量子コンピュータ(実機)を使ったアプリを公開した話

1. 「量子コンピューターについて語ろうLT大会＆懇親会
量子コンピュータ(実機)を使った
アプリを公開した話
#OpenQL勉強会
2019/08/26
束野 仁政
@snuffkin
1

2. 自己紹介
• Acroquest Technology株式会社
• GPTW「働きがいのある会社」ランキング1位
• プログラマ、ソフトウェア・エンジニア
• 検索エンジン、機械学習、分散処理、ビッグデータ
2
@snuffkin束野仁政(つかの・さとゆき)
https://www.amazon.co.jp/dp/4844398989/
検索エンジン・ミドルウェアの
書籍を共著で出版しました。→

3. 自己紹介
• 量子コンピュータの面白さを広めたい！
• 量子コンピュータの同人誌
• 「高校数学からはじめる量子コンピュータ」
紙版 https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=523676
電子版 https://snuffkin.booth.pm/
書泉グランデさんでも扱っています
• 量子コンピュータ入門記事を連載中・CQ出版社Interface誌
• 「動かしながら始める量子コンピュータ」
• Qiita
• 「量子コンピュータをどの書籍から学べば良いか？」
https://qiita.com/snuffkin/items/0dab2c5db85dd52f9322
• 9/22(日)に開催される技術書典7にも参加します
3
@snuffkin束野仁政(つかの・さとゆき)

4. 量子コンピュータは面白い！
4
実は、実機を操作することもできる
でも、一般的にはあまり知られていない
誰でも触れる量子コンピュータを広め
身近にしたい

5. Quantum Computer.Tokyo
5
量子コンピュータのアプリケーションを公開するサイト
http://www.quantumcomputer.tokyo/index.html
• 量子コンピュータで世の中を
少しハッピーにしたい
• 量子コンピュータを身近に感
じて欲しい

6. 第1弾: 量子星占い
6
星座別にその日の運勢を順位付け(朝の情報番組みたいなの)
http://www.quantumcomputer.tokyo/horoscope.html
• IBM Qの量子コンピュータ
に問い合せ、乱数により順
位を決定
• 量子プログラミングは
Qiskitを利用
• 朝9時過ぎに更新

7. 第1弾: 量子星占い
• 量子回路は右図の通り
• アダマール・ゲートを使い、
4量子ビットの乱数を生成
• |0000 →おひつじ座
|0001 →おうし座
：
12以上は無視
• 1024回実行して観測した量子ビットの頻度で順位を決定
• 量子コンピュータを乱数生成器として利用
7

8. 第1弾: 量子星占い
• 7月5日に公開しました
8

9. 第1弾: 量子星占い
• Twitterでは思わぬ反応が。。。
9
えっ、タロット占いに
応用できるの？

10. 第1弾: 量子星占い
• Twitterでは思わぬ反応が。。。
10
ランダムにタロットを引く
(量子コンピュータ)
占者さんがコメントする

11. 第1弾: 量子星占い
• スピリチュアル市場は１兆円らしい
• その他にも高速・大量に乱数を生成する需要はある様子
• 案外、こういうところから量子コンピュータが
生活に浸透するのかも
11

12. 乱数生成サービスを行う場合の課題
1. アプリを運用するサーバを常時確保するとお金がかかる
2. IBM Qは1日にアクセス可能な回数が制限されている
3. IBM Qからレスポンスはベストエフォート
12

13. 乱数生成サービスを行う場合の課題
1. アプリを運用するサーバを常時確保するとお金がかかる
解決策
「サーバレス」という構成にすることで、
量子星占いの１ヶ月の運用コストは $0.72 のみになった。
乱数生成サービスを作ってもコストは極端には増えなそう。
Qiskitをサーバレス構成に載せるのに苦労しましたが、
その話は別の会で。。。
13

14. 乱数生成サービスを行う場合の課題
2. IBM Qは1日にアクセス可能な回数が制限されている
解決策
IBMさんに回数を緩和してもらうしかないので、
おねがいします
14

15. 乱数生成サービスを行う場合の課題
3. IBM Qからレスポンスはベストエフォート
解決策
無料で使えるのは嬉しい反面、世界中からアクセスがあるため
応答に3時間かかるときもある
メンテナンス中の量子コンピュータがあると、負荷が偏るため
応答に6時間近くかかるときがあった
個別契約して、占有時間を確保するのが解？
これなら、アクセス回数の問題もクリア？
でも、高そう。。。
15

16. 乱数生成サービスを行う場合の課題
最大の問題点(?)
IBM Qのレスポンスが乱数になっていない
16
量子ビット 観測確率
|0000 8.4%
|0001 7.0%
|0010 5.1%
|0011 4.0%
|0100 8.2%
|0101 6.7%
|0110 5.8%
|0111 5.0%
量子ビット 観測確率
|1000 8.0%
|1001 7.0%
|1010 5.2%
|1011 4.1%
|1100 8.3%
|1101 6.7%
|1110 5.7%
|1111 4.8%
• 右の表は約50日運用した実績
• 6.25%が期待値
• 4量子ビット毎に傾向があり、
下位2量子ビットに偏り
• 将来的には解決を期待

17. 最後に
17
• 量子コンピュータのアプリケーションを公開するのはオススメ
• 思わぬ知見が得られました
• こういうサイトが増えると、嬉しいです