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心理学におけるベイズ統計の流行を整理する
- 3. ワークショップの流れ
• 午前
– ベイズ統計の流行についての交通整理
• および、ワークショップの趣旨について
– 仮説検証・モデル評価についての解説
• JASPの紹介、ベイズファクターについての解説
• 午後
– ベイズモデリングの実践例
• 基礎から臨床まで、さまざまな角度からモデリング例を紹介
– これからモデリングをする人のための学びルート
• 実際にモデリングする・論文を書くための知識など
- 19. ベイズ統計学の流行
• 理由1:伝統的な仮説検定の限界
– 再現性問題
– QRPに、伝統的統計学のわかりづらさも原因
– 仮説検定の代替手段としてのベイズ統計
• 理由2:統計モデリングの発展
– 実験系・社会科学系でモデリング手法が発展
– GLMM以降は最尤法では限界
– 確率的プログラミング言語でより柔軟なモデル
– ベイズ統計モデリングが注目を得ている
- 32. たとえば回帰分析
• 𝑌𝑖 = 𝛼 + 𝛽 𝑋𝑖 + 𝑟𝑖
• 𝑟𝑖~ 𝑁𝑜𝑟𝑚𝑎𝑙 0, 𝜎
– 切片𝛼、回帰係数𝛽
– 残差が正規分布に従う
• 平均0、残差分散𝜎2
• データ生成についての確率モデル
– 𝑌𝑖 ~ 𝑁𝑜𝑟𝑚𝑎𝑙 𝜇𝑖, 𝜎 :確率的関係
– 𝜇𝑖 = 𝛼 + 𝛽𝑋𝑖 :確定的関係
• 上と同じモデル
- 39. 遅延価値割引
• 指数割引(複利計算モデル)
– 𝑉 = 元の価値 × 𝑒−𝑘𝐷
– 𝑉は主観的価値、𝑘は割引率、𝐷は遅延時間
– 時間によって主観的価値の減少率が一定
• 双曲割引(単利計算モデル)
– 𝑉 = 元の価値 ×
1
1+𝑘𝐷
– 時間が経つと主観的価値の減少率が小さくなる
- 52. 階層モデルの利点
• 想定したモデルの個人差を考える
– 遅延価値割引の例
• 双曲割引の割引率kに個人差を考える
• 全員が同じ割引率であると考えるのは仮定が強すぎる
– しかし、個人ごとに別々のモデルを想定すると、推定の精
度は悪くなる
• 割引率に確率分布を仮定する
– 𝑉𝑖 =
1
1+𝑘 𝑖 𝐷
– 𝑘𝑖 ~ 𝑁𝑜𝑟𝑚𝑎𝑙 𝜇 𝑘, 𝜎 𝑘
• 割引率𝑘がさらに正規分布に従うモデル
• 割引率の個人差に緩い制約を置くことで、推定を安定化
- 57. 遅延価値割引の例
• 𝑉𝑑 = 5000 ×
1
1+𝑘𝐷 𝑠
– 双曲線に指数sをつけたモデル
– これを最尤法で自力で解こうとすると結構大変
• PPLならこのモデルの式を書くだけでOK
- 59. ベイズ統計モデリングによって
• Carlin and Chib (1995)
– 「どんなモデルを利用するかどうかは,ユーザーの想
像力によってのみ制限される」
– 「解けない」という制約によって心理学のモデル構築
に制限がかけられることはかなり減る
• 逆に言えば,
– 研究者側にその自由に答えるための知識や洞察力,
数学的な素養などが求められる・・・。