見える化」に
よる 関係者間の意識共有
市機能を計画的に確保する
計画的に確保することが望ましい
都市機能と機能確保の考え方、都
市機能を計画的に確保する際の
方策
④ 街歩きを促す歩行空間を形成
評価イメージ都市経営の
状況
財政力 財政力指数
0.49
施策の
取り組
み状況
を診断
する指
標
住民の健康
意識、運動
習慣
健康意識 健康習慣実践
者の割合 39.4%
コミュニティ
活動の活性
化
コミュニ
ティ活動
人口1万人あ
たりのコミュニティ
活動団体数
8.3
【取組効果の
事例】
改善
共交通ネットワ クの
充実等を一体的に
取り組む都市構造
のコンパクト化の推進
・ 都市政策の取組に
当たって、健康・医
療・福祉の視点か
よる、関係者間の意識共有
する
歩行ネットワークの構築、世代を超え
て利用される歩行空間づくり、歩行
をサポートするモビリティ等の活用、
歩行を促す仕掛けづくり
⑤ 公共交通の利用環境を高める
図:取組施策パッケージ化の
イメージ
①健康意識・運動習慣
②コミュニティ活動の活性化
③都市機能の計画的確保
④歩行空間
⑤公共交通利用環境
化 活動団体数
都市機能の
計画的な
確保
健康機能 徒歩圏内に公
園がない住宅
の割合
38.8%
医療機能 徒歩圏内に医
療機関がない
住宅の割合
39.3%
(年間の医療費
抑制効果)
=歩行数の増
加した住民数
×1日当たりの
歩数増加量
円/歩
療 福祉の視点か
ら必要な事業や施
策へと大きく舵を
切っていくことが必
要
図:A市における都市公園分布・バス
ルートと要介護・要支援認定者の割合
※町丁字界、都市公園、バスルート、要
介護要支援のデータの重ね図を作成
⑤ 公共交通の利用環境を高める
公共交通のサービス水準の向上、
地域のコミュニティ等が主体となっ
た交通サービスの提供、公共交通
の待合空間等の整備
街歩きを促
す歩行空間
歩行空間
整備率
歩道整備率
道路植栽率
14.3%
9.7%
公共交通の
利用環境
公共交通
のサービ
ス水準
公共交通利便
性の高いエリア
の住宅の割合
67.0%
× 0.061円/歩
× 365日
出典:筑波大学
久野研究室
2016.12.7 @PARADISE AIR
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22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組
① 地域における医療 介護体制の見直し① 地域における医療・介護体制の見直し
・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域
包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域)
② 医療費適正化の推進
・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策
③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進
日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の
増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数
の増加(47都道府県とする)
〈地域包括ケアシステム〉
最期まで住み慣れたまちで医療福祉や生活支援を受けられる仕組み
→日常の生活圏内(30分圏内)におけるサービス充実を目指す
〈健康日本21(第二次)〉
H25から10年間にかけて、
国民の健康増進を総合的に推進するための基本的な方針
→日常的な運動(歩数)の増大や運動習慣
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県別平均歩数における生活習慣病死亡者数(10万対)
500
600
700
800
900
1,000
1,100
1,200
6,000 6,500 7,000 7,500 8,000 8,500
全国平均
秋田県
長崎県
和歌山県
青森県
山形県
北海道
宮城県
高知県
岩手県
広島県
鹿児島県
新潟県
静岡県
沖縄県 神奈川県
東京都
岐阜県
千葉県
埼玉県
滋賀県
福島県
兵庫県
(死亡者数)
(歩数)
資料:厚生労働省「平成24年国民健康・栄養調査」、平成10年~平成14年人口動態保健所・市区町村別統計(人口動態統計特殊報告) 、平成16年人口動態調査、平成1
5年地域保健医療基礎統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)、平成27年度社会教育調査中間報告 美術博物館数
美術館数が全国平均より少ない都道府県
美術館数が全国平均より多い都道府県
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医療費と運動の関係
資料:e-wellnessシステムによる医療費抑制効果 | つくばウエルネスリサーチ, http://www.twr.jp/results/conclusion/conclusion02/
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日本の人口推移と推計
3,500
7,000
10,500
14,000
800
1000
1200
1400
1600
1650
1700
1750
1800
1850
1900
1950
2000
2050
2100
備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」
(1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」
鎌倉幕府成立
1192年
757万人
江戸幕府成立
1603年
1,227万人
明治維新
1868年
