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行動経済学+UX勉強会発表資料
- 2. 自己紹介
安藤 直紀
インターネットの設計屋ARCHIT代表
http://www.archit.jp
フリーのディレクター、プロデューサー、設計者
WebSig24/7 モデレーター
Web屋の本
〜Web2.0ビジネスサイト2.0Web屋2.0
変革期のウェブ
〜5つのキーワードから読み解くウェブとビジネスのこれから
Web検定 公式問題集3
Webディレクション問題集
インターネット&Webの必須常識100
新人教育これ一冊
ウェブの仕事⼒が上がる標準ガイドブック 1 Webリテラシー 第2版
ウェブの仕事⼒が上がる標準ガイドブック 1 Webディレクション 第2版
ARCHIT
- 3. 今までのユーザーエクスペリエンス設計フロー
ペルソナにしろ
ユーザーシナリオにしろ
合理的なユーザーモデルベース
http://blog.webtron.jp/archives/2011/08/000083.html
http://www.uchida.co.jp/company/ucd/wivia.html
ARCHIT http://www.9-2-7.net/blog/2008/10/post-1.html
- 4. ⾏動経済学が教えてくれたこと
⼈は合理的に⾏動できない
限定合理性をとる⽣き物
ARCHIT http://www.vcasi.org/node/499
- 7. ⾏動経済学が教えてくれたこと
正しい⽐較が⾏えるはず。
「auのiPhoneってAndroidだよね」
ARCHIT http://iphone-meister.info/news/iphone-4s-au-softbank/
- 9. ⾏動経済学が教えてくれたこと
合理的経済⼈のイメージ
なんとなく目線入れてみました
ARCHIT Copyright BUICHI TERASAWA / A-GIRL RIGHTS
- 10. ⾏動経済学が教えてくれたこと
実際はかなり非論理的(限定合理的)
なんとなくぼかしてみました
ARCHIT Copyright LIBERA
- 11. 仮説
論理的で合理的なUX設計は
限定合理的な⼈間相⼿に不⼗分なのでは?
ARCHIT
- 12. 仮説
限定合理性を考慮すれば
より高いUXが与えられる
ARCHIT
- 13. 今回提示したいこと
より高いUXの実現のために
UX設計にどんな変更を与えればよいのか
「限定合理性の考慮」を加える
ARCHIT
- 14. ⾏動経済学の中で明らかになっていること
直感を阻害するバイアスの存在
利⼰利他的な選択
プロスペクト理論
利⽤可能性ヒューリスティック
フレーミングによる選考の移り変わり
2重プロセス
・
・
・
ARCHIT
- 15. サンプルケースの設定
※既存顧客へのケアなどは割愛
ケース:生命保険会社の顧客獲得
コンテンツ
作成・執筆
執筆
ペルソナ ユーザー ユーザー リテラシーに合った
目的設定 構造策定
設定 ⾏動考察 フロー策定 ライティング
UI作成
新規顧客獲得 小宮山 卓郎 選定にあたっての コンバージョンフロー コンテンツ定義 デザイン
競合からの乗り換え 商社勤務 38歳 重要なポイント 動線設計 ・診断コンテンツ ・コンバージョンを
年収800万円 ・支払い額 ・ニーズから推薦商品へ ・シミュレーション 高めるUI
妻、小学生の子2人 ・貯蓄型かどうか ・詳細ページ→資料請求 ・支払額軸での内容比較 ・ビジュアル
・ ・補償の範囲 ・他社比較→資料請求 コミュニケーション
・ ・免責事項 情報の配置要素決定 ・ブランド表現
