脳と認知機能
- 2. 目次
前頭葉 - (前頭前野、前帯状回、前頭極、眼窩前頭皮質)
頭頂葉
側頭葉
後頭葉
辺縁系(海馬、扁桃体)
小脳
中脳
- 4. 主な機能
評価、計画、推論
遂行機能・実行機能
ワーキングメモリ
刺激の系列的知覚と再生
反応・注意の抑制と切り替え
抽象化能力
聞いた単語を大まかにカテゴリ化(犬の絵→動物) :換語の第1段階
心的自己賦活喪失, 動因喪失, 生命力喪失
動作に関する単語を話す・想起する
プランニング(前頭極)
過去に自分が行った決断(意思決定)を評価する(前頭極)
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、GABAなどによって支えら
れている。これらの物質が欠乏すると、前頭前野系の障害を示したり、情動障害を示したりする。
- 12. 実行機能
情報の更新 (updating)
課題ルールのシフト (shifting)
common executive function (common-EF)
の3つが実行機能の要素。
common-EFとは、課題目標や課題関連情報の維持を行うことで、効
果的に低次な情報処理をバイアスする実行機能である。行動の抑
制はcommon-EFの媒介によって出現するものであり、実行機能とし
ての抑制は存在しない。
- 13. 実行機能の神経基盤
腹外側前頭前野 (ventrolateral prefrontal cortex: VLPFC) は課題セットの切り替
え(と抑制)
背外側前頭前野 (dorsolateral prefrontal cortex: DLPFC) は課題関連情報を維持し、
計画を立てること
前帯状皮質 (anterior cingulate cortex: ACC) は、葛藤の検出とモニタリング
吻側前頭前野 (rostral prefrontal cortex: RPFC) は複数課題の遂行やエピソード
記憶の検索、他者の内的状態の推測
- 67. 参考)自閉症スペクトラムの発症脆弱性と環境
自閉症の発症要因として,環境要因の占める割合が 55%にのぼるとの報告も
サンフランシスコ湾岸地域での調 査で自閉症のリスクを有意に上げる環境物質は,3つの金属,水銀,ニッケル,
カドミウムと 2つの塩素化溶媒のトリクロルエチレン,塩化ビニールであった
5物質はいずれも,遺伝子の突 然変異,酸化ストレスからの DNA 傷害,DNAの修復機構の傷害を起こしうること
が示されている
メチル化にかかわる酵素の遺伝子多型によっては,母体の妊娠前から受精後 1ヶ月の間のビタミン不足の影響を
強く受け,自閉症発症のリスクを増す
ASD,AD では t-検定,多重ロジスティック回帰解析ともに,母では差がなく父では有意に高齢であった.高機能
自閉症/ Asperger障害ではt-検定では両親ともに有意差 はなかったが,多重ロジスティック回帰解析では 父で有意
に高齢であった
「自閉 症児」と「父が高齢である児」に共通する遺伝子には,トランスクリプションと亜鉛にかかわる遺伝子
が多数含まれていたと報告されている.