3,300万人
終戦
1945年
7,199万人
(万人)
2050年(中位推計)
9,708万人
6845年(中位推計)
4,959万人
2010年
12,806万人
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コンパクトシティの共通概念
①過度な車依存による環境問題や都心空洞化の解決策
②高い居住密度
③用途や居住者の多様性
④車より歩行者を優先するヒューマンスケールな都市空間
⑤地域の自然や歴史・文化を生かした都市固有の魅力
⑥環境との共生
⑦地域に密着した経済
⑧自動車より公共交通、歩行者、自転車に焦点を当てた交
通体系
資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
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ニューアーバニズムの特徴
①過度な成長の抑制とバランスの取れた発展
②地区内におけるバランスのとれた就住の融合
③多様なニーズに応えた住宅タイプの供給
④多様な交流機会と豊かなパブリックライフ
⑤歩行圏内での適度な用途の複合
⑥車より歩行者を優先するヒューマンスケールのまち
⑦まちのアクティビティ空間としての街路
⑧環境にやさしい公共交通システム
⑨自然環境の保護と生態系の保全
資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
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アーバンビレッジの特徴
①複合用途による開発
②地区内における就住のバランス
③地区の広さ約 4,0ha(600m×600m)
④地区内のどこにいくにも歩いて 10 分程度
⑤地区内の多様な活動や施設を支えるのに十分な人工規模
(3,000~5,000 人)
⑥歩行者に優しい環境
資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
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歩行者の権利に関する欧州憲章 (1988)より一部抜粋
第1条
歩行者は、健康的な環境で生活を営み、かつ身体的・精神的な安寧が適切に保
障された公共空間がもたらす快適さを、満喫する権利を有する。
第2条
歩行者は、自動車のためでなく人間の必要のために整備された、都市または集
落に居住し、歩行や自転車による移動距離内で、生活の利便性を享受する権利
を有する。
第3条
子ども、高齢者、および障害者は、都市において容易に社会参加の機会が得ら
れ、彼らの有する不利(弱点)を増大する場でないように求める権利を有する
…
資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
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社会包摂とデザイン
インクルーシブデザインのはじまり
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ヨーロッパ アメリカ
ユーザー パートナー(リードユーザー) 被験者
デザイン手法 インクルーシブデザイン ユニバーサルデザイン
キーワード 対等・多様性 平等・同化・標準化
きっかけ 戦災復興からくる公平さの主張 戦災者による権利主張
運動
ノーマライゼーション
デザインフォーオール
ADA法
1960年代以降の包摂するデザイン運動
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包摂するデザインの歴史
年代 テーマ キーワード
1960-70s
デザイン方法論の模索
(大量生産による民主化)
誰のためのデザイン
なぜデザインが必要なのか
1980-90s
共創の仕組みが確立
(マスカスタマイゼーション)
誰とデザインするのか
どのようにデザインをするのか
2000-
サービスやシステムへの展開
(パーソナライズ)
どのようにスケールアウトするの
か、ネットワークするか
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インクルーシブデザインのはじまり
欧州連合の拡大
多様性・寛容性の重視、経済的貢献度の最大化を目指す
↓
「ニーズのためのデザイン」会議 (1976)
製品からユーザー、生産者から消費者へ変化
英国王立芸術大学 (RCA)による「デザインエイジ (1991)」
・選択の自由と権利・高齢者の自立と尊厳
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インクルーシブデザインのはじまり
ヘレンハムリン・リサーチセンター(1999)の研究テーマ
エイジ デザインエイジプログラムの継承
ワーク
オフィスや家の移動中に関して、仕事とコミュニケー
ションのパターンの変化をサポートすること
モビリティ より動きやすく自由なアクセスを可能にすること
ケア 自立した生活を支えるヘルスケアとリハビリ
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 HHCのインクルーシブデザインプロセス
EXPLORE
課題探求
FOCUS
テーマの発見
DEVELOP
開発
DELIVER
反映・提供
UNDERSTAND
CONTEXT
DESIGN
RESEARCH
DISCOVER
NEEDS
MAP
INSIGHT
TRANSLATE
BRIEFS
SCENARIO
BUILDING
USER
FEEDBACK
RESOUCE
BUILDING
資料:『INNOVATING WITH PEOPLE THE BUSINESS OF INCLUSIVE DESIGN』pp42-43より作成