・ ・ ・詳細ページには
・ 掛け⾦ごと補償内容
・ ・特⻑
・免責事項
・資料請求へのリンク
・
・
・
ARCHIT
- 16. サンプルケースの設定
※既存顧客へのケアなどは割愛
ケース:生命保険会社の顧客獲得
コンテンツ
作成・執筆
執筆
ペルソナ ユーザー ユーザー リテラシーに合った
目的設定 構造策定
設定 ⾏動考察 フロー策定 ライティング
UI作成
新規顧客獲得 小宮山 卓郎 選定にあたっての コンバージョンフロー コンテンツ定義 デザイン
競合からの乗り換え 商社勤務 38歳 重要なポイント 動線設計 ・診断コンテンツ ・コンバージョンを
年収800万円 ・支払い額 ・ニーズから推薦商品へ ・シミュレーション 高めるUI
妻、小学生の子2人 ・貯蓄型かどうか ・詳細ページ→資料請求 ・支払額軸での内容比較 ・ビジュアル
・ ・補償の範囲 ・他社比較→資料請求 コミュニケーション
・ ・免責事項 情報の配置要素決定 ・ブランド表現
・ ・ ・詳細ページには
・ 掛け⾦ごと補償内容
・ ・特⻑
・免責事項
・資料請求へのリンク
・
・
・
ARCHIT
- 17. ペルソナモデルに加える変更点
利⽤可能性ヒューリスティックを考慮する ペルソナ ユーザー ユーザー
構造策定
コンテンツ
作成・執筆
目的設定 フロー策定
設定 ⾏動考察
UI作成
・普段触れている情報によって起こる偏り ・提供しようとしている商材やサービスに
・イメージできるものの偏り “潜在的に”どのように触れているのか
・必要性を持つ前にどのような情報に接触したか
名前 小宮山 卓郎 名前 小宮山 卓郎
年齢 38歳 年齢 38歳
職業 総合商社勤務 職業 総合商社勤務
紅茶の輸⼊担当 紅茶の輸⼊担当
マネージャー マネージャー
年収 800万円 年収 800万円
家族構成 妻、小学生の子2人 家族構成 妻、小学生の子2人
・私⼤貿易学部を卒業し、新卒で⼊社 ・私⼤貿易学部を卒業し、新卒で⼊社
・2人の子供が小学生になりライフステージの転換中 ・2人の子供が小学生になりライフステージの転換中
・持ち家を考え銀⾏から3000万円の融資を検討 ・持ち家を考え銀⾏から3000万円の融資を検討
・奥さんが働きに出はじめ、毎月8万円の収入増加予定 ・奥さんが働きに出はじめ、毎月8万円の収入増加予定
・趣味はテニスと家族でのピクニック ・趣味はテニスと家族でのピクニック
・⽼後のことも考え始める時期 ・⽼後のことも考え始める時期
・新卒時に上司の紹介で入った生命保険が15年目になる ・新卒時に上司の紹介で入った生命保険が15年目になる
・資産運用として株の運用中 ・資産運用として株の運用中
商材への潜在的な接触履歴
・生命保険への情報はたまに嫁が保険のおばちゃんと
お茶した話を家で聞く
・契約⾒直し以前から、テレビでアフラックやアリコのCM
に触れている
合理的な判断に偏りを⽣じさせる可能性のある要因をペルソナに加えておく
ARCHIT
- 18. ユーザー⾏動考察で加える変更点
コンテンツ
ペルソナ ユーザー ユーザー 作成・執筆
目的設定 フロー策定 構造策定
設定 ⾏動考察
UI作成
ターゲットが保険選定にあたって重要視する項目
・生活を圧迫すると困る
だから「支払い額」が気になるはず →自由な支払額を設定して検討できる
ように
・競合と比べてお得か
だから支払いによって得られる
サービスが明示的になっていて欲しい →業界汎用な項目で比較表を提示
・わかりづらい補償内容
だからどんな時にいくら支払われるのか
理解し検討したい →ケースで補償⾦額を理解できる
ように
ARCHIT
- 19. ユーザー⾏動考察で加える変更点
コンテンツ
ペルソナ ユーザー ユーザー 作成・執筆
