Presentation slide for IGDA Japan (2019/07/04). IGDA日本 地域創生SIG準備会1 (2019) [改訂2版] ゲームによる街おこし・地域おこしの可能性を探る

1. 産学連携による人材育成
最新海外動向
山根 信二
IGDA日本 / 岡山理科大
IGDA日本 地域創生SIG準備会1 (2019/07)
ゲームによる街おこし・地域おこしの可能性を探る

2. 自己紹介
• IGDA日本 アカデミック部会 幹事・ブログ主筆
• 今回はこちらの国際動向の紹介
• 情報系の大学で、1年生からゲーム必修科目を学ぶ専攻所属
• 国内では希少な取り組みですが今回は省略
• 着任先で、瀬戸内地域にゲーム開発者コミュニティをつなぐ
• 大学での研究から産学官のコミュニティづくりへ
• この話はFIT2019 (9月、岡山)で学会発表します
• 【宣伝】岡山県倉敷市発のインディーゲーム「La-Mulana 2」が6/27
に店頭に並び、『週刊ファミ通』『電撃PlayStation』最新号にも紹
介されています

3. 今回の内容
•GDC19から見た世界のゲーム人材育成拠点
•州レベル・県レベル・都市レベル・草の根
レベルの異なる取り組み
•最も脚光を集めたゲーム開発者は国内在住
•HEVGAが発表したゲーム人材育成の現状
•ゲーム人材の将来

4. GDCでみた地域活動
• 世界最大のゲーム開発者会議
• 世界各地域から出展
• スイス、イタリア、UK、スコッ
トランド、ウェールズ、ブラジル、
韓国など
• 開発者と話せるだけでなく、企業
誘致担当者とも話せる
• 特にカナダブースは、大学や州政
府や企業が並んでいて産官学が一
体になったエコシステム

5. 州政府規模の取り組み
• GDCでスコットランド政府、ドイツのバイエルン州政府の関
係者と話して感心したこと
• 政府の人も地元のゲーム企業数や職種を把握している
• ゲーム産業の裾野はひろく、ゲームデベロッパーもすべてを把握し
ているわけではない
• ゲーム関連出版物にはじまり、オンラインコミュニティ運営、開発
ツールの導入支援、教育機関、近年は eスポーツ実況、コスプレイ
ベント運営などさらに拡大
• 政府の関連機関がゲームの企画から運用まで経験したプロデュー
サーと契約して産業調査を行なっている
• さらにアメリカでは統計データを活用し、ゲーム業界団体が
各州の議員向けアピールサイトを構築
https://www.areweinyourstate.org/

6. 国や州の出展の他に、都市規模の活動は？
• GDC期間中に目立った大学都市・ゲーム人材育成拠点
• GDCで毎年同窓会が開かれ、名物教授が登壇する
• GDC Ambassador Awardを受賞した南カリフォルニア大学(USC)
Tracy Fullerton教授
• 今年は2セッションで登壇したカーネギーメロン大のJ. Schell教
授
• 例: ピッツバーグの躍進
• 鋼鉄の都からハイテクの都に
• カーネギーメロン大学がきっかけとなり新産業のハブに
• 詳しくはランディ・パウシュ『最後の授業』やThe DeanBeat:
Pittsburgh steels itself to become a regional game hub (2017)

7. あなたの街にもゲーム開発者がいるかも
• 「うちは国でも州政府でも学園都市でもないので…」
→草の根のコミュニティの存在
• 「作りたいゲームをつくる」個人開発者があつまり、草の根
のコミュニティができる
• 個人開発者の力は各種統計には表れないが、インディーゲー
ムシーンは無視できない存在になっている
• GDCでも日本から『洞窟物語』『La-Mulana』『Million Onion
Hotel 』の個人開発者が招かれており、2019年は…

8. GDC19で最も脚光を浴びたのは埼玉県大宮市民
Official GDC, Some rights reserved (CC BY)

9. あなたの街に世界的ゲーム開発者がいたら
• 世界的ゲーム開発者がいるだけでクリエイティブな街になる
わけではない
• 個人開発者が孤立していればいずれゲーム開発の火は消える
• 個人開発者が刺激をあたえあうエコシステムをつくり、個人
の孤立した試みを連鎖にする取り組みが必要

10. ここまでの中間まとめ
• 世界各地でゲーム開発に注力している
• 映画の都だけでなく鉄鋼の都でも新産業のハブに
• 国レベル・州レベル・都市レベル・草の根レベルのそれぞれに存在感
• 日本ではどのような取り組みが可能か
• 日本はゲーム産業が国や大学の力をいっさい借りずに成長してきた
唯一のゲーム大国
• ゲーム産業の企業数も職種も国は把握していない
• スマホからゲームセンターまで、異なる業態がIGDA日本のような草
の根の活動によってつながっており、全体像が見えにくい業界
• ゲーム産業のポテンシャルに気づいた地方自治体や大学の草の根の
つながりが重要

11. ゲーム産業人材は他分野でも活躍できる(1)
• HEVGA(全米ビデオゲーム高等教育機関連合)
• 世界規模でゲーム開発者教育のデータをもっている
• GDCのHEVGAパーティーで全米ゲーム専攻卒業生レポート配
布
• https://hevga.org/reports/
• 卒業生の52%はインターンシップを経験
• 全米のゲームで学位を取得できるコースの卒業生のうち、
ゲーム業界に進んだのは36% ←大丈夫か？
• 卒業生の就職の満足率94% ←どういうこと？

12. ゲーム産業人材は他分野でも活躍できる(2)
•HEVGAレポート
• 36%なのに満足度が高い
•大学で学んだゲーム開発スキルは「 transferable 」他
の産業に移転できる
•ゲーム開発でどの分野でも通用する人材を育成
（あくまで大卒・大学院卒の話．日本に多い職業訓練
校は別．）

13. ゲーム産業人材は他分野でも活躍できる(3)
• ドイツのミュンヘンの場合:
• 工業都市、ビール…あまりクリエイティブなイメージがない
• ゲーム開発だけでなくゲーム開発ツールなどの裾野の広い人材育成を
行うが、ドイツでは一番になれない
• VRブームの到来で風向きがかわる
「それゲームエンジンでつくれます」
• ゲームエンジンを使った自動車産業の構造改革
• 自動車産業のゲームエンジンサミットを毎年開催、Audi、Bentley、
BMW、McLaren、 Teslaが参加するサミットから欧州の拠点に
https://www.unrealengine.com/ja/events/sharing-innovation-build-munich-
18-for-automotive

14. ゲーム産業人材は他分野でも活躍できる(4)
• フィンランドのゲーム研究拠点「Centre of Excellence in Game
Culture Studies」ではゲーム文化の研究者がスマートシティづ
くりに参加している
• 生産性や効率性や安心・安全だけでなくゲームやプレイの観
点からのスマートシティ提言
• ゲーム研究は都市計画にも応用できる
• フィンランドの研究者グループと日本の研究者グループが協
力して、8月に京都で開催される国際会議「DiGRA2019」の
ワークショップ「The Future of Location-based Gaming
Research」（位置情報ゲーム研究の未来, 8月6日9:00-15:50）
を開催
http://www.digra2019.org/workshop/

15. まとめ
•GDC19から見た世界のゲーム人材育成の高
度化
•州レベル・県レベル・草の根レベル
•その中で最も脚光を集めたゲーム開発者は
某県在住
•HEVGAが発表したゲーム人材育成の現状
•ゲーム人材の将来
•予測のつかない未来への人材育成