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インクルーシブデザインとは、
個人の差異を認め、多様性を包摂するデザインを目指す手法
→社会的包摂の理念に則り、排除の要因をデザインする側にあ
ると考え、そのプロセスにユーザーを巻き込みソフト・ハード
の両面を含めたインクルーシブな環境をデザインする
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経済産業省におけるデザインの広がり
狭義のデザイン
あるコンセプトや想いを具現化するための造形行為
とそのディレクション
広義のデザイン
あるコンセプトや想いを具現化するための計画・設
計行為とそのディレクション
資料:デザイン導入の効果測定等に関する調査研究 平成18年
2016.12.7 @PARADISE AIR
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デザイン領域の拡張
システム
プロダクト
サービス
法律
経済・インフラ
都市計画・建築
サービスデザイン・コミュニティデザイン
エンジニアリング・インラクションデザイン
ユーザエクスペリエンス・人間中心設計
プロダクト・グラフィック・ファッションなど
Design Wars | I think ∴ I design
https://ithinkidesign.wordpress.com/2013/03/26/design-wars/より作成
デザインする
次元の上位化
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インクルーシブデザインにおける
メタ次元的展開
障害者や高齢者のための特別な製品
↓
リードユーザーと開発した一般的な消費財
↓
リードユーザーと生産するための道具の開発
↓
持続的に社会参画するための環境創生
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社会福祉法人 養護老人ホーム S
デザインリサーチプロジェクト
w/ 柴田木綿子 (建築家)
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プロジェクト概要:暮らし方と働き方
目的:養護老人ホームの建て替えにあたり、利用者がどの
ような暮らしをし、スタッフがどのような働き方をしてい
るのかを相互理解するために実施
内容:スタッフと利用者が、どこで(場所)何を持って
(道具)どのように(経験と価値観)働いているのか、暮
らしているのか定性的調査とレポート提出
実施期間:2015年2月から2015年5月まで
2016.12.7 @PARADISE AIR
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行く能力があるけれど不安
で行きたくない
行事で太鼓の演奏があると
それに向かって一生懸命練
習
暖房完備なので季節感をわ
かられない
いろんな寮から人が集まる
ような場所
調査①ビデオインタビュー
2016.12.7 @PARADISE AIR
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<道心寮2階廊下にて>
U 普段寝てるでしょ、運動不足になるんです。
浅野 いつもはお一人で散歩したりとか。
U そうです、大概おやつ食べたくらいですね。エレ
ベーターでした降りてお庭をグルっと回ったりするん
です。
浅野 この眺めのいい部屋はいきますか。
U 行かないわ、そこは私らの部屋じゃあらへん。
<玄関そばの本棚、玄関にて>
U 文庫本があるので推理小説を借りたり、返して、表に出て
そこをうろついて桜が咲く前からいつ咲くかなってここにいて
たらここの面会の人が話しかけられます。
U 行ってみたい場所は今はどっこもない
けどね。前はそこの裏参道から本堂まで上
がっていったよ。もうそんなん望まれへん
し。
1階 2階
道
心
寮
道
心
寮戒
光
寮
戒
光
寮
宝
珠
寮
元
気
農
園
デイサービス
Uさんの軌跡
Kさんの軌跡
調査②建築探訪(インタビューツアー)
2016.12.7 @PARADISE AIR
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7:00
8:00
9:00
10:00
11:00
12:00
13:00
14:00
15:00
16:00
17:00
18:00
談話室 トイレ(道) トイレ(戒) 1階居室 2階居室 職員室 食堂 洗面風呂 宝珠
昼休憩
ハンドベル
浴室掃除
入浴介助
朝食
入浴準備
昼食
洗濯
カラオケ
おやつ
道心トイレ
→戒光トイレ
Mさんの軌跡
Aさんの軌跡
調査③行動観察 (シャドーイング)
利用者の寄り道スポットとなる談話室
スタッフの多様な談話室の利用法
短距離の連続移動と場所付き介護
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調査④フォトエスノグラフィー
即興的な対応シリーズ
小さな工夫を施設内に散りばめ、
アクセスと処理能力を高めてる
堆積・埋没シリーズ
パッドや薬といった最低限管理するもの
を新たに加えていくので管理が難しく
なっている。
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
デザインリサーチプロジェクトでの気付き
①DIYがあっちこっちに!
スタッフは小さな創意工夫を積み重ね、施設内のさまざまなすき間に
散りばめることで介助に対応できるようにしている
②不安を解消するすき間がない!?
長い時間の中で利用者の持ち物やスタッフの創意工夫が堆積されたすき間
からあふれることで日々の生活やサービスの実施に不安を引き起こしてい
る。「もう入れる場所がなくなってるよ~」
③第三の居場所でリラックス!