目的設定 フロー策定 構造策定
設定 ⾏動考察
UI作成
プロスペクト理論
・人間はプラスよりもマイナスに敏感である
・損失の予想に対して回避⾏動の欲求が⾼まる
・現状を維持しようとする
・公正を保とうとする
利⽤可能性ヒューリスティック
・知っているものは過⼤に⾒積もる
・イメージできるものは過⼤に⾒積もる
・
・
・
明らかになっている
数多くの限定非合理な⼈間の特性を考察に加える
ARCHIT
- 20. ユーザー⾏動考察で加える変更点
コンテンツ
ペルソナ ユーザー ユーザー 作成・執筆
目的設定 フロー策定 構造策定
設定 ⾏動考察
UI作成
・生活を圧迫すると困る
だから「支払い額」が気になるはず →自由な支払額を設定して検討できる
ように
⾏動経済学の理論によるフィルターをかける
プロスペクト理論
・人間はプラスよりもマイナスに敏感である
・損失の予想に対して回避⾏動の欲求が⾼まる
・現状を維持しようとする
・公正を保とうとする
支払いは「損失」に含まれるため、回避欲求が高まる。この場合の「回避」と
は既存の保険から乗り換えないという選択。だから、⽀払額の⼊⼒で損失を意
識させてしまうデメリットを回避させることが必要。この損失は「⾃分が得ら
れるもの」で補填できるため、補償内容の選択をできるようにすることで薄め
ることができるのでは?
ARCHIT
- 21. ユーザー⾏動考察で加える変更点
コンテンツ
ペルソナ ユーザー ユーザー 作成・執筆
目的設定 フロー策定 構造策定
設定 ⾏動考察
UI作成
・競合と比べてお得か
だから支払いによって得られる
サービスが明示的になっていて欲しい →業界汎用な項目で比較表を提示
⾏動経済学の理論によるフィルターをかける
プロスペクト理論 利⽤可能性ヒューリスティック
・人間はプラスよりもマイナスに敏感である ・知っているものは過⼤に⾒積もる
・損失の予想に対して回避⾏動の欲求が⾼まる ・イメージできるものは過⼤に⾒積もる
・現状を維持しようとする
・公正を保とうとする
既存利⽤のサービスが悪くても現状維持欲求で乗り換えない意識が働く。
比較表ではなく、将来の保有資産状況によって自分の生活がどのようになるか
を、ストーリーとして伝えることでイメージさせ、現状維持欲求を乗り越えさ
せよう!
「⼀年で節約できるお⾦はよろにく1回分!」
ARCHIT
- 22. ユーザー⾏動考察で加える変更点
コンテンツ
ペルソナ ユーザー ユーザー 作成・執筆
目的設定 フロー策定 構造策定
設定 ⾏動考察
UI作成
・わかりづらい補償内容
だからどんな時にいくら支払われる
のか理解し検討したい →ケースで補償⾦額を理解できるように
⾏動経済学の理論によるフィルターをかける
プロスペクト理論 利⽤可能性ヒューリスティック
・人間はプラスよりもマイナスに敏感である ・知っているものは過⼤に⾒積もる
・損失の予想に対して回避⾏動の欲求が⾼まる ・イメージできるものは過⼤に⾒積もる
・現状を維持しようとする
・公正を保とうとする
・サンクコスト
既に15年払っている場合の割引率、保険のおばちゃんとのよしみを考慮すると
単に補償内容の提⽰では乗換えは⾒込めない。
CMのセリフを知っているアフラックは実情よりも過大に評価される。
ケース別での補償⾦額提⽰コンテンツにおいて、認知による過⼤評価と公正さを
超えるには・・・
ARCHIT
- 23. ユーザーエクスペリエンスフロー策定で加える変更点
コンテンツ
従来のアプローチ 目的設定
ペルソナ
設定
ユーザー
⾏動考察
ユーザー
フロー策定 構造策定
作成・執筆
UI作成
支払額起点 ⽀払額から⾒てみる ⽀払額⼊⼒ 候補一覧から選択 詳細ページ 資料請求
「支払い金額を 一覧表示で 補償内容提示
