プレゼンの成果を決める、スライド作成のテクニックとルール（課題編）先生：山口周

日立化成株式会社　御中
プレゼンの成果を決める　スライド作成のテクニックとルール　課題編
2014年4月26日
山口周

問題１
売上高の大きい顧客へのディスカウントが大きい、というお話でしたが実
際に調べてみるとそれはウソでした。値引き率と売上高の大小にはほと
んど相関がありません。
All rights are reserved Yamaguchi Shu

3
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売上規模と値引き率にはほとんど相関が見られない
-10
0
10
20
30
40
50
60
-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120 140
値引き率　　
　（％）
売上高　　　
　（億円）
売上規模と値引き率
注：期間は2012年1月～12月
出所：当社営業台帳

4
売上規模とディスカウント率にはほとんど相関が見られない
18.2
17.6
15.2
18.8
17.9
0
4
8
12
16
20
1億円未満
1億円以上
5億円未満
5億円以上
10億円未満
10億円以上
50億円未満
50億円以上
売上規模別の値引き率
（％）
売上規模

5
ディスカウント率は販社別に大きく異なる　　　要は「ディシプリン」の問題
11.2
13.5
14.9 15.1 15.3
22.6
25.7
28.1
0
6
12
18
24
30
西関東
東北
北海道
近畿
九州
中国
東海
東関東
販社別の値引き率（％）

問題２
原材料製造、フィルム製造、ディスプレイ製造で、それぞれ売り上げは
順に、5億、20億、10億、コストは順に4億、10億、5億ですから、営業利
益は順に1億、10億、5億ということになりますね。

7
原材料製造の利益はプロセス全体の一割未満。旨みはフィルム製造以下。
プロセス別の売上・コスト・営業利益
出所：関係者ヒアリング、市場調査会社レポート
5
20
10
-4
-10
-5
-15
-10
-5
0
5
10
15
20
25
1 2 3
原材料製造
フィルム製造
ディスプレイ製造
（億円）
1
10
5
売上高
コスト
営業利益

問題３
Ｂ社が、ここ数年間で高価格帯から低価格帯までまんべんなく、かつ定
期的に商品をリリースできているのに対して、当社は、価格帯も時期も偏
っています。

9
Ｂ社が低～高価格帯まで定期的に新商品をリリースしているのに対して、　　　
当社は価格帯も時期も極端に偏っている
Ｂ社と当社の新製品価格帯と発売時期の比較（1990～2013年）
出所：当社パンフレット、Ｂ社営業資料
Ｂ社
当社
価
格
帯

高

低

１990
2010
1995
2000
2005
価
格
帯

高

低

１990
2010
1995
2000
2005
新発売
廃番
同時期に同価格帯の商品をリリースしているために、カニバリが起こっている可能性

10
１990
1995
2000
2005
2010
Ｂ社
当社
価
格
帯

高

低

１990
中

＝2以下
＝5以上
＝3～4
価
格
帯

高

低

中

1995
2000
2005
2010

11
１990
1995
2000
2005
2010
Ｂ社
当社
価
格
帯

高

低

１990
中

＝2以下
＝5以上
＝3～4
価
格
帯

高

低

中

1995
2000
2005
2010

問題４
1980年代から1990年代までは、売上は増加しつづけているが、2000年
代から2010年代は頭打ちだ。一方で、人件費総額は1980年代から2010
年代まで上昇し続けている。

13
2000年以降、売上高が頭打ちの中、人件費総額は上昇し続けている
当社の売上高・人件費総額の推移
（億円）
1511
1572
1618
1743
1795 1811 1796
52
62
87
103
119
136
164
0
50
100
150
200
0
500
1000
1500
2000
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
（億円）
出所：当社有価証券報告書
売
上
高

人
件
費
総
額

売上高
人件費総額

14
2000年以降、売上高が頭打ちの中、人件費総額は上昇し続けている
当社の売上高・人件費総額の推移
出所：当社有価証券報告書
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
1400 1450 1500 1550 1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900
人
件
費
総
額

売上高
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
（億円）
（億円）
!  1980年代から1990年代後半までは売上高・
　人件費総額ともに拡大
!  1990年代後半以降、売上頭打ちの中、　　　　
　人件費総額のみが拡大

問題5
このビジネスへのからみ方は大きく三つあります。それらは「原料提供」
、「フィルム製造」、「ディスプレイ製造」の三つです。原料提供は市場規模
が小さいため、ここで営業利益10億円を出すためにはシェアが50％必要
です。同様にフィルム製造で10億円の営業利益を出すためには20％のシ
ェアが、ディスプレイ製造であれば5％のシェアが必要です。

16
営業利益10億円を得るためには、原料提供・フィルム製造・ディスプレイ製造で
それぞれ50％、20％、5％の市場シェアが必要
営業利益10億円を得るための工程別市場規模とシェア
出所：調査会社レポート、関係者ヒアリング
0
10
20
30
40
50
60
0 50 100 150 200 250
営業利益10億円のライン
（％）
（億円）

市場規模
原料提供
フィルム製造
5
20
50

17
営業利益10億円を得るためには、原料提供・フィルム製造・ディスプレイ製造
でそれぞれ50％、20％、5％の市場シェアが必要
フィルム製造
20％
各工程市
場規模　　
（億円）
営業利益10億円に
必要なシェア
原材料　　
製造
50％
20
50
5％
200
出所：調査会社レポート、関係者ヒアリング

問題6
弊社ではモバイル端末を利用しているのは総勢で1000名ほどですが、
そのうちの一割程度の月間利用料金が100万円を超えており、さらに一
割程度が50万円を超えています。従量課金のせいで、大量に通信してい
る人のコストがとてもかさんでいるのです。従業員全体の月間使用料金
平均は1.5万円です。従って、全員を月額1.0万円の定額課金にするこ
とで、一部の人にとってはコストアップとなりますが、全体としてみればコス
トダウンが可能です。