利用者は趣味を起点に、プライベートな場所と公的な場所の間を往来のな
かで、どちらにも属さない自分らしく過ごせる居場所を見出している。
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
有松での取り組み
ARIMATSU PORTAL; PROJECT
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
ARIMATSU PORTAL; PROJECTの活動目的
• 主体的に活動する人と有松の入り口を築くこと
• 多様なひとびとが有松で活躍できる関係を築くこと
• 持続可能な環境を有松に構築すること
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
PORTAL; LABORATORY「有松をうばえ」展
2016年11月
12日[土]-13日[日]
有松から「松」をうばえ
有松から「重伝建」をうばえ
有松から「山田薬局」をうばえ
有松から「山田薬局」をうばえ
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
ごえんの投票 #01 の結果報告
質問:わたしが有松でしたいことは…
期間:2016年6月4日[土]-7月31日[日]、総評:108票
働きたい
14
紹介したい
16
暮らしたい
39
遊びたい
39
2016.12.7 @PARADISE AIR
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ごえんの投票 #02 経過報告
質問:わたしが山田薬局でやるならば…
期間:2016年11月12日[土]から2週間、経過投票数:147票
宿泊・居住
28
展示・案内
30
雑貨店
39
飲食店
50
2016.12.7 @PARADISE AIR
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ごえんの投票からの考察
• 産業から暮らしのまち・有松へ構造変化している

→ より良い暮らしを指標にまちへ働きかける
• 遊びたい欲求を満足するコンテンツが足りていない

→ 働きたい人を見つけて、目的地づくりを行う
• 現代の暮らし対して建物(家賃・維持費)が大きすぎる

→ シェアハウス/オフィス/店舗の複合型へ
• ニーズの割に有松を紹介できる人がいない

→ 独立した家守事業やまちづくり会社が求められている
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
ごえんの投票からの仮説
『なぜ/どのように有松で観光産業をするのか』ではない。
まちの構造が変化(産業→暮らし)している中で、
どのような暮らしを私たちは実行していくのか。
これからの暮らしを実行することで何を獲得するのか。
〈山田薬局の活用方針の提案〉
歩いて楽しいまちの暮らしを考え、
活動のサポート、実行/体験するまちラボ
2016.12.7 @PARADISE AIR
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社会を包摂するためのデザインに向けて
2016.12.7 @PARADISE AIR
kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-
社会を包摂するためのデザイン手法
①プロセスの公開と調査への参画から意識を高める
 調査に参加してもらい、自分たちで言語化を図る
②分断された社会課題を統合する合意形成の場の提供
 経営↔管理↔運営↔利用者の議論と調整
③歩くことに期待する効果と事業の立ち位置を明らかにする
 歩く目的地や動機の創出、エリア/事業のブランディング
④事業や政策ヴィジョンの明確にアウトリーチする
 適切な情報発信を通じてコミュニケーションを描く

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  • 1. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会包摂のためのデザイン 歩くことを起点に 浅野 翔 デザインリサーチャー DESIGN FOR SOCIAL INCLUSION AT THE STANDING POINTO OF MOBILITY KAKERU ASANO, Design Researcher
  • 2. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 浅野 翔(あさのかける)  1987年生まれ。2011年京都工芸繊維大学工芸科学部造形工学課程 建築コー ス卒業後、2014年同大学院 工芸科学研究科デザイン経営工学専攻 修了。同 年、名古屋を拠点にデザインリサーチャー、サービスデザイナーとして活動 を始める。  「愛知県で伝統工芸の中に障がいのある人の働く場所をつくる」Good Job! プロジェクトなど領域横断するプロジェクトのディレクター、関係と環境を デザインするARIMATSU PORTAL; PROJECTを共催、DESIGNEASTプロジェ クトマネージャーなど。
  • 3. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 医療福祉とまちづくり
  • 4. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 日本の人口推移と推計 3,500 7,000 10,500 14,000 800 1000 1200 1400 1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950 2000 2050 2100 備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」 (1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」 鎌倉幕府成立 1192年 757万人 江戸幕府成立 1603年 1,227万人 明治維新 1868年 3,300万人 2050年(中位推計) 9,708万人 6845年(中位推計) 4,959万人 終戦 1945年 7,199万人 2010年 12,806万人 (万人)
  • 6. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会保障費などの推移 20 40 60 80 100 120 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2016 56.7 53 41.2 24 10.5 0.90.50.1 37.9 32.9 26 18.4 10.7 2.11.51 23.7 19.3 11.1 53.60.60.30.1 (兆円) 資料:国立社会保障・人口問題研究所「平成23年度社会保障費用統計」、2012年度,2013年度、2014年度(予算ベース)は厚生労働省推計、2014年度の国民所得額は「平 成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(平成26年1月24日閣議決定)」 (注)図中の数値は、1950,1960,1970,1980,1990,2000及び2010並びに2014年度(予算ベース)の社会保障給付費(兆円)である。 (予算ベース) 年金 医療 福祉その他
  • 7. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 資料:「都市再生:健康・医療・福祉のまちづくりの推進 - 国土交通省」 http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_machi_tk_000055.html 健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン 11..更更ななるる超超高高齢齢化化をを迎迎ええるる都都市市政政策策のの課課題題 ① 高齢者等が安心 暮 す が 難 なる社会 22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組 ① 地域における医療 介護体制の見直し 平平成成2266年年 88月月 11日日 ままちちづづくくりり推推進進課課・・都都市市計計画画課課・・街街路路交交通通施施設設課課 ① 高齢者等が安心して暮らすことが困難となる社会 ・ 2055年には人口が約3割減少、総人口の約4割は65歳 以上の高齢者 ・ 徒歩圏内に生鮮食料品店がない高齢者単独世帯数が 約2.5倍に増加 ② 更に低下する地域の活力 社会参加の場の減少による地域交流 地域活動の停滞 ③ 厳しさを増す都市経営 ・ 2025年には社会保障に係る公費負担分は1.5倍 増の約60兆円 ・ 社会資本(国土交通省所管)の維持管理費は20 年間で約1.3~1.5倍増加 ④ 健康・医療・福祉施策との施策連携の不足 ・ 8割以上の地方公共団体において政策連携の必 ① 地域における医療・介護体制の見直し ・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域 包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域) ② 医療費適正化の推進 ・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策 ③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進 日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の 優先施策の立案や関係者間の取組意識を・ 首長を中心に 都市部局 ((11)) 推推進進体体制制 ① 住民の健康意識を高め 運動 ((33)) 必必要要なな55つつのの取取組組 ((55)) パパッッケケーージジにに よよるる取取組組 ・ 社会参加の場の減少による地域交流、地域活動の停滞 ・ 特に大都市においては地縁によるコミュニティ関係が薄く、 高い孤立化リスク 8割以上の地方公共団体において政策連携の必 要性を認識しているものの、共同して提案した計 画は、全体の1割程度 33..「「健健康康・・医医 療療・・福福祉祉のの ((44)) 「「診診断断」」のの実実施施 ・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の 増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数 の増加(47都道府県とする) 44..取取組組効効 果果ののチチェェッッ ・ 多くの市民が自立 的に、また必要に 応じて地域の支援 ・ 優先施策の立案や関係者間の取組意識を 高めるため、自都市の分析・評価(「診断」) が有効 ・ 首長を中心に、都市部局、 住宅部局、健康部局、医療 部局、福祉部局等の横断 的な組織体制づくり(データ 共有、計画連携、住民との合 意形成等) ・ 道路管理者、交通管理者、 ① 住民の健康意識を高め、運動 習慣を身につける 社会環境の改善を通じた市民意識 等の向上 ② コミュニティ活動への参加を高 め、地域を支えるコミュニティ活動 活性化を図る ・ 「診断」を踏まえて5つの 取組については、優先順 位を定め、必要な施策の 組み合わせを工夫 ・ 地域や関係者とのコミュニ ケ シ ンを重ねながら 多 よよるる取取組組 指指標標例例 診診断断のの視視点点 指指標標 デデーータタ 全全国国 平平均均 都市の 市街地の 市街地の DID面積率 3.4% ままちちづづくくりり」」 のの推推進進 果果ののチチ ッッ ククとと取取組組内内 容容のの改改善善 ・ 定期的な実応じて地域の支援 を得て、より活動的 に暮らせるまちづく り ・ 日常生活圏域等に おける必要な機能 (①健康機能 ②医 必要な対策検討の前に「現 ((22)) 「「現現状状」」・・「「将将来来」」のの 把把握握及及びび「「見見ええるる化化」」 交通事業者、NPO、新たな コミュニティ等との連携 の活性化を図る 高齢者のコミュニティ活動への参加等 生きがいの創出、多様な主体の連 携、コミュニティ活動の拠点づくり、コミュ ニティビジネスの活用 ③ 日常生活圏域・徒歩圏域に都 ケーションを重ねながら、多 世代の交流等が高まるよ う施策間の連携を高め、 一体的なパッケージとして 取り組むことが大切 図:都市・地域診断による 評価イメージ 基礎的 状況を 診断す る指標 現況・形状 コンパクト度 DID人口比率 67.3% 高齢者の 生活と健康 状況 高齢化 進展度 65歳以上の 人口の割合 22.8% 健康寿命 健康寿命 男70.4歳 女73.6歳 都市経営の 財政力 財政力指数 ・ 定期的な実 態把握を継 続的に行い、 市民や地域 と連携した必 要な取組の (①健康機能、②医 療機能、③福祉機 能、④交流機能、⑤ 商業機能、⑥公共 公益機能)の確保 や、歩行空間、公 共交通ネットワークの ・必要な対策検討の前に「現 状」・「将来」の把握を実施 高齢者等の暮らし、必要な都市 機能の配置状況、地域の交通 環境等 ・分析結果の「見える化」に よる 関係者間の意識共有 市機能を計画的に確保する 計画的に確保することが望ましい 都市機能と機能確保の考え方、都 市機能を計画的に確保する際の 方策 ④ 街歩きを促す歩行空間を形成 評価イメージ都市経営の 状況 財政力 財政力指数 0.49 施策の 取り組 み状況 を診断 する指 標 住民の健康 意識、運動 習慣 健康意識 健康習慣実践 者の割合 39.4% コミュニティ 活動の活性 化 コミュニ ティ活動 人口1万人あ たりのコミュニティ 活動団体数 8.3 【取組効果の 事例】 改善 共交通ネットワ クの 充実等を一体的に 取り組む都市構造 のコンパクト化の推進 ・ 都市政策の取組に 当たって、健康・医 療・福祉の視点か よる、関係者間の意識共有 する 歩行ネットワークの構築、世代を超え て利用される歩行空間づくり、歩行 をサポートするモビリティ等の活用、 歩行を促す仕掛けづくり ⑤ 公共交通の利用環境を高める 図:取組施策パッケージ化の イメージ ①健康意識・運動習慣 ②コミュニティ活動の活性化 ③都市機能の計画的確保 ④歩行空間 ⑤公共交通利用環境 化 活動団体数 都市機能の 計画的な 確保 健康機能 徒歩圏内に公 園がない住宅 の割合 38.8% 医療機能 徒歩圏内に医 療機関がない 住宅の割合 39.3% (年間の医療費 抑制効果) =歩行数の増 加した住民数 ×1日当たりの 歩数増加量 円/歩 療 福祉の視点か ら必要な事業や施 策へと大きく舵を 切っていくことが必 要 図:A市における都市公園分布・バス ルートと要介護・要支援認定者の割合 ※町丁字界、都市公園、バスルート、要 介護要支援のデータの重ね図を作成 ⑤ 公共交通の利用環境を高める 公共交通のサービス水準の向上、 地域のコミュニティ等が主体となっ た交通サービスの提供、公共交通 の待合空間等の整備 街歩きを促 す歩行空間 歩行空間 整備率 歩道整備率 道路植栽率 14.3% 9.7% 公共交通の 利用環境 公共交通 のサービ ス水準 公共交通利便 性の高いエリア の住宅の割合 67.0% × 0.061円/歩 × 365日 出典:筑波大学 久野研究室
  • 8. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組 ① 地域における医療 介護体制の見直し① 地域における医療・介護体制の見直し ・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域 包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域) ② 医療費適正化の推進 ・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策 ③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進 日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の 増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数 の増加(47都道府県とする) 〈地域包括ケアシステム〉 最期まで住み慣れたまちで医療福祉や生活支援を受けられる仕組み →日常の生活圏内(30分圏内)におけるサービス充実を目指す 〈健康日本21(第二次)〉 H25から10年間にかけて、 国民の健康増進を総合的に推進するための基本的な方針 →日常的な運動(歩数)の増大や運動習慣
  • 9. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 県別平均歩数における生活習慣病死亡者数(10万対) 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 6,000 6,500 7,000 7,500 8,000 8,500 全国平均 秋田県 長崎県 和歌山県 青森県 山形県 北海道 宮城県 高知県 岩手県 広島県 鹿児島県 新潟県 静岡県 沖縄県 神奈川県 東京都 岐阜県 千葉県 埼玉県 滋賀県 福島県 兵庫県 (死亡者数) (歩数) 資料:厚生労働省「平成24年国民健康・栄養調査」、平成10年~平成14年人口動態保健所・市区町村別統計(人口動態統計特殊報告) 、平成16年人口動態調査、平成1 5年地域保健医療基礎統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)、平成27年度社会教育調査中間報告 美術博物館数 美術館数が全国平均より少ない都道府県 美術館数が全国平均より多い都道府県
  • 10. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 医療費と運動の関係 資料:e-wellnessシステムによる医療費抑制効果 | つくばウエルネスリサーチ, http://www.twr.jp/results/conclusion/conclusion02/
  • 11. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 日本の人口推移と推計 3,500 7,000 10,500 14,000 800 1000 1200 1400 1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950 2000 2050 2100 備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」 (1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」 鎌倉幕府成立 1192年 757万人 江戸幕府成立 1603年 1,227万人 明治維新 1868年 3,300万人 終戦 1945年 7,199万人 (万人) 2050年(中位推計) 9,708万人 6845年(中位推計) 4,959万人 2010年 12,806万人
  • 12. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- コンパクトシティの共通概念 ①過度な車依存による環境問題や都心空洞化の解決策 ②高い居住密度 ③用途や居住者の多様性 ④車より歩行者を優先するヒューマンスケールな都市空間 ⑤地域の自然や歴史・文化を生かした都市固有の魅力 ⑥環境との共生 ⑦地域に密着した経済 ⑧自動車より公共交通、歩行者、自転車に焦点を当てた交 通体系 資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
  • 13. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ニューアーバニズムの特徴 ①過度な成長の抑制とバランスの取れた発展 ②地区内におけるバランスのとれた就住の融合 ③多様なニーズに応えた住宅タイプの供給 ④多様な交流機会と豊かなパブリックライフ ⑤歩行圏内での適度な用途の複合 ⑥車より歩行者を優先するヒューマンスケールのまち ⑦まちのアクティビティ空間としての街路 ⑧環境にやさしい公共交通システム ⑨自然環境の保護と生態系の保全 資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
  • 14. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- アーバンビレッジの特徴 ①複合用途による開発 ②地区内における就住のバランス ③地区の広さ約 4,0ha(600m×600m) ④地区内のどこにいくにも歩いて 10 分程度 ⑤地区内の多様な活動や施設を支えるのに十分な人工規模 (3,000~5,000 人) ⑥歩行者に優しい環境 資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
  • 15. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 歩行者の権利に関する欧州憲章 (1988)より一部抜粋 第1条 歩行者は、健康的な環境で生活を営み、かつ身体的・精神的な安寧が適切に保 障された公共空間がもたらす快適さを、満喫する権利を有する。 第2条 歩行者は、自動車のためでなく人間の必要のために整備された、都市または集 落に居住し、歩行や自転車による移動距離内で、生活の利便性を享受する権利 を有する。 第3条 子ども、高齢者、および障害者は、都市において容易に社会参加の機会が得ら れ、彼らの有する不利(弱点)を増大する場でないように求める権利を有する … 資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市
  • 16. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会包摂とデザイン インクルーシブデザインのはじまり
  • 17. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ヨーロッパ アメリカ ユーザー パートナー(リードユーザー) 被験者 デザイン手法 インクルーシブデザイン ユニバーサルデザイン キーワード 対等・多様性 平等・同化・標準化 きっかけ 戦災復興からくる公平さの主張 戦災者による権利主張 運動 ノーマライゼーション デザインフォーオール ADA法 1960年代以降の包摂するデザイン運動
  • 18. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 包摂するデザインの歴史 年代 テーマ キーワード 1960-70s デザイン方法論の模索 (大量生産による民主化) 誰のためのデザイン なぜデザインが必要なのか 1980-90s 共創の仕組みが確立 (マスカスタマイゼーション) 誰とデザインするのか どのようにデザインをするのか 2000- サービスやシステムへの展開 (パーソナライズ) どのようにスケールアウトするの か、ネットワークするか
  • 19. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- インクルーシブデザインのはじまり 欧州連合の拡大 多様性・寛容性の重視、経済的貢献度の最大化を目指す ↓ 「ニーズのためのデザイン」会議 (1976) 製品からユーザー、生産者から消費者へ変化 英国王立芸術大学 (RCA)による「デザインエイジ (1991)」 ・選択の自由と権利・高齢者の自立と尊厳
  • 20. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- インクルーシブデザインのはじまり ヘレンハムリン・リサーチセンター(1999)の研究テーマ エイジ デザインエイジプログラムの継承 ワーク オフィスや家の移動中に関して、仕事とコミュニケー ションのパターンの変化をサポートすること モビリティ より動きやすく自由なアクセスを可能にすること ケア 自立した生活を支えるヘルスケアとリハビリ
  • 21. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に-  HHCのインクルーシブデザインプロセス EXPLORE 課題探求 FOCUS テーマの発見 DEVELOP 開発 DELIVER 反映・提供 UNDERSTAND CONTEXT DESIGN RESEARCH DISCOVER NEEDS MAP INSIGHT TRANSLATE BRIEFS SCENARIO BUILDING USER FEEDBACK RESOUCE BUILDING 資料:『INNOVATING WITH PEOPLE THE BUSINESS OF INCLUSIVE DESIGN』pp42-43より作成
  • 22. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- インクルーシブデザインとは、 個人の差異を認め、多様性を包摂するデザインを目指す手法 →社会的包摂の理念に則り、排除の要因をデザインする側にあ ると考え、そのプロセスにユーザーを巻き込みソフト・ハード の両面を含めたインクルーシブな環境をデザインする
  • 23. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 経済産業省におけるデザインの広がり 狭義のデザイン あるコンセプトや想いを具現化するための造形行為 とそのディレクション 広義のデザイン あるコンセプトや想いを具現化するための計画・設 計行為とそのディレクション 資料:デザイン導入の効果測定等に関する調査研究 平成18年
  • 24. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- デザイン領域の拡張 システム プロダクト サービス 法律 経済・インフラ 都市計画・建築 サービスデザイン・コミュニティデザイン エンジニアリング・インラクションデザイン ユーザエクスペリエンス・人間中心設計 プロダクト・グラフィック・ファッションなど Design Wars | I think ∴ I design https://ithinkidesign.wordpress.com/2013/03/26/design-wars/より作成 デザインする 次元の上位化
  • 25. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- インクルーシブデザインにおける メタ次元的展開 障害者や高齢者のための特別な製品 ↓ リードユーザーと開発した一般的な消費財 ↓ リードユーザーと生産するための道具の開発 ↓ 持続的に社会参画するための環境創生
  • 26. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会福祉法人 養護老人ホーム S デザインリサーチプロジェクト w/ 柴田木綿子 (建築家)
  • 27. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- プロジェクト概要:暮らし方と働き方 目的:養護老人ホームの建て替えにあたり、利用者がどの ような暮らしをし、スタッフがどのような働き方をしてい るのかを相互理解するために実施 内容:スタッフと利用者が、どこで(場所)何を持って (道具)どのように(経験と価値観)働いているのか、暮 らしているのか定性的調査とレポート提出 実施期間:2015年2月から2015年5月まで