入力してください」 違いについてサマリ表示 オプション提示
ARCHIT
- 24. ユーザーエクスペリエンスフロー策定で加える変更点
コンテンツ
ユーザー 作成・執筆
⾏動経済学を踏まえた考察から導き出された 目的設定
ペルソナ
設定
ユーザー
⾏動考察 フロー策定 構造策定
UI作成
アプローチ
1日コーヒー2杯分で買え
る安心はこれです
新たな⾦銭⽀出によって起こる
「損失による回避⾏動」を避けるため
また、アフラックなど認知に過大評価さ
れている競合を意識した提⽰をする
新規向け⼊⼒
支払額起点 ⽀払額から⾒てみる 候補一覧から選択 詳細ページ 資料請求
乗換検討者
向け⼊⼒
今払っているものは損失ではないが
契約を変えることは平衡を崩し
損失を意識させるため、現時点より
も得になる、という提示をする これだけ下がって
補償はこれが追加
「今お支払いの金額を これだけ下がる商品が 補償内容提示
教えてください」 あります一覧 オプション提示
「支払い金額を 一覧表示で 補償内容提示
入力してください」 違いについてサマリ表示 オプション提示
ARCHIT
- 25. ユーザーエクスペリエンスフロー策定で加える変更点
コンテンツ
ユーザー 作成・執筆
⾏動経済学を踏まえた考察から導き出された 目的設定
ペルソナ
設定
ユーザー
⾏動考察 フロー策定 構造策定
UI作成
コンテンツ作成・執筆の方針
ここで⽤いた理論
・⾃分が想像できることの価値は割増で⾒積もられる
・現状維持欲求を「自分のためではなく家族のため」と置き換えることによって乗り換える価値を生む
・
・
・
サイト原文 改善案
新EVER ベースプラン おすすめポイント 新EVER ベースプラン
病気もケガも一生涯保障!1泊2日はもちろん、 万が一の備えは万全に。
日帰り(1日)入院も保障します。 1年間で起きる事故は○○万件。誰もが⼀⽣に⼀度は事故に逢
病気・ケガの入院それぞれ1日目から保障されるので、短期間 うことになります。
の入院でも安心です。 もしも一回の入院費の平均はこれだけかかります。
そして大事故だった場合に、家族の付き添いやほげほげの費用
でこれくらいかかる。
手術の範囲が広がりました。 生涯にわたる補償を手にするための第一歩がこのベースプラン
健康保険が適用となる1,000種※の手術を保障。 です。
(※一部、支払対象外となる手術があります。)
さらに放射線治療や先進医療もサポートします。 ・病気もケガも一生涯保障!
・日帰り入院から補償!
・健康保険適用の1000種の手術だけでなく放射線
治療や先進医療もカバー
ご希望の保障額に合わせて2つのコースから選べます。
倒れることのできないあなただからこその手厚い補償を用意し
※ご契約年齢・ご職業等によっては、ご希望の⼊院給付⾦⽇ ています。
額でお引受けできない場合がございます。
ご希望の保障額に合わせて2つのコースから選べます。
※ご契約年齢・ご職業等によっては、ご希望の⼊院給付⾦⽇
額でお引受けできない場合がございます。
ARCHIT
- 27. ⾏動経済学が教えてくれた⼈間像
プロスペクト理論
人間はプラスよりもマイナスに敏感である
損失を回避する
現状を維持しようとする
公正を保とうとする
限定合理性
利⽤可能性ヒューリスティック
普段触れている情報によって価値の感覚が偏る
名を知っているものは過⼤に⾒積もる
⾃分がイメージできるものは過⼤に⾒積もる
回避リスク
平衡を求める
確証バイアス
確信した後はその⾃説を強化する情報の価値を⾼く⾒積もる
ARCHIT
- 28. まとめ
⾏動経済学を取り⼊れることでUXは増す。
ARCHIT
- 29. まとめ
ありがとうございました。
ARCHIT