19
二割の人員が月額で50万円以上を利用しており、うち半分は100万円を超える
個人別月額通信料金
出所：通信会社請求書
50
100
月
額
使
用
料

人数
一割の人員が月額で100万円を突破
一割の人員が月額で50万円を突破
1.5
1.0
現在の平均月額使用料
新しい定額プラン
定額制に変えることで、ほとんどの社員は増額となるが、全体としてみればコストは2／3に

問題７
弊社の南米地域の問題はマーケティング人材が不足しているという点
です。市場が成長しているのに、人材が足りないために対応できていな
いのです。一方で、アジア地域の問題は人が余っている、という点です。
市場成長が踊り場に来ているので、優秀なマーケティング人材がたくさん
いるのに、彼らを活用できていない状態です。なので、アジア地域からマ
ーケティング人材を南米に動かせれば、いいのじゃないかと。

21
アジア地域から南米地域にマーケティング人材を異動させるべき
出所：関係者インタビュー
南米地域とアジア地域とのあいだで人材面で補完的シナジーを生み出せる
強み
課題
南米地域
アジア地域
!  市場の成長余力
!  豊富なマーケティング人材
!  マーケティング人材の不足
!  市場停滞による人余り
補完関係
南米地域・アジア地域の強みと課題

問題８
ＡチェーンとＢチェーンでは抱えている問題が異なるんです。
Ａチェーンでは成長しているけど赤字という店舗が多い。店舗全体の五
割がこれです。成長してて黒字というのは三割くらい。一方でマイナス成
長で黒字という店はほとんどありません。
Ｂチェーンで多いのはマイナス成長で黒字という店で、これがチェーン全体
の5割になります。赤字でマイナス成長というのが３割で、成長しているけ
ど赤字という店はほとんどありません。

23
営業利益
売
上
成
長
率

＋

＋

－
－
成長×黒字
成長×赤字
縮小×黒字
縮小×赤字
ＡチェーンとＢチェーンではおかれている状況が大きく異なる
Ａチェーンが成長店舗を多く抱える一方、Ｂチェーンは八割の店舗が縮小
出所：当社社内資料
Ａチェーン
Ｂチェーン
!  全体として売上成長している店舗が八割
!  半数の店舗が成長しているものの赤字
!  売上成長している店舗は全体の二割に過ぎない
!  現在黒字の店舗も近い将来、赤字に陥る可能性
16
31
7
46
営業利益
売
上
成
長
率

12
＋

＋

－
－
成長×黒字
成長×赤字
縮小×黒字
縮小×赤字
51
単位：％
単位：％
28
8

問題９
人事制度というのは単体で考えられない。経営環境や経営戦略が変われ
ば人事制度も変わらなければならないし、人材資源が変わればやはり変
わらなければならない。しかも、一部を変えるのではなくて、人事制度のな
かで等級制度・報酬制度・評価制度の三つが整合されていなければいけ
ない。

25
人事制度の改革に当たっての基本前提
外部環境
!  社会環境
!  競争環境
戦略
!  経営戦略
!  事業戦略
人事制度
人材資源
外部環境
!  社会環境
!  競争環境
戦略
!  経営戦略
!  事業戦略
人事制度
人材資源
時間軸
!  人事制度は事業環境・経営戦略・人材資源の三つと整合していなけ
ればならない
-  人事制度はもっとも「前例主義」が横行し易い領域
-  日々変化していく上記の三つに合わせて、常にゼロベースで最適
化を考えていくことが求められる
人事制度の三要素の内部整合性
等級制度
報酬制度
評価制度
外部環境
戦略
人材資源
!  その上でさらに、等級制度・報酬制度・評価制度の相互整合性が必
要
-  外部要件と人事制度の整合性と、人事制度内部の要素が整合し
ていることが必要
-  往々にして等級・報酬・制度を個別にいじるために、時間がたつこ
とで整合性が保てていないケースが多い
他の経営要素との外部整合性
!  人事制度が経営戦略と整合しているかどうか、というのが今プロジェクトで確認すべき最大のポイント

問題１０
人事制度の不公正というのは二つのタイプがあるんです。それらはつまり
、「成果が低いのにもらいすぎている」という上側にずれている人と「成果
を出しているのにもらっていない」という下側にずれている人の二つのタイ
プがいるということです。このうち、問題が大きいのは前者なんです。どう
してかというと、前者の場合、周りの人がみんな不満になるんですが、後
者の場合、不満になるのは本人だけなので、影響は前者の方が大きいん
ですよ。

27
人事制度における「不公正」には二つのタイプがあり、問題の程度が異なる
過剰報酬のＡさん
過少報酬のＢさん
コンピテンシー・成果
報
酬

Ｈ
Ｇ
Ｆ
Ｅ
Ｄ
Ｃ
成果＝報酬となるカーブ
Ａ
Ｂ
!  なんで俺より実力ないＦ、Ｅ
があんな給料もらうの？
!  なんで俺と同じ実力程度のＤ
がおれより給与高いの？
!  なんであいつ程度の
実力で、あんな給料
もらってんの？
!  あいつ、要領よく　立
ち回っているな・・
!  なんであいつ程度の
実力で、あんな　給
料もらってんの？
!  報酬制度の齟齬は二つのタイプがある
!  組織に与えるインパクトは過剰報酬の方が大きいが、トップタレントの維持のために避けなければならないのは過小報酬となる
!  評価制度の問題が解消できれば、過剰報酬を防止するよりも、過小報酬を防止する方が御社の文脈にはフィットする
高
低
低
高

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