  • 28. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 行く能力があるけれど不安 で行きたくない 行事で太鼓の演奏があると それに向かって一生懸命練 習 暖房完備なので季節感をわ かられない いろんな寮から人が集まる ような場所 調査①ビデオインタビュー
  • 29. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- <道心寮2階廊下にて> U 普段寝てるでしょ、運動不足になるんです。 浅野 いつもはお一人で散歩したりとか。 U そうです、大概おやつ食べたくらいですね。エレ ベーターでした降りてお庭をグルっと回ったりするん です。 浅野 この眺めのいい部屋はいきますか。 U 行かないわ、そこは私らの部屋じゃあらへん。 <玄関そばの本棚、玄関にて> U 文庫本があるので推理小説を借りたり、返して、表に出て そこをうろついて桜が咲く前からいつ咲くかなってここにいて たらここの面会の人が話しかけられます。 U 行ってみたい場所は今はどっこもない けどね。前はそこの裏参道から本堂まで上 がっていったよ。もうそんなん望まれへん し。 1階 2階 道 心 寮 道 心 寮戒 光 寮 戒 光 寮 宝 珠 寮 元 気 農 園 デイサービス Uさんの軌跡 Kさんの軌跡 調査②建築探訪(インタビューツアー)
  • 30. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 談話室 トイレ(道) トイレ(戒) 1階居室 2階居室 職員室 食堂 洗面風呂 宝珠 昼休憩 ハンドベル 浴室掃除 入浴介助 朝食 入浴準備 昼食 洗濯 カラオケ おやつ 道心トイレ →戒光トイレ Mさんの軌跡 Aさんの軌跡 調査③行動観察 (シャドーイング) 利用者の寄り道スポットとなる談話室 スタッフの多様な談話室の利用法 短距離の連続移動と場所付き介護
  • 31. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 調査④フォトエスノグラフィー 即興的な対応シリーズ 小さな工夫を施設内に散りばめ、 アクセスと処理能力を高めてる 堆積・埋没シリーズ パッドや薬といった最低限管理するもの を新たに加えていくので管理が難しく なっている。
  • 32. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- デザインリサーチプロジェクトでの気付き ①DIYがあっちこっちに! スタッフは小さな創意工夫を積み重ね、施設内のさまざまなすき間に 散りばめることで介助に対応できるようにしている ②不安を解消するすき間がない!? 長い時間の中で利用者の持ち物やスタッフの創意工夫が堆積されたすき間 からあふれることで日々の生活やサービスの実施に不安を引き起こしてい る。「もう入れる場所がなくなってるよ~」 ③第三の居場所でリラックス! 利用者は趣味を起点に、プライベートな場所と公的な場所の間を往来のな かで、どちらにも属さない自分らしく過ごせる居場所を見出している。
  • 33. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 有松での取り組み ARIMATSU PORTAL; PROJECT
  • 34. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ARIMATSU PORTAL; PROJECTの活動目的 • 主体的に活動する人と有松の入り口を築くこと • 多様なひとびとが有松で活躍できる関係を築くこと • 持続可能な環境を有松に構築すること
  • 35. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- PORTAL; LABORATORY「有松をうばえ」展 2016年11月 12日[土]-13日[日] 有松から「松」をうばえ 有松から「重伝建」をうばえ 有松から「山田薬局」をうばえ 有松から「山田薬局」をうばえ
  • 36. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ごえんの投票 #01 の結果報告 質問:わたしが有松でしたいことは… 期間:2016年6月4日[土]-7月31日[日]、総評:108票 働きたい 14 紹介したい 16 暮らしたい 39 遊びたい 39
  • 37. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ごえんの投票 #02 経過報告 質問:わたしが山田薬局でやるならば… 期間:2016年11月12日[土]から2週間、経過投票数:147票 宿泊・居住 28 展示・案内 30 雑貨店 39 飲食店 50
  • 38. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ごえんの投票からの考察 • 産業から暮らしのまち・有松へ構造変化している
 → より良い暮らしを指標にまちへ働きかける • 遊びたい欲求を満足するコンテンツが足りていない
 → 働きたい人を見つけて、目的地づくりを行う • 現代の暮らし対して建物(家賃・維持費)が大きすぎる
 → シェアハウス/オフィス/店舗の複合型へ • ニーズの割に有松を紹介できる人がいない
 → 独立した家守事業やまちづくり会社が求められている
  • 39. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- ごえんの投票からの仮説 『なぜ/どのように有松で観光産業をするのか』ではない。 まちの構造が変化(産業→暮らし)している中で、 どのような暮らしを私たちは実行していくのか。 これからの暮らしを実行することで何を獲得するのか。 〈山田薬局の活用方針の提案〉 歩いて楽しいまちの暮らしを考え、 活動のサポート、実行/体験するまちラボ
  • 40. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会を包摂するためのデザインに向けて
  • 41. 2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会を包摂するためのデザイン手法 ①プロセスの公開と調査への参画から意識を高める  調査に参加してもらい、自分たちで言語化を図る ②分断された社会課題を統合する合意形成の場の提供  経営↔管理↔運営↔利用者の議論と調整 ③歩くことに期待する効果と事業の立ち位置を明らかにする  歩く目的地や動機の創出、エリア/事業のブランディング ④事業や政策ヴィジョンの明確にアウトリーチする  適切な情報発信を通じてコミュニケーションを描く