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被虐待児と里親
- 3. １．子どもの心理発達
- 10. 思春期（１２～１５歳ごろ） 自意識の高まり⇒身体的変化が顕著・・・嫌 でも意識が自分に強く向く アイデンティティの芽生え⇒個性や能力差な どが一層顕著に…自と他の違いを強烈に意識 大人と子どものはざまにいる葛藤や迷い 反抗は正しい成長過程⇒大人という壁にぶつ かりながら角を取り、自我を作っていくイ メージ
- 12. 共通する関わり 「子どもと一緒に悩んでい く」というスタイル 特に子どものネガティブな 感情を受け止める ＋「～～な気持ちなんだよ ね」と言葉で返していく （※別に間違っていても構 わない）
- 13. そもそも愛着って何？ 定義：愛着対象（親）との間の情緒的なつながり 子は本能的に“親(愛着対象)がストレッサー(不安・恐怖)を除 去してくれる”と予期する 愛着対象がない＝慢性的なストレス状態 子が不安や恐怖⇒愛着行動(泣き・接触)が活性化 ・安心⇒愛着行動は緩和 ・ストレス状態のまま⇒ストレス低減を自ら図る ex)問題行動など 愛着が安定している子供 ＝親の感受性が高く、子に対し応答的に反応する
- 14. 自閉症スペクトラム 主分類 ・社会性の障害 ・コミュニケーションの障害 ・反復行動と狭い興味 配慮・対応等 ・本人の自尊心低下 ・本人の特性に応じた指示方法等 原因 ・ミラーニューロン仮説 ・神経毒
- 20. 虐待のモデリング論 モデリング：他者の行動を模倣・学習して 自らの行動を形成する Ex)「子どもの制御を暴力で行う」を経験し続ける →その方法をモデルとして学習し、自身も同じ方法で子育 てをする
- 21. ネガティブ感情制御論 幼少期，泣きに応えてもらえなかった経験 ⇒・子どもの泣きに共鳴できなくなる ・子どもの泣き声が無意識的に不快感を喚起。 ⇒この不快感等に対する防御反応として泣きの否定を行う。 泣きを否定された子どもは感情制御が困難に。 ⇒親になると非共感的・感情の行動化・抑圧傾向・・・虐待のリスク高 つまり、虐待の世代間連鎖の背景＝母自身が負の感情を受け止めて もらえなかったことによって，わが子の負の感情を承認できない。
- 25. 虐待を受けた子どもの脳 全体の傾向 海馬⇒サイズ小：長期記憶に何らかの困難 扁桃体⇒サイズ小：感情・記憶調節の困難 小脳虫部⇒血流量小：海馬や扁桃体の異常制御困難 暴言虐待 聴覚関係の部位の機能が弱い DV暴露 視覚関係の部位⇒サイズ小＋血流量増 身体・心理的虐待 前頭前野⇒サイズ小：“本能的な欲求をつかさどる辺縁系”へ抑制をかけ る機能が弱い
- 27. こころへの影響 １ 大人は僕に何をするの？ これからどうなるの？ 常時の極めて強い 何が良くて何がだめなの？ 不安状態 どうしたら恐い事が避けられる？ 俺なんてどうせだめだ 低い自尊心 何もうまくできないんだ 低い自己評価 生きてていい事ないんだ 歪んだ自己像 俺のせいで家族がダメに 他
- 30. 虐待を受けた子どもの共通特徴 親から負の感情（+身体感覚）を否定される経験 ⇒感情制御の脳機能の健全な発達を困難に。 負の感情を①伝える方法を知らない ②伝えて拒まれることへの不安 ⇒負の感情を抑圧 ⇒攻撃行動などに行動化 子どもの負の感情・身体感覚を承認する コミュニケーションの回復によって、 感情制御の力を育める。
- 31. 虐待と愛着 親の不適切な養育 ⇒親を通して得られる人全 般への信頼感や無根拠な自 己肯定感（基本的信頼感） が得られない。 上述のものが適切に獲得で きないと、対人上の支障が 出る危険がある。
- 35. 問題行動・不適応行動等の種類１ 自発性欠如・不活発・・・１４．４％ 過剰な不平・不満・・・３２．２％ 不安が強い等・・・１３．９％ 八木他（２００９） 情緒障害児短期治療施設に入所する被虐待児童の行動特徴について 関西福祉大学社会福祉学部研究紀要
- 37. ３．虐待を受けたこどもの育て方
- 39. （おさらい）子どもの心理状態 大人は僕に何をするの？ これからどうなるの？ 常時の極めて強い 何が良くて何がだめなの？ 不安状態 どうしたら恐い事が避けられる？ 俺なんてどうせだめだ 低い自尊心 何もうまくできないんだ 低い自己評価 生きてていい事ないんだ 歪んだ自己像 俺のせいで家族がダメに
- 40. 子どもは里親さんに何を求めるのか 「本当に自分を守ってくれるのか」 「本当に自分を愛してくれるのか」 ＝どんなことがあっても自分を捨てな いと示してほしい 根っこから愛されているという感覚が欠如 ⇒「注目」や「接触」といった即時に 得られる安心感を求める 完全な安心を得たい ⇒終わりのない見捨てられ不安 ・・・適宜対応しなければならな い里親は大変
- 41. 何よりもまずその子を知る どんな人生を歩んだ親か？ 児童に発達等の問題はあったか？ 親はどう児童に関わってきたか？ 学校ではどのような役割か？ 友人はどんな子か？ ・・・児童の特徴＋周辺の理解
- 42. その子を知った上で・・・ 最重要は児童との対話 言葉以外の対話(遊びを通して等)も 不安やつらさ(負の感情)の言語化
- 43. 態度の３原則 ①真実性（役割行動や防衛的態度をとらず、聞き手の感 情とその表現が一致していること） ②共感的理解(あたかも自分のものであるかのように感じ 取ること) ③無条件の肯定的関心(評価せず、相手のポジティブ・ネ ガティブ両面を受け止めること) この３態度は日常場面に応用可能
- 45. 架空事例
- 46. １６歳男児 幼少期より激しい虐待があり、何度も一時保護を繰り返す。 年齢を重ねるごとに非行性が増していき、家庭での監護力の低さもあり、里親委託 となった。 当初は里親宅での適応は良かったが、「ルールが厳しい」「会話もないしつまんな い」等の不満が徐々に増え、無断外出や不良交友がでてきた。 里親との関係が悪化し、夜に里親宅を飛び出した。しばらくして里親宅の玄関前を 通った時のことを思い出し、「ドアが固く閉まってたんだよね」「なんかさ、俺の こと探してくれなかったのかなって」